switch101-4 マルボロ
鬼柳は、煙草を吸う。
日に2箱。
多くて、3箱。
種類は赤のマルボロ。
灰皿はいつも満杯。
こんなもの美味しいのか?
そんな事を思いながら、箱を取り上げて眺める。
じっと見ていたら、肩に鬼柳の頭が乗ってきた。
「やめとけー。透耶は」
「はい?」
手に持っていた煙草を取り上げられた。
「吸わずに済むなら、こんなものはやめといた方がいい」
吸ってるやつに言われたかない…。
しかも、そのニコチン、しっかり俺は吸ってるわけで…。
「煙の方が悪いって知らないの? 俺、鬼柳さんといるだけで、もう吸ってるのと変わらないんだけど」
なんて俺が言ったら、ものすごく…くくくくっ、笑っちゃいけないんだけど、すごく情けない顔してた。
「あー、んー、御免。でもやめられない」
「別にいいんだけど」
人の好みをあれこれ言うのも何だし、俺に辞めろという資格はない訳。
でもね、その後から、鬼柳が明きからに本数を減らしてる訳よ。
わざわざ庭に出たり、窓開けて換気したり。
笑っちゃ悪いけど、あからさまだから、もう苦笑するしかない。
でもねえ、口移しで貰ったら、意味ないんだどね…。