Switch101
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洗濯日和
天気のいい日。
恭ははりきって洗濯をする。
大抵、乾燥器を使ってやっているけど。
「やっぱり、太陽に当てないとな」
とか言ってシーツを大量に干している。
ちょうど庭があるから、そこに紐を張ってシーツを干して行く。
こういう大量にシーツを干した所なんか、テレビのCMとかでしか見た事がないから、俺はちょっと面 白いと思った。
恭が敷いてくれたシートに寝転がって、シーツが風に揺れるのを見ていた。
「こんなのが面白いのか?」
恭が不思議そうに俺を上から見下ろして言った。
俺は笑って頷いた。
「見た事ないから面白いよ」
俺がそう言うと、恭はシートに座った。
何故か、クシャクシャと頭を撫でられてしまった。
よく解らないや。
そして恭は、俺の隣に寝転がった。
そのまま二人で空を見て寝転がっていた。
恭が何も言わなくなったので、隣を見ると、恭が本気で寝ている。
疲れてるのかな?
俺はそう思いながら、起き上がって恭の顔を覗き込んだ。
綺麗なパーツで整った顔。
思わず触れそうになって手を引っ込めた。
折角寝ているのだから、邪魔しちゃいけない。
でも見るくらいなら大丈夫だよね。
最近、俺が忙し過ぎて、マトモに顔見てなかった気がする。
ちょっとでも顔眺めてたら、誘ったとか言ってキスするし、恥ずかしい事ばかり言うし、寝顔なんてここ最近全然見てない。
夜は俺の方が先に寝ちゃうし、朝は起きたらいないし。
まったくちゃんと睡眠取ってるのか疑っちゃうよ。
そうしてじっと恭の顔を見てたんだけど、俺も恭の事は言えなくなってきた。
そう、無性にキスしたくなってしまった。
どうしよう…。
ちらりと恭の顔を見ては逸らす。
それを繰り返して、とうとう我慢が出来なくなってしまった。
ちょっとなら、解らないよね…。
などと、訳の解らない言い訳をしてしまう。
じっと恭の顔を見て、それからバレないように、本当に触れるだけのキスをして離れた。
大丈夫、起きてない。
と、安心したけど、甘かった…。
離れた時に恭の顔を見たら、目がバッチリと開いているんだ。
俺は硬直してしまう。
しかも恭はニヤニヤとしてるし…。
「い…いつから起きてた…?」
恐る恐るそう尋ねると。
「透耶が俺にキスしようかどうしようかって悩んでいる時から」
ニッコリ笑ってそう言われて、俺は卒倒しそうだった。
…なんだとぉ?!
知ってて狸寝入りしてたんだ!
あー、ちくしょー!
怒りたいんだけど、それより恥ずかしさが勝ってしまって、絶対顔は真っ赤になっている。
オロオロしてしまった俺を恭は笑って見ている。
う、うう…。
穴があったら入りたいし、入って埋めてもらいたい。
「透耶」
呼ばれて恭を見ると、腕を上げて、ここへ来いとやっている。
取り合えず、そこへ行けば顔を直接みなくていいと思って、それに甘えた。
少し身体を動かしただけで、腰に手を回されて抱き寄せられた。
で、俺は恭の胸に収まった。
一瞬、何かされるかもと思ったけど、それ以上何もなくて、拍子抜けしてしまう。
何もしないんだ。
いつもなら、キスの一つでもしてきそうなのに。
と、そこまで考えて、俺はハッとした。
俺、もしかして、それを期待してる?
そう思ってしまって、ますます頭が混乱してしまう。
俺も相当Hなのかも…。
せっかくの洗濯日より。
天気もよくて、気持ちいい風が吹いているのに。
俺ってば、何エロい事考えてるんだろう?
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