193-絡む蛇

 高口は最近、住んでいたマンションを追い出されることになった。
「あのね、老朽化してるから建て直すことにしたの、それで新しいマンションに入って貰うとなると、今より家賃が三万くらい上がっちゃうのよね」
 というのが大家との話し合いで分かったのだ。
 独身世帯が多かったマンションであったが、どうやらファミリー向けにするらしく、その分値段が上がってしまうわけだ。
 全員が来月までに出ていくようにと言われ、慌てて新しいマンションを探すことになった。
 けれど高口はもっと切羽詰まっていた。
 というのも、これからアメリカに出張に出るのだ。それも半月もだ。
 出張から帰ってきたらたった二週間で引っ越しまで完了しなければならない。
 それを会社に愚痴ると、会社から提案があった。
 何と会社は保養用にしていたマンションを借り、それを単身者用のマンションに変えたばかりなのだという。
「本当は新人とか遠くから引っ越してくる社員用なんで、東京住まいの人には貸さないのが基準だけど、そういう話なら会社としては融通するしかないからな」
 そういうわけで会社に話を通すと、許可が出た。
「そうですね。まだ内装をしているところがあるのですが……引っ越し自体は出張後ですよね?」
「そうなります」
「でしたら、大丈夫だそうです。ただ最上階から内装をしているので、住むところが六階の部屋になります」
 どうやら工事の関係で、下位部分の内装が住んでいないところもあるらしい。
 そして家賃はちょうど今のところと同じ値段であることが分かって、高口はホッとした。
「よかった、あの先に内装見てもいいですか?」
「あ、はい、大丈夫です。内見どうぞ」
 そう言われて仕事を早めに終わらせてから高口は部屋を見に行った。
 マンションは駅から五分のところに建っていた。築二十年のマンションをリノベーションしたらしく、内装は本当に今風のかっこよさがある。
「へえ、ダイニングリビングに、寝室の部屋もあるわけか。トイレも風呂も別だし、洗濯機は備え付けドラム。いいじゃん、ここ。今のところより全然景色もいいし」
 窓の外はちょうど五階部分の広い屋上が六階の部屋のベランダになっている。
 一番いい部屋を割り合えててくれたらしく、ベランダで日光浴とかもできそうだった。
「めちゃいいじゃん」
 景色を眺めてお酒を飲むのが趣味みたいなものなので、周りに目隠しになる大きなマンションがないから、見晴らしは最高だ。
 どうやらこのマンションまでが六階以上を建てられる範囲らしく、見下ろせる当たりは五階が屋上になる建物しか建てることができない地域になっているらしい。
 なので六階が最上階になるこのマンションからは全てが下位の建物しか見えない。
 文句など何もないので、高口は急いで会社に連絡を入れ、見せて貰った部屋に入る予約を入れ、次の日に会社に行って契約書を交わした。
 そしてその次の日からアメリカに飛び、出張をして仕事をした。
 ニューヨークにも回り、支社にも寄って仕事をして、パーティーにも参加してと、忙しい仕事を熟した。
この出張を最後に高口は昇進するので、こういう出張は減る。
 出張が終わり帰国すると、高口は会社に一週間の休みを貰って引っ越しをした。
 とにかく急な引っ越しだったから、荷を積めるだけでも二日、三日目に業者を入れて全てを運んでもらい、新しい部屋に引っ越したらその荷ほどきに二日かかり、さらには新しくしたカーテンや絨毯などを買い、念願だったソファなども買い込んだ。
 それを届けて貰ったら休みは使い切ってしまった。
「はあ、やっぱりここからの夜景、最高じゃん」
 高口はバルコニーに出て外で酒を飲んで、やっと終わった引っ越し祝いを一人でした。
 明日から仕事を頑張るぞと思って、新しい家で眠った。
 翌日はすっきりと目が覚めて会社に通った。
六階からエレベーターで一階に降りると、そこには管理人の部屋がある。
 エントランスで荷物を受け取る場所を開けたり、住人のためにいろいろとしてくれる管理人がいる。
「あ、どうも、先に入居した高口です」
 管理人室の窓から人が見えたので挨拶をする。引っ越した時はいなかったので、今日から入ってくれるのだろう。
 するとそこからのぞき込んできたのは、二十代くらいの若い人だ。
もっと老人とかがやるものだと思っていたけれど、若くて今風の風貌ではあるが、少しだけオドオドとしているのが分かった。
「あ、はい、高口さんね。私、管理人の有山です。このマンションは父の持ち物ですので、息子の私が管理人の手伝いをしてます。基本、日中はここにいます。夜は家に帰るので、大家の連絡先にお願いします。他に何か困ることはありますか?」
 一気にそう言われて、高口は察した。
 どうやら有山は外で働いたことはないのだろうなと。
 親に言われて手伝いをしているだけで、社員でもないし、そこまで管理人としては一生懸命でもない。雇われているわけじゃないから、基本的な最低限の仕事しかしない気がした。
「取りあえず、ゴミ捨ての日とか割り当てとか、そういうのがありましたら、内訳とか書いてある町内会などの約束事などの資料が欲しいので、それがありましたら、郵便受けで構いませんので入れて置いてもらえますか?」
 最低限の今知りたいことを言うと、有山は分かりましたと答えた。
「それじゃ、いってきます」
 高口がにっこりとしてそう言うと、有山も少しだけ微笑んでから言った。
「いってらっしゃいです」
 それを確認してから高口は会社に向かった。
管理人は悪い人ではなさそうであるが、独身社員の管理人としてはちょっと威厳がないので、やっていけるのだろうかと不安になったところはある。
 それでもそれは高口が心配することではないので、まあいいかと思って忘れた。
「出張と引っ越しご苦労さん」
会社に到着すると同じ部署の仲間にそう言われて挨拶された。
「どうもおはようです。いやーさすがに疲れました」
「でも今日から昇進だろ? 出張三昧からやっと内勤になるんだし、これから楽になるよな。まあ、俺はその出張が嫌でエリートコースから外れたから、文句言えないんだけどな」
 転勤や出張を嫌がる社員は多いが、高口はそれを進んで受けたので出世は同期中では二番目に早い。それに文句を言う輩はいないのは、転勤出張で成果を出した人が昇進しているのだから、それをしないものに昇進の道はないと会社がはっきりと通達しているからでもある。
 選んだのは自分なのだから、文句言うなというのが会社の方針だ。
 それでも昇進はすることはできるし、給料も上がるけれど、三十代を前にして課長に昇進できる一番の近道は高口がしてきた仕事の仕方が一番早いのだ。
 残る昇進は三十代での部長昇進、そして運が良ければ五十代には取締役までいける計算である。
 そんな順調で将来がある仕事先では、高口は完璧に仕事を熟した。
 そして新しい生活が始まって、全部が上手くいっていると思っていた。
 やがて、独身寮になるマンションには人が入居し始めるけれど、新人や地方から出てきたばかりの新人ばかりで、埋まるのは下位の部屋ばかりだ。
 どうやら、上層部の部屋、特に六階は値段も二、三万高くなっているらしく、躊躇する人ばかりだ。
 それでもやっと埋まった六階は二人で一つの部屋を借りるという荒技で住んでいる人がいるけれど、高口の部屋の隣は埋まらなかった。
 てっきり荒技で来るかと覚悟をしていたけれど、そうはならない。
「あ、高口さんの隣部屋埋まってるんですよ」
 と管理人に言われた。
「え、でも人の気配しないけど?」
「えっと、まだ正確には引っ越してきてはいるんですが、単身赴任で三年くらい海外出張らしくて、その荷物置き場にしてるって聞きました」
「ああ、そういうこと」
 普通、三年以上の単身出張の場合、部屋は解約して荷物だけどこかに預けるのが普通であるが、会社はその便宜を図ってくれたらしく、荷物などを置かせてくれたというのだ。
「ここ、会社の寮だし、それならコンテナに預けるよりはいいだろうし、出張から帰ってきたらここにそのまま住めるから便利だって」
「なるほど、ということは隣はA課の出世頭の人だな」
 すぐに思い当たった。
 ちょうど二つほど年下で、高口と同じコースで出世をする人だ。
 なので出張や単身赴任などと日本にいることは少ない生活である。
「高口さんは、もう出張とかはされないんですか?」
「この間の出張が最後で、昇進しました」
「それはおめでとうございます」
「ありがとうございます。それじゃ」
 高口はにこりと笑ってから、管理人室の前から離れた。
人がたくさん越してきたからか、人の気配がするのですぐに去った方がいいと思いながら六階にエレベーターで上り、自分の部屋に戻った。
 部屋はリノベーションをした時に防音処理だけは徹底的にやったらしく、楽器を使っても聞こえないようになっていると聞いたけれど、人の家の前を歩いても全く家の中から音が聞こえない。
 窓を開けても街の騒音が遠くから響くくらいで、静かな世界ができている。
 そんな部屋を高口は気に入っていた。
 しかし、その日部屋に入ったら、何だかふっと何かの匂いが鼻に通ってきた。
「何の匂い?」
 思わず口に出てしまうくらいに匂いが充満している。
 部屋に入って匂いの元を探したが、見つからず、結局窓を開けて換気をするとすぐに匂いは消えた。
「香水でも漏れたかな……」
 でも自分の香水の匂いじゃないので、不思議な現象にリノベーションのせいかとふと思った。
 その日から、奇妙なことが起こり始めていた。



 仕事が終わって家に帰る。
 すると部屋の中に違和感を覚えるようになった。
「あれ、これ……ここになかったっけ?」
 玄関先にある飾っていたミニカーが少し動いている気がした。
 飾る時に気を使って並べたから、一ミリの動きで異変が分かる。
「地震でもあったかな?」
 分からないくらいの地震で微妙に寄ったのかと思い直した。
 次の日はダイニングに入ったら微妙に調味料の置き方が違っていた。
 食事をしようとして醤油に手を伸ばしたら、塩胡椒に触ってしまうのだ。
「おっかしいな。置き方変わってる気がするけど……適当に片したかな?」
 それを元に戻して、気にしないことにした。
 その次の日は、ベッドの収納の中身が少し変わっていることに気付いたが、何が変わっているのかは分からない。
「何か違う気がするけど、何が違うのか分かんない」
 更に翌日は洗濯物を片付けていると、その日に干したはずの下着が足りない。
「あれ~干したと思ったんだけどな」
 買ったばかりでそんなに穿いていないパンツがない。
 家の中の乾燥室に干していたから、無くなるはずはないのにおかしい。
 ずっとこのところ感じていた違和感がだんだんと現実味がして高口は呟いた。
「誰か部屋に入ってる?」
 仕事に出かけている間に誰かが侵入している可能性がある。
 それに気付いてしまい、高口は怖くなった。
 窓の鍵を増やし開かないようにして、玄関の鍵はしっかりと二重鍵を閉めたが、やはり部屋の中の微妙な動きが気になった。
 神経質になっているのかと思っていたが、そうではなさそうだったので、高口は部屋にカメラを仕掛けた。
 これで誰かが入っていれば映ると期待していたが、仕事から帰ってきてカメラが写した映像を見ようとしたら、ファイルが空で録画機能が止まっていた。
 失敗をしたので三回ちゃんと映っているのを確認して遠隔で覗くことができるカメラを仕掛けたら、そのカメラが壊されるところを見てしまった。
「……うっそだろ……」
明らかに誰かが入っている。
 気味が悪いし、何かあっては怖いので高口はそれを管理人の有山に報告をした。
「それは怖いですね……警察を呼びましょう」
 有山がそう言ってくれて、警察を呼んで調べたところ、隣の出張をしているはずの住人の部屋に誰かが住み着いていることが分かった。
「隣に前の住人が住み着いたみたいです」
 有山が警察から話を聞いてきてくれ、犯人は高口の部屋の鍵も偶然ではあるが持っていたらしい。
「何でも引っ越した後に無職になってホームレスになって住むところがないので戻ってきたら、隣の部屋の鍵が開いたので入ってみたら誰も住んでなかったので住み着いて、高口さんの家の鍵も持っていたらしくて、それで入って食べ物を盗んだり服を盗んだり、貴金属を質屋に入れたりしていたようです」
 有山にそう言われて高口は唖然とした。
 どうやら見ていない時計や貴金属をごっそりと盗まれていたらしい。
「マジか……でも通帳には手を付けてなかったみたいだけど……」
「通帳も使ったみたいです、もちろんATMで。でも高口さんの通帳、入金はできるんですが引き出すのはできない通帳だったらしくて、引けなかったみたいです」
 昔に発行した通帳はATMで引き出す時は、最初にその設定をしなければならないのだが、それを解除しないままきていたのだ。普段はATMしか使わないので、カードだけで下ろせる設定のままだったのに、不都合がなかったのでそれが偶然予防になっていたらしい。
「そっか、危なかった……」
根こそぎやられるところを救われたようだった。
「すみません……俺が気付かなかったせいで……」
 有山がそう言うけれど、こればかりは犯人の有能さ故であろう。
「いえ、有山さんのせいではないですよ……」
 高口はそうは言っても、何度も出入りをしていたなら高口も見知った顔と違う顔くらいは分かったのじゃないだろうかと思えてならない。
つまり管理人として少し怠慢をした結果、侵入者を許している事実は謝ったところで駄目だろう。
 挙げ句、リノベーションまでした家のドアの鍵を前から変えていなかったという事実は大家である有山の親の失態である。
 結局犯人は田舎の親が出てきて引き取り、高口の被害金額を倍くらい払ってくれたので示談するしかなかった。
 事件にすると会社のイメージに繋がるので駄目だと言われたのもある。
もちろん会社からは家賃をなしにしてくれていいとまで言われ、結婚して出ていくまでの好きな年数間、家賃を払わなくてもよくなったのだ。
 それには気味悪がっていた高口も二つ返事で了承した。
 家賃を貯蓄すれば、将来マンションが買える計算ができたからだ。
鍵はすぐに新しいのに変えて、三つ付けた。
「これだけ付ければ大丈夫ですね」
 事情を知っている鍵屋がそう言ってくれた。
 高口は会社の一部の人には被害に遭っていたことを慰められたが、それでもこれで悩まされることはないのだと思っていた。
 事件から一週間後だっただろうか、有山が宅急便を間違って受け取った人から荷物を預かっていると言って部屋まで持ってきてくれた。
 その時だった。
 荷物を受け取って有山が出て行こうとした時だった。
 有山が急に表情を変えて家に入り込んできた。
「え、あ、有山さん……?」
 高口の驚いている間に有山は鍵を全部閉めてしまった。
「だ、駄目です、高口さん、あの隣に入り込んだ男が……廊下にっ!」
 そう言った瞬間、ドアがドンドンと叩かれた。
 何か喚いているけれど、防音が効いているから聞こえない。
 けれどドアを殴る音だけは聞こえてきて、高口は怖くてその場に座り込んでしまった。
 しかしすぐにパトカーがやってきて、外で大きな騒ぎがしたあと、警察官がインターホンを鳴らした。
 それにすぐに有山が出てくれて、警察と話をしている。
「すみませんが、事情は後日でお願いします。ショックが酷くて、とてもじゃないですが……はい、そちらで犯人と鉢合わせるのを怖がっているので……はい、それでは後日出向くのではなく尋ねてきていただけるということでお願いします」
有山は警察と交渉してくれ、高口が警察署にいかないでよくなった。
 どうやら犯人はあの時のホームレスで、あの事件後示談金を払った親に勘当されてしまったようで、それを恨んでわざわざなけなしの金を持って上京したらしい。
 逆恨みも甚だしいと言える事件で、どうやら示談内容にあった高口への接触制約を破ったので、示談が決裂し、ナイフを持っていたことも分かった殺人未遂なので、もう実刑になることは確定である。
「高口さん、大丈夫ですか?」
 やっとリビングのソファに座らせてもらい、高口はホッとした。
 有山はリビングで飲み物を用意してくれて、ミルクにブランデーを落とした飲み物を温めて持ってきてくれた。
「すみません、まだ震えが止まらなくて」
 まさか自分が逆恨みをされるとは思わず、震えはなかなか止まってくれない。
 けれどそんな体の震えもミルクを飲んだら治まってきた。
「どうぞ、横になってください。一人が怖いのでしたら、ここに居ますので」
 有山はそう言ってくれ、高口のリビングで寝てくれると言う。
 高口は有山に感謝して、有山には毛布を貸して居て貰うことにした。

 そんな夜中になると、トイレに起きた高口は何だか体が熱く興奮していることに気付いた。
 トイレを済ませてからリビングの方を見ると、磨りガラスの向こうがテレビを付けているのか明かりが漏れている。
 体が熱いままで、高口は疼く体をもてあましてしまい、とうとうリビングに入っていった。
 テレビを見ていた有山は、敷いた毛布の上でペニスを扱きオナニーをしている。
 そんな有山が見ているテレビは、高口が隠し持っていた男性同士のAVだ。
 あのホームレスにさえ見つからないように、台所の奥棚に入れていたのに、どういうわけか有山はその箱を取り出してみていたようだった。
 けれどそんなことはどうでもいいように、高口は有山のペニスに釘付けだった。
大きく、そして反り上がった黒々としたペニスである。とてもその辺で出会えるような品物ではない。
 ショックを受けているはずなのに、喉が鳴るほどそれを求めている自分がいる。
 何も言わずに引き寄せられるように高口は有山の側に行き、そして座り込んで有山のペニスを口で銜え込んだ。
「んっ、ふぅ、ん……んぅ、ん、ん、ふっ……」
夢中で高口は有山のペニスを咥えて擦った。
「はあぁっ……んっ、ぁん……んっ、ふぅ、んんっ……」
そんな高口の頭を有山は撫でて耳を指で触ってくる。
「んんーっ……、んっ、んぅ、んっんっんっ、んっ、はぁっ、ぁっ」
「そう……いい子だ」
 褒められると何だか嬉しくて高口は必死に有山のペニスを舐めて先走りを吸った。
「あっん、ん、んっぅっんっんんーっ、んっ、んんっ……!」
とうとう有山のペニスが射精をしてきて、精液を高口の口の中で吐き出した。
「んーっ……ん、ふぁっ、はぁっ、ぁん……あ、んっ……お、おいひぃ……ちゅ、ふ、っふぁ……おちんぽっおいひ、い……」
高口はそれをごくごくと飲み込んで、精液の臭さと独特の味にすっかり蕩けた顔をした。
 高口は海外の出張中によくゲイバーに通っては外国人を食い漁っていたこともあり、この体を使って契約を得たこともあるくらいには、セックスに慣れている。
 それは誰も知らないことで、ずっとゲイであることも黙ってきていた。
 実際はバイであるから、女の人も抱けるけれど、最近はアナルでペニスを受ける方が好きでネコになったのである。
「はぁっ、はぁっ……ぁう……ん、ん…おおきい……おちんぽっああっ…」
有山のまた勃起したペニスに高口は自分から跨がり、自らそのペニスを受け入れた。
「あんっ……ああんっおおきいっ……ああんっあっ、あっ、ああんっはいんない」
 挿れたいのに挿らないと高口が甘えたら、有山は高口の腰に手を当てて、一気にペニスの上に腰を落とさせた。
「はぁあ……おちんぽっぁっ、あっ、あっんふぅっ……ぁん、あんっ……んぁあっ」
 それでも有山は動いてくれないので高口は自ら腰を動かした。
 熱い体を持てあまして、どうしようもないほど淫らに乱れたいのだ。
「ああっんっあああんっおちんぽっんっいいっ! そこぉっそこ、あ! あ! あっぁあ! あぁんっ、ぁんっあんっ!」
半分寝ていたせいもあり、もうこれが夢なのか現実なのか分からないまま、高口は腰を振った。
「あぁんっあっあぁあっあ! あんあんあん! おちんぽっ、しゅご……っんふぁ……あ! ああっ……そこ、そこおま○こいいっあああんっ!」
「やっぱり……慣れてると思ったんだ……高口さん」
「あ゛ああっ……んひっ、い゛っ……あっ、あああっあ゛っ、おち○ぽ、きた……あっあ゛っ、ん゛っあああっあ゛ひっ……んっあっあ゛っ、あはぁっ……んんあぁあっ…ひっ、あへっ…あっ、おま○こにおち○ぽ入って……る、あんああっ」
奥まで突き上げられて高口は嬌声を上げた。
 自ら望んで挿入をしたのだから、これを楽しまないわけにはいかなかった。
「やああぁっ! あっあぁんっ……おちんぽっらめっ、あっあっあっ……あひっ……あっあんっあっ……はっ、はぁ……あぁあっ……あぁっ……だめ、あぁんっ……らめぇっ……はぁっ、おちんぽっおま○こにはいってるっああんっいいっ」
原因は分からないけれど、もう有山に対しての蟠りはさっき助けてもらったことで帳消しになっている。
 今だって怖いと言っている高口のためにここに居てくれたのだ。
 もう隠していたAVが見つかったからとか、そういうのはどうでもいい。
 テレビ中では男優が同じように犯されている。
「ひああぁっ……あぅっ、ひぁん、あっあっあんっあぁんっ! やああっ、おま○こにおちんぽっ、きもちいいっ……あっあっ、あーあーっ……ああぅっ……いい、おま○こっついたらぁっあっ、はああぁんっ……」
AVで買った物はほぼ強姦ものばかりだ。
 普通に接している人に脅されて襲われる話、そういうものが大半を占めていた。
 それを見られたのなら、きっと抵抗しても無駄だ。
 嫌がっているけれど、それを望んでいることはバレている。
「あ゛ああんっああっ!! ああああっあっぁっあっ、いいっ、おちんぽっきもちいいよぉっ……、あああぁんっ」
ぐりぐりと奥を突き上げられ、気持ちよくなっているところで高口の中に有山が精液を中出しした。
「やらぁっ……はぁんっ……あっあっあひぃっ! あっあぁっ、あひぃっ……、らめっ、あーっ……」
普段はスキンを使っているし、海外だと余計にその意識が高かったから、中出しをされたのは初めてだった。
その中出しで高口は絶頂をしてしまった。
「あーっ……はっあぁっ、あっああぁっあひぃっ! あんっ……あっあっあああぁぅっあっやっ! あぁーっ……らめぇっ、んっはぁっぁああっ」
とんでもなく感じ、いつものセックスとは訳が違った。
 頭の中が真っ白になるほどの快楽を得てしまい、高口は有山に支えられながら、またペニスで突き上げられたのだ。
「あぁっあっ、あんぅっ……、や、あぁっあーっ……ひっ、ああっ、あぁあんっんっんっ……はぁっぁ、あぅんっすご、いっ……ひゃぁっあっはぁっ、あぅんっ!」
アナルから出された精液が溢れて出ているけれど、それを気にした様子もなく、有山は高口を犯し続ける。
「あぁあああっ……あああっ、あぁああぁんっ……やぁああっ! あっいいぃっひぅっ、あっ、あぁんっ! あぅっあっあんっいいっ、んっ、ひああぁっいいよぉっ」
どうして有山が高口と関係を持ちたがったのか分からないけれど、最初から目を付けられていたのかもしれない。
「ここですよね、嬉しい場所」
「あっあんっあんっ、もうっ、らめっおま○こっ、ぐりぐりされてぇっ、きもちいいよぉっ!!」
有山はやっと高口のいいところを見つけたようで、そこばかりを突き上げてくる。
「あぁーっ、いくっ、おちんぽでいくっ! ひぃあああんっ、いっちゃうよぉっ! あっはぁあんっ! ああ、おま○こされてっいっちゃうっああんあんあんっ!」
「イケよ、淫乱変態……っ」
「はぁ……あん、んあっ、やぁああんっあぁっ、あんっあああぁっ!」
 有山に追い詰められて高口は絶頂をした。
 ペニスから精液を吐き出して絶頂をさせられ、それでも有山は高口を攻め続ける。
「やっ、あぁっそんっ……はぁっ、ああんっ! んっあぅっ……やっあぁっあぁっ、らめっ、んんっ、ひぁんっ……! あっ……あぁっあっ……お、おちんぽっでっ、おま○こぐりぐりって、あっやっ、あはぁんっ……」
「淫乱変態だったなんて、聖人面して強姦してほしい願望とか、犯してやるしかないじゃないか……」
「あああぁ、あぁ、ん……あひぃっ、ああーっ、おま○こ、もう、やぁっ…ああっ…!」
どうやら有山には高口への理想の姿というものがあったらしいが、AVを見つけたことでそれはどす黒い願望にすり替わったのだろう。
 結局、高口は熱に浮かされたままで有山を求め、明け方近くまで犯してもらった。
「あぁんっ……、あぁ、ああっあぁんっ! ぁっ、らめぇ……あぁんっあああぁーっ!」
有山は絶倫で精液を中出しして繰り返している。すっかり高口の中を気に入ったようだった。
「あぁああんっ、もっやらぁっ、いっちゃう、おちんぽっやらっいくっやらっあああんっあああんっあああんっ!」
「イケよ、変態っ」
 罵られてまたイカされた。


熱に浮かされたまま高口は有山と関係を持ってしまった。
 けれど次の日には有山はいつも通りの挙動不審な青年に戻っていた。
 それ以上は何事もなく、日常が過ぎた。
 けれど、その週の終わりには高口の方が我慢ができず、有山がいる管理人室に入り、窓から下半身が見えないことをいいことに、高口は有山のペニスをフェラチオして精液を啜った。
「んんっ……ふぅっ、んっ、んっ、んぅ……はぁんっ」
それが美味しいと感じるから、熱に浮かされただけではないようだった。
「んんっ、ふっぅ、ん、んふっ、んん、ん、ん……んんーっ……ん、ぅんっんっんっ」
ジュルジュルと精液を飲み込み、まだ足りないと高口は有山のペニスを舐めて綺麗にした。
 そして有山の仕事時間が終わると、二人は高口の部屋に一緒に上がり、玄関を入った先から絡み合うように服を脱いで抱き合った。
「ひあぁっあんっはげしっ……あっああっあっあんっあんっあひっあっやっああっ」
絶対に誰にも気付かれない関係、それを見つけて高口は有山を何度も誘った。
「らめっおま○こはああっ……あっあひっい゛っあっあんっ! らめっやらっ……あっあんあんああっああんっひっああっいっちゃうっ……あぁっいいっひっああんっ!」
有山は高口が求めると絶対にセックスを拒まなかった。
 必ず精液を中出し五回以上はして、高口を満足させてくれる。
 どうやら有山は高口のことは好きらしく、体だけ求める高口を拒むことができないのだと、だんだん高口は分かってきた。
 だから高口は有山とセックスがしたい時は、有山の仕事が終わる時に必ず誘いに行き、部屋に連れて行っていた。
「あっああぁあっあひっあんっああーっあっやめっ……あっあぅん……あぁっ……やめってっ、んっ……ふぁっはぁっもっやらぁ……ぁあ、んっ、やっ……、あぁんっあっああぁんっ! んっ、んぁっあぁっ」
有山の性欲はよくそう平然としていられると思うほど旺盛で絶倫でもある。
 それに気付いてからはすっかり高口は有山に夢中になった。
「らめっおちんぽっ……あっあぁああっあ゛ひっ、いっあっあんっらめっ、あっあんっあんっひああぁっい゛ぃっあっそこっだめっ……あっあうっひああっあ゛ひっあっらめっああああんっ」
「……くっくそっ、何て腰使いだ……」
 唸りながらお互いに腰を振り合い、有山は高口に負けるのだけは嫌なのか、高口を強引に乱暴に攻め立ててくる。
「あああっひあっらめっ……あっああぁっああんっ! あひっあんっあっあっあっあんっああんっいいっ、きもちいっ、いいっ……あっい゛っあひぃっあああぁーっ……! あひっ、あ゛っひああっ……あっあんっあんっ」
「中出しされてイケよ淫乱」
耳元でそう罵られて高口は絶頂をした。
「ひあっあっあんっあんっらめっ……あっあっああっあひっらめっ、中出しはぁっ……あっあっあんっ」
 結局高口は部長に昇進するまで独身寮を出ることなく暮らし、有山とのセックスを毎週楽しんだ。
 けれど、部長に昇進したらさすがに寮を出てマンションを買った。
 もちろんそのマンションは有山の持ち物で、有山も隣に住んでいて高口はほぼ有山の家に入り浸りで暮らした。
有山は逃げられるのに逃げもせずにいる。
 高口にすっかり絡みつかれ、逃れられない獲物のように、ただ高口の性欲のはげ口にされ続ける人生を選んだようだった。

感想



選択式


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