204-甘くない毒

「催眠術なんて、台本ある演技だって」
 そう言っているのは友人の江川涼平だ。
 大学生にもなって昼休みのご飯時には昨日やっていたテレビの話をする男で、とにかくテレビ大好き人間だ。
 でも周りの友達たちは誰もテレビを見ていなかった。
 それはバイトをしていたり、ゲームをしていたり、デートしていたりとそれぞれにやることがあるからだ。
 そんなところで昨日見た催眠術に芸能人が掛かってあれこれやるなんて今のテレビは昔の企画をやって団塊世代の人達を喜ばせているらしい。
 そんな番組をしっかりと見てきた江川はそれをちょっと信じていたみたいに話すので、誰かが台本だと言ったのである。
「演技なのか?」
 江川がそう言うのを、和田尚貴が笑って言った。
「だってよ、変な催眠術を掛けられたら、芸能事務所だって困るだろう? 受けるってことは掛からないようにして貰っているって」
 そう言われてしまったら、確かに催眠術を掛けて欲しいなんていう芸能事務所があるわけもなく、もし変な催眠術にかかってもし万が一解けなかったら誰が責任を取るのだろうか。
 昨今のコンプライアンス的な問題として、もしがあった時、誰も責任は取れないだろう。
 そんなこととを白石聖(ひじり)は思った。
「白石はどう思う?」
 隣に座っていたせいで、聖にも意見伺いが来たけれど、聖は素直に答えた。
「僕はちょっと怖いから、催眠術は演技であって欲しいな」
 そんな感想を向けると、江川も少し頷いた。
「だよな、そうか。俺が掛かるのが嫌で怖いから演技であって欲しいのかも」
 なんて江川が言い出して、それに周りもちょっと納得した。
「それは分かるかも。自分の意志を奪われて知らない所でどうにかなってたとか、泥酔した時の自分だと思えば怖いよな」
 他の友人達もそう言い合って、確かにそれは怖いなという話になった。
 最近の飲み会で泥酔したらしい知り合いの知り合いになる学生が、身ぐるみ剥がされて一文無しでゴミ捨て場で目覚めたという噂を聞いたばかりだった。
 その人は結局、病院に収容されて、事なきを得たらしいが、一文無しの後にカードなどが不正に使われていたそうで、大変な目に遭うし、家にも泥棒が入っていたみたいで、最悪の一週間を過ごしたという。
 それを聞いたらさすがに怖くなってきて、話は飲み会は暫く辞めようという話になっていった。
 馬鹿みたいに飲んでいた江川や和田辺りには、正に怖い話であり、催眠術の話はそこで終わりになってしまった。
 ただそのことから、白石聖には少し引っ掛かることがあったのを思い出した。


 白石聖はまだ大学に入ったばかりで、やっと夏休みが訪れる時期になって大学にも馴染んできたところだ。
 もちろん飲み会はしては駄目であるが、先輩に連れられて個室の居酒屋に連れ込まれてしまって、逃げられないことを数回経験をしている。
 このことがバレれば大変な目に遭ってしまうのは分かっているけれど、その飲み会には気付いたら参加してしまっているから、本当に困った状況だった。
 気付いた時にはというと、正に催眠術にでもかかっているかのように、飲み会に参加するのは嫌だと言って家に帰っても気付いたら飲み会会場にいて、飲んで酔って帰ることになるのだ。
 聖はそれで自分が何か得体の知れないものに操られているのではないかと思うようになってしまい、催眠術の話が出たときに、少し奇妙な感覚を覚えたのだ。
 でも催眠術にかかったりしたこともないし、何より催眠術を掛けられるという状況に陥ったことはない。
 覚えている限り、飲み会での記憶が毎回ないだけで、それはそれで問題ではある。
 なのでさっきの泥酔して被害にあった人の話は何もその人の怖い話ではなくて、正に聖の話でもあった。
「おはよう、白石くん」
 食堂を出たところで、聖はある先輩OBにあった。
「松原さん……」
 それはこの大学のOBの松原達成という人だ。
 OBなので聖は会ったことはなかったのだが、飲み会に毎回いて、聖を介抱してくれている人が松原だったのである。
 松原は身長は百九十センチ近くもあって大きく、体つきも鍛えていると言っていたので筋肉が凄くついている。
 アメリカ人の父親だったそうで、その影響もあって筋肉が付きやすいのだそうだ。
 しかも彫りが深くて格好良く、女子学生が周りでキャーキャー言っているくらいは顔面偏差値が高い。
 そんな人が何故聖の介抱をしてくれるのかは分からないままであるが、毎回ホテルだったり、松原の自宅だったりに聖は連れ込まれている。
 それで変な目に遭ったことはないけれど、そこまでの記憶がない以上、何があっても聖には知りようもない状況で、正に怖いことだ。
 松原が何か企んでいたら、気付いたら何かの保証人にされていて、多額の金の借りられているとかあり得そうである。
 そういう状況になっているため、聖は松原に会うのは避けたいところだった。
 しかしOBということもあり、有名人である松原が軽率な行動に出るわけないという、有名人だからこそできないであろうと信じるしかなかった。
 松原は今、芸能事務所に所属していて、モデルをしている。
 体格がいいので、ショーモデルをしているらしいけど、日本よりは海外のファッションショーに出ていて、時々雑誌の表紙を飾るようになってきている。
 なので知っている人は知っている有名人で、海外では人気も高いそうだ。
 そんな人がわざわざ大学までやってきて聖に声を掛けるのはおかしなことである。
「今日も可愛いね、白石くん」
「そんなことないですよ、揶揄わないでください」
 そう聖は言って、少し立ち止まった。
 前を松原が塞いでしまったので逃げられなくなった。
 聖は身長は百六十センチくらいで、松原と向き合うと三十センチも違うので、圧迫感が凄かった。
 更に体も細かった聖では並んでみれば、ちょっとした恋人同士に見えた。
 ただでさえ背が低くてコンプレックスもあるところに、最近貰った服がまたユニセックスなものばかりで余計に男らしさは消えていた。
「服、似合っているね。良かった。君に似合うものが集められて」
「その節はありがとうございました」
 聖はそう言って松原に礼を言った。
 聖は最近、住んでいたアパートが火事に遭う被害にあった。
 自分が起こした火事ではなく、一階の部屋の住人が寝たばこをしてしまい、それで夜中に部屋まで燃え移ってしまったのだ。
 それで聖の財産はたまたま貰っていた金庫に入っていた貴金属と通帳だけで、他は全部燃えて仕舞ったのだった。
 幸いなのは、部屋は同じ大家が手配してくれて、代金もそのまま変わらずに住めること。下の階の住人が大家の息子だったため、被害総額は大きかったけど、その迷惑料のお金も貰えたことくらいだ。
 住む場所も少しいい所に引っ越せて家賃はそのままで悪くない対応だったが、着ていた服も靴も何もかも失ったため、それを買い占めるにはなかなか難しい事態になった。
 それを聞いた松原が、聖のために何も彼もを集めてくれたのだ。
 家電を買い直しするにしても、急激に出て行くお金が大きかったし、保険のお金は一ヶ月後ということで、大家もそれで調整していたので、すぐにお金がなかったから、松原のしてくれたことはとても助かったことだった。
 衣食住の住以外を用意してくれて、家電も古いけれど使えるモノだと言って綺麗なものを持って来てくれたし、服はモデル事務所に話を通して、使わない服を大量にボランティアとして寄附して貰ったそうなのだ。
 それで靴までも揃えて貰って、今聖は普通に暮らせているのである。
 なので、松原の誘いを断ることができずにいた。
 それでも何とかバイトを入れたりして、飲み会には誘われても行かないように工夫はしていたのに何故かいつも飲み会に参加していることになっている。
「まあ、いいよ。俺もそれなりに楽しいし、聖は酔うと可愛いからね」
「すみません、いつも泥酔してしまっているみたいで……本当に」
 そう言うと松原は聖の耳元で言った。
「またおいで。今度は皆で可愛がってあげるよ」
 そう言われても困っているところなので、聖は言った。
「あの、……お酒は当面止めようと思っているので……その誘わないで頂けると嬉しいのですが」
 そう申し訳ないけどと告げると、松原はそれにちょっと一瞬言葉を発しなかったけれど、ちょっと周りを見回して言った。
「うーん、それ断るのか……仕方ないね。それじゃ……」
 そう言うと松原は聖の耳元で何か言った。
 でもそれは聖にも聞こえなかった。
 いや目の前でパチンと指を鳴らされるまで聖はそこで起こった少しの時間、また記憶がなかったのである。
「あ、れ?」
「大丈夫? 疲れているならバイトもほどほどにした方がいいよ。じゃまた後でね」
 松原はそう言うとスッと聖の側を離れていって、向こうで女子学生と楽しく去っていった。
「……何だったんだろう、今の」
 そう思っていると、近くで待っていた友人の江川が近付いてきた。
「何か、松原さんと楽しそうだったね」
 そう江川に言われて聖は慌てて言った。
「あ、そういうのじゃなくてね。火事の時に世話になってから、色々と断れなくなってしまって」
 そう聖が言うと、江川はそれを思い出したようにパッと表情を明るくした。
「つまり、あんまり松原さんといるのは楽しくないんだ?」
「……そもそも行った覚えのない飲み会にいつの間にか参加してたりして、俺、何か催眠術にでも掛かってるのかなと思うときがあって」
 聖は正直にそう江川に言って見ると、江川もまさか聖はそんなことを気にしているとは思わなかったのか、すぐに親身になってくれた。
「それじゃ催眠術とか詳しいやつに聞いてみる?」
「誰かいるの?」
「ああ、オカルト研究部のヤツが催眠術とかも詳しいらしいから聞いてみるか?」
「うん……そうしてみる」
 良く分からないままなのは怖かったので最低限の知識が欲しいと思い、江川に頼んでオカルト部の人を紹介して貰った。
 その人は谷田という人で、割と普通の人だった。
「催眠術ねえ、まあ掛かってても分かってないってのは普通にあるよ。催眠をかけていること自体を忘れさせることはできるからね」
「それを忘れているってこと……か」
 谷田の言葉に聖が言うと、ちょっと試して見ようと谷田が俺に催眠術を掛けてみた。
「簡単なやつだけど、今催眠術に掛かっているのかどうかを調べる催眠な。そうリラックスしてーっと」
 そうしているとスッと何か気持ちが楽になってきて、聖はそのまま催眠術に掛かったみたいになった。
 でも意識はちゃんとあって記憶がない状態ではないみたいだった。
「あー……これ、何かがっちりと掛かってるな。ヤバイ、プロテクトも凄いからきっと合い言葉とか色々あって、俺では解除はできないな……」
 そう言うと試しの催眠術を解いてくれた。
「……あ、でも、掛かっているって感覚もあるし、記憶もあるんだけど……」
 今催眠術に掛かっていると分かったと言うと、谷田は言った。
「それに後催眠といって、後から催眠術に掛かっている間の記憶も忘れるように消すこともできちゃうからな。これだけ、鉄壁に催眠術を丁寧に長くがっちりと掛けているなら、消した記憶も一時的なもので、後で思い出させる気はあるってことみたいだし、下手に弄って、記憶が混乱したら俺は責任は取れないから無理だな」
 そう谷田には言われてしまい、聖はどうやら誰かに催眠術に掛けられていることだけ分かっただけだった。
 谷田には聖が催眠術に掛かっていることは誰にも言わないで貰う約束をした。
 谷田も知って何か相手を怒らせるのも怖いのか、頷いて秘密にしてくれると言った。
 そうしてオカルト部を出ていく聖と、その後にオカルト部に入る人がいたのに聖は気付かなかった。
 江川のところに戻っていくと、江川も催眠術のことは言わずに、聖に言った。
「遅かったな。講義に間に合って良かったよ」
「うん、ありがとう」
 講堂でする話でもないし、それ以上催眠術の話はすることなく、江川とは気さくに普通のことを話しあって講義が終わった後は、聖はバイトに向かった。


 その日の夕方になると、白石聖はバイトに出掛ける。
 小さな地下にある居酒屋で、客はほとんどが顔見知りになる。
 店長は料理長を兼任しているので小さな店だから、席は五組の席とカウンターに四つの席があるだけである。
 そんな店にバイトは要らないと思われたけど、片付けなどは頼みたいようで聖はそこを松原に紹介されて雇われた。
 バイト先の店長は明神という人で小さな体であるが、体力はあるみたいで忙しい時間も一人で調理を熟している。
 午後十時を回るとバイトの聖はバイトが終わってしまうが、店はそこから一時間くらい飲みとツマミだけで十一時まで延長することもある。
 客も一人客が多く、サラリーマンでも二人連れくらいで、大衆の居酒屋とは違う静かな場所だ。
 口コミでしか人が来ないらしくて、忙しくはないから助かっている。
 時折お客さんから夕飯代わりの食事を奢って貰うこともあって、和気藹々としている。
 なので問題がある松原の紹介であることを除けば、このバイト先を聖はとても気に入っていた。
「白石くん、今日も十時まで?」
 一人の客にそう聞かれて、聖は笑って答える。
「いつも通りですよ」
「そうか、なるほどね。それじゃウイスキー作って貰おうかな」
「はい。メーカーはどうしますか? 華と凪とありますが……?」
「じゃあ、華をお願いしようかな」
「華のロックで」
 そう言うと聖は注文を受けて、聖がドリンカーを務める。
 作り方は全部メモ帳に書いて覚えたので簡単なモノは見ないでも作れるようになった。
 そしてそれを作ってお客に渡すと、それだけで喜んで貰えてやり甲斐はある。
 午後六時から十時までなので四時間くらいであるが、それまでバイトをしたことはなかったので、新鮮な気持ちでできている。
 お金を稼ぐのも大変だと実感した。
 火事のあとに、松原に助けて貰ったことでお金の大切さを考えたし、バイトはしないでいいと家族には言われていたけど、それでも大切さを学んだ以上、親に頼れないような時には自分で何とかするしかない事態に備えたいと思うようになった。
 しかしバイトをし始めてから、少しおかしな状態に陥っていた。
 聖は自分の意志に反して、松原に会っている状況に恐怖を抱いている。
 そう催眠術に掛かっていると言われたことだ。
 誰が何の目的で掛けているのか分からないが、それでも聖が行きたくもなくて断っている飲み会に参加して泥酔をしている状況から、間違いなく聖は自分の意志に反した行動をしているのは確かなことになってしまった。
 でも解除する方法は普通ではできず、さらには医者に行ってもそれは解くことはできないと言われた。
 飽くまで掛けた人が解くことでしか消している記憶も戻らない。
 あれから催眠術について一人で調べて見たけれど、それを解くのを医者に頼むのは無理だということだった。さらにはそれでは精神科に掛かるしかなく、催眠術に掛かってしまっていると怯える患者として、聖の頭がおかしいという判断をされてしまうだけだった。
 どうやって首謀者を見付けるかと思いながらバイトをしていると、十時になってバイト上がりになってしまった。
「おつかれ」
「おつかれさまでした」
 そう言って更衣室に入ると、そこに誰かがやってきた。
 びっくりして振り返ると、誰かが立っていた。
 でもそれが誰なのか聖には理解できなかった。
 何故か脳みそが意識することを拒否する
「あ……あ……」
 必死に抵抗をしようとするのだが、それにゆっくりと近付いてきた影が一言言った。
「思い出せないよ、思い出すことはしなくていいよ、聖」
 そう言われてしまったら、そうした方がいいと聖は思ってしまった。
「うん……思い出さない」
 聖がそう言うと、影はまた言った。
「催眠術なんて聖はかかってない。そうだよね?」
 そして目の前で指が左右に動いてそれを目が追ってしまう。
 そうしていると、聖は考えるのを止めた。
「うん、かかってない」
「そう考えたことも忘れよう」
「うん、忘れる」
 そう聖が言うと、影はパチンと指を鳴らして言った。
「聖、さあ、今日も淫乱になろう。淫らに乱れて、皆を楽しませるんだ」
 そう影が言って指を鳴らすと、聖はそれに頷いた。
「はい、今日も聖は淫乱で、淫らに乱れて、皆を楽しませます」
 聖はそう言い、着ていた服を脱いだ。
 そして影が用意していた乳首に少しだけ布が掛かっているだけのビキニを着け、その上から胸が完全に出ているメイド服のようなものを着せられた。
 下着ももちろんヒモのパンツであるけど、ペニスの先は出てしまって、玉だけに布が掛かっているようないやらしい下着になっている。
 それを短いスカートに隠して、ストッキングを着ける。
 ガーターで吊してしまったら、紐パンを結んで、さらには少しヒールの高い靴を履いた。
 黒で装っている服は、淫らに見えて、色欲を誘う。
 そんな聖の後ろから影が聖のアナルにローションを付けたバイブを突き挿れてきた。
「ああ……んっ」
 聖はそれで感じてしまうけれど、ペニスが少し勃起してしまう。
「もう感じているのか。さすがに一ヶ月もやっていれば、自然とそうなるか」
 そう言われて聖は少し赤い顔をした。
 それは自然な反応だった。
 聖は催眠術に掛かっているのは事実だった。
 聖に催眠術を掛けたのは、松原達成であり、今聖の目の前にいるのも松原だ。
「聖、いい子だ」
 聖が松原に目を付けられたのは、たまたま一緒の飲み会で隣の席になった時だった。
 聖は松原に催眠術に掛けられてしまい、そのままその場で松原に犯された。
 そして松原は聖を気に入って催眠術をかけ続け、聖をおもちゃにし始めたのである。
「さあ、聖、皆に見て貰おう」
 そう言うと聖はその淫らな姿で店に戻った。
 居酒屋はもう閉店しているが、それは表向きで、招いた客が十人ほど残っている。
 その席は全部ドア側に片付けられていて、真ん中が空いている状態にされ、そこにはシートが敷かれて、その上に大きめの濡れても乾かせるタイルが乗っている。
 そこに聖が立つと、客達は聖を見て興奮してペニスを股間から取り出すと、聖の姿を見ながらペニスを扱き始める。
 聖は沢山のポーズを取って男達を誘い、そして足に向かって精液をぶっかけさせた。
「ああん、精液気持ちいい……」
 それを受け取って聖は更に淫らになる。
 そう催眠術が掛けられているからだ。
 解けることない催眠術は、生き死にに関係することは命じられないけれど、セックスをするだけや、淫らな行為をするだけなどに関しては、強制できた。
 それは聖にあまり抵抗感がなかったのが大きい。
 松原が聖に興味を持ったのもそこで、聖は自分が女性に気に入られることはないと苦手意識があって、男性に少し興味を持っていた時期があったせいだ。
 そして行為をしたことがないことから、怖い目に遭った経験もなかったので、行為を怖いと思っていなかった。
 そこに松原が催眠術をかけて、セックスが気持ち良くなれるものだと洗脳した結果、聖は男達に体を簡単に開くようになってしまったのである。
 もちろんそこに抵抗感は既にない聖は、合図さえあれば裸になり、言われた通りに男のペニスを咥えられるようになっていた。
 僅かな抵抗は催眠術を重ねかけしていくことで深く聖の精神に影響していって、抵抗感は指を鳴らして淫らになれと言われるだけで、ペニスが勃起してアナルがペニスを受け入れる準備ができるほどになった。
 すでに聖のペニスからは先走りが吹き出ていて、男達が聖のスカートを聖に持つように言ってあげさせて、見えた下半身に二人ばかり男が群がってペニスを舐めたり、アナルを舐めたりしている。
「ああんっ……あんっ……ふあああっ」
 とても聖は気持ちよさそうに喘いでいる。
 嬌声を消すことは禁止されているので気持ちがいいと聖は喘ぐ。
 それに男達が耳から淫らに犯されて、更に聖の体を貪ってくる。
「ああっ……!はああ、んっ、んんっ、あーー……っ」
 舌で体中を舐められて、聖は体を淫らに揺らしている。
 立ったままで乳首を弄られて、ペニスを口で咥えられ、アナルを舌で舐められる。
「ん……っ、はぁんっ! んふぅ……っあっ、あっ、あぁっ」
 堪らないと涎を口から垂らして、その涎さえ男達が舐め取っていく。
「ああ……っ、……あっ……ぁ……んっ……ふ、う……っ」
「聖くん、やらしい乳首、勃起してプリンプリンとしてるね」
 そう言われて指で何度も弾かれて、それにガクガクと体を震わせる聖。
「あっ、ぁん……!ああっ……ああ……もう……っ、んん」
「まだだよ聖くん、アナルも舐めないとね」
 そう言われてアナルからバイブが取り出されると、代わりにポカリと空いたアナルには男の舌が入り込んできた。
「んあぁ……! んぁあっ……ふぁ、あぁ……っ!」
 舌が中を舐めてきて、それだけで聖はゾクリと体が快楽に震えた。
「あひぁああっ、ああぅ!!」
「気持ちがいいんだね……聖は淫らだからな」
「あぁっ、ぁ、ぁ、あっ――」
 ペニスとアナルを舌で舐められて、乳首も指で弄られて引っ張られて、体中を男達の舌が這い回り、それに聖は快楽を覚えた。
 淫らな体は素直にそれを受け入れ、更に堪らなくて絶頂をしてしまう。
「んっ……はぁっ、だめぇ……んんっ……はぁっ、いくいくっあっあぁっ……!!」
 激しく絶頂をした聖であるが、男達がその体を抱き留めて、聖の絶頂を更に促した。
 聖は体の力を抜いて倒れかけたけれど、その体はゆっくりとソファに凭れさせられた。
「ん……っ! っあ、やっ、ん……ひあっ、ぁあっ」
 足を大きく開いた状態で皆にアナルがほどよく開いているのを見て貰い、そこを指で広げられる。
「はぁっ、ん、んっ、ぁん……んっ、ぁ、ん、はぁ、ん……」
 今度は指を挿れて指で中を犯されていく。
「ん、はぁ、ぁっはぁっ、ぁんっ、あっ、ん……」
 リズム良く中を抉られていくと、聖は足を大きく開いた状態で両端から足を持たれてしまい固定された。
「あっ……あぁっ!やっ、だめ、それだめ……っ、やあぁっ……」
 そうして散々アナルを指で抉られ続け、軽く二回は潮を吹いて絶頂をさせられた。
「やだっ、あぁ……っ、らめ、そんな……っ、だめぇ……!やだ、ぁ、あ、ああっ」
 気持ち良く絶頂させられた後は、休む暇もなく、男のペニスが聖のアナルに突き挿れられた。
「あは、ぁんっ、おちんぽでおま○こ突いたら……っだめぇ」
 一気に貫かれてそれだけでも聖は絶頂をしてしまった。
「はぁあう……んぁあ、あ、っも、いひはぃ……っ」
「聖くん、待ちきれなかったんだね。もうイッちゃってるよ」
「んうっ、んっ、んっあっ、ぁあああーー……っ!」
「ああ、イキッぱなしだな」
「ひぃっ、ひっ、ひっ、あ、やぁ……あっ、んああっ」
 信じられないくらいに気持ち良くなって、聖は嬌声を上げて男を受け入れた。
「うああぁ……っ!ああっ、ひ……ゃあ……あっ、あっ、あ……っ!」
 無理矢理押し入れられるけれど、それを聖は受け止め、そして男を煽っていく。
「ああぅ……っ、ああ……ああ、いっ、いい……おま○こいいっ」
 パンパンとリズム良く突き上げられて、絶頂に達すると中に精液を吐き出されていく。
 代わる代わる男達が聖の体に群がって、次々にペニスを聖のアナルに突き挿れて強引に突き上げてくる。
「いいっ……おちんぽっいいっ、あぁーっ、あっ、も、いきたい、いきたいっ……ぁあっ、ああああっ! もうだめ、だめ、いかせて、え……!」
 聖の淫らな要求に男達は何度も聖をいかせ、快楽を味わわせる。
「ああああーーっ……!」
 聖は催眠術に掛かっているけれど、セックスをしている時は従順で抵抗感が一番少なかった。
 それは人数が増えていっても現実の何も知らない聖に誰も接触しないからであり、精神が保たれているから、裏で何があっても、聖は正気を保ってられた。
「あああああ……っ、おま○こ、いや……ああぁっ、く、あぁっ……!」
 バシャバシャと精液がアナルから溢れ出ているのにも構わず、男達は聖を抱き潰すかのように犯してくる。
 男達は三回は聖を犯し、聖は三十回以上も男達の精液をアナルの奥で受け止めて、それらを気持ちよさ気に受けた。
「あああぁぁ……っあ、はあっ、ああっあーー……っ、あああぁ……っ!」
 聖が満足そうに床に倒れてしまうと、直ぐさま聖は裏側に回収されていった。
 そうすると、それを見ていた松原が今回参加した参加者全てに催眠術を掛けた。
「今日のことは夢のこと、忘れてしまう。いいか、忘れて片付けてから帰るんだ」
 そう一気に十人に一時的な催眠をかけて、更に帰り際に深い催眠をかけた。
 これで客達はここであったことは忘れる。
 夢に見るかもしれないが、それは願望がさせる夢であり、現実ではない。
 でも感触はしっかりと覚えているので、反芻することはできる。
 ここで大事なのは忘れさせないこと。
 聖に近付きたい輩は、必ず松原を通す。そして松原に膨大な売春代金を払い、そして行為をした後にはそれを全て忘れる。
 お金を何に使ったのかは覚えてないし、詮索もしたくなくなるように催眠を掛けているので、資金を調達する時から彼らは何のためにお金を貯めて、何のために使ったのか思い出せもしないのである。
「ふん、全員、欲に塗れたいやしいやつらだ、なあ聖」
 そう言って松原は裏で精液塗れになっている聖のアナルに自分のペニスを突き挿れる。
「あぁんっ……きもちぃっ……あうっ、ん、はぁっ、あっあっ……おま○こされて気持ちがいいのっああん」
「そうだな、俺のが一番好きだよな。そう暗示をかけてあるんだから、そうなるよな」
「ああんっ……らめ、おま○こ壊れちゃうっあっ、あぁっ……あああぁっ……らめ、らめ、ひっ、おま○こでいくっあっああぁーっ……」
 たった数回ペニスで奥を抉られただけで聖は絶頂をして潮を激しく吹いた。
 こうなるのは松原のペニスでだけと教育されているので、聖の体はすっかり松原の好みに仕上がっている。
「あ゛あぁーっ……だめ、おま○こにまだはいって、あ゛あぁっ……、おちんぽこすれてるっ……、おま○こ、いっぱいになってる、あ゛っあんっあああぁっ……!」
「もっとだ、聖。腰を振れ」
「あ゛っ、あああーっひあ゛っあっあっあんっあぁっあひっいっあああっ!」
 聖は言われた通りに腰を振り、しっかりと松原に犯されて気持ち良くなっている。
「あひっ、しゅごいっ、おま○こっ、犯されてるっ……! おちんぽでごりごりされて、あぁっんっあ゛っ、いいっきもちいっ、ああぁっ、だめっ、あっ、あーっ……」
 聖はまた絶頂をしてしまったが、やっと店での片付けが終わったところで、店長が店を綺麗に洗い流して清掃した。
 この店は松原の持ち物で、店長も雇われであるが催眠が掛かっているので聖を使った集金は気付かれていない。
 聖をしっかりと犯した松原は聖に服を着せてから担いで持って帰り、店の前まで迎えに来させた車で聖を連れて自分の家に連れ込んだ。
 聖は時間を掛けて松原に催眠術を掛けられ、二度と松原からは逃げられないように何重にも催眠術を掛けられ続けた。
 それは崩壊する聖の日常などほとんど起こらないまま、静かに聖を蝕んでいくのだった。


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