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01
全てが嘘
「今日忙しくて、そっちにいけそうもない」
恋人からの連絡は最近はこんな言葉が続く。
坂上修はそのメッセージを受けて明らかに落胆した。
「せっかく、今日は焼き肉にするって言ったのに」
いい肉を買い、そして奮発もしたのだとメッセージにその写真を載せてやった。
「いいお肉、一人で食べちゃうもんね」
そうメッセージを書いたら、三分ほどでメッセージが帰ってきた。
【マジ? めちゃいい肉じゃん! 都合付けて何とか行く】
メシに釣られたのか予定を変えてくれたようだった。
その言葉に坂上は恋人である宮入智典の現金なところに溜め息を吐く。
最近は物で釣ったりしないと、宮入は坂上と会うことは少なくなっていた。
理由は簡単。
それは宮入には別に恋人がいるからだ。
世間に認めて貰っている恋人とは、もうすぐ結婚をするという。
坂上がそのことを知ったのは、一年前のことだ。たまたま宮入の会社の人間と会う時があった。向こうが坂上が宮入と飲み屋で飲んでいるところを見かけたことで挨拶をしたことがあり、覚えていてくれたので挨拶をされたのだ。
「そういえば、宮入も落ち着くだろうし、坂上さんはどうなんです?」
「え?」
何の話かとキョトンとしていると、その人は言った。
「やだなー、宮入の結婚ですよ。あれ、まだ知らされてないんですか?」
「あ、え、はい……すぐってわけでもないんでしょう?」
そう上手く坂上が返すとその人は笑った。
「ああ、そうですね。会社ではもう婚約したって聞いたんですが、あっちの方の身内に不幸があったらしくてそれでそういう話が延びたとは聞いていたので、まだ本格的に決まってないんでしょうかね?」
どうやら宮入の会社では宮入が結婚をすることは公然の事実だったらしい。
そのまま宮入の結婚相手のことを聞き出すと、会社の上司の娘との結婚らしい。
道理でそのことを一度も言わないわけだ。
宮入は所謂、ゲイではなくバイである。
女も抱けるけれど、基本的に妊娠したなどの問題が起きた時に出世に響くと言って男ばかりを恋人に選んでいた。
もちろん、付き合う時には何れは女性と結婚をするので一生付き合うわけではないということは話し合っている。
けれどそういう話が出た時は、お互いに話し合って別れる算段になっていた。
しかし宮入は坂上と別れることなく、結婚話を決め、婚約までしているという。
坂上に一言言っただけで簡単に別れられるのに宮入は黙っている。
坂上はそれを不思議に思っていたけれど、段々と宮入の魂胆が読めてきたのだ。
セフレとしての坂上をキープしておいて、会社での地位が上がるような結婚をする。妻や子供は作るけれど、坂上とは別れない。もし問題になったとき、宮入ははっきりと言えることがある。
宮入のセックスは女性ではとてもじゃないが発散できないくらいに絶倫だった。
そのせいで宮入はずっと女性とは二ヶ月くらいで別れてしまうくらいにセックスがしつこくそして強引だった。
やっと対象を男性相手に変えてから性欲は月一回の暴走で止まるようになったらしく、坂上と出会ってからは坂上の付き合いがよく、月一回の暴走で綺麗に性欲が消えてくれるらしい。
そのため、坂上と宮入は月一回は基本的に会うようにしてきたのだ。
けれど坂上はもっと宮入とのセックスを望んでいたので、あれやこれと理由を付けて宮入を呼び、セックスに雪崩れ込ませている。
宮入もそれは嫌ではないらしいのだが、最近は仕事がやっと上司に認められて上手く行き始めたのか、婚約者を優先するようになってきた。
なかなか呼び出しても来なくなり、本当に月一回のセックスのために会う関係になりはててしまっていた。
坂上はそんな状態でも宮入とは会った。
もちろん宮入は坂上が宮入以外とセックスをしているとは思ってもいないらしいが、そんな嘘すらも宮入は見抜けないでいる。
坂上がセックスを月一回で満足できるはずもなく、週二で他の誰かと一日中セックスをしている時だってある。
坂上はセフレとして宮入と付き合っているつもりではいるが、それでも時折宮入のペニスが懐かしいのだ。
「本当に、隠しているつもりなんだろうけど……こういうのはすぐバレるもんだけどね」
肉を用意して鉄板を暖めて野菜を置いて焼き始めると、玄関のドアが開いた。
「外、雨がやばいよ」
そう言いながら宮入が入ってきた。
「そうなんだ。さっき買物行った時は降ってなかったんだよね」
「マジか」
「うん、天気予報は明日雨って言っていたけど、早まったのかな?」
「みたいだな。お、肉を焼いて」
宮入は背広を脱いでさっさと部屋に置いてある部屋着に着替えている。
「そういえば、昨日宮入の会社の人に会ったよ」
「へ、だ、誰に?」
肉を焼きながら何でもないというように坂上がそう言い始めると、宮入はギクリとして焦ったような顔で坂上を見た。
ゆっくりと椅子に座っている様子から不味いことを知られたのかと思ったようだったので坂上は言った。
「結婚するんだって? おめでとう」
別に秘密にすることでもないと坂上が切り出すと、宮入は顔一杯に冷や汗を掻いている。
「あ、あ……それなんだけど……」
「んー? 何かもっと早く結婚をする予定だったらしいね。向こうに不幸が出て延期になったんだってね。大変だね。でも念願のお金持ちで地位もある人の娘みたいだし、よかったね」
坂上はそう言いながら焼けた肉を宮入の皿に入れた。
空いたところに新しく肉を広げて焼いていく。
宮入は全部坂上に知られていると知って焦っているようだったが、坂上にとっては何故焦るのか理由が分からない。
二人で決めた約束ごとで先に婚約者ができ、結婚を前提にする付き合いを始めたら坂上とは切れる約束だったのだ。
「……それなんだけど……」
「何?」
宮入は何か言いかけては言葉を飲んでいる。
「食べて、話はゆっくりでいいから」
坂上がそう言うと宮入は箸を持ち、皿に入れられた肉を食べた。
ここまで宮入が怯えるとは思わず、坂上はゆっくりと話し始める。
「今日呼んだのは、肉を食べさせるって言うのもあったけど……約束だったから別れるよねっていう話もしなきゃって思ってね」
坂上はそう言い、焼き上がった肉をまた宮入の皿に入れる。
野菜も取って入れてやり、どんどん食えと渡していくとそれが脅しになっているかのように宮入は肉を食べ続けた。
散々食べた後に宮入は何か言おうとしているが、言葉に詰まっている。けれどやっと言葉を口にした。
「あの、俺は……別れたくない……」
宮入がそう言い出して、坂上は言う。
「そう言ってもさすがに既婚者と不倫はしないよ。後が面倒だもの」
坂上がそう言うと宮入はぐっとまた黙ってしまう。
「どっちも欲しいじゃ、駄目なんだよ?」
「……お前はあっさりと別れられるのか?」
宮入があっさりと別れを切り出してきた坂上に怒りを向けたけれど、坂上は言った。
「これを知ったのが一年前でね……いつちゃんと言ってくれるのか待ってたんだよね。でも言わないまま俺を騒動に巻き込もうとしたよね?」
一年前から覚悟をして切り出してくれるのを待っていたと言ってから続けた。
「それに最近は婚約者さん優先で、こっちのことは処理程度にしか思ってないでしょ。性欲処理が欲しいなら不倫でも構わないっていう相手を探して。俺は絶対にごめんだ。女の嫉妬は正直言うと後が面倒なんだよね。浮気がバレたら宮入だって尻に敷かれて人生が詰むんだよ? それがいいなら他の相手にして」
坂上がそう言うデメリットを先に告げる。
宮入はそれでも別れたくなくてごねそうな顔をしていたが、坂上は深い溜め息を吐いた。
「今日で別れる。それでいいね」
それに宮入は言った。
「嫌だ……っ」
宮入はそう言い、駄々を捏ねる。
ここまでは坂上も想定内だった。
宮入が坂上をなくして別の相手に乗り換えられない理由がある。
宮入の無理矢理な暴走セックスに耐えられる人はいないからだ。
坂上がいてこその冷静な宮入が完成していて、その完璧な人生には坂上がいないと成り立たないくらいに坂上は宮入の中に入り込んでしまったのだ。
坂上が別れたいと言う言葉で宮入を揺さぶるのは、宮入に選ばせるためだ。
どっちがいいのという女のように、仕事と自分、どっちを選ぶのかという究極の選択をさせているわけだ。
もちろん坂上を選んだら、会社での地位はなくなるし、エリート人生も終わる。
それで坂上を切って結婚を選んだとしても、結局はセックスへの欲求不満から婚約者では収まらずに終わるのだ。
「悪いけれど、これ以上ごねるなら婚約者さんに伝えるから」
「……そ、それは……」
「要はさ、その性欲の強さを婚約者が受け止めればいいだけじゃん。事情をしっかりと話したらきっと分かってくれるって。ちゃんと俺も説明をするから」
そう坂上は言い、宮入を説得した。
宮入は確かにその通りだと思ったのか、すぐに婚約者に連絡を取ってくれることになった。
話合いはすぐにできた。
宮入が話を切り出す前に婚約者は坂上の存在を知っていたようで、すぐに部屋に来てくれた。
「すぐに宮入は引き取りますので……」
婚約者はすぐに宮入を坂上から引き取りたがったけれど、坂上は部屋に上がってもらい、どうして宮入が坂上との関係を上手く切れないのかを説明をした。
その性欲の強さは今婚約者が受け止めているものの十倍はあると思ってくれと坂上が告げると。
「大丈夫です、私、宮入さんのこと受け止められます。だからもう二人は別れてくださいっ」
こう言い切ったのだ。
どうやら婚約者は宮入のことを相当好きらしく、坂上に別れてくれと言った。
「俺は別れると言っているけれど、宮入が別れないとごねていたところだったんだ」
にっこりとして坂上がそう言うと婚約者は宮入を見てから言った。
「私を信じて、大丈夫よこれからは……」
その言葉に宮入は感激したようで坂上を見て言った。
「……済まない、別れるよ……」
「うん、それでいいよ。お幸せに」
「ああ、ありがとう……最後まで」
「いいよ、そういう約束だったんだからね」
そう言ってから坂上は二人を玄関で見送ってやった。
最後まで婚約者が宮入の保護者のように頭を下げていたけれど、その口元が笑っていたので、恐らく坂上に勝ったという笑みが浮かんでいたのだろう。
けれど坂上は玄関を閉めた後になってから、満面の笑みになった。
「馬鹿な女」
その日から坂上は宮入とは切れた。
それから半年して、街を歩いていると宮入の同僚の男とまた出会った。
「あ、坂上さん」
「どうも、大道さんでしたよね?」
前に宮入の詳しい事情を教えてくれた同僚で、取引先が近いらしくたまに見かけてはいたけれど、久々に声を掛けられた。
何げなしに世間話をしていると不意に大道が言った。
「宮入のこと、聞きました?」
「え、何ですか?」
坂上は首を傾げて大道に聞き返した。
「ああ、また知らないんですね。それがね、宮入のやつ結婚式の前に婚約破棄されたらしくてね……理由は分からないんですが、上司の娘が根を上げたみたいで」
「へえ……ただでさえ結婚式が延びていたから、上手くいかなくなったんですかね?」
そういうことはよくあることだと坂上が言うと大道も頷いた。
「どうも長すぎる春っていうやつです。宮入が振られたんで可哀想でね。ほら、俺、坂上さんに勝手に結婚するって話してしまったじゃないですか。あれで、ああ言わなきゃよかったって思って。確定したこと以外言うもんじゃないなって」
「そうなんですか。こっちも忙しくて宮入とは全然連絡を取ってないんですよね」
「ああ、そうなんですね。もしよかったら宮入のこと慰めてやってくれませんかね。別れてから一ヶ月くらい、あいつピリピリしてて……もう怖いったらありゃしない」
そう言われたので坂上は笑う。
「まあ、暇があれば息抜きに誘ってみますよ」
「お願いしますね」
大道はどうやら宮入に手を焼いているようで、困ったから助けてくれと言い出した。
そこで大道とは別れて、坂上はブロックしていた宮入のメッセージを解除してみた。
するといきなりピロンッと音が鳴り、宮入から連絡が入ってきた。
【お願い、助けて……もう限界だ。あの女じゃ俺のことは理解できない。おまえしかいない】
そういう言葉が書いていて、坂上はそれを見てニヤリとした。
「でしょうね」
坂上はそう呟き、宮入に今の自宅を教えた。
宮入と別れてから坂上は引っ越しをした。
ただ別れたから引っ越したのではなく、広いマンションが開いたので引っ越しただけであったが、連絡先をすべてシャットダウンしていたことと、仕事先が支店に変わったことで、坂上は個人的な連絡はすべてシャットダウンしてもらうようにしていたから、会社の支店に移ったことで自動的に宮入からの接触が不可能になっていたのだ。
宮入と別れてから半年である。
宮入がきっと窮地に陥っていることなど、最初から坂上には予想ができていた。
絶対にあの女には宮入を支えられるわけもないのだ。
これは宮入を完全に手に入れるために、坂上が嘘の別れを引き出し、そして宮入にも婚約者である女にも身をもって思い知ってもらうための大嘘だったのだ。
「ほら、戻ってきた」
家に戻ると玄関先で既に宮入が待っていた。
半年ぶりに見た顔は、憔悴しきっていた。
それはそうだろう。きっと自分で抜いても抜いても性欲は尽きなかったはずだ。
そしてそれを押さえるために必死で耐え、何とか会社での体面を保ってきたのだ。それももう限界だろう。婚約者が面倒を見られたのはきっと二ヶ月前くらいまでだったのだろう。そういう感じに宮入が興奮しきった顔をしているのが坂上には見えた。
「家に入ってからね」
鍵をゆっくりと開けていると興奮しきった宮入は頷いているが、完全に股間は勃起していて性欲の野獣そのものになっている。
わざと遅くに戻り、宮入を部屋に入れると玄関先の廊下で坂上は押し倒されて興奮している宮入を受け入れることになった。
「あ、待って……いきなりは無理。そこにローションがあるから」
玄関先で押し倒されてスーツを乱暴に脱がされたけれど、いきなりアナルにペニスが入るわけもない。冷静にそう告げるとうなり声を上げて宮入が玄関先においていた見慣れた容器を手に取った。
それは坂上が事前に用意していたモノであるがなぜそれがここにあるのか。そういう事実に宮入は気付いたようで余計に興奮したようにローションを坂上のアナルにぶちまけてくると、ローションを指に絡ませてアナルをえぐり始めた。
「ひあぁっあんっはげしっ……あっああっあっあんっあんっあひっあっやっああっ」
乱暴に中をえぐり、アナルが開いているのか確認をしてくるようにえぐられて、さらに広げられていくと宮入は覚えている坂上の快楽の場所をしっかりとこすり始めてきた。
「ひああぁっい゛ぃっあっそこっだめっ……あっあうっひああっあ゛ひっあっらめっああああんっ」
「もうだめだ、おまえじゃなきゃ……」
「あっああぁっああんっ! あひっあんっあっあっあっあんっ」
十分に解したわけでもなかったが、それでもこれからのことを考えれば、ちゃんと解したに入るくらいにアナルをいじり倒してから宮入は坂上のアナルにペニスを一気に突き挿れてきた。
「あああっ……おち○ぽ硬っ……あっあああぁっ……ああくるっ…おち○ぽは……んっひっやっ……あっ……おち〇ぽはっああん入ってくる……ん゛っ……」
この懐かしいペニスの圧迫をしっかりと感じながら坂上は歓喜の声を上げた。
宮入は坂上の中に挿入ると同時に腰を振り始めた。
ゾワリとするくらいにこの圧迫感と擦り上げてくるものに覚えがあり、体がそれを喜んでいるのが分かった。
「ああんっいいっ、きもちいっ、いいっ……あっい゛っあひぃっあああぁーっ……! あひっ、あ゛っひああっ……あっあんっあんっ」
宮入は獣のように腰を振り、打ち付けて必死に快楽を追っている。
「あぁんっ……いぃっ、あっ、らめっ、おちんぽっあっ、あっあっあっ……ふぁっ、ひぅっ、あんっああぁっあひぃっ、あんっ、あんっ!」
「うおおおおっ!!」
「ひあっ、あ゛っおちんぽ、いいっあぁっ……あ゛っあっあっああっあぁああっ……あっあっあんっ、あんっあんっあんっあ゛ああっ、あっあぁあんっ」
玄関先で始まったセックスは止まらない。
「ああっんっいいっ……おま○こっ……ああんっらめっおかしくなる……ああんっああいいっきもちよすぎるっああん!」
宮入は射精をしながらでも腰を振り続けている。
もちろん一回、二回で満足できる宮入ではないし、今の宮入はもっと求めているのを坂上は知っている。
「ひああっ……いいっあっん゛っひっいっ……あんあっ、んっああぁっ! ああいいっ、おま○こっああんっあっ!」
ジュボジュボと廊下に音が鳴り響いているけれど、それすら水音が混じるくらいに変わっていく。
「んっあっ……ああっんっあああんっ……おま○こいいっ……ああんっきもちいいっああんっああっ」
これを忘れられないから嘘の別れを作った。
そうすればきっと宮入は坂上を求めて戻ってくると知っていたから。
そうなる自信が坂上にはあった。
「ふあっあっ、あっらめええっ、激しくおちんぽでおま○こぐりぐりされたらっああんっきもちいいっああんっああんっああっ!」
ちゃんと宮入は戻ってきた。
「坂上……坂上っお前しかっ俺を理解できないっ」
宮入はそう腰を激しく振りながらそう繰り返す。
「あ゛っああっあっいくっ、い゛ぐっおま〇こイっちゃうっ……ひぁっ、あ゛っ、ひあん゛っあっ、あ゛ああっあぁっらめっ……ああんっおま○こっああんっおちんぽがっああんっいいっ」
激しく突き上げられて坂上はもう絶頂に追い上げられた。
「あ゛っあああんっ! あ゛あんっいくっ……あっあっああっいくいくっ! ああああっ」
それに合わせて宮入が奥までペニスを突き挿れてから射精をしてきた。
「あ゛ひっ、やっあ゛っあ゛っああっんひぃ、っあ~~~っ精液がきたっああん中出しされてる……熱い……んふ、ああんっイクっいくっああぁぁぁんっ!!」
激しく絶頂をさせられて、坂上は体を痙攣させた。
そんな坂上の体を抱きしめて、宮入は出せる限りの精液を中出ししてくる。
「あぁんっあっあんっあんあんあんあんあんっ……ひああっ……あっはぁっあっイクの止まんない……あっあぁあっ……」
絶頂した後に精液を受け止めて坂上はまた絶頂に達した。
そんな坂上を抱きしめたままで宮入は言った。
「俺にはもうお前しかいない。誰もきっと俺を理解できないんだ」
宮入はそう言い、しっかりと坂上を抱きしめた。
そんな宮入の体を坂上は撫でてやった。
「そう……じゃあ続きをする?」
仕方ないなというふうに坂上が言うと宮入はそれ以上詳しい話は必要がないのだと思ったのか、ほっとしたように笑って言った。
「する」
「じゃあ、暖かいところにいこう。ここはさすがに寒いや」
坂上は言って笑い返してから先に宮入を居間に入れた。
こうなると分かっていたから坂上はただ微笑んだ。
計画通りに宮入は戻ってきた。
きっと二度と離れようなどと思うはずもない。
それだけは確かだった。
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