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08
いつかの路地裏
深美隼介(しゅんすけ)は久々に実家に戻った。
親が亡くなり、その葬儀のために戻ったのだ。
「本当に力落とさないようにね」
そう言ってくれたのは昔のお隣さんだった。最近になり村にある隼介の実家周りは高速道路開発地域に指定され、立ち退きが起こっていた。
辺鄙なところにある家を皆は高齢を理由に土地を売ってすぐに引っ越してしまったけれど、隼介の母だけは頑なに立ち退きをしなくて、隼介が都会にある家に誘っても断り続けていた。
高齢だったから気に掛けてきたけれど、とうとう一人になってしまった時に心臓発作で死んでしまった。
だから言ったのにと思ったけれど、その土地で死んでその土地で葬式を出してやればそれで満足だろうとも思えたのだ。
あれだけ拘っていたのだから、最後までこだわりを続けてやったところ、かつての隣人が葬儀に来てくれた。
あの時は悪かったけれど、それまではいい関係だったからこそこれ以上引きずってしまいたくはなかったのだろう。
そうした葬式が終わった。
家は早々に政府の開発企業に売ることが決まり、家の中で必要なものを持ち出し、それ以外は置いておいても政府の開発企業が処分をしてくれると言ったので、隼介はそこで家の片付けのために一ヶ月もそこで暮らすことになった。
実は会社をパワハラされて耐えきれずに退職したばかりだったのだ。
つまりちょうどいい時期だった。
古い墓は移動しなければならず、新しい墓を村の外れに用意して、そこに先祖の墓も移動をした。村の人はここに墓を移動していて、隼介はもしものために墓を購入しておいたのが役に立った。
母親は最後まで反対をしていたから、そういう準備もしてなくて書類ややることは大変だった。
村側としてはやっと立ち退いてくれることで、便宜は図ってくれたのが幸いだったかもしれない。
強制立ち退きをするほどでもなかったので高速事業が後回しになったことは他の村人からは恨まれていた。高速が通れば、街まで一時間かかっていた道のりがたった十分になるのだから、当然と言えば当然だった。
十年前からある計画だったが、その山や家などを含めると相当額になる。
それはすべて相続した隼介に入ることになった。
まだ近所の家は取り壊されていないが、この先一気に取り壊されて道路の橋桁がここらに立つのだ。
「この景色も最後か……」
そう思いながら村の中を歩いた。
半分は家も取り壊されているけれど、雑草が生え、草が多い茂っている。
通りを抜けていくと、行き止まりの道に行き着く。
そこは斜面が崩れないように補強されている壁と、その横に山へと入れる階段がある。山菜を採りに上る人がいる程度だ。
坂を登り切って平面になった場所だから、上からは人が来るのが見えるが、下からは上に人がいるのが分からない。
昔はそこから自転車で斜面を下って遊んでいた。
けれど子供を過ぎると誰も登らなくなってしまった。
隼介はそこに中学の時に暇を持て余して登ったことがある。
懐かしさで登った先で、隼介はその場にいたホームレス風の男に詰め寄られて襲われた。
最初は金を要求されたけれど、持っていないことが分かるとホームレスは隼介の口にタオルを押し込んでから縛り上げてホームレスの段ボールハウスの中で隼介を犯した。
その時だ、隼介はそれで目覚めてしまったのだ。
「あぁっ、ああ、ひぁ、ひぃっ……! あぁ、あんっあんっ!」
助けて欲しいと叫びたくても、男はナイフを持っていたし、逆らえばきっと刺されていた。
その時はそう思ったけれど、そうではなかったのだと分かるのは大分後だった。
「おら、しっかり啼けよ……お前、尻弄って遊んでやがるな……だが俺が初めての男ってか」
その通りで元々その気があったせいで、隼介は孤独だった。
けれどこんなことが起こるなんて思いもしなかった。
「ああっ! あっ、や、ゃぁ……ああ、あ、だ、だめっんああ……っあ、あ、あ……っ」
「たまんないな……たっぷり中で出してやるからよっ」
「んぁ、ぁふっ、は、はぁっ、はぁんっあぁっ! ぁひっ、ひぃん……っ! らめっああんっ!」
辺りはまだ明るかったけれど、川縁であることや工事がやっていて大きな掘削機の音が鳴り響いていた時期だったせいで、どれだけ叫んでも聞こえないのだ。
せめて工事が止まってくれれば、声が誰かに聞こえていたかもしれない。
側にある屋敷は人がもう住んでいなかったのもあり、助けにきてくれるはずもなかった。
屋敷に住んでいた人が自分の視界に人が住むのが嫌で、土地を買い取ってしまっていたから、坂道の下には家がない。歩いて五分くらいの隼介の実家あたりに家が固まっていたから、ここに人が来ることがまずなかったのだ。
ホームレスが住むには十分な隠れ家だったらしい。車は持っているらしく、それで移動してきた男だったことも後で分かることだった。
「ひぁっ、あっあっ、らめ……こっこわ、れ、……っいやっ、いやっ、あ、ゃあ、あっあっ――!」
「壊れやしねえよ……ほらもっと腰を振れ」
「ぅあぁ、あぁっ! あぁんっ! や、だぁあ……っああんっ……はぁんっ……んふんぅ……っ」
泣きながら腰を振り、男を満足させるために覚えた動きは、段々といやらしくなっていき、男はそれで高められてきた。
「おお、いいぞ、そろそろ中で出してやる。これをされると誰でも目覚めるっていうが、お前はどうだ?」
「あぁっあっぁ、あんんっ……! ひゃっ! あぁっ! あぁっや、やめっ……!」
「おお、出るっおおおおっ!」
「ひぅっ……ああんっ……あっ! ぃや、らめっ……ああっ、いやぁっんぁあっ……、ぁっあっ、あっ、あっ」
男は隼介の中に精液を吐き出して、そしてそれだけでは満足はしなかった。
日が暮れるまで隼介は男に犯され続けた。
中出しは何回されたのか分からない。
夕方に解放され、服を抱えて川に降りてから体を洗い、乾かしてから家に帰宅をした。
その変化は両親は気付かなかったようで、隼介はその日は寝込んだだけだった。
しかしあの快楽を覚えてしまったら、悲しいことに隼介は何度か男の元に通ってしまった。
週一くらいの感覚で男に差し入れの弁当を持っていき、代わりに犯してもらうのだ。
男は様々な道具で隼介を犯した。
バイブやディルドは当たり前で、ニップルクリップやローターも持っていた。
ほとんどが青姦だったけれど、友人宅に泊まるという嘘を吐いて男とホテルに行ったこともあった。
ホームレスの男はどこからか金を得ていたようで、ホテル代を隼介が払ったことはなかった。
ホテルに行くのは男が風呂に入りたい時だったらしく、そのついでに隼介を誘っていた形だった。
そして隼介は週一から数日に一回くらいはパンなどを買い込んでそれを持って通った。
男はなかなか見つからなかったのか、隼介は高校二年の秋までは男のところに通い詰めた。
四年間くらい男との関係を続け、完全に目覚めてしまった。
「あぁふ……おま○こに……、おっきいおちんぽを……挿れて下さいっ……!」
「いいぞ、お前は本当によく育ったな……」
男のペニスを受け入れて、隼介は恍惚とした表情を浮かべるまでになった。
「はっぁああん……っ、あっあっ、す、すご……おちんぽ、おっきぃ……っ!」
男によって調教された隼介は、難なく男のペニスを受け入れられるようになっていた。
四年に及ぶ行為によって、完全に隼介はネコとして目覚め、自ら気持ちよさで腰を振るようになっていた。
「ひゃぁああっ、あ、おちんぽ、熱いっ、ああっ、おま○こ、気持ちぃですぅ……っ!」
「本当にお前はいい具合にできあがったな……たまんねえ、持っていかれる」
「ああっ、きも、きもちいい……っあぁんっ! きもちがいいっああんっも、らめっああんっ」
ほぼ青姦に近い状態で車のボンネットにうつ伏せになり、後ろから男に突き上げられる。
そんな行為がただただ無性に快楽を得られるから好きで、隼介は性欲が盛んな時期を男と過ごした。
「はぁああんっ、あぁあっ、す、すごいぃ……っ!ああっ……! あ、やあぁ……っ! あぁあ……っ、おちんぽいい……っ」
「もっとだ、もっと中出ししてやるっ」
「ふぁあああっ! あっあっらめっおま○こらめっ、あっら、らめぇ……っ」
「おお、でる出るぞ!」
「ひゃあぁっ! あぁっあぁっ! らめっあっあっおま○こきもちぃい……っ!」
男は何度も隼介を犯して、中出しをたくさんしてくれた。
けれどそれで終わりだった。
「もう明日から来てもいないからな」
男がそう言うので、隼介はぽかんとした。
「何で?」
「ここにいるのを怪しまれ始めたからだ。誰かが通報したらしくてな。この間職質されたんだ。お前のことがバレるのも時間の問題だ。今はホームレスが勝手に住み着いている程度で済んでいるが、お前と関係を持っていることが知られたら、俺は檻の中だ」
確かにその通りで、まだ未成年である隼介は法律で守られている。
たとえ隼介が自分から通っていたとしても、それでも法律はホームレスを犯罪者としてしまうのだ。
「どこ、いくの?」
「さあ、いつも通りに適当に付いた場所が暫くいる場所だろうな」
ホームレスはそう言い、その日を境に姿を見なくなった。
坂道を登っていってももういない。
そして両親がホームレスが住み着いていることに最近気付いたらしく、やっと追い出してやったと話し合っていたのを聞いた。
堪る性欲を持て余して、隼介は坂道の上に通い続け、ホームレスが置いていった大人のおもちゃを隠し場所に置き、そこで一人で盛っていた。
隼介は一人で空しかったので、街に出ることにした。
大学でカミングアウトをして、たくさんの人と寝たけれど、それでも隼介はホームレスの男以上の人とは出会えなかった。
思い出が美化されているのかもしれないが、それでもあの人以上はいなかった。
そしてこの思い出の場所もなくなってしまう。
ちょうど高速から降りる道ができると聞いた。
だから何もかもがなくなる。
そこで坂の下を眺めていると、一台の車が上がってくるのが見えた。
とても大きな車で、村の人の車ではない。
高級車であることが分かったのは、大分近づいてからだった。
「何しに?」
と思ったけれど、その車は近くの屋敷の側で止まった。
「ああ、屋敷の人か」
ホッとしたけれど、車から降りてきたのは運転をしていた男が一人だった。
そして車を降りてから坂の上を見上げてきて、歩いて上がってくる。
「誰だろ?」
年齢からして四十代だろうか。いいスーツを着た男だと分かった。
身綺麗であるが何だか見知っている気がして隼介は男を眺めた。
すると男は隼介を見た後に、ニヤッと笑った。
「よう、お前も思い出に浸りにきたのか?」
その声を聞いて隼介はハッとした。
間違いなくそれはホームレスの男の声だったのだ。
「は、嘘、何で?」
男は隼介の隣にやってくると、隼介の目の前に立った。
「そういえば、お前の母親が亡くなったんだったな。お悔やみを言っておく。俺はあの人に嫌われていたから、葬式は遠慮したけどな」
「は? 何それ」
隼介には分け分からないことばかりだ。
「あなた、本当は誰なの?」
隼介がそう言うと男は笑う。
「そこの家の息子だ。勘当されていたけどな。けど、俺しか子供がいなかったから、死んだら俺に相続がきたわけだ。だからその家を片付ける必要ができてな」
男がそう言うから、余計に隼介は混乱をした。
男の名前は瀬越といい、家は昔からの地主で権力もあったらしい。けれど、瀬越の父親は人見知りが激しく、とにかく人が側にいるのが嫌で、周りの土地を買い占めて人を追い出したという。
家は不動産をたくさん持っていたから、街の土地を切り売りしたり、高速道路が通る土地もたくさん持っていたから、それを売って悠々自適な生活をしていたという。
しかし病には勝てず、隼介がホームレスと出会った時に、男は親が心配で戻ってきていたところだったらしい。
「鍵は持ってないから家には入れないし、ホームレス格好で遭いに行くと病院に怒られるから着替えていたし、それでもあの人も何だかんだで何年も生きたよな。でも最後は寝たきりでどうしようもなかったから、仕方ないから俺が代理人になって財産管理したり、色々やってたわけだ」
「だから、ここから去ったの?」
隼介がそう聞くと瀬越が頷いた。
「財産は欲しかったしな。ホームレスをしていたのは会社を乗っ取られて放り出されたところだったからだ。親を頼ろうとしたら、病で倒れたところ。都合が良すぎて暫くそこで悩んでたよ」
瀬越がそう言って笑う。
そこに隼介がやってきたのだという。
「ムシャクシャしていて、お前を襲った。どうせなら通報されて逮捕されれば、あの人にダメージを与えられるかもしれないとか、色々考えた。けど、それも最後はお前目当てだった」
瀬越がそう言う。
「お前を、いつか迎えに行ければいいと思ってた。けれど、お前との関係はお前の母親が知ってた。絶対に生きている間に近づくなと言われて……」
「律儀に守ってたんだ?」
思わず笑ってしまう隼介であるが、瀬越は真面目だ。
「仕方ない……お前は未成年で、俺は大人だ。だから離れるしかなかった」
瀬越があの時、急に離れていったのは隼介の親が勘付き始めていたからだという。
母親は完全に気付いていて、父親はやっとホームレスを怪しみ始めていた。
「お前の立場が悪くなると思った」
「でももう約束もなくなったけれど?」
隼介はそう言って瀬越に抱きついた。
「ここにきて、貴方のことばかり思い出していた。俺は貴方にまたああいう風に抱いて欲しいと思ってる」
そう隼介が言うと男は笑う。
「そう思ってくれるほどいい男ではなかったけれど、それでもお前がいいのなら、そうしよう」
二人はそう言い合い、抱き合ってからお互いに顔を見合わせて笑った。
それから二人は思い出の場所でまた青姦をした。
「あぁっ! はぁっ欲し、おちんぽ奥ぅ……っ奥、あっ、ごりごりって! 突いて……っ!」
「本当に、お前はいやらしくなったな……たまらねえ、お前以上はいなかったよ」
「俺も、貴方以上の人には出会わなかった……っぁあ、あ、あ、あ! ふぁああ……んっいい、ぃいいいっ!」
挿入ってくる瀬越のペニスを受け止めながら、隼介はこれが欲しかったのだとはっきりと分かって嬉しかった。
ずっと欲しかったものがここにある。きっとこれからもずっと側にあるのだ。
「ああぁん……んふぅっあんっあんあん! おちんぽっ……おま○こもぉっあ! ああ……きもち、ぃっ、おま○こいいっあっ、んぁあ……っ」
パンパンと突き上げられ、隼介は快感が全身を突き抜けるのを感じた。
「あぁんっあんあん! ひぁあぁあっ……すご、凄いぃいいっ! おま○こきもちいい……ぁんっいい! いいよぉっ……もっとぉっあん!」
激しい突き上げは男の変わらない性欲の強さを感じたほどだ。
二人は夢中でセックスを楽しんだ。
「はぁあ……ぁっ、あっ、あっんふぅっ……ぁん、あんっ……んぁあっおま○こ……っおま○このなかにぃい……だしてっあああっっ!!」
精液が中に欲しいのだと隼介が告げる。
これは瀬越によって覚えさせられたことで、中出し絶頂が一番気持ちがよく、それが癖になっているのだ。
「ああ、出すよ……もちろん。ずっと孕むまで出すよ」
「あぁああん あ! あ! おま○こいい……あっ! イクっイクぅううう――っ!!」
瀬越が中出しをしてくると隼介は絶頂をした。
二人はそこで暫くセックスを楽しんだ。
その後、家を片付け終わった隼介は瀬越を手伝って瀬越の屋敷を片付けた。
そして瀬越に言われるがまま、隼介は瀬越の元で暮らすことにした。
お互いにまだ決まった相手がいたわけでもなかったし、付き合うのが当然だと思ったからだ。
実家も懐かしい場所もなくなるけれど、それでも隼介は一番の思い出を手に入れた。
そして今は何もかもが運命だったのだと思い知ったのだった。
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