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外伝6-6
We can go 6
綾乃がコンサートで世界デビューを見事飾った日。
そこには綾乃がずっと頑張ってきた時期を知っている人たちが揃っていた。
透耶に鬼柳、エドワード、ヘンリー、ジョージ辺りは当然として、綾乃のピアノ仲間であり友人でもある高梨日向子もまたそこにいた。
日向子は綾乃とは大学で出会って、一緒に留学を早々に勝ち取り、一緒に海外で勉学に励んだ仲間でもある。その綾乃は留学早々に認められていたが、日向子は綾乃が留学を辞め、結婚する為に大学を辞めた後に綾乃と同じコンクールに翌年出場し、見事賞を獲得した人だった。
まだ大学生である彼女は、大学生をしながらも世界中のコンクールを荒らしまくるコンクール荒しと呼ばれる存在になっていた。
しかし、彼女はどのインタビューにも自分の実力はこんなものではないと断言していた。それは自分より実力がある綾乃が早々に離脱したことに原因がある。綾乃が居たら絶対に綾乃の方がコンクール荒らしになっていたはずだと言い切る自信があったのだ。
そんな日向子は、今回の綾乃のコンサートに綾乃から直々に招待された一人だった。
綾乃が結婚をすると電話で言った時、日向子は本当に綾乃を恨んでいた。そんな才能を持ちながら、何故一人の男に走ったあげく、襲って妊娠したなど馬鹿なことをしたものだ、そう言い切っていた。だから結婚式にはいかなかったし(留学関係で無理だったのもあるが)綾乃の男は認めなかった。
というより、相手が問題だった。そう相手はテレビに出て、笑顔を振りまき、妙なダンスを踊りながら歌うような、チャラチャラした(日向子にはそう見えていた)アイドルの男だったからだ。
そのチャラチャラした男の顔を見るたびに、笑顔を見るたびに、綾乃の努力を無駄にした最低最悪の男が憎くて仕方なかったのである。
それからもう一年と数ヶ月が過ぎた。
綾乃は主婦になって、ピアノはもう趣味程度にしかしていないと思っていた。
そんなところにいきなり綾乃がアメリカでコンサートを開くという情報が、その招待状でやってきた。日向子はそれが信じられずに何度も何度も会場に確認を入れてしまったくらいに驚いていた。
招待状は本物で、綾乃はある大企業家のバックアップを受けて世界デビューをするというのだ。しかも、その招待状と一緒に発売されて間もない綾乃のピアノのCDが同封されていた。
なにがなんだかわからない状態のまま、日向子はCDを聞いた。そしてかなりのショックを受けたのである。そこには留学当時の綾乃以上の綾乃の音が入っていたからだった。
綾乃はピアノを辞めていないどころか、それ以上の実力を付けて戻ってきた。それも大きな話題を持って、自分と同じ世界に殴り込みをかけてきたのだ。
日向子は興奮した。さすがに私が見込んだピアニスト。そう思った。
留学先から綾乃が消えて以来、日向子は一度も綾乃に会っていない。
それでも綾乃は日向子を、日向子が綾乃が忘れられないと思っているのと同じく忘れていなかったのだ。嬉しかったし、この挑戦するコンサートをどう納めるかも興味があった。
そしてその日、楽屋には行かずに、会場で静かに綾乃のピアノを聞いた。
生の音はCD以上に凄く、日向子には震えがくるほどのものだった。一曲目が終わったとたん、シーンとした会場が大きな拍手、しかもスタンディングオベーションで迎えられた。
日向子は心の中で思った。
やりやがった、本当にやりやがった。
見事すぎて、涙が出そうなほど感動した。
綾乃はこうでなくては、そう思った。
そんな日向子の近くに座っている二人の青年がなにやら言っている。
現在、ちょっとした休憩時間で綾乃は一旦舞台を去っている。
ざわざわとした中、その会話は聞こえてきた。
「いやーもう感動。綾乃ちゃん、見事過ぎて、俺泣きそう」
その感想は自分たちと同じ年くらいに見える日本人からの言葉だった。
綾乃ちゃんと呼ぶ人物であるから、当然綾乃のことをよく知っている人であろう。
しかも泣きそうなほど感動しているのは、日向子と同じ感想を持っている。この人物はかなり耳がいいらしい。あれに感動しない人はいないだろう。
「綾乃はやるときはやるヤツなんだ。驚くことはないだろう?」
そんな青年にもう一人の青年は、そう返していた。
この青年もまた綾乃のことをよく知っているようだ。そう綾乃はやる時はとことんやる人間なのだ。
「それはそうだけど、もうね、普段と違って威力が増しててさ。なんて綺麗なんだって思う」
普段と違って? 日向子はその言葉が引っかかった。
「そりゃ、透耶の前じゃほとんど毎日練習してただろうけど、こういうところで聞くのはまた違うんじゃないか?」
日向子は耳がダンボになった。
綾乃がこの日本人、透耶という人の前でよく練習をしていた? あれ、これってどっかで聞いたような……。
そしてある言葉を思い出す。綾乃が言っていた話だ。綾乃は学校以外でも練習に通っているところがあると言っていた。留学を勝ち取るような実力があるような綾乃が、わざわざ時間を作ってまで通っているところ。そこに綾乃が目指す人がいて、中学生の時から綾乃がピアノのことをいろいろ相談していた人で、綾乃は尊敬を込めて先生と呼んでいる人物である。
だがその先生についてのことは、あまり詳しく聞いたことはない。仲良くしてもらっていて、更にその人の家にあるピアノを練習に借りていて、時々チェックをしてもらっている。そして時には厳しい意見ももらい、その言葉を受けて綾乃は猛練習をしていたくらいだから影響力はかなりある。実際綾乃にはそうした欠点がいくつかあったのだが、その練習から帰ってくると必ずそれは見事に修正されていたから、相手もかなりの実力者だろうと思った。
けれど綾乃にその人はプロなのかと聞くと「違う」という言葉が即答で返ってくるのである。ではなんなんだ?と聞くと、滅多に人前で弾く人ではなくて、趣味でやってる程度だと言われてしまった。
そこまで綾乃が秘密にしているから少しは気になったのも事実。日向子自身が認める綾乃が崇拝してるかのように慕う相手である、当然気にならない方が変だ。
まさかその相手がこの人なのか?
そう思って振り返ると、その人たちの傍にあの嫌な男の顔があった。
綾乃の夫である、榎木津光琉だ。その人がそこにいた。
確かに綾乃のデビューであるから光琉がいないわけがないだろう。けれどその人たちの中にいながらもまったく見劣りしないような風貌でいたから、あのテレビで見ているようなチャラチャラした男のイメージがちょっとだけ崩れたのは意外だった。
周りでは綾乃の噂が飛び交っている。
「榎木津と言えば、あの榎木津家のことか。どうりでこの本番の強さといい度胸といい、あの家系のものだと納得させられる」
「ユリの再来、そんな気がするな。あのユリの子供は早々にこの世界を去ってしまったが、なんのことはない、子供もまた耳がよかったんだろうな」
そんな話が出ていて、日向子は思い出す。
そういえば榎木津光琉ってあの榎木津柚梨の息子だったんだっけ? あれ? そうなると兄の方とも綾乃は知り合っているはず。あの兄も一時期かなり話題になった人だ。確か名前は透耶だったなあ……ってあれ?
「綾乃ちゃん、ほんと決めるところ決めてくれるし、ポイントにはまるとこっちまでよし!決まった!ってなっちゃう」
「透耶は綾乃の熱狂的なファンだからなあ……」
透耶が熱弁すればするだけ、その隣の男は苦笑してそう返すのである。
「その綾乃は、透耶の熱狂的ファン、ほんとこの二人相思相愛過ぎるよね」
金髪の男性が砕けた言葉でそう言っている。あきれ果てたという感じである。
「その二人が6年かけて作り上げてきたんだから、世界がそれを認めないわけがない」
イギリス人紳士がそう言い切っていた。
「確かに、余興や練習を聞くのとは大きく違うな。綾乃はこういう舞台の上でこそ栄える存在だったんだな。この企画をして大正解だ。この後の騒動を考えると、笑いが止まらない」
そう言うのは彫刻のような正確な美しさを持つアメリカ人男性の言葉だった。
どうやら、ここにいる6人は綾乃のことをよく知っているらしい。
「綾乃の本気のピアノって凄く美しいのね。私、本当にファンになったわ」
美しい美貌を持った女性が目を輝かせている。
綾乃のことをよく知っているのは自分という気持ちだった日向子は、そこだけ世界が違うことを知った。この人たちは日向子が知らない、綾乃がまだ中学生だった頃からの知り合いであるということを知るのは、コンサートが大喝采で幕を閉じた後の楽屋でのことだった。
コンサートを無事終えた綾乃は、控え室で様々な人たちと会話をしていた。みんな興奮したように絶賛していて、日向子は一応招待して貰ったお礼とあの感動の感想を言おうとしていたのだが、入れる余地はなかった。
そうしていると綾乃の方が日向子に気付いた。
「日向子!」
綾乃は嬉しそうに微笑んだあと、日向子の傍まで走り寄ってきて抱きついたのだ。
「来てくれてありがとう! 久しぶり!」
日向子はそんな綾乃を抱きしめて。
「やってくれたわね! もうあんたはいっつも非常識なんだから!」
「酷いー、これでもあたしは一応常識人よ。それに留学からこっち逢いにもきてくれない酷い人はどこのどいつよ」
そう言い合って顔を見合わせると、二人で手を繋いで顔をつきあわせて笑った。
「……あたしはあんたはピアノを辞めたんだと思ってた。やってても趣味程度とかそんなことになってるんじゃないかって思ってた」
日向子が笑いを納めてそう真剣に言うと綾乃も真剣な顔をして言うのだ。
「それが、そうは問屋が卸さないのよ。あたしだって復帰する気持ちはあったわ。でもそれはまだまだ先の話だって思ってたのに、こんなことになっちゃった」
「一体何がどうして?」
日向子がそう聞くと綾乃は苦笑して説明してくれた。
「ほら、あたしがいつも言ってた先生の話覚えてる?」
「ああ、うん。それで?」
「あの先生の周りにはそりゃもう凄い人が集まってるわけよ。その人たちのせいでこんな大げさなことに発展したわけ。無駄に権力有ると実行力もあるわけで、あたしが知らない間に壮大な計画が進んでたわけよ」
「……そうなの」
なんだか凄いんだか凄くないんだか、綾乃の感覚がおかしいのか。話が軽い。
「それにね、光琉くんが言ってくれた。あたしがピアノを辞めることはないって」
「……」
あの男の話が出ると日向子の顔が引きつる。綾乃が幸せそうに言うほど、あの男が憎くなるのだ。
「それがさー酷いんだよ、あたしがこんな目にあってるのに爆笑したあげく、こんなことした人たちの方の味方だって言うんだもん」
「……へ?」
なんだって? それじゃ最終的に綾乃をこの舞台に引きずり出したのは、あの男だっていうのか。
「スタイリストまで呼んじゃって、衣装を選ぶわ、化粧品は揃えるわ、宝石選ぶわ。向こうの話に乗りまくるわで、呆れちゃったわよ」
……綾乃、それ、惚気じゃね?
全面的にバックアップに入るあの男の神経はかなり図太いらしい。
「それでいいの、綾乃?」
「やーもうね。準備万端、発車オーライまでされたら、やるしかないでしょ」
その言葉に日向子は吹き出して笑った。変わってない、綾乃は全然変わってない。度胸一発で本番一発で本当の実力以上のものを出してきたこともそうだが、この図太さが綾乃の本性だ。本人はさほど満足していないところも、まだまだこんなもんじゃないと思っているところもそうだ。
この友人は本当に変わっていない。
「あ、日向子に紹介するの初めてだから紹介するね。光琉くーん」
綾乃はそう自分の旦那を呼んでくる。光琉は控え室の隅の方でさっき日向子が見た人たちと話していたようだが、すぐにこっちにきた。
「これが旦那さまの光琉くん。で、こっち高梨日向子。あたしの留学仲間で友人よ」
目の前に立ったあの男は、テレビで見るようなチャラチャラした男ではなかった。確かに容姿は抜群にいいしスタイルだっていい。見た目は合格点ばかりだった。テレビではそれなりにアイドルをしているが今はそうではなく、ちゃんと綾乃の夫という立場としている。意外にしっかりしているようだ。
「初めまして、綾乃の旦那です」
「どうも初めまして、高梨日向子です」
日向子がそう言うと、光琉はあれ?と言う顔をして日向子を見て言った。
「ああ、綾乃がよく言ってた、凄いピアノ弾く人か」
「うんうんそうそう。びっくりするくらいの音出す人。あたしとか先生とはまた違った感じで、度迫力で人を驚かすような人って言えばわかるかな?」
「なるほど、そういう音か。今度聞いてみたいな」
光琉は日向子の音の方に興味を示した。
「光琉くんの耳って肥えてるからなあ。でもきっと気に入ると思うよ。先生もすっごく誉めてたし」
綾乃が気楽に言って、光琉は苦笑しただけでそれについては反論しなかった。
そこで日向子はハッとする。この榎木津光琉はあの榎木津柚梨の息子だ。更に兄であった透耶という人物もまた特殊な音を出す人物である。そんな環境で育った彼の耳はもう極上の環境でしか反応しない。
更に妻である綾乃もまたその特殊な音を出す人物である。
そりゃ耳が肥えてて当たり前であるし、ピアノに関しての光琉の耳は特別仕様なのだ。
綾乃がその間にスタッフに呼ばれていってしまうと日向子は光琉と二人になってしまった。
どうすればいいのか迷っていると光琉の方から話しかけてきた。
「高梨さんが俺のこと気に入らないのは分かるけど、綾乃とは友達でいてやってくれ」
そう言うのである。
「え?」
「高梨さんが結婚式に来てくれなかったことや、東京にいるのに訪ねてもきてくれないって綾乃残念がってた。確かに綾乃の方からこの世界を下りたけど、ずっと理解してくれていると思ってた相手から何の音沙汰もないってのは綾乃でも辛かったはずだ」
静かに話す光琉の話はとてもよく耳に入ってきた。
「綾乃はずっと躊躇ってた。連絡してもいいのか、それとももう友達じゃないかもしれないから駄目かもしれないとか。高梨さんが世界で活躍するのを見るたびに、綾乃から連絡することはどんどん無理な状況だったしな」
綾乃がそんな風に思ってたとは日向子は思ってなかった。綾乃は主婦になることを選び、この世界を捨てていってしまった人だったし、日向子の方にも意地があったから連絡は取らずにきた。
それはこの男と幸せになって暢気に暮らしている綾乃が許せなかったからだ。
ただの意地と、そして才能を放棄した綾乃への失望。それだけでこの二年で一回の電話しかしなかった。そのときの電話は、日向子が綾乃を責めるものだった、おめでとうも言わす、ただ責めるだけ。
だが綾乃は才能を捨てたわけではなかった。その間も練習を重ねていて、この世界に舞い戻る計画までもたてていた。もしかしたら、日向子の前にどんと出てきて、にっこり笑って帰ってきたよと言おうとしていたのかもしれない。
「高梨さんが世界で活躍するたびに、綾乃は興奮しては「さすが日向子!」って自慢するんだ。「あたしの親友だものこのくらい朝飯前よね」って凄く綺麗な笑顔で言うんだ」
それを聞いたら、日向子は今まで自分はなんて些細なことにこだわっていたのだろうかと思った。世界が変わったって綾乃は親友だった。あの存在自体が日向子には奇跡だったし、尊敬する部分もあった。
邪険にしたのに、綾乃はひとときだって日向子を忘れてはいなかったのだ。
「それから、よくインタビューで高梨さんがコンクール荒しになってたのは、綾乃の方だって言ってるけど、あれはマズイ」
光琉は今度はこそっとそう言った。
なんだ?と思っていると、ヒソヒソ声で光琉は続ける。
「いやーあれ見た瞬間、綾乃のこめかみに怒りマークがいくつも出てたんだよ。内心、「ふざんけんな、今コンクール荒らし回ってる日向子に言われたくないわ!」って思ってるから、いくら高梨さんが綾乃を挑発してたとしても、あれはやり過ぎ」
そう言われてみれば、あれは綾乃に対する挑発だったのかもしれない。だが綾乃の性格からしてそれは怒りになるようだ。身近にいた人たちはさぞかし怖かっただろう。綾乃が怒るとかなり怖いのだ。
なんだかんだで、この光琉という旦那は綾乃のことをよく知っているようだ。日向子が知らない綾乃のことも知っている人なのだ。
思わず日向子はぷっと吹き出して笑っていた。
なんのことはない、綾乃を理解しているのは、自分だけはないのだ。この男だって綾乃と出会ってからずっと綾乃を見てきた人だったのだ。だからピアノを辞めることはないといい、妙な計画にも積極的に乗っていた。その訳は、日向子と変わらない、綾乃にはピアノを世界でやってほしいという気持ち、それだけのことだった。
「ごめんなさいね。それから結婚おめでとうございます。綾乃とこれからも仲良くして素敵な家庭を築いてください」
日向子の雰囲気が柔らかくなって、光琉はちょっと目を見張る。
「ああ、それは任せとけ。絶対に幸せにしてみせるから」
そうしてうち解けたところで、綾乃が思い出しかのように日向子に叫んだ。
「日向子ー! あんたあのインタビューなんなのよー! あたしを冬眠する前に街に下りて民家襲うような凶暴なヒグマみたいな言い方してー!」
………………。
一瞬で控え室がしーんとなった。その次にはその意味を理解しているであろう人たちが、お腹を抱えて笑い転げたのである。
綾乃、その例え勘弁してよ! あんたの妙な例え話はいっつも可笑しいんだから!
そう思いながら日向子も一緒に爆笑の渦に入っていた。
その例えを出した綾乃は、なぜみんなが笑っているのか分からずにキョトンとしているし、たぶんたぶんだけど、その現象の発祥源であろう人物もキョトンとしている。
「……なんか可笑しいこと言った?」
綾乃がその透耶という人物に首を傾げて問いかけるとその人も首を傾げている。
「いや、おかしくはないと思うんだけど?」
そうか、綾乃はあの透耶という人物の影響をもろに受けているのだ。
綾乃のあの性格を作り上げてきた人は、綾乃のピアノのことまでも丸ごと含めて大切に育ててくれた人なのだ。
それが光琉の兄であるということにはなんだか本当に納得してしまった。
綾乃は変わらない世界でちゃんと力を蓄えて戻ってきた。
これからだって世界で一緒に戦っていける仲間なのだ。
そう確信した日向子は、二年の月日悩んだり鬱屈していたものを、この笑いで全部吹き飛ばしていた。 それはとてもすっきりしたもので、後に残るのは、楽しいという気持ちだけであった。
その後、日向子は久々に再会した綾乃と深夜までホテルで話をした。もちろん旦那である光琉も一緒で、綾乃の昔の話だったり、留学中の話だったり、結婚などの秘話なども含まれていて、日向子は親しくなった光琉と二人、焦ったりする綾乃をからかったりして遊んだ。
二人の子供たちも見せて貰ったし、これからの綾乃の予定も聞いた。
散々話して笑って、日向子は満足してホテルを後にした。
今度は東京で会おう。そう確かな約束をして。
この友情はずっと続いていく。二人が世界で活躍して忙しくなったってそれは変わらない。
ずっとずっと続いていく確かなものを日向子は手に入れて、やる気が今まで以上に出てしまった。
「よーし、あたしも負けない!」
そう声に出して日向子は自分も幸せを掴んで見せると、アメリカの夜空の下で決意したのだった。
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