葵依の身体を比嘉が後ろから押さえ、腕を後ろ手に縛られているので逆らえない葵依は、必死になって暴れてみたが、二人掛かりで押さえつけられると真剣に暴れようとしても身動きは取れない。
「え、ちょっと待って……えっ、何をする……」
そう言ったのはパンツを脱がされたからだ。ボクサーパンツの姿にされた。
葵依が足で蓮を蹴り上げようとすると、それを蓮が押さえつけて足を曲げた状態で膝を紐で固定された。紐は縛るために用意していたらしく、そこらに転がっている。
「何する……きさま」
「戦いたくなるようにしてやるつもりだ。ただ本気になって貰わないと意味がない。だから本気になれるように、お前に屈辱を与えるんだ」
蓮はそう言うともう片方の足も同じように膝で固定する。さらには膝に棒を差し込んで股を広げた状態で固定されてしまい、もう身動きはできない。
「離せ! いい加減にしろ!」
「なら、戦え」
「それとこれは話が別だろ!」
「なら、黙ってろ」
そう言うと蓮が葵依にキスをして黙らせた。
「……んんっ!」
そのキスは長く、葵依は息ができなくて鼻で息をするのを忘れてしまい、蓮の唇が離れたとたんやっと息ができたと身体全体で息をしてしまい、身体の力が抜けてぐったりとしてしまった。
「……はぁっん……ああっ」
「……お前、初めてだな?」
「……え?……なにが……?」
ふわふわする頭で葵依が答えたが、その答えが気に入ったのか蓮はまた葵依にキスをした。
「ふ……うっあ……んんっんん」
息がやっとできたと思ったら、また息ができなくされ、葵依は何度も蓮から逃れようとするのだが、それを蓮が追いかけてきては深いキスをしていく。
葵依はキスは普通に触れる程度のものをキスだと認識している。
だからキスをされているのは分かっているが、この程度で戦ってやるわけにはいかなかった。
葵依は何よりも負けることが嫌いだ。
勝てない相手に出会ったのは、ここ最近なかった。
それなのに不意打ちで負けた。
あれだけ警戒をしていたのに、それでも負けた。
それが悔しくて、またその負けの悔しさが消えてないうちに戦って負けるのが嫌だった。
何度も何度も蓮は葵依にキスをして、何とか言わせようとするのだが、葵依は絶対に言わない。
「強情だな……ならもっと先をするまでだ」
「……ふ……あっ……ん」
葵依がキスですっかり飛んでいる間に下着を太ももまで脱がし、葵依のアナルにローションの付いた指を突き入れてきた。
「……ああっなにしてっ……あっや……」
指が入り込んでいるのが分からず、急に中に圧迫感に驚いた葵依が蓮を見ると、蓮の手がアナルを弄っているのが見えた。
「うそだ……ああっそんな……んっああっ」
蓮は中を擦りあげて葵依の良いところを見つける。
「ああ、ここか」
「ひああっ! やめっああっそこやらっ……ああっんっ」
蓮がある一定の場所を擦ってくると、葵依の腰が跳ね上がる。一気に射精感が溢れてきて、追い上げられている。
「ひああっやめっそれやっ……ああっんああっ」
「随分、いい声で啼くんだな……なら、これならもっといい声を聞かせてくれるだろうな」
散々指で弄られて、開かれたアナルからやっと指が出ていったかと思えば、それよりも大きなモノが入り込んできた。
「ひっ……さける……おしり、だめっさけちゃうっ……!」
入ってきているのが蓮のペニスだと気付いて葵依が叫ぶが、蓮は葵依のペニスを扱きだした。
「ああっやら、それ、やらあぁっんっああっんっふっんあっんっ」
葵依が蓮にペニスを扱かれると身体の力が抜け、余計に蓮のペニスが葵依のアナルに挿っていく。
「ひあっなか……はいってくんなっもっやらっああっんああっ」
抵抗しようにも腕は縛られているし、足も固定されて動きもしない。さらには比嘉に身体を押さえられているので、転がって逃げるという手法もとれない。
寝技に近い押さえ込みをされているので、どうあがいても逃げられるものではないが、葵依はこの時でさえ、寝技からの脱出を確実にできる方法を確立したいと馬鹿なことの方を思っていた。
正直、男同士のセックスで何かが失われるという感覚が葵依にはない。
だから戦うとは絶対に言わないのだが、その感覚すらもおかしいという自覚もなかった。
まだセックスで屈辱を味わう方が、本気の戦いで負けを認めて今後一生をその負けた悔しさを引き摺るよりはマシだと思っている。
「強情過ぎる……お前、だが、初めてでこれは凄い……」
内壁がモノを受けられる体勢にはなっていないはずなのに、内壁がしっかりと蓮のペニスを締め付けてきてウネウネとうごめいている。その内壁が既にトロトロとしていて、あり得ないほどに気持ちがいいのだ。
「あああっ、やらぁっ、なにっ、あっ、ひぁんっ」
中が勝手に蠢いて、蓮のペニスを締め上げてくれば、もちろんその内壁に触れている感覚は葵依の脳にも届く。それがどういうわけかいやな感覚ではないのだ。
ゾクゾクとするような快楽が沸き上がってきて、葵依は焦った。
「どうやら、こっちの素質はあったようだな……いいだろう、楽しませてもらおう」
そう言うと蓮が挿入を開始した。
「ひああああっ!? あぁっ、あんっ、ひぃあっ!」
ペニスが抜き出てまた押し入ってくる感覚が快楽になって葵依を襲ってくる。
こんなはずじゃなかったのに、挿入される行為が気持ちがいい。
排出する器官なのに性器になったようにそこが感じる。
「あっ、ああああーっ!」
蓮が前立腺も擦ってやると、葵依は身体を痙攣させて暴れる。
「あああぁっ、やらっ、あんっ、そこ、ぐりぐりってぇっ!」
「気持ちがいいの間違いだろ? お前、掘り出しもの過ぎるだろ……」
身体の相性が良すぎて、葵依は感じまくっているし、蓮も気分が乗ってきた。まさか男に突っ込む羽目になるとは思わなかったが、葵依にだったら喜んで突っ込んでもいいと蓮は思ったほどだ。
「うぁんっぁんっ、ふぁ、抜いてぇっも、やらああっん」
真面目で冷徹な表情で平然と弟を切り捨て、さらには負けるのは二度は嫌だと言って、頑固に拒否し、こんな事までされているのに葵依はまだ戦うとは言わない。
「ああああーっ! ひあっ、あんっ、ああっ、あああんっもっああ――――――っ!」
とうとう前立腺も擦りあげられて葵依が絶頂をした。
葵依は精液を吐き出し、完全にアナルだけで達してしまったのだが、それで終わりではなかった。
蓮はそのまま腰を振り続け、深々と奥まで葵依を犯した。
「ひああああっ、ああぁっ、らめえっ、いってぅの、いってぅからぁっ、もっ、ゴリゴリってしちゃやらあああぁっ」
「お前だけ終わってんじゃない。俺はまだ終わってないんだぞ。ほら、そのまま気持ちよく感じていろ」
「ああぁんっ、あんっ、んっ、はふぅっ、いいっ、いいっ、ああっもうらめっ、あああっ」
葵依はとうとう気持ちがいいことを認めた。
こんなのは負けを認めるより簡単に口にできた。
「こういうことには素直なんだな……葵依、可愛いな……」
「ふぁっ、ああっ……これっいいっ、あひぃっあああんっ」
葵依はセックスに抵抗は一切なかったせいか、気持ちがいいと認識をしたら、素直に身体が開いてしまう。
もっと気持ちよくなってしまった方が、絶対にいい。そう思うと口からは嬌声が漏れる。それが蓮の気を反らしているようで、戦う戦わないの話がなくなったのが葵依には都合がよかった。
「ああああっ! ああんっ、これっすきっ! きもちいいっああんっああっ」
「ほお、これが好きか。葵依とは身体の相性がいいんだな……こっちも相当気持ちがいい。中に出すぞ……っ」
「あぁっあっひっあぁんっんっあっいっ、あぁんあついっあああっん」
蓮は葵依の中で射精をしたが、それでも勃起が収まらず腰を振り続ける。
「あぁあんっ! あっあひっあんあんっ! あぁっいいのっきもちいっ……あっあぁーっ!」
精液を出されながら更に突き上げられ、葵依は更に脳天を突き抜けるほどの快楽を味わった。
快楽に際限がないのを知ったのはこの行為だけだ。だからもっとと内壁で蓮のペニスを締め付けて強請った。
「ふあぁっんっそこっ……あっああっんっいいっ……あっあっ」
「お前、初めてでここまでするか? 負けるよりこっちがマシって……狂ってるぞ」
「ひああっらめっ、そこっあひっ……おかしくなるっあっい゛っあっあっあんっあんっあんっあぁんっ!」
「ほら、イケっ」
「あひっああっいくっいくっやぁっ……んあ゛っひっああぁんっ!」
葵依はそのまままた絶頂をさせられた。
痙攣する体を押さえつけたままで蓮も達したのだが、その時に蓮が言う。
「俺と戦う気になったか」
「……やら……ぜったい、やら」
葵依は絶頂をしたまま身体を痙攣させながらでも、蓮の言葉にはノーを突きつける。
それが蓮の怒りに火を付けたらしく、蓮が言った。
「お前、覚悟しておけよ」
そう蓮が言うと葵依の拘束を全て解いて葵依をベッドに押し倒した。
「それならそれで、別の楽しみをしようじゃないか」
蓮がそう言って葵依のアナルにペニスを突き入れる。
葵依はそれを感じながら、更なる絶頂に導かれた。
橙李が見つかるまで、そう言う蓮に葵依は陵辱の限りを尽くされ、身体は完全にセックスは快楽を与えてくれるモノとして覚えてしまった。
「も、むり……あっんっああっあっんひっん」
ズルズルとまだ中から出てもいかない蓮のペニスがまだ中を擦りあげてくる。
「ああっあっん……も、やらっああっんあんああっん」
「うるさい、今回の戦いの件は諦めてやるが、こっちはお前も楽しんでるだろ」
「……も……やら……あんっんふ……んんんっ」
蓮がやっと戦いの件を諦めてくれたので葵依が露骨にホッとしたのを見た蓮は、またカチンときてしまい葵依の唇にキスをした。
葵依はそれを受けて、舌も絡めてキスを深めた。もうキスは慣れたし、蓮に教えられたようにキスも返すことができるほど一晩で沢山のキスをした。
「んふっんっんっんんんんっんんっんんっ……んん――――――っ!」
キスを深くしたまま何度も突き上げられて葵依は絶頂に追い上げられる。そしてキスをしたままでそれを受け入れなければならない。飲み込む嬌声も過ぎると、蓮はまたキスを深くしてから葵依の中で射精をする。
「んふんんん――――――っ」
これが異様に気持ちがいい行為だと葵依の身体は覚えてしまった。
内壁はすっかり蓮の形を覚えてしまうほど蓮を受け入れていたし、それが抜けてしまうとアナルがそれを求めて収縮するほど、葵依は蓮のことを身体で覚えさせられた。
空がだんだんと明けてくるのが大きな窓から見える。
六時間以上も蓮を受け入れ、快楽を与えられ続けた葵依はもう体力は残っていなかった。
「……ふあ……ああ……ん」
やっと蓮が出て行くのを感じて、葵依はほっと息を吐いた。
しかし中に貯まった精液がアナルから溢れてゴボゴボと零れ出す。すっかりアナルがぽっかりと開いてる感覚がして、やるだけやられた。
でも葵依には戦いを蓮から諦める結果を引き出したのには、このセックスの意味はあったことになる。
負けるくらいならこれでいいと、普通の人からは狂った結果であるが、それでも葵依にはそれくらいに戦いに関してはプライドも高すぎるくらいに高いところにある。
この仕返しはまた修行をして確実に勝てると思ってからの再戦。それが葵依の当面の計画になっていた。
確かに蓮の言う通り、奥義を出せば絶対に勝てる。けれど、奥義は人を殺すために使う奥義である以上、人に向けて繰り出す技ではない。だからその技を知っていても尚、負けたとしても奥義を使わないで勝てる強い人が奥義の継承者なのだ。
葵依はそれでもまだまだ奥義の継承者の気はしない。たまたま榧流本家の当主が死ぬ間際だったから、その時点で一番強かった葵依に継承させただけなのだ。選ばれたわけではない、仕方がなかった、時間がなかっただけのことだ。
それがどれだけ葵依を傷つけ、榧流本家武術を失望させたことか、葵依はそれを身をもって知っている。
そんな奥義を使って人に勝っても、何一つ嬉しくもないことを蓮は知らないのだ。
葵依は死んでも奥義は使わない。継承もさせないで榧流本家を葬りたいのだ。
幸いなのは、その継承させるべき相手が誰もいないことだ。見れば分かる、この人ならという全てのバランスを兼ね備えた人なんて、そうそう現れるわけもない事実も、そして仕方がないと葵依が選ばれた理由も継承者からすれば納得はできた。
それでも当時傷付けられた心が癒えないままで負けた。それこそ奥義を繰り出す間もなくだ。
奥義を使わなかったのではない、使う暇を与えて貰えなかったという事実を蓮は分かっていない。
だから今再戦をしても負けるのが分かる。だから戦いたくない。
あんな屈辱、生涯で一回でいい。
ここまで負け無しでやってきた葵依にとっては戦いに於いて初の敗戦だった。
「ほら、身体を洗うぞ。そのまま寝てていい」
半分寝ている葵依の身体を蓮が起こしている。あれだけやったのにまだ元気そうに動き回る男に、何処までも勝てない気がして葵依は屈辱を味わっているが、どこか爽快な気分も味わっている。
内部に貯まっていた何かが一気に出て行ったように、このどす黒く染まっていた悩みが一気に晴れたように。
――――――この男には負けでいっか。
そんな気分にさせてしまうこの男が酷く憎かった。
蓮は眠ってしまった葵依の身体を綺麗に洗い、暖めてから別のベッドに葵依を寝かせた。
男にしては軽い身体をベッドに置いてしまってから、蓮は溜め息を吐いた。
「こんな細い体で、俺とほぼ互角だとか、冗談臭いな榧流ってのは」
綺麗な立ち姿で、ヤクザであっても目を反らさずにはっきりと意見を言い、理由に納得ができなければ力業に持ってきた相手を一撃必殺。
格闘術に関しての戦闘力は誰よりも高く、榧流本家の奥義継承者。
もっとも難しいとされる榧流本家の奥義をたった二十歳で取得するのも驚きだが、それを使わないことにも驚きだった。
奥義がそうそう盗めるモノではないことは、奥義を習いに行って挫折した者の数がモノを言っている。千人以上が挑戦して一年掛けて習っても諦めざるを得ない技なのだ。
基本的に奥義の場合、滞空時間がモノを言うのだそうだ。だから筋肉隆々の重い格闘家がまずそこで脱落する。しかし身体が軽すぎても対戦している相手の攻撃を受けて吹き飛ばされる。ここで軽いものも脱落する。
その先のほどよい体格のみが選出されても、格闘センスが更にモノを言うらしい。
正直、ここまで到達した者は片手ほどだ。
それでも奥義の取得には至らず、諦めるしかなかった。
榧流本家の奥義は、榧流古武術の奥義取得者ですらもう一歩というところだというのだから、奥義中の奥義として知られているわけだ。
まあ、その榧流古武術の奥義もまた取得者が何とか継承されている程度なので、本家の奥義が絶えるのも時間の問題だとされていた。
そこに葵依が颯爽と現れて、奥義を取得したと聞けば、武術の世界に於いての強さが相当だと理解できることだ。
ただその葵依は蓮の不意打ちで負けた。
その負けた事実は誰も知らない事実となる上に、不意打ちという卑怯な手段だから外に漏れても蓮に勝ちは付かない。誰も認めやしない結果だ。
それでも負けだという葵依の心境を思うと傷はきっと相当根深いだろう。
葵依はきっと誰にも負けずにここまできて、蓮の不意打ちに負けることこそ、屈辱できっと頭がおかしくなる気持ちだ。プライドも相当高そうだから、プライドも傷ついただろう。
それでも葵依の鼻っ柱を折った結果になった蓮であるが、その葵依が戦うのが嫌だと言う理由は一つしかない。今は負けだから修行して再戦に持ち込む気なのだろう。
だがそれでは駄目なのだと蓮は思う。
「そうされたら、次は俺が確実に負けるだろ……」
明らかに修行に割ける時間が多い葵依と、練習すらほぼできていない蓮では成長具合が違う。ほぼ成熟されてしまって出来上がっている蓮と、まだまだ発展途上の葵依は一年後には蓮は葵依に手も足もでなくなってしまう。
それが分かっているからこそ、今やって勝ってしまいたいのだ。
けれど、葵依の負けに対する拒絶の仕方がここまでやってもまだ拒絶であるのは、きっと奥義が問題なのだろう。
「知ってるさ、榧流本家の奥義が何なのか」
人を殺す殺人武術。榧流は元々一撃必殺で人を殺すための武術であり、それを分かった上で少し急所を上手く弱く突くことで戦闘不能にしてしまう武術だ。力業では駄目、武器などの獲物が駄目な理由はそこにある。
それを使うと練習相手が確実に死ぬからだ。
力加減の分からない門下生が喧嘩で人を殺したことだってあるほどだ。
だから榧流本家の門下生は少ない。
そこから榧流古武術が枝分かれして、人を殺さないで一撃必殺で気を失わせるのが榧流古武術である。その榧流古武術を好んで使うのが宝生組の一派だ。
だからあそこの組員は下っ端も馬鹿強い。
公にしていないが、榧流古武術の門下生は五千人は超えるだろう。
一方の榧流本家は、師範代も五人ほどでほそぼそとしている。
門下生はそれこそ一時期は千人ほどいたが、当主が死去した後にはそのほとんどが別の流派に移っていった。残っているのはもう十人ほどになっていると聞いた。
もはや本家の榧流は滅びる寸前だ。そしてそれは二十歳の子供に奥義を渡したせいだと言われるほどだ。
その中で葵依がどれほどの屈辱を味わってきたのかは、想像を絶するほどだ。
だからこそ負けることは許されないことだったはずだ。
しかし蓮も知らなかったとはいえ、武闘家相手に不意打ちで勝つのも屈辱ではある。
そうしないと勝てなかったと言われるのは火を見るより明らかだ。
だから再戦を申し出たわけだが、葵依は頷かない。
蓮にも事情があるが、葵依にだってそうはいかない事情もある。
無理難題を押しつけるために葵依を抱いてしまったが、それでも葵依は自分の身体を盾にしてでも再戦を拒んだ。
高すぎるプライドは、負けの決まっている無駄な戦いはしない。
そこに蓮は葵依の強さを見た。
けれどと蓮は思う。
再戦して果たして蓮が勝てたのかという基本的な問題だ。
葵依は負けを確信しているようだったが、戦ってみないことには勝敗は分からない。
葵依が多少できると判断した上で戦ったのが橙李のアパートの前であったなら、確実に蓮の方が負けていただろう。
それくらいに葵依は強いのだ。
蓮も葵依もお互いを強いと認識し、お互いが負けるかもしれないと恐れている。
で、その結果がセックスなのは本当に狂ってるとしか言い様がない。
「……まあ、相性抜群で悪くないんだけどな」
完全に眠っている葵依の頬を撫でる。そして髪を撫でているとその葵依の髪の生え際に金色の髪が見えた。黒い髪だから余計に目立つ。
「なるほど、瞳もコンタクトが入ってるんだな……」
そう気付いて、寝ている葵依の目を開いてコンタクトを取る。
ほぼ気絶している葵依はそれでも目覚めなかったが、その瞳は確かに碧眼であった。
「顔は橙李と似てるとは思うが、真面目な顔の姿も見てみたいもんだ」
そう言うと本当に見たくなってしまい、蓮は比嘉に頼んで髪染めを抜くための液剤を買わせに行かせた。
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