shortshort 27

空似と願う

 その日、丸岩は会社の取引先の接待である場所に連れて行かれた。
 政府の官僚達が集うらしい、パーティーだと聞いたけれど、そこは男達が全裸でセックスをする場所だった。
「そうですね、世間では乱交パーティーとでもいいますか。別に犯罪ではないんですよ? 全員が同意書にサインをして、この場所も個人の敷地ですし、許可も得てます」
 全裸で抱き合い、一人の美しい青年に群がっている男達の体が見事に醜かった。
 これが合法ですと言われても納得はできかねるところだった。
 どうみてもフリーセックスとはいえず、一人の青年に複数人が群がっているのだから、下手すれば強姦レイプだろう。
 その青年も一人ではないけれど、五組ほどに別れていて十人くらいが一つのグループになっているようだった。
 丸岩はただガタイがいいだけの男だった。
 運動はラグビーで、体を鍛えることにだけ青春時代を費やした。
 けれど怪我をしてしまい、日本代表が決まっていたけれど辞退をした。その結果、政府官僚の護衛役として同じ大学の先輩の親族が気を遣ってくれたのだ。可哀想だと。
 そのお陰で四年間必死に下積みをしてきて、やっと護衛として役立つことができているのだ。
 そんな丸岩は真面目で、そんな真面目すぎる男に官僚が気を遣ってこんなパーティーに連れてきてくれたわけだ。
 その溜めた性欲を解放してこいというわけだ。
「ここでは顔は晒しません。特に攻める側はです。それぞれ立場がありますでしょう? なので貴方にも仮面を付けて貰います」
 そう言われて仮面舞踏会で付けるような目元を隠す仮面を付けられた。
「そういえば、あの相手役は目隠しをしているんですね」
 受ける側が顔を晒している人が多い中、一人だけ目元を包帯のようなモノで目を塞いでいる人がいた。
「あちらも身分を知られるわけはいかないんですよ。もちろん顔を晒している子の方が多いですよ。顔が良ければ受けもいいし、気に入られればそれなりに取引もありますしね」
 つまり愛人になれる機会をここで得ているわけだ。
 可愛ければ気に入られれば個人的に愛人になり、それなりにいい生活ができるわけだ。 政治家官僚ともなれば、女などで子供を外に作られるくらいなら男相手の愛人なら許せる夫人もいるらしい。
「ここも長く続いています。皆様マナーもよろしいので丸岩様もどうかマナーを守ってくださいませ」
「そのマナーというのは……?」
 丸岩が訪ねると、オーナーが言った。
「誰か分かっても詮索はしないこと。もちろん目隠し程度では人によっては誰か分かるかもしれませんが、お名前など口に出さすに知らない振りをしてください。ここの出来事は外へと持ち出さないこと。ですが例外として受ける側が求めた場合は、しっかりと受け止めてあげてください。彼らにはかなり無茶をさせております故、願いは金銭と一つできる限りのことを叶えてやっております」
 オーナーの説明に丸岩は言った。
「つまり受ける側が求めてきたら、俺には拒否はできないってことか」
「そうなります。ですがもし断りたい場合は我々を通していただければ、面倒ごとは引き受けますのでご自身で解決なさらないようお願いします」
 つまりここで生じた出来事には何も勝手はできないらしい。
 丸岩はそんなことを頭にしっかりと入れた。
 ここで間違いがあれば大恩人である官僚の方に迷惑がかかってしまうからだ。
 しかしここに呼ばれなければもっとトラブルもなく済むのになと、少しだけ官僚の気の使い方を怨んだ。
 丸岩の参加はまだなので入り口のところで待っていると先のグループの行為が終わり、周りの掃除が始まった。
 ほぼ床みたいなところで好きにしている感じであったが、ラグがしっかりと敷いてあり、その下は水で洗い流してしまう感じであった。そして乾く間もなくラグが新しく用意されるも二組だけだった。
「今回は初心者の方のための時間ですので、丸岩様はお一人でとなります」
「そうなんですか?」
 少しびっくりして丸岩は目を丸くする。
「はい、乱交がよろしければそうしますが……?」
「い、いえ、他の人とはちょっと……一人でお願いします」
 さすがに分け合う感じで乱交となるのは無理な相談だった。
 酷いことをしているような気がして気になって仕方ないのだ。
断れない以上するしかないわけだが、それでも乱交は好きではなかった。
 そして会場に入ってラグの上に上がると別の扉から手を引かれてやってくる丸岩の相手役がやってきた。
 顔は案の定目隠しをされていたが、非常に綺麗な人であるのは分かった。
 何だってこんな綺麗な人がこんなところで男相手にしてるのかと思うほどだった。それに丸岩にはその顔が好みの人にそっくりで一瞬ビクリとした。
(そっくりすぎるけれど、こんなところに来るような人じゃないし……)
 似ていると思った人は、同じ護衛をする部門に所属している先輩であり上司の嘉悦征洋(かえつ まさひろ)のことだった。
 美しい顔で男性としては美形の人。芸能人やモデルとして活躍した方がいいレベルでの美形の人だが、本人がそこに興味がないと格闘技ばかりに勤しんでいたらしい。
 両親共に官僚の出で、兄が同じく官僚になっているらしい。本人は気侭にさせてもらっていると言って、警備の方で格闘技を生かしている。
 なので体育会系の嘉悦は厳しいけれど、それでも見目も美しい人が綺麗な格闘術を使っているのを見たら、惚れるなという方が無理だった。
 唯一力業でなら勝てるけれど、一勝百敗くらいしているほどに実力差がある。
 そんな人が、ほぼ裸に近い格好で、シルクのバスローブのようなものを羽織っただけで男に抱かれるためにこんなところにいるわけもないのだ。
 他人の空似にしては余りにそっくりだったから、丸岩のやる気が少し出てしまった。
 丸岩は既に全裸であるから、ペニスが勃起しているのは相手には分からなくても触られたらバレてしまう。
 そう思っていたら青年が丸岩に手渡された。
 相手は見えていないから丸岩が受け取るしかないわけで、そんな不安定な状態ではと思わず丸岩は青年を抱え上げてゆっくりとラグに座らせた。
 その時に触れてしまったのだろう。
 青年が手を伸ばして丸岩の体を引き寄せてきて、下半身の既に勃起しているペニスに手を添えてきたのだ。
「う……」
 思わずしなくてもいいと言おうとしたが、ここはそういうことをする場所であると思い出して何も言わなかった。
 嘉悦にそっくりな口元が丸岩のペニスに近づいてきて、ゆっくりとそれを咥えてくるのだ。
「……っ」
「んっんっぶっ……んむっ、んっん、ん゛ん~っ……」
しっかりと咥え込んでペニスを舌で舐めながら、ペニスを美味しそうに咥えているのを見ると尚更丸岩は興奮をした。
まるで嘉悦がそうしているかのように錯覚をするのだ。
 けれどそれはきっと主催者も分かっていて丸岩にこの青年を宛がったのだろう。
 そうでなければ、ここまで嘉悦にそっくりな人が偶然丸岩の相手でしたなんてあり得ないのだ。分かっていてそうしているのだから、そのつもりで抱いてもいいのだろう。
「ん゛ん~っ……ふっ、んっぅん、んむっ、んんっ」
「……ふっ……あっ……」
「んんっ……んむっ、んっんっん゛~っ……」
喉辺りに当たっているのか、フェラチオにしては強引だったけれど、もしかしてと丸岩は気付いて青年の頭を掴んだ。
 強引に喉を犯してやるのが好みなのかもしれないと思い、強く腰を突き挿れると青年の体がビクビクと反応していた。
「ん゛ん~っ! んっふっ、んんっんっんっん゛っ」
苦しいはずなのにそれでも青年のペニスがゆっくりと勃起を始めているのに丸岩は気付いた。やはり青年は無理矢理にされるのが好きな様子だった。
「んん~っ……んっんっ、んむっ……」
「口の中で出していいんだな……?」
「んんっ……! んぶっ、んむっ、ん゛っん゛っ~」
「そうか、いいんだな、じゃあ出すよ……出るっ出るっ!」
「んっん゛っん゛ぶっ、んんん~っ……!」
 イラマチオをして青年の喉に精液をぶちまけてやると、青年は体を痙攣させて精液をしっかりと飲み込んでいる。
 それでも丸岩の精液が多くて、ペニスを出そうとしたら青年の口の中にも溢れんばかりに漏れ出してしまい、青年も慌てて口を押さえていた。
「あ……ごめん、止まらなくて……」
 少し慌ててしまったが、青年は少し手を振って構わないと言うようにしたので気にしても仕方ないのかもしれないと丸岩は思った。
 全ての精液を飲み終えると青年は口を開いて飲んだ証明をしてくれる。
 それが嘉悦の顔に重なって見えてしまい、丸岩のペニスがまた勃起をした。
 そのペニスが青年の顔を撫でてしまい、青年は驚いていたけれど、勃起したペニスを手で撫でてきて嬉しそうに笑ったのだ。
 そしてゆっくりとラグに青年が寝転がると、シルクの上着の紐を解いてしまい、全身が見えるようにして体をくねらせてから足を大きく開いてアナルを見せてきたのだ。
 そこには既に準備をしていたように、引っかける突起が付いたモノが入っている。
「抜いて……そして、そのおちんぽをここに挿れて……精液を奥にください……」
 喋る声まで嘉悦にそっくりだったので丸岩は心臓が鼓動を早めているのが分かった。
 まさかと思うが空似のはずだ。
 こんなところにいない。
 そう思っても心が期待をしてしまっているから、丸岩の行動は早かった。
 青年に飛びついて青年の腰を掴むと、自分の勃起して限界まで大きくなっているペニスを入れるために一気に入っていたモノを引き抜いていた。
「あ゛ああ~~っ……ん゛ひっ、いっい゛っんぁあっ、あっあ゛っあっ、あぁあんっああんっ……ひっんっんあああぁっ」 
 入っていたのは玉がいくつも重なり合っているアナル拡張用のアダルト用品で、その大きさも長さもかなりのモノだった。
 中にはローションが沢山入っていて、一気に突き挿れても大丈夫そうだった。
「あっ、おま○こに、はぁっ、おちんぽハメて、いっぱいおま○こをいやらしく突いてっあ゛っ、あ゛あっあ゛っひっ、いいっ、い゛あぁっ」
そう言われてしまったら、もう我慢はできない。
言葉の途中で青年の腰を掴んで引き寄せると一気に青年のアナルの中に丸岩は自分のペニスを突き挿入ていた。
「あっ、あっ……、ひっきたっおち○ぽっあ゛っ、あああぁぁっあ゛ひっ、深い…ああ…ああっおち○ぽ大きいっ、なにこれっ……、あっ、あっ、ふかいっああんっそこまではいってっらめぇっなのっああっ、あっ、あ゛ああっああんっあああっ!」
青年は丸岩のペニスを喜んで受け入れ、そのペニスの大きさに悶えている。
大きな嬌声を上げているけれど、気持ちよさから丸岩は我慢出来ずに腰をすぐに振り始めていた。
「ああ…………さんっ……ああっ……さんっ」
 こっそりと嘉悦の名前を言ってしまったが、それは青年も聞き流してくれた。
「あぁあっ……あぁっ、おっきいっおちんぽがぁっ……おま○こ、ごりごり擦ってっはあぁっ……んっあぅっ、きもちっ、いいっ……!」
パチュパチュッと肌がぶつかり合う音が鳴り響き、他の客も見ているけれどそんなことはどうでもよかった。
 ただ嘉悦にそっくりな青年を犯すことしか考えられず、力強く丸岩は腰を打ち付けるようにして振った。
「あぁっ! あっあっあひぃっ……おちんぽっすごっあんっはぁっあぁんっあぁあっ……あっぁん……あぁあっあんっいぃっ……おちんぽっきもちいいぁああっ……」
「ああ……気持ちがいい俺もっ」
「ああぁあっいいっ、おま○こきもちいいっあんあんっ、おちんぽっ大きいのっすごいっああんっあんっぁあああぁんっ」
「中、凄いトロトロしてる……たまんないっ……ああっ腰が止まらない」
「あぁんっ……いぃっ、あっもっとちょうらい、おちんぽっあっ、あっあっあっ……ふぁっ、ひぅっ、あんっああぁっあひぃっ、あんっ、あんっ!」
「気持ちいい……こんなに気持ちがいいなんて……」
「ひあっ、あ゛っおちんぽ、らめっあぁっ……あ゛っあっあっああっあぁああっ……あっあっあんっ、ふかいっ奥までっ挿入ってっあんっあんっあんっあ゛ああっ、あっあぁあんっ」
「ここだ、ここが気持ちがいいんだな……ここ!」
 抉る様にしてペニスを奥まで突き挿れてくる丸岩に青年は嬌声を上げて体をくねらせている。その淫らな姿がどんどん嘉悦と重なってしまい、余計に丸岩は暴走した。
「ひああっ……らめっあっん゛っひっいっ……あんあっ、んっああぁっ! ああっらめっ、いっちゃう……から、おま○こらめっああんっあっ!」
「俺も、でる……いくっ」
「あ゛っああっあっいくっ、い゛ぐっおま〇こイっちゃうっ……ひぁっ、あ゛っ、ひあん゛っあっ、あ゛ああっあぁっ!!」
奥まで突き挿れてから丸岩は精液を暴発させるようにして吐き出していた。
けれどその精液を吐き出しながらでも腰を動かすのが止まらずに、射精をしながら腰を更に奥まで突き挿入れながら振り続けた。
「ふあっあっ、あっらめええっイッてるのにっ、おちんぽせいえきだしながらおま○こぐりぐりされたらっああんっきもちいいっああっんっいいっ……おま○こっいっぱいのせいえき……ああんっらめっ……ああんっああいいっきもちよすぎるっああん!」
青年が絶頂している間も突き上げ続けると青年はドライオーガズムで絶頂を繰り返している。
「いいっああっ……ああんっ……んっあ゛あっ……んっあっ、あ゛っ、あっあっあっあああっ! んあっん……あっあああっ……あんっあっああっああっんあっあっはあっんっあっ、ああっあぁんっ」
完全にイキッぱなし状態にされながらも二人は激しく求め合った。
 相性は最高によかったし、何より気持ちがよかった。
 嘉悦に似た人が自分に犯されながらも喘いでいるのが心地よくて、丸岩は完全に入っていなかったペニスを根元まで突き挿れて、とうとう青年の結腸まで届くように腰をくねらせていた。
「いいっああんっおま○こっいいっきもちいいっああんっああ……ああんっ……ああんああいいっあ゛あっいいっ、おまんこ……ああっ……らめっゴリゴリしちゃっ……ああんっおちんぽっおおきいいっああんっ……ああんっ」
「もっとイッて、たくさんしてあげるから……もっと俺を求めて……さんっ!!」
「あ゛ああっ……あっ、あ゛っ、らめっらめええっ、あ゛あああぁっあ゛っい゛っ、あっんっ、、いくっあ゛あ゛っあっらめっあ゛っんっ、あっ、あぁっ、いくっ、いっちゃうっ……あぁあああん!」
また絶頂した青年の中で精液をたっぷりと吐き出したけれど丸岩の性欲は止まることがなかった。
 その性欲の強さで青年を三時間以上も絶頂させ続け、ドライで沢山イカせた。
「いい……ああんっおちんぽっいい……ああんっああっ……きもちいいっああんっ……ああんっおま○こっああんっいいっ」
「俺も気持ちがいい……もっともっと欲しいよ……」
「いいっ……きもちいいっおちんぽ……ああっ……いいっ気持ちいいっ……ああんっああっあああんっ」
 青年を抱いて四時間ほどで時間切れとなった。
 施設の使用時間一杯までやらせてもらった状態であるが、それでも丸岩の性欲は治まらずだった。
 何とか控え室のシャワーで自分で抜いてやっと終わらせたが、夢のような時間だったと丸岩は思った。
 そしてあの場所を紹介してくれた官僚には礼を言ったけれど、二度と行きたいとは言わなかった。それが礼儀だったし、またあの青年を抱けるわけではないのだと思ったら行きたい気持ちは湧かなかった。
 その代わり、毎日見る本物の嘉悦が美しく見え、彼の期待に応えようと思う気持ちが強く生まれてしまった。
 罪悪感だろうか。似ているからと燃え上がった自分が情けなかったのだ。
「お前はまた落ち込んでいるのか。どうした?」
 嘉悦が机で頭を抱えている丸岩に話しかけてきた。
「いえ、プライベートでちょっとありまして、大丈夫です。気持ち切り替えます」
「そうか? ならいいんだが……疲れたなら、その、抜いてこいよな?」
 嘉悦にそう言われてしまい、丸岩は真っ赤な顔をした。
 つまり欲求不満であると見抜かれてしまったのだ。
「だ、大丈夫です……その頑張りますので……」
 彼女はいないけれど、抜く方法は色々あるわけだ。
「まあ、店もいいが填まるなよ?」
 嘉悦はそう言うと席を離れていった。
 そんな嘉悦の後ろ姿を見ていると、ふと丸岩は気付いてしまった。
 嘉悦の髪は短く、襟足は最近散髪をしたと聞いた。
 その襟足のところに黒子が二個あるのだ。
 それはあの日、秘密の場所で抱いた青年にもある黒子だったのだ。
「……空似、だよな?」
 まさかこの世の中に同じ顔は何人かいても、同じところに黒子ができるのは双子でもあり得ないことだ。
 そう思うけれど、まさかと思いながらも、本当のことは聞けなかった。
 それがあの場所で青年を抱いたルールだ。
 受ける側からしかアプローチはしては駄目だということだ。
(まさかな……そんなのあり得ない)
それでも丸岩は離れていく嘉悦に言っていた。
「嘉悦さん、大好きです!」
 そう叫んだとたん、周りは少し驚いていたがすぐに大声で笑いが起きたけれど、嘉悦だけは真っ赤な顔をして振り返って言った。
「……馬鹿、何言ってる!」
 耳まで真っ赤にしている嘉悦を見ていたら、あれは嘉悦であるわけないと思えた。
 もしこのままアプローチを続けていれば嘉悦との関係に何か変化があるかもしれないと丸岩は僅かな希望ある未来を夢見て、嘉悦本人にアプローチをすることに決めた。
あの時の青年にではない、嘉悦本人にアプローチをするなら問題は一切ないことだ。
 そしてそれは程なくして、丸岩の願いが叶うことになるのだった。

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