187-Evil Kiss
日向野士朗(ひがの しろう)は、幸せである。
それは会社でやっと昇進し、新しい部署に異動できたことだ。
そこではやりがいのある仕事に関われていて、毎日仕事が楽しいと思えた。
さらには日向野はゲイであることを会社にカミングアウトした。
偶然に女性に告白されたことを機に、そうしたことで迫られるのは面倒だと思って言った言葉だったが、それは意外に受け入れられたのだ。
もちろん、そうした時代であることやバイではあるが、現在の恋人が男であることなどもあり、ゲイであるということは牽制になってとてもよかった。
女性からは急な誘いはなくなったし、男性からも無理な酒の席への誘いも減った。
彼氏持ちであることを公言したら、意外に皆が気を遣ってくれたような気がする。
それは仕事上では何の問題もなく、差別されることもなかった。
というのも、意外にゲイの人が多く、性転換までしている人もいたようで、狭い業界であるがそうしたことに偏見のない上司や社長の存在があるようである。
そのお陰で全てが上手く回り始めた気がしたのだ。
恋人である中城天(なかしろ てん)は自由気ままな芸術家で、割と明け透けな性格をしているくせに面倒な性格をしている。
高校時代からの同級生で、大学は別だったけれど高校時代から付き合っている。
ただ問題は、この中城の明け透けでいつまでも子供のような性格である。
恋人がいるのに、刺激が欲しいとセフレを作り、問題を起こしては日向野に泣きついて元の鞘に戻るということを繰り返しているのである。
それでも日向野はそれを仕方ないと受け入れていた。
変に束縛される恋人でも困るし、かといって全てに依存されても困る。微妙な距離を取っている方が上手く行く関係だった。
中城が日向野から離れて、セフレに縋るときは日向野の仕事が忙しい時だから寧ろそれで発散してくれる方が、喧嘩に発展しなくて楽だった。
将来を誓っている関係でもない、カミングアウトは家族にはしていないので、せいぜい仲良く同居をしていると思われているくらいで、特には問題はなかった。
同居している場所は、日向野の祖父が昔自営業をやっていた場所で、土間続きの店部分を中城がアトリエにして、その他はリノベーションして二人の個室とリビングダイニングを作り直した。二階は客間にして整えてはあるが、たまに兄弟が東京に来たときに使っている程度である。
日向野は中城が自由にしている方が芸術への情熱も失わないので、それでいいと思っているけれど、中城はもっと自分を束縛して欲しいと言って怒ることがある。
「何で、そんなに自由にするわけ?」
理解ができないと言うように中城は言うけれど、それに日向野は言うのだ。
「それでお前が満足できるとは一ミリも思えない」
というのが日向野の答えだ。
その通りで日向野以外とも寝ないと、インスピレーションが湧かなくなるらしく、煮詰まると中城はセフレの元へ行ってしまう。
セフレの方は中城に恋人がいることを知っているけれど、その恋人を無能だと思っているらしく、悪く言うのだがその悪口に中城が耐えきれなくなって怒って日向野の元に戻ってくるのだ。
そうして渡り歩いている間に三十代半ばになると、そのセフレとの甘い時間はなくなっていった。
「どいつもこいつも俺のこと、幼稚だ何だって言って」
三十五歳になって、言動が二十歳前後と変わらない世間知らずの芸術家のままここまで来ては、修正もしようもない我が儘な性格が災いしてセフレから嫌われていく始末である。
セフレとはタチの立場で、日向野とはネコになる中城はだんだんとタチとしての言動が酷くなっていくばかりで、とうとう日向野を犯したいと言うようになっていった。
この頃には日向野も中城に振り回されるのに苛立っていて、早く別れたいと思うようになっていた。
「絶対に嫌だからな、お前に犯されるなんて冗談じゃない」
日向野はそう言って更に牽制するように言った。
「やったら終わりだからな、お前との関係。この家も出て行って貰うし、二度と俺の前に顔を見せるな」
そう言ってやったらやっとその気持ちを抑え込んで、やがてセフレのところに入り浸るようになった。
もうインスピレーションも湧かず、枯れ果て作品を作らない芸術家にはこの先はヒモになる以外の生きる道はない。
けれど日向野はそれを甘やかさなかったので、中城は逃げたのだ。
それは日向野の計画通りだった。
「あいつ、本当に詰めも甘いんだよな」
日向野は決して自分から別れるとは言わない。けれど、ヒモとして中城を買う気はない。そういう態度でいるから中城はやっと利用価値のある寄生先を見つけたようだった。
親同士が仲良しで、目立った派手な別れをすればゲイであることをカミングアウトする羽目になるから、面倒ごとを避けたい日向野は中城が自分から率先して離れることを願った。
自然と日向野の側を離れる中城は、とうとう寄生先のセフレが用意した作業場を確保し、そこに引っ越していった。
「ごめんね、最後まで俺の我が儘通して……」
「別にいいよ、それでお前が芸術家としてやっていけるなら、お前の人生だ、いいようにすればいい」
計画通りに揉めることもなく、中城を家から追い出すことに成功をした。
ガランとした家はまたリノベーションをした。
作業場は二度と中城が戻れないようにリビングダイニングを寄せて作り、奥には大きな寝室を作り、家は完全防音にした。
家族には泊まりに来てももう泊めないことを宣言した。
全員がもういい年だったので、東京に出てきても駅に近いホテルに泊まるからいいよといった。もちろん中城の実家の方にももう東京にきても親戚は泊められないと告げたら、中城が出て行った事実を知らなかったようで少し揉めた。
「ですから、こちらとは同居解消をして……いや、行き先は知らないです。教えて貰っていないので」
とにかく知らぬ損是ぬを通したが、中城の家は日向野に寄生して過ごしていたせいか、実家よりも面倒だった。
「とにかくそちらの事情はこちらには関係ないので、本人に聞いてください。うちとしてはもう関係がないので便宜を図るつもりもありません。来ても通報しますので」
そう言い無理矢理に関係を切った。
日向野の実家と中城の実家は揉めたようだったが、図々しい言い分を言う中城家はどうやら近所の顰蹙を買ってしまい、同情する人はいなかったし、味方をする人もいなかったことで、やっと自分たちの言い分が通らない事実と孤立しかかっているのに気付いて、我が儘を言わなくなったらしい。
「日向野ごめん、両親が面倒をかけて」
そう言い、中城から電話があったが、気にしていないことを告げるとホッとしたようだったが、近況を聞かれたので家を改装したことを告げると何だか寂しそうに呟かれた。
「そっか、もう作業場ってないんだね……だよね、必要ないもんね」
未練が出てきたのか分からないが、そう言い出したので日向野は言った。
「それと、俺にも新しい恋人ができたから、こういう電話ももう困る」
もちろんそれは嘘であるが、そう告げると未練たらしかった中城は慌てて謝ってから電話を切った。
「ばーか、戻ってきたがっているの分かってんだよ。いつものようにセフレに飽きてんだろうが」
電話を切った後、日向野は中城の心情が読み取れてそう呟いていた。
セフレのところが普通のセフレよりは良かったらしいが、いざ一緒に住んでみたらここよりも自由がなかったのだろう。束縛の意味を知らずにして欲しいと言うけれど、実際されると冷めるのが中城だった。
「分かってないんだよな、あいつ。まあこれで二度と俺の近くには寄ってこないだろうな。家族揃って迷惑かけて縋れるほど図々しくないんだよな」
計画通りに、年を取り面倒になった恋人を追い出しに成功をした日向野は新しい恋人を探し始めた。
2
日向野の恋人探しは一年以上上手くいかなかった。
というのも、日向野が慎重になりすぎて相手を探していたことが原因だった。
なかなか上手くいかないものだと思っているところに声をかけられた。
会社でずっと日向野の部下だった堂園北斗(どうえん ほくと)という男が、日向野が恋人と別れたと聞いたらしく近付いてきた。
「あの、恋人と別れたと聞いたんですけど」
休憩室にいた人たちがいなくなると、最後まで残っていた堂園がそう言って話しかけてきた。
「ああ、大分前だけど、それが?」
「どうしてですか?」
どうやら別れるに至った理由が気になるらしい。
「あっちが別の恋人ができて家を出て行ったんだ」
そう本当のことを言うと、堂園はなるほどと頷いた。
「たしか芸術家の人って聞きましたけど、日向野さんは次の恋人もそうした人がいいですか?」
探るように問われるのがくすぐったくて日向野は笑って言う。
「もう懲りたよ。今度は普通でいい。ああいう職種の価値観は結局合わなかったし」
手を振りながらこりごりだと告げると、堂園は言った。
「もしですが、俺でよかったら、俺と付き合ってくれませんか?」
そう堂園が言い出して、日向野は聞いた。
「堂園は、俺をどうしたい?」
率直に尋ねた。遠回りをしているほど時間がなかったのもあるが、堂園が自分をどう見ているのかを知るには、これが一番手っ取り早かったのもある。
「……日向野さんの中に、勃起したペニスを突っ込んで喘がせたい……中に精液をたっぷりと出して犯したい」
堂園は遠慮なくそう言い、興奮しているようだった。
日向野は最近、自分がタチとして精力がないのではないかと思っていた。
中城と別れたのは、中城に経済的依存をされかけたから別れたのもあるが、中城に突っ込んでも気持ちよくなれなかったからというのが最大の理由だ。
けれど、中城と立場を入れ替えてセックスをする気は一切なく、別れるしかなかったから別れた。
だから次はこんな自分に欲情して、激しく性欲をぶつけてくる男がよかったのだ。
つまり堂園は、望んでいた通りの相手だった。
「へえ、そんなことをこんなおじさんにしたいわけだ?」
「……もっと日向野さんが若かったら、俺はそうは思わなかったと思います。これだけ離れているからこそ、会社できっちりしているあなたが乱れているのが見たい。ずっと日向野さんのケツばかりの写真を盗み撮って、それでオナニーするくらいに、あなたのことを犯したくて仕方がないんです……」
日向野と堂園は十歳も離れている。
堂園はどうやら年上の仕事ができる人間を自分の手で堕とすのが興奮する性格らしい。
そんな堂園は女子に人気がある子であるが、そんな子がわざわざ日向野の尻の写真を撮り、それでオナニーまでしているとは面白い話だ。
「そうだな。条件が一つだけある」
日向野は思いついたように、堂園に言った。
「そのオナニーをしている動画、メッセージアプリで送って見せて」
そう日向野が言うと、堂園は少し驚いたようだったが、それで日向野が付き合いを考えてくれるならと頷いた。
「いいですよ。それで日向野さんが抱けるなら、幾らでも送ります」
堂園はそう言って納得した。
その日の夜になると、堂園がオナニーをしている動画が送られてきた。
まず普通にペニスを扱く動画で、その時の堂園のペニスが異様に大きいことが分かった。
どうやら日向野に見られるという興奮からかあっという間に堂園は射精をしていたが、その射精は黒いタオルの上にぶちまけられたのだが、その量が半端なく多かった。
素晴らしいオナニー動画だったから、オナニー動画を何個か要求した。
堂園は相当貯めているらしく、オナドールの生腰男版まで持っていて、アナルにローションを入れてそのオナドールを犯しているところまで送ってきた。
『ああ、日向野さん……日向野さん……おま○こ素敵ですっ』
その腰使いは非常に強く乱暴であるが、日向野はそれを見てアナルが疼くのを感じた。
正に求めていた激しさがそこにあり、若いからこその乱暴さも見られた。
日向野の名前を呼びながら腰を振り続け、射精をしてもまだまだだと長く突き続けて抜かずに三回も射精をしている堂園の動画を見て、日向野は興奮したように頷いた。
「まあ、五年くらい持ってくれるといいな。悪くない」
年を取れば新しい恋人が欲しくなるだろうから、五年くらい付き合ってくれると有り難いなと思った。
そして日向野も自分のアナルオナニーをした動画を堂園に送った。
「あぁああ~~っ……あひっ、おま○こらめっあっ……ん゛っんあっあっあっあっあ~……ん゛ぁああっ…あっあっあんっあんっあんっあんっ」
指でアナルを広げ、そこが見えるようにしっかりと写して、五分くらいの動画ではあるが、ちゃんと堂園のいやらしい動画を見ながらのオナニー動画であることを説明に付けておいた。
「あ゛っあっあっ、いくっいくっいっちゃうっ、指マんでっ、おま〇こイっちゃうっ、ひぁっあ゛っいっちゃうっ……! ん゛っあっあ゛ああああぁあぁぁっ」
精液を吹きだして絶頂をするペニスまで写して送ったら、堂園からはガチガチに勃起したペニスの写真が届き、メッセージには。
『早くこいつをあなたにぶち込みたい』
という興奮した様子が分かるコメントが付いた。
それに日向野は堂園を家に誘うメッセージを送った。
翌日、週末の仕事が終わったら土日が休みに入る。久々の二連休だからたっぷりと楽しもうと思ったのだ。
堂園はそれに絶対に行きますとコメントして返した。
だから会社にいる時からの堂園の興奮は凄く、あっという間にその日の仕事を片付けてしまっていた。
もちろん女子社員が飲みに誘っていたが、予定があると言って堂園は先に帰った。
堂園は少し寄るところがあると言っていたので、その一時間後に日向野も会社を出て、地元の駅で待ち合わせた。
一緒に買い物をたくさんして、二日間閉じこもるため、簡単に調理ができる冷凍食品や冷蔵食品を買い込んだ。
もう二人の世界だと思っていたのだが、自宅に帰ったら玄関先に中城が立っていた。
「あ、日向野……」
「中城、どうした?」
尋ねてくるなと言ったのに、今日に限って尋ねてこられてしまい、正直日向野は困った。
けれど堂園は大人だった。
「せっかく来られているのだから、入って貰ってお茶でも飲みながら話を聞きませんか?」
そう言われて日向野は渋々と中城を家の中に入れた。
「うわ、凄い中変わってる……」
前は玄関を入ってすぐに土間の作業場があったのだが、そこは普通の玄関になり、さらにはリビングになっている。
中城は遠慮なくリビングに入り、日向野は堂園を連れてダイニングに荷物を運んだ。
「堂園、悪い。これ冷蔵庫に入れてくれるか?」
「はい、いいですよ」
堂園は機嫌を損ねた様子もなかったけれど、日向野はそんな堂園の?にキスをちょっとだけしてから言った。
「もうちょっとだけ我慢してね」
そう言うと堂園は照れた。
その無骨な顔が照れるのが可愛かったので、日向野は中城の用件を早く済ませようと思った。
リビングに戻ると、中城はソファに座っていて言った。
「ソファも買い換えたんだ」
「古かったし、お前が汚した絵の具もはげなかったからな」
そう言って日向野は言った。
「それで、何をしにきた?」
別れて既に一年が経っていた。
親のことで揉めて、半年以上連絡も取らなかった。
もう縁は切れたと思っていたのだ。
「えっと……実は、恋人と別れちゃって、行き先がないんだ……」
中城がそう言うので日向野はなるほどと思った。
道理で堂々と会いにくるわけだ。なりふり構ってられないというわけらしい。
「先に言っておくけど、ここにお前の戻る場所はないよ」
日向野の言葉に中城は眉を歪めてから言った。
「あんな若いツバメ、すぐに飽きるよ」
中城の初めての嫉妬は、実に醜い状況で起きてしまった。
日向野はそれには全く怯まなかった。
というのも永遠は望んでなくて、五年持ったら良い方と思っていたから、相手が飽きること前提だった。
「それは俺と彼の問題で、お前には何も関係がないことだ」
はっきりと日向野が告げると、中城はむっとしている。
「お前をこの家に入れるつもりも更々なかった。彼の好意でそうしているに過ぎない」
日向野の言葉に中城はショックを受けているようだった。
「前に最後に電話した時に言ったよな。もうお前は迷惑をかけないって。正直に言う、今いられることが迷惑だ。もうお前と同居なんてあり得ないから、家を改装した。それに俺の実家に色々した家族のことも許してない。二度と関わらないならという理由で、見逃しているに過ぎないんだ」
中城は日向野がいつでもどこでも何でも言うことを聞いてくれる人だと認識しているようだったが、はっきりと断ったことで、どうやら意外に思ったらしい。
「お前、前はもっと良いやつだったよ」
中城がそう言うのだけれど、日向野が言った。
「それはお前に都合が良いだけの存在だったからだろう? 俺にとってお前は、ずっと負担だったよ。だから出て行ってくれて清々していた」
日向野の言葉に中城がいきり立つ。
「はあ? 何それ、最初から俺のこと好きじゃなかったのかよ!」
「話聞いていたか? だんだんとお前の勝手に付いていけなくなったんだ。じゃあ聞くがお前は俺のために何をしてくれた? 衣食住全てを俺に頼り、収入を得ても全て制作につぎ込み、挙げ句パトロンに寝返って出て行ったお前が、俺のために何をしてくれたっていうんだ?」
箇条書きにしてもかなり酷い扱いだったが、目が覚めた日向野は次第に中城の興味を示さなくして居心地が悪いように接して、結局出て行かせたのである。
「はあ? 何で俺がお前のために何かしなきゃいけないわけ? この体を抱かせてやってただろうが?」
どうどうと中城が言うけれど、最後の方は抱いてすらいなかったので、この言い分もどうかと思うと日向野は思った。
「何言ってんだよ。お前を抱くのに金銭が発生するなら、俺らはそもそも付き合ってすらなかったってことになる。なるほど、そういうことか。なら、お前に何の遠慮もいらないわけだ。いいから出ていて、このヒモ野郎。もう二度と顔見せるんじゃねえよ」
日向野がそう言い切ると、怒った中城が鑿(のみ)を取り出し、日向野に襲いかかった。
そこにコーヒーを持った堂園が到着して、コーヒーを投げつけてきた。
「あっちいいいい!」
鑿を振り上げていた中城にコーヒー三杯が降りかかったのだ。
暑さでのたうち回る中城を堂園が二、三回蹴り上げてから言った。
「ヒモの分際で偉そうに、そういう舐めた性格だから捨てられたんだろうが」
そう言ってから中城を玄関から外に放り投げて道路に放り出して、その中城に向かってバケツに汲んで置いていた水をかけた。
「二度とこの人に近付くなっゲス野郎っ」
そう言ってドアを閉めた。
その勢いは素晴らしく、さすがの中城も堂園の剣幕に恐れをなしたのか、それともどんな脅しにも泣き言にも屈しない日向野に見切りを付けたのか、そのまま何も言わずに中城は消えた。
「あ、すみません、ソファを汚しました。すぐ拭きます」
「ああ、うん、ありがとう。取りあえず掃除しようか」
日向野は堂園と二人でコーヒーのシミを何とか掃除で拭き取った。
「さっきはありがとう助けてくれて。本当に悪いね、こんな日に。元彼のことで揉めちゃって」
日向野がそう言って謝ると、堂園は首を横に振った。
「いえ、俺がいる日で良かったです。こうやって撃退もできるし。けど、話を聞いていると、どうしてあんなのと暮らしていたのか不思議なんですが……」
まあ中城の気持ちがあそこまで歪んでいたとは思わなかった日向野はその馴れ初めを話した。
「幼なじみなんだ。家も近くて、それで気付いたら寝る中になってた。あっちがネコに目覚めてこっちはタチで、それで何となくでつきあい始めて気付いたら十五年くらい経ってた」
「それでですか。相手が恋人を作って出て行ったんですよね?」
「まあ、出て行くようには仕組んだよ。便利な道具になるのを止めて、苛立たせたり、セックスを拒否したり、掃除や後片付けを止めたりとか……俺がやり過ぎているから駄目になってると気付いたからね。でも別れると言ってもきっとごねる気がしたから、二年くらいかけて、居辛い空間作って、パトロンのところに転がり込むようにしていたら、自然と出て行ってくれた」
そう日向野が言うと堂園はそれは普通だと言った。
「安全策を取って正解です。きっと別れるときに揉めたと思いますし、あの性格の悪さは生まれつきだと思いますよ。でも俺にビビっているみたいでしたので、暴力を振るわれるのは怖いみたいですね」
「本当に助かった。凶器を向けられたのは初めてだったんだ……」
「最初から鑿を持参していたところを見ると、あなたの性格も分かっているようでしたね。二度と自分を振り返らないし、頼んでも断られると思ってなければ、鑿なんて最初から持参しないですよ?」
堂園がそう言うと、確かにそうだなと日向野は思った。
「それで図々しいのは分かっていますが、しばらく俺をボディガードに雇いませんか? 同棲している振りをすれば、俺が怖くて近寄れないと思うんですよ。あのタイプは自分より強い人には何も言えない性格のはず。相手が下手に出ている時に本性を現すタイプなので」
堂園が凄く心配しているのが分かった。
正直、誰かに身の危険を心配されるのは久々だ。
何だかそれに安堵している自分もいることに日向野は気付いた。
「そう、だな。それじゃ、ちゃんと俺を抱いてくれたら考える。取りあえず二日、この期間に俺を堕とせたら、その先も考えよう」
日向野はちょうどいい口実があるなと思ってそう提案をすると、それに堂園は乗った。
「いいですよ、絶対に日向野さんをよがり狂わせて堕として見せます」
はっきりと堂園はそう言った。
3
既に準備できているアナルを堂園の前に晒し、恥ずかしげもなく見せつけた。
「堂園のおちんぽ、挿れて……いっ、挿れて……おっきいおち○ぽ、ハメて、突いてほしいっ……」
堂園はそれを見て自分のペニスを扱き、すぐにペニスを勃起させている。
その大きさは見たこともないほどの凶悪さを放っていて、実物で見たら余計に凄いものだった。
あれで突き上げられるのかと思うと、ドキドキとしてくる。
しっかりと腰を掴んで堂園が日向野のアナルにペニスの先を突き挿れてゆっくりと鎮めてくる。
「ああぁ……はぁ、はぁっ……あぁんっ……はぁはぁ……突いて、おちんぽでおま○こ突いてぇっ……」
堂園が意外に慎重にペニスを中に挿れてきて、ゆっくりと中を確認するようにしている。
「あっ、あっ……、ひっきたっおち○ぽっあ゛っ、あああぁぁっあ゛ひっ、深い……ああっ堂園のおち○ぽ大きいっ、なにこれっ……、あっ、あっ、ふかいっああんっそこまでらめぇっ……、あっ、あ゛ああっああんっあああっ!」
余りの大きさに、アナニーで準備した時よりもアナルが広げられているのを日向野は感じた。
その圧迫感に息を吐きながら堂園のペニスを受け入れ、そして奥まで挿入ったのを感じた。
「ああぁぁあ……ん゛あっ、あっあっあんっ、堂園のおちんぽっ……しゅごい、おっきぃおちんぽで犯されてるっ!ああんっ!」
「そうですよ、どうやら相性はよさそうですね……このままおま○こしてメスになっちゃってください」
堂園はいきなり腰を動かし始め、ペニスで日向野の中をしっかりと犯し始める。
「あへぇっ…あっんあぁっ……だめ、あっ、あっん゛ああっ……はぁぁ、ふーっ、ふぅーっあっあっだめっ……ん゛あっあっあぁああんっ! んああああぁんっ……ひっ……あっ、はーっ……ああぁっ」
アナルで気持ちよくなれるように、一年間自分で弄ってきた。
タチとしてやってきたけれど、ネコとしてやっていく準備をしてきたから、アナルは拡張もしていたのが役に立った。
「あ゛っ、ああぁ……、堂園のおち〇ぽっ……あっ……はあぁ……おちんぽっ……すごいおっきぃ、そんなの……っあ゛ひぃっ、あっ、あ゛っぅっ、おちんぽ、あっんぅっん゛っああっあ゛あぁぁっ」
「気に入って貰えてるようで有り難いです。俺も日向野さんのなか、たまんないです」
「ふあああっ……こんなの、はじめてっ、…はじめて、おま○こもうだめぇ、おかしくなる、堂園のおちんぽで、ごりごりされると俺じゃなくなっちゃう、ふー、ふーっ」
「大丈夫、そのまま蕩けててください……まだ始まったばかりですからね」
「あ゛あああ゛っああぁっ、んっ、ひっあ゛っむりっ、あ゛あぁぁっん゛っあっあっあっあんっあああああぁんっ」
「……はあ、すごい中がうねって締め付けてきて……日向野さんの処女、俺が奪ったんですよねっ……ああ嬉しい」
堂園はそれに感動したように、さらに腰を強く振ってペニスで挿入を続ける。
「おかしくなるっ……堂園のおちんぽ、もっと激しく、おま○こ突いてぇっ……あ゛っ、んあっ、あぁあっ、っあぁあぁぁあ゛あぁっ、あっんあっ、いきそうっおま〇こになっちゃった穴で……ん゛ああぁっあっ、あ゛あぁぁあっん゛あああぁっ……い゛っ、い゛きたっ…」
堂園によってアナルを犯されながら日向野は感じて、快楽を追って腰を振った。
それはもうタチとしてやってきた心を完全にネコとして生まれ変わる日としては十分な快楽だった。
もう幼なじみである中城との思い出も全部なくしてしまいたくて、ネコになることでそれまでのセックスを忘れるために選んだけれど、堂園はその思いにしっかりと応えてくれているのが分かる。
「ん゛あっあんっあぅうっ、んっあっあ゛っ……あ゛っ、いいっ、おちんぽいいっ、奥にあたってる、おま○こ、きもちがいい……っあっあ゛あぁぁっあああっ……、あ゛っあっあっあっあ゛っんああんっふああっいくっいくっあっあひっああぁっ……あっあ゛ああぁ~っ……」
初めて人の生のペニスで絶頂をすると、堂園も堪えきれずに日向野の中で精液を中出しした。
本当ならスキンを付けるべきであるけれど、それを日向野は嫌った。
精液を感じたいという希望だったから、堂園はスキンを付けない方を選んでくれた。
動画で見た堂園のあのたっぷりの精液を受け止めたいと思ったのだ。
それを受け止めると、心が溶けていく気がした。
これでもう中城の知っている日向野ではない。堂園のしか知らない日向野が誕生したのだ。
「あ゛あああっあ゛っあっあんっ、……ほんとは、堂園の動画を見てから、ずっとこうしてほしかったっ……堂園におちんぽハメられて、犯されて、精液中出しされるの気持ちよすぎっ……あ゛っんあああっん゛っあ゛っあんあんあんあんあんっ」
「……っ、日向野さん、煽らないでくださいっもう止まりませんよ!」
素直にこうして欲しかったという日向野に、堂園は顔を赤らめてからまた日向野の中でペニスを大きくして、それで中を抉り始めた。
「ん゛ああっあっあっあひっあぇっああああっ……やっ、あっ、もっとゆっくりっ、ん゛あああっひあぁんっはげしすぎ、イくの、またっきちゃう、止まんないやついっちゃうっ、あ゛っん゛っあああっ」
嬉しすぎて日向野はそのまままた絶頂をし、ペニスから精液を吐き出した。
「あんっあんっきもちぃ、い゛ぃっ……ひあっよすぎてっあっあっんああああああんっん゛あっああぁんっ、ああっあ゙っああ゛っあっんぁっあっあぁぁぁあ゛ひっあへぇっああ゛っあっあ゛っあんっあんっあぁんっ」
「日向野さん、すごい……気持ちよすぎる……っ」
「あ゛っあっああっ、あんっあんっああぁっあああっ……ん゛ぁっあ゛っ、ちくびぃっ、い゛ぃっ、あっああぁぁぁあ……」
日向野の乳首を堂園が爪で引っ掻いて何度も弄るので、それでもまた絶頂をしてペニスから潮を吹いてしまう。
「あぁあっ、ああぁっおちんぽ、あっあ゛っい゛ってぅのに、ずんずんきてるぅっ……あっあっああああっ……あひっんっああああっ」
完全にイキッぱなしにされ、堂園の腰使いにやられ、日向野は自ら腰を振ってこのセックスの快楽に身を投じた。
気持ちがいいという気持ちと、快楽で頭が真っ白になるなんて初めてで、これを知ったらもうタチにも戻れないし、他の人とセックスができるわけもない。
「あ゛ひっあ゛っあんっあんっふぁあっ、おま〇こ、もう、いぃっ、ひぁっあっいいっ、よすぎてっ、あああ゛ひぃっああっああんっ……んっはあぁんっ」
アナルの中をずっと強くペニスで突かれて、堂園の思うがままに抉られる。
「あ゛ひっんっあぁっあぁんっ、しゅごいっ、すき、おち〇ぽすきっ、もう、こんなの知ったらっ、おち〇ぽずっとハメハメしてて、あ゛っあひっんっ」
堂園は全てが欲しいのか、結腸までも開発するつもりなのかそこまでこじ開けるようにしてペニスを突き挿れてくる。
「ああっ……くぅっ、ぐっ、ん゛っそこだめえっ……あっあっはああぁっあ゛ああっいくっいぐっぅん゛っあっあっああああぁぁぁっ」
あり得ないほど感じてそこまで犯されるとは思わず、新たな快楽に日向野は嬌声を上げた。
「あ゛ああっ……ん゛あっ、うっ、ん゛っ、ひぃっ変になるっ……んっああっ、あ゛ぅっ、ひっあ゛あああっあ゛ああっ……んあっ、おま○こっ、すごい、ごりごりされてぅっんあっ、擦れっ……あ゛っひぅっ、んっあっあっ、くっ」
潮を吹きながら絶頂をして、さらに断続的にペニスから精液が吐き出され、完全に狂ったようにイキ狂いをされる。
こんなセックスを自分でしたこともなかったから、これ以上の物はないだろうと日向野は察した。
「ん゛ああっ……きもちいいっ…ふぅっ……ああっ……おかしくなるっ、ん゛っあぁっ、はっはっん゛ぁっあっあっあああぁっ……いいっ、きもちぃっ……ふぅっ、だめなのにっ、こんなっ、あ゛っんああっ」
結腸の中で堂園に中出しをされ、それでまた感じて潮を吹く、尿のような透明な液体を撒き散らかしながらまた絶頂をさせられる。
そして乳首をテーブルに押しつけられて擦られ、乱暴に突き上げられる。
「はぁんっ……ちくびがっ……あっあっくっ、こすれてぅぅっ……あっひっイきたいっ…んっああっ…ん゛っあっああぁっ……こんなっ……メスみたいになってぅ……おま○このっ中にっ当たって……あ゛っんっふううっ」
「はあ……たまんない……こんなの……すげえっ」
堂園は腰を振り続け、何度も中出しをしても腰は止まらなかった。
狂ったようになっているのは日向野だけではなく、堂園もまた狂ったようになっているようだった。
「あああっ……あっ、なにか……きちゃう……っ、んっふぅっあ゛っあっあっうあっ……ん゛ああっ……らめっ……いくっ……あああっもっん゛ひぃっ……い゛っ、あっあっ……もうっ……ふあああっ」
日向野は派手に絶頂をして、頭を真っ白にしてもまだまだ絶頂ができるほどになり、ドライオーガズムで達しては、また射精をして達するを繰り返す。
「ふああっ……あっ、んっあっあっあ゛ああっ……おま○こっ、犯されて……あ゛ああぁっあ゛あああっ……ひ、ああぁぁっ……ああんっああっ……ん゛あぁっ……あひっ、らめぇっもうっ、もうっ……あああああ……っあ゛ひいぃっ……らめぇ……あ゛っ、あああっ……あぁんっ」
とんでもないほど感じて日向野は様々な体位で堂園に犯される。
そのどの体位も日向野は感じて、淫らに乱れてみせた。
それに煽られる堂園もまた腰を振り続ける。
「ああっ……ん゛っ、ん゛っ……くそ……あ゛ぅっ、ん゛っああっ……んっあっあああんっああぁっ……んっ、あっ……あぁん゛っ、ん……あ゛ああっ……ん゛っあ゛ああっ……なんかっ、きちゃうぅっ…ん゛あっ、らめっ、なのにっ……イクっ……あひっ、ん゛っあああっ……」
台所や廊下、ベッド以外でも盛り、水を飲みにいけばそこで盛り、風呂に行けば風呂で盛り、脱衣所でも日向野のアナルから精液が溢れ出るほど中出しをされる。
「あーおま○この気持ちいところがおち○ぽでごりごりされて、もうっ……。おかしくなる……っん゛ひぃっ……あ゛っあっ、ああぁっん゛ぁあっ……は、ぁっ……い、ひっ、うぅっ……」
「まだですよ……もっとですよ、まだ一日あるんですからね。それにこれからは毎日こんな風に犯してあげますよ……もっともっと淫らなところを見せてください……」
堂園は狂ったようにそう何度も言い、もう日向野と暮らすことは確定しているようだった。
日向野もそれを認めるしかなく、こんなに相性のいいセックスができる相手がこの先見つかるわけもないことを知った。
「あっ、そんなっ、んぁっあっあああぁぁっあ゛ああぁっ……ひぅっ、ん゛っん゛あっ……あ゛っん゛っあああっ、っ、あ゛あああっ……ああっ、ん゛っあぁぁあっあ゛っ……ぐっ、んっ、ん゛っ、ふううっ」
とうとう一旦堂園が家に帰る時でさえも、我慢しきれずに玄関先で盛り、玄関先を精液塗れにした。
「あっ、ん゛っあ゛あああっあひっあへっぇっんあぁあっあ゛っあ゛っ、おち○ぽ、らめっああんっあっうああぁんっあ゛ひいいっ、当たってぅ、おま○このだめなとこっ、あ゛ひっらめ、おち○ぽゴリゴリしてぅうっ……ん゛ひっあっあんあんあんあんあんっ」
「日向野さん……もっとですよ……足りないもっと、中出しさせてください」
「ん゛ひぃっ……あっあ゛っらめっらめええっ…い゛っ、あ゛っ、~~っ、いいっあああんっおち○ぽっあ゛あああぁっん゛ああぁっ……堂園、すきっ、ああんっ堂園のおちんぽすきぃっ、おま○こっ、ハメハメされて、とまんなくなっちゃうっ、あ゛っいい、ひっあっ、おま〇こきもちぃっ、あああんっあぁあんっ」
「俺も日向野さんのおま○こ、最高に気持ちがいいですよ、いつまでも中出しできるくらいに……ああ、素敵だ嬉しい」
「ひああっすきっ好きっ、おち〇ぽしゅきぃっ……あ゛んっあ゛っあ~~っ、おま○このきもちいとこっ、ゴリゴリされてぅ、んっあっあっおま○こ気持ちよくてっんはあっんおま○こでイクっいっちゃうのっ……んああっん」
玄関先でタクシーを待たせているのに最後の最後まで堂園は日向野を犯して、たっぷりと中出しをしてきた。
「ひあっあ゛っ激しぃっ、ん゛あっあ゛っあっあひっ、おち○ぽ、いいっ、あ゛っあっあんあんあんっあ゛あああっイクの止まんないぃいっ……ひあぁっあっいいっ、きもちぃっ、ち〇ぽ、大きくて、おま〇この奥まで届いてぅっ……ん゛っあ゛へっんっあ゛っあぁあっいくっああああああ!!」
日向野は派手に絶頂をして、そのまま気を失ったところで記憶が途切れた。
次に目を覚ましたらちゃんとしたベッドで寝ていたが、小さな物音が台所でしたので起きていくと、レンジから何かを取り出している堂園が立っていた。
「おはようございます、体どうですか?」
そう聞かれてあちこちが痛いなと思った。
「からだ、いたい」
そう言う声が嗄れきっていたから、堂園が慌てた。
「あああ、水を飲んで下さい。すっかり嗄れてしまいましたね……すみません」
水を出してきてくれて手渡してくれたことが些細なことであったけれど、それが嬉しくて日向野は少し泣いた。
「え、え、日向野さん?」
「悪い、水、ありがとう。こういう些細な親切が嬉しいんだ……ずっとする側で感謝もされなかったから」
最後まで傲慢だった中城と堂園を比べたら悪いと思ったのだが、それに堂園が言う。
「ああ、比べて貰ってもいいですよ、俺あいつより絶対にいい方なので。その度に、堂園すげーって思ってください」
堂園は相当自分に自信があるのか、そう言って笑っている。
そんな堂園に日向野は近付いて唇にキスをした。
いきなりそうされて、堂園は驚いているけれど、嬉しそうにそして照れた。
「わ、ほんと、日向野さんはいきなりなんだな……」
そう言われて日向野は言った。
「士朗でいい。北斗」
そういきなり呼び捨てをすると、さらに堂園が真っ赤になりながら言った。
「し、士朗……っ」
「はい」
「……っ!!」
名前を呼んで貰えて嬉しくて笑顔で返事をすると、堂園はもっと顔を真っ赤にさせて撃沈した。
あれだけのセックスをした仲なのに、どうやら普通が一番効くらしい。
それに日向野は優しい笑みを浮かべた。
これからは些細なことが幸せになる予感がはっきりとした。
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