Switch101
92
マヨヒガ
世の中には何でも出来る人が存在するとは思っていたけど、まさか、自分の目の前に現れるとは思ってもみなかった。
服と言えば、新しい服が出てくるし、お腹が空いたと思ったら極上の食事が出てくるし。
絶対に逃がさないと言ったら、本当に逃がしてくれないし。
その男は、顔はいいけど口調は乱暴。
でも、俺には優しくて甘くしてくれてる気がする。
まだ怖い事はあるけれど、言葉が微妙に通じてなくて困るんだけど。
扱いは、花を扱うように優しい。
俺の顔を見ると、いつも笑顔になってキスをしてくる。
これもどうだろうとは思うんだけど、段々とそれに慣れてきている自分がいた。
たった数週間しか経ってないのに、一緒にいる事が苦痛じゃないんだ。
いろいろ嫌な事もあるけれど、逃げられないのもあるけれど、生活して行くのに困らないというのも原因の一つかもしれない。
これじゃダメだと思いながら、それに慣らされている気がする。
「透耶」
「え?はい」
考え事に熱中していたら、鬼柳さんと目が合っていた。
「どうした? 眉間に皺を寄せて」
あれ? 皺寄ってたっけ?
なんて考えていると、スッと眉間にキスをされてしまった。
ほらこうやってやってくるから困る。
抵抗なんてしてる暇もないんだもん。
鬼柳さんを睨み付けるように見ると、鬼柳さんが。
「何考えてた?」
そう聞いてきた。
じっと真剣に見つめられてドキリとしてしまう。
その目は本当に真剣で、一言も俺の言葉を聞き逃さないという風に見える。
「な、何も…。えっと小説の事をちょっと…」
俺はそう答えた。
鬼柳さんの事を考えていたなんて言ったら、絶対誤解されてしまうから誤魔化した。
それだけは学習しているつもりだった。
「そうか?」
まだ疑っているような鬼柳さん。
「う、うん」
俺は笑みを浮かべて何とか誤魔化そうとした。
「ま、いいけど。俺の顔見てて何か浮かんだのか?」
ニヤリとして鬼柳さんが指摘してきた。
考え事をしている時、どうやら俺は鬼柳さんの顔をじっとみていたみたいだ。
しまった。
「そんなに見つめられたら…」
ヤバイ、何か誤解された。
でも、鬼柳さんの顔を見ていたのは事実であって。
ああ!どう説明していいのか解らないよ!
「もうセックスしたくなったのか? 仕方ないな」
はい?
待て!なんでそうなるわけ?!
「そんな事思ってないよ!」
俺は慌ててそれを否定したんだけど。
もう無理っぽい。
妄想入った鬼柳さんは止められなかった。
なんでいつもこうなっちゃうのかなぁ…。
はあ…。
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