shortshort 09

侵略する

 倉西は二ヶ月前に引っ越した。
 それまでに住んでいたアパートからマンションであるが、中古の年季の入ったマンションである。
 その部屋は大きめの部屋で、普段はファミリー層に貸し出しているのだが何故か今回は独身の男性のみへ貸し出しであると銘打たれていた。
「何ですかこれ……家賃も七万ですか?」
 部屋が三つあって、リビングも十畳ある。バルコニー付きで日当たりもいい。どう考えても相場からして十二万あたりはする物件だった。
「ああ、そこ最近リフォームして防音設備も付けましたけど、何でか人がいつかないし、夫婦が離婚ばっかりするんで……縁起が悪いというか……」
 不動産屋はそう言い、幽霊が出るわけではないんですけどねと、理由が分からない不幸が起きているらしい。
「もう十組くらい皆飛びついて入ってくれるんですけど、離婚が四組、離婚はしなかったけれど、事故で寝たきりになったり、殺人事件に発展したりして、結局事故物件になったりもしたんですけど……どうします?」
 念を押してくる不動産屋の説明にやめておいた方がいいですよという意味合いが込められていたけれど、この地域でこの値段、しかも駅まで五分、会社からも自転車で二十分という立地に魅力がないわけない。
「目の前で肉を焼きながら、食べるとやばいですよって言われているみたいです」
「でしょうね……だから、夫婦とかカップルが悪いんじゃないかなと思って、なら独身で、女性だと問題が大事だったら困るので、男性という限定にしてあるんですよ……いわば、実験ですね、大丈夫かそうでないかの」
「それで出て行った人は何か言っていたんですか?」
 もちろん離婚理由なり、怪我した理由など色々調べはしただろうと思って聞いてみると不動産屋は言った。
「それが、奥さんは言いたくなさそうだったし、関係ないからと言って絶対に言ってくれないし、旦那さんも口籠もって、いやそのとかしか言わないんですよね。離婚理由は性格の不一致だったりして、割と飽きたんだな~って言う感想だけど、怪我をした人は、どうやら背中を押されたと言っているんですけど、犯人は誰か言いたくなさそうで……そういう人も住んでいるから仕返しも怖いと……どうします? 何なら敷金礼金なし、絶対に引っ越さないって言うなら、もう一万負けますけど?」
 どうやら部屋を遊ばせておくわけにはいかない理由もあるようで、最低限のお金が取れればいいという態度だ。
 敷金礼金なしで一万値下がり、家賃六万になった魅力的な部屋。
 一応事件が起きたので事故物件であるらしいが、部屋でなくなったのは最初の夫婦だけで理由は夫婦喧嘩の果てであり、不倫を疑われた夫が妻に刺され、その返し刃で妻を殺してしまった事件だった。
 そして誰も幽霊が出たのかと聞かれて、キョトンとして違いますと機嫌を損ねたという。
 怪しさ満点であるが、もう一声が欲しかった。
「うーん、魅力的なんですけどね。もう一声ないですか?」
 そう言った曰く付きだからこそ、埋めたいのだろうと足下を見た発言をしたところ、不動産屋はどうしても埋めたかったらしくてふうっと息を吐いて言った。
「いいでしょ、家賃をもう一万引きますよ。けど、二年契約でお願いしますね!」
 家賃五万になって、二年契約になったけれど、もちろん倉西はそれで部屋を見せてもらった。
 部屋は綺麗なリフォームをした後で、シミ一つなかった。
 二度目のリフォームをしたばかりで、防音にしたのはそのためだ。
 角部屋で隣はシングルマザーの人が子供一人と暮らしているらしいが、昼間はいなかった。
「いい部屋じゃないですか、契約しますします!」
「おお、いいですね。二年ですよ、よろしくお願いします」
 不動産屋はよろこんで契約をしてくれて、さらには新品の電化製品も付けてくれた。もちろん次に引っ越すときは二年が過ぎていたら持って行ってもいいと言われた。
 ここまで至れり尽くせりで大丈夫かと少し不安になってバルコニーに出たところ、ちょうど隣の部屋との境界線にある塀のした部分が壊れていてそこから少年が覗き込んでいるのに気付いた。
年齢は小学高学年くらいだろうか。
 そんな幼さが残るような顔つきだった。
「あ……!」
 こんなところに不備があるとはきいていなかったので不動産屋に言おうと思うと、少年がシッと口に指を当てて黙っていて欲しそうにしている。
 何だか寒そうに体を震わせているのに気付いたけれど、何だか言わない方がいい気がして言うのはやめた。
「……ありがとう」
 少年はそう言うと、剥がしていた壁の一部を元に戻すように置いた。
 そしたら向こう側で声がした。
「早く入りなさい……っ!」
 ヒステリックな母親風の女性の声が聞こえて少年は部屋に入ったようだった。
 隣はいないと思っていたが、どうやら静かにしているだけだったらしい。
 そして曰く付きではないが、もしかしたら隣はヤバい親子なのかもしれないことに気付いた。
 しかしもう契約をしてしまったので今更辞めますとは言えなかった。
 とにかく穴が開いているところに物を置いておくことにして、引っ越しをした。
 引っ越して三日ほどして、物音が全然響かないことに驚いたけれど、他の部屋もリフォームをしていたらしく、防音もしっかりしているのは確かだった。
 隣から虐待の声が聞こえたらどうしようと思っていたが、それも杞憂に終わった。
 一週間もあっという間に過ぎ、そして一ヶ月が過ぎた時に、倉西は始めてちゃんと隣の少年と玄関先で出会った。
「あ、この間の人……」
 少年がそう言って笑いかけてきた。
「ああ、あの時の」
「あの時はごめんなさい。実は、怒られた時にベランダ通って隣に移動して隠れていたんです……」
「あ、そう。今は大丈夫?」
 殴られているのではないかと思い心配をすると、少年は少しだけ困った顔をしていた。
「貴方は悪くないけれど、隣にいけなくなったので……逃げ場所がなくて」
 そう言われてしまい、何だか悪い気がした。
「あーいつもいないけれど、ベランダくらいならいてもいいよ。壁の荷物どけておく」
「あ、ありがとうございます!」
 少年はぱっと笑顔になってお礼を言った。
 それからだった。
 少年は時々ベランダに来ているようで、張り紙でありがとうと書かれているものがあったりした。
 頻繁に続いてとうとう倉西が家にいる時間に訪ねてこられたこともある。
「ごめんなさい……寒くて」
 避難してきたのはよかったが、あまりの寒波の時だったせいで、少年は寒さに負けた。
 さすがに部屋に入れないわけにもいかず、倉西は部屋に入れてやった。
 暖かいこたつに入るようにいい、体を温めさせた。
 少年はただ倉西が与えるものを素直に受け入れて、こたつで暖まりながら結局そのままそこで寝た。
 さすがに布団は予備がないので貸すわけにはいかなかった。
 そして倉西はもしかしたら貴重品がなくなるかもしれないという覚悟をした。
 けれど少年は度々やってきても、倉西の部屋から何か盗むことはなかったが、その代わりにだんだんと倉西にスキンシップをしてくるようになった。
 べったりとくっついたりし始めて、気付いたら腕を組んで外を歩くことさえあったほどだ。周りは可愛い弟が兄にしがみ付いているように見えただろう。
 しかし倉西はだんだんと自分が奇妙な気分になっていることに気付いた。
 少年の名前は尾羽俊哉といい、中学生になったばかりだった。
 幼い姿なのは、虐待を受けていたから体が大きくならなかったせいだと言われている。栄養も足りてなくてよく学校から母親に栄養を取らせるように言われるらしいが、母親は言うことを聞かないという。
 そういうわけで、放っておくことができなくなってしまい倉西は俊哉にご飯を食べさせるようになっていた。
 そこに越してから二ヶ月も経つと、部屋に帰ると俊哉がいるのが当たり前になってしまった。
 けれどさすがに鍵は渡せないので、いない間は俊哉はベランダで座って待っていることが多くなった。
そんな時だった。
 布団で寝ていると、寒くて目を覚ました。
 その日も少年は家を追い出されていた。
 母親が売春をしていて、男が家に来ると問答無用で追い出されるらしく、今までも隣に住んでいる人に助けてもらっていたと俊哉は言った。
 あれだけの不幸があった隣人たちは皆親切だったという。
「でもね、急に引っ越していなくなったり、事件が起きたりして……何でか皆、いなくなっちゃうんです……悲しいです。皆良い人ばかりだったのに……」
 そう俊哉は言っているほどだった。
 だからその出来事に俊哉が関わり合っているのかもしれないと思った。
 ただそれは俊哉の母親が何かをしたという意味で疑っていたのだ。
 目を覚ました時に、倉西は自分の息が上がっていることに気付いた。
 そして奇妙なほどに気持ちがいいという感覚が襲ってきて驚いた。
「う、あああっなん……あっくそっ俊哉、なにしてっ」
 俊哉が倉西の上に跨がっていて、その上で腰を振っているのだ。
「ああぁああ……っゆる、許し……ってぇ……!」
「と、俊哉、なにやってっ」
「僕、いんらんっなの、僕は、い、らぁなのぉおっ! ひぁんっもっとぉ……おちんぽっ足りな、よぉっ」
俊哉は倉西のペニスを自分のアナルに挿れて、腰を振ってくるのだ。
 その腰使いは慣れたもので、倉西はとても冷静に対処ができないほどに、ペニスが勃起をしていて思わず腰が動いたほどだった。
「あぁっ! はぁっ欲し、おちんぽ奥ぅ……っ奥、あっ、ごりごりぃっん! 突いて……っ!」
 完全に俊哉の腰使いでペニスを勃起させられた倉西は、本気で俊哉に食われていた。
「あぃひんっおちんぽ硬くなった……ああはんっ……っぁあ、あ、あ、あ! ふぁああ……ごりごりっいい、ぃいいいっ!」
「と、俊哉、あっああっくそ」
「ああぁん……んふぅっあんっあんあん! おちんぽっ……僕のおま○こ、気持ちがいい? いいよね、みんないいって言うんだよっああっあ! あぃひぃいいいーっ!!」
「くそっきもちがいい……俊哉、なんてことだ……」
「ああ……倉西さんのおちんぽ、いい……っ! もち、ぃっ、おま○こいいっあっ、んぁあ……っはぁあ……ぁっ、あっ、あっんふぅっ……ぁん、あんっ……んぁあっ」
まるで夢を見ているかのように、淫乱な俊哉に煽られてしまい、目が覚めているのにこれは夢だと倉西は思うことにした。
 こんなことが現実にあって堪るかと思ったのだ。
「おちんぽっぁんっあんあん! ひぁあぁあっ……すご、凄いぃいいっ! おま○こぐちゅぐちゅっ……ぁんっいい! いいよぉっ……もっとぉっあん!」
グチャグチャと音がなるほどにすっかり俊哉のアナルは蕩けているのに、しっかりと倉西のペニスを包み込んでくるせいで、倉西はそのまま俊哉の腰使いで絶頂をさせられた。
「ふぁああん あ! あ! おま○こいいぃいい……あっ! イクっイクぅううう――っ!!」
俊哉も派手に絶頂をしたけれど、射精はしなかった。
 けれど体中を痙攣させて絶頂はしているようなので、ドライオーガズムで達したらしい。
「んふ、ぁああんっ……あーっあっぁあんっ! あっはぁん! おちんぽぉっ……あっ、あっ、んあ……っ?」
俊哉は恍惚な顔を浮かべて倉西を見ている。
 それはきっと合図だ。
 誰もが逆らえなかった合図なのだ。
「くそ、この淫乱がっ!」
 倉西は起き上がり、俊哉を組み敷くと一気に俊哉のアナルにペニスを突き挿入ていた。
「あおちんぽきたっああっまた大きくなってるっあんっあんっあんっ! あ゛ひっんっあぁああーっああぁっ……、んっあっあっ、あ!」
そう言うから倉西はもう遠慮をすることはないと、俊哉の乳首に唇を寄せて吸い付いた。
「やぁっんっあ゛はっうあっんあ゛っあんっきもちい、あんっちくびっ舐めながら、おちんぽでゴリゴリされるの気持ちいいっあっひあぁんっ」
ジュルジュルと音を立てて乳首を吸い上げて、腰を乱暴に振った。
「ああんっ、ちくびぃ、んっぅ……ひぁあんっ!! ふぁっ、おちんぽいいっ、ちくびも、すごいよぉっ」
俊哉は嬌声を上げて喜び、ただ倉西から与えられるものを受け入れて喘ぎ続けた。
「あん! ふああぁんっ! あ――っ! あっあっあっ、また……ぁ! またいくっ……いくっひぁああぁあ!!」
「くそ、出るっおおおっ!」
「あああぁんっ、おちんぽっすごいっ……! あっ、ぁんっ、ふあぁっ、いってるのぉっ! せいえきでてるよぉっ!!」
 精液を中出しされて俊哉はドライでまた達したけれど、それを押さえて倉西は強引に俊哉の奥を突き上げていた。
「あ゛ひっあ゛っらめっいってぅ、い゛ってるからあ゛っあああっ! いやっあっあんっあんあんっ」
俊哉もそれは予想をしていなかったようで、びっくりしながらも嬌声を上げている。
「あ゛んっらめっ、おま○こ、おちんぽっらめぇっ、あっあひっあ゛っあんっ」
精液をかき出しながらペニスの挿入を早めていき、更に奥まで突っ込んでから倉西は精液を奥に吐き出した。
「あんっあんあんっあ゛っあひぃっ! いいっああっん、ああぁんっでてる……おま○こに精液でてる……ああん」
 俊哉は満足げにそれを受け取り、そしてまた絶頂をしている。
 もちろんその日それで終わらなかった。
 倉西は開き直ってしまい、俊哉を一晩中犯した。
 もう一回するよりもやれるだけやってしまったとしても同じだったからだ。


 翌朝には特に変化はなかった。
 俊哉はいつの間にか部屋からいなくなっていたけれど、その日も倉西が仕事から帰るとやっぱり部屋にやってきた。
 そして服をめくり上げながら倉西を誘った。
「僕を、犯して」
 俊哉がそう言うので倉西は俊哉をむさぼり食った。
「ああっああっぁはっ……はぁんっんっぁん! おちんぽぉっ……おちんぽ凄いぃいい……っ」
「俊哉、ああ、気持ちがいい……っ」
「あっ、あっ、ぁん! んふぅっぁおま○こっひ! ひぁっあぁああんっ……もっと、もっとっん、はぁんっあっあぁああっ! おちんぽ……っ凄いい、いいのっ!」
俊哉は強引に欲しがり、喘いで倉西を煽った。
「あああぁっあっあっあっ! おちんぽ好き……っおちんぽしゅきぃいいっ!」
 きっと俊哉はこうやって隣の夫婦関係を壊してきたのだろうと倉西は思った。
 そりゃ誰も原因は言わない。
 隣の少年に家庭を壊されたと言ったら、その少年を犯したことで二人が責められるのだ。
 夫は俊哉を抱き、妻は俊哉に抱かれていたのだと思う。
 殺し合いをした夫婦は、俊哉を取り合ったのだ。
 そして靡かなかった妻は階段から突き落として殺そうとしたのは俊哉だ。
 そうやって隣の家族に入り込み、体を使って支配してきたのだ。
 けれど、それもきっと倉西で終わるだろう。
 倉西には壊れるものは何もない。
 ずっとここにいて、俊哉が飽きるまで続けるだけだ。

感想



選択式


メッセージは文字まで、同一IPアドレスからの送信は一日回まで