shortshort 16

十まで依存

 昔から金村輝明にはいつも面倒を見させられている幼なじみがいた。
 幼なじみの名は河本純といい、少し頭が足りない感じの子だった。けれど支援を受けるほどではないため、普通に授業を受けているがいつも少し足りないので、誰かが助けてあげなければならなかった。
 そんな純のために金村は席が一つ違いであるというだけの理由で、純の面倒を見させられていた。
 最初は席順、その次は家が近いという理由だった。
 さすがに途中で何で自分だけが純の面倒を押しつけられているのかと思って抗議をしたが、担任には「なんて酷いことを言うの、仲間なのだから助けてあげるのは当たり前よ」と発狂され、親には「そういう子は助けてあげないといけないんだ」と言われ、純の親には「いつもありがとうね、これからもよろしくね」と誰も大人は助けてはくれなかった。
 純に辛く当たっても、金村が怒られるだけで、クラスの人たちは自分たちが純の面倒をみたくないからという理由で金村だけを攻め立てた。
 当然、それで金村がグレない理由がなかった。
 中学に入るとあっという間にグレ、純のことは放置したつもりだった。
 けれど純はそんな金村を見つけては近付いてきて、金村に突き飛ばされて怪我をしてしまう。そして金村は純に関われば関わるだけ不利になり、停学を食らった。
 そんな停学を食らった日に、純は申し訳ないと金村の家を訪ねてきた。
 金村の家は共働きで、最近は母親の方が出張が多く忙しい。父親は単身赴任で海外に行っていて家には誰もいないことが多かった。
 家の事や家事も全部自分でしないといけないストレスも金村は抱えていて、純に八つ当たりをしていた。
「あの、輝くん」
「何だよ、お前が謝っても俺の停学はなくならねーよ」
「僕、何でもするから、お願いだから、輝くん、僕を嫌いにならないで……」
 そう言う純だった。
 いつもそうだった。
 純は悪くはないのだ。ただ純にとってずっと面倒を見てくれていた金村は当たり前に優しい存在でしかなかった。
 他の友人たちは遠巻きに関わるだけで決して純のために何かをしてくれたことはなかった。その中で文句も言うし、イヤだといいながらも面倒を見てくれたのは金村だけだった。
 だから金村がグレた時は本当に純は悲しかった。
 金村がグレ、何とか純はそれまでの金村のお陰で普通に生活ができるようになっていたからか、周りは純を金村から遠ざけようとしてきた。
 関わっては駄目だ、あんなグレた不良なんてと平気で金村を貶した。
 それが純には納得できなかった。
今まで純を助けてくれたのは金村であり、今親切な風を装って近づいてくる人たちはいい人ぶりたいだけなのだと純だけには分かった。
「僕には輝くんだけだ……他の人なんて……知らない」
 そう言う純を見ていると金村は本当に腹が立った。
 その日は暑かった。
 夏休み前の酷く暑い日で、エアコンを掛けていたほどの熱さ。テレビでは日中の温度が三十度近くになるので気をつけるようにと言っていた。
 玄関先で話していたから外の熱さがそのまま入ってきて、金村も純も汗を掻いていた。
 首筋を伝って汗が一筋、純の肌を滑っているのを見た金村はやっと自分が何に苛立っているのかを知ってしまった。
 純は何だか色っぽかったのだ。
 金村はセックスを知ってしまったからこそ、余計に純を性的な気持ちで見てしまった。
「へえ、俺がやれって言ったら何でもやるんだ?」
 そう声が少し震えていたと思う。
 純はそれに頷いた。
 

 部屋に入ってきてもエアコンの効いている部屋に入っても、二人は汗を沢山流していた。
 純は金村が言うように素直に服を脱いで全裸になり、椅子に座っている金村の前に座った。
 金村は勃起しかけているペニスを出して純の顔をペニスに付けて言った。
「だったらできるだろ。フェラチオ」
「……え、あ、うん……」
 純は少し戸惑っていたし、顔も赤かった。けれど赤い顔はもしかしたら暑さの熱だったかもしれない。
 金村は純がこれで絶望して去ってくれればいいとさえ思っていた。
 けれど純は跪いて金村のペニスを握ると、それを擦りながらペニスを舌で舐めた。
「……ふ……そうだ……そうやってしっかり舐めるんだ」
「んふ……は……んんっは……あっんんっ」
 純は必死に金村のペニスを舐めた。
「んふ……んんんっ……んふっんんんっ」
 その舌使いは慣れていないけれど、それでもちゃんと気持ちよくさせようとしているのは分かった。
 純が必死に金村のペニスを舐めながらも興奮しているのは金村にも分かった。
 純は金村のペニスを口に咥えて舐めながら、自分のペニスを勃起させているのだ。
 それは先走りさえ垂れ流し、床を濡らしている。
 汗を垂れ流しながら朝の十一時に幼なじみにフェラチオをしてもらうなんてきっとこの暑さのせいでおかしくなっているのだ。
「んふ……んんんっ……あは……ん……ふ……ふっ……んんっ」
 先走りが漏れるペニスを綺麗に舐め取り、精液さえ嬉しそうに飲んでいる純を見ていたら、金村の思いも止まらない。
「お前、今日学校はどうした」
 さっきは気にならなかったことが気になった。
「んふ……暑くて、しんどかったから早退した……母さんは仕事だから一人で帰ってきた……ふ……んっんっんんんっ」
「そうか……じゃあ、時間はあるわけだ」
「んふ……んんっあ……んっ」
 金村はそう言うとニヤリと笑った。
「よし、出すからしっかり飲めよ」
「んふふっ……んんっんっんっんっんんん――――――!!」
 純の口の中で金村は射精をした。
 人生で初めて他人の口の中で射精をしたわけだが、それはとても気持ちが良くて精液が出るのが止められなかった。
「んふ……っ!!」
 純は言われた通りにしっかりと金村の精液を受け止めて、喉を鳴らして飲み込んでいる。
 堪っていた精液をたっぷりと吐き出してやったが、それでも純の口から出てきた金村のペニスはまだ勃起を保っていた。
「全部飲んだか? 見せてみろ」
 そう言うと純は口を開けた。
 口の中に吐き出した精液は綺麗になくなっていた。
「ほら、まだ俺のが汚れている。もっと綺麗にするんだ」
「……はい……ん……あ……」
 純はそれを見てまた金村のペニスを咥えたが、急に身体を震わせたかと思うと嬌声を上げていた。
「んふ……ああああああああっ!!」
 そう言い、純はペニスを咥えて精液を飲んだだけで一人で絶頂をしていたのだ。
 純のペニスから精液が吹き出され、それが金村の足を濡らした。
 そんな純の姿に金村は更に興奮をした。
 床に純を押し倒し、金村は純のアナルを舌で解した。
「ああっ!! 輝くんっああっ!!」
 全身に汗を掻きながら二人でお互いの性器を舐め合い、舌が疲れるほどただ舐め合った。
 ちゃんと解れた純のアナルに金村は大きく勃起しているペニスを突き挿入ていた。
「あああっ……ううああっ!!」
「純……身体の力を抜け……キツい……」
 もちろん簡単に挿入るわけもなく、金村は純のペニスを扱いて力が抜けるように手伝った。
 すると純はやっと息をちゃんとして力が抜けると金村は根元までペニスをアナルに挿れた。
「はう……ああっ……うあっ……」
「はぁはぁ……暑いな……」
 エアコンが効いているはずなのに暑くてどうにかなりそうだった。
 それは純も同じで、二人は息を整えた。
 しかし先に耐えられなくなったのは純だった。
「ああっ……何か……ああっんふっ」
「お前……腰、動いている……ぞ」
「何か、お腹むずむずしちゃう……輝くん……お○んちん気持ちいいかも……ああああっ!」
 純はそう言ったから金村は煽られている気がした。
 自分から仕掛けたはずのことなのに、純から漂ってくるのは淫らな空気ばかりだ。
「ぁっぁっあっあっ、だ、おか、おかしくなっ……!」
「純……ああ、お前すごい……」
「あっあっあっ!? ゃ、あああぁっ! いやっいやああ!」
金村はやっと動けるようになると腰を振り始めた。
 純はその感触にあっという間に絶頂をしていた。
「ぁ……あふ……、は……はっ……な、に、……やら……なに、あ、ぁ! ま、待って……ま、まだ、いった、ばっ……あっあっあっ!」
「はは……さすがにオナニーは知ってたか……セックスのことも知っていたみたいだし、俺とこうなるのを期待していたとか?」
 金村は純のアナルが以外に馴染んでいるので、純はそうなることを見越してここにきたのかもしれないと思ったのだ。
「ぁあああっ! あぁあっだめ、らめ、あっあっあっま、またっ……またいっちゃ……っ! あっあっぁあ……!」
純は金村に激しく突き上げられながら初めてなのに絶頂ばかりしていた。
 自分でするよりも強烈で、そして何より大好きな金村にして貰っているから嬉しくて嬌声を上げた。
「あぁああっああぁあ……っ! おっきいっおちんぽっ……奥まで……っ奥まで来てるっ……奥っ……あぁあっ! おちんぽ、きもち……っ、きもちぃ……っ──!」
「……お前、マジでこっちの才能あるのかよ……いいな、可愛がってやるよ」
「あぁっ! はぁああ、おちんぽ奥ぅ……っ奥、あっ、ごりごりぃっん! もっと突いて……っ!」
言われるがままに二人はもつれ合い、エアコンがほぼ意味をなさないほど熱い部屋の中でひたすらセックスに興じた。
「あぃひ……っぁあ、あ、あ、あ! ふぁああ……んっいい、ぃいいいっ!」
「純……もっとだ、もっと」
「ああぁん……んふぅっあんっあんあん! おちんぽっ……おま○こもぉっあ! ぃひぃいいいーっ!!」
 純は卑猥な言葉を口から発して、金村を求めた。
 ずっと純は金村に抱かれたかった。ずっと金村だけに構って欲しかったのだ。
 それが今、叶っている。
「ああぃああ……っぁんいいぃいい……っ! もち、ぃっ、おま○こいいっあっ、んぁあ……っはぁあ……ぁっ、あっ、あっんふぅっ……ぁん、あんっ……んぁあっ」
「純……中に出すぞっ受け取れ」
 金村はそう言うと純の奥深くで精液を中出しした。
「あぁんっあんあん! ひぁあぁあっ……すご、凄いぃいいっ! おま○こぐちゅぐちゅっ……ああぁんっいい! いいよぉっ……もっとぉっあん!」
純はそれを受け止めて激しく絶頂をした。


 二人はただ夢中で絡み合った。
 お互いに汗まみれになりながら部屋で乱れた。
 その日から、金村の母親が出張で五日間いないことをいいことに純は金村の家に泊まり込んだ。
 どうして純がそんな無謀なことができるのかと金村は思っていたけれど、純の家はとっくに家庭が崩壊していたという。
 純を巡ってまず父親が浮気を繰り返し、浮気相手が妊娠してしまったことで離婚をしたという。そして母親は純を置いて夜の店で働き始めたら家に戻ってこなくなったという。
 もちろん学校行事などで連絡が行くけれど、その時だけ家に戻ってきて純の生活費を置いていくのだ。純はもう一年もそんな生活をしていて、他に頼る人がいなかった。
 周りの家の人々も純が一人で暮らしていることには気付いていないのだという。
 たまに母親を見かけることと、母親が外面がよかったせいだ。幸いなのは暴力などを振るわれたことはないことと、純を連れていこうとしなかったことだ。
 純は生活面はずっと祖母に教えて貰っていたから不器用だが家事もできるし、一人で暮らしていく未来を危惧した祖母によっていろいろ教え込まれたそうで、祖母が施設に入ってしまってからは純は一人で一通りはできるようになった。
 けれどそのせいで学業が更に疎かになっていた。
 そして唯一その手助けをしてくれていた金村がグレてしまったので、勉強の成績は地の底まで落ちてしまった。
 これでは高校には何処にも受からないと言われてしまい、純はどうしても金村に勉強を習う必要があった。
 金村は勉強だけはできる地頭がいいから、純への教え方も上手いのだ。
「僕、輝くんと一緒のところにいきたい……輝くん、いっぱいエッチしたら、ずっと一緒にいてくれる?」
 そう言う純に金村はもうこの可愛い生き物を手放すのは諦めた。
 イヤだといいながら見捨てることができなかったのは、純に惚れていたからなのだ。
 ずっとモヤモヤしていた気持ちがすっと晴れていく気がして、金村は微笑んだ。
「いいよ、ずっと俺の隣にいろ。お前のことは一生俺が面倒みてやる……」
 金村が観念してそう言うと、純はニコリと笑った。
「うん、側にいる」
 きっとこの酷い環境から抜けるには、大人の力も必要だろう。
 金村は自分たちに関心のない大人から如何にして二人で一生居られるようにできるのか頭の中で一生懸命考え始めたのだった。

 

感想



選択式


メッセージは文字まで、同一IPアドレスからの送信は一日回まで