191-狂い猫
桜江は仕事が終わってマンションに帰ると、毎日憂鬱になる。
念願叶って貧乏アパートから脱出でき新しい部屋も大きいところに越せたと思っていた。
マンションは三階の端部屋、右隣がいないから気を使わなくていいところがあると思っていた。
急いで引っ越したかったのもあるし、こんな良いマンションで旧アパートと五千円くらいしか家賃が変わらない。
部屋も見せて貰ったが、とても良い部屋で、早く決めないとすぐ埋まってしまうと言われた。
リフォームして内装を綺麗にしたと言うから、飛びついた。
そして一ヶ月後に引っ越して、その夜一人で祝杯を挙げていた。
だが、恐怖はその夜から始まった。
急に隣からダンダンと壁に何かがぶつかる音がして、男の怒鳴り声と悲鳴、そして始まったセックスの声。
「何だこれ……」
隣の声がほぼ丸々聞こえる構造になっている。
壁が薄いのか、改装した時に防音を忘れたのか、とにかく酷い有様だ。
あまりにうるさいのでドンと壁を叩いたけれど、それに対する隣の反応は。
「何だよ、隣にまた人が入ったのかよ、くそが、殺すぞ!」
という暴言だった。
それもチンピラ風に威勢の良い声で、これは余計なことをしたら絡まれて面倒くさいやつだと一瞬で分かった。
粋がっているから余計に質が悪そうだった。
「くそ、不動産屋が急いで契約させたの、こういうことだったんだ」
どうやら他の部屋よりも二万ほど家賃が安かったのは、隣に問題が大ありだったからだ。恐らく苦情を言ってもやめないし、出て行かないし、けれど家賃滞納や他の部屋に対して何かしたわけではないから、追い出すにも追い出せずなのだろう。
そこで隣を開けておくわけにはいかないので、相場より三万も安く、あの部屋の両隣を貸し出したわけだ。
もちろん飛びつく人は多いが、出て行く人も多いのだろう。
「内装したなら、ついでに防音しておけよ」
そう思いながら、何とか一番離れている六畳の寝室に飛び込んだ。
そこは唯一自分の部屋の中で隣から離れている部屋であるから、やっと遠くで物音がする程度にはなる。
そこにパソコンを持ち込んで、ヘッドホンをしてからネット配信の映画を見ながら桜江は何とか寝た。
隣のセックスをする音は、深夜まで続き、午前二時にトイレに起きたらさすがに止まっていた。
「不動産屋に文句言ってやる」
とにかく黙っている訳にはいかないと、桜江は不動産屋に文句を言いに行くことにした。
しかし朝にもまたセックスの嬌声で起こされた。
「ああぁんっ! んゃあぁっ、あっやあっ、あんっ、あぁっあぁっひっぃいっ……もっやらぁっ……ちくびっ、……あっはぁっあっあっ!」
明らかに男と男がやっている声で、桜江は萎える。
何が楽しくて引っ越し早々、男同士のセックスの嬌声を聞かされる羽目になるのか。
「あっひぁっ……っもっいっちゃう、あっあぁんっ、せーえき、あっひあっらって、ぁっ……ああぁあっ、ふあっぁっ! あんっ! あんっ!」
「おら……しっかり搾り取れっ」
「あ゛あぁあっ、あっひっあぁあっあああぁぁああっあああっああっんっ」
それにしても嬌声を上げる子の声は色っぽかった。
相手をしている男は最悪なチンピラであるが、それを相手にしているのはもったいないくらいに腰にくる声なのだ。
「くそっ……何で勃起してんだよ、俺」
桜江はそう言いながらトイレで朝勃ちをしていたものを処理した。
それでも隣のセックスは朝の七時に始まって、八時まで一時間続いた。正直男の性欲に感心するほどである。
桜江は早めに家を出て不動産屋に行った。
桜江が何か言い出す前に、不動産屋には何を言いに来たのか分かったらしい。
「すみません、注意をすると余計に酷くなるんで。それで皆引っ越しちゃうから、これでもリフォームで防音は入れてあるんですが……、でも一つの部屋だけ入れても効果はそこまであるわけじゃないみたいで……」
「何で出て行かせないんですか?」
桜江は追い出しをしない不動産屋にそう聞くと。
「それが、あの部屋の主が大家なんで。文句を付けようにも……そういう物件というほかないと……これでも各部屋何とか防音設備でリフォームをしてきて、残りは大家の部屋だけなんですよね……でもなかなか工事をさせてもらえなくて。それで両隣は安くしてあるんですよ」
それを聞いて桜江はやっと納得した。
住んでいるのが大家なら、何を言っても引っ越しすればいいだろうになってしまう。
道理であの部屋の家賃が安いわけだ。そこらのぼろアパートくらいの値段には訳がある。
かといって桜江は新たに引っ越し先を見つけるとなると、簡単には引っ越しできない。
その日の朝から不動産屋で物件紹介の本を貰い、さらには会社近くの不動産屋の本も貰ってきて昼休みから広げて真剣に部屋探しを始めた。
すると引っ越しが終わったことを知っている同僚が不思議そうに聞いてきた。
「あれ、引っ越し終わったんじゃ?」
「終わったよ」
「じゃあ、何でまた賃貸雑誌読んでるわけ?」
「引っ越したと同時に、隣の騒音がやばいことに気付いたわけ」
「え、マジ? でも内見したんだよな?」
「それが、昼間は仕事に行っているからか、静かなんだよ。けど夜になったら殴る蹴るの喧嘩、そしてセックスが始まってそれがなげーの。で、朝はまたセックスやってる声で起こされたわけ」
桜江がそう言うと同僚はさすがにどん引きしている。
「何だそれ、やべーじゃん。紹介した不動産屋には?」
「朝一で文句言いに言ったら、隣の部屋の住人が大家だからそういう物件なんですって申し訳なさそうに言われて、一応リフォームして防音を入れたけど、肝心の大家の部屋だけまだ工事ができていないから、俺の部屋にはダダ漏れってわけ。で、この本貰って帰ってきた」
「安い物件には訳ありってわけか」
「そういうこと。あそこ立地はいいし、駅からも近いから入居者はすぐ見つかるらしいよ。だから引き留めもされなかったし、他の部屋の内見をしたかったらどうぞとか言われた。マジ填められた」
同僚はさすがに笑えずに、近くの不動産屋の賃貸物件が載っている本をくれた。
その同僚も先月引っ越したばかりだったので持っていたものだ。
とにかく早く引っ越したいと思った桜江は、物件探しが日課になった。
仕事が終わって電車の中ですらスマホで物件を探し、一つ前の駅で降りてその街の不動産屋で本を貰い、歩きながら視界に入る全ての不動産屋から本を貰ってきた。
そして家に帰り着くと、相も変わらず隣の部屋からセックスをしている声が聞こえた。
「ひあっあっあっあんっうあっああああっあ゛あああっ……らめぇっ、ん゛ああっ、おち○ぽ大きいっあっひっい゛っいっ……っ」
凄い嬌声で、色っぽくとにかく声がいい。
それだけで桜江のペニスが反応するくらいに、隣の子の喘ぎ声がたまらない。
それで気付いたのだが、その声は桜江が好きな声質なのだ。だから無条件で反応するのだ。
「あ゛あああぁんっ……大きいおち○ぽでおま○こしちゃやらっあああんっ……あんあんあんあんっあひっい゛っあっあ゛っあああっ」
男にはおま○こは存在しないのだが、きっとアナルをそう呼ぶようにしつけられているのだろう。
取りあえずテレビを付けてヘッドホンをすれば遮断はできる。
そう思ってヘッドホンをすると、急に耳元で隣の子の喘ぎ声がした。
「やああっ……ひっあ゛っあっおま〇こっ……おま〇こへんっ……んっおち○ぽ硬いのっ……おま○この中が、おち○ぽがこすれてぅっ……おま○こゴリゴリされてっ……んっああああぁんっ」
「……!」
ヘッドホンから聞こえるのがおかしいのだが、どうやら無線が混戦しているのか、あちら側の何かと干渉しているのか、しっかりと音が乗ってしまっている。
「ああああっ……やめっ、ああっそこっ、おま○こ奥っだめっあっああんっだめっ当たってぅっ! 硬いおち○ぽで突かないでぇっ! あひっい゛っんあああっ」
耳に直撃する喘ぎ声、まるでマイクに向かって喘いでいるかのように聞こえてくる。
どうしてこうなっているのか分からないけれど、あまりの声に桜江はその場に座り込んでしまった。
腰が抜ける感覚で、さらにはペニスが完全に勃起をしたのだ。
「やべえ、これ腰にくる……くそっくそっ」
とにかく勃起したペニスを鎮めないといけないので、オナニーをするしかない。
そのおかずはヘッドホンから聞こえる隣の子の喘ぎ声というのが、むなしい限りではある。
「ああぁっ……もうやらっおち○ぽやらっ……んひぃっん゛あああっ……やぁっあひっんっあああっあ゛ああっんっあっやっ……ん゛んっ……おま○こ壊れる……ああんっ」
男はひたすら腰を振り続けているのか無言で攻め上げているようで、隣の子はただ嬌声を上げてくる。
「あっあっあひっあへぇっ……あっあんっあんっん゛んっあぁんっ……それ、だめっ、あっいっひぁっあ゛っんっふ……」
相当気持ちが良いのか、喘ぐ声は高く、嫌がっているように見えて実は楽しんでいるのが分かる。
「ああああっ……あひっ、イクの止まらないっ……頭変になるっ、乳首と……っおま○こっ…一緒にしないれぇっ……あんっあんっあああっ……」
ガタンと音がして、床に転がったようだが、それでも男が腰を振るのはやめないようで、パンパンと音がしてそれに隣の子の嬌声が絶頂を迎える。
「らめっ……ああっ……おちんぽっ…あ゛っひっらめっらめえっあ゛っあああああっん゛あああっ……ひっ、あっ、お願いっおち○ぽせいけい、ちょうだい……なかにせいえきちょうらいっんあぁきたっああっあ゛あああああっ」
桜江はそれに合わせて絶頂をして精液を大量に吐き出した。
それは冷蔵庫の扉にたっぷりと吹き飛んで垂れて床にまでたまっている。
久々にオナニーをしたわけだが、その量は半端なかったし、今までで一番気持ちよく射精をできた気がした。
ヘッドホンはいつの間にか無音になっていた。
どうやら充電が切れて、音がでなくなったらしい。
ヘッドホンを外してから、慌てて桜江は自分で吐き出した精液を片付けて、そしてぐったりとした体のままソファに寝転がった。
「何だよ、くそっ」
たった二日目で、もうこの有様だ。
自分に盗聴する趣味があるとは思わなかったし、まして男の子の嬌声に勃起してそのままオナニーで絶頂までしてしまった。さらにはオナニーの中で一番気持ちが良い絶頂をした。
それが罪悪感と共にどうしようもないくらいに、頭の中で隣にいるであろうネコの子のことを思い浮かべてしまうほどだ。
そうこの時、桜江は隣の子の声に惚れてしまったのだ。
2
引っ越すに引っ越せない状況になり、桜江は八方塞がりとなった。
まず引っ越し先は見つからないままだ。何より値段が問題だ。
ここより安いところは治安の悪いアパートしかなく、そこをやっと脱出したのに、あのすきま風すら入るアパートには戻りたくなかった。
隣は喧嘩の数は減ったようで、セックスをしている声だけが時折一時間くらい続く。
それさえ乗り切れば、部屋は快適だった。
隣はセックス時と喧嘩の時の大声しか通らないようで、防音の工事のお陰で日常的な雑音は聞こえないのだ。
ここまで分かっていて、引っ越し先のランクを落とすのは何だかだんだんともったいない気がした。
何より、桜江は隣の子の声に惚れてしまったから、その声を聞くと自然と股間が勝手に勃起して、オナニーをしてしまうようになっていた。
それがまたどういうわけか、ヘッドホンをすると耳元で囁かれているように聞こえてきてよかった。
どういうことでヘッドホンの無線に混戦するのか分からないが、恐らく同じメーカーのヘッドホンを使っているかして、同期する時に偶然隣のレシーバーと繋がってしまったのかもしれない。
そのメーカーは一つのレシーバーで同じメーカーなら十台ほど繋がるので、隣もまさか混戦しているとは思っていないのだろう。
それを良いことに、桜江は新たな趣味を見つけてしまった。
ヘッドホンで拾える音は、どうやら隣の部屋のパソコンが付けられている時に部屋の音を拾っているようで、セックスの声以外も実は聞こえていた。
一週間もすると相手の姿を見なくても生活スタイルは把握できた。
まず、ネコの子は朝の九時に家を出ているようで、桜江とは顔を合わすことはない。
そして帰宅は午後六時で、これもまた桜江より早く帰宅しているようで、桜江とは顔を合わせる暇もなかった。
隣のタチの男は、一週間で三回ほど桜江は見た。
明らかなチンピラ風の男で、背広は着崩しており、駅前の繁華街に消える。
朝は同じく九時くらいの出社で、どうやら街金に勤めているようだ。そして日によって帰り時間が違っているけれど、必ず時間は問わずにネコの子を犯す。時にはやめてくれと言っているのに、セックスに持ち込み、結局セックスで堕とすようである。
ネコの子は、やっと名前が分かった。
たまたま隣の家の郵便が入っていて、それを見た時に高早(たかはや)恵(めぐむ)というのが大家の名前だったから、どうやらネコの子が大家らしい。
そしてチンピラはたまたまチンピラの家に来た別の男が、中津と呼んでいた。
喧嘩の内容を聞いていると、高早の行動はどうやら中津の仕事に関係しており、会社の運営にも関わっているようであるが、どういうわけか高早は中津の言いなりである。
どんな弱みがあればそうなるのかと盗聴を続けていると、やっと分かった。
高早は昔、会社の金をこっそりと抜き、少し使い込んでいたらしい。それを中津が見つけ、脅して関係を持っているようだ。
それから一ヶ月くらいが経つと、桜江は隣の喧噪も慣れてしまった。
何より声を出してくれた方が、高早の声が聞こえるので嬉しいほどである。
何ともおかしな趣味に目覚めてしまったが、それでも桜江は引っ越すことは諦めた。
それから数日後、桜江は玄関先で、高早と思わしき人と出くわした。
お互いにちょうど出かけるところだったので、そのまま挨拶をした。
「こんにちは、隣の桜江です」
「あ、どうも、高早です。すみません、毎晩うるさくて……」
「あーいえ、ヘッドホンしていれば聞こえないので大丈夫です」
謝ってきた高早にそう答えると、高早は少しだけ笑った。
その声はやはりあの嬌声を上げる声よりは低かったけれど、それでも好みの声だったし、何より高早は可愛かった。
桜江の身長が百八十くらいなのに対して、高早は百六十くらいだった。
小さい体にさらには細いけれど丸いフォルムの腰つきと、とにかくエロかった。
それらを目に焼き付けてからは、余計に桜江の盗聴でのオナニーは頻度を増した。
その日から、高早とは朝に会うようになり、駅までの道を一緒に歩いて会話をした。
それこそたわいもない話で、そこで高早が大家であることや、早くあの男と別れたいと思っていることまで聞いた。
「物事にはタイミングって言うのがあるでしょ。だから、そのもう少しだけうるさいの我慢してもらえますか? あと二週間くらい。そしたら防音の工事を入れてもらうので、もっと静かになると思います。あ、もちろん家賃はそのままで構いません。今までの迷惑料だと思っていただければ」
そう言ってくれたのだが、桜江はどういうことだと思いながら笑顔で流した。
そして二週間後、とうとう高早のしたことが中津以外にもバレてしまったようだった。
隣では怒鳴り声が響いてきて、何事だと思った桜江は急いで盗聴を始めた。
「た、確かに、取りました、でも返しました。中津に渡して返しておいてくれって……」
高早が盗んだのは、どうやら病気の母親の緊急手術のせいだったようだ。そして結局手術の甲斐なくなくなってしまったので、取ったお金はちゃんと相続したお金から返したという。
話を向けられた中津は。
「い、いや、俺は預かってない!」
「預けたよ! ほら、二年前の十月二十一日、中津にお金を預けて返して貰ったと書いてる」
それは高早が付けていた日記である。これは実は裁判になった時は有効になることが多い。それに通帳から十万円を引いた日が同じならば、高早の証言は更に強固になる。
「中津! きさま、人の金をちょろまかしたのか!」
「ひえええええ、すみませんっ!」
隣はそれこそ地獄のような怒声と悲鳴が暫く続いたが、やがて静かになった。
どうやら中津は何度も組の金に手を付けていたらしく、高早がその証拠を残していたせいで罪は何重にもなったようだった。
中津はそのまま連れ出されてしまい、高早も連れて行かれるのかとドキドキとして桜江は盗聴を続けた。
するとだ、台所ではさっきの組関係者である男と高早の話し声が聞こえてきた。
「すまねえな、長いこと」
「いえ、構いませんよ。こちらとしても確実に証拠が欲しかったので、やっと最近油断して尾っぽを出すようになったから」
「一万二万程度ならと見過ごしていたら、一気に抜くようになり手癖の悪さに拍車がかかったからな。あんたに協力してもらわなきゃ、それこそ見抜けないままだった」
そんな声が聞こえてきたので、桜江はまさかと思った。
「前から僕に興味があったのか、つけ回してたから、正直いなくなってくれるなら、セックスくらいどうでもよかったけど、それにしても一千万も抜いたらさすがに回収は難しい?」
「いや、貢いでいる先の女もこっちの仕込みだ。だから全回収とはいかないが、八割は戻っている」
「ここまで協力したのだから、この地から手を引いてくださいね」
「ああ、分かった。この地のことは諦める。あんたの動画でも稼がせてもらったからな」
「全く、顔がモザイクで映ってないからいいものの、勝手に売るなって」
「いいだろう、それでお前の母親が作った借金は帳消しどころか、ほら、これがお前の取り分だ」
そう言うとドンと大きな鞄のようなモノがテーブルに置かれた音がした。
パチンと二回音がして、鞄が開いたのか、それに高早は笑って言った。
「まあ、いっか」
どうやら満足するような金額だったらしい。
「じゃ、またな」
男はそう言うけれど、高早は言った。
「もう一生会わないから、さようなら、お元気で」
そう言い合って男は部屋を出て行ったようだった。
するとごそごそと音がして、声が聞こえた。
「で、桜江さん、もう迷惑はかけませんけど、どうですか?」
急に話しかけられた桜江は、まさか盗聴になっていることに気付かれているとは思わなかったのだ。
「ごめんね、びっくりしたよね。実は、最初に繋がった時にこっちで音がしないから、ずっとどこかと繋がっているのは分かっていたんだ。でも桜江さんがヘッドホンって言ったので、やっと繋がった。聞いているのは桜江さんだって」
桜江は心臓が飛び出しそうなほど驚き、ヘッドホンを外そうとするけれど、それでもこの盗聴に沙汰があるまでは外すことはできなかった。
「桜江さんが、僕の喘ぐ声を聞いて、オナニーしてるだろうなって思ったら、興奮して堪らなかった。嬉しかったよ、話しかけてくれて……だって桜江さん、好みなんだもん」
そう言われたらどうしようもなく、興奮する桜江。
「ねえ、僕の声、生で聞いてみない? 夜になったらそっちに行くよ」
桜江にそう高早が言うと、ヘッドホンの音が消えた。
どうやら繋がっていたパソコンから、ヘッドホンの接続が削除されたのだろう。これで偶然できた盗聴は終わりを告げた。
「ま、まさか……本当に?」
高早が桜江に興味があるという事実は意外だったけれど、生で声を聞くということは、高早が桜江の部屋にくるということなのだ。それはもちろん、セックスをするためだ。
その日休みで、明日も祝日の休みになっている今日この日。
桜江は慌てて部屋を片付け、高早を迎えるために綺麗にした。
シーツを張り替え、タオルなどは準備する。
そしてコンドームやローションまで用意をした。
3
その夜、高早は七時にやってきた。
「こんばんは」
そう言った高早はバスローブ姿である。
それを玄関先で広げて、全裸の姿を見せてくる。
「た、高早さん……」
「桜江さん……あなたのおちんぽ、ほしいっ、ここにハメて、桜江さんのおちんぽ……っ、あはぁっ、僕のおま○この奥までずっぽりハメハメしてっ、ぁんっ、桜江さんのおちんぽ突きまくってほしぃっ……あっふぁあっ」
そう言われて帰ってくださいと言えるほど、桜江は人間ができていなかった。
そのまま高早を部屋に引きずり込んで廊下で押し倒した。
そして既に勃起しているペニスを取り出し、四つん這いになっている高早の腰を掴んで一気にペニスをアナルに挿入をしていた。
「あ゛ああ~……っ、い゛いっ、、きもちいっ、おち○ぽすごいっ、あ゛っ、ひっ、あぁあんっ」
「はあ、ああっすごい……」
高早の中は蕩けていて、すっかり桜江のペニスを受け入れている。
「ひああっ、もっらめぇっ、気持ちよすぎる、おちんぽいいっ……あひっ、頭へんになるっ……、あっ、ああぁいいっんふぅっ……ぐちゃぐちゃぁあっすごぃ……っ」
桜江のペニスは一般の人より大きく、そして反りも凄い。昔から桜江のペニスを見た人は引くレベルで大きく凶悪に見えるらしい。
それを知らずに高早は強請ってきたけれど、桜江のペニスを挿れられたとたんに豹変した。
「あーっあっいいっそこぉっぁっそこ、あっあっおま○こ突いてっ、あっぁっおかひくなるぅううぁっんあっあっ壊れう……っぁん、おま○こっぐちゃぐちゃ、あんっふぁあっ! あっ! あんっもっと、もっとぉぉお……!」
とんでもないほど感じるのか腰を振り、そして桜江に強請ってくる。
高早のアナルは本当によく使っていたからか、柔らかくそして締め付けが凄い。簡単に人をセックスで填めるような人だから、慣れているのだろうとは思うが、それでも桜江の腰使いは予想外だったようだ。
「あ゛あああっあ゛っあっあんっ、……おちんぽハメられて、おま○こガンガン犯されるの気持ちよすぎっ…あ゛っんあああっん゛っあ゛っおちんぽ、ハメハメ気持ちがいいぇっ…あ゛っあんあんあんあんあんっん゛ああっあっあっあひっあぇっああああっ」
高早は嬌声を上げ、腰を振り、そして桜江に翻弄され始めた。
涎を垂れ流して強引に桜江に腰を動かされ、それによって絶頂をしているようで、体が痙攣をしている。
「あ゛ひっあ゛っあんっあんっふぁあっ、おま〇こ、もうできないぃっ、ひぁっあっいいっ、おちんぽよすぎてっ気持ちがいいっああんっ」
ビシャビシャと精液を撒き散らかせて射精をしているから、これが演技とは思えない。
本当に絶頂をして、そしてよがっているのだと分かって桜江はしっかりと高早を犯し始める。
「ん゛あっあんっあぅうっ、んっあっあ゛っそんなっあ゛っ、いいっ、おちんぽ、いいところあたってる、おま○こ気持ちがいい、あっあ゛あぁぁぁっひあああっ、あ゛っあっあひっああっあっあ゛っんああんっ」
「ここですよねっ……分かってますよ」
「あ゛あああっああ゛っあああっ、んっ、ひっあ゛っむりっ、あ゛っあああっん゛っあっあっあんっあああああぁんっあ゛っあっあひっ…あああっ…らめぇ、んっ…あっああっあ゛っあぁっ…だめぇっ、んっふぁっあ゛っあっぁう」
「駄目じゃないですよね、好きですよね。ずっと聞いてきたんで知ってますよ。あなたは無理矢理されるのが好きなんですよね」
「あっあっあんっあぁんっ…ちかうっひっあっあっ、んっあっあ゛っそれっいいっ、だめぇ、乳首っ…あっあ゛っあああっああっ…あ゛っあっあっひっあひっあっ…あああっ…あ゛あぁっ……」
乳首をこね回しながらもう一度桜江は言う。
「好きですよね、こうされるのが、乳首を弄られて奥を抉られるのがっ!」
「んあああっちくびっいいっ…おくっ…ひっあっああ゛っあんっあんあんあんあんっああっ! あ゛あああっ…ひっんっあっあっあああっんっあっあああぁっあああんっ」
嬌声はどんどん大きくなるけれど、隣は高早の部屋なので響いても更に隣は空き部屋なので聞こえない。
この部屋は他の部屋には防音がきいているので、もちろん下の部屋にも聞こえない。
「ひあっあ゛っんっああっあっああぁぁああっあああっん゛あっあっあんっあんっあんっ…ひっあっおち〇ぽっ、いい、気持ちがいいっあ゛っんあああああっ」
遠慮なく高早に嬌声を上げさせ、それに興奮して桜江は高早の中に精液を中出しした。
「ああぁんっ、せいえききたっあんっ、んっ、はふぅっ、いいっ、いいのぉっ、あああっひぁっ! や、あ……んぁっあぁんっ……ふぁっ、ああんああっ、んっふ、ぁんっ」
桜江のペニスから精液を搾り取りながら、高早も絶頂をしている。
とうとう潮を吹いたのか、床が透明な液体で濡れている。
「あひぃっちくびなめてぇ……ちくびっちゅうちゅうして、ぁんっ、おち○ぽぐりぐりして、精液をおま○こに出してっあっあっあぁあんっ」
ペニスを挿れたままで体を仰向けに擦ると、桜江は高早の乳首を舌で舐めて唇で吸った。
「おち〇ぽ、おま○こ奥までずぶずぶしてぇっ……、気持ちいところ擦って、中イキさせてっ……もう、我慢できない、おち〇ぽほしくなっちゃてるから、あ゛っ、あ゛ああぁあっ!」
ジュルジュルと音を立てて吸い、舌で嬲って連続で中出しをしてやる。
「あっひあぁっふぁあっ、おま○こっ、せいえきっ、んっぁ、なかにっ、いっぱいらしてぇっあっあんっふぁああんっ!」
それでも桜江の腰は止まらないし、腰の動きはもっと速くなる。
パンパンと音が響き、淫らな体を揺らめかせて高早は乱れる。
「おちんぽっおま○こにハメて、もっとずぼずぼしてほしい、あぁんっあっあっあっ、あっああぁっ……おま○こに……んっ、精液中出してっ……あっあっいぃっ、んっ、あんっあっあっもっとハメハメしてっ……あ゛っひああっ!」
言われた通りに中出しを何回も続けると、高早は何度も絶頂をしている。
桜江は望んでいた通りの声で喘ぐ高早に煽られ続けて、いつまでも腰を振り続ける。
「んっ、あ゛っおちんぽっ、おま○こ、突かれないとおかしくなっちゃうからぁっ…ふあっ……ああっあっあ゛っあぁんっすごいっ……あっあんっあぁん……おちんぽもっとちょうらいっあああっあぁあんっ、もっだめっ……おちんぽの精液、おま○こに精液、ほしいっ……!」
あのチンピラよりもずっと自分がいいと言って欲しいと思い、桜江はいつもの三倍精液を出したし、たっぷり中出しをするために我慢もした。
「あぁんっ……あっあ゛ああっ……おま○こ犯して精液中出しして! あああんっ、おま○こきもちいいからぁっ……い゛いっあっああっはぁあっあっおま○こに、精液中出しして……っあっあああんっ!」
最後にたっぷりと中出しをすると、高早はそのまま絶頂をして気を失ってしまった。
次の日、高早と朝に別れた後、帰宅をしたら高早がまだ家に居た。
「何で……」
びっくりしていると大家の鍵を使って入ってきたらしい。
「明日から隣、防音の改装するから、暫くここに泊めてね」
大家のくせに他に家はあるだろうに、桜江の承諾なく少しの荷物と共に越してきたという。
「えー……何だってそんな……」
「もちろん、その間の家賃は要らないし……もちろん、この身体も好きに使っていいよ。君のペニス、好みなんだよね……それに激しいところも今のところ一番好き」
高早がそう言うや否や、桜江は即座にその場でスーツなどを脱いで、全裸になると服を脱ぎかけている高早に素早く遅いかかった。
「はやく、おちんぽほしい、硬くて、おっきくて、ビクビクしてるエロおち○ぽ……おれのおま○こにハメハメしてほしいっ……はぁっ……めちゃくちゃにおちんぽで犯してっあっひっあ゛ああーっ……」
そう言われて即座にペニスを突き挿れて、腰を振り始めると、高早は早速精液を強請ってくる。
「あぁあんっイって、イってっあひっ好きっ……、俺のおま○こで、イってっ……もっとっうごいてぇ……っおま○こっおちんぽでごりごりしてっ出してぇ、おま○こに、精液出して、おま○この奥までっおちんぽ精液ビュービューしてぇっ、あんっあんあんあんあんあんっ」
どうやら高早が桜江のペニスに惚れたのは本当で、セックスがしたくてなだれ込んできたのは嘘ではないようだ。
それならと桜江は好きなだけ高早を犯した。
「はぁっ……あっ、なかっ……ん、いいっ、精液中に出してっ、あっあっあんっ、中に、精液出していいっ……俺のおま〇こでイってっ……おち○ぽから精液出して、中出ししてっあ、あっあっあああああっ」
本人が望んでいるように、精液を中出ししてやり、満足するまで高早を犯した。
「ん゛ひぃっ、種付けっきたっあっんっああああっあああっらめぇっ精液っ注がれたらぁっ……イクのっ止まらなくなるっ……あ゛ひっん゛っあっあんっあんっあんっ」
二人の夜は昨日と同じく、いつまでもセックスで埋められる。
それから防音の工事が行われたけれど、部屋の一部にドアが一個いつの間にか付けられていた。
「何ですかこれ?」
桜江が聞いてみると、それは高早の部屋と繋がるドアで、いつでも出入り可能であるというから桜江は呆れた。
「ほら、二人の荷物が多いからこっちの部屋に置いて、こっちでラブラブしようよ」
高早はどうやら桜江のことが気に入ったようで手放したくなくて無断で工事をしたようである。
けれど、それには桜江ももう諦めたし、文句を言うよりも早くに言った。
「じゃあ、クイーンベッドでも買いに行きますか。さすがにシングルじゃ辛いでしょ」
そう言うと高早はニヤリとして言う。
「そう言ってくれると思ってもう注文した、明日届くから、荷物片付けよう」
先回りをして言われてしまい、桜江は自分の荷物をほぼ隣の高早の部屋に移し、ベッドの置く場所を確保し、さらには生活スペースをほぼセックスのための部屋にすることになってしまったのだった。
それでも桜江は高早の声が好きだったので、ペニスが好きだという高早とは同じ動機だったから、ここから始まる恋でもいいだろうと思えたから、高早のすることは何でも笑って受け入れた。
結局、そのまま桜江はそのマンションから引っ越すことはなく、二人の部屋を繋ぐドアもずっとそのままで塞がれることはなかった。
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