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外伝5-4
日常の中の非日常
仕事に出かけている時、瞼を閉じればいつでも透耶の顔を思い出すことになる。
だが、今は違う。目の前に動いている本物がいるのだ。
透耶はやっと三日目にして普通の生活に戻ることが出来たので、あちこちと連絡を取ったり、仕事ではないが、ネタとして新聞を読んだりと、鬼柳がいない間に起こっているであろう日常生活に戻って言っていた。
その鬼柳も洗濯物をしたり、料理のレシピを新たに作ったりして、休暇である日常を楽しんでいた。
家の出来事は帰ってきた次の日に聞いていたので、今度は問題点なども対策しておく。
透耶がピアノの練習に入っているようで音がよく聞こえてくる。鬼柳は地下での作業を中断させて荷物を持ってリビングにあがってくる。
荷物を大量に持ってきてもピアノを弾いている時の透耶は気にしない。
その音を聞きながら鬼柳は、風景に撮った写真の整理を始めた。
砂漠の物が多いが、今回はちょっとした三日ほどの休みに地中海まで出て写真を撮ってきた。透耶に見せたかったのもあった。こういう風景写真は透耶が喜んでくれるからだ。
そうしているとピアノの練習時間が強制的に終わった。タイマーだ。最近はタイマーの音は聞こえるようで、それで練習時間を決めているらしい。
当初に見られた何にも気付かないほどの練習は、ピアノを再度触り始めたばかりで透耶も興奮していたのだろうと思われる現象だったのだろう。現に今は自分で制御も出来るようになった。
そうあれから四年経っているのだから、みんな進歩はしている。
鬼柳が気付くと透耶がピアノを片付けて、ソファに座っていた。
見ていいのに、許可を貰わないと触ってはいけないと思っているらしく、じっと鬼柳が気付くのを待っていたらしい。
「いいぞ、そっちからアルバムに入れて」
鬼柳がそう言うと透耶はわっと喜んで、手伝いをしながら写真を一枚一枚眺めてアルバムに仕舞っていく。
鬼柳はアルバムに仕舞う作業はあまりやらないが、透耶は見ながらでも順番に片付けてくれるのでなんだかこれも恒例化している作業の流れになってしまっていた。
それでもこれは日常の一つの出来事に過ぎない。
「ねえ、エーゲ海とかやっぱ青が綺麗なんでしょ?」
透耶は青が好きだからそう尋ねる。鬼柳は目を閉じて思い出し、透耶が好きそうなところではあるなと思った。
「まあ、綺麗だな。しかし治安は悪いから透耶駄目なぁ」
「えー……やっぱ駄目か」
別に今すぐに行きたいわけではないが、沖縄のように綺麗な海だったらやはり行ってみたくなるのは仕方ないだろう。
「そうだな、来年また沖縄に行ってみるか」
鬼柳がそう話しを向けると透耶の顔がぱっと明るく変わる。
「沖縄!?」
嬉しさが出てくるのが早いのは、昔世話になった人たちのことを思い出しているからだ。前にも一度数日だけ沖縄に行ったのだが、あの時は屋敷には泊ることが出来なかったので十分ではなかった。
透耶が沖縄に行きたい理由は、青い海や青い空が見たいのもあるけれど、なにより沖縄にあるエドワードの屋敷に泊って、そのにいる従業員たちと話すことが目的に含まれるのだ。
「暖かくなってからの方がいいだろうし、予定組むにもそっちの方がいいだろうし」
鬼柳には何か予定を組む何かがあるようでそう頭で考えながら言っている。こういう時の鬼柳は絶対に約束を忘れないで計画を実行してくれる。
あの沖縄にまた行けるのかと思うと透耶はそれだけで頬が緩んでしまう。
「うん、うん、いいね」
「だな」
鬼柳はそう決めるとまた写真を整理する作業に戻る。透耶は約束がされて透耶も満足して一緒に作業する。
時々透耶が気になる写真を見て鬼柳に問い、それに鬼柳が答えて旅の話しを聞かせてくれる。そんな流れで作業が進んでいく。
片付けが終わると鬼柳が透耶の膝に頭を乗せてゆっくりと昼寝する。透耶はそのままの体勢で鬼柳の頭を撫でながら自分も寝てしまう。
そんな静かな時間が流れる。
だが、透耶が次に気がつくと、いつの間にかベッドに運ばれているのだ。
「ん? あれ?」
透耶がそう言って目を覚ますと、隣に鬼柳が寝ている。
どうやら昼寝が本格的になって、ベッドまで運んでくれたらしい。
昨日夜更かしもしたし、それで眠くなっているのだろうか?
透耶はそう思ってゆっくりと身体を動かす。鬼柳が寝ているから起こさないように動いているんだが、しっかりと腰を掴んでいる手がどうも起きている臭いと思えてきた。
「恭……起きてるんでしょ……」
ぎゅっと握ってくる手がその証拠だ。起きているのがバレた鬼柳は透耶を抱き寄せて、項を歯で甘噛みしてきたのだ。
「うひゃ……って、なに……うぁ」
噛みついたままだったところを舌で舐められて透耶はびくっと身体を震わした。
「透耶、ここ、弱いよな」
鬼柳がそう言ってさらに項にキスをして舐めてくる。
「……んん……ん……んぅ」
だんだん丸くなる身体の内側に鬼柳の手が入り込んで胸を撫でてくる。
その手が服の中に入り込んで、胸の突起に到達するとやわやわと指で揉み始めるのだ。
「あっ……んん」
項を舐めていた舌が首筋をすすっと舐めていく。耳の後ろまで舐めて中も舐めていく。
クチャクチャとした音が耳に響いてきていやらしい雰囲気を作り上げるには十分だった。
「う……ん……あぁ……」
服の中に入った手が乳首をつまみ上げて指の腹で擦ってくる。ころころと転がすように撫でられてしまうとそれは立ち上がってしまってさらに鬼柳の指が摘みやすくなってしまう。
その乳首を摘んでぎゅっと引っ張ると透耶が声をあげる。
「ふぅ……っ……ん……」
だんだんその気になってくる。ズボンの中の物が反応し出す。それに鬼柳のもう一つの手がすすっとズボンのボタンを外し、半分下着まで下ろして透耶自身を取り出した。それはすでに半分立ち上がっていて少し汁も出ている。
鬼柳はそれを握って先を撫でてくる。
「んあ……ぁぁ……っ」
急激な刺激に透耶は身体を反らすも鬼柳が後ろにいるからより鬼柳に密着する形になってしまう。乳首を摘んだまま引っ張られ、透耶自身も握られて先を撫でられると身体がびくびくと震えてしまう。
「だめぇ……っああっ!!」
鬼柳は自分の腕の中で悶える透耶の服をだんだんと脱がしていく。
そして透耶を仰向けにすると、鬼柳は透耶の乳首に吸い付いて舌でなめ回す。
透耶自身を扱きながらももう片方の手は後ろの穴に入っている。溢れた液が穴まで達していたからぬめりは足りていたようで、すんなりと指を飲み込む。
「だ……めぇ……あん……んぁ……ぁっ」
「気持ちいいの間違いだろ?」
鬼柳がそう確認してくる。確かにそうだし、間違いではないが透耶は恥ずかしくて首を違うと振ってくる。しかしそれは鬼柳をやる気にさせるだけにしかならないのを透耶は知らない。
乳首を噛んで引っ張ったり、舌でなめ回し転がすと透耶の身体が浮き上がってくる。それはまるでもっとと言っているような感じになってしまっているのを鬼柳は喜んでいる。
乳首と透耶自身と後ろの穴を三つ攻められたら誰でもおかしくなるだろう。
「んふ……あ……あぁ……もっと……ん……う」
「もっと? どこを?」
鬼柳がそう問うと、朦朧とした透耶が喘ぎ声を出しながら叫んだ。
「……ん、もっと噛んで舐めて……突いて!!」
開いていた足を鬼柳の身体に絡ませて引き寄せる。鬼柳はとっくに準備していたのでそそくさと己の熱いものを透耶の穴の中へと押し込んだ。
「……あぁぁぁっ!!」
熱い物が入ってくる。それがとても待ち望んでいたものだったので透耶はぎゅっと締め付けるようにしてしまう。なかなか入りにくくなった中に鬼柳は慣れたように器用に先を進めていく。
ぎゅっと締め付けてくるものが気持ちよくて達きそうになるのを我慢しながら鬼柳はなんとか中へ納めた。そして透耶の腰を掴んで一気に動き出す。我慢出来なくなっているのは鬼柳も同じだったのだ。
「すごい……」
「……なか……あついよぉっ」
擦られて熱く太いものが出入りを繰り返すのが気持ちがいい。素直になると透耶はそんな言葉を口にすることだってある。
「透耶、エロイ……」
「んあ……中が……いっぱい……ぅん……あん」
透耶はしっかりと鬼柳の身体に足を絡みつけて奥まで誘う。
「んぅ……」
唇を重ねられて貪られた。透耶は素直に舌を絡ませる。二人の間に挟まれた透耶自身は擦られて白い液をはき出している。
ズンズンと中を掻き回されて透耶は鬼柳の身体にしがみついているだけであとは喘ぎ声を上げるだけになってしまった。
「ふあ……あぁ……!」
「くっ……!」
中がぎゅっとして透耶が達してしまうと鬼柳もつられ、締め付けられた透耶の中で達してしまう。
中に熱いものがどんどんと注ぎ込まれて透耶はその衝撃に何度も身体を震わせた。
「あ……つい……っ」
「……つられた……だが、まだだ」
鬼柳はすぐに復活すると挿入を繰り返してくる。まだ達したままで身体が絶頂に達している透耶は、それ以上の衝撃に身体をまた震わせた。
またあの感覚がくると思うと嬉しくなる。
「んぁ……んん……っ」
「透耶の中気持ちよすぎてどうにかなりそう……」
鬼柳がそんなことを呟いたので透耶は真っ赤な顔をして言うのだった。
「……ばか……」
結局Hしない日はないのではないかと思う。
鬼柳が仕事に出かける前になるとこういう日が頻繁に増えたりもする。
透耶の仕事関連でそれが少なかったりはするが、透耶の方も予定をなんとかずらしてでも鬼柳と一緒に居ようとするので結局、こういう日々を送ることが多くなる。
ただ、こういう日々を送る前提として必要なのは、誰も来客がないことである。
普段は入れ替わり立ち替わり誰かがやってきては騒動を起こしていくパターンなので、実はこういう日々を送ったのは久々だったと言える。
そうして疲れて帰ってきた鬼柳は誰にも邪魔をされない日々という貴重な休暇を手に入れ、それを満足に堪能して、また仕事に戻っていったのだった。
だが、後に残された透耶は、ちょっとお疲れであるのは言うまでもないことであろう。
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