switch101-23 パステルエナメル

 透耶の肌は白い。
 最近、ますます白くなってしまっている。
 日光浴と言っては中庭にいるんだけど、それでも焼けると肌が真っ赤になるだけで、一向に黒色にはならない。  

 透耶曰く。

「赤くなって皮が剥けちゃうから、焼きたくはないんだ」  
  と言っていた。

 色素が弱いのか、そうなってしまうらしい。
 なので、日よけには気を付けている。

 せっかくの綺麗な肌を黒くするなんてとんでもない事だ。
 白くて綺麗だから、焼けたとしても焼いて欲しくない。

 透耶は黒く焼いてみたいとも思ってないようだ。

「昔はねえ、あんまり白いから、白人の血が混ざってるんじゃないかってよく言われたんだ。でもうちにはちゃんと家系図あるから、そんな外国人さんが混ざってたらすぐに解るんだよ」
 と透耶は言っていた。  

でも正真正銘、透耶には日本人の血しか流れてない。  
それなのに白くなるのは、やはり玲泉門院の血筋なのだろう。

 前に見た写真では、皆色白だったからなあ。  

う、もしかして、それも玲泉門院特有のあれなのか?  

周りが放っておかないとかいう、人を惑わせるとかいうあれなのか?

 そりゃ見た目が綺麗で可愛くて、肌の色が白くて、しかも色素が薄い髪に瞳だったら、人は放っておかないだろう。

 それを今は自分が独り占め出来ている。
 妙な満足感がある。

 おっと、中庭に置いてあるパラソルのテーブルで透耶がうたた寝している。

 起こさないようにと近付いて抱き上げると、とろんとした瞳が俺を捕らえた。

 う…ヤバイ。

 透耶は抱き上げたのが俺だと分ったのか、にこり~っと微笑んで眠ってしまった。

 この無防備さ。どうにかならないか…。

 すぐにでも襲いたくなる衝動を押さえて透耶をベッドまで運んだ。

 少し汗をかいているので、上着を脱がせた。  
 下はタンクトップで、ズボンは半ズボン。

 悩殺する気なのかと目眩がする。  

 だが、仕事疲れもあって眠っている透耶を襲うには、あまりに可哀想だ。  
 それに昨晩も散々やってるし。

 ここは俺が忍耐で我慢するしかないんだろうなあ…。

 でもキスくらいはいいよな、な?  

 だけど、透耶にキスしたら、透耶が無意識に答えてくれたものだから、もう俺、止まらなくなったよ。

 後で当然のように反省させられた。