184-生配信

「今日は僕の乳首オナニーを見せます」
 そう言って配信を開始するけれど、見ている人は五人ほどだ。
 一応十八禁サイトであるから、見ている人はそれ以上。
 菊井は、ハンドルネームを「あがた」と名乗り、毎週オナニー配信をしている。
 あがたというのは本名ではない。ただちょっと前に流行ったアニメがあり、そこに出てくる可愛いキャラにあがたというキャラがいたので、その名前を使っていると思われている。
 配信画面に自分の顔は移さない。マスクをして目元だけは晒しているが、カツラを着けて、ピンクの髪にしているから、もし菊井に気付く人がいたら、相当の知り合いか、よほど菊井に気がある人くらいである。
 わざと目元にホクロをメイクで書いているから、目元にホクロが普段はないはずの菊井に気付ける人がいるわけもなかったし、もし気付いたとしても似ている誰かと言うくらいにしか思わないだろう。
 実際二年ほどこういう放送をしているが、一向に視聴者は増えない。
 というのも仕方がないことだった。
 最初の頃より、どんどん派手になっていく同期配信者は、平然とセックスしているところまで配信をしている。
 気になって大手になった配信者を見ると、平然とペニスをアナルに突き挿入ているところをアップにして流している始末だ。
 そこまでの配信はさすがに自信のない菊井にはできなかった。
 だから未だに配信は、乳首は写すけれど、下半身は写したことはない。
 そのせいでエロくはないという評価が下る。
 世の中の人は抜くためにこの配信を見ている。よって乳首を弄っているだけの配信にそこまでの需要はないわけだ。
 けれど登録者は百人を超えた。
 同時接続は相変わらず五人程度であるが、アーカイブの視聴者数は千再生を超えるものが多い。つまり、時間が合わないけれどアーカイブを見る人はいるというわけだ。
 需要はそれなりにあるという判断で二年続けてきた。
 ある掲示板では、あがたの評価は微エロに分類され、それなりに評価は高い。
 激しいエロでしか抜けない人と、そういう一人エッチで抜ける人と様々な人がいる評価の中で奥ゆかしいというのはそれなりの需要があるわけだ。
 菊井が配信をしようとしたきっかけは、たまたま見たエロ配信だ。
 乳首を弄ってペニスを勃起させ、そして配信画面に出るコメントに煽られて絶頂をする光景に興味を惹かれたからだ。
 そして自分でカメラを買い込んで、何度か動画を撮ってみて配信してみた。
 五人くらいしか見られなかったけれど、それはだんだんとアーカイブの視聴回数が伸びていることに気付いた。
 なのでそのまま続けてきた。
 時間は決まっていない。
 オナニーをしたくなった時にする。なので、いつ始まるか分からない。そんな配信が人気が出るわけもない。
 それでもその視聴者の五人くらいは、毎回同じメンバー登録者が見てくれている。
 いつでも配信が始まると来る五人で、煽り方は上品だった。
 たまに来る通りすがりは、ペニスを見せろだの、顔見せろだの下品な呷りしかしないけれど、それを五人が諫める始末だ。
 菊井は二年間乳首を弄る配信をしてきたけれど、やっと二年経って視聴者が固定化されたところで、ペニスを写すオナニーをしてみようかと思い始めた。
 そこで放送で雑談をしながら、視聴者に聞いた。
「えっとね、これまで乳首オナニーをメインにしてきたのだけど、ペニスを写す配信もしてみようかなと思ってるんだ。どう思う?」
 その問いかけに、メンバー限定放送だったからメンバーは十人ほどいたけれど、そのメンバーからは限定配信なら、その放送を見たいと言われた。
「限定ならってこと?」
 コメントにはどうやら、自分たちだけのあがたであるから、他の人に見せびらかしたくないのだと言う言葉があった。
 もの凄く変わっているのだけれど、有名になって欲しくないファン心理なのだろうか。そうしたものが感じられた。
 まあ、菊井もこの配信で得られるのは見られる快楽と呷られることだけなので、そこから収入に繋げる気はなかった。
 だからこの人たちだけに見てもらえればいいので、その要望は受け入れることにした。
「今から乳首オナニーをしながら、おちんぽ見せます」
 そういう配信は限定で行った。
 もちろん同接は五人~十人程度であるが、次第に限定メンバーは不思議と増えた。
 週二回か三回程度のオナニー配信に、とうとう固定で三十人くらいが視聴するようになったのだ。
 やはり過激な方が好きな人がいるのかと思っていたけれど、メンバーになっている人が見ているらしいので、やっとリアルタイムで見たい配信になったのだろうか。
「あぁっあっんっちくびっ、乳首いじって……、はぁっあんっああっちくび……乳首くりくりして、ん、あ……っあっああんっ!」
声を上げて興奮する菊井にコメントは色んなコメントが入る。
『勃起おちんぽかわいい』
『乳首が気持ちよすぎて、おちんぽ汁もでっぱなし可愛い』
 勃起したペニスからは先走りが出ていて、それを弄りもしないで乳首だけで追い上げていく。
「ちくびっいいっこりこりっいいっ……ちくびっああんっ」
『乳首でイケよ』
『イケよ、ほら』
『乳首だけで射精しろ』
 どんどん煽りの言葉が書き込まれてきて、それに煽られて菊井は絶頂まで導かれた。
「ひああっいくっいくっ、あぁっちくびでいっちゃうっ! あんあんあんはあんっ!」
体を全身震わせて、派手に絶頂をして、ペニスから精液を勢いよく吐き出す。
 そんな画面が映ると、コメントは基本的に好意なコメントになる。
『ああ、抜けた』
『マジ抜ける』
『淫乱な子大好き』
 そういうコメントの中に、一つだけ変わったコメントを見つけた。
『誰か分かった』
 というものだった。
 えっと驚いてしまったけれど、これは脅しだ。
 こうやって相手の身元を特定したかのように言う人はこの二年間の配信でよくいた。
 もちろんそれはあり得るけれど、結局菊井の前にそうした人が着たことはなかった。
 このときももちろん、冗談とか脅しだなと思って気にした程度に留めた。過剰に反応したら相手の思う壺である。
 スルーを決め込んでいると、他のコメントも気にした様子もなく、配信は終了した。
 その限定配信の視聴回数は、千程度だったこの間までの視聴回数とは比べものにならないくらいに伸びて、一万再生までされていった。
 メンバーは気付いたら百人から一気に五千人まで増えていた。
 どうやら限定配信を見たいがためにわざわざメンバーになる人が増えたのだ。
 その効果があったのか、急に配信による収入が入るようになっていた。
 もちろん大手とは違うけれど、それでも古かったカメラを買い換え、ミラーレスの一眼レフに買い換えられるくらいには収入があった。
 そのお陰で配信の画質が上がり、配信中のギフトを付けるように言われて付けると、一気に一万、二万と高額のギフトが付くようになった。
 もちろんそれは嬉しかったけれど、菊井は慎重だった。
 過激すぎるコメントには答えなかったし、それを皆が望んでいるわけでもないことは知っていた。そして当初からずっとコメントをしてくれた人を大事にしながら、支援金も多い視聴者を大事にした。
 それによって登録者は上下したけれど、明らかに減るよりは増える方が圧倒的に高かった。
 ただ乳首を弄って、ペニスを見せながら絶頂をして射精をするだけの配信を週二、三回するだけで配信で毎回五十万くらい入っていた。
 そこから乳首だけではなく、ペニスオナニーもみたいと言われて、新たにそんな配信もした。
 だんだんと視聴者の意見も要求は大きくなっていく。
 ペニスオナニーまで三ヶ月かかっているけれど、三ヶ月後にはアナルオナニーをして欲しいと言われるようになった。
 もちろんそれは菊井も興味あるけれど、なかなかやれないでいたことだ。
「えっと、したことないから……やり方というかそういうの調べてからで」
 したことがないという菊井の言葉にコメントは一斉に盛り上がった。
 道理でという反応も多かった。
 童貞で後ろが処女であるなら、好意も上がるらしい。
『僕らが教えるから、公開してほしい』
『もちろん、調べてみて無理そうなら勧めないけれど、もし興味があるならやってほしい』
『みたい、アナルで感じている君がみたい』
 様々な意見を統合すると、アナルオナニーを見たいという人が多かった。
 ただアナルを洗うところまでの公開はアレなので、洗い方を詳しくやっている動画などを教えて貰った。
 それでアナルの中を綺麗にする道具やら、浣腸などがギフトとして届けられた。
 ネットショッピングサイトの欲しいものの中にそれらを入れていると、相手に住所を知られることなくギフトとして通販ができるので、その中に色んな道具も入れるように言われて、勧められるがままに道具を入れるとすぐにギフトが届いた。
 アナルを拡張するための道具、小さい瘤付きの道具、大きくなったら拡張するために入れるプラグだったり、乳首オナニーが好きなら乳首を固定するニップルクランプだったり、とにかく菊井が知らない道具をたくさんプレゼントされた。
 バイブに至っては小中大と大きさの違うものだったり、ディルドも同じメーカーの大きさ違いだったりと至れり尽くせりである。
 なので大学が休みの時にアナルを朝から綺麗にするために浣腸したり、ストローみたいな管付きのボトルで中に温いお湯を入れて何度も掃除したりと、なかなかに苦労をした。
 アナルの周りの毛も除毛したりして、綺麗な尻を保つために化粧液などを使って毎日綺麗に保つようにした。
 お陰で尻はぷりっぷりな張りのある尻になった。
「えっと、取りあえず……アナルアップとか耐えられるのか配信してみます」
 そう言い、尻とアナルを見せるだけの配信をすると、視聴者は同接で一万を超えた。限定配信でここまで行くのは初めてだった。
 菊井はもう人数は気にしないことにして、配信内容だけを気をつけた。
アダルト配信サイトの規約はセックス配信もできる。
 もちろん、日本ではボカシがないと駄目であるが、海外のサーバーを使っているからか、規約は緩かった。セックス配信も良かったし、囲って一対一のアダルト出会い系もありのサイトである。
 菊井が尻を写すと、コメントはその綺麗な尻を褒めてくれる内容ばかりだった。
『めちゃ綺麗』
『すげー、一般的な尻じゃないな』
『丸い、可愛いな、?擦りしたい』
『ほら、手で尻を広げて、アナルを見せて』
 色んなコメントが入り交じっていたけれど、時間をかけて尻を写してから、言われた通りに尻を見せたままでアナルを見せた。
『わ、ピンクで可愛いアナル……』
『これは想像以上にいいぞ!』
『ここにペニスをぶち込める日がくるかもしれないのか』
『めちゃ興奮する!』
そう言われているうちに、その配信に明らかに日本語ではない、海外からのコメントも入るようになっていた。
 英語だとBeautifulなど、とにかく褒める人が多かったし、中東のアラビア語が流れたりと、とにかく意外な反応が見られた。
 ゆっくりではあるが、反応がよかったので、続いての配信でアナルを指で解す配信、それから小さな棒状の瘤があるスティックディルドを入れる配信と続け様に、四時間ほどした。
 一応コメント通りにゆっくりとアナルを拡張していくと、そのスティックは入れられるようになって、それらを出し入れしながらオナニーをしてみせた。
「んぁああっ! あぅっぁはっ! やだ、なに、なにこれ……っ!」
慣れてきたら菊井は道具を出し入れするだけで気持ちよくなれた。
 その乱れる菊井にコメントは盛り上がり、コメントもシコると言うコメントばかりになった。
「あぅああん……っ! ああ、おま○こが、ヘん……なる……っ!」
アナルのことをおま○こだと教え込まれたから、自然とおま○こ発言をすると、コメントは更に盛り上がり、その日のコメント量だけで配信サイト一番の注目配信になった。
入るならもっと大きいのを挿れてと言われ、ディルドの小さいサイズをまず挿れて見た。それは少し苦労をしたがローションのお陰で挿入った。
「あぁああっ!! あんっああん……おちんぽ……やらぁ……っ」
自然と手が動いてアナルにディルドを挿れて腰を振った。
 アップの尻とアナルにディルドが入っているだけの配信であるが、それらは盛り上がり、とうとうギフトだけで百万を超え、気付いた時には五百万くらいギフトをされていた。
「あぅ……っらめきもちいい……あ、あぁっ……! あふっ、あ、あはっ、ああっああああああ!」
派手に絶頂をして精液を吐き出してしまうと、アナルからディルドがプルリと抜け、ぽかりと穴が開いたアナルが蠢いているのが画面に映っている。
 その画面だけで十万単位の金額がバンバンと振り込まれてきて、配信がそのまま終了した。
 しばらく放心していた菊井であるが、やっと我に返って、配信の画面を確認した。
 配信は終わっていたけれど、アーカイブがすぐに公開されていたが、そのアーカイブの視聴回数がアーカイブがまだ配信されたばかりなのに、もう五万以上再生されていた。
「え……そんなに?」
 まさかそんなに見ている人がいるとは思わずに、さっきの配信集計画面を確認すると、配信中の同接は二万人で、ギフトは一千万を超えていた。
「……ゼロ多くない?」
 みたこともない金額に驚愕して出た言葉はそれだった。
 けれどすぐに手元に来るわけではない金額なので、実感はそうわかなかった。
 だからそのまま相談配信で次はどういう配信にするかを後日配信すると。
『もっとあがたがディルととかバイブでイクところがみたい』
『どんどん拡張していこう!』
『最終的には、誰かのペニスで絶頂してるあがたがみたい』
つまり拡張を続け、それに併せて貰ったバイブやディルドでどんどんエロくなっていくところを見せつつ、最終的には誰かのペニスによがるところが見たいというのが、視聴者の総意だった。
 それらを書き出し、しっかりと方針を確認していく。
 それに反対する視聴者はいなかったが、そのペニスを入れる男を誰にするのかという問題だけは残っていた。



 そんな菊井のところにメールがきた。
 菊井の処女が欲しいという人からの連絡で、その提案は面白かった。
 まず視聴者を煽る気はないので、こちらの顔はマスクなどで隠す。晒すのは体だけ。視聴者の要望通りのセックスをする。もちろん無理強いはしない。
 配信場所を知られないために、当日に突撃されない場所を用意すると言われ、その候補を幾つか知らせてきた。
 そして最後に提案者の名前があり、それを調べてみると、某国の王子がヒットした。
「何のジョークなんだか」
 そう思っていたけれど、ちゃんと仕事として受ける条件が知らされて、さらにはそちらも弁護士を入れていいと言われた。
 菊池は迷ったけれど、最終的には配信で自分を犯してくれる相手を選ばないといけないのだから、会ってみることにした。
 途中の駅で口マスクをして服も普段着ないものに着替え、派手にしてから弁護士と会って条件を調べて貰ったら、ちゃんとした契約書になると言われた。そして同行して貰ったら、相手方の弁護士がどうやら知り合いの国際弁護士だったらしく、正真正銘の契約書であることまで確認ができ、更に相手が本当に某国の王子であることまで事実であった。
「王子様が何でまた……」
 そう言うと、どうやらその王子は病気で精子に異常があり結婚をしても子供ができないことで、女性との結婚は諦めたのだという。
 さらには同性愛が認められる国だったために、王子が男をパートナーにするのが公になるくらいに寛容らしい。
 けれど王子はずっと好みの相手とセックスをしたくて、その好みが偶然見せられた配信での菊井だったらしい。
 なのでお金は幾らでも出すから、菊井を抱きたいと願ったのが今回の仕事の要請だったらしい。
 そうしてやってきた青年は、肌黒の美しい人だ。綺麗なイケメンと言えるくらいに顔が彫刻の石像のように整っている人で、こんな人がわざわざ連絡をくれたのかと菊井は驚いた。
「やあ、あがた。私は……アーサーと呼んでくれればいい」
「こんにちは、あがたです。アーサー、初めまして」
「私の我が儘を聞いてくれてありがとう」
 とってもさわやかな人で驚いたけれど、話し合いにはきっちりとした契約を作り、相手が用意した場所も見せてもらえた。
 高層ビルの室内であるが、まだ完成をしていない内部で、内装で特定ができない場所だったり、ビルの一室で外から見えない場所だったりと、四つほど見定めてから、菊井はここまでの熱意に、自分の処女をアーサーに差し出すことに決めた。
 その処女への資金は、アーサーが一億で買うというのだ。
「え、いち、おくですか?」
「そうだ。あの視聴者たちの総意を集めればこれでも足りないとは思うけれど、それでもこれは最低ラインだと思っている」
 そう言うので付いてきた弁護士の方が度肝を抜かれているようだった。
 まさか自分の処女が一億で売れる仕事になるとは思わなかったが、それでもこれで多分配信も卒業になるなと菊井は思った。
 ここまでやったら後は墜ちるだけだ。
 最近の配信でついこの間までトップクラスだった配信者は、視聴者を毎回招いてセックスをするほどになって、視聴者のレベルも落ちている。別の元トップ配信者は犯罪行為を繰り返すようになっていたし、別の配信者は視聴者に特定されてレイプされているのを配信され、それを企画だと思った視聴者が誰も通報しないという事件になっていた。 ここまで菊井が上り詰めれば、きっともう日常生活すら脅かす何かに怯えながら暮らさないといけなくなる。
 実際、菊井の大学でも菊井の配信を見ている人が何人か近くにいる。
 菊井は似ているよなと言われたこともあるので、この辺りが潮時だと思えた。
 来年には就職もするし、ここらでネットから消えるのも覚悟すべきことだった。
 それらを全部説明した上で、菊井はアーサーの申し出を受けた。
 そしてそれを配信で伝えた。
「実は、相手をしてくださる方が見つかったので、僕の処女喪失の配信を二週間後に配信します。配信開始は九時から、終了はその時の盛り上がりで決めます。それから、その配信が終わったら、配信から引退します」
 そう菊井が告げると、コメントは意外に冷静だった。
『そうなるよな。これ以上はないだろうし』
『うん、切りがいいね。いいよあがたが決めたことなら』
『そうだね、これ以上だと、きっと墜ちていくだけだろうから、ここらが引き時だね』『最後の配信、楽しみにしている……めちゃ楽しみにしてるからね!』
 納得のコメントと極めた後に続かない現実を知る人たちばかりだった。
 そんなコメントをしてくれるのは、最初からずっといてくれるコメントをずっとしてくれていた人たちで、それらに同調したコメントは優しい言葉で埋められていた。
「あ、ありがとう。その日で終わりだけど、皆が優しかったことは一生忘れない」
 そう言って配信を終わった。
 それから二週間は真面目にアナルを拡張するストッパーを入れたりして生活をし、ちょうど夏休みに突入していたこともあり、アーサーとの打ち合わせを繰り返した。
 アーサーはさわやかな人で、一緒にいて楽しかった。
 そうして菊井は引っ越しもアーサーに勧められた。
 オートロックがついているマンションに引っ越し、そこに卒業まで住むようにアーサーに念を押された。
「配信を引退した子を狙う輩がいるらしい。君は絶頂で引退するのだから、きっと狙っている人間は多い。だからお願いだから、引っ越して欲しい」
 そう言われたのだ。
 だから、それには従った。
 きっちりとしたオートロックのマンションで、警備員が常駐しているようなマンションで、大学の残りの一年間はそこで過ごすことになった。
 恐らく見つからない一年間は探される可能性が高く、それでも見つからないなら別の人に興味が移るまでの期間が一年くらいらしい。
 どうやらアーサーの持ち家らしく、有り難く借りることにした。
 すると案の定、その二週間後の配信を駄目にしようと狙っていた輩が特定を急いで配信を隅々まで見て、似ていると言われていた菊井の元アパートにまで尋ねてきたらしい。
もちろんすでに引っ越しているから、そこには別の人を既に住まわせていたので事なきを得たが、どうやら大学で菊井とあがたが似ているという情報だけで、暴走している人が密かに動いているようだった。
 けれど先に引っ越してダミーを住まわせていたお陰で菊井=あがたという構図は一向に完成せず、無事なままで引退ができそうだった。


 そうして、最後の配信は限定配信なのに視聴者は五万人を超えていた。
 けれど菊井は淡々と配信を開始した。
 最初の挨拶は感謝とお礼から始めた。
「これで最後です。多分終わる時は何も言えないと思うから、最初に言うけれど、今までありがとうございました……そして皆、元気でね」
 その言葉を言うと、コメントに目を通した。
 そこには。
『戻ってくるなよ』
『幸せにね』
『ありがとう、生きがいだったよ』
 と有り難いことに暴言などは他の視聴者がブロックしていくからか、書いた人はどんどん配信から追い出されている。配信で暴言を打ち過ぎると通報が入り、アカウントがすぐに使えなくなるらしい。そこまでして配信をちゃんとしてくれる人たちに何度もお礼をした。
 そう言ってからすぐに部屋が映し出される。
 アーサーは配信に於いて、一人のスタッフだけ入れた。
 それはコメントを読んだり、配信設備とカメラマン役が必要だったからだ。
 そしてこの場所はコンクリートで取り囲まれた場所で、作りかけのマンションの一室である。もちろんできあがった時はアーサーが買う予定の部屋らしい。
 なので特定は不可能である。
 ゆっくりとアーサーがやってくる。
 もちろん、顔にはプロレスラーが被るようなマスクを付けている。真っ黒のそれで顔は全く分からない。アーサーも顔がばれるわけにはいかないのでお互いにそれは好都合だった。
 コメントはそれで盛り上がり、顔が見えないから相手は自分だと思い込めると好評であった。
 早速乳首などを弄り始め、慣れた手つきのアーサーの手によって、菊井は喘ぎ始める。
「ああーーっ! あぁっ、ちくびすっちゃ、らめぇっ、あっ、あっ、あぁあんっ……」
淫らに悶える菊井の様子に興奮するコメントと、ギフトがどんどん振り込まれていく。
アーサーは執拗に乳首を攻めてくれ、それに菊井の体が揺らめく。
「あっ、あぁっ、いくっ、あんっ、ちくびでいっちゃうっ……! あぁっ、あっあっあああんっ!!」
早速乳首で達するも、乳首を弄るアーサーの手は止まらない。
「あぁんっ……ちくび、もっやだぁっ……あっ、あっひあぁっ、またっ……い、いっちゃうっ、んっ、あぁんっ」
男に犯される男を見て、配信は盛り上がり、菊井の新鮮な仕草にコメントも驚くほど打ち込まれた。
「あんっ! だめっ、だめっ……ちくびっコリコリ、はぁんっ、んっ、あんっあんっあっ、ちくびっ、きもちい……、あっ、ぁん……ぁっ、あっあっ、んっ、いい、あんっ」
配信のコメントをスタッフが読み、それに菊井が答えていく。
「あん……も、やぁ……っあっ、あぁんっ……はぁんっ……ん、ふぁあ……乳首、弄ってっ……吸って……もっと、いいからっ、強く吸って、舌でペロペロ舐めてっ……あっあぁああんっ!」
もっとして欲しいかと聞かれて菊井は嬉しそうに答えて乳首で絶頂をした。
「あ゛ああっあんっやっいくっ乳首でいくっ……あっあひっあぁあっ!」
そしてそれを見ると、ギフトがどんどん入る。
 そのままアーサーは指を準備ができている菊井のアナルに挿れ、それをカメラでしっかりと写して二画面にした。
「ひあっあ゛っんぁっ……指、だめえぇっ……あ゛っんぁっあっああっ」
アーサーの指がいいところを擦り上げながらジュボジュボッとアナルを抉るようにして指を出し入れしてきて、初めての人の指に菊井は翻弄された。
「あぁああ~~っ……あひっ、おま○こらめっあへぇっ……ん゛っんあっあっあっあっあ~……ん゛ぁああっ…あっあっあんっあんっあんっあんっ」
激しく中を掻き回されて、菊井は嬌声を上げていく。
 カメラの写しがいいのか、コメントは大いに盛り上がって、ギフトもあり得ないほど入っている。
「あ゛ああ~~っ……ん゛ひっ、いっい゛っんぁあっ、あっあ゛っあっおま○こっ、だめっだめっ、あぁあんっああんっ……ひっんっんあああぁっ」
とにかく言葉にして何か感想を言わないといけないのに、嬌声しか口から漏れないのだが、それでも配信は盛り上がっているようで、アーサーにはこのままでいいと耳打ちされた。
「ひああっ……ん゛っひっいっ……あへぇ、んっああぁっん゛ぁあああ゛あぁっ、らめっ、い゛っいくっ、い゛っ……!」
 菊井が絶頂をする度にギフトがドンドン入り、盛り上がっている。ここまでだけで一時間もかけたけれど文句を言う人はいなかった。
 それもそのはずで、挿入が終わればこの配信も終わる。
 二度とあがたとしての配信はなくなる。そしてアーカイブも一ヶ月で消えるのだ。
 あがたは何もかもをネットに残さずに去る。もちろん、映像は出回るだろうが、一月もすれば新しいエッチな子が配信を始め、それに皆乗り換える。
 あがたを求める人もいつかそうなり、懐かしいくらいで終わるだろう。
その時間も恐らく残り二時間ほどだ。
 マスクをした顔の目元とアナルがしっかりと映っている画面。それを見て盛り上がる配信は、問題なく続いている。
 そしてコメント通りにあがたが画面に向かってアナルを広げて見せて視聴者を煽る。
「あっ、おま○こに、はぁっ、おちんぽハメて、いっぱいおま○こをいやらしく突いてっ気持ち良くなって……っあぁふ……おま○こに……、おっきいおちんぽを……挿れて下さいっ……! あ゛っ、あ゛あっあ゛っひっ、いいっ、い゛あぁっ」
そう言わせてからの横からゆっくりとアーサーがペニスを突っ込んでいく。
「あ゛ああっ……だめっ、おま○こにおち○ぽ入っちゃうっ、んひっ、い゛っ……あっ、あああっあ゛っ、おち○ぽ、きた……あっあ゛っ、ん゛っあああっ」
先を挿れ、更に奥までペニスが挿入るところを映し、菊井のアナルに完全にアーサーのペニスが挿入り切るところまでもアップにし、菊井の目元も映す。顔はマスクをしているからそれでも十分表情は伝わる。
 それによって生放送であるがAVを見ているかのような画面構成になっていた。
「あ゛ひっ……んっあっあ゛っ、あはぁっ……んんあぁあっ…ひっ、あへっ…あっ、おま○こにおち○ぽ入って……る、あんああっ」
しっかりとアナルにペニスが挿入っているところを視聴者に見せ、足を大きく開いて画面の前で後ろから菊井はアーサーに突き上げられる。
「やああぁっ! あっあぁんっ……おちんぽっらめっ、あっあっあっ……あひっ……あっあんっあっ……はっ、はぁ……あぁあっ……」
初めてなのにおよそ五万人に見られながら処女を奪われた。
 それだけでも恥ずかしいけれど、それ以上に菊井は感じていた。
「あぁっ……だめ、あぁんっ……らめぇっ……はぁっ、おちんぽっおま○こにはいってるっああんっいいっひああぁっ……あぅっ、ひぁん、あっあっあんっあぁんっ! やああっ、おま○こにおちんぽっ、はいって……あっあっ、あーあーっ……」
挿入っているアーサーのペニスが熱く脈打っているから、どうしようもなく中で感じて、早く動かして欲しいほどだった。
 アーサーは暫く馴染ませるために動かないと言ったし、見せるために写真も撮ると言っていたので、菊井は待った。そしてやっとアーサーが動き始める。
「ああぅっ、だめっおちんぽだめっだめっ……もう、おま○こっついたらぁっあっ、はああぁんっ……」
感じたこともない圧迫感のはずなのに、それもでこういう配信をするだけのことはあり、菊井は淫乱だったから、自ら腰を振ってアーサーに強請った。
アーサーはずっと憧れていた菊井とセックスができていることに感動しているようで、ねっとりとしつこく菊井を犯し始めた。
「あ゛ああんっああっ!! ああああっあっぁっあっ、いいっ、おちんぽっきもちいいよぉっ……、あああぁんっはぁんっ……あっあっあひぃっ! あっあぁっ、あひぃっ……、らめっ、あーっ……」
ガンガンと突き上げられ嬌声を上げる菊井を、コメント通りに激しく突き上げてアーサーが犯してくる。それが堪らずに菊井は乱れて喘いだ。
「もっ、やらぁっ……ああっ……、あぁっ、こんなっ、はぁっ、はぁっ……こんなとこでこんなっことっ……あっぁんっあーっ……はっあぁっ、あっああぁっあひぃっ! あんっ……あっあっあああぁぅっあっやっ! あぁーっ……らめぇっ、んっはぁっぁああっ」
コメントは大盛り上がりだったし、処女な子ではあったが、元々淫乱であることも知っているから、早くも欲しがっている菊井の姿にどんどんとギフトが入ってくる。
 その金額は菊井から見えないようにしてもらっている。
 金額で雰囲気を壊したくない、そういう思いだった。
 ただセックスをしてよがるだけでお金が貰えるけれど、それは綺麗な配信をしてこそのものである。
「あぁっあっ、あんぅっ……、や、あぁっあーっ……ひっ、ああっ、あぁあんっんっんっ……はぁっぁ、あぅんっすご、いっ……ひゃぁっあっはぁっ、あぅんっ!」
あがたとして配信を始めてもう二年だ。
 それがこれで終わる。感慨深い思いもなく、セックスが終わったら終わりなのだ。
 そんな大事な時間である。
「あぁあああっ……あああっ、あぁああぁんっ……ああっ! あっいいぃっひぅっ、あっ、あぁんっ! あぅっあっあんっいいっ、んっ、ひああぁっいいよぉっ」
突き上げながら乳首を弄られて菊井は喘ぎ、そして乱れる。
 その様子を喜ぶ視聴者によってこの配信は成り立っている。
「らめっちくびっあああんっおま○こしながら……ちくびっらめっああんっきもちいいっああんっあたまおかしくなる……ああんっおまんこっ……いいっちくびもいいっああんっいいっ……ああんっいいっあああんっいいっいいっ」
乳首を弄られアーサーに突き上げられて、菊井はまた絶頂へと導かれる。
「あっあんっあんっ、もうっ、らめっおま○こっ、ぐりぐりされてぇっ、きもちいいよぉっあぁーっ、いくっ、おちんぽでいくっ! ひぃあああんっ、いっちゃうよぉっ! あっはぁあんっ! ああ、おま○こされてっいっちゃうっああんあんあんっ!」
絶頂すると同時に射精をしてベッドを汚すけれど、それすらも盛り上がる。
 さらにはアーサーが上手い上に、大きなペニスだったので誰も嫉妬もしなかった。
「はぁ……あん、んあっ、ああんっあぁっ、あんっ……らめぇっ、そこやぁっ……あっ、ああぁっあぁっそんっ……はぁっ、ああんっ! んっあぅっ……やっあぁっあぁっ、らめっ、んんっ、ひぁんっ……! あっ……あぁっあっ……お、おちんぽっでっ、おま○こぐりぐりって、あっやっ、あはぁんっ……」
そこから菊井は連続で絶頂をする。
「あああぁ、あぁ、ん……あひぃっ、ああーっ、おま○こ、もう、やぁっ…ああっあぁんっ……、あぁ、ああっあぁんっ! あっあっああぁっ、やだぁっまた、いっちゃうっ……、いっちゃうっはぁっ、あうぅ……んっんっあぁっあああーっ、いくっ、いくっ……あっあんっあんっあんっああああぁんっ!!」
絶頂をしているのに、また絶頂する感覚が襲ってきて、またそのまま絶頂をする。
「あぁああんっ、もっやらぁっ、いっちゃう、おちんぽっやらっいくっやらっあああんっあああんっあああんっあぁんっ、あんっ、あんんあんっんっ、あぁっ……おちんぽ、気持ちいいっあひんっ」
嬌声を上げて何度も何度も絶頂すると、とうとう潮を吹いた。
 ビシャリと潮を吹いたあとは、ペニスから精液が突き上げられる度に吹き出る。それにコメントが盛り上がり、淫乱なあがたが男によってどんどんいやらしく育っていくのを見守っている。
「あぁあっ……あぁっ、おっきいっおちんぽがぁっ……おま○こ、ごりごり擦ってっはあぁっ……んっあぅっ、きもちっ、いいっあぁっ! あっあっあひぃっ……おちんぽっすごっあんっはぁっあぁんっあぁあっ……あっぁん……あぁあっあんっいぃっ……もっおちんぽっらめぇえはぁああっ……」
 乱れる菊井を何度も犯し、さらには中出しをしながらでも腰を振り続けるアーサーも怪演も視聴者が盛り上がる要因だった。
「あっ、もっ、おま○こらめぇっあん、おちんぽっああんっあんっぁあああぁんっあぁんっ……いぃっ、あっ、らめっ、おちんぽっあっ、あっあっあっ……ふぁっ、ひぅっ、あんっああぁっあひぃっ、あんっ、あんっ!」
一時間以上もセックスを続け、菊井の配信も終わりに近付いている。
 アーサーに中出しをするように指示が出て、アーサーはたっぷりと三度も中出しをして中に精液を貯める。
「ひあっ、あ゛っおちんぽ、らめっあぁっ……あ゛っあっあっああっあぁああっ……あっあっあんっ、あんっあんっあんっあ゛ああっ、あっあぁあんっああっ……らめっあっん゛あんあっ、んっああぁっ! ああっらめっ、いっちゃう……から、おま○こらめっああんっあっ!」
精液をため込んだままで抉られるから、アナルとペニスの擦れるところから精液が漏れ、それが泡になっている。
 激しいセックスにコメントは盛り上がり、とうとう最後の見せ場になった。
「んっあっ……ああっんっあああんっ……おま○こいいっ……ああんっきもちいいっああんっああっあ゛っああっあっいくっ、い゛ぐっおま〇こイっちゃうっ……いくっあ゛あ゛っあっらめっあ゛っんっ、あっ、あぁっ、いくっ、いっちゃうっ……あ゛っ、ひあん゛っあっ、あ゛ああっあぁっ……」
がくりと倒れ堕ちるほどに快楽に溺れて菊井が達すると、アーサーは素早くアナルからペニスを抜き、菊井のアナルをアップにする。
 そこからどろどろと大量の精液が流れ出てきて、いやらしさを増している。
「……あ、せいえき……たっぷりだされちゃった…………ああっ……あ゛ああっ……あっ、あ゛っ、あ゛あああぁっあ゛っい゛っ、あっんっ」
そんな状態を見せたあと、そのアナルを菊井が指で塗りつけるようにオナニーをして、アーサーのペニスをフェラチオをした。
 その様子を見せながら、配信は菊井のマスクをした顔へ顔射で終わりだった。
 たっぷりと菊井の顔射の顔を映し、その顔射された精液を菊井が無意識に舌で舐めたところで配信が終了となった。
 終了画面で余韻のために五分間、配信の終了の画面のままコメントを受け付けていると、その配信で感動したらしい初期の視聴者からのコメントがあった。
『いつか終わると思っていたけれど、綺麗に終わってくれてホッとした。これからずっとあとの人生、幸せであってほしいです』
『もう戻ってこないのは分かっている、あがたはそういう子だ。だから今日はここまで見せてくれてありがとう。その人と幸せにね』
『暖かいセックスが見られてよかった。もうまたはないけれど、元気で、さようなら』
そういうコメントがギフトと共に送られ続けている。
 最初に見てくれていた人だから、後からきたお金を持っている人のギフトとは違うけれど、それでも気持ちがちゃんと入っている。
 それを正気に戻った菊井は見て、涙した。
「よかった、ちゃんと終わった……ありがとう皆、さようなら」
 それがあがたの配信が全て終わったことを意味していた。
 アーサーには礼を言い、配信を終えて部屋に戻ると、何だか気分は盛り上がったままだった。
 これで全部の配信から手を引く。
 一ヶ月の視聴期間を残したのは、今日見られない人のためだ。
 そして配信画面を確認すると、ギフトの額は一億を超えていた。
「だから、桁多いって、桁バグってない?」
 菊井は最後まで人気のないオナニー配信者の気分は抜けなかった。
 そのままの気分で終われたのはよかったことなのだと思えた。


 配信を引退して、一ヶ月の視聴期間が終わり、全ての入金がされたところであがたのページは綺麗に消えた。
『あがた、本当に引退したんだね。綺麗にいなくなって有り難いけど、寂しいな』
『いつまでもオナニー配信者だったなら、引退もなくずっと見られたんだろうけど、それはそれでいつかはやめただろうしね』
『そうだ、あがたほどではないけれど、他にも新人ちゃんいるよ』
 SNSもやがてあがたとの思い出を語るだけとなり、話題も自然と消える。
 録画されたセックスももちろん限定配信だったけれど、一時的に他の配信サイトに出回った。けれど、無修正のアップはすぐに消されるのか、動画サイトも廃れているのか、三ヶ月もするとその動画も消えた。
 菊井はその後は頑張って大学を出た。
 誰にもバレなかったのは運が良かったのもある。
 そう思う事件も起きている昨今、綺麗に終わったのはよかったことだった。
 そして菊井は今日からアーサーの元へと行く。
 アーサーとはあれからも連絡を取り合い、いい仲になった。
 そしてアーサーの国に招かれて、アーサーと結婚をする。もちろんそれは日本の人たちには言わない。誰も気付かない結婚だ。
 何度もアーサーの国に通い、アーサーと仲睦まじい姿を見せているけれど、菊井の顔はベールに包まれている。
 それはアーサーが誰にも見せたくはないと言い、隠しているせいで、国民はそこまで王子が惚れたなら仕方ないと菊井の顔を拝むのは辞めているらしい。
 菊井は誰にも気付かれないように暮らすために、アーサーのハーレムに入り、一生をそこで過ごす。
 オナニー配信から王族のハーレム入りは恐らくスキャンダルであろうが、そんな配信サイトはやがて過激なことをやらかしてしまい、摘発されて消えた。
 それでもアーサーに不利になることはしたくなくて、ハーレムに入ったのだ。そうすれば、誰も菊井を探れないからだ。
子孫を残せない王子の男との結婚もそこまで盛り上がらない。だからアーサーの国の少しのニュースで知られただけで、菊井はアーサーとの日々を静かに過ごしていくことになったのだった。

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