194-今のあなたに

 研究所には様々な人がいる。
 そうした特別な研究施設に能美悠人(のうみ ゆうと)は勤めている。
 薬の研究をしていて、いつか日本でも採用されるように癌の治療薬を研究している。
 最近は癌細胞の進行をゆっくりとさせる薬をチームが開発に成功し、治験段階に入っているという。
 そのチームに送れて参加した形である悠人は、チームのリーダー的存在であるヴィルド・ラグーンに憧れている。
 金髪碧眼の美しい彫刻のような容姿を持つ男で、目の前で話しただけで舞い上がれるくらいにはイケメンである。
 そんなヴィルドであるが、彼はとても人見知りをする。
 仲間と認めてもらえないと名前も呼んでもらえないし、いつまでも誰と言われる始末だ。もちろんそれは彼が驕り高ぶっているわけではなく、ただ単に研究内容に夢中になるが故の天才的な人間にありがちな、他のことがどうにもできない人なだけである。
 けれど、悠人は何度も紹介してもらうけれど、いつまで経っても覚えてはもらえなかった。
 二年後もまた悠人はヴィルドにとって誰と言う存在でしかなかった。
「本当にあの人は顔と名前が一致しないんだな」
 同じく日本から来た研究者である後藤が面白くなさそうに言う。
「仕方ないよ。あの頭に納めて良いのは、僕らの顔と名前じゃないよ。これから人の役に立つ、薬剤の知識を詰めた方が百倍も千倍もいいに決まってる」
 そう悠人が言い切ると、それを後藤が鼻で笑う。
「お前は暢気すぎるんだよ」
 そう言われてもそうとしか思えないから悠人は気にしなかった。
 悠人がある日、研究所内を歩いていると、ヴィルドに話しかけられた。
「悪いけど、人事部って何処だっけ?」
「へ、あの、あっちですけど」
そう言って指で方向を指さしたけれど、それでは迷子には分からないだろうなと悠人が思っていると、案の定不機嫌そうな顔でヴィルドが言った。
「あっちじゃ分からない」
「はい、案内します」
仕方ないなと思いながらもヴィルドと普通の会話ができたなと思っていたら、ヴィルドが言った。
「あんた、名前は?」
「あ、はい、悠人、能美です」
「ん? 日本人?」
「そうです」
 すぐに人事部には到着した。
「ここです。それじゃ」
「ああ、ありがとう助かったよ、悠人」
 ヴィルドはそう言うと、人事部に入っていった。
 やっと名前を呼ばれたと悠人は嬉しくて、暫くそこで悶えていたけれど、周りを通る人が変なモノを見るように見ていたから、慌てて研究室に戻った。
それから暫くして、また悠人が廊下を歩いていると、ヴィルドに出会った。
「あ、悠人。よかった、第二研究室のサーラ教授の部屋って何処だっけ?」
「ちょうど同じ方面に用事があるので一緒に行きましょう」
「助かる」
またヴィルドを一緒に廊下を歩きながら他愛もない会話をした。
 食堂の食事の話を悠人が一方的に言って、最近入った日本人シェフが作る日本食がちゃんとしていると言ったような話をした。
 ヴィルドは大して興味がないのか、ただ聞いているのかいないのか分からない顔をしていた。
「ここです」
 あっという間に教授の部屋に到着してヴィルドは言った。
「また助かった、悠人、ありがとう」
「いえ、それじゃ」
 悠人はもう少し先まで行くのでそこで別れた。
 近くの悠人の研究を見てくれている教授の部屋に行く。
 今日もヴィルドにあえてよかったと思っていると、悠人の研究のことをもっと進めて良いと教授から許可を貰った。
「ありがとうございます!」
「いや、一人でここまでやったのは偉いことだ。精進してくれ」
「はい!」
 そう言ってから悠人は自分の研究に励んだ。
それから、食堂に行くと後藤がやってきた。
「何だ、遅めの食事か?」
「ああうん、教授に呼び出されていたからね」
「へえ、あの研究、どうかなったん?」
 二人は話し合いながら日本食のお盆とご飯に焼き魚と味噌汁に漬け物などを取った。
 それを持ってから見晴らしの良い窓側に行って食べ始める。
「研究を続けてもいいって言われて」
「マジか、そりゃ良かったな」
「うん、これで一歩かな」
 悠人が喜んでいると、側をヴィルドが通りかかった。
 視線が合ったと思ったら、ヴィルドが先に声をかけてきた。
「さっきはありがとう、悠人」
「あ、いえ。お役に立ててよかったです」
「じゃあ」
「はい」
 そう言うとヴィルドは去って行く。
 その光景に周りが驚き、後藤も驚いて悠人に聞いた。
「どういうことだ? 何でお前の名前、覚えてるんだ?」
「あ~、二回くらい迷子になってるの救ったからじゃないかな」
「迷子?」
「うん、道が分からないって言うからさ。それで行き先が同じだったり近いから、そのまま案内したら覚えて貰ったみたいだね」
「へえ~。自分にとって有利かそうじゃないかで覚えるか覚えないかなんだな」
 それは確かにその通りだったので、悠人も反論はしなかった。
 どういう状況でも覚えて貰えるならいいやと考えた悠人であるが、それは後藤も気に入らないようだった。
 次の日も食堂に一人で食事をしていると、側を通ったヴィルドの取り巻きが急に席に座ってきた。
「何ですか?」
 用がないとこういうことはしないもんだと思っていると、二人の研究員が言った。
「ジャップのくせに、どんな手を使ったんだ?」
「尻軽そうだしな……へへ、俺らも相手させろよ」
 実に下品な中傷であると悠人は思ったので、言い返そうとしたら、取り巻きの人数が五人ほどに増えていた。
 色んな人種がいる研究所ではあるが、ほとんどが白人だ。だからアジア系は少なく差別も多いと聞くが、彼らは自分たちが優位にいると本当に信じているような態度を崩そうとはしない。
「お断りします」
 はっきりと悠人が告げると、周りがムッとしたように悠人に詰め寄った。
「何をしている」
 集まってピリピリとしている中、男たちの後ろにヴィルドが立っている。
「あ、ヴィルド……」
「悠人じゃないか、どうした?」
ヴィルドが不審そうな顔で、周りを見てからふと気付いたように言った。
「君たち、駄目じゃないか。受付の人をいじめたら」
 その言葉に悠人はもちろん、周りも衝撃だった。
 一瞬の沈黙の後、悠人以外が爆笑した。
「どうしたんだ、君たち」
 キョトンとしているヴィルドであるが、悠人はそこで初めて屈辱的な言葉だと思った。
 さっきまでの差別発言よりも何よりも、研究者である誇りがある悠人は、そう認識されていない事実にショックを受けた。
 同じ癌の研究をしているのに、一度も悠人の存在を認識したことがないということは、悠人の研究がヴィルドにとって何の価値もないと言われたも同然だった。
 悠人は笑っている男たちを無視して、半分残している食事を片付けてから食堂を出た。
 それを気にしたヴィルドが追ってきた。
「悠人、待ってくれ。さっきの奴らのことは……」
 差別発言をしていたことは研究所の職員としては大問題である。それをヴィルドは上の方に直訴してくれるらしいが、そんなことよりも悠人はもっと屈辱を味わっている。
「いえ、何も言わないでいいです。言われ慣れているので。でも」
 そう言って悠人はヴィルドを振り返って言った。
「同じ研究者として、同じ分野の研究者として、あなたを軽蔑します」
 涙を流しながらそう言った。
 これは八つ当たりでもあるけれど、研究者として悔しすぎた。
 少しでもヴィルドの目に入るような研究をしていると自負していただけに、あの論文すら読んでないとは思ってもみなかったのだ。
 この研究所に入るために書いた論文、それは数年前に唯一載った癌の研究に関するものである。
この研究所で配布されているものであるから、誰でも目を通すことはできる。けれどヴィルドは自分の研究以外は興味がないのが丸わかりだ。
「悠人が、同じ研究者? 癌の研究をしている?」
「そうです。あなたと同じ分野で論文を書いたこともあります。この研究所の雑誌にも何度も載ってます。あなたにとって、見る価値もない論文でしょうけどね」
 悠人は自分と同じ分野の論文は、見落としてないと自負できるほど読み込んでいる。そうしないと自分の研究と誰かの研究内容が被ってしまうことがある。
 全く同じ研究でアプローチが違うけれど、それでも全く同じ研究者を知らないと言えるのはあまりにも無知である。
「あなたに憧れていました。けど、もうそれもないです」
 悠人はそう言い放って自分の研究室に戻った。
 泣くだけ泣いて、憧れていたヴィルドのことは忘れることにした。
 ヴィルドの論文を奥にしまい込んで、悠人は自分の研究に没頭した。



 そのお陰で悠人の研究は進み、形になるところまで進んだ。
 後は立証する実験の結果を付け加えて、論文として出すために進めてきたものが形になる。
 それに悠人は興奮して、その日は研究結果を楽しみに家に帰った。
 しかし、翌日自分の研究室に入ると、試験をして培養していた細胞体が全て破棄されていることに気付いた。
「な、なんで?」
 部屋の鍵はちゃんと閉めていたのに、こじ開けられた様子もない。
 自分がこんなことをするわけもないから、誰かがやったのだろうが、誰がやったのか想像もできない。
 パソコンのデータを見てみると、自分の研究結果が全部消されていた。
「なんで、誰が……嘘……」
誰かに研究を邪魔されたのだ。
 ショックのあまりどうしていいのか分からず、呆然としながらも教授に報告をしなければならないと廊下を歩いていると、ヴィルドが目の前からやってくる。
「……!」
 どうしてこんな時にと、悠人は怯んだけれど、ヴィルドは厳しい顔をして近寄ってきた。
「悠人……どうしたんだ!?」
 ヴィルドの声に悠人は張り詰めていたものが弾けてしまった。
 わっと泣き出してしまい、ヴィルドはそれに驚き、悠人の研究室に一緒に入った。
 そこで悠人が泣き止むまでヴィルドは待たずに。
「何故泣いている、泣いても解決はしないことだろう?」
 と言った。
 それはその通りなので、悠人も涙を何とか引っ込めながら言った。
「研究を誰かに滅茶苦茶にされた……」
 そう言った。
 それだけでヴィルドは察したようで、破棄されている培養とパソコンの初期化に気付いた。
「すぐに調べよう。鍵を使って入ったとしても、研究室には個々にカメラがある」
 そう言われてやっと悠人はハッとした。
 そうだ、監視カメラがある。
 それに気付いて悠人は教授の部屋にヴィルドと行った。
 すると教授が後藤と楽しそうに話していた。
 教授は悠人がやってきたことに気付くと、ニコリとして言った。
「君の研究を後藤君が引き継いでいたとは驚いたよ、しかも彼は完成間近だと言うじゃないか」
 というのである。
「……は? いえ、僕は後藤に研究を頼んだ覚えはないです……」
「しかし、彼は研究結果を持ってきたよ? ほらちゃんと」
 それは悠人が書きかけていた論文そのものだった。
「お前、この研究に飽きて俺に任せたじゃん」
「何言って……まさか、お前」
「研究内容は全部俺のパソコンにあるからな」
 そう後藤が言った。
 悠人の研究内容を後藤は盗んだのだ。しかも論文内容が入っているパソコンやデータの入っているものまで壊してパソコンまで初期化した。
 つまり悠人の論文であるという証明ができないようにされているわけだ。
 悠人は呆然として後藤を見ていると、その論文の書類を持ったヴィルドが厳しい顔をして言った。
「第二細胞の結果を基に、第三の細胞には分裂する途中にある経過に名前を付けたようだが、それは何と言ったか?」
 ヴィルドの言葉にすぐに悠人はそれを思い出したけれど、その論文を書いたという後藤はまさかそんな質問をされるとは思わなかったのか、言葉が出てこなかったようだ。
 それからヴィルドが五つの些細なことを質問をするも後藤はどれにも答えられなかった。
「悠人、答えてあげて」
 そう言われて悠人は全部答えて見せた。
 それは悠人が名付けた借りの名前であるが、ちゃんと意味がある名称だからだ。
「どういうことだい、後藤」
 明らかに論文の持ち主であるのは悠人であることが分かるだろう。けれど後藤はその論文を継承したと言うのだ。
「い、いや、……まだ深く読んでいないから、そこまでは……」
 けれどそれにヴィルドが指摘をする。
「第五の質問を理解していないまま、受け継いで研究をすることは不可能だ。残念だが、君は他人の論文を盗み、読みもしないまま成果だけを横取りしようとして、教授を騙している詐欺師だ」
 ヴィルドがはっきりとそう告げると、後藤はわめき声を上げる。
「俺は詐欺師じゃない!」
「……後藤、お前……そんな目的で近付いてきたのか……仲間だと思っていたのに」
 そう悠人が言うと、後藤は悠人を睨み付けて言った。
「うるせえ! 大した能力もないくせに、教授のお気に入りってだけで研究を続けられているやつが! どうせ教授と寝てるんだろ! そうじゃなきゃあり得ない!」
 後藤がそう叫ぶと教授が怒鳴る。
「君は悠人だけではなく、私も侮辱するのか!」
 教授を侮辱しておいて、このままで済むわけもないのが分かったのか、後藤は入り口近くにいる悠人を突き飛ばして教授の部屋から逃げていった。
「大丈夫か、悠人」
 倒れそうだった悠人を支えてくれたヴィルドが、悠人をソファに座らせてくれたけれど、悠人はその場で泣き始めた。
「信じてたのに……こんなこと」
 後藤の行動が信じられず、ずっと仲間だと思っていたのにこんな結果。ショックを受けないわけがない。
 それからすぐに悠人はハッとしてヴィルドを見た。
 涙はまだ止まらないけれど、悠人はヴィルドに言った。
「あの、この間はすみませんでした。……助けてくれてありがとう……ヴィルドじゃなきゃ、きっと後藤の嘘は僕の説明では信じてもらえなかった……」
 悠人がそう言うと、ヴィルドが言う。
「そんなことはない。君の論文を全部読んだから言える。教授には後藤が嘘を吐いていることは薄々分かっていたはずだ。それにさっき言ったように、監視カメラを調べれば後藤の犯行は明らかだったし、パソコンを初期化したとはいえ、あれはそういうこともある前提でバックアップシステムがあるんだ。だから復元は可能で、君の論文もちゃんとバックアップされている。教授はちゃんとそれと比べようとしたんだと思う」
 ヴィルドがそう言うと、教授が少し笑った。
「私は悠人の研究を信じているからね、君の論文を何よりも楽しみにしているのに、後藤が持ってきた上に読めば読むだけ君の癖しか感じない内容に不信感を抱いていたのだが、ここまで後藤が堂々としてくるということは、自信がある嘘を吐いているということだから、どう暴こうか考えていたところに君とヴィルドが来てくれたから助かったんだ」
「教授……」
 ちゃんと信じて貰っていた。
 それが嬉しくて悠人はまた泣いた。


 その後、後藤は教授が警備に連絡をしておいたので、すぐに警備に捕まり、悠人の研究室を荒らし、研究を盗んだ窃盗などで逮捕され、研究所を解雇された。
 悠人は改めて、バックアップから研究論文などを取り戻し、その論文は悠人のものであることが認められた。
 そしてヴィルドが手伝ってくれたので、すぐに論文用の研究を再開できて、論文は完成した。
そしてその結果から、ヴィルドが新しい癌の治療薬を作り出し、検証に回されることになった。
「良かった、ちゃんと薬になるよね」
 悠人は自分の研究がヴィルドの役に立ったことが嬉しくてそう言うと、ヴィルドが笑って言う。
「君がいなきゃあの薬は完成しなかった。君が親切で私を案内してくれなきゃ、あの時君が怒ってくれなかったら、君が私に失望をしていたからこそ、私は君を助けられたし、君の成果で結果が出せたんだ」
 ヴィルドはあれから少し変わった。
相変わらず人のことは覚えられないままだけれど、一生懸命に覚えようとはしていたし、覚えられなかったことは謝るようになった。前よりも人見知りは減ったし、そのお陰で研究も上手く回るようになったらしい。
「君がいなきゃ、私は今を生きられないくらいに、君のことがとても愛しい。君が欲しいんだ、悠人。君だけ愛したい」
研究所の食堂での告白だったけれど、悠人は自分たちらしいと思えた。
ずっと人に興味がないと思えるような人だったのに、こんな素敵な口説き文句も言えるようになったヴィルドの人としての成長が見えて悠人は嬉しかった。
 悠人はヴィルドに笑って答えた。
「僕にとっても君はとても大事な人だよ。ずっと憧れていたんだ。僕はずっとヴィルドが好きなんだ。僕でいいのなら、僕がヴィルドの恋人に、家族になりたいと思ってる」
悠人はそう答えると、周りの研究者たちが盛大に盛り上がった。
 中にはパーティー用のクラッカーを持ち込んでいた人たちが二人の頭の上でそれを鳴らしてたくさんの紙吹雪が二人に降り注いだ。
 盛り上がりすぎて、食堂のシェフが用意した炭酸飲料がタダになった。
ある人はケーキを持ってきて二人の前に置いていったし、一番大きいサイズのカップに入った炭酸飲料を置いていくし、二人のテーブルにはお祝いを言いに来る人の列ができていたほどだ。
 意外にゲイである事実はどうでもよくて、人がハッピーであることが嬉しいらしい。
 それを喜んで受ける悠人と、なんでこんなに盛り上がってしまったのかちょっと理解できないヴィルドの驚いている顔がまた面白いので悠人は笑った。



そのまま盛り上がって悠人の家にヴィルドもやってきて、悠人はヴィルドを誘った。
「僕が本当に好きなら、抱いて……男だけれど体でヴィルドを知りたい」
 そう悠人が誘うと、ヴィルドは見たこともない欲情した表情をした。
 悠人はそんなヴィルドの前で服を脱ぎ、全裸になった。
 ヴィルドは喉を鳴らし、悠人の体に触れ、あちこちを撫でた。
「ああ、悠人美しい……ずっとそう思っていた」
「嬉しい……ああ、ヴィルドが僕に触れてる……」
 二人はキスをして、お互いに体に触れる。悠人はヴィルドの服を脱がしながらであったけれど、ヴィルドは早急に悠人の首筋に唇を落とした。
「やっあんっあんっ吸っちゃやらっあんっらめっなのっんああっ」
チュチュッと強く吸ったり、舐めたりと好きにしてもらうと、ヴィルドはキスマークを沢山悠人の首筋に付けた。
 そして悠人をベッドに寝かせると、覆い被さってから悠人の乳首に唇を寄せて吸い始めた。
「ひああぁっ、乳首吸っちゃっ……あっあっあ゛っあ゛っあぁあっ」
丁寧に乳首を吸って舌で舐めて、指で転がしている。
「あっあっあぁっ……ちくびっいいっ……あひっあっあぁんっ」
ヴィルドの唇が自分の乳首を吸っている。それだけで悠人は心臓が飛び出しそうなほど嬉しかった。
 こうやって触れあう中になれるとも思っていなかったから、ヴィルドがここにいるだけで嬉しい。けれど人の欲は貪欲だから、もっとと願ってしまう。
 悠人がヴィルドに触れて欲しくて、そしてヴィルドの精液が欲しいと思うのは、もう惚れすぎておかしくなっているとも言えた。
「あぁっあっんっちくびっ、乳首いじって……、はぁっあんっああっちくび……乳首くりくりして、ん、なめて……っあっああんっ!」
悠人が求めるとヴィルドはしっかりと悠人の乳首を舐めて歯で噛んで引っ張った。
「ちくびっいいっこりこりっいいっ……ちくびっああんっ」
これだけでも気持ちよすぎておかしくなりそうで、乳首を弄られだけで、絶頂に導かれてしまった。
「ひああっいくっいくっ、あぁっちくびでいっちゃうっ! あんあんあんはあんっ!」
体を震わせて悠人が達すると、ヴィルドはまだ乳首を吸いながらでも、指にはコンドームを填めてそれを悠人のアナルにゆっくりと挿れた。
「ん゛ああっ、あっ、指、待って、ん゛っはぁああっあ゛あん゛っあああっ、おま○こに指、入ってああああっ指、ああんっはあん」
指がアナルに挿入ってくるのを感じて、体がびっくりしてしまったけれど、乳首を舐められて宥められて悠人は息をゆっくり吐いてヴィルドの指を受け入れた。
「ひあっあ゛っんぁっ……指、ああっ……あ゛っんぁっあっああっ」
「悠人のおま○こ、凄いね熱い、ここにもっと大きい物を入れるんだよ」
「あぁああ~~っ……あひっ、おま○こらめっあん゛っんあっあっあっあっあ……ん゛ぁああっ…あっあっあんっあんっあんっあんっ」
「気持ちよくなってくれてありがとう……もっとだよ、ほら、私のペニスが待ちわびているよ」
 そう言われて悠人の手をヴィルドのペニスへと導かれた。
 ガチガチに勃起しているペニスを指で触らされて、それを撫でながら悠人はそれが欲しくて仕方なかった。
「はぁ……あぁっ、はやくっ……おちんぽ挿れて……っあぁっ、あぁ……おま○こして……っ ふぅうう……おちんぽっほしぃよぉっあん!」
「可愛い悠人、いやらしい子だね、いいよ、可愛く強請って……挿れて上げるからね……」
そう言うとヴィルドのペニスが、悠人の中に挿入り込んでくる。
「ひああぁっ……あぅっ、ひぁん、あっあっあんっあぁんっ! やああっ、おま○こにおちんぽっ、はいって……あっあっ、あーあーっ……」
ゆっくりと中を抉りながら、奥まで挿入り込み、そして奥を突き始める。
「ああぅっ、だめっおちんぽだめっだめっ……もう、おま○こっついたらぁっあっ、はああぁんっ……」
あり得ないと思っていたことが現実になって悠人は嬉しかった。
 ヴィルドに抱いて欲しいと強請って、そしてヴィルドはペニスを勃起させて悠人の中に挿入ってくれている。
 これだけでももう涙が出るほど嬉しくて、それ以上も願ってしまうのは人間の欲が深いからだ。
「あぁっいいっ……はぁっ、ああんっ! んっあぅっ……やっあぁっあぁっんんっ、ひぁんっ……! あっ……あぁっあっ……お、おちんぽっでっ、おま○こぐりぐりって、あっやっ、あはぁんっ……」
「ああ、悠人の中、熱いよ。とても気持ちがいい、それにうねっている……凄い」
「あああぁ、あぁ、ん……あひぃっ、ああーっ、おま○こ、ああっ…!」
ヴィルドが腰を動かし、悠人の中を抉る様にこじ開けて擦りつけてくる。それが悠人には気持ちよくてゾクゾクとした感触が体中を巡り、脳天を突き抜けるほどの快楽が襲ってきている。
「あぁんっ……、あぁ、ああっあぁんっ! ぁっ、らめぇ……あぁんっあああぁーっ!」
「ああ、悠人、悠人」
 熱に魘されたようにヴィルドは腰を動かし、悠人をしっかりと犯してくる。そのねっとりとして早いストロークに、悠人はもう嬌声しか上がらない。
「あぁああんっ、もっやらぁっ、いっちゃう、おちんぽっやらっいくっやらっあああんっあああんっあああんっ!」
これだけでイカされ、精液を吐き出して絶頂した。
 それでもヴィルドは腰を振り続け、悠人は喘がされ続ける。
「あぁんっ、あんっ、あんんあんっんっ、あぁっ、あぁん……きもち、い……おちんぽ、いいっあひんっ」
「悠人可愛い、とってもエッチなのいい。もっと乱れてもっと求めて」
「あぁあっ……あぁっ、おっきいっおちんぽがぁっ……おま○こ、ごりごり擦ってっはあぁっ……んっあぅっ、きもちっ、いいっ……!」
ヴィルドは悠人が求めるだけくれると言い、首筋や乳首にも吸い付いてキスマークを残してくる。
「あぁっ! あっあっあひぃっちくびっ……ヴィルドっああっおちんぽっすごっあんっはぁっあぁんっ」
「悠人、悠人、ああ、すごい中がうねって締め付けてくる……」
「あぁあっ……ヴィルドっあっぁん……あぁあっあんっいぃっ……もっおちんぽっらめぇえはぁああっ……おま○こらめぇっあん、おちんぽっああんっあんっぁあああぁんっ」
ヴィルドは悠人を四つん這いにすると、更に激しく突き上げてきた。
「あぁんっ……ヴィルドいぃっ、あっ、らめっ、おちんぽっあっ、あっあっあっ……ふぁっ、ひぅっ、あんっああぁっあひぃっ、あんっ、あんっ!」
「ああ、たまらないよ悠人、セックスがこんなに素敵だなんて思わなかった。悠人のお陰で、私は幸せだ……とてもいい気分だ」
「ひあっ、あ゛っヴィルドのおちんぽ、いい、あぁっ……あ゛っあっあっああっあぁああっ……あっあっあんっ、あんっあんっあんっあ゛ああっ、あっあぁあんっ」
「ああ、悠人素晴らし……」
「ひああっ……らめっあっん゛っひっいっ……あんあっ、んっああぁっ! ああっらめっ、いっちゃう……から、おま○こらめっああんっあっ!」
「悠人のおま○こ、凄い……腰使いも凄い……ああ、気持ちがいいんだね。もっともっと気持ちよくなろうね」
 ヴィルドは喘いでいる悠人がもっと気持ちよくなるようにと、激しく腰を振り奥を攻め立ててくる。
「んっあっ……ああっんっあああんっ……おま○こいいっ……ああんっきもちいいっああんっああっ」
「ほら、イッて見せて……悠人がイくところを沢山みたいよ」
「あ゛っああっあっいくっ、い゛ぐっおま〇こイっちゃうっ……ひぁっ、あ゛っ、ひあ
ん゛っあっ、あ゛ああっあぁっらめっ……ああんっおま○こっああんっおちんぽがっああんっいいっ」
「中も沢山いっぱいにするからね、中出しするよっ」
「あ゛あああっいくっああっ、いっちゃうっあぁああんっ! はあっあぁっあっ、うぁ、あああああっ!!」
ヴィルドは悠人が絶頂をするのと同時に中出しをして、悠人の中をいっぱいにした。
「ふあっあっ、せいえき、あっらめええっ、っああんっきもちいいっああんっああんっああっ!」
精液を中出しされて悠人はその気持ちよさと共に心が満たされるのを感じた。
 これで悠人はヴィルドに本当に愛されていると思えたし、ストイックなヴィルドが悠人の中で射精をするなんてことは、本当ならあり得ないことだったから、それを乗り越えて今があるのが嬉しかった。
「ヴィルド、好き」
 そう悠人が言うと、ヴィルドも言った。
「私も愛しているよ、悠人」
「うん、愛してるよヴィルド……」
 二人でまたキスをして、体を弄り合っていたら、第二ラウンドに突入した。
「ああっんっいいっ……おま○こっ……激しくおちんぽでおま○こぐりぐりされたら、ああんっらめっおかしくなる……ああんっああいいっきもちよすぎるっああん!」
「ああ、悠人素晴らしよ……ああ、気持ちよすぎる」
「あぁあっああんっ……おま〇こ、馬鹿になっちゃうっあああっ……おちんぽっああっ……あっ、あああぁっ……らめっおちんぽハメるのはっ……おちんぽ……ああんっいいっいいっああああっ!」
「もっと悠人、見せてよ……悠人が乱れているところを……」
「いいっああっ……ヴィルド……んっあっあああっああっああっんっああっんあっあっあっああっあ゛あっ……んっあっ、あ゛っ、あっあっあっあああっ! ヴィルド……あっあああっ……あんっあっああっああっんあっあっはあっんっあっ、ああっあぁんっ」
「悠人悠人悠人、ああ悠人」
 ヴィルドは狂ったように腰を振り、悠人を突き上げ続ける。
 悠人はヴィルドに跨がった騎乗位で下から突き上げられて腰を振っている。
「いいっああんっおま○こっいいっきもちいいっああんっああ……ああんっ……ああんああいいっあ゛あっいいっ、らめっあ゛あっ、らめっ、おま○こゴリゴリしてるっ……ひっあっ、あんあんあんあんあんっああんっ!!」
その淫らに腰を振り、ヴィルドを求める悠人の妖艶さにヴィルドは完全に悠人に堕ちた。
 この可愛らしい姿からは想像もしなかった淫乱さに、腰を振らずにはいられないのだ。それほどにこの色香に勝てるわけもなかった。
「悠人悠人、もっともっと悠人、ああ好きだ好きだ」
「ああっ……ヴィルド、らめっゴリゴリしちゃっ……ああんっおちんぽっおおきいいっああんっ……ああんっきもちいいっヴィルドのおちんぽ……ああっ……いいっ気持ちいいっ……ああんっああっあああんっ」
「ああ、ああまた出る、中出しするっ」
「あ゛ああっ……あっ、あ゛っ、らめっらめええっ、あ゛あああぁっあ゛っい゛っ、あっんっ、、いくっあ゛あ゛っあっらめっあ゛っんっ、あっ、あぁっ、いくっ、いっちゃうっ……あぁあああん!」
また絶頂をするのと同時に悠人はヴィルドに中出しをされた。
 二度連続で絶頂をして悠人は潮を吹いていた。
二人は手を取り合い、またキスをしてから笑い合った。


次の日の朝も二人は朝勃ちからセックスに突入していた。
 性欲に完全に目覚めたヴィルドは執拗に悠人を犯すのが楽しくなったようで、朝から元気に腰を振って悠人を攻め立ててくる。
「いい……ああんっおちんぽっいい……ああんっああっ……きもちいいっああんっ……ああんっおま○こっああんっいいっ」
朝にシャワーに入ってからは、そのまま風呂場で二人は抱き合った。
 止まることのない性欲をお互いに満たすために、二時間以上も抱き合う。
「あ゛あぁっ……ヴィルドのおちんぽしゅごいっ、ああっ、あっ、やああっあっあんっあっあ゛ああぁっ……ヴィルドすきっおちんぽすきぃっ……おま○こっハメハメされて、イキまくちゃうっ……あ゛っ……いい……おま〇こきもちぃっあぁあんっあんっ」
「悠人、なんていやらしい腰つき、たまらないよ……ああ、私の悠人」
「いいっきもちいいっヴィルドのおちんぽっああんっらめっらめっきもちいいところばっかっ……ああっ、ヴィルド、すきっ好きっ、おちんぽしゅきぃっ……あ゛っあ゛っ、あっ、きもちいとこっ、ゴリゴリされてっんっあっあああんっ」
「もっとだよね……ここを擦られるの好きだよね……悠人」
「ああ……いい、すきっヴィルドのおちんぽっ……すきっああ……きもちいいっああんっおま○こゴリゴリされて……ああんっいいっヴィルドのおちんぽっきもちいいっああ……いいっおちんぽっ……おちんぽっああんっきもちいいっああんっ」
 そうヴィルドが凄いのだと悠人が褒めると、ヴィルドは激しく腰を振った。
「あっあ゛っ激しぃっ……ん゛ああんっあ゛っあっあひっ……あ゛っあっあんあんあんっああっすごいっおちんぽっすごい……ああんっきもちいいっああんっあああんっあああっ!」
「いやらしくイッて見せて、中出しするからねっ」
「あっまた、いっちゃう、らめっ、あっあんっあぁんっ! ひあっあ゛っいくっいくっあんあんあんっ!」
 悠人はヴィルドに中出しをされて絶頂をした。
 すぐにヴィルドのペニスがアナルから出て行くと、その精液が溢れてアナルから垂れてくる。
 そんな姿を見せられたヴィルドはもちろん性欲が止まらなかった。


 その日二人は研究所の初めて休んだ。
 研究に熱心である二人が揃って休んだとなれば、もちろん皆は察してくれて、勝手に二人の有休を書き加えてくれた。
 そのお陰で遅刻をしたと思い電話をかけたときには。
「分かってますよ、今日は有休入れましたのでお幸せに~」
 と、言われて電話を切られてしまった。
 二人は顔を見合わせて笑い、皆の好意に甘えることにした。
 もちろん、それは翌日皆にからかわれる羽目になるけれど、それはそれで幸せだったので、二人は甘んじてそれを受けることにした。

感想



選択式


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