177-原因と結果

 北河晴久は、最近調子がよかった。
 会社では昇進をして課長になった。
 そして少し前から福江武という恋人ができて、会社が終わったら一緒に飲みに行って楽しんでいる。
 セックスももちろん、デートもそれなりに楽しいことだったから、世界が輝いて見えた。
 しかしそれは一瞬で消えさる幸運だった日々であった。
 一年ほど時間が過ぎた後、会社で不祥事が起き、北河の部下が不始末を起こした。それも二人も出たために課長であった北河もまた処分対象になり、責任を取らされて降格した。
 しかしそれは新しい課長候補だった男によって仕組まれた事件だったのだが、それを北河が知ったのは左遷された地方でだった。
「え、俺、騙されてた?」
 部下二人によって填められていたのだと知り、北河は調べた。
 結局、課長になった男によって仕組まれたことで、部下の二人はニヤニヤと笑っていた。二人は巨額の金を貰い、さらには今はその課長を脅して金を貰って生活をしている。
 つまり損をしたのは北河だけだった。
 そしてその対応の日々に追われ、やっと事情が分かって恋人に会ったところ、恋人から当面の間、実家が忙しいので会えないと言われた。
「え、……実家って、何してたっけ?」
『えーと、自営業。親が病気になってさ、俺が配達とかやらなきゃいけなくなって、会社も辞めなきゃいけなくて、それで生活環境も変わるし、お前だって地方に飛ばされたんだろ? 会ってる暇ないと思うんだけど?』
 要はもう恋人関係を続けていくことは不可能だと言われてしまったのだ。
「別れるなんてやだよっこういう時はお互い支え合って……」
 そう北河が言うけれど、それを言い終える前に電話が切れた。
 その電話の向こうで別の男の声がしていた。
『……どこに電話してんだよっ』
 そう言う声だった。
 そこで北河はやっと自分が振られた事実を知った。
 ごたごたとしている間に恋人には浮気をされていたわけだ。
 北河は失意のうちに左遷先に引っ越すことになり、恋人の荷物は恋人の自宅に送りつけた。もちろんそれには意地悪く、自分の存在を臭わせるようなこともした。
けれど恋人からは何の連絡もないまま時間だけが過ぎていった。


 自宅で左遷先に引っ越すための準備をしていると、元恋人の番号から電話がかかってきた。
 もしかして何かあったのかと思い電話に出ると、それは知らない声であった。
『あんた、福江武と付き合っていたやつ?』
 そう言われて北河は混乱しながらも言った。
「確かについ先日までは付き合っていましたが、もう別れたはずです」
 そう北河が答えると、相手は怒鳴ろうとしていたが別れたという言葉に声を一瞬詰まらせた。
『は? 別れた? 何で?』
「何でと言われましても、あちらが実家の手伝いをするから時間が作れないと言うのが理由だったはずです。俺の方も転勤になったので遠距離になるから無理だっていうのが福江が別れたい理由だったと」
 そう北河が言うと、相手は唸るように電話の向こうで切れている。
『あいつ、実家にすら帰ってないよっ! それ嘘だし、あいつ借金取りから逃げてんだよっ! 俺に保証人を押しつけてっ』
 そう叫ばれても北河には知ったことではない。
 けれど、そういえば働いている時間にも遊んでいる気がしていたけれど、福江はどうやら借金をしまくっていたらしい。
『あんたにも使っていたんだろうから、あんたにも支払い義務がっ!』
「ないと思います。だってデート代とか全額俺の自腹なんで。あいつから何か貰ったことなんてないですし、何なら十万ほど貸したままなので」
 北河はそう答えて相手を黙らせた。
 福江は北河には綺麗なところだけ見せていたし、きっと北河のことを金蔓だと思っていたから、自分から金を出す場面を一度も作ってこなかった。それを北河は思いだし、どうやらあいつは二股三股はしていそうだと思えてきた。
『はあ!? 本当にあいつどこにいるか知らないのかよ!』
「知るわけないですし。それとその借金ですけど、あなたはその書類にサインしました?」
『してないけど、俺の名前と判子が押してあるやつ見せられた!』
「多分、書類偽造をしたと思われるので、警察に行ってください。えっとできれば弁護士か事情の分かる誰か話がちゃんとできる人を連れて、被害届を出してください。それで多分金融会社の方は違法な業者だと思うので、警察に相談していることなどを伝えてみてください。恐らく次は来ないと思うので」
 北河は別にこの人を救いたいわけではなかったけれど、とにかく恋人だった福江の詐欺師っぷりにどん引きして、取りあえず目の前の相手に助言だけはしてやろうと思ってしまったのだ。
 自分だって色々と大変だけれど、それ以上に大変になりそうだった彼の方が可哀想だと思えたのだ。
『弁護士と一緒に警察にいけばいい?』
「まず、弁護士に相談して、警察に被害届けを出すところまでやってください。恐らくそれで借金の返済義務は消えるはずです」
『わ、分かった……やってみる』
 そう言うと相手からの電話は切れた。
 何だったんだと思いながらも福江と別れたことはよかったことだったのだとふと思えて、北河は笑ってしまった。
 失意に陥っていたけれど、何だか浮上はできた。
それから会社の有休を使い、引っ越し準備を続けた。
 二日経ってまた福江の電話から連絡が入った。
「はい?」
『あ、あんた凄い! あんたの言う通りにしたら、あいつあちこちで詐欺してる詐欺師だって分かって! で、借金も文書偽造だっけ、それで俺の筆跡じゃないことが分かって、俺は被害者だって認めて貰った。それで、その金融会社を警察も追っている違法な金融会社で、借金自体が認められない違法な契約に該当するって。それでその借金自体がチャラになって、もし書類の有効性だっけ、あれが認められても違法な契約として契約自体がなかったことになるとかで、俺、無罪放免になったよ!』
 相手は一気に喋り、一気にことが解決したらしいことが分かった。
「ああ、それは良かったですね」
 意外に警察はちゃんと話を聞いてくれたらしい。
 普通は恋愛のいざこざだと言われて、借金の書類偽造まで調べてはくれないものである。それにすぐに判明することもない。
 どうやら相当有能な弁護士を付けたらしく、その人の優秀さで警察が動かざるを得なかったようである。
 それにはこのしゃべり方の人では無理だと思っていただけに、そこだけは有能であったようだ。
『でさ、あんたにお礼がしたいんだけど……会えない?』
 急に甘えた声でそう言われてしまい、北河は言った。
「すみません、今、引っ越しの準備で忙しく、とても人に会っている余裕がないので」
 そう言うとそれでも相手は続けた。
『じゃあ、引っ越しが終わってから! ちゃんとお礼をしなきゃって弁護士の先生にも言われているんだ』
「いえ、その先も転勤先で忙しいと思うので、お礼は良いです。あなたが無事でよかったです」
『え……でも……』
「次はお互い変な男に捕まらないようにいきましょう」
『う、うん。気をつける……』
「それじゃ、さようなら」
 そう言うと返事を聞く前に北河は電話を切った。
 すぐに携帯の電源をオフにして、ふと思い立つ。
「携帯、すぐに番号も変えなきゃな」
 よく分からない人に電話番号を知られたのもあるし、福江が電話を置いて逃げたのもあり、二度と福江がこちらに接触できない方法を取るしかなかった。
 もしかしたら、自分も保証人などにされている可能性もあるし、さっさと逃げるべきだ。幸い、違法金融業者の摘発が進んでいるとニュースでやっているので、その契約書すらもう無効になっているかもしれないけれど、とにかくせっかくケチの付いた土地から離れられるのだから、ここに何もかもおいていこうと思い、早速次の日に携帯を買い換えて番号も変えた。
 メールも変えて、一新してから北河は都会を後にした。


 田舎の左遷先はのんびりしたところで、今までの業績業績とプレッシャーを押しつけてくる上司もおらず、はっきり言ってこちらの生活はゆったりとしていた。
 課長としての失態で一時期は浮いていたけれど、その地位に就いただけのことはあった北河の能力はやがて認められるようになった。
 それから半年が過ぎた後だった。
 急に北河は本社に呼び出されたのだ。
「何で、俺、何かしましたか?」
 上司に本社に行ってこいと言われて、また知らない間に何かをしたのかと思って尋ねると上司は言った。
「いや、どうやら前に君がしたミスについての、追加報告らしい。さすがに内容までは聞けなかったのだが、相手の口調からそう悪い話ではないと思う」
 そう言う雰囲気を醸し出した電話だったと上司が言うから、北河は渋々本社に出向いた。
 受付で名前を告げてエレベーターに乗ると、見知った顔があった。
「あれ、左遷されたやつじゃん」
「部下が大ポカやって、巻き添え責任の」
「ああ、あれか……可哀想にまだいたんだ?」
 ひそひそとした内容が聞こえてくるけれど、それはもう北河にとってどうでもよかった。こんなところに残されて嫌みみたいに言われて暮らすくらいなら、左遷されて良かったとすら思ったのだ。
 今は仕事も残業はなかったし、地方なので物価は安かったし、今までお金が足りないと思っていたのは、恋人とのデート代のせいだったことが判明して、質素に暮らしていたお陰で今の給料でも十分暮らしていけた。
 それで心の余裕が生まれて、嫌みも耐えられる。
 そのまま社長室まで行き、話を聞いた。
「え……名誉回復ですか?」
 どうやら内部調査によって、前課長であった北河の部下のミスは、現課長になっていた部下のわざとしたミスだったというのだ。
 彼が課長になってからというもの、たった一ヶ月で同じ部署からセクハラとパワハラの報告が相次ぎ、その部署にいる人間が全員部署異動願いを出してきたのだ。
 そこでそれは異常であると調査を行い、ミスをした部下二人から聞き込みをしたところ、借金の肩代わりをしてもらう代わりにわざとミスをしたと告白。会社への損失があまりに大きかったので怖くなっていたのと、借金の肩代わりはしてもらったが、その後、庇ってもらえると思っていたけれど懲戒解雇になり、仕事がないので困ったらしい。
 会社は懲戒解雇にした部下二人には、系列の小さな会社を紹介する条件で全ての証拠を手に入れてきたようである。
 そして現課長は横領も長年していたことが分かり、とても懲戒解雇で済む話ではなく、刑事事件になったようである。
 そこで自棄になった課長が北河を填めるためにわざとミスをしたと自白したそうだ。
 というわけで、北河のミスは一切ないことが分かり、会社としては社外にも知られてしまった事件で、北河にミスがない以上、北河の受けた損失を補?しなけばならなくなったというのである。
「取引先にそういうのに厳しい人がいて……その北河君のミスではないなら、彼の名誉回復が必要ではないかと、問い詰められてしまい……」
 どうやら会社としてはもう北河のことなどどうでもよかったけれど、取引先にねじ込まれてしまったので大手取引先の言うことには従わないと取引がなくなると思ったらしい。
 実際この事件がきっかけで、内部調査がちゃんと機能していなかったせいで何の咎もない社員を左遷させて降格させたのは対面的に良くないというわけだ。
「なので、君には本社に戻って課長の地位にもう一度……」
 と言われたので、北河はそれに首を横に振った。
「いえ、地位はもうどうでもいいです。ただこのことで生涯私が受けるはずだった定年までの給与保証をしてほしいです」
 そう北河は言った。
 課長に戻る気はないが、それによって得られたはずである生涯の給与を払ってくれればそれでいいと言った。それは左遷された先で暮らしていくから、お金で解決してくれればそれでいいという強気の発言だった。
「つまり、給与は課長級のもので、定年までそれによる部長までのエリートコースの給与を定年まで払ってほしいということなのか?」
「そうです。もう本社に対しての忠誠心もなく、会社のために残業してまで働く気はなくなってしまったんです。全部、私に責任を押しつけ、内部調査もしてもらえなかったこと。それには今でも失望していますし、取引先に言われなければ名誉回復もしてもらえなかったことも非常に残念に思ってます。なので、地位は要りませんのでお金で解決してください。課長の地位にはかつての部下であった、溝口君当たりを昇格させてあげた方がいいと思います。彼は部下の中でも新人にも優しく、丁寧で仕事もできます。私からは彼を代わりに推薦させていただきます」
 北河の強い意志により、会社側としては和解をしたという結果が欲しいだけのようだった。北河が妥協案と内部調査の失策を口外しないこと、定年までの金額保証などを弁護士を通じて書類に残した。
 もちろんこれは定年まで会社が倒産しなければ、契約有効なもの。
 取締役などが一同にそれに署名をして、隠蔽と和解を解決させてきた。
 どうやらその取引先は大手過ぎるところからだったようで、無茶な北河の要求を呑んででも和解という案を受け入れないといけないことだったらしい。
 北河としては地方で課長クラスの給料を貰い、さらには定年前には部長クラスの給料の約束がされたわけだ。地方の仕事は九時五時で残業はなし、ホワイト企業そのもの。残業まみれと嫉妬と蹴落としの本社にいるよりも地方の方が暮らしやすかった。
 北河が戻ってこないことには会社としてもホッとしたようで、北河が推薦した溝口は北河に感謝して課長に就任するとちゃんと取引先には北河の推薦であることを口にしていたので大手は北河がちゃんと和解した上で地方でのやりがいを選んだと判断したようだった。
 そうして左遷先に戻ると、上司は苦笑していたが、それでもここで働きたいと言う北河の意思は尊重してくれた。
「まあ、ここにきて良かったと思われているのは、嬉しい限りだ。それだけ環境がよくて居心地が良いというわけだしね。私としては君が本社に戻られると困るところだったから有り難いけれど……せっかくのエリートコース蹴ってもよかったのかい? それでもここがいいと言ってくれるなら嬉しいのだけれど」
 そう言ってくれて、上司は笑いながら北河のことを褒めてくれた。
 地獄に落ちたと思っていたけれど、結果生活は楽しくなってよかったことだった。
北河のミスは会社の調査結果によって、なかったことが掲示板に張り出された紙に書かれて、会社ではそのことで北河に一気に同情が湧いていたらしいが、北河が本社に戻ってこないことで、北河が会社に失望している様子が見受けられたらしく、それはそれでエリートもどうなんだという話になっていたという。



 その事から一ヶ月後に、北河の電話に知らない番号から電話がかかってきた。
 誰か分からないけれど、何だか予感がしてその電話に出た。
「はい?」
 そう声を出すと、相手が叫んだ。
『もう! 何で本社に戻ってこないの!』
 そう言う声に聞き覚えがあり、北河はちょっとだけ笑ってしまった。
「どうして君がそれを気にするの?」
『はあ? 俺が会社に再度調査するように言ったんだよ!』
 とてもではないが、支離滅裂な言葉に北河は首を傾げた。
 この声の主は、北河の元彼で恋人であった福江が二股していたもう一人の恋人である。
 ちょっと足りない舌っ足らずで、敬語を使うこともないしゃべり方で、それでいてちょっとだけ上から目線なのが面白かった子だ。
 この子のお陰で落ち込んでいた時期にちょっとだけ希望が持てたのは事実だった。
「君がどうやって俺の会社に何か言えるわけ?」
とにかく、再調査を依頼した取引先というのがこの子と関わっているなんて話、詳しく聞かないといけない。
すると相手は怒鳴りながら言ってくる。
『俺が担当の仕事だもん。部下に任せっきりだけど。あんたのこと調べたら、取引会社の課長じゃん、しかもうまくいっていたのに、ポカして左遷されてるし! でもこの間の電話した時にどう考えても左遷されるようなミスする人じゃないと思ったから、こっちからねじ込んだ。あの仕事、だんだんおかしな企画に変えられていくからおかしいとおもったんだよね、予算が倍に増えるし、どう考えても中抜きしてる感じでさ!』
 そう言われてしまい、北河は聞き返した。
『君、ごめんだけど名前、教えてもらえる。君は俺が誰か知ってるようだけど、俺は君が元彼と付き合っていた子ということしか知らないんだよね?』
 そう北河は言うと、相手は怒りかけるけれどそれもそうかと気付いたらしい。
『あれ、名乗ってなかったっけ?』
「聞いた覚えはないよ」
『そっか、俺、吉富謙哉(よしとみ けんや)、柴谷商社の取締役』
「……え?」
 とんでもない立場の人が出てきた。
 聞き間違いでなければ、とても北河が対等に口を聞ける立場ではない人だ。
「本当に?」
『……まあ、俺がちょっと頭足りなくて駄目に見えるのは仕方ないけど……でも本当だよ。家族経営だから、跡継ぎは兄がするけど、俺はその兄の補佐役をしながら、だけど……』
 吉富の自己紹介にふと北河は思い出す。
 そういえば、取引先の大手商社には優秀な兄弟がいて、弟の素行はちょっと問題ありであるが、仕事は優秀であるとは聞いていた。
 もともとの商社との仕事もその弟が企画していたけれど、取締役になってからも時々その企画は気にしてみてくれていたらしい。
「そうですか……あの企画は俺の後輩に引き継いでもらったので、今度こそちゃんとできると思いますよ」
 北河は少しだけホッとしてそう言っていた。
 取引先の大手がちゃんとこちらのことを分かってくれているなら、部下の後輩を推薦したことは間違いではないと思えたのだ。
『いや、お前が戻ってくるって思って待ってたのに……何でだ? 何で和解して戻ってこなかったんだ?』
 そう言われてしまい、北河はどこまで話したものかと思ったが、どうせ筒抜けなのだろうと思いながら話した。
「もう齷齪(あくせく)と働くのも嫌になりまして、お金で解決をして和解をしたので、地位は捨てました」
『は!? マジかよ! お前、地位よりそっちだったのかよ!』
「お陰で昇級しながら定年までの約束は取り付けました。これで悠々自適に暮らせます。今は九時五時で夜はまったりと資格取りなどの勉強もできているので、スキルアップも実は狙っているんですよね」
 そう北河は言う。
 正直、この契約も十年がミソだと思っている。
 やがて社長が代わり、取締役も替わる。最初こそは話も通っているだろうけれど、残りの三十年、このままでいけるとは思わないのだ。
 というのも、大手以外の会社というのは大抵百年も持たない。時代が移り変わり、状況が変わり、経営者が変わると経営方針も変わるのでそこでつぶれる会社や倒産する会社も出てくる。
 中堅である北河の会社も大きなミスを人為的に引き起こしたことは業界にも広まっているだろうから、先行きも不安である。
 けれど残り十年は戦えると判断して、その間の課長ポストの給料を貰いながら別の会社へのスキルアップを目指すのもありだと北河は考えたのだ。そのためには時間が必要で、その間、あの残業続きの仕事ではそれもできないと判断したわけだ。
『お前も何か凄い腹黒いな……びっくりした、人が良さそうなだけで、駄目かと思ってたけど……』
相手も北河の計画には少し引いているようだが、それはそれである。
「何とでも、君に比べれば我々のことなど、きっと些細なことなんだろうから。それで分かって貰えたかな。援護射撃は本当に助かったんだけど、それにはお礼を言うよ」
 素直に北河はそれを認めた。
 それがなければ、一生ここで腐って終わっていたかもしれないのだ。
 未来が開けたのは吉富のお陰だ。
『……まあ、それでお前が良いようにできたのなら、俺はそれでいいんだけど。後輩が使えるなら、それで俺の現場での仕事もきっとうまくいくんだろうし……それでさ、お前、週末は土日休みだよな?』
 急に話題が変わり、北河は唐突だなと思いながら答えた。
「まあ、休みですよ。そのお陰で色々とできて便利になりました」
『よし、今度の土日、俺のために時間を作れ』
「本当に唐突ですね。君のために時間を作るメリットはあるんですか?」
『お前にはないけど、俺にはある』
「……なら却下します」
『良いから一回会おう。飯代出すし、そっちに俺が行くし、何ならそっちにある高級寿司、回らないやつに連れて行くから、俺に会え!』
吉富はどうしても北河と会うという目的を果たしたいらしく、北河は苦笑する。
 そこまでして会いたいと言われたら、ちょっとは靡いてしまいそうだった。
「そうですね、交通費も出してくれるなら、そちらで会うのは構いませんよ」
 こっちに会いに来られたらそれはそれで面倒である。
 来るというのを止めることができないのなら、こちらから妥協案を出すしかない。
『出す、定期券を出すから、俺に会え!』
「分かりました、会社に定期、送ってください」
『分かった送る!』
 吉富はそう言うとすぐに手配をしたのか、速達で会社に新幹線の定期券が届いた。
 一年間のフリーパスらしく、普通の人では手に入れられるものではない。代金も相当高いものだ。どうやら本当に吉富は凄い人だったらしい。
 それを受け取って、北河は週末は吉富に会うために上京をした。
 東京駅に着くと、すぐに駅前に出る。
 そこで吉富の用意したタクシーで移動して、回らない寿司屋に入った。
 すると出迎えてくれた寿司屋のオーナーが北河の名前を確認して、奥の座敷に通してくれた。
 その座敷には、髪が金髪で派手なスーツの可愛い子が座っていた。
 こちらを向いた顔は彫刻の様に整った綺麗な顔で、口を開かなかったらあまりの美しさに一生口を聞けないまま終わりそうな相手だった。
「あ、きた。北河、座って」
 口を開いたらその顔とはギャップも激しい舌っ足らずな声で、北河はそれに少しだけホッとした自分がいることに気付いた。
 席に着くように言われて座ると、吉富はしっかりと北河を見て言う。
「何で、こうあいつは面食いなんだろうな。お前、めちゃくちゃ美人じゃん……」
 吉富がそう言うので北河は少し苦笑する。
 正直に言うと、吉富と並んでいると見劣りするのは北河の方である。それなのに当の本人がそう言うのだからおかしなものである。
 そして元恋人で詐欺師だった福江の面食いさは異常だなと北河も思った。
「あなたに言われるとほぼ、嫌みみたいなものなんですけどね。あの人の美意識がもの凄く高いことだけは認めますよ」
 福江の眼識は相当高いのは認めるしかなかった。
「一つ気になるけど、北河、ネコだよな?」
「……そうですけど、そうなると、あなたタチなんですか?」
 まさかネコってことはないだろうと思えてそう言ったところ、吉富が唸った。
「福江は元々ネコなんだよ……それで、他の四股くらいいた恋人は全員タチ。ネコだったの北河だけ……」
「ああ、だから俺が一番早く切られたわけか。そっか、それはそうなりますね。ネコでいる方が逃げるのも逃げ込むのも楽だから」
 福江の性格からして甘えるのが上手だったけれど、ネコだと言われたら納得できた。
「あいつがバイだって聞いたことないから……驚いた。そりゃこの美人、抱くしかないよなって納得するけど……俺でも抱きたいし」
「……え?」
「じゃあ、まず寿司コースで頼んでるから、まずは食べよう」
吉富は北河の驚きには答えず、そのまま寿司が運ばれてきたので二人はそれを黙々と食べた。
 会社の話を少しして、北河が持っていた当初の企画の話もした。
 それはそれで楽しかったし、意義があると北河は思った。
 そしてあっという間に夜になり、北河が泊まるホテルに戻ろうとすると、吉富が送ってきた。
 隣に立つと身長は少しだけ吉富の方が高い。
 部屋の前で礼を言い、部屋に入ろうとすると、それを吉富が止めた。
「……こういうのは、きっと駄目なんだろうけど、俺はお前が気に入った……前からずっと助けて貰っていたし……恩もある。けど、俺は純粋にお前を抱きたいと思っている……っ」
 吉富が急にそう言い出してきて、北河はそれを聞いて少しだけ心が動いていることに気付いた。
 吉富に恩があるのは北河もである。
 吉富が行動を起こしてくれたからこそ、北河に有利に名誉回復もできたのだ。
お互いに恩があると思っている状態で、二人がお互いに気があるのが今である。
 ずっと電話だけで話してきた相手に初めて会って、話をして楽しかったから触れたいと思うのも分かる気がした。
 そして素直で裏表もない吉富がそう言うのだから、純粋に北河を抱きたいのだろう。
 ネコとタチが一緒に行動をして、息が合っていればそういう流れにもなるものだ。
 それに北河は吉富の手を取っていた。
「がっかりしないでくださいね。思い通りじゃなくても……」
「大丈夫、お前の顔、俺の好みど真ん中だから!」
 どうやら会ってみたら顔が完全に好みだったので、一目惚れをされていたらしい。
 それに北河が笑うと、吉富はそのまま北河を連れて部屋に入った。



 その部屋は吉富があらかじめ用意してくれていた部屋なので少し大きめである。
 端っこの部屋で、隣は誰も泊まっていないように静かだった。
二人は縺れるように絡み合い、お互いにスーツを脱がし合った。
 久々に人肌に触れられるのはお互いそうだった。
 北河は福江に抱かれなくなってから、仕事で忙しかったし、あれこれあって人に触れることが怖かったので、セフレも一夜限りもなくきた。
 吉富も福江のことで色んなことが起こり、恋人を新たに見つけることもできず、北河と話したことで北河が気になって、北河のことばかり調べていたら、気付いたら虜になっていた。
 そして今日、顔を初めて合わせたとたん、吉富は北河に恋に落ちたのだ。
「北河……お前好み過ぎる……」
 吉富はそう言いながらすぐに北河の首筋に唇を寄せて舌で首筋を舐めてキスマークを残すように噛みついている。
 まず所有者は自分であると言いたいがための行動のようで、北河はそこまで吉富が自分に興味を持ってくれていることが嬉しかった。
 久しぶりの自分に興味を持ってくれる人が、まさかの元恋人を抱いていた人とは思わなかった。
 福江はネコが本質で、他の恋人たちには抱かれていたけれど、北河にだけはタチとしてセックスをしてきていた。それが今はどうしてなのか分からない。
 福江はネコなのにその信念をねじ曲げても、北河を抱きたかったと言うことなのだろうか。そしてそれはどういうことなのか結局は分からないままだ。
 けれどそれはそれでもういいと北河は思った。
 こうして吉富との出会いを作ってくれたのは、福江のお陰でもある。
 吉富に出会うために、これまでの不幸があったのなら、今それを帳消しにできる時間だと思えたのだ。
吉富は北河をベッドに押し倒し、のし掛かって北河の乳首を唇で吸う。
「やっあんっあんっ吸っちゃやらっあんっらめっなのっんああっひああぁっ、乳首吸っちゃっ……あっあっあ゛っあ゛っあぁあっ」
久しぶりに他人の舌の感触を感じて、北河は体が歓喜しているのが分かった。
 誰かとセックスするのが久しぶり過ぎて、体が求めているものが今ここにあることが嬉しい。
「あっあっあぁっ……ちくびっいいっ……あひっあっあぁんっんぁっ、……い、い……ちくび、きもちいっ……あっあぁんっ」
ジュルジュルと音を立てて執拗に乳首を舌で舐め回され、乳首が完全に勃起をするとそれを歯で噛んでくる。痛みが強いけれどそれがよかった。
「あぁんっ! ぁっあっ、もっ、らめぇっ……ちくび、ふぁっ、あんっ……」
本当に乳首ばかりを舐め回されて、指で捏ねられ引っ張られて刺激を沢山与えられると自然とペニスまで勃起をしてくる。
「らめっ……っ、ちくびでぁっ、ん、もう、いっちゃ……いっちゃうからぁっ」
乳首だけでイかせようとしているのか吉富は北河の乳首を執拗に攻め立てて凄い勢いで舌を使って嬲ってくる。
「……ああっきもちいいっちくびっああんっ……いいっああんっちくびっああん……いいっいくっいくっあああああっ」
とうとう十分異常も乳首だけを攻められて、北河は絶頂をし射精をしてしまった。
「北河……可愛い……乳首だけでもイケるんだな……もっと感じて」
既に二人とも全裸になっているから、大きく足を開かれた北河はアナルに吉富の指が挿入っていることに腰を揺らめかせた。
「だめっそこに……ゆびっらめっ……ああんっ」
「ああ、柔らかいね……いつも自分で弄っているんだ……」
「いわないでっひあっあ゛っんぁっ……指、だめえぇっ……あ゛っんぁっあっああっ」
「中がうねっていて、ペニスを欲しがっているな……すぐにくれてやるから、まずは指で馴染んで」
 そう言われて指を二本挿れて奥まで突き上げ、何度も何度もイカせるように吉富は指を動かしながら乳首も指で弄ってくる。
「あぁああ~~っ……あひっ、おま○こらめっあへぇっ……ちくびっん゛っんあっあっあっあっあ~……ん゛ぁああっ…あっあっあんっあんっあんっあんっ」
段々と濡れてきたアナルが、指だけでは物足りないように蠢き、しっかりと吉富の指を咥えている。
「あ゛ああ~~っ……ん゛ひっ、いっい゛っんぁあっ、あっあ゛っあっおま○こっ、だめっだめっ、あぁあんっああんっ……ひっんっんあああぁっ」
「さあ、どうして欲しい、北河……指だけでいい?」
 そう聞かれたら、言うしかない。
 はっきりと北河は吉富を見ながら強請った。
「あーっ……あっ、ぁあん……っも、おま○この奥、っおく、おちんぽ欲しぃい……!」
北河は奥が疼いて仕方なかった。
 北河はこれが欲しいのだと、吉富の勃起したペニスを手で触り、アナルに導いて腰を振った。
「あっ、おま○こに、はぁっ、このおちんぽハメて、いっぱいおま○こをいやらしく突いてっあ゛っ、あ゛あっあ゛っひっ、いいっ、い゛あぁっ」
「……北河……可愛い、淫乱で誘い方も上手いな……ちゃんと犯してあげるからな」
 喉を鳴らして吉富が勃起したペニスを北河のアナルに突き挿れていく。
「あっ、あっ……、ひっきたっおち○ぽっあ゛っ、あああぁぁっあ゛ひっ、深い……ああっおち○ぽ大きいっ、なにこれっ……、あっ、あっ、ふかいっああんっそこまでらめぇっ……、あっ、あ゛ああっああんっあああっ!」
福江では届かなかったとこまで吉富のペニスが届き、奥までしっかりと挿入っている。それが衝撃的だった。
 すぐに吉富は腰を動かし始め、北河の内壁を擦り上げてくる。
「あ゛ああんっああっ!! ああああっあっぁっあっ、いいっ、おちんぽっきもちいいよぉっ……、あああぁんっ」
とんでもなく気持ちがいい動きに、北河は嬌声を上げた。
 北河は久しぶりのセックスだったし、ペニスを受け入れるほどのセックスももう何ヶ月もしていなかったから、その素晴らしさを再確認した。
「あぁあっ……あっぁん……あぁあっあんっいぃっ……おちんぽっらめぇえはぁああっあぁあっ、もっ、おま○こらめぇっあん、おちんぽっああんっあんっぁあああぁんっ」
「北河、気持ちがいい? 俺はめちゃくちゃ気持ちがいい……すごい、こんなの初めてだ……」
「あぁんっ……いぃっ、吉富のおちんぽっあっ、あっあっあっ……ふぁっ、ひぅっ、あんっああぁっあひぃっ、あんっ、あんっあっ、あ゛っおちんぽ、いいっあぁっ……あ゛っあっあっああっあぁああっ……あっあっあんっ、あんっあんっあんっあ゛ああっ、あっあぁあんっ」
北河は吉富の腰使いを一瞬で気に入った。
 更にペニスは最上級のもので、大きさも長さも北河の中でぴったり合っているものだった。
「ひああっ……いいっあっん゛っひっいっ……あんあっ、んっああぁっ! ああっらめっ、いっちゃう……から、おま○こっああんっあっんっあっ……ああっんっあああんっ……おま○こいいっ……ああんっきもちいいっああんっああっ」
「俺も気持ちいいよ……よかった俺ら相性がいいんだな……めちゃくちゃ気持ちが良くて腰が止まらない……北河、可愛いしエロいし最高」
「吉富いいっ……きもちいいっ吉富のおちんぽ……ああっ……いいっ気持ちいいっ…ああんっああっあああんっいいっああんっおま○こっいいっきもちいいっああんっああ……ああんっ……ああんああいいっ」
「そうか、おま○こいいのか……もっと気持ちよくなって……ほらほら」
「あ゛あっいいっ、らめっあ゛あっ、らめっ、おま○こゴリゴリしてるっ……ひっあっ、あんあんあんあんあんっああんっああっゴリゴリしてるっ……ああんっおちんぽっおおきいいっああんっ……ああんっ」
奥まで抉られて腰を振られ、執拗な腰使いで抉り、前立腺も擦り上げて突き上げてくるから、その動きに北河は翻弄された。
「あ゛ああっ……あっ、あ゛っ、らめっらめええっ、あ゛あああぁっあ゛っい゛っ、あっんっ、、いくっあ゛あ゛っあっらめっあ゛っんっ、あっ、あぁっ、いくっ、いっちゃうっ……あぁあああん!」
早速一回目の絶頂をさせられた。
 前立腺を突き上げられて刺激されれば誰もそうなるが、それでもありえないほど気持ちよく絶頂ができて、北河はそれが癖になりそうで怖かったが、性欲が刺激された。
「吉富、いい……ああんっおちんぽっいい……ああんっああっ……きもちいいっああんっ……ああんっおま○こっああんっいいっ」
「取りあえず、ちんぽだけでも惚れて……今はそれで堕とすから、後から俺のことも好きになって……北河、俺はお前に惚れたんだ……っ」
 吉富がそう言い出して、それを聞いた北河は心が熱くなるのが分かった。
 ずっと誰かに言って欲しかった言葉で、それを吉富から聞けたのが今は嬉しかった。
「あ゛あぁっ……吉富、おちんぽすごい、ああっ、あっ、やああっあっあんっあっあ゛ああぁっ……吉富、すきっ吉富のおちんぽすきぃっ……おま○こっハメハメされて、イキまくちゃうっ……あ゛っ……いい……おま〇こきもちぃっあぁあんっあんっ」
「ああ、北河のおま○こ気持ちがいい、最高……さすが淫乱ま○こ……たまんねえよっ……」
「いいっきもちいいっ吉富のおちんぽっああんっらめっらめっきもちいいところばっかっ……こすっちゃっああんっらめっああっ、吉富すきっ好きっ、吉富のおちんぽしゅきぃっ……あ゛っあ゛っ、あっ、きもちいとこっ、ゴリゴリされてっんっあっあああんっ」
「ここがいいんだな。もっと気持ちよくなって、俺も気持ちがいいから」
「ああ……吉富すきっおちんぽっ……すきっああ……きもちいいっああんっおま○こゴリゴリされて……ああんっいいっ吉富のおちんぽっきもちいいっああ……いいっおちんぽっ……吉富のおちんぽっああんっきもちいいっああんっ」
「こんなの惚れるなって方が無理……北河好き……このおま○こ最高すぎる……」
 譫言のように二人はお互いの名器を褒め合い、そして惚れていく気持ちが抑えきれなかった。
 お互いにもう不快感もなく過ごせた時間で、セックスすらも気持ちがよく相性もいいから、これはもう結ばれるしか道はないだろう。
奥の奥まで抉り続ける吉富のペニスに、北河は嬌声を上げて腰を自ら振った。
「あっあ゛っ激しぃっ……ん゛ああんっあ゛っあっあひっ……あ゛っあっあんあんあんっああっすごいっおちんぽっすごい……ああんっきもちいいっああんっあああんっあああっ!」
「北河……すごい、中がうねって精液を欲しがっている……」
「あ゛あああっ……あぁっあっいいっ、きもちぃっ、吉富のおちんぽ、大きくて、おま〇この奥まで届いてるっあああっあぁっあっあっああ……おおきいっおちんぽっきもちいいああんったあんっあああんっ……きもちいいっああんっ」
「凄い……これすごい、ああ、出そう、精液たっぷりでそう」
「ふあああっ……んっあっ、あんっ……俺のおま〇こ、吉富のおちんぽで、気持ちよくなってるっ……ああっあっあんっあぁあんっああ……ああっんっああんっんあっあああんっああっ……きもちいいっああんっああっいいっああんっ」
「奥に出してやるからな、しっかり俺の精液をおま○こで覚えて!」
「あっあっあっおま○こ……ああんっいいっおま○こいいっ……ああんっおちんぽっすごいっああんっらめっらめっああんっあああっ、おま○こっ……ん、いいっ、おま○こに出してっあっあんっ、おま○こに、精液出していいっ……俺のおま〇こでイってっあっ、もっときもちよくしてっあっあ、ああああっ」
「うっはあ……っ!」
「ん゛あああっあっあぁっはげしぃっ……ああっおま○このっ中にでてるっ……いいっ…んっあっあ゛っああああっんっああああああぁあぁっぁあっ……」
吉富が精液を奥で吐き出し、その量が多い精液が逆流してアナルから吹き出るほどだった。
 そこまでしても吉富のペニスは萎えることなく、吐き出した精液を掻き出すようにまた動き始める。強い腰使いにまた北河は嬌声を上げた。
「吉富、いい、ああんっ吉富のおちんぽっズボズボ気持ちいいっ……おま○こ……ああんっ良すぎるっ……ああんっあぁんっ……あっあっ……おま○こ、おま○こっ吉富のおちんぽでずぼずぼされるの気持ちいいっああんっああん……ああっ!」
「最高、ヤバイ全然勃起が萎えない……すごい北河の中、気持ちよすぎる……何これ本当に俺のためのおま○こみたいだ……」
「吉富のおちんぽっおおきいの気持ちいいっ……ああんっああんっきもちいいっらめっらめっ……ああんっあぁあんっ! あっああっ、らめっはぁんっ……あっいいっあぁんっおま○こっいいっああんっ」
「ぐちゃぐちゃしてめちゃくちゃだけど、これがいい……北河のおま○こヤバイ……腰が止まらない……気持ちよすぎる」
「いいっきもちっ……いいっあああんっらめっ……ああんっいいっ……あっあっああっあっあっああっんっあっあんっあんっ、あああぁーーっ! ……ひあっうぁあっ……あっあ゛っあぁああ……っ、おま○こ、すごっあぁっ」
「あ、ああ……また搾り取られる……北河気持ちよすぎる」
「おまんこっ……ああいいっあんああっ……ああんっああっいいっきもちいいっああん……ああん……いいっあんっんあああっ……なかっ……ああっ……あ゛っ、あぁぁあっひああっ、もぅっだめ、あ゛っあっふあああっ……なか…だめえぇ……っ、まだ出てぅっひっうううっ……中出しされてる……あああっ!」
北河の中で中出しながらも吉富の腰の動きは止まらなかった。
「きもち……いいっああんっらめっそこばっかっ……ああんっいいっいいっああんっきもちっいいっああんっ」
もう二人はセックスの相性が良すぎたせいで、一晩中セックスに興じた。
 それは朝まで続いたセックスになり、汗だくで精液塗れになっても止まらなかった。
「んあっああんっああっああんっ……あっあっああっ……あん……あんああっ……あんきもちいいっ……あんああっんあっ、ああぁっ……はっ、はっん゛っ……ん゛ああっうあぁっ…ん゛あっ、あっあっあああぁぁっ……」
「北河、北河、もっともっとだ……おま○こ良すぎる……」
「んはっあ゛ああっ……ああっあ゛あっああああっ……あっんっあ゛あっ……んあっあ゛あっ……ああんっん゛ああっ、あっあんっあんっらめぇっ……おま○こっ、すごい、おちんぽっ……んっあっあっ」
「あ、あ、出る、また精液でる……おおおおっ」
「ひあっああんっ……らめっああんっ……いいっ……いいっああっそこっあんっああっあ゛ひっ、やっあ゛っあ゛っああっんひぃ、っあ~~~っ精液がきたっああん中出しされてる……熱い……んふ、ああんっイクっいくっああぁぁぁんっ!!」
 結局、疲れて気絶するように眠るまで二人はセックスを続けた。


 翌朝にはさすがに疲れ切った二人は、一日中体を弄りながら寝て、夕方には北河は帰ると言うので吉富が駅まで送っていった。
「また来い、絶対だぞ」
 吉富がそう言うので、素直に北河は頷いた。
「また来るよ、来週ね」
「うん、でも近くに居たら毎日できるのに……」
「それじゃ疲れちゃうだろ? 週末だけで我慢しろ」
 やっと二人の気分になれたのか、北河の言葉から敬語が消えた。それが分かって吉富は喜んでいるし、何より離れるのを寂しがっているのを見て、北河は吉富にキスをしてみせた。
「また来週、ホテル取っておけよ。たっぷりするんだからな」
 そう言った瞬間、目の前で新幹線のドアが閉まった。
 真っ赤な顔をして喜んでいる吉富が見えて、そして視界から消えた。
 それを見てから北河は真っ赤な顔をしている自分の姿が反射した窓に映って思わずそれを手で隠した。
「くそ、完全に堕とされた」
 福江のせいで不幸に陥ったはずなのに、そのお陰で出会ったから、今は福江のことは一ミリも恨んでいない。
 むしろ吉富と別れてくれて有り難かった。
 今、吉富は北河の恋人で、北河は吉富の物になったのだ。
 それが全てだった。

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