188-獣と王子
王宮は既に敗戦濃厚になった戦場を放棄し逃げ出す兵士に手を焼いていた。
最終戦地を突破され、首都攻略に入る敵国の脅威は増すばかりで、首都の住民は一気に隣国へと避難を始めた。
山を越えると隣国に入ることができる。
隣国は一般市民は受け入れるけれど、その他兵士は受け入れないと宣告した。
市民はまだ受け入れても働き手になるし、最悪は元の国に戻ることもできるからだ。
しかし兵士や階級持ちは庇う訳にはいかなかった。
隣国は既に数年前に敵国との不平等な条約を結ぶことで何とか国としての体裁を保っているに過ぎない。
ただ長年の付き合いがあるからと、一般市民の受け入れだけは敵国の許可を得ていっており、兵士や軍関係者は拘束されて敵国に引き渡されることになっているようだった。
そのため、兵士は戦うか、更に奥にある森を超えた先の貧しい国に逃れるかの二通りしか道がなかった。
そんな王宮は覚悟を決めた兵士は残ってくれるかと思ったが、心中するだけの国に忠誠心など皆無なのか、城はもぬけの殻となっていた。
そんな王宮の王座には既に王の首が置かれている。
昨日のうちに敵国に殺される前に王は自決をしていたのだ。
その状況を眺めているのは、王子であるルキーノだった。
ルキーノは王子ではあるが、妾の子であるから王子の名前を与えられただけで、実質は軟禁されて暮らしていた。
塔の上にある部屋から出たことはなかったし、出る必要がないと閉じ込められたまま母親と暮らし、そして母親が死んでからもずっと十五年間もそこで暮らした。
しかし今日の朝になって、朝食がやってこないことに不安を覚えて部屋を初めて自分で開けて出た。
そこには見張りもおらず、人の気配もしなかった。
一階まで降りると、食堂らしいところを見つけたので中に入ると、中は荒らされていた。
そこを漁ってみると、作りっぱなしになっていたシチューなどが残されていた。
それを自分で工夫して救って食べてから、庭に出た。
その時は人の気配は疎らで、走って馬を引いて逃げている人に出くわした。
「おい、お前、速く逃げないと!」
そう叫んだ荷馬車に乗っている男がそうルキーノに話しかけてきたが、それを女性が止めた。
「あれは、ルキーノ王子だよ、駄目だよ連れて行けない」
「あ、ああ、そうか」
そう荷馬車に乗った人たちは気の毒そうにルキーノを眺めた後、女性がルキーノに持っていた袋を渡してくれた。
「どうか、お許しをルキーノ様」
そう言った女性はすぐに荷馬車に乗って、荷馬車は北に向けて走り出した。
それを何となく見送ったルキーノは袋を開けてみた。
そこにはパンや果物が入っていた。
どうやらルキーノのことを知っている女性は、ルキーノを気の毒に思ったのか食料を分けてくれたのだ。
それを持ったままルキーノは王宮に入った。
人は疎らで、どんどん入り口に走って逃げていく人は、大きな袋を抱えて逃げている。
「引き上げろ、もうそこまで敵兵が来ている!」
「逃げろ!」
そう言う声で一斉に人が走り去っていった。
ルキーノはそんな人たちを眺めて見送った後に、階段を上った。
色んな部屋のドアが開いていて、中は荒らされ放題。
どうやら敗戦濃厚を悟った兵士たちが王宮内の資金になりそうなものを略奪していったらしい。
ルキーノはそんなものには興味はなかったので、そのまま上を目指した。
そして目的地である王座に辿り着くと、女王がその時はまだ生きていた。
「何用ぞ、呪われし子、ルキーノよ」
女王は憎らしいものを見つけたようにルキーノを睨んだ。
「負けるんですか?」
ルキーノはそこで初めて声を出した。
それまで喋らなかったのは、喋ることを禁じられている人々だったからだ。
ルキーノは喋れないのではない。王族以外との会話を禁じられているだけに過ぎなかったのだ。それを人は喋れないと決めつけていた。
「お前が生まれた時、殺しておけばよかった」
「けれど、生まれた事実があるのなら、殺したところで同じでしょう?」
「……情けなどかけなければ」
「王様がいけない。浮気をしたのは王様だ。生まれた僕のせいではない。滅びる前に逃げ延びる王様がいけない」
ルキーノはそう言った。
ルキーノが生まれる前、王に対して呪いを吐いた魔女がいた。
無実の罪で投獄され、無実罪を着せられ魔女裁判で死刑となった魔女が最後に呪ったのだ。
「王の子、王子が生まれた時、この国は滅びる! 呪われてあれ!」
魔女の言葉は本当に呪いだったのか、苦し紛れの戯れ言だったのか。
ざわついた死刑から、王は早速妾のところに通い、平然と言った。
「あのような世迷い言、本当の呪いのわけない」
それが王の言葉だった。
そして王には王女が三人生まれたが、やっとできた王子は妾の子である。
当然、国民はそれを次期王とは認めなかった。
そのうち王女三人が王子を殺そうと毒を盛った飲み物を仕込んできた。
それによって毒味した毒味役が死んだ。
王子を殺そうとした王女のことが明るみに出る前に、王子と妾を塔に王が隔離した。
王族の殺し合いなど、国民に知られるわけにはいかなかった。
ルキーノはそうして王女たちから守って貰うために塔に軟禁された。
幸い、そのお陰で王女たちは次女、三女は公爵家へ降嫁し、長女だけが国を継ぐために、公爵家から夫を迎えて、次に生まれる子が王になれると決まった。
だがそれは果たされなかった。
まず長女王女には子ができなかった。
どうやら夫の方に問題があるとされ、他の公爵と婚姻。だがそれでも子ができなかったので、王女に問題があるのではと噂されたが、その後避暑地で暮らしていた王女はどこの誰とも分からない子を産んだ。
もちろんそれに同行していなかった公爵の子ではないから、性別関係なく、非常識な王女として公爵家に降嫁された。
次女が次の役目になるも既に生まれていた子が女ばかりだったので王子を望まれるも、妊娠中に死去する。
そして残された三女は、この事態に恐れをなして、子を産むことを拒否。既に子は女の子が二人いたが、その子供を連れて公爵家の敷地に逃げ帰り、二度と王宮には現れなかった。
王の命令に背いた公爵は爵位を?奪されるが、その後敵国に通じ、敵国の公爵家の約束を取り付けて、王に反旗を翻した。
その頃には既に王子が生まれていることで、あの呪いが本当になっているのだと国民は思い始め、あるものは商売を隣の国に移して逃げ出し、さらには国外の行商が国に立ち寄らなくなっていった。
荷が入らないと国は腐っていく。
まず食料の流通が悪くなり、国内で取れるものしか出回らない。
小麦が取れていたから、粉ものしか作れなくなる。肉や果物は国民にも手に入れられなくなり、農場が襲われ始めた。
国はどんどん疲弊したところに、敵国から宣戦布告をされ、攻め入られてしまった。
当然国力がないところで全勢力を使った戦力の差は圧倒的に敵国にあり、次々に砦は落とされ、気付けばたった三ヶ月で最終防衛ラインまで突破されてしまった。
兵士の捕虜は容赦なく殺され、上官などはその場で惨殺刑。非常たるや敵国は、この国の兵士には情けをかけなかった。
そのせいで兵士は次々に逃走、若しくは殺されるために戦地に飛び出し自決のような最期を遂げるしかなかった。
また逃げ出した先では、略奪する盗賊に狙われ、鎧は金になるので?がされた。
更に盗賊であろうとも兵士をとらえて敵国に差し出すと金品が手に入るようになって、盗賊が敵国の手下になった。
町は盗賊によって荒らされ、女は連れ去られ、兵士は殺され続けた。
こうなってしまっては統制も取れないせいで、城下町寸前まで敵国に囲まれ、唯一逃げられる北口のみが市民が逃げ出す経路になっていた。
そこから一般市民は逃げだし、城下町はもぬけの殻になっていた。
ただ敵国はすぐに攻め入る前に、一日だけ休憩を取った。
それが今日の一日である。
敵国曰く、市民の避難に一日当てるとのことだった。
そこでここまで逃げなかった市民が一斉に逃げ始めたというわけだ。
だが、それを聞いた王はその日に自決し、崩壊する国を見ないまま死んだというわけだ。
その首が王座にある。
女王はルキーノを睨み、憎々しげに言った。
「お前のせいで全てが終わった」
「僕のせいではないですよね。僕は何もしていない。王様が全てを台無しにしただけ。それに、そもそも魔女を填めたのはあなたじゃないですか?」
その言葉に女王は目を見開いた。
「王と魔女が仲が良いことに嫉妬して、仲違いをさせて魔女に宝石を盗んだ濡れ衣を着せて王に殺させた。魔女は王国の滅亡を望んだのではない、女王の破滅を望んでたんだ」
「うるさいうるさい! そんなことはどうでもいい!」
女王が叫ぶから、ルキーノは続けた。
「冥土の土産に一つだけ真実を教えてあげる。確かに王と魔女は仲が良かったよ。子供ができるくらいに」
そうルキーノが言うと女王は信じられないような顔をして驚いている。
「ば、馬鹿な!」
「魔女は捕まる前に、子を産んでたんだよ。男の子、王子だ」
そう言うと女王は初めて呪いの意味を知ったらしい。
「まさか、まさか……」
「そう、魔女は王子が生まれていることを知っていたから、そう言ったんだよ。呪いの元は僕じゃない、その王子の方だよ」
さすがに突拍子もないことだと思っていた女王であるが、ならばその子供はどこに隠されたのかと不安になった。
「その子供を弟子夫婦が連れて国を出たんだよ。見つかったら大変だもんね。だから別の国にいったんだ。その国でその子はとても優秀だったから、王様お抱えの従者になった」
そこまで言うと、後は女王も知っている話だった。
「まさか……、敵国であった下克上! まさかその子供が、あの魔女の子がそこまで攻めてきている敵国の王だと言うのか!」
「ご名答。そうだよ。そして僕の兄でもある」
もちろん異母兄弟であるが兄弟であり、その王が兄であることは事実だ。
「おのれ、貴様、王を殺しにきたのか!」
どうやら察しがいいのは相変わらずの女王である。ルキーノがこんな時に何をしに来たのか分かったらしい。
「でももう死んじゃってるから、お仕事ないんだよね。でも良かったね、王様、本当のこと何も知らずに死ねたみたいだし、兄上は親殺しにならずに済んだ。さすがに実の親殺しは駄目だよって思ったから僕が引き受けたけれど、これでどっちも親殺しにならずに済んだ……」
「……貴様、貴様」
震え出す女王にルキーノは言う。
「それで、あなたは僕の親でも兄上の親でもないから、殺すのは簡単だけれど、さすがに死に様は選ばせてあげる。僕に殺されるのか、兄上に復讐されて殺されるのか、自決するのか、それとも惨めに命にしがみついて言い様もない苦痛を味わいながら生き延びるのか、どれにする?」
そうルキーノが暢気に言うけれど、女王はその選択肢に、自国である故郷への帰還が含まれていないことを知って愕然としている。
「女王の故郷の国はもうないよ。おととい首都陥落したみたい。ここにくる伝達は全部遮断されているから、知りようもないみたいだけど。魔女と王様の仲を裂いてしまえと先に口添えしたの女王の父である、氷の国の王様なんだってね?」
にこっりとそうルキーノが言うので、女王はまた察した。
氷の国が敵国に襲撃されたが、開戦したのはたった二月前のことだ。
こちらの国で既に戦闘に入っていたから、連絡したとしても援軍を送ることはできなかった。更に同じ兵糧攻めをされれば、食の流通が閉じるだけで氷の国が一気に餓死寸前に陥り、援助していたこの国からの穀物すら滞ったせいで、たった二ヶ月で陥落してしまったのだ。
兵士を養う食料がなければ、兵士は飢えて死ぬだけだ。戦力にすらならない。
なので敵国は兵糧攻めをして弱ったところで一気に氷の国を落としたのだ。
「……ち、父王が既に……?」
あれだけの強固な国だったから、この国との婚姻にこぎ着けられた。それがたった二ヶ月で故郷が滅んだと聞いて信じられるはずもなかった。
けれど、ルキーノがその嘘をでっち上げる必要性が全くない。
ルキーノは既に敵国の人間と通じているから、この勝ち戦で情報戦をする必要がないのだ。
女王を苦しめるために言っている嘘だとしても幼稚である。
だからさっきから事実しかルキーノが口にしていないのだから、これは事実であると女王は思った。
「……ふふ、はははは、あははは」
だがと女王は思った。
彼らが復讐をしたい気持ちでいることは、最終的な執着点は、女王の命である。
「お前たちに、満足などさせてやるものか!」
女王はそう言うと、王の剣を腹に当てて王座から飛び降り、床に剣から突っ込んでその衝撃で腹を突き破って自決したのだ。
それでも瞬時に死ねなかったのか、女王はかなり苦しんで死んでいた。
「自決するのはいいけど、王座を汚すのはやめないんだね」
別に女王が自決しようがどうしようがルキーノにはどうでもよかった。
ただ勝手に死んでくれた方が手を汚さなくて済む。
きっと復讐ができなくて悔しい思いをさせたかったのだろうが、もう既に国自体がないに等しいから感情的には達成できているのだ。
ルキーノは女王が死ぬまでその場で見守り、息絶えるのを確認し、更に街から人が去るのを王宮のテラスで一晩中見送った。
そして翌日には、王宮に掲げてあった国の旗を降ろし、敵国の旗を掲げた。
既に城壁を囲んでいる敵兵から貰っていた旗であり、それは国が屈した意味をする旗であるが、ルキーノはそれを一人で掲げた。
これでこの国は滅びたのである。
2
敵国アウジリオ帝国が王宮を制覇して、ルキーノは初めて兄王であるシストに出会った。
シストは人狼である。
魔女が人狼の血を引いていたから、その血が強く出たのだ。
顔は人間であるが、興奮すると狼のそれに変わる。
アウジリオ帝国には人狼が多く住んでいた上に、その人狼が王族に下克上を起こして王になったことは、人狼の多い国ではやっと覇権を握ることができたと士気が上がり、他の国への侵略に国民の人狼が全参加するほどになった。
そのため、ただでさえ人狼の人口が八十%を超える国だったから、人狼は兵士になって手柄を上げ、成り上がろうとするものが多かったので、戦闘はそれこそ手柄の取り合いだったほどだ。
そしてその威力は、二つの国を飲み込んでやっと終戦となった。
アウジリオ帝国はこの国を本日を以て領土とした。
春の国であったこの国の領土を欲しがっていた南の国であったアウジリオ帝国は、春の国の隣にある国すらも不平等協定で有利になっている。
あとは氷の国の隣にあった北の国もあるけれど、密かに契約を結び、アウジリオ帝国が春の国を制したら、氷の国の統治を任せるようにしてあったため、北の国はそのための市民が欲しかったから、春の国を逃げ出した市民は強制的に氷の国で労働をさせられる。
帝国によってほぼ制覇されたこの大地は、そのままアウジリオ帝国の主要都市としてルキーノが王子のまま引き継ぐ。
このためにルキーノは勉強をしたし、必死に冷遇にも耐えた。
そして王宮を片付け、シストが王座に上がる。
それを眺めて初めてルキーノはこのために生きてきたのだと思えた。
兄の姿を見て震えるほど高揚する気持ちがこみ上げてくる。
シストはこの戦闘における功労者に春の国の領土を細かく渡していく。それはかつての公爵家や侯爵家、伯爵家と貴族が持っていた土地であり、それらの土地で取れたものをルキーノが徴収してアウジリオ帝国に送ったりもする。
ルキーノは一応の統治をするけれど、王は飽くまでシストだ。
ルキーノの功績は、生まれたことで王族たちを破滅に追いやれたことだった。魔女の呪いに振り回され、無様な最期を遂げた王と女王はそれこそシストにとって手を汚す必要もない状態にしたことは、ある意味功績であった。
普通、王や王妃などは捕虜にしておくべき存在であるが、それを自決させることで手間を省いたのは人狼たちにとっては、武器を持たずして人を殺したという事実だけで、驚くものだったようだ。
なので人狼の血を引いていないけれど、冷酷さではシストと兄弟と認めるしかない。
そのことを叩き込まれて、部下たちは宴会に突入する。
やっと王座にシストとルキーノだけになると、シストはやっとルキーノと向き合った。
「我が弟よ。よくぞ耐えた」
「いえ、兄上こそ、よくぞここまで……ずっと大変でしたでしょう……」
大きな体を折り曲げ、背の小さいルキーノをのぞき込んで労ってくれるシストは、ずっと会えなかったルキーノのことを本当に大事にしてくれる。
シストはルキーノの柔らかな?を触り、そして体中を手で触った。
「……あ……ああっ兄上……」
「お前は俺にとって、希望だった……お前が耐えているなら、俺も耐えられると思ってきた。そしてお前は俺をここまで導いてくれた。だからこそ、お前は俺のもので、誰にも渡さない。そもそもお前に子を作られるのは困る。お前はこれから俺のために俺の腕で喘いでいるだけでいい」
それは奴隷宣言にも近い言葉であるが、ルキーノにとってずっと軟禁されて生きてきた人生からすると、それほど大きく変わるわけでもなかった。
それよりも兄に抱いて貰えるなんて、信じられないことだった。
「ああ、兄上……嬉しい。僕は……兄上に抱いて貰えるんですね……嬉しい、ああ兄上、僕にこの固くなっているペニスを、僕の中に兄上の精液を注いでください……」
ルキーノは人狼であるシストの逞しさに当てられて、完全に堕ちていた。
けれどこれは、シストからすると弟を誰にも渡したくない気持ちと、一応は王族の血を引いているルキーノに子供が生まれれば、それは争いの元になることを避けるための必然的な奴隷契約である。そうしなければシストでさえ弟を守れないのだ。
ルキーノはそれこそ反旗を翻すための道具に利用される可能性もあるからだ。
「だが、お前に付ける補佐になる、ジュードにはお前を与えることになる。だがジュード以外に抱かれることは許さない、いいな」
「はい、ジュード以外は兄上だけです」
ルキーノを監視する役目にシストの従士の一人を付けることにあったが、ジュードはルキーノを抱けるのなら生涯ルキーノに付き添っていると誓った。
つまりルキーノに一目惚れをしていた。
シストにとって予定外だったのはジュードの存在であるが、ジュードはシストがルキーノに抱いている気持ちも理解して、王がルキーノを抱くのは自由であるとまで理解を示した。
だから、シストはルキーノの安全のためにジュードを付けるしかなかった。
そうした事情を説明されて、ルキーノはちゃんと理解をした。
「兄上のおっきいおちんぽ、ぼくのいやらしいおま○こにっ、はぁっ、挿れてくださぃっ。挿れて、いっぱい、なかこすって、ぐりぐりってしてぇっあんっ」
ルキーノがそう言い切ると、シストはその場でルキーノを押し倒した。
もちろんルキーノはそのつもりだったから、男同士のしかも人狼とのセックスの方法を調べて準備をしていた。
「あ、兄上にすぐにして欲しいから、ジュードが道具を持ってきてくれて……それで準備もできてます……兄上のおちんぽ、ほしっ、ハメて、おちんぽ……っ、あはぁっ、おま○この奥までずっぽりハメハメしてっ、ぁんっ、おちんぽ突きまくってほしぃっ……あっふぁあっ」
シストのペニスが完全に勃起している。
人狼のペニスは人のペニスより一回り大きく長い。だから準備をしないで入れられると人間側が壊れると言われている。
だからルキーノはそれを知っていたので、準備をして待っていた。
それらの道具はこっそりとジュードが運び込んでくれていたから、塔の上の部屋で一人拡張をして待っていた。
戦闘が始まってから、食事以外で人が来ることがなかったから、ジュードも侵入がしやすかったと言っていた。
これらはルキーノもそうであるが、ジュードもまたシストを喜ばせるためにやったことだ。
「お前たち……」
感激したシストはすぐにルキーノのアナルの中にペニスを突き挿入れた。
わざわざ王座の前でその国の王になるはずだった王子を、追放され殺されかけた王子だった男が犯すことは、ある意味そのまま春の国自体を手に入れるために必要なことだった。
しかも男によって王子が犯されるなど、その国の住人が聞いたら二度と発起しようなどと思わないだろう。
「あ゛ああっ……ああっ、おま○こに兄上のおち○ぽ入っちゃうっ、んひっ、い゛っ……あっ、あああっあ゛っ、おち○ぽ、きた……あっあ゛っ、ん゛っあああっ」
ゆっくりとしっかりと犯すように、シストのペニスがルキーノのアナルに挿入り込み、奥まで沈み込んでくる。
それは根元まで入りきらなかったけれど、奥までは届いていた。
「あ゛ひっ……んっあっあ゛っ、あはぁっ……んんあぁあっ…ひっ、あっ…あっ、おま○こに兄上のすてきなおち○ぽ入って……る、あんああっいいっああんっ」
「うう……あああ……お前、なんて中をしてんだ……」
そう唸るシストの顔がだんだんと人狼の顔になっていく。
興奮していると人狼の顔に変わると言う、半人狼であるシスト。感情でどうこうできるものではない興奮は、こうやって目で見て分かると嬉しくなる。
するとそんなルキーノの頭にピョコリと狼の耳が生えてきたのである。
「……お前、もしかして人狼の血を引いてる?」
急にそう言われたルキーノは何を言っているのかと思っていたが、シストに手を取られて頭に当てられると、そこに明らかに普通の耳以外の人狼の耳があるではないか。
「……あっうそ……なんで?」
「もしかして、お前の母親、人狼の血を引いていたんじゃないか? ただそれが薄まっていたから今までそうならなかったんだ……だが、そうなるとあの糞王も人狼の血を引いていたってことになるな」
そう言われてやっとルキーノも納得する。
「だから人狼と引き合って、妾も魔女も……人狼ばかりと浮気を?」
「人狼は波長が合うと俺たちみたいに引き合うからな」
そんな興奮をしたままで二人は繋がりあったままでお互いの姿を確かめた。
ルキーノは耳だけしか人狼らしいところはなく、他には変わりはなかった。
シストはそれにホッとしたように言った。
「お前は十分可愛くなったな。これで部下にお前が人側ではないとはっきりと言える。お前も仲間だ」
「嬉しい……兄上と同じなの、嬉しい……」
一人だけ、こちら側の人間というのは想像以上に辛かった。
ルキーノは人狼側にいるのに、仲間ではないと思われていると思っていた。けれどちゃんと仲間であることが証明できる身体的特徴が現れたことで仲間外れではないと言えるのだ。
「ルキーノ、愛しているよ、俺のルキーノ」
「ああ、兄上……僕も愛してます……はぁんっ……あっあっあひぃっ! あっあぁっ、あひぃっ……、奥っらめっ、あーっああああっ!」
やっと中が慣れてきたと思っていたら、シストが腰を動かし始めたのだ。
「あ゛ああんっああっ!! ああああっあっぁっあっ、いいっ、兄上のおちんぽっきもちいいよぉっ……、あああぁんっ」
「くっ……なんて締め付けだ……お前、中は名器じゃないか……」
「いいっ……ああっ……、あぁっ、こんなっ、はぁっ、はぁっ……こんなとこでこんなっことっ……あっぁんっ」
王座の前でこの国の王の息子たちが絡み合い、まぐわう様子はきっと国の終わりを意味していると言えた。
決して子のできない、兄弟でのまぐわいに意味があるわけもなかったけれど、子の二人には意味があることだった。
人狼たちの倫理観はあまりに低いので兄弟だろうが、姉弟だろうが何だろうが、波長が合えば寝るので、二人が人狼である以上、この低い倫理観でいいのだ。
「あーっ……はっあぁっ、あっああぁっあひぃっ! あんっ……あっあっあああぁぅっあっやっ! あぁーっ……らめぇっ、んっはぁっぁああっ」
パンパンと突き上げられてルキーノは喘ぎ声を上げながら、腰を自ら動かしてシストを誘う。
その腰使いにシストは更に興奮をして、完全に人狼の姿に変わると唸り吠え、ただ腰を動かし続け、ルキーノを犯し続ける。
「あぁっあっ、あんぅっ……、や、あぁっあーっ……ひっ、ああっ、あぁあんっんっんっ……はぁっぁ、あぅんっすご、いっ……ひゃぁっあっはぁっ、あぅんっ!」
人狼はセックスをし始め興奮が高まると、朝までセックスを続ける。性欲が強く、また絶倫だ。だから行為は止まることはない。
「あぁあああっ……あああっ、あぁああぁんっ……やぁああっ! あっいいぃっひぅっ、あっ、あぁんっ! あぅっあっあんっいいっ、んっ、ひああぁっいいよぉっ」
「……ううっ……はっ……うう」
「あっ兄上……っあんっあんっ、もうっ、らめっおま○こっ、ぐりぐりされてぇっ、きもちいいよぉっ!!」
「ルキーノ……ルキーノ……いいぞ……もっと乱れて、俺を誘え」
「あぁーっ、いくっ、おちんぽでいくっ! ひぃあああんっ、いっちゃうよぉっ! あっはぁあんっ! ああ、おま○こにされてっいっちゃうっああんあんあんっ!」
ルキーノが絶頂をすると、シストが精液を奥で吐き出して絶頂をした。
「はぁ……あん、んあっ、やぁああんっあぁっ、あんっ……らめぇっ、そこやぁっ……あっ、ああぁっ!」
奥に精液を叩き付けられて、その精液が逆流してアナルから吹き出すほど注ぎ込まれてしまったルキーノはそれだけでまた絶頂をしてしまった。
人狼の強すぎる精液で感じるのだ。
人狼の精液は濃いので人と交わると妊娠しやすいせいで、今や人間の世界は人狼の人口が勝っているという。
あと百年もしないうちに、人狼と人間の立場は変わる。
その機転を作ったのは、ルキーノを抱いているシストであることをルキーノはしっかりと体に刻みつけた。
「まだまだ、足りない、……ルキーノ、お前を犯し尽くしたい」
「やっ、あぁっそんっ……はぁっ、ああんっ! んっあぅっ……やっあぁっあぁっ、らめっ、んんっ、ひぁんっ……! あっ……あぁっあっ……お、おちんぽっでっ、おま○こぐりぐりって、あっやっ、あはぁんっ……」
王座の前で繰り広げらる痴態は、止まることもなく、精液を撒き散らかしても止まることはない。
「あああぁ、あぁ、ん……あひぃっ、ああーっ、おま○こきもちいいっあぁんっ……、あぁ、ああっあぁんっ! 兄上……あぁんっあああぁーっあぁああんっ、も、いっちゃう、兄上のおちんぽでっいくっあああんっあああんっあああんっ!」
「ああ、ルキーノ……お前の中は素晴らしい」
「あぁんっ、あんっ、あんんあんっんっ、あぁっ、あぁん……きもち、い……おちんぽ、いいっあひんっあぁあっ……あぁっ、兄上のおっきいっおちんぽがぁっ……おま○こ、ごりごり擦ってっはあぁっ……んっあぅっ、きもちっ、いいっ……!」
「お前を孕ませたい……本当にお前が孕めばいいのにっ」
「あぁっ! あっあっあひぃっ……兄上のおちんぽっすごっあんっはぁっあぁんっあぁあっ……あっぁん……あぁあっあんっいぃっ……もっおま○こらめぇっあん、おちんぽっいいっああんっあんっぁあああぁんっ」
シストはルキーノのアナルで異常なほど感じた。
本当にルキーノが妊娠すればいいのにと何度も中で大量の精液を中出しした。
ずっとシストにとってルキーノは希望だった。
解放するために生きてきたと言っても良い。
そして交わることまでできて、嬉しくて今なら死んでもいいと思うほどだった。
「あぁんっ……いぃっ、あっ兄上のおちんぽっいいっあっ、あっあっあっ……ふぁっ、ひぅっ、あんっああぁっあひぃっ、あんっ、あんっ! ひあっ、あ゛っおちんぽ、すごいっあぁっ……あ゛っあっあっああっあぁああっ……あっあっあんっ、あんっあんっあんっあ゛ああっ、あっあぁあんっ」
ルキーノの淫らなところを見て煽られ、シストは王座の前でルキーノをずっと犯した。
ルキーノは求められるがままに腰を振り、シストを煽った。
「ひああっ……らめっあっん゛っひっいっ……あんあっ、んっああぁっ! ああっらめっ、いっちゃう……から、おま○こらめっああんっあっ!」
その激しいセックスは固い絆で結ばれた兄弟だからこそ、ここまで深いセックスになっているのだ。
それは人狼であれば誰でも経験する、固い繋がりによる相方の選別方法だ。一番引かれ合う片割れに出会うと、孕ませるまでセックスが止まらなくなる発情に陥る。それは男同士でも起こり、精が尽きるまで続くとされる。
「んっあっ……ああっんっあああんっ……おま○こいいっ……ああんっきもちいいっああんっああっあ゛っああっあっいくっ、い゛ぐっおま〇こイっちゃうっ……ひぁっ、あ゛っ、ひあん゛っあっ、あ゛ああっあぁ」
シストとルキーノは発情に陥り、一晩中セックスを繰り返した。
部下たちは密かに守っていたけれど、その激しさに本当の繋がりによる発情の意味を知ったようだった。
「ふあっあっ、あっらめええっ、激しくおちんぽでおま○こぐりぐりされたらっああんっきもちいいっああんっああんっああっああっんっいいっ……おま○こっ……ああんっらめっおかしくなる……ああんっああいいっきもちよすぎるっああん!」
淫らなルキーノ、そしてたくましいシストの絡みは、勝敗の決した城での人狼によるセックスによって城自体が汚されたことになる。
あちこちで兵士たちも相方とセックスになり、街では逃げ遅れた人たちが兵士に捕まって犯されているであろう。
それが戦争であり、敗した国の現実だ。
「あぁあっああんっ……もっ許してぇっ……おかしくなっちゃうっ……、おま〇こ、馬鹿になっちゃうっあああっ……おちんぽっああっ……あっ、あああぁっ……らめっおちんぽハメるのはっ……おちんぽ……ああんっいいっいいっああああっ!」
そんな国の王座で、城を墜とした王がその国の王子を犯すことは征服を意味する。
ルキーノが犯されれば犯されるだけで敗戦国での在り方が他の国の未来とされる。
大量の精液を貰い、絶頂しまくった二人は明け方になってやっと発情が止まる。
そして王座はすぐに掃除をされたが、兵士たちを労い仕事を与えて褒美を分け与えたところで、シストはこの国を一旦去る。
その別れ際もシストはルキーノを手放さなかった。
「いいっ兄上っああっ……ああんっ……んっあっあああっああっああっんっああっんあっあっあっああっあ゛あっ……んっあっ、あ゛っ、あっあっあっあああっ! んあっん……あっあああっ……あんっあっああっああっんあっあっはあっんっあっ、ああっあぁんっ」
国を出るまでにも何度もルキーノに欲情してシストはルキーノを犯した。
それを嬉しそうにルキーノがすると、引っ込んでいる耳が出てくるので、それによってルキーノが人狼側であることは一斉に兵士に知れた。
そしてルキーノがシストの腹違いの弟であると共にこの戦いにおいてスパイとして役立ったことで、人狼側の国からはさすがシストの弟であると認められた。
そしてシストの最愛の相棒であることも、シストの発情で分かった。
「いいっああんっおま○こっいいっきもちいいっああんっああ……ああんっ……ああんああいいっあ゛あっいいっ、らめっあ゛あっ、らめっ、おま○こゴリゴリしてるっ……ひっあっ、あんあんあんあんあんっああんっ!!」
見張りの兵士がいても二人は平然と盛り、シストは名残惜しそうに何度もルキーノを犯した。
「兄上、ああんっおまんこ……ああっ……らめっゴリゴリしちゃっ……ああんっ兄上のおちんぽっおおきいいっああんっ……ああんっいいっ……きもちいいっ兄上のおちんぽ……ああっ……いいっ気持ちいいっ……ああんっああっあああんっ」
ルキーノはこの国に残り、シストの伝達役として王子の立場を使う。
だから二人が一緒に暮らせるのは、この戦いにおいて、最後の国をシストが墜とした後である。
しかし、その都度ルキーノはこの国でシストを待ち、シストがいない間はジェードによって体を維持して暮らす。
ルキーノの幸せは兄であるシストの無事だけだ。
そしてシストはこの世界に君臨する人狼の王となる。
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