185-愛について
世の中、何が起こるのか分からないものである。
そう思う松瀬は、今日恋人に振られた。
「え、別れる?」
「うん、ごめんね。好きだけど……絶倫すぎて付いていけない」
なんとセックスで絶倫すぎるから振られること、これで五回目である。
「あ、うん、そっか。駄目か」
「ごめんね、君の性格は凄く好きなんだ。でも……」
「分かった、慣れてるから平気」
そう言って恋人と別れた。
よく言われるのであるが、顔や性格は合格する。けれどセックスの時に箍が外れやすく、暴走して相手がそれが辛くなって別れることになるのだ。
最初に言われたのは高校の時だ。
セックス大好きな子だったのに、松瀬の絶倫には勝てなかった。
そしてそれを女子たちにバラされてしまい、高校ではこれ以上彼女はできなかった。
大学になるとその噂を聞きつけた男の子が松瀬に迫ってきたのでそのまま付き合った。
結果、一ヶ月でまたもや振られた。
「絶倫だとは思っていたし、知っていたけれど、まさかここまでだとは思わなかった……朝から晩まで付き合ってられない……無理!」
そう言われて二度目も同じ理由で振られた。
三人目、四人目も理由を知って近付いてきたくせに、二週間で白旗上げて逃げていった。
そして五人目に今日振られたわけだ。
「そりゃまあ、絶倫ですよ。そりゃね、やりたいですよ、たくさん出ますよ? 何で皆性欲薄いんだよ。もっと強いのいないわけ?」
ブツブツと文句を言うと友人たちは苦笑いをする。
「いや、お前どんだけなのよ。あいつらも一応そう言う理由で振られた経験ありの子たちなのに、それに嫌がられるってどんだけよ?」
そう言われても、朝から晩までしても精液がたっぷり出るくらいに強いことを言うと、さすがにどん引きされた。
「それはない。お前、どうなってるのその体」
「よくテクノブレイクみたいにならねーよな?」
そう言われて一度病院に行ったことがある。
もちろん、調べて貰ったのだけど、医者もびっくりするくらいに「健康です」と太鼓判を貰うくらいだった。
寧ろ、精子の研究に役立てたいのでと、研究所に呼ばれて一時間ごとに精液を取られる検査を受けて、三日間閉じ込められた。
出てきたら口座には五十万の大金が振り込まれていて、精液の研究結果、三日目まで元気な精液であるという保証まで貰ってしまい、さらにはその体力の強さを皆にどん引きされてしまった。
どうやら精液を作る器官が異様に回復しやすいらしく、水分さえ取っていれば精液を無限に作れるくらいによくできているらしい。
でもあまり無茶はするなと言われた。
もちろん、三日連続でセックスをしたことはないので、一日くらいならまあ大丈夫でしょうとはお墨付きを貰っている。
というわけで、得体の知れない絶倫ではなく、体の丈夫さが人より二倍、精巣が人の三倍くらい機能しているらしい。
「お前、人として実験材料になれるくらいに人類に貢献しそうだな」
「いや、つーか。子だくさんで大変な目に遭う気がするぞ」
そう口々に言われたので、女性との付き合いは怖くてできなくなった。
この年で女性を妊娠させたら、大学を出てない学歴では大した職に就けないだろうし、子だくさんになったらなったで育てていけるのか不安になったのもある。
よって男の子相手の方が、都合がよかったから、二人目からの恋人は男の子にしてきたのに、それすらどん引きされる事態である。
「もうほんと、あの子に振られたって言ったら、大学中の笑いもんじゃねーか」
一ヶ月は持った方だとは思うけれど、セックスはそれこそ二回しかしてない。その三回目に盛ろうとしたら別れを切り出されたのである。
「さすがに絶倫募集とか、体力自慢を探すしかないよな」
友人に笑われているけれど、至極真っ当な意見ではある。思わずそれをしようとして、友人全員に止められた。
「他の人を当たってみるから、それはやめろ」
本気で止められたし、停学になりたくないので諦めた。
そんな性欲をもてあましたままの金曜日である。
普段なら土日休みで楽しめるところだったのに、恋人に振られた松瀬は仕方なくスーパーで買い出しをして自宅で一人寂しい晩餐をすることになった。
友人知人が全員忙しいと言うから、ネットの飲み会も開けない。
つまらないなと思いながらバラエティーを見て酒を飲む。
そうしていると、つまみも酒も切れてしまった。
「買いに行くか……」
飲み足りないので、ここから歩いて五分の場所にあるコンビニを目指した。
マンションの前には大きな公園があり、木々が多い茂っている。
そんな場所はもちろん、ハッテン場として使われているようで人の出入りが結構ある。
これからセックスに行くのだろう人々を見て羨ましいなと思いながら、コンビニで酒とつまみを買い、帰宅していた時であった。
公園から出てきたコートを着た人になんだか付けられている気がした。
歩いているとこっちに歩いてくる。
どう考えても駅はコンビニがある方で、反対方向である。
そして公園から出てきて住宅地に向かう人はそうそういないから、付けられているのかもしれない。
用心しながら急いで歩いて明るいところまで一気に小走りに行くと、コートを着た人は後を付けてきていた。
街灯の明かりまで付いてきて、そしてその人は言った。
「ま、待ってください……」
か細い声が松瀬を呼び止めた。
「な、何ですか! 付けてこないでください」
怖いのでやめてくれと言うのだけれど、そのコートの主はゆっくりと顔を晒すように明かりの下にやってきた。
「あの……お願いです。僕の話を、聞いてください」
そう言って明かりの下に現れたのは、美少年だった。
酷く綺麗な少年なのに、頬に大きな絆創膏を貼っている。
そんな状態であるから、一瞬誰かに襲われたのかと松瀬は心配になった。
「おい、大丈夫か? 何かあったのか?」
まさか知らずに公園に入り込んで襲われたのかと思い、そう言うと少年はハッと驚いたように立ち止まる。
「あ、いえ、そうではないのですけど……あなた、T大の松瀬くんじゃない?」
そう言われてしまい、まさか顔見知りなのかといぶかしげに相手を見た。
しかし見知った顔ではない。
「誰?」
「えっと同じ大学に通っている、一年下の岩脇といいます……」
「あ、はい。そうですか、それで?」
何か用があって呼び止めたのだとしても、付けてくるのは何だったのか。
警戒しながらも聞くと、岩脇は真っ赤な顔をして、コートの前を開けた。
「……!」
岩脇の開いたコートの中は、SMの拘束着らしいものを身につけていた。
乳首にはニップルクリップを付け、それには鎖が付いていて乳首同士の金具にぶら下がっている。
ペニスは皮のベルトで固定されていて、三重か四重くらいにベルトが付いている。
そしてアナルにはバイブのような突起物が突き刺さっていて、それを支えるためのベルトが腰に巻き付いている。
首にも首輪をしているし、それには紐も付いている。
よく見れば、靴もブーツだったし、太もも辺りも皮のベルトのようなものが巻き付いている。
「……何それ」
思わず出た言葉は普通だったけれど、明らかに頭のおかしい人に対して大きく否定の言葉を吐けなかった。だって怖いじゃないか。
「あの、松瀬さんが絶倫だって聞いて……それで、ぼ、僕を試して欲しくて……!」
そう言われてしまい、松瀬は真面目に突っ込んだ。
「いや、俺、SMはちょっと範疇じゃないんだけど……」
「あ、すみません。これは僕の趣味で……その、別に痛いことが好きなわけじゃなくて、これは全然痛いわけじゃなくて、ただちょっとファッションというかそういうので……その、雰囲気というか、そういう感じですので大丈夫です」
「そう、なんだ」
「こういう格好で歩くとちょっと気分が盛り上がってきて、なんか凄く、好きなんですけど」
「うん、分かった。それで……」
「はい、それで僕も絶倫で、」
と、そこまで話しかけた時に明かりの中にサラリーマンが見えた。
慌てて松瀬は岩脇を引き寄せて、取りあえずサラリーマンから隠した。
サラリーマンは気味が悪そうに二人を見た後、足早に去って行く。
それを横目に、松瀬は河川敷の方に連れて行った。
そこは暗いけれど、人目は避けられる場所で目が慣れてきたらそこまで怖い場所ではない。
とにかく人が来ないのでそこで話をした。
「あのね、急に見知らぬ人にそういうこと言われても、はいそうですかとはいかないんですよ」
「そ、それは分かってます。でも抱いて貰わないと……僕、ご主人様に殴られちゃう」
そう言って岩脇は泣き出してしまった。
「え、ちょっと待って、これってあんたのご主人様が出した命令ってこと!?」
「……そうです。あの男とやってこいって言われて……」
そう言われてしまい、松瀬は驚く。
「それじゃ俺のことを知っていたのは?」
「だって、大学で有名ですもん。絶倫の松瀬って……性欲強すぎて毎回一週間くらいで振られてるって……」
そう言われてしまい、松瀬は座り込んでしまった。
まさか、そんなに有名になっていて話題にまでされているとは思いもしなかったのだ。
「すみません」
「ってか、なんでいちいちあんたを殴る人をご主人様なんて呼んでるんだ?」
暴力野郎に恋人がいて、性欲強いだけの自分に恋人がいないのがどうしても松瀬は許せなかった。
急に松瀬にそう言われてしまった岩脇であるが、それに答えた。
「だってご主人様はご主人様です。絶対なのです」
それを聞いた松瀬は切れた。
「ふざけんなよ! SMでMを殴るようなSは、ご主人様失格なんだよ!」
そう八つ当たりをすると、岩脇はまさかそんなことを言われるとは思わなかったようで、びっくりしている。
「で、でも、サドだから仕方ないって……」
「馬鹿か! SMのSはサドのSじゃねーよ! サービスのSだ! Mの満足するように痛みを与えてやるのが役目だ! そしてそれは体が傷付かないようにするのが鉄則で、奉仕するのがSの役割なんだ! お前がやってんのは、SMじゃねえ、ただの暴力男の意のままになってるご主人様ごっこ以下の奴隷契約だ!」
松瀬がそうぶち切れると、岩脇はその場にしゃがみ込んでしまった。
「……そ、そんなの……まさか……奴隷だったなんて……僕、奴隷……なの」
「殴られて平気な面してんなら、そうなんだろ。疑うならちゃんとした商売のSM調べてみろよ! 基本中の基本だぞ! これをSMだなんて言ってるやつなんて、ただの暴力が好きなだけの最低最悪の野郎だ!」
そう松瀬が怒鳴ると、岩脇はその場でスマホを使い、検索をしているようだった。今まで疑いもしなかった関係だったのかもしれないが、どうやら殴られて怪我することでSMではないのかと疑いを持っていたようだった。
そしてスマホで検索してみたSMの定義を見て愕然としている。
「……な、殴られた時、なんだかおかしいなって思ってはいたんです……僕、殴られたことなくて、でも今の彼氏は殴ってくるし、すぐものに当たるし」
「それ、ただのDV野郎じゃねえかよ。今すっげー問題になってるやつ」
普通にあるDVだと言われると、岩脇はやっと納得できたのか、ポカンとしていたけれど、やっと腑に落ちたようだった。
「そうか、そういうことなんだ……暴力ってそういうこと……」
「お前洗脳されていたんだよ。ほらDV受けていた人って、その環境に慣れちゃって、大変な思いをしても相手を信じたりするじゃん。でもそれ良くないって……つか、なんで暴力男に恋人がいて、絶倫なだけの俺に恋人がいないわけ? マジでお前、俺の恋人になれ! セックスできるなら誰でもいいなら、俺でもいいだろうが!!」
松瀬はそう心から叫んだ。
もう振られたばかりで性欲をもてあまし、オナニーでは吐ききれずに苦しかったのもある。
もちろんこれもただの八つ当たりであるが、岩脇は自分がちゃんと求められていると感じて即答した。
「はい、僕、松瀬さんの恋人になります」
2
「ふえ……?」
はっきりと松瀬にそう宣言すると、岩脇は恋人に電話をかけた。
「もしもし、僕だけど、あのね、もう別れるね」
もちろんそれで恋人が納得するわけもない。
『てめえ、舐めた真似してると殴るぞ! いいから帰ってこい、仕込み直してやる! ふざけんな! 後で覚えてろよ!』
そう叫んでいる声が松瀬まで聞こえてきて、松瀬はその電話を奪い取って怒鳴った。
「ふざけてんのはてめえだ、この野郎が! 俺のシマで何晒してんじゃこのくそ野郎が! 出てこいやくそが! こいつの家にいるんだな! いいかそこに大人しくいろよ! 今から始末しに行ってやるからな!」
ぶち切れてそう言うと、向こうも怒鳴り返そうとするのだが、それを上回る声で怒鳴り続けていたら電話を切られてしまった。
「切りやがってこのやろうが!」
折り返しアプリの通話で何度も着信を続けていたら、とうとうアプリの方でブロックされてしまったので、今度は携帯の番号の方を見つけて直電しまくっても、相手は電話に出なかった。
どうやら本気で怒鳴った松瀬のことをヤクザだと勘違いしたらしく、怖くなって逃げたらしい。
とにかく、松瀬の暴走は酔っているせいで止まらず、岩脇を連れて岩脇の自宅に乗り込んでいく。
けれど、そこで松瀬は友人知人に電話をして事情を話す。
皆、用事があったけれど、それの用事先に事情を話して岩脇の酷い彼氏から岩脇を救う話が広まり、それなら俺も行くと参加者が増え、一気に人が四十人ほど集まってしまった。
松瀬と岩脇が歩いて岩脇のマンションにたどり着くと、四十人ほどがワイワイとしていて、松瀬を見て全員で岩脇の部屋に突撃した。
もちろん、岩脇の恋人は直前まで居たらしいが、人がだんだんと集まっているのを見てこそこそと抜け出して逃げたらしい。
「ついでだし、こいつの荷物を運び出そう」
松瀬がこの人数を利用しない手はないと、各々に頼んで引っ越しを開始してしまった。
まず、松瀬の友人の一人が実家のアパートを臨時で貸してくれると言った。親に話したら、可哀想だと言いすぐに入れるようにしてくれたという。
その大家はここのマンションの大家と知り合いで、話を通してくれて緊急の夜逃げのような引っ越しも了承して貰った。
すぐに引っ越し業者のバイトをしていた数人が会社に掛け合い、料金は後払いでいいからと単身者用の引っ越しようトラックを出してくれた。
それが到着するとどんどん荷物を全員で運び出し、箱には適当に荷物を入れ、岩脇は自分の持ち物と彼氏の持ち物を分ける指示をしてるだけで、あっという間に引っ越し荷物が梱包し終わってしまった。
彼氏の荷物はそのまま宅配便のバイトをしている数人が着払いで送るためにコンビニに運んでくれた。住所は岩脇が送り状に書いた。
彼氏の荷物は段ボール箱で四つ分の荷物だった。意外に多かったんだなと岩脇が呟いた。
そのまま荷物を運び終えて、残りの十人が引っ越し先に荷物を運んでくれ、残りは面白かったと言ってそのまま全員で飲みに行ってしまった。
残りの十人とアパートに荷物を運び込んだけれど、引っ越し先が割れていたら困るので、当面は松瀬が岩脇を預かることにして、着替えと大学で必要な荷物と貴重品を持ってタクシーに乗った。
「じゃあな」
「滅茶苦茶助かったよ!」
「これでお前が上手く行ったら、ちゃんと昼飯おごれよ~」
友人たちはそう言って先に飲みに行った人たちと合流するためにタクシーで一気に去って行った。
嵐のような出来事と勢いで、岩脇は引っ越してしまい、恋人とも別れられたと思う。意外に小心者である恋人が岩脇の前に顔を出せるとは思えない。
ああいう人は負ける戦いはなかなかしない、岩脇以外にも奴隷が存在しているようで、そっちに逃げ込んでいるだろう。
「なかなか凄かったな」
松瀬が笑ってそう言うと、岩脇は嬉しさで泣いた。
タクシーの運転手は一部始終見ていたから、岩脇がDV彼氏と別れられたことを喜んでくれ、メーターをわざわざ止めてくれて行きの料金だけで帰りの料金は祝い金だと言っておまけにしてくれた。
まあ、その前に同じタクシー会社のタクシーを三往復するくらい友人たちが乗ったのもあったからまけてくれたらしい。
何度もお礼を言って、荷物を持ってそのまま松瀬の自宅に岩脇は上がり込んだのだった。
松瀬のマンションは大きなマンションだった。
とても大学生が住むようなマンションではなく、金持ちの人が住むような高級マンションだ。
「えっと、あの、本当にここ?」
玄関から入ってから松瀬に岩脇が問うと、松瀬は笑う。
「一応、俺が祖父さんから遺産で貰ったものだから、気にすることないよ。俺がいいって言っているんだから入れ、そして泊まれ。お前、俺に全部を差し出したんだろ?」
そう言うと松瀬は荷物を玄関横にあるドアの部屋に置いてから、岩脇を連れてリビングに行く。
そこは窓から遠くの都市部のビル街が見える特等席で、岩脇はびっくりしている。
「でもさ、お前がコートの下にそんな格好しているとは、誰も思ってなかったな」
そう言うと松瀬は岩脇のコートのボタンを取って、コートを脱がせた。
いやらしい格好をしている岩脇はこの時になって初めて恥ずかしいという気持ちが湧いたらしく、体を一生懸命隠そうとするけれど、それを松瀬が腕を掴んで止める。
「俺とセックスしてくれるんだろ?」
飢えた様子でそう言うと、岩脇はそこまで飢えているとは思ってなかったようで驚いているけれど、決して無理に押し倒しはしない松瀬の自制心にちょっとだけ笑顔になった。
「いいですよ。元からそういうつもりでしたし、僕の絶倫で釣り合うのか分かりませんが、よろしくお願いします」
そう言いながら我慢をしている松瀬の手を取って、その手を胸に当てた。
すると松瀬は言った。
「一つ確認するが、SMがいいのか? それとも普通でいいか?」
そうした確認をしてくる松瀬の顔はどう見ても普通ではないけれど、それでも決してその先を無理矢理進めないことにまた岩脇の心は溶けていく。
「SMは、別に好きでもないです。こういう格好をした方がいいと言われてやっていただけなので……」
「じゃあ、まずは外していこう」
松瀬はそう言うと、まずペニスの拘束を取ってくれた。
割合これが辛くて、長くしていると痛かったのもある。
やっと自由になってホッと息をすると、腰のベルトも取ってくれ、アナルに突き刺したままだったバイブも取ってくれた。
ボトリと床に落ちてしまったが、松瀬はそれを気にせずに、首輪を取り、乳首のニップルクリップも取ってくれた。
勃起したままの乳首を固定されていたので結構乳首が赤くなっているけれど、それを松瀬は優しく撫でてから乳首を舌で舐め始めた。
「ああっああーーっ! ああいいっあぁっ、ちくびすっちゃ、らめぇっ、あっ、あっ、あぁあんっ……」
腰にズンとくるような感覚が襲ってきて、岩脇は腰を揺らめかす。
もともとセックスは大好きである。ただ捕まった相手が悪かった。それだけなのだ。
「いっ、いいっ、ああっ、あんっ、ちくびいいっああんっああっ……! あぁっ、あっあっあああんっ!!」
松瀬は執拗に岩脇の乳首を舐めて吸い上げた。
舌で転がして、勃起した乳首が転がりやすくなる。
「あぁんっ……ちくび、いいっ……あっ、あっひあぁっ、きもちいいっ……い、いっちゃうっ、んっ、あぁんっあんっ! だめっ、だめっ……ちくびっコリコリ、はぁんっ、んっ、あんっ」
岩脇はここまで丁寧に乳首を弄られた記憶は、かなり昔のことだったなと思い出した。
恋人がちゃんと恋人をしてくれていた時、こうやって丁寧にしてもらえていた。けれど、それはたった一ヶ月で豹変した。
急に暴力が付きものになり、取り憑かれたように殴られ蹴られた。
そしてとうとう大きな怪我になり、その怪我の大きさに岩脇の心も離れていくのが分かった。
そして今、それは当たり前だと気付かされた。
「あんっあっ、ちくびっ、きもちい……、あっ、ぁん……ぁっ、あっあっ、んっ、いい、あんっ」
丁寧に美味しそうに乳首を舐めて弄ってくる松瀬。早く性器をアナルにぶち込みたいであろうに、それを置いてでも岩脇を気持ちよくさせようとする気持ちがちゃんと見えている。
「あん……あっ、あぁんっ……はぁんっ……ん、ふぁあ……乳首、弄ってっ……吸って……」
もっとして欲しくて岩脇が言うと、その通りに松瀬はしてくれる。
優しくそして少し乱暴に、けれど怪我をしないようにとしてくれることに岩脇はどんどん興奮をしていくのが分かった。
「強く吸って、舌でペロペロ舐めてっ……あっあぁああんっ! あ゛ああっあんっああっいくっ乳首でいくっ……あっあひっあぁあっ!」
そんな岩脇の言葉を聞いて松瀬は興奮を何とか押しとどめてから、乳首を執拗に責めて、自然と岩脇のペニスが興奮で勃起するまで待った。
そして興奮で岩脇のペニスが完全に勃起してしまうと、岩脇は我慢ができなくなったのか、自ら尻を開きアナルを見せて強請ってきた。
「ああんっ……すきっ、おま○こにおちんぽハメられてっ、あぁっ、いっぱいおちんぽでおま○こを突いてほしいっあっあぁんっ」
そのアナルは、ぽっかりと空いて見えた。
それはしっかりと松瀬を包み込めるくらいに開いていて、松瀬は喉を鳴らしてから岩脇のアナルにペニスを突き挿入れていた。
「あああっ……おちんぽ硬っ……あっあああぁっ……おち○ぽはおおきい……んっひっやっ……あっ……おちんぽ……ん゛っ……ん゛っああああっ……あっ、あ゛ぁぁっ……おちんぽ挿ってくる……ああんっん゛っあああああ~っ……ん゛っあっあひぃっん゛ひっ……はいって、んっ大きいおちんぽが……なかっはいっちゃ……あ゛っん゛っあああっ」
ゆっくりと中を傷つけないように慎重にペニスを挿れていくと、大きいと評判の松瀬のペニスがぴったりと岩脇のアナルに収まったのである。
「すげえー……全部飲み込んだぞ……」
「んっ……んふぅ、ぁっ、あっ、んぁあ……ぁんっあっ、あっ、あっ! ひ、ぃぁあああん!!」
奥まで完全に届いているペニスに岩脇が驚くも、さっき別れた恋人もかなり大きいペニスを持っていて、そのせいで拡張していた岩脇のアナルがちょうど良かったというだけである。
けれど長さは別れた恋人よりもあり、少し揺するだけで奥を簡単に叩かれる。
それは松瀬のペニスの方が長く大きいということだ。
けれど、岩脇はこの時初めて、この拡張をしていた意味があったことを知った。
松瀬と出会うために、こうしてセックスをしてもらうためにこうしなければならなかったのだ。そういう疑問に無茶な回答が合ってしまった。
「ぃひ……っぁあ、あ、あ、あ! ふぁああ……んっいい、ぃいいいっああぁん……んふぅっあんっあんあん! おちんぽっ……おま○こもぉっあ! ぃひぃいいいーっ!!」
少し揺すられる程度で岩脇は嬌声を上げた。
みっちりと内壁を押し上げる松瀬のペニスは、若さの分か硬く反りもあり、別れた恋人と比べて元気すぎるくらいだった。
「あ゛ああんっああっ!! ああああっあっぁっあっ、いいっ、おちんぽっきもちいいよぉっ……、あああぁんっ」
「ああ、岩脇……すげえっ中がうねってる……大丈夫か、俺、動いていいかっ?」
「もっと動いてっ……きもちいいから。はぁんっ……あっあっあひぃっ! あっあぁっ、あひぃっ……、いいっ、あーっ……だめって言ってもやって、これからのだめはいいの意味だから……」
顔を真っ赤にして岩脇が言い、セックスが終わるまでの駄目という言葉の意味を教えた。
本気で嫌だと言われ続けてきた松瀬には、嫌も駄目も全部本当の拒否だったので、岩脇が気を使ってそう言ってくれたのは有り難かった。
「わかった……本当に駄目なら抵抗して……それで殴ってくれていいから。そうじゃないと、きっと俺止まれない……」
松瀬はやっと思いっきりにセックスができる環境になって、興奮が抑えきれない。
きっとこの先自分で気を使って止まることができる気がしなかった。
なのでその取決めを今決めた。
「わかった、だめなら殴るからっ……ああっ……、あぁっ、してっ、はぁっ、はぁっ……おま○こにおちんぽガンガン突き挿れて、気持ちよくしてっ……あっぁんっ」
「それじゃ、遠慮なく本気でやらせてもらうから……」
そう松瀬は宣言をしてから、岩脇の奥を突き上げているペニスを更に強く腰を振って動かし始めた。
「あーっ……はっあぁっ、あっああぁっあひぃっ! あんっ……あっあっあああぁぅっあっやっ! あぁーっ……ああっ、んっはぁっぁああっ」
とんでもない動きで松瀬は腰を動かし、岩脇の中を犯してくる。
その動きは、もう獣のセックスのように激しく、四つん這いにされた岩脇は後ろからガンガンと突き上げられている。
「あぁっあっ、あんぅっ……、や、あぁっあーっ……ひっ、ああっ、あぁあんっんっんっ……はぁっぁ、あぅんっすご、いっ……ひゃぁっあっはぁっ、あぅんっ!」
絶倫であると分かっているけれど、その動きもまた松瀬は凄かった。
岩脇はその強さと快楽がどんどん押し寄せてくることに、嬌声を上げて喜んだ。
「あぁあああっ……あああっ、あぁああぁんっ……やぁああっ! あっいいぃっひぅっ、あっ、あぁんっ! あぅっあっあんっいいっ、んっ、ひああぁっいいよぉっ」
これは岩脇が望んでいたくらいに執拗にセックスをしてくれそうな相手。
岩脇も絶倫でセックスの回数が足りなくてずっと不満だった。
それがここで解消される。
「あっあんっあんっ、もうっ、らめっおま○こっ、ぐりぐりされてぇっ、きもちいいよぉっ!!あぁーっ、いくっ、おちんぽでいくっ! ひぃあああんっ、いっちゃうよぉっ! あっはぁあんっ! ああ、おま○こされてっいっちゃうっああんあんあんっ!」
早速岩脇は松瀬に突き上げられて絶頂をした。
精液を吐き出して、ペニスがまだ勃起しているままであることはいつものことだ。
こんなに早く絶頂をさせられたことはなかったので驚いたけれど、それでもまだセックスは始まったばかりだ。
「はぁ……あん、んあっ、やぁああんっあぁっ、あんっ……らめぇっ、そこやぁっ……あっ、ああぁっやっ、あぁっそんっ……はぁっ、ああんっ! んっあぅっ……やっあぁっあぁっ、らめっ、んんっ、ひぁんっ……! あっ……あぁっあっ……お、おちんぽっでっ、おま○こぐりぐりって、あっやっ、あはぁんっ……」
前立腺を突き上げられてまた岩脇のペニスが勃起をする。ペニスからは精液が断続的に吐き出され、完全にイカサれ続けているのだ。
「あああぁ、あぁ、ん……あひぃっ、ああーっ、おま○こ、あぁんっ……、あぁ、ああっあぁんっ! ぁっ、らめぇ……あぁんっあああぁあぁああんっ、もっやらぁっ、いっちゃう、おちんぽっまたっいくっやらっあああんっあああんっあああんっ!」
今度も射精をして絶頂させられ、連続でイカされるのなんて初めてで、岩脇は一瞬混乱した。
けれど気持ちよさはまだまだあり、これまでのセックスのような苦痛は一切なかった。
松瀬は丁寧にかつ乱暴に岩脇を抱いてくれているからか、気持ちよさだけが強くあり、不快感も一切なかった。
「あんあぁんっ、あんっ、あんんあんっんっ、あぁっ、あぁん……きもち、い……おちんぽ、いいっあひんっあぁあっ……あぁっ、おっきいっおちんぽっ……おま○こ、ごりごり擦ってっはあぁっ……んっあぅっ、きもちっいいっ……!」
セックスがここまで気持ちがいいと知れたのは、松瀬のお陰だ。
「あぁっ! あっあっあひぃっ……松瀬くんのおちんぽっすごっあんっはぁっあぁんっあぁあっ……あっぁん……あぁあっあんっいぃっ……もっおちんぽっきもちいい、はぁああっ……」
「ああ、俺も気持ちいい、絶対これまでで一番、岩脇が気持ちいい」
「うれしいっ……ぼくもっ、おま○こきもちいいっあん、松瀬くんのおちんぽっああんっあんっいいっぁあああぁんっあぁんっ……いぃっ、おちんぽっあっ、あっあっあっ……ふぁっ、ひぅっ、あんっああぁっあひぃっ、あんっ、あんっ!」
「こんなに思いっきりセックスしたことないから、とまんない……ああ出る!」
「ひあっ、あ゛っおちんぽせいえき、きた、いいっあぁっ……あ゛っあっあっああっあぁああっ……あっあっあんっ、あんっあんっあんっあ゛ああっ、あっあぁあんっ」
松瀬は射精をしながらも腰を動かし続け、出した精液は大量だったので岩脇のアナルから吹き出ている。さらには腰を動かして掻き出すから、ビシャビシャと外に漏れている。
その感触もまた岩脇には初めてのことで、このセックスは癖になると思った。
「ひああっあっん゛っひっいっ……あんあっ、んっああぁっ! ああっおま○こらめっああんっあっんっあっ……ああっんっあああんっ……おま○こいいっ……ああんっきもちいいっああんっああっ」
気持ちよすぎて二人とも腰を止められない。
岩脇は喘ぎ、松瀬はうなり声を上げて岩脇を突き上げている。
「あ゛っああっあっいくっ、い゛ぐっおま〇こイっちゃうっ……ひぁっ、あ゛っ、ひあん゛っあっ、あ゛ああっあぁっらめっ……ああんっおま○こっああんっおちんぽがっああんっいいっ」
「また出るっああっ!」
二人は同時に絶頂をしたけれど、それでも二人のペニスがまた勃起した。
精液をどれだけ出しても止まることはなく、セックスを続けている。
「ふあっあっ、あっらめええっ、激しくおちんぽでおま○こぐりぐりされたらっああんっきもちいいっああんっああんっああっああっんっいいっ……おま○こっ……ああんっらめっおかしくなる……ああんっああいいっきもちよすぎるっああん!」
「気持ちよすぎる……岩脇、最高……めちゃくちゃ良すぎるっ」
「あぁあっああんっ……もっ許してぇっ……おかしくなっちゃうっ……、おま〇こ、馬鹿になっちゃうっあああっ……松瀬くんのおちんぽっああっ……あっ、あああぁっ……おちんぽハメるのっよすぎる……松瀬くんのおちんぽ……ああんっいいっいいっああああっ!」
「たまんないっ中出しとまんねえ……これで死ねたら本望だ……岩脇好きだ!」
「いいっああっ……松瀬くん、ぼくもすきっああんっ……んっあっあああっああっああっんっああっんあっあっあっああっ! あ゛あっ……んっあっ、あ゛っ、あっあっあっあああっ! きもちいい……あっあああっ……あんっあっああっああっんあっあっはあっんっあっ、ああっあぁんっ」
どさくさ紛れに告白をするけれど、それはセックスが良すぎたための告白である。
けれど、それは双方そういう気持ちでセックスができているということで、ある意味健全である。
「いいっああんっおま○こっいいっきもちいいっああんっああ……ああんっ……ああんああいいっいいっ……きもちいいっおちんぽ……ああっ……いいっ気持ちいいっ……ああんっああっあああんっ」
「ああ、ああ、うおおおおおっ」
「あ゛あっいいっ、らめっあ゛あっ、らめっ、おま○こゴリゴリしてるっ……ひっあっ、あんあんあんあんあんっおまんこきもちいい……ああっ……ああ、ゴリゴリしちゃっ……ああんっおちんぽっおおきいいのっきもちいいっああんっ……ああんっ」
声にならない悲鳴のような嬌声と、獣の吠えるような咆哮と入り交じった異様なセックスではあるが、二人は誰も聞いていないからと欲望の赴くままにセックスを続けた。
「あ゛ああっ……あっ、あ゛っ、らめっらめええっ、あ゛あああぁっあ゛っい゛っ、あっんっ、、いくっあ゛あ゛っあっらめっあ゛っんっ、あっ、あぁっ、いくっ、いっちゃうっ……あぁあああん!」
松瀬は何度も中出しをしているけれど腰が止まらないし、岩脇も腰をずっと自ら振って求めている。
その性欲の強さは一回二回の射精では止まらない。
お互いに六回も射精しても止まらずに、二人は求め合った。
もはや持久戦になり、どっちかが根を上げるまでがセックスの終わりである状況だ。
「あ゛あぁっ……おちんぽしゅごいっ、ああっ、あっ、やああっあっあんっあっあ゛ああぁっ……すきっおちんぽすきぃっ……おま○こっハメハメされて、イキまくちゃうっ……あ゛っ……いい……おま〇こきもちぃっあぁあんっあんっ」
「ううおおおおおおっとまんねえっああっ!」
「いいっきもちいいっおちんぽっああんっらめっらめっきもちいいところばっかっ……すっちゃっああんっいい……ああんっおちんぽっいい……ああんっああっ……きもちいいっああんっ……ああんっおま○こっああんっいいっ」
岩脇の尻回りと松瀬のペニス周りには擦れ合って泡になった精液が付着しているが、それすらも床に溜まっていくほどに撒き散らかされ、二人の吐き出した精液が合体して水たまりになっていた。
「ああっ、すきっ好きっ、おちんぽしゅきぃっ……あ゛っあ゛っ、あっ、きもちいとこっ、ゴリゴリされてっんっあっあああんっああ……すきっおちんぽっ……すきっああ……きもちいいっああんっおま○こゴリゴリされて……ああんっいいっ」
「おれも岩脇のおま○こ大好きだ……ずっとずっとここを犯していたい……ああ、気持ちよすぎる」
「松瀬くんのおちんぽっきもちいいっああ……いいっおちんぽっ……おちんぽっああんっきもちいいっああんっあっあ゛っ激しぃっ……ん゛ああんっあ゛っあっあひっ……あ゛っあっあんあんあんああっすごいっ松瀬くんのおちんぽっすごい……ああんっきもちいいっああんっあああんっあああっ!」
二人のセックスは止まることがなく、相性がいいセックスは長く続いた。
結局明け方まで二人は盛り上がって、眠気の方が勝ってしまった時に二人は気絶するように眠った。
けれど朝に風呂場で二人は体を洗いながら盛り、そこからまた長時間のセックスに突入してその日はそれで潰れた。
そして大学では二人が仲良く一緒にいる時間が増え、周りは収まるところに二人が収まったのだなと納得した。
松瀬は岩脇にべた惚れだったし、岩脇はだんだんと怪我が多かった時よりも顔色がよくなり、頬の殴られた後が完治した時には、周りには松瀬やその友人たちに囲まれて幸せそうに笑っている姿をよく見るようになったのだった。
愛なんてどこから始まるか、それは誰にも分からないものである。
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