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23
もったいない
「俺と別れて欲しい」
急に恋人にそう言われた。
千葉洋一朗は、その日恋人に話があると喫茶店に呼び出されていた。
何だか嫌な予感はしたけれど、案の定だった。
恋人の佐々木はエリートサラリーマンだった。誰よりも仕事が出来てそしてモテた。女性はもちろん男にだってモテた。
いつかこんなふうに降られる日が来るのだろうと思っていた。
それは二人が付き合って二年後にやってきたわけだ。
「……どうして?」
理由は聞いていないと洋一朗が聞き返すと、佐々木は少し困ったように言うのだ。
「君、セックスの時なんだか……感じてないよね……?」
佐々木がそれを指摘してきて洋一朗はそれが原因だと知った。
「そんなことはないんだけど……どうしてそう思うの?」
感じていないわけがない。
セックスは気持ちが良い物だったし、洋一朗はセックスが大好きだ。
感じ過ぎる余り乱れまくり、相手が困惑するくらいに失神もする。それを感じていないんじゃないかと疑われたのは初めてだった。
前にも恋人がいたことがあるが、今回とは逆で感じすぎて怖いと言われたことはある。けれどそれを少しセーブしてみたら感じていないになるらしい。
「だって……演技でしょ? あの感じすぎてるのって」
「……は?」
どうしてあれが演技だと思ったのか知らないが、洋一朗は演技をしたとして感じすぎないようにしただけのことだった。
「セックスであんなに感じないって……怖いわ。何やっても同じ感じだし……他の人に聞いたらそこまで感じないなら演技だって言われた。お前、演技してんだろ? そうやって俺を馬鹿にして楽しんでたんだろ?」
「そんなわけないじゃん! ちゃんと感じてるし、ただ僕は感じすぎて……おかしくなるだけで……個体差があるのに他の人の意見は聞いて僕の言い分けは聞いてくれないわけ?」
洋一朗がそう言うけれど、それでも佐々木は別れたいと言い張った。
「とにかく、俺を馬鹿にする演技をしているお前とは別れる。気持ちがもうないんだ。お前がどうこう言っても俺はもうお前とは付き合えない」
佐々木はそう言うと強引に話を押し進め、別れることになってしまったのだった。
しかし喫茶店で一人置いていかれて落ち込んでいると、急に人に声を掛けられた。
「外、見てみろ。お前が悪いわけじゃない」
急にそんなことを言われて驚いて外を見ると、一台の車が駐車場に入ってきた。そしてそこから可愛い男性が出てきて、それに手を振る佐々木がいた。
「な、あっちが他に乗り替えたから、あんたに原因があるふうに押しつけて別れたってわけか。情けないね、君の感じすぎる体を持て余しちゃったもんだから、原因を押しつけて何が何でも別れようなんてな」
誰かが隣でそう言っているが、洋一朗の目はしっかりとその迎えに来た若い青年とかち合った。
すると相手はにっこりと微笑んで手を振っている。
あれは洋一朗のよく知っている相手だった。
「兄さん……またなの?」
佐々木を洋一朗から奪ったのは兄の浩一郎だった。
「あいつ、あんたの兄さんなわけ? なるほどそういうことか。寝取られたってわけだ」
隣の席にいた男はいつの間にか洋一朗の隣に座っていて、洋一朗の耳に触れるくらいの距離で言った。
「いつも兄に寝取られてますって感じだな。あいつ、誰彼構わず寝て、既婚者とか別れさせてるやつだろ? 界隈で有名なこうちゃんじゃん」
「え……兄が有名?」
思わず隣を振り返ると、酷く美丈夫な男が洋一朗の肩に顎を乗せた状態でいた。
「あなた……誰?」
美しいと言っていい男で、明らかに元カレになった佐々木よりもかっこよくもあり、美しくもあった。だから一瞬で見惚れてしまった。
「俺は佐々木の知り合いで武田っていうもんだ。佐々木はさっき感じないからって断っていたけれど、逆だから。お前の話でよく聞いていたのは、引くほど感じまくるってことくらいだ」
そう言われ股間に手を入れられて弄られた。
「……なっ……にしてっん……んっ!」
武田の手つきは酷くいやらしい動きをしていた。撫で回してくる手が一気にファスナーを開けて下着からペニスを取り出してしまう。
「あ…………こんなこと……して」
必死に逃げようとしても通路側に武田がいるせいで逃げるに逃げられない。
「大きな声出すなよ。この席は角で店の中から孤立して誰もここまで入ってこねーよ。それに逃げてもいいがフリチンで飛び出して困るのはお前の方だろう?」
「……?」
武田の言う通り、性器を出して人前に飛び出す勇気はさすがに洋一朗にはなかった。そんなことをしたら襲われたことよりも、洋一朗が気が狂った変態にしか回りには見えないだろう。そして言い訳をしても武田が逃げてしまったら、襲われたという話自体が嘘にしか聞こえないだろう。
「……や、やめて……」
「ちょっと撫でただけで、意外にその気になるんだな」
そう言われた時にはすでに洋一朗のペニスが勃起していた。
誰かに見られたらどうしようと考えただけで、何故か興奮をしたらしいのだ。
「ああ……だめ……んふっ」
「快楽に弱い体だって言うのは、演技じゃなくて本当みたいだな」
「……ふっんんっあっ」
出されたペニスを武田の手で扱かれ初めてしまい、それだけで洋一朗は快楽を覚えてしまった。
ペニスの先から先走りが出始めてしまい、回りにクチャクチャッと粘り気のある液体の音が広がっている。
幸いなのは今時間は客が昼食を終えた後で少ないこと。席が奥の角で店員もそうそうこないこと。注文がドリンクバーとケーキだったがすでにケーキは届いているので注文を聞かれることもないこと。
店内は大きな音楽が優雅に流れていて、その向こう側の席には子供が十名くらいいて誕生日パーティーをしていて騒いでいる声がする。かなり大きな声で騒いでいるので少々声が漏れても聞こえないのだろう。
二人の席は店の一番の奥にあり、元々は禁煙席で隔離されていたためか、壁が多い席だったので余計に誰もこの席に寄りつかない構造になっている。
店の監視カメラからも死角で映っていない部分だから武田も大胆な行動に出たのだろう。
「あぁあ……っいや、それはいや……っ」
亀頭を親指でグリグリと押し、尿道を刺激するように武田の指が動き回る。
「や……っ、おちんぽっ……あぁっ、だ、だめぇ……っ」
声を殺しながら洋一朗は抵抗仕様とするも、快楽に弱い体が武田の愛撫を受け入れてしまう。
「あ……あっ、や……ああっ……あぁっ、だめ……っ」
小さな声で抵抗をしてみるも武田はそれをあざ笑い続けるのだ。
「駄目なことはないだろう、気持ちよさそうに先走りがでまくってるぞ」
「ああ……いやだ、触らないで……っ」
そう言って洋一朗が武田を見ると、武田は蕩けた顔の洋一朗にゴクリと喉を鳴らした。
「このまま一回出そうか……洋一朗?」
耳元でそう囁かれて洋一朗は焦る。
「むり、むりですっ、むりぃ……っ」
こんな公共の場で知り合いですらない男の手で射精を強いられるなんて、恥ずかしい以上に罪悪感や背徳感など様々な思いが浮かんでくる。
「やだ、ぁああ……!あっ、あっ……」
「ほら、もうパンパンだ。イクんだろ、淫乱雌犬が」
武田に耳元でそう罵られてとうとう洋一朗はファミレスの中で射精をさせられてしまう。
「やだ、なんで……っ、こんな、ところで……ああ、イカされるっんあああー……っ」
ビクビクと全身を痙攣させて射精をすると、吐き出した精液を武田がお手拭きで受け止めてくれた。そのお陰で飛び散ることはなかったが、それで終わりではなかった。
武田は絶頂して痙攣している洋一朗の体を席の隅に追いやり、ソファに四つん這いにすると洋一朗の下着とズボンをズラして下半身を露出させた。
「はふっ……は、ぁん……っ、や、だ……っ、なんで……っ」
「お前エロすぎるんだよ……アナルもしっかり準備出来てるじゃねえか」
「あゃ……ああっ、あぁっ、あぁ……っ、だめ、……だめぇ……っ」
アナルに指を突き入れられて十回ほど擦られた後、武田は洋一朗のアナルにペニスを突き挿れてきたのだ
「はんっ! ぁ、やあぁ……っ、やめ、いやあぁ……っ」
ズップリと一気に突き挿入れられると、遠くの席で子供の騒ぐ声が聞こえてきた。
大きな声で何か食事を落としたのか、店員と女性の大きな声が響いてきている。
他に客はやってこず、ちらりと見える窓の駐車場には車も入ってこない。幸いなのか徒歩の人間は一人、二人ほど入ってきたが、手前側の席に行ってしまうのか奥の席には誰もこなかった。
「あっん、はっ! は、ぁん! ぁ、ぁ、ぁっ」
「さくっとやろうぜ。たまんねえな。普通ここまでやらせてくれるヤツいねえんだよな。いいよなファミレスで隠れてセックスとか、AVかよ」
武田はそう言いながらも早急に挿入を早めてくる。
「や、ぁ、あっ! や、め、……っだ、あ、ぁ、あっあっあっ!」
これはきっと武田が射精をするまで終わることはないのだと洋一朗は思い、協力した方が早く終わるのだと思い直した。
「はぁ、ああ、んっ……あっ、はやく、イッてっんんんうぅっ……!」
ズルズルと奥を突いて出てくる武田のペニスは、洋一朗が好きな形をしていた。
それが奥を抉り、中を犯してくるのが堪らなく気持ちが良くて、洋一朗はこれに負けそうになっていた。
「あぁっ、やぁ、あ……っ! んんっ……んう――……っ」
「やべえな、この雌ま○こ、最高に気持ちがいいんだけど……なんでこれ捨てるのか理解できねえよ……」
「あぁっ、ああ……っあああぁ……んんっ」
「この奥がめちゃくちゃ反応がいいな……もっと欲しいだろう?」
「ひぃうっ、く……ぅああぁ……っ」
あり得ない奥まで抉られ続け、人が来ないことを祈りながらもそれでも洋一朗もこの行為をスリル一杯楽しんでいる自分に気付いた。
「はうっ……!ああぁっ、んっ、く……あうぅ……っ」
佐々木のペニスもかなり大きい方だったが、長さが足りなかった。しかし武田のペニスは大きさもぴったりで長さは想像以上にあり、結腸辺りまで亀頭が入るんじゃないかと思うくらいに反りもあった。
「あっ、あっ、ふ……んんっ、んあっ」
声を上げてもファミレス内はこの行為に気付いている人はいないようで店員も昼休みに入っている人が多いのか、フロアには誰もいなかった。
声も子供の奇声にかき消されているし、音楽が少し大きめにされているのは子供の声を嫌った店員がわざと大きくしているのだろう。
客も来ない時間帯なのでゆったりとした店の中であるが、まさかセックス本番をこそこそとしている輩がいるとは思ってもいないようだった。
「あぁああぁっ、あ……! ああ……っ、あっ、あうっ……」
なるべく服に口を押し当てて声を殺しているお陰で音は店内には響いていなかった。
「おら、おま○こに中出ししてやる、受け止めろよっ」
「ひ、いっや……、やらっああっは……ああっん゛んっ……、ふぅっ、ん゛むっ、ん~~~っ」
武田は本当に中出しをして、精液を奥へと吐き出した。
その感触を受けて洋一朗も絶頂をして、声が響かないように服を噛んで絶頂をした。
「おお、出た、しっかりしぼりとってきたな……さすが淫乱ま○こだ」
「んふ……やっ……、あぁ……っ」
アナルからペニスがスポンと抜けてやっと終わったと洋一朗がホッとするもその束の間、武田は洋一朗に跨がってきて洋一朗の口にペニスを突き挿れてきたのだ。
「ほらしっかりお掃除するんだ、洋一朗?」
「んっ、ふぅ、んんっ……」
喉まで突き挿れるように武田が洋一朗の頭を掴んでペニスを出し挿れし始めた。
「んんーっ……、んっ、んぅ、んっんっ」
「さっすが淫乱ま○こを持つ洋一朗だな、口ま○こもイケるな……おおたまんねえな喉にひっかかって」
「ふぁあっ、んっ、んっ、はぁっ、ぁっ」
イラマチオをされ、喉をペニスで犯される。初めての男のペニスを咥えさせられて、しかも場所はファミレスだ。見つかったらもう終わりで、警察を呼ばれて世間に知られるかもしれない。まだ店員だったらいいが、客に見つかったら大騒ぎだろうし、それが知り合いだったらそれこそ人生が終わる。
「んっん、ん、んっぅっんっ」
「たまんねえわ、これ。捨てるっていうなら遊んでやろうと思ったけど、これは俺が貰うわマジで最高」
「んんーっ、んっ、んんっ……!」
武田は恍惚の表情を浮かべて、腰を振り続けている。
無理矢理喉まで押し入れて引き抜くという行為なのに、洋一朗はそれでも感じていた。
「んーっ……ん、ふぁっ、はぁっ、ぁん……」
「よっしゃ、飲めよ洋一朗」
そう言うと武田は喉の奥で精液を吐き出してきた。
「ん゛んっん゛、ん~~~っ……」
洋一朗は必死にその精液を飲み込んだ。
吐き出したら席を汚してしまうと思ったから、証拠隠滅の意味でも飲むしかなかったのだ。
やっと洋一朗の口から武田のペニスが出ていったけれど、それでも行為は終わらなかった。
武田はすぐさまペニスを勃起させると、今度は床に洋一朗を連れ込んだ。
どうやら店員がちらりとこちらを見に来たらしいが、武田が戯けて手を振って返したらそれで店員は引っ込んだらしい。
「やべえな、マジで。でも止めらんねえわ」
そう言うと床で四つん這いにさせて洋一朗のアナルにまた武田がペニスを突き挿れてきた。
「あ、は……あぅ、あうぅ……んんっ……は、あー……っ」
もう洋一朗は完全に武田の手によって堕ちていた。
されるがままでただ快楽を追うだけになり、声を殺すためにお手拭きを口に噛んでまでして必死に声を殺しながらも、武田のペニスを求めた。
「ん゛むっ……、ん゛っ、んっ、んんぅっ……、んっ、んっ」
信じられないほど気持ち良くて、洋一朗は一緒に腰を振った。
もう見つかってもよかったし、そんなことはどうでもいいとさえ思うくらいに気持ち良くてどうしようもなかったのだ。
「ん゛んっ……、ふぅっ……ん゛っ……」
「やっと素直な淫乱ま○こになったな……洋一朗、それでいいお前はそのままでいい」
「ん゛んっ……ふぅっ、ん゛むっ、ん~~~っ……」
「洋一朗の声が聞きたいから、これが終わったらホテルに行こうな? 時間たっぷりあるだろう。おもちゃも使って沢山可愛がってやるからな?」
「んん゛むっ……ん゛っんっんんぅっ……んっんっ」
そのままの洋一朗を可愛がってくれるという武田に洋一朗は何度も頷いた。
そうして欲しい、もっとして欲しいと思ったからだ。
それに満足したように武田が三度目の射精をしてきたのだった。
「ほら、中出し最高だろう? しっかり受け止めろよ……おらよっ」
「ん゛っふぅっ、ん゛むっ、ん゛~~~~……」
三度目の精液をしっかりと洋一朗はアナルで受け止め、それを気持ちがいいと感じて絶頂をしていた。
もちろん武田は洋一朗のペニスが吐き出す精液はしっかりとお手拭きで受け止めてくれた。
その後、二人はそそくさと片付けをしてから服を直して汚れが残っていないのを確認してからファミレスを出た。
幸い、まだお子様たちのパーティーが続いていたようで騒がしい中だったし、店員には賑やかですみませんと謝られた。
全く気付かれずに済んだようだったが、さすがに洋一朗は二度とこの店には来られないなと思った。
そして二人はそのまま武田の運転する車でホテルまで直行をしてセックスを楽しんだのだった。
その日に確かに失恋をしたけれど、洋一朗には新しい恋人が出来た。
武田は洋一朗にすっかりと惚れ、洋一朗の兄である浩一郎にちょっかいをかけられもしたらしいが、靡くことはなかったので、洋一朗からすれば、佐々木と別れて正解だったと思うような展開になっていた。
浩一郎は別に佐々木が好きだったわけではなく、洋一朗の恋人を奪うのが好きなだけだったので佐々木はあっさりと捨てられていたから、洋一朗としてはそれで佐々木への復讐はできたのではないかと思った。
そして確かに武田と佐々木は知り合いだったらしいが、どうやら最初から武田は洋一朗に惚れかけていて、佐々木に色々と洋一朗を手放すように吹き込んだらしく、それを佐々木が真に受けて、そこに浩一郎がちょっかいをかけてきたので靡いてしまったらしい。
それを佐々木に暴露されたけれど、武田は誤りもせず。
「え、恋の駆け引きってそういうことだろう? 自分が信じ切れず勝手に浮気しておいて、全部俺のせいってことはないだろう?」
と開き直ったので洋一朗もその通りだなと思えたので不問とした。
だって今は武田に愛されているから、そんなことは些細なことだと思えたのだった。
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