raging inferno

9

 葵依が九州に移動をしたその日、橙李のアパートが焼失した。
 幸い橙李は引っ越した後で、荷物を全部持ち出していたけれど、アパートの住人は焼け出された。
 やはり、葵依の時と同じ、隣人の家からの失火であり、隣人は亡くなっていた。
 どうやら殺されていたらしく、失火前から死んでいたことがニュースになっていた。
「あの人、死んだのか……」
 橙李の家の隣に住んでいたのは、あの時葵依が入り込んで抜け道に使った家だった。
 こんな偶然があるのかと、葵依が驚いたままで食堂でニュースを見ていると、蓮がすぐに葵依を連れて車に乗せた。
「まだ二人の関連性には気付いてないだろうが、葵依が東京を抜け出し、橙李のところへ避難するのを誰かが嗅ぎ取って先手を打とうとしたんだろう」
「でも引っ越していたことくらい、分かるんじゃ?」
「いや、荷物は最低限しか持ち出してない。家具は置いて行ったし、要らない服も大家が処分してくれるというから、そのままだった。だからまだ住んでいると認識してもおかしくはない状態に維持しておいたが……」
 どうやらロシア人が引っかかると思って罠を仕掛けていたのに、帰っている様子がないことなどを隣人から聞き出して、隣人が何かマズいことを覚えているといけないので殺したらしいのだ。
「ロシア人は見なかったらしいが、女が隣から出てきたあとにアパートが燃えたそうだ」
 部屋中に灯油を撒いていたせいもあり、女性が出た時には既に燃え広がっていてとてもじゃないが消せる炎ではなかったらしい。木造アパートなので速攻に燃え広がってしまったという。
「相手はどうやら、二人が持っている何かを探しているらしいが、それを持ち出せない場合は燃やして処分をしたいのだろう。ついでに二人を殺してもいいとさえ思っている」
 何があれば葵依や橙李が殺されなければいけないのかが分からない。
 それさえ分かれば、この事態もきっと収まるはずなのに、それだけが分からない。
 そんな時、葵依の弁護士からの連絡があり、ロシア人が葵依の戸籍を閲覧したらしいと連絡があった。
「え、俺の戸籍を見られた?」
『ええ、取り寄せしたのは弁護士なのですが、それを一緒に閲覧したのがロシア人らしくて……どうやらあなたたちの両親の戸籍を見たかったみたいで、遡りで亜蘭さんの戸籍も見ていたらしく……でも亜蘭さんはフランスの方ですよね?』
「ええ、そうです。でもフランスにいたときの個人的な戸籍は、フランスにあるかと……父は養子だったし……」
『そうですか、養子に出した方が探しているのかもしれませんね……それから亜蘭さんのお墓なんですが。住職が最近になって掃除中に気付いたのですが、亜蘭さんのお墓が一度開けられた形跡があるらしく……ただお骨は取られてはいないので……何故開けられたのかが分からないと……』 
突如に訪れたおかしな出来事が一気に襲ってきて、葵依は身体を振るわせる。
「……そうですか、取られていないなら……気にするだけ損かもしれないですね……気味が悪いけど……」
 そう言い、葵依は弁護士に自分と関わっていることをあまり外に言わない方がいいと告げる。不審火が葵依の家の隣で起きていることは弁護士も知っているし、今朝は橙李の自宅の隣から失火のニュースも弁護士は知っている。
『その戸籍を見たロシア人と同じかどうか分かりませんが……私の周りを彷徨いているんです……。もう手を引いていいですか……』
 どうやら弁護士はそれを告げるために電話を掛けてくれたらしい。
「僕も意味が分からないんです、ですから……警察に駆け込んでもいいので……逃げてください……」
 もう弁護士のところまでロシア人が辿り着いている。
 多分名刺を漁って見つけたのかもしれない。
 ここのところ警察ばかりに用事で行っていたから、一緒に警察に行った弁護士も調べているのかもしれない。
 逃げろとしか言えず、葵依が困っているとその電話を蓮が受け継いだ。
「いいかよく聞け、この電話は切るな。いいか、そのまま携帯で警察を呼べ。不審なロシア人に追われていると言っていい。それで事務所の重要な書類を燃えないところに移せ。喚くな、警察は不審者ごときじゃきっとあしらって終わると思うが、ここから重要だから、よく聞け。葵依の書類を分かりやすいところに配置し、見えやすいように置いておけ。それから丸一日事務所を開けろ。それで奴らは欲しいものを手に入れて満足する。それから警察に盗難届を出せ。あとは葵依とは連絡も付かないこと、火事のことなども警察に喋っていい」
 蓮がそう指示をすると弁護士はその通りにして、まず警察を呼んで警察が付いたところで受話器はそのままで不審者がいると告げる。
 警察は周りを見てくれているけれど、弁護士は混乱しているので家に着くまで警察が付き添ってくれることになった。
 言われた通りに弁護士は葵依の書類を見えるところに片付けてから弁護士事務所を後にしたらしい。
 電話は事務所を出るときに切られてしまったけれど、弁護士には無事に家に着いたら一回十回コールを葵依にかけるように告げた。
 そのコールは電話を切ってから一時間後に鳴ったので弁護士は無事に家に帰り着いたようだった。
 そして葵依とは連絡が付かないという話にしたいので、葵依は携帯電話のSIMカードを抜いてた。
 もちろん、携帯自体は初期化した。データは全部消し、本当に連絡が付かないようにした。
 葵依が生きるためには、協力が必要ではあるが、このまま警察に行ってもきっと偶然が重なった気のせいだと言われるに決まっている。
 謎のロシア人が追いかけて殺そうとしているらしいと言われて、普通に頭がおかしいと思われるくらいで信じてはくれない。
 身を守るために居所を消すしかない。
 そうしないと葵依と繋がりのある人が標的になる。
 幸い親しい人はいなかったけれど、弁護士の存在まで嗅ぎつけられ、橙李のアパートまで辿り着いたなら、葵依の行く先々でロシア人が待っているはずだ。
 そうならないようにこっちから故意に消えることで、警察が事件性を疑ってくれるように仕向けるのも狙いだという。
「警察が信じるのは、事実だけだ。葵依が消えて、弁護士事務所で葵依の書類が盗まれ、自宅が燃えてなくなり、ロシア人を見たと弁護士が言うなら、警察もそれは偶然とは考えない。だが、今の段階ではまだ何も起こっていないし、ロシア人と葵依がまだ繋がってない。繋げるためには葵依の書類をロシア人に盗ませることが先決だ。だが、燃やされるわけにはいかないし、やっと尾っぽを出しそうなロシア人が忍び込んでくれるなら、盗ませてやろう。それでこっちとしてはアジトを知れる」
 そう蓮が言うので、葵依は納得した。
「なるほど、そうすれば窃盗という事件は成立するか。ロシア人も罠に掛けることは俺も考えたし、これなら調べていけば俺らの周りでおかしいことが起こっていると誰でもはっきりと認識ができる」
 警察に動いて貰うためには事件の成立が必要である。更にロシア人を釣るためにこんな安全な罠があるのだから使わない手はない。
 幸いロシア人を調べるために、蓮の部下が数人東京に残っているので、その人たちと連携をした。
 すぐに九州を南下して、蓮の隠れ場所であるホテルに付く。
 そこは普通にホテルであるが、最上階だけは蓮が上手く偽装して借りているところだ。
 その部屋に通されてから、葵依は言った。
「俺がここに入って大丈夫か? 確かに俺はお前しか頼れる人がいない。けれど、お前は今九州で暇をしているわけじゃないだろ?」
 ただでさえ、ヤクザな商売だ。暇でここに住んでいるわけでもないだろうし、こういう中心部に一般人が入ってもいいのかという質問だったが、蓮は言う。
「駄目なら連れて来ないから気にするな、ここは個人的な場所だ」
 蓮がそう言うので葵依は遠慮せずに部屋に入った。
 そんな葵依の様子に、蓮の周りの部下は少しだけ微笑んでいた。
 葵依は蓮が何者なのかはっきりと理解しているわけではないけれど、その立場が微妙な位置にいることは理解しているらしい。そして秘密を知ってはいけないなら部屋を別にして欲しいという気持ちさえ見せた。
 これが蓮に選ばれたと勘違いした男なり女だと、こういう気遣いは見せないどころか自分が偉くなった気で部下を見下してくるから、部下としては蓮には人を選んで欲しいと思っていた。
 できれば、自分たちが少しでも相手を敬えるくらいの人でないと、守る気もなくなるというものだ。
 だが葵依はちゃんと遠慮をしたし、部下には気を遣った。
 葵依の強さを見た部下が葵依に格闘技を教えて貰おうと頼むと、その場で実践をしてくれる。
 奥義でもなく、榧流の基本くらいなら教えるのは別に構わないのだという。
「基礎みたいなのはいいんだよ。総合格闘技みたいなもんだし。でも榧流ってのは、その先にあるわけ。そこに届くまで長い人で十年かかってる。俺はたまたま体格が恵まれていたから、五年で同じくらいまでいけたけど……それだってただの運だ。まあ、師範代ですし、簡単なことなら教えることはできるけどそれでいい?」
 言葉は素っ気ないけれど、やる気がある格闘家は好きらしい。
 なので蓮の部下は、葵依の全く本気ではない動きにすら付いていけない有様に、葵依の本当の強さを実感し、さらにはそれに不意打ちとは言え一応勝っている蓮を尊敬し直したくらいだ。
 とにかく明日まで弁護士事務所に忍び込むであろうロシア人の足跡次第で、やることが決まるはずなので、葵依たちはその日はやることがなかった。
 じっと待っているのが性に合わずに、騒いでもいいといわれたので何故か葵依による部下の訓練になってしまい、最後はそれを見ていた蓮までもが葵依と手合わせしたいと言い出してしまった。
「……練習だから本気でやんないよ」
 そう言いながら手合わせとはいえ、練習であることを葵依が念押しして蓮はニヤリとする。
 やっと葵依が渋々であるが応じたとたん、蓮は本気で葵依を倒しにかかる。
「ちょ……っと、待てっお前、約束が違うっ!」
 蹴り上げから逃げる葵依を追いかけて突きをする蓮であるが、それを葵依は寸前で避けまくり、攻撃は仕掛けてこない。
「手合わせだって、言っただろう!」
 本気で殴りかかって避けられるのは、本当に蓮からすれば信じられない現象だ。
 葵依が万全の体制で向かい合っているだけなら、到底蓮には勝ち目がない。
 幸い、葵依が逃げの一手でいるから、葵依が逃げるのが上手いという印象であるが、本当は蓮の技が何一つとして届かないだけなのだ。
 葵依は逃げるのも上手いし、避けるのも上手い。それは蓮の動きが予想できてしまうから避けられているだけだ。
 つまり、あのドア一枚を挟んだ奇襲でなければ、蓮に勝ち目は一切なかったということが分かってしまう。
 それは蓮にとって屈辱でもあるけれど、ここで知れて良かったとさえ思った。
 もう勝つだけ勝って天狗になっていた心をあっさりと打ち破ってくるのがこの男で、しかもまぐれ勝ちでしかない事実を突きつけられるのもこの男なのだ。
 鼻っ柱の高い天狗は地に落とされてしまい、蓮はその手合わせ中、ずっと本気で葵依を追いかけ続けた。
 葵依は結局手合わせだと言っただけのことはあり、蓮から十分間も逃げ続けた。
 そして蓮が満足して動きを止めると、葵依も少し離れたところで止まった。
「……こう、面と向かって立ち会うと、つくづく榧流っていうのは厄介なんだな」
 蓮が正直に感想を漏らす。
 一度もかすりもしないまま避けられ続ければ、不意打ちで勝ったことすら運でしかなかったことが証明される。それは蓮にとって、もっと強くなりたいという気持ちが枯れていたところへの、新たな刺激となっていく。
 そんな時だ。葵依が何かに気付いたように蓮に言う。
「あのさ、もしかしてあんまり練習してない?」
 蓮の強さは知っているし、身をもって経験をしたけれど、今はあの時の気迫は感じないのだ。面と向かっているから蓮の動きが流れるように読めたし、避けられた。
 だからこそ気付いたのだ。蓮がどうして葵依に攻撃をしても当たらないのか。
「言い訳に過ぎないが、道場もないし、相手がいないからな。黙々と型だけやっても急激な成長はしないってことだ。だから言っただろう、お前はもっと強いと、俺より遙かに強いと」
 蓮がそう言うので葵依は、うーんと考える。
 確かに練習を出来ていない相手とやるだけ無駄ではあるが、それでも蓮からはそれ以上の強さを感じる葵依である。
 だからこの間の強さより半減している原因が何なのか知りたくなった。
「そっか……それじゃあ練習方法が甘いのか」
 そう葵依が言うので蓮は妙な顔をした。
「何?」
「だから、多分本気出すときの練習はあんまりしてないのかなと……」
「本気を出す練習?」
 そう蓮が言うので、葵依は取りあえず蓮を椅子に座らせて、汗まみれになっているからタオルを比嘉に持ってこさせた。
「それで、本気を出す練習って?」
「えっと、つまり実践経験が少ないせいだってこと。道場以外で本気で格闘したことないよね?」
「ないな。この商売をやっていて立場上必要かと思っていたけれど、そうでもない」
 そう蓮がそういうものだろうと言うと、葵依が言った。
「俺は、師範代クラスと毎週、道場の権利を賭けて本気で殴り合ってた」
 葵依の言葉に蓮はハッとする。
 それは双方相当に真剣であり、葵依が手を抜いて相手に勝たせても相手が絶対に納得しない試合である。
「それで勝敗は?」
「俺が負けたら道場はくれてやる約束だから、負けたことない」
 葵依がそう告げると、蓮は舌打ちをしたくなった。
「つまり、お前の道場に殴り込みに行っていれば、お前は道場破りを返り討ちにしなきゃいけなかったってことか?」
「そういうこと。でも道場は他の人に渡してきたから、もうそれもないけど……」
 葵依が残念だったねと告げると、蓮がニヤリと笑った。
「なるほど。そういうことか。そうか、それならこの件が片付いたら、是非道場に殴り込みをしなきゃな……っ」
「何言ってんの、それもうないから……」
「いや、今の責任者が負けたとて、榧流本家として負けにはならないんだよ。お前が奥義を継承している限り、榧流が屈したわけじゃないって寸法が成り立つわけだ。それは格闘術をやっている全員がそう考える。お前が出てこないと榧流を名乗れやしないって。道場だけせしめても、そいつらも痛くもかゆくもないだろうよ、お前が負けやしないからな」
 そう言われてしまい、葵依は唖然とするも理屈としては通っていると思った。
「だから俺、生きて帰れって言われたのか……継承者としては道場では使い道ありってことか」
 今回のことで関に責任者を押しつけたけれど、関にとって葵依が何処までも強ければ、自分が負けても道場が人手に渡っても榧流が終わることがない。
 葵依が何処かで負けるときは奥義が負ける時だ。
 それなら関も悔いがないということで、葵依に死ぬのは勘弁してくれと言ったのだ。
「……そうだよな、あの人があんな愁傷なこと言うわけないよな……だよなあ」
 関の人となりを知っているだけに、本気で死んで欲しくないのはまだ自分が勝ってないからというのもあるが、本音は葵依にも負けて欲しくないし、死んで勝ち逃げもされるのも嫌なのだ。だから葵依が生きて年をとって身動きが鈍ったところでようやく勝ったとしても関としては格闘技人生を全うしたことになるようである。
「仕方ないなあ、本当。こうなったら蓮には実践を積んで貰うしかない。それも道場みたいなのじゃなく、実践のみ。どうせ道場の大会とか出られないんだろ?」
「ああ、道場自体親父の持ち物だけど、ヤクザの経営だからな、大会に出るには余所へ移るしかない。うちはそのお陰で利益を出せないから、格闘をやりたい貧乏人が通える道場だから、人は多いけどな」
「へえ、ある意味地域貢献ってやつか」
「見逃して貰ってるだけだ。琉球空手の強いヤツがうちの道場出身者が多いからな……」
「よし、じゃあ、それには部下の人の手を借りたい。強い人ばかりでしょ?」
「強いぞ」
「よしそれなら、実地訓練になりそうだな。しばらく身動きが取れないなら、蓮の訓練に時間を割こう。自分の身くらい自分で守らないとな」
 葵依が暇を持て余して、訓練を付けてくれるとなると部下は蓮とも手合わせできることに喜んでいる。
 蓮は蓮で、葵依の強さの秘密を知ることが出来ると喜んだ。
「というわけで、実地ってのがどんなのか、取りあえずやってみようか。俺が試しにやってみるけど、いい?」
「やって見せてくれ」
 蓮が許可を出すと、部下が五人、葵依の周りを取り囲み、葵依に一斉に本気で襲いかかる。
「でいやっ!」
 部下全員が琉球空手使いで、黒帯を持っている。元々空手をやっていて強かったから、喧嘩の強さでヤクザで成り上がった人たちである。
 もちろん葵依の強さも分かっているけれど、五人で取り囲めば倒せなくても拳の一つや二つは入るだろうと思っていた。
 しかし、ものの十秒にて決着が付いてしまった。
 飛びかかった五人の攻撃を上手く避けながら、葵依は一人一人を確実に床に沈めてしまい、気付いたら全員が床に倒れ込んでいるのだ。
「……は?」
 手際の良さと、速さとそして一撃必殺とだけ言われる榧流である。
 あまりの強さに全員が唖然とし、床にいつの間にか寝転がっている部下は気を失っている。
「……ごめん、力量わかんなくて、本気で落としちゃった……」
 やってしまった葵依は、いつもの道場でやっている威力でやってしまったのだけど、全員が沈んでいる状態に困った顔をしている。
 一人一人の身体を起こして、気をつけさせて行くと、部下全員がぼーっとしている。
「……何で、床に」
「攻撃、当たらない……」
「忍者みたいに消えるし」
 そう言って葵依の強さを目の当たりにして、更にこれに不意打ちで勝てた蓮を見る。
信じられないものを見せつけられて、蓮は唖然としているけれど、そこでハッとする。
「お前、まさか榧流師範代をいつも五人相手してるのか? 同時に?」
「そうだけど……? だって俺から道場を取り上げたいの師範代全員だし……一人一人は面倒だからまとめて相手してる……関さんだけは、本人の希望で個人でやるけど……」
 葵依の強さは榧流本家師範代全員で掛かっても勝てない強さなのである。
「お前に勝てるやついるのか……?」
 そう言う蓮であるが、葵依は平然と答えた。
「いるよ。実践経験バリバリの榧流武術の奥義継承者」
 平然と答えられて蓮はそこで思い出す。
 榧流武術の奥義継承者が強いことは結構昔からある噂であるが、眉唾程度だと思っていたけれど、こんなに強い葵依が平然と言うのだから、それ以上に榧流武術の奥義継承者は本当に強いのだろう。
「本気でやれたのは一回しかないけど、今でも勝てるビジョンが一切見えないくらいに強い」
 葵依の言葉に部下たちが全員榧流武術の奥義継承者へ畏敬の念を抱き直したのだった。

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