Switch 外伝11-4

Slow&Easy

 砂漠のスーパーブルームはロアルシナム国内にすぐに報道されて、人がたくさん訪れた。ホテルは満室であったし、街は活気に溢れた。
 日帰りする人もいたけれど、車はオアシス外にもたくさん止まっていて、中にはテントを張り、泊まっていく人まで現れる始末だ。
 さすがに観光どころではない状態であるが、貴族たちがヘリまで動員していたため、予約していなかったので鬼柳や透耶はヘリに乗る時間も取れず、ホテルのスイートで足止めを食っていた。
 外に出ればさすがに迷子になりかねない。
 危険から逃れたばかりなので、当然食事も部屋で取る安全策にして、外に出ずに部屋の中で二人は気儘にこの国の映画を見ていく形になった。
 鬼柳は通訳として透耶の足りない語学力を保管していく役割で付き合わされ、たった二日で六つの映画を見るほどだ。
 もちろん、その合間には鬼柳は透耶を押し倒しては、セックスに持ち込むのであるが、透耶は珍しい世界に触れているためにどうしても心がちょっとだけそっちに向かない。
「透耶……またか」
「ごめん、さっきの映画三部作だったから気になって……ん……」
 こうやって映画を途中で打ち切ると透耶が乗ってこないのである。
 この世界のエンタメを楽しむために全力であるせいだ。
 もしかしたら鬼柳は二度とこの国に立ち寄らないかもしれない。そうすれば、もちろんこの国の独自な文化には触れられなくなる。それが透耶は気になって仕方なくなり、どうしても集中力が逸れてしまうのだ。
「……ふう……まあ、一回したし……いっか」
 とりあえずなし崩しにセックスできてはいるので、鬼柳も諦める。
「でも、この一回は付き合って」
 もちろんただでは起きない鬼柳である。
「えっ……あっああっやら……ちくびっああんっはっああっ」
鬼柳は透耶の乳首を吸い、舌で嬲って弄びながら、挿入したままの状態で透耶の身体を弄る。
「だめっそこ……らめちくびっ……ああんっらめなのっ……」
「……ちゃんと、乳首も勃起してる。駄目じゃないだろ?」
「やあぁっ……んっちくび、らめっんっひっああっ、あんっ、あんっふああああっ、あっ、舌っ、らめぇっ……ん゛っ、ひっあっあぁあ~らめっ舌らめなのっああんっ」
 ジュルジュルと音を立てて吸い上げていく乳首で透耶は感じて、身体を震わせている。
 絶頂へとその状態で導かれて透耶は全身を震わせた。
「あぁんっ……いいっんあっあっちくびっ……ひぁっあっあっ……んっあぁっん゛ひっ……あっあっん゛っああ゛っ……ん゛っああっああああっ……ああっん」
透耶が絶頂すると、鬼柳は少し呻く。
「やべえ、締め付けが凄い……イッてるな透耶……じゃ、俺も頂こうかな」
鬼柳がそう言って挿入を開始すると、透耶は絶頂から引き戻されて、また快楽の渦に沈められる。
「あーっイッてるのにっ……はっあぁっ、あっああぁっあひぃっ! あんっ……あっあっあああぁぅっあっやっ! あぁーっ……らめぇっ、んっはぁっぁああっ」
足を広げられた透耶はさらに深くまで鬼柳を受け入れて、甘い快楽を味わっていく
「あぁっあっ、あんぅっ……、や、あぁっあーっ……」
「すごい、透耶……中がうねって、締め付けてくる……気持ちいいな」
「ああっ、もっいわないっあぁあんっんっんっ……はぁっぁ、あぅんっいっ……ひゃぁっあっはぁっ、あぅんっ!」
挿入速度を上げて鬼柳が腰を使い始めると、透耶はただただ鬼柳に振り回されるだけになってしまう。
「あぁあああっ……あああっ、あぁああぁんっ……やぁああっ!」 
鬼柳のねちっこい腰の振り方に、透耶は首を振りながら快楽を貪った。
「あっいいぃっひぅっ、あっ、あぁんっ! あぅっあっあんっいいっ、んっ、ひああぁっいいよぉっ」
「透耶も、満足なら、俺も満足……気持ちいいよな、これ、もっとしよう」
「あぁんっ……いぃっ、あっ、らめっ、あっ、あっあっあっ……ふぁっ、ひぅっ、あんっああぁっあひぃっ、あんっ、あんっ!」
どこまで深く繋がっていられれば、どれだけいいのか。そう思うほどに鬼柳は透耶に触れていたい。
 透耶もこうなると溶け合ったままでいたいと思ってしまう。
「ひあっ、あ゛っ、らめっあぁっ……あ゛っあっあっああっあぁああっ……あっあっあんっ、あんっあんっあんっあ゛ああっ、あっあぁあんっ」
「もっともっと透耶……もっとくれ……もっとだ」
「あぁんっ……あっあっ……気持ちいいっああんっああん……ああっ!」
「透耶、もっともっとだ」
「らめっ……ああんっらめっああんっきもちいいっらめっらめっ……ああんっ!」
「一緒に、いこうっ」
「あぁあんっ! あっああっ、いやっ、らめっはぁんっ……あっいいっあぁんっいくっああ――――――んっ」
 鬼柳に高められて透耶は絶頂をする。
 射精をしてしまうと、鬼柳が透耶の中で射精をしている。
「はぁっ、はぁっあぁん……ひっああっ、あぁんっ……」
「めっちゃ吸い取られる……」
「あ、は……あぅ、ああ……も、やら……」
 透耶がもうこれ以上体力的に無理だと鬼柳を押しのけようとしているので、鬼柳もこれ以上の拘束は無理だと思った。
「……分かったって、ほら叩かないで」
「も、むり……疲れた……」
透耶がそう言うので、鬼柳は透耶の中から出ていくも、風呂に入ったらまた欲情をしてしまう。
 けれどそれを我慢して透耶が一本映画を見終わるまで待ち、そして透耶の通訳をしてやったらまたご褒美が貰える。
「ああああーっ! やらぁっ、らめっ、はっふぅっ……あっ、ああぁっ」
「やっぱ、何度やってもいい……透耶は麻薬みたいな感じだ」
「ああ、ああぁー! あぁっ、あんっ、ふぁっ、ん……はあんっ!」
何度抱いても同じように溺れて、抱いても抱いても足りなくて、透耶を抱き潰してしまうまで止まらないのは、出会った時から変わらない。
「あああっ、やらぁっ、ああっ、あっ、ひぁんっ」
「透耶、愛してるよ……どれだけ愛しても足りないくらいに……」
「ああああっおおきいっ!? あぁっ、あんっ、ひぃあっ! あっ、ああああーっ!」
 ゴリゴリと奥まで突き上げられて透耶は身体を反らしながら、鬼柳を受け入れ続ける。
 この激しい愛に応えるにはどうすればいいのかと毎回思う。
「あぁんっあぁっ……そ、そんな、あんっあっ、あっ、はぁんっ……ひゃっ、あぁっああっ……あひぃっ! あっあんっ……ぁんっ、はぁっ……ああんっ」
 どれだけ愛を受けても溢れるほどの思いを返しても、それ以上の深い愛情で返されてしまうから、また溢れるほどの愛が透耶の中に浸透して返さなければならない。
「はぁっ……、あっ……あぁん……、やらぁ……は、ぁ……ああんぁ……あぁっあぁっ、恭、すきっだいすきっぁああんっ!」
そう告げると鬼柳の動きが一瞬止まるも、また鬼柳自身が大きく固くなって透耶の中を抉ってくる。
「あっ、やらぁっ……んっ、あっふぅっやっ……、そこは、やらぁ、んっ、はぁっ……」
「ここが透耶のいいところだからな……擦り上げてやれば」
「あぁんっ! あっ……はぁっ、はぁっ……あぁぅっ! やっ、あんっあんっあぁんっ」
 透耶はそのままドライで絶頂をしても、まだ鬼柳は腰を振り続ける。
「やぁあっ、あっふぅっ、あっあっ……ああーっ! やっらぁっ! あっはぁっ……んぁっ……はぁっはぁっ……あっぁあっ、んっひゃぁっ……」
 痙攣する身体は暴れるも鬼柳はそれを押さえつけてさらに強く突き上げた。
「ああああぁーっ! あっ、あっ、あんっ、あんっぁあんっ!! ひゃああっ! あぁっ、あっあっ……はぁんっ、ぁあんっ」
 悲鳴のような嬌声が上がり、透耶は絶頂中にさらに絶頂へと追い上げられる。
「ひ、ああぁっんっはぁっ……あっあんっあんっあぁっあんっはげしっ……あっああっあっあんっあんっあひっあっやっああっ」
鬼柳は透耶が絶頂をしながらでも腰を振り続け、鬼柳自身も絶頂をして精液を吐き出しながらでも腰を振り続ける。
「らめっあっあひっい゛っあっあんっ! らめっやらっ……あっあんあんああっああんっひっああっいっちゃうっ……あぁっいいっひっああんっ!」
抜かずに三度目の絶頂を透耶が迎えても、鬼柳は腰の動きを止めない。透耶はさらにまた絶頂に押し上げられていっているが、それでも鬼柳を拒否はできない。
「あっああぁあっあひっあんっああーっ、いってるっやっあっやめっ……あっあぅん……あぁっ……いいっああっ、んっ……ふぁっ」
「透耶、何度出ても中から出たくない……気持ちがよすぎる……」
「はぁっもっやらぁ……ぁあ、んっ、やっ……、あぁんっあっああぁんっ! んっ、んぁっあぁっ」
「まだイケるよ、ほらここがいいんだよな?」
 鬼柳によってまた絶頂ができるように身体を弄られて、透耶にはまた絶頂感がやってきてしまう。
「らめっ……あっあぁああっあ゛ひっ、いっあっあんっらめっ、あっあんっあんっ」
「透耶の駄目は、いいってことだもんな。ここを擦り上げてやるとっ」
「ひああぁっい゛ぃっあっそこっだめっ……あっあうっひああっあ゛ひっあっらめっああああんっ」
ガクリと全身を震わせて透耶がとうとう抜かずに四回目の絶頂へと導かれるのに合わせて、鬼柳も透耶の中で絶頂をした。
「あああっひあっらめっ……あっああぁっああんっ! あひっあんっあっあっあっああああんっ!!」
「……ふっんっ」
 透耶の中で吐き出された精液が溢れ、透耶の尻から漏れるほどの量が注がれる。それを受けて透耶は絶頂感でもう一回絶頂をしてしまった。
 それはまるで吐き出された精液をもう一回搾り取るような動きで鬼柳自身を締めつけ、鬼柳は顔を歪ませてから甘い息を吐いた。
「すごい、だんだんと透耶の身体がエロくなりすぎて、何度やっても勃起しちまう……やべえ」
「も、むり……」
「分かってる……抜かずに五回じゃさすがに一旦休憩な」
 鬼柳がそう言って鬼柳自身が出ていくと、透耶のぽっかりと空いた穴からは、鬼柳の吐き出した精液がたっぷりとあふれ出る。
 そういう透耶の姿を見ていると、鬼柳はまた勃起できてしまうから本当に性欲は透耶相手ではどこまでもあふれ出てくる。
「……収まんねえなあ」
 鬼柳がそう言うけれど、透耶の方がもう限界だった。
 鬼柳はそんな透耶を抱え上げて風呂に入れ、綺麗にしてからベッドを変えて綺麗なベッドの方に寝かせる。
 そして一緒に布団に入り、透耶を抱きしめて寝る。
 ここ四日ほど、ほぼこんな状態であるが、透耶は特に鬼柳を咎めたりはしない。鬼柳がしたいようにしても透耶は何だかんだで付き合ってくれる。
 ちゃんと愛してくれるならば、透耶はその愛を受ける。
 今回の事件後はさらにそれがはっきりとしてきた。
「まあ、こうなるのが分かってるから、つけ込んでるんだけどな」
 透耶が事件後にこうなるのはいつものことで、自分が心配をかけた側である場合は、特にそうなる。
 鬼柳がたくさん求めるだけ求めても透耶はそれをしっかりと受け止めて、鬼柳の愛を得ようとする。それがまた鬼柳には可愛いと思う。
 呆れて嫌いになられたらどうしようという不安。同じ事を繰り返しているから、呆れられたらどうしよう、もう別れたいと言われたらどうしようと透耶は不安になるのだ。
 普通に一般的な人ではきっと、こんなに事件に巻き込まれてトラブルが多い人を避ける傾向がある。もちろん、それは自分が巻き込まれて死ぬ確率が上がるからで、人によっては仕方ないと言う。
 けれど鬼柳の思いは一向に変わらないし、もっと透耶を求めてしまう。
 こうやって自分の目の届かないところで死なれたら、きっと生き残ったとしても鬼柳はその時点で死んだも同然で、きっと死ぬ。
 それくらいに愛して慈しんでもなお、透耶は愛し足りない存在だった。
「ん……恭……すき」
 透耶がそう夢でも呟く。
 それがどれだけ愛しても、足りないけれど、こうやって返して貰うと透耶にはその分届いているのだと分かる。
「俺も好きだよ……透耶」
 透耶にキスをしてやると、透耶が寝ながらでも笑顔になる。
 なかなかロアルシナム国を出られないけれど、それはそれで、こうやってのんびりしているのもいいじゃないか。
 その間も慌てず騒がずに、二人で楽しめば良い。
 人生とは、そういうものだろう?


 とはいえ、スーパーブルームの花が咲き乱れた一週間、本当に二人は帰りのヘリが継ごうが付かず、そのままホテルに足止めされる羽目になった。
 王のヘリは王の親族が使っていて、都合が一週間先になってしまったのだ。
 結局、車でも渋滞を覚悟で移動する気はなく、ホテルで過ごすのが一番楽ではあった。
 けれど暇はさらに透耶と鬼柳のセックス時間を増やしてしまい、透耶はどんどんそれに填まってしまって、映画鑑賞もとうとうできなくなっていったのだった。
 つまり、甘い時間の方が勝ってしまうものである。

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