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06
貴方が悪い
「碧山くん、このミスは大きいよ?」
上司にそう言われ、碧山は顔を真っ青にさせた。
提出した書類を先方に渡したところ、先方からミスを指摘されたのだ。
「……すみません、今すぐ謝罪に……」
とにかく先方の会社の人は怒っていて、担当者を出せと言っているという。
あれだけ何度も見直した書類が間違っているなんてことあるだろうかと碧山はまだ自分のミスを信じられないけれど、間違っていると言われたらそうなのだろう。
「当たり前だよ、とにかく君が一人で怒ってる人を宥めてきてくれ。私は先方の上司の人と会ってくるから」
「はい、すぐにいきます」
碧山はそう言い、自分の荷物を持った。
けれど何か胸騒ぎがしたので製作した書類のデータも持って会社を出た。
先方の会社は大きく、力関係も圧倒的に違った。だからこそ間違いは取引停止になりかねない。そんなことになったら碧山の首一つで済む問題を超えるかもしれない。
緊張した碧山は会議室に通された。
ドギマギしながら持ってきたパソコンを開いてデータを眺める。
必死に上から資料を見ているが、ミスをしているという箇所がどうしても分からない。
「一体、何処が……」
思わず呟いたところで取引の担当がやってきた。
「口田さん……申し訳ありませんでした……!」
部屋に入ってきたところから口田の表情は厳しかった。
ただでさえ、顔がよく女性社員からモテる男であるが、その綺麗に整っているからこそ、静かな怒りを見せてくる表情が本当に怖かった。
「……大きなミスですよ、数値を間違えるなんて……」
そう言われて資料をテーブルに投げ出すようにして口田はソファに座った。
しかし言われて見せられた資料に付けられている数値は明らかに今碧山が持っている資料と違っているのだ。
「え、これ、誰がやった資料なの?」
思わず本音が漏れてそう言ってしまうと、口田が呆れたように言う。
「制作者はあなたですよ。ほら名前は貴方だ」
「そうなんですが、私が作った資料はこれになります」
そう言って碧山は自分が昨日提出した資料の元データを口田に見せた。
そこには間違った数値などは書かれてはいない正常なデータがあった。
「確かに……これを言われてすぐ直せるわけもないな。これはいつ提出をしたんですか? どういう形で?」
「えっと、このままのデータで上司に渡して、もちろんその時には紙の資料も付けました。確認してもらい、判子を押してもらって……」
「それでデータは誰が送ったんですか?」
「データは上司が送ったはずです。昨日は私の母が事故に巻き込まれて、午後は早退をしました。ですから、私から資料を送る前に上司が自分が資料を送っておくと言ってくれて……」
そう言われた口田はすぐに自分が送ってもらったメールのアドレスを確認しに行った。
けれど送信者は碧山のパソコンから送ったであろう会社から支給されているメールアドレスだった。
「そんな……!」
「いや、問題はそこじゃない。君の早退時間が分かるなら、タイムカードを合わせたら、他の誰かが君のパソコンを使い、メールアドレスを使って君を装い、間違いのデータを送ったという根本的な嫌がらせの実態が明らかになる」
口田にそう言われて碧山は思い出す。
「私は、休憩の終わった後、一時前には早退をしました……」
「ならこれを送ったのは君じゃない。送信時間は午後の五時だ。こちらの営業も終わっていて、メールの確認が今日になる時間に送ってきたのも、発覚を遅らせるためか」
碧山はそれを聞いてゾッとする。
「そんな、手の込んだことをして、こんな迷惑をかけるなんて……度が過ぎてます」
もし碧山が気に入らないにしても相手を巻き込んでしまったら、嫌がらせですらなくなっている。
「大丈夫だ、すぐに俺が上司に確認をとってやる」
口田はそう言うと、すぐに部屋を出て行った。
それから十分ほど過ぎた時に碧山の携帯電話が鳴った。
「あ、口田さん……っ!」
『全てあなたの上司がやったことでした。会社の社長に話を通して監視カメラを見てもらったんです。貴方のパソコンを使ってメールを送っていたのが上司であると確認が取れたので問い詰めたら、自分で正しい数値に直したと言い放ってました』
口田がそう言うので碧山はまさかと思った。
どうやら上司は碧山を填めるつもりではなく、資料を見た上で本気で間違っていると思い直したらしいのだ。そして一つを直したつもりだったけれど、データの数値が変わってしまい、全部の計算がおかしくなっていたわけだ。
結局、上司はよかれと直したのにと斜め上の開き直りをしてしまい、結局社長が出てくる騒ぎになったけれど、碧山と口田の二人は元の資料で仕事を進め、社長たちがもめ事を解決するのと同時に取引をしっかりとして問題なくデータは渡せた。
「ああ、本当に口田さん、貴方のお陰で助かりました」
碧山は口田の会社を出るときにそう言うと、口田は少しだけ笑ってから言った。
「いいですよ、結果私たちのためですから。それよりも、落ち着いたらでいいので今度の土曜あたり飲みに行きませんか?」
「あ、はい、よろしくお願いします」
別れ際にそう言われて、碧山は社交辞令だと思い安易に返事をしてしまった。
しかしそれから一週間が過ぎても問題は解決せず、上司のことで部署は上へ下の大騒ぎで何とか仕事をこなし、休みもなく次の課長を誰にするのかで社長や部長が悩んだのだ。
そして碧山の仕事ぶりで上司のパワハラが発覚したことで、碧山が課長に任命をされ、部署も再構築されるという大移動が起こってしまったのだ。
当然、いきなり課長に任命された碧山は急に仕事内容が変わってしまい、一ヶ月があっという間に過ぎてしまった。
更にもう一月も忙しく過ごしてやっと安定してきたのは三ヶ月目からだった。
「……やっと普通に仕事が回るようになってきた……」
碧山が一息吐いた時に、スマホが鳴った。
それは珍しい人からの連絡だった。
「あ、ご無沙汰しております、口田さん」
慌てて電話に出た。
あの事件以来、口田とは一度もあってはいないし、連絡も取る間柄ではなかった。
碧山が忙しいのは当然だとして、どうやら口田の方も昇進をして部長になったらしく、それどころではなかったのはお互い様だったようだった。
『今、時間ありますか?』
口田の言葉に碧山は言った。
「そういえば、飲む約束をしたままでしたね。時間今日はありますよ」
碧山がそう答えたら、口田は碧山をバーに誘った。
そこのバーは碧山が行く街とは反対側にある繁華街のバーだったけれど、言われた通りに道を進んだら街外れのビルの地下にあるバーだった。
そこで二人は落ち合って、お互いの近況を話し合った。
「本当に大変でしたね」
「でも碧山さんも昇進なされたそうで」
「口田さんも部長になられたと聞きました。凄いですね」
「いえいえ、碧山さんにお願いしたデータのお陰ですよ。あれでうちの会社は他よりもリードができて大口の取引ができたんですよ」
口田は本当にそうなのだと言った。
お互いに近況を話し合って盛り上がっていると、碧山はだんだんと眠くなってきてしまった。
「何だか眠くなってきて……」
「大丈夫ですよ、そのまま寝ていてください」
「あー……でも……」
意識を保とうとするけれど、それでも碧山は強い眠気に耐えられなかった。
「んんん……っ! んん……っはっ、はっ……あ、はあ……ああ……っ」
眠っている間に碧山はどうしようもなく気持ちよくなっていた。
「碧山さん、貴方が悪いんだ……貴方が俺を無視するから……」
聞こえてきた声は口田の声だ。
何で自分が悪いのかと思い、その思いは目は覚めなかったけれど口から出ていた。
「なんでぁ……っ、わるい、あゃ、あ……っゃ、や……っ、──っ!」
気持ちがいいけれど、どうしてそれで自分が悪くなるのか分からずにそう言っていたら、口田がその理由を言い出した。
「貴方が連絡をくれないから……約束した土曜日に何の連絡もなく、……俺に期待だけさせて……こうなったのは貴方が悪い」
「っふ……ぇ……、はっ……は……っ、あ、あ……っぁっあっ……」
明らかに八つ当たりなのだろうなと分かる夢だと思っていたら、ふっと意識が浮上をした。
「あぅ、ぁ……っ! ぁ、あ……っぅ! ぁ……っぁっ……!」
起きたら目の前に必死な顔をした口田がいる。
「あ、えっ……なにこれっんっ……んぁ、ぁ……口田さんっなにこれっゃ、ぁ……っぅあ、ああ、あ゛……っ!」
口田は碧山のアナルにペニスを突き入れていて、腰を振っているのだ。
意識が浮上したとたん、口田は激しく腰を振り始めた。
「ああっは……ぁ……あっ……あっあっ、や、やぁ……っや、あああ……っ!」
急激に襲ってくるあり得ない場所から感じる快楽に、碧山は信じられないほど口から喘ぎ声が漏れた。
「ひっぁ、あっ、ぁっ、ぁっ……あ、んっ、んっ、んぅ…………はっ、あああぁ、ああ、……っやっ……だ……っ!」
嫌だと逃げようとするも足を抱えられているから逃げられはしなかった。
「ああ、あああ! やあぁあっ……! や、だっ……あ、んんぅう!」
誰か助けてと思い周りを見合わしたら、そこはまだバーの中だった。
周りには誰もいなかったけれど、バーの奥にある隠れた席のソファで犯されていることが分かった。
口田はバーの持ち主と懇意にしているのか、貸し切って碧山を罠にはめたのだろう。
「あぁあっ、なんで、ですか……口田さん……はぅん……っ、あ、あ、あっひぁあああっ! ああぁう……っ、ああぁ、う……っ」
時計を見たら既に深夜の二時を回っている。
バーに来たのが九時くらいだったと思う。
それから飲んでいたので一時間くらいだったろうか。
寝てから既に四時間が過ぎている。
その時間ずっと口田が碧山の体を貪っていたとしたら、もう碧山はされること全部きっと気持ちよさの方が勝つレベルになっているだろう。
「あぁっ……、あ、ぁんっ、あっ……あつ、い……っん……っ、んは……っんは……っ、ぁ、……は、はぁ……っ、や……はぁ……っ」
「貴方がずっと好きだった……なのに、唯一つけ込む隙を与えてくれなかった。やっとミスで貴方に恩を売れたのに……貴方は俺を無視した……許さない」
「ひんっあゃ、ん……、やめ、どこ触っ……やあ……っあ、ゃ、やだ……っや、ぁん……っあふ、……ぁ、あ、やだ……っ」
ガンガンと突き上げられているのに、乳首を摘ままれて引っ張られた。
けれどそこまでやられても乳首は完全に気持ちよさを感じるほどだった。
「あっ……、ひあっは、ああっはっ、あぁ、あああ……っやぁ……っ、ちくびっぁん、あぁっ、ああ……っ」
「感じるんだろう? 三時間以上も嬲ってやったから、全部性感帯になってるよ。ほらアナルの奥でも感じられるように、ずっとペニスを挿れて擦ってあげてたよ」
「あぁっ、あぁん……っんはっ、あぁっ、あああっ! やぁ、らめぇ……っやぁ……っ!」
「あとは中出しだけだ、これは起きている時にした方が、きっと想像以上に気持ちがいいだろうね。感じて俺の精液で孕んでくれればいいのにっ!」
「やぁあっ! あつ……っぅあ、あ……っやぁあっ! あ、あっひぁあ……っあっ、あっ……あぁっ! ふぁ……ぁ、ん……んぅうう!」
強く中出しをされてしまい、碧山は精液をアナルの奥で受け止めてから絶頂をしてしまった。
オナニーや女性とセックスするよりも感じる感覚だけは、一生味わうことはないと思っていたけれど、口田の言う通り、碧山はあり得ない快楽で絶頂をしていた。
「ぅあぁあ! ぁひ……っ、ひぃい……っ、あっ、やっ、ああ……っ! いやだこれっ、あぅっ!」
中で溢れる精液をまだ勃起している口田のペニスがかき回してくる。
「んは……っはぁ、はぁ、も、ぅあっ、も、ムリ……っ! あっあっあっあっ……! んひゃぁぅ……っ!」
「大丈夫、まだまだ朝になるまで時間があるよ……ここは貸し切ってあるから……昼までずっと犯してあげるよ……ほら気持ちよくてどうしようもないだろう? ここもここもここもね」
そう言われて碧山は口田によってペニスを握られてそれを扱かれ、あっという間に絶頂をさせられた。
「やっ! あぁっ! な、やぁ……っ、止まらな……っ! あっ、あぁあっ!」
精液ではなく碧山は潮吹きをしてしまった。
「はは、気持ちよくて潮を吹くほどか……いいね碧山さん……」
「あっ、あぁっ、ゃ、やだぁあ……っ! あっあっ、ダメ、ダメ、そ、そこだめ……っやめ、あぁっ!」
「駄目じゃないよ……碧山さん、可愛い……気持ちよさには勝てないんだね……もっと気持ちよくするよ」
「らめっおおきいっ……ああんっらめっああんっきもちいいっらめっらめっ……ああんっ!」
気持ちよさが勝つと言われた碧山は、完全に口田に心の流れを把握されていた。
碧山が快楽に弱いことは本当だった。
「あぁあんっ! あっああっ、ああっ、らめっはぁんっ……あっいいっあぁんっお尻っいいっああんっ」
すぐに碧山は口田の手管に堕ちた。
元々薬を使われていたからか、違和感すら湧かないほどに感じてしまい、碧山は素直に快楽を受け入れて自らも腰を振り始めた。
「いいっきもちっ……いいっあああんっいいっ……ああんっいいっ……あっあっああっあっあっああっんっあっ」
「碧山さん、これからもずっと可愛がってあげるからね……」
「あんっあんっ、あああぁーーっ! ……ひあっうぁあっ……あっあ゛っあぁああ……っ、奥、すごっあぁっ」
「俺専用のおま○こになって……碧山さんは俺専用のおま○こだよっ」
「ああ、専用おま○こになるっ……ああいいっあんああっ……ああんっああっいいっきもちいいっああん……ああん……いいっあんっ」
「また中に精液を出すよっああ出るっ」
「きもち……いいっああんっおくにらしてっ精液出してっあああっ……ああんっいいっいいっああんっきもちっいいっああんっ」
碧山は口田の精液を受け止めて絶頂をした。
快楽の時間は本当に終わらず、碧山はその日から完全に目覚めてしまった。
それからも口田に誘われるがままにホテルへと行ったりしていたが、やがてバーで複数の男を相手にセックスを楽しむほどになってしまった。
「ああ……ああっいいっおま○こっああっちくびっああんっ……いいっおま○こされながら乳首コリコリ気持ちがいいっああっ……ああっいいっきもちいいっ……ああっ!」
碧山は複数人の男のペニスを咥え込むのが好きになり、口田の予想を超えるほどの淫乱に目覚めてしまった。
「らめっ……ちくびもいいっあああっああっ……ああんっちくびっああっいいっいいっああんっもうっむり、い゛ってるっ……ひぁあっ、乳首とっおま〇こ、どっちもいいっあっ、あ゛っ、ああぁぁぁっ!」
こんなになった碧山はそれに引いた口田を呼び出しては行為に参加させる。
「貴方が悪いんですよ、貴方が始めたことでしょ?」
そう言って碧山は口田を脅した。
口田はそれを言われると断れない。あのとき碧山を強姦した証拠がバーの防犯カメラに残っていたため、その証拠を碧山に握られていた。
そしてずっと碧山の面倒を見るために利用されることになった。
碧山はこうなったことを運命だったと思い、受け入れる世界を選んだのだった。
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