214-理性の終着点
戸部伸之は、その時はどうかしていた。
付き合っていた恋人が浮気をしていて、あろうことか二人の住んでいる家に上がり込んでセックスに及んでいた。
その現場に踏み込んで間男を追い出し、彼女も問答無用で追い出した。
「気の迷いよ……寂しかったの!」
そう彼女は言ったけれど、それで平然と同棲している家に上がり込んで間男とセックスをする彼女を信用できるわけもなかった。
幸いなのは貴金属などには手を付けてなかったことだったが、それでも友人達が詰め寄って彼女を問い詰めたら、もう一年もその間男とはできていた。
さらには既婚者であることまで分かってしまい、婚約までした戸部は彼女に不倫の精算をさせた。
彼女の両親はすぐに謝ってきて、娘の不道徳なことに憤ってくれたので溜飲を下げることになったが、それでも婚約のために使われた金額、五百万円は一括で振り込まれていた。
それが振り込まれたのを確認して、やっと彼女との関係を清算して新しい街に引っ越した。
その新しい街は高級住宅地の駅があって、その周りのマンションだったので少し値が張ったけれど、結婚資金に貯めていたお金と家を買う予定だったお金でマンションを買った。
もう誰とも結婚をする気はなくて、どうせなら自分の誰にも邪魔されない空間が欲しかったのだ。
そうしてやっと落ち着いてきた時、駅前のコンビニで何だか困っている中学生がいた。
「……お金入ってないや」
そう言ったのはどうやら電子マネーで親が入金をしてくれていなかったらしい。
なので後ろに並んでいた戸部は言った。
「それとこれ、一緒に払って」
そう言うと店員はちょっと何か言いかけたけど、溜め息を吐いてすぐに指示に従ってレジを打ってくれた。
「あの……」
「今回は払ってあげるから次はチャージされているか確認してから使おうね」
戸部は別にいいことをしたわけでもなかった。前でこんなことでレジが止まってしまうことが面倒だったのだ。
この時間の店員はレジが一人しかついてなくて、品出しをしている店員がレジに入ってくれないのでこうするしかレジを開ける方法がないのだ。
「……はい、すみません……」
「謝らなくていいよ、次にその代金分、別の商品を払ってくれればそれでいいよ」
戸部はそう中学生に言うと、すぐさま駅に向かった。
仕事に向かっている途中だったので、急いでいたからそのままあっさりと通り過ぎた。
それから次の日もコンビニで午後になっていくと、そこにあの時の中学生がいた。
「あ、あの時の人!」
そう中学生が言って近付いてきた。
今日は制服ではないので学校は休みだったのか。私服だったけど、とても綺麗な顔立ちだったのは覚えていたのですぐにお金の返済だろうと思った。
「あの、これ、母さんが持っていけって言って」
そう言って差し出されたのは五百円分のウェブマネーの用紙だった。
スクラッチになっていてそこを擦ると番号が出てきてそれを打ち込むと電子決済などに使えるお金になるものだ。
「悪かったね。気を使って貰って」
そう戸部が言うと、中学生は名乗った。
「藤岡真悟といいます。あなたは?」
ニコリと言われてしまったので名乗らない訳にもいかず、戸部は名乗った。
「戸部、伸之。会社員だ」
「これから会社ですか?」
そう言われたけれど、今日は早番でもう家に帰るだけだった。
「いや、今日は仕事は終わったよ」
そう戸部が言うと真悟はニコリと笑って聞いてきた。
「何処に住んでますか? 僕はあの奥の大きな屋敷です」
そう言われて遠くを見ると、道が一本続いていてその先に高級住宅地があるのだが、そこまでの一本道になっている大きな屋敷はこの辺りの政治家の屋敷であるのは知っていた。
「ああ、藤岡って、議員の藤岡議員のところのか」
そう聞いたら真悟は頷いた。
「お爺ちゃんなんだ。その後は父さんが継ぐらしいよ」
「じゃあ、君も政治家になるのか」
「ならないよ。僕には兄さんがいるから、兄さんがなるんじゃないかな……」
そう言うのでどうやら触れてはいけないことだったらしいと戸部は察した。
「ふうん、そういうもんなんだな」
戸部はそう言って大して興味はないというように話を流してしまってから言った。
「それじゃ……」
これで話は終わりだと言おうとしたのだが、それには真悟は納得しなかったようだった。
「僕も帰るので、一緒に帰りましょう」
そう言われてしまって、戸部は真悟と一緒に道を歩くことになってしまった。
「あまり見掛けない人だなと思っていたんだけど、最近引っ越してきたんですね。じゃあ、あのマンションかな。引っ越し作業があったのあのマンションだったし」
そう言われて指差した先には六階建てのマンションがある。
その通りでよく見ているのか、周りでは情報共有されているのか、知られているようだった。
「その通りだよ。二週間前に引っ越してきたばかりだ」
そう答えて何となく近所の情報交換になってしまって、気付いたらマンション前までずっと真悟の話を聞いていた。
何だか懐かれたなと思っていたが、マンション前に来ると真悟が言った。
「中を見て見たいです。マンションって、暮らしたことなくて……うちは古くて大きいだけの家だから」
そう言っている顔が何だか寂しそうなのと、家には帰りたくないという雰囲気が出ていて、何だか可哀想になってしまった。
「じゃ、うちにくるか」
「え、いいんですか?」
真悟を招くのは良くないのは分かっているけれど、真悟の立場を分かっているだけに放っておけなかった。
「いいよ、飲物はコーヒーしかないけど」
「それで大丈夫です。わーい、楽しみ」
そう真悟は言うと戸部の後に付いてきた。
それが戸部の間違いだったのは、たった一時間後に分かることだった。
「まあ、自由に見ていいよ。片付いてはいないけれど」
戸部が真悟を部屋に入れて、マンションの中を見せてやって、コーヒーを入れてから着替えて着た後、戸部の記憶はブラックアウトしてしまった。
突然眠くなってしまい、そのまま寝てしまったのだ。
そんな戸部を見下ろした真悟は、戸部に近付いて言うのだ。
「可哀想な人、僕なんかに親切にしちゃうから」
真悟はそう言って眠っている戸部を裸に剥いてしまうと、体中を撫で回した。
「あぁんっ、あっひあっあっらめっ……あうっんっふっ」
耳に甘い声が聞こえてきた。
何かAVでも流しっぱなしで寝てしまったのかと思っているくらいに耳元できこえてきた声にふっと戸部の意識が浮上した。
「あっあっ……んっはぁっ、だめ、起きちゃった、んっ、あっあんっ……」
目の前には真悟が全裸でいて、上下に動いている。
「んはぁ、んっ……すごい、おちんぽ硬い……ああっああぁっ! んっ、はっあっあっ、おちんぽっだめっ……あっあぁんっ」
「……う、あ……なんだ、これ」
「あああぁ~っ……! あっあっやっあぁんっああっ、おちんぽっ……らめっ、やらっあっあっあっああーっ」
ハッとしてやっと自分が何をしているのかが分かって戸部は焦った。
「あああぁっ! らめっ、いくっ、おちんぽでいっちゃっ……あっああぁんっ」
「うううああっ!!」
「ひあっ、あっあっいくっ、あっふあっあ゛あーっ……」
戸部は目覚めたと同時に絶頂へと導かれた。
それによって吐き出した精液が温かい中に吐き出された。
戸部は真悟によって犯されており、真悟は自分のアナルに戸部のペニスを突き挿れて腰を自ら振っていたのである。
「な、なにして……うっ」
「だめ、戸部さんっ……あ、はあっはぁ、んっ……あっ、ああああっ……まだまだ時間はあるからね、戸部さんも気持ち良くなってて」
そう言われて戸部は起き上がろうとしたのだが、何故か起き上がることはできなかった。
「なんだこれは……体が動かない……ううっああ」
そう思っていると股間にはしっかりと脈打っている感触があった。
困惑する戸部を置いて、真悟は戸部の体に跨がっていて、騎乗位で腰を振っている。
「あ゛ああっ……あっあ゛っあああっ戸部さんのおちんぽ、硬くて素敵っああっん」
戸部は自分の体は動かないのに、何故かペニスだけが立ち上がって勃起を続けていて、さらには声だけは出せるようになっていた。
肩から下が動かない上に、股間だけ異常になっていれば、戸部でなくても混乱をしてしまう。
「ああっっ……あ゛っあ゛っおちんぽっあああーっあっあっあんっ……やっ……おちんぽっはぁあっ」
「……うう……ああ」
目の前で真悟は淫らに腰を振っているのを見ると、股間がさらに勃起していって、さらにはその脈打つペニスから精液が溢れ出てしまう。
「あひっあうっひぃっ……あ゛っあ゛っらめっ、おちんぽ、きもちよすぎっあっあんっ」
「うう……なんでこんなことを……」
戸部には真悟にこんなことをしようなんて気は一切なかった。なのに、真悟は最初から戸部を狙っていたことになってしまう。
「んっあっい゛いっ、おちんぽよすぎてっだめになっちゃうっ……あっひっあっああっ」
まさかと戸部は思った。
コンビニでのあの電子決済ができなかった時から、真悟は誰か親切な人にこうしてやろうと思って獲物を選んでいたのかもしれないと思った。
それで周りは分かっていても助けなかったし、店員も関わりたくなくてさっさと精算したのかもしれない。
引っ越してきたばかりの戸部には真悟は要注意人物であったことを教えてくれる人はいなかったのである。
「皆に、怪しまれてるから、誰も助けてくれないけど、戸部さん親切で格好いいし、一人住まいだし、とても……都合がよかったんだよね……あっあっあっあんっふっ……あっあああっ」
そう真悟が言った。
真悟はそうやって獲物を選んでいて、相手の親切や押しの強い発言に折れてくれるような人を探していたのだという。
「そんな……くそっああっ!」
「ひあああ~っ……戸部さんのおちんぽ、ガチガチになった、いいっあうっ、んっあっあんっあ゛ああっ……!」
戸部の意思とは関係なく、性欲に暴走するペニスだけが、真悟の腰使いに反応して快楽を得ている。
「あっあんっあ゛あっああぁ~っおま○こにせいえきっきたっああんああっ! あ゛ああっ……あひっ、いっあっあんっぁうっ、あっあっああっ」
それに堪らないと真悟が受け止めながら絶頂を繰り返し、さらには真悟は戸部の口にキスをしてきた。
口の中に何か少し甘い味がした気がした。
何か飲まされたと気付いたのは飲み込んでしまった後だ。
「あああ~っ……んっ、おま○こ、きもちいい、戸部さんのおちんぽがっいいっはぁっ……あっあんっいっあうっ」
「くそっやめろっ……やめてくれっ」
「ひっあっああぁんっもっおま○こでっいくっいっちゃうっ!」
「くそっくそっ!!」
「ふあっ……あっいっああっ……おま○こっに精液きたっ……あんっんんっあああっ! あ゛っあ゛っうっひぃっあっあんっあああっ……!」
「ううう……」
戸部の意思とは関係なく精液をペニスは吐き続け、それで真悟は絶頂をしている。
「ああああ~っ……あひっ、いっ……あっ、んっ……ああ、せいえきでてるっはぁっはぁっ……はぁっ……はぁっ……おま○こにされちゃった……あはんっ」
淫らな真悟は可愛い悪魔だった。
真悟は獲物を見付けたら平然とクスリを使って自由を奪い、戸部の体を自由にした。
それから一晩中、戸部は真悟に犯され続けたのだが、朝方になってマンションのドアが開けられた。
鍵を持っている人なんて管理人くらいだと思っていると、ドタドタと人がリビングに入ってきて、数人が真悟を見付けると真悟をやっと戸部から離してくれた。
「いやああ、戸部さんとずっと一緒にいるの!!」
真悟がそう叫んでいるけれど、それを無視して何か筒状のものを真悟の腕に当てると真悟はそれでやっとぐったりと大人しくなった。
そして体の動かない戸部は、その人達によって運ばれて病院に入院をした。
一日身動きは取れなかったけれど、じんわりと手足の先から感覚が戻ってきて、二日目には異常がないか調べてもらい、三日目には自分の足で歩いてトイレにいけた。
「結局なんだったんだ……」
戸部には恐怖の体験になってしまったが、その後、個室の部屋には真悟の父親がやってきた。
「君には迷惑をかけた。アレは、色狂いなところがあって……その、相手を探して家を抜け出すので苦労をしていて……」
話を聞くと、真悟は小さい時から家庭教師に色欲を教えられて育っていて、性欲が強くなってしまい、最後は家庭教師すら翻弄するほどの色狂いに育ってしまったのだという。
真悟は気に入った相手には体を動かなくなるように睡眠薬や様々なクスリを使って拘束してセックスに持ち込むのだという。
そうしてトラブルに巻き込まれてしまう人が沢山いて、そのせいでこの街では真悟のことは見ない振りをしているのだという。
しかし狂っているのは、真悟だけではなかったのである。
「そこで君にお願いがあるのだが……」
「……えっとなんでしょうか?」
「真悟は珍しく君に拘っている。君を気に入っている。君さえ良ければ、多額の給料を払うので、暫く真悟の相手をしてくれないだろうか?」
そう真悟の父親が言うのである。
狂っているのは真悟だけではない。真悟が狂ってしまう環境があの屋敷にはあるのだ。
そこで戸部は断ってしまえばよかったのだが、提示された金額が億を越えていたことに思わず喉が鳴ってしまった。
狂っているのは何もこの人たちだけではない。
そう戸部もまた、そうした理由で少年を抱くことができる人間であったのである。
そうして戸部はその仕事を請け負った。
毎年振り込まれる億単位の給料という名目のお金は、長く使われることなく戸部の口座に残り続けることになった。
そして戸部は、あの大きな屋敷の離れで真悟と暮らし始め、真悟がセックスをしたい時にセックスをする相手になった。
愛情がなくても性欲があれば抱けるものである。
「ああ゛ああっ、ちくびっ……ああっだめ、おま○こしながら乳首いじられたらっ、あ゛ーっ…いっちゃうからぁっ、あ――――――っ」
「真悟、ほら、もっと耐えて」
「うあんっ、んっんっ……あんっ、だめ、ほんとに、おま○こっ、ぐりぐりだめっ、あっ、んぁっ、いいっ…ふあっあ゛っああぁっ」
淫らに乱れる真悟を犯していると、段々と戸部もそれが楽しくなった。
気持ち良くなれたし、誰にも邪魔をされないし、生活にも困らない。
離れにいれば誰にも会わなかったし、生きたいところには真悟と一緒に行けた。
何も困ることはない生活が十年も続いてしまった。
「あ~~っ……いっちゃうからぁっ……乳首と、おま○このなかかき回されてっんあっあぁんっ、いっちゃちゃうっ……あ゛っ、あっああぁっ」
淫乱な真悟は戸部が側にいることで精神が安定したのか、学校にも普通に通えるようになり、優秀な成績で大学まで卒業ができた。
そしてそれでも戸部が側にいたので、真悟は今は兄の手伝いをしているが、それでも真悟が戸部を手放すことはなかった。
十年間、戸部は仕事として真悟と一緒にいたが、十年目でやっと仕事としての真悟との付き合いを止めた。
今は真悟が建てた家に恋人として一緒に住んでいる。
「あぁあんっ……い゛ぃっ……きもちいっ、よすぎて変になるっ……あっあひっ、だめっあっあっおま○こらめっ……ああんああっ!」
「真悟、ほらどうしてほしい?」
「あっあぁんっ……おま○こぐちゅぐちゅして……っ。おちんぽっちっ乳首も弄られていきたいっ……あっはああぁっんはっ……」
真悟の性欲は相変わらずであるが、戸部もまたそれに付き合えるくらいには性欲は強くなっている。
「真悟、おかしくなって」
「あ゛ひっ、なにこれっ……あっあっらめぇっ……あっあ゛ああっあひっ、こんなの、むりっ、はぁっ、あっあっあたま、おかしくなるっ……」
戸部はそれで絶頂をする真悟を抱き締めた。
この愛すべき性欲だけで生きてきた子に、戸部は愛情らしいものが芽生えてきているのに気付いた。
そしてその愛情は真悟からも感じるもので、決して裏切られることはないのだと信じられるものになったのだった。
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