163-所有欲と独占欲
1
そろそろ夏になる。
豊原実は、恋人の魚谷正巳と夏の旅行に出かけるための計画をしていた。
旅行会社でパンフレットを選び、何処が良いのか正巳と話し合うための材料を集めていた。
最近、実は時間が空いていた。
残業が減り、持ち帰りの仕事も持ち帰ることはできずに定時で退社するのが徹底されるようになった結果であるが、その反対に恋人の正巳の仕事時間が増えてしまった。
恋人は教師だから、夏休み前は仕方ないわけだけれど、夏休み期間になれば、暇になるはずなのでそれを見越しての予定を考えた。
そろそろ宿の予約も取らないといけないと思って、正巳を呼び出したが今日は急ぎの残業があるので明日にしてくれと言われた。
明日は日曜で休みである。
「休み前になんでそんなに仕事を抱えるんだ……たく、連絡して疲れてるばっかで、俺のことなんだと思っているんだか……」
もうなんだかかんだで一ヶ月も会っていない。
連絡は毎日しているけれど、それもメッセージアプリで十往復くらいだ。
大抵が実が尋ねて正巳が答える感じで終わってしまう。
二ヶ月もセックスもしていないし、早くまた抱き合いたいと実は思った。
そう思ってしまったのは、駅の近くにあるラブホテルの近くを通ったからだ。
実が住む町は繁華街があり、本当なら家賃が高いので誰も住まないのだけれど、実は都合の良いことにその土地にビルを持っていた。
亡くなった一族の人が持っていたのだが、それを父親が相続するときにあんな繁華街のビルを貰っても生かし切れないといい、実に相続を譲った。
本当に誰も欲しがらなかったので実が貰い、今のところ一階にコンビニと居酒屋。二階にカラオケ、三階四階にバーが数軒入っている。
五階から六階は住居スペースであるが、五階は改装をし直して新たに事務所スペースにして数件の事務所が入っている。
六階の最上階に実が住むスペースを同じく改装して作り、六階全てが実の部屋として改装したので、大きな部屋になっている。
幸いなことにこの配分でビルの維持ができていて、実が死ぬまではビルの崩壊もしないように外壁の改装もした。
お金はかかったけれど、その分はすでに事務所スペースが思いの外言い値で貸せているお陰で借金も返済が終わっていた。
働かなくても家賃収入だけで暮らせていけるけれど、実はそれでは腐ってしまうと思って働きに出ている。
そんな中で取引の一つの担当であった学校に勤めている正巳と知り合って付き合うことになった。
実は同じゲイであることを速攻に打ち明けてから正巳に惚れ告白して付き合うことになった。
それが二年前である。
やっと一年半以上上手くやってきたと思っていたら、正巳はここ二ヶ月ほど仕事が忙しいといい、実と会うこと事態が減った。
毎週週末に二人でまったりとしていたと思っていたけれど、正巳はめっきりいい返事をしなくなってしまった。
「あー、それ浮気されてると思った方がいいですよ」
そう言ったのは同僚の榊だった。
「俺もやられたことあるんですよ。仕事で逢えないって言うから遠慮してたら、それを良いことに男としっぽり温泉旅行。まあ、その旅行先が被ってて、モロバレ」
「冷めるなそれ」
「ですよね。で、もういいわってなってじゃ別れようかって言ってやったら、どっちも困るって言うわけですよ」
「なんで?」
「不貞をしているから燃えてるわけで、恋人同士になるのはゴメンだって。で、俺は恋人としては最高なので。えっと、エリートですし、お金もいっぱい貰ってますし、顔面も良い方ですし、友人受けはいいわけですよ」
榊がそう言うのでやっと意味が分かる。
「ああ、平然と不貞をするやつを恋人にしても、また不貞をするだろうし、信頼をしてるわけでもなく、セックスがいいだけのやつってことね」
「そういうことです。恋人、いやまして結婚相手として見せるには背後関係が泥沼過ぎて祝福されないやつです。なので、俺をキープした上で不貞もしたいと言うので、頭狂ってんのかと思って、ご両親に電話をその場でかけてやって引き取って貰いました。まあ、婚約前でしたし、俺は別れる以外の選択肢はないので、そっちで後はどうぞと」
「それで収まりそうもないけど?」
「ええ、逃がした魚が大きかったと思ったんでしょうね。やり直そうって何度もストーカーになってまでやられまして、相手は前科一犯ですよ。話が通じなくて気味が悪いモンスター見てるみたいでした」
そう榊が語るけれど、彼はつい先日結婚をした。
結婚相手は常務の娘である。常務がそういう話を知って見合いを持ってきたので榊は気分転換に見合いをしてみたらいい人だったと言う。
「あんなモンスターと知らずに結婚するところだったから、まあ、結果的には良かったんですけどね。豊原さんが同じなのかは分からないけれど、恋人の素行は疑った方がいいと思いますよ。人間、日々心が移ろうものです」
榊がそんなことを言うから、疑いたくはないけれど実は正巳の素行調査を探偵に頼んでしまった。
まずは逢えないという週末を徹底的に一ヶ月。つまり土日の八日分の素行を頼んだ。
その調査はすでに終わっていて、今日郵送で結果が届くことになっていた。
だからそわそわもしていた。
何もないですよと安心する手紙だといいなと思っていたところだった。
ラブホテルには人が周りを気にしながら入っていく様子が見られる。
けれど、その側を歩いていたのは、一組のカップルであった。
そう一人は魚谷正巳だったのだ。
正巳は一緒にいる男とホテル前で何か言い争っている。
「そんなの聞いてない」
だの。
「約束してない」
だの。
とにかく目立つ行動をしていたために実の目にも入ってしまう。
そしてあまりに騒ぐので二人も周りを気にした。
その時に実は正巳と目が合った。
「み、実!」
そう正巳が呼ぶ声がして、一緒にいた男が気まずそうに正巳の手を離して駅の方に走っていった。
どうやらあの態度から、実と正巳が付き合っていることは知っている様子だった。
正巳は実の側に走ってきて、荒い息をしながら言う。
「違うからね……あの奧の、生徒の家に家庭訪問に行ってた帰りで……」
そう正巳が言うけれど、実は冷たい声で聞いていた。
「今の男、誰?」
そう実が言った声に驚いたのか、正巳が焦ったようにして言い訳を始める。
「ど、同僚の先生……副担任で……」
「うん、とにかくここじゃ目立つから、家にいこう」
実は割と冷静に判断ができた。
頭の中は怒りに満ちているけれど、冷静な思考が残っているのか、淡々とそう言えた。
「あ、うん……分かった」
正巳も誰に見られるのか分からないから、すぐに実に付いてきた。
黙って歩き、部屋に行く。
エレベーターで上がり、六階で降りる。
エレベーター前には、ここから先は個人宅だと分かるように門がある。そこに郵便受けがあり、それを実が素通りすると、正巳が郵便物が入っているのに気付いて取り出した。
「あ、郵便あるよ」
そう言われて差し出されたのを見ると、探偵事務所のA4封筒が入っていた。他にも夕刊とチラシがあった。
「ああ、そっか」
それを受け取ってから玄関の鍵を開けて家に入る。
玄関を入ってすぐに壁があり、そこに下駄箱がある。右に曲がるとそのまま廊下になり、突き当たりのドアを開けるとリビングダイニングになっている。
元々が事務所が五軒ほど入っている作りだったのを、全部壁をぶち抜いてリビングダイニングにしているので広い。
「お茶入れるから座ってて。順序だって話してくれるとありがたいので」
実は激高せずになんとか理由を知ろうとした。
別れるにしても正巳が完全に不貞をしていたわけではないようだった。
なら理由を聞いて、それから考えるしかない。
お茶を入れながら、実は探偵事務所から送られてきた書類を開いた。
そこには、実が疑った通りに近いことが書かれていた。
『不貞と言えるかどうか。確かに会っているようであるが、表情の優れない様子から脅されている可能性もあり。話し合いをしてみるのが最善』
そう書かれている中には、さっきの男の家に入っていく正巳の姿が映っている。実と会うのを断った後は、必ずその男の家に行っていたようで、帰りは夜中の三時頃にタクシーだったりする。
どういうことなのか。
そう思いながら、とりあえずは正巳の言い分を聞いてみようと、実はお茶を持ってリビングのソファに座った。
正巳は落ち着かない様子で携帯を握り、意を決したように言う。
「あの……実……俺……あの人と……」
「寝てた?」
そう聞くと、正巳は真っ青な顔になり、歯を食いしばって頷いた。
「付き合ってるの?」
そう実が聞き返すと、正巳は頷く。
――――――ならどうしてさっきは拒んだのか。
理由は解らないが、それが疑問だった。
「そう、俺とは別れる?」
「……そう、なるしかないね……」
正巳はそう口にしたとたん、泣き出した。
握っている携帯電話がミシリと音を立てたので、実が言う。
「怪我するよ? 手」
携帯が少し割れていて、手に破片が刺さっている。
「……大丈夫……俺は大丈夫だから……」
そう言いながらどんどん青ざめていく正巳に、実は大体を察した。
「あの男に犯されて、写真とか動画とか撮られてる? それともあいつの仲間にでも廻された?」
実がはっきりと言うと正巳が驚いた顔をして顔を上げた。
「……なんで……しって……うそうそ……なんで……いわないってっ!」
正巳が混乱して投げ出した携帯を実は拾い上げて操作をした。
メッセージアプリを開くと、新着のある相手があった。
それを開いてやると、写真と動画が十件ほど入っており、そのどれもが正巳が数人の男に犯されているものだった。
男のペニスを咥えながら、放心した状態で別のとこのペニスを手で扱き、さらにはアナルを別の男に犯されている。
身体中が精液塗れで、動画に至っては正巳が嬌声を上げているものばかりだった。
そしてメッセージの相手は、バラすぞと書いてある。
既読が付いたからなのか、またメッセージが入っている。
『彼氏をまいたら、また家に来るんだ』
と書いてあったので、実はそれに返事をした。
『殺すぞ、きさま』
そのメッセージに既読が付いた瞬間、そのIDが急に削除されたようで退会したユーザーのIDですと返ってきた。
どうやら絶対に正巳が書くわけもない言葉だったことから、正巳が彼氏に洗いざらい喋ったと思ったのだろう。マズイと判断して逃げたようだった。
「うん、これを知られないために、あいつと寝てたの?」
実がそう聞き返すと、正巳は頷いた。
「……真っ先に相談してくれていたら、そんな男にへりくだることはなかったのにね」
実がそう言うので、正巳は驚いて実を見る。
けれどその目はさらに見開かれた。
2
目の前で携帯を見ている実がそのレイプされている映像を見ていることは正巳にも分かった。
しかし実はその映像を見ながら微笑んでいるのだ。
「そうか、正巳が好きなのは乱交だったのか」
実は急に何か悟ったように言う。
「……なに、言って……」
「だって、ここまで正巳が乱れているのを俺は見たことがないんだから、そうなるよね?」
そう言って見せつけられるのは、正巳が四人の男のペニスを様々な場所で受け止めて、嬌声を上げているシーンの動画だ。
「みのる……なんでそんなこと……」
正巳は信じられないモノを見るように実を見るけれど、実はさらに言った。
「いつ犯されたの? セックスしなくなって二ヶ月くらいだから、ああ、ゴールデンウィーク辺りに教師たちで新年会とかやったあと?」
そう具体的に実が時期を当ててくるので、正巳は目を瞑って頷いた。
薄々おかしいと思われていたことから、正巳も観念したのだ。いつかはバレてしまうことで、実も馬鹿ではないということだ。
ただ実はそれを知ったせいで、なんだかおかしくなっていると正巳は気付いた。
「だから言ったんだよ。大して親しくもない人とわざわざ飲まなくてもって」
実の言う通り、まだ副担任でやってきた正巳を犯した男とは、そこまで親しいわけでもなかった。実は用事があると言っていかない方がいいと言ってくれたけれど、それを正巳はちょっとした嫉妬だと思ったのだ。
そして最大の理由は、恋人の束縛に少し不満があったからだ。
話し合えばいいことを正巳は言わずに勝手に行動をし、嫉妬だと馬鹿にして参加した飲み会で泥水するまで酔わされて、一次会の会場に参加していた人の前で犯された。
代わる代わる男が正巳のアナルにペニスを突っ込み、中出ししては出て行く。
正巳が助けを求めようとするものの、個室だったのを良いことにおしぼりを口に突っ込まれて押さえ込まれたら抵抗をしようもなかった。
散々犯されたあと、カラオケに連れて行かれてパーティー用の部屋で男たちにレイプされ続けた。
明け方までそれは続き、やっと解放されたのはその日の朝日が昇った後だった。
「けど、こんな正巳が見られて俺は嬉しいよ。正巳、とっても淫乱だったんだね」
「……実っまって……そうじゃ」
「ごめんね、俺はここまでできてなかったみたいだ。でも大丈夫、これからは正巳を沢山満足させるよ……」
「だから、みのるっちがうって!」
暴走していく実に正巳が叫ぶも、実はニコリとして言うのだ。
「ああ、少し待って。そうだよね言い訳をしたいよね。でもちょっと待ってて。この写真と動画取り戻してくるから」
そう言うと実は家を出た。
正巳が叫んでいたけれど、それを置いて部屋を出てすぐにタクシーで探偵が知らせてきた副担任の家に着いた。
「ああ、こんにちは。副担任の山瀬先生でしたっけ? 正巳の忘れ物を取りに来ました。残らず出して頂けるなら、問題にはしませんので、よろしくお願いします」
玄関前で電話を掛け、平然とそう言う実に、副担任はマズイやつだと気付いたのか、全ての証拠品を封筒に入れて玄関の隙間から投げ捨ててきた。
中身は写真とSDカードだ。
動画が多めに撮られているようで、256ギガなのに十枚もmicroSDカードが入っている。
強姦の動画以外にそれを脅しに使ったあとのハメ撮りなども含まれているのだろう。
つまり強姦以外に九回ほど、正巳は求めに応じてここに来ていたということだ。
実はまた副担任に電話をかけた。相手はすぐに出たけれど何も言わない。
「このほかにあった場合、本気で人生終わらせてあげるので、ご友人の方々にも消すようにご連絡をされた方がいいですよ。もし流出した場合ももちろん、お友達の人生も終わらせるのでそのつもりで」
実が何かできることはないけれど、どうせ彼らは同じことを繰り返している。
危ない恋人が確信を持って突撃してくるとは予想もしていなかったのだろうが、すぐに身の危険に繋がるモノは消すだろう。
『け、消したから!』
「ありがとうございます。それではお元気で」
実はそう言うと、副担任の教師は悲鳴を上げていた。
もちろん、最後の挨拶は学校も辞めないとさらに追い詰めるぞという意味の言葉だ。
実は待たせていたタクシーに乗って自宅に戻ると、正巳は台所で見つけた探偵の資料を読んでいた。
見られて困ることは何もないので実はそのままソファに座る。
「……怪しんで調べてたんだね……でもここには、真相は書いてない……」
正巳はてっきり全てが書かれていると思っていたようだが、脅されているのかもしれないのでと書かれている以外に大した内容にはなっていなかった。
「そうだね。でも脅されていると客観的に他人が見ても怪しかったようだから、あとは俺の推察だよ。写真と映像の媒体は取り戻したけれど、あいつが月曜に学校に着てたら俺を呼んで」
「え? なんで?」
「……別に何もしてないよ。お元気でと言っただけ」
実はそう言いながら、タブレットのスロットにSDカードを挿して中身を確認する。
どの動画も十分以内の動画で、合計で12時間近く一本に入っている。
番号が新しい方から再生すると、確かに正巳は抵抗をしていたけれど、居酒屋でのレイプは二時間近く行われていた。
最後の方は疲れて抵抗なんてできなかっただろう。
男たちの性欲は止まることを知らないのか、二次会のカラオケに行くと常に正巳はソファで犯され続けていた。
ハメ撮りはもちろん、正巳が騎乗位で腰を振っているところまでも写っている。
カメラを向けられると、正巳は嫌だと言いながら絶頂をする。
カラオケのトイレまで行ってやっているから、カラオケ店もきっとグルだ。
二枚目からは後日になっている。
やはり男たちに犯され、慣れてきたように腰を振り、レイプをされる正巳だ。
全部を見ると十二時間も掛かるので、気になるものだけ再生をして、実はたっぷり二時間以上その動画を見続けた。
その様子に正巳は青ざめた顔をしたまま黙ってソファに座り続け、実が見終わるまで待っていた。
正巳ももうどうしたらいいのか分からないのだ。
実は声を荒げずにおかしなことを言いだしている。正直怖いし、逃げたいけれど、実がおかしいのは正巳が正直に話さずに男たちに犯され続けたのが原因だから、実を置いて帰ることもできなかった。
「……不満あったんだよね? 俺の束縛と脅されてするセックス、どっちがよかった?」
実がそうニコリとして聞いてくるから、正巳はもう駄目だと思った。
実は正巳がよがり狂っている動画まで見ている。自分の時のセックスと明らかに違う正巳の姿に、実がそう思うのは仕方のないことだった。
「……まって……俺は……したくてしたわけじゃ……」
「じゃあ、何だったの?」
「知られたくなくて……」
「でも結局知る羽目になるよね。こうやって偶然に突然にね。だったら最初から素直に話した方があいつらを助長させずにすんだよね?」
実がそう言うので、正巳は返す言葉がなかった。
「見てよ、正巳。こうやって何回も犯されたくて通ったんだよね?」
そう言って正巳は自分が犯されているのを見せられる。
しかし実がそう言うのも仕方がないような映像だった。
『あっ、あっ……、ひっきたっおち○ぽっあ゛っ、あああぁぁっあ゛ひっ、深い……ああっおち○ぽ大きいっ、いいっ……、あっ、あっ、ふかいっああんっそこまでらめぇっ……、あっ、あ゛ああっああんっあああっ!』
正巳が男に跨がって腰を振り、喜んでいる場面が多くあり、実がそれを見て絶望するのは仕方ないことである。
『ああっ……、あ゛っはああーっ……いいっああんっおち○ぽ! あああぁっ! おちんぽはいってるよぉっ、おちんぽが、おま○こにぃああぁんっひあっあ゛っん゛っあっ凶悪おち○ぽっらめぇっ……ひああ゛っあんっあぁんっ」
「いやぁぁっ!!」
それを見せられる正巳も正気を失いそうだった。
必死で耐えたと思っていたのに、何一つも耐えていない映像を見せられて、喜んでいたと言われたら否定もできなかった。
そう絶望する正巳に動画を見せつけるために、実は大きな画面にその映像を映し出す。
大きな画面に映し出されると、さらに喜んでいる正巳の顔がアップになる。
『あ゛ああんっああっ!! ああああっあっぁっあっ、いいっ、おちんぽっきもちいいよぉっ……、あああぁんっ』
それを見せられ、正巳は四つん這いにされる。
もう実に何をされても何か言えるほど正巳は強くもなかった。
実が気の済むまで実の好きにさせるしかなかった。
実はそうなる気がしていた。
正巳は普段、結構気が強いのだけれど、結局のところ心が弱い。追い込まれたら悪い方へと転がる選択しかしない。
今回も同じだ。
実を怒らせたくないからこうやってされるがままになる。
ただ問題なのは、その心以上に身体が快楽に弱かったことだろう。
正巳のスラックスを脱がし、下着も脱がしてアナルをローションの付いた指で弄ると、アナルは簡単にほぐれた。
どうやらあのホテルの騒動前にどこか学校内でセックスをしていたようだ。
「学校で教師が盛るなんて、はしたないよ正巳」
そう言いながら遠慮しないで、実はペニスを正巳のアナルに突き挿入れた。
「はぁんっ……あっあっあひぃっ! あっあぁっ、あひぃっ……、らめっ、あーっ……」
正巳は抵抗をするどころか、いつも以上に興奮しているようだった。
どうやら脅されてするセックスが好きなようで、危機を感じながら犯されることで興奮を得られる身体になっているらしい。
それに気付いて実は電動スイッチでカーテンを開ける。
その窓から見えるのは、目の前にあるホテルだ。
ビジネスホテルで十階建てくらいのものであるが、七階辺りから見下ろすと、部屋の中が丸見えになるのだ。それを知っていて実はカーテンを開けたのだ。
「いやっ、らめぁっ……そとからみえっるっああっ……、あぁっ、こんなっ、はぁっ、はぁっ……こんなとこでこんなっことっ……あっぁんっ」
「そのイヤラシい腰つきを見て貰え……ほら、正巳、いつもより締め付けてるよ」
「あーっ……はっあぁっ、あっああぁっあひぃっ! あんっ……あっあっあああぁぅっあっやっ! あぁーっ……らめぇっ、んっはぁっぁああっ」
確かに正巳は犯されている時の方が感じた。
普通にセックスをするよりもずっと気持ちが良く、駄目だと分かっているのに我慢擦ればするほどいつも以上に絶頂もできた。
そのことを実は見抜いているから、もうきっとあの暖かいセックスは一生して貰えないのだ。
裏切るということはそういうことであり、二度と信用もされないということだ。
「あぁっあっ、あんぅっ……、や、あぁっあーっ……ひっ、ああっ、あぁあんっんっんっ……はぁっぁ、あぅんっすご、いっ……ひゃぁっあっはぁっ、あぅんっ!」
「何処の誰に見られているのかも分からないのに、そんなに腰を振って喜んで、犯される方が好きだなんて……正巳は本当に淫乱で変態だっ」
そう言われて尻を叩かれる。パンパンと痛みを感じるのに、口からは涎が垂れ出て、ペニスからは射精をした。
「あぁあああっ……あああっ、あぁああぁんっ……やぁああっ! あっいいぃっひぅっ、あっ、あぁんっ! あぅっあっあんっいいっ、んっ、ひああぁっいいよぉっ」
尻を叩かれるたびに射精をしてしまい、正巳は明らかに自分が犯されている動画をみて興奮をしているのが実にも分かった。
「これが望みだなんて……早く言えば良かったのに。もっとしてあげる……何なら知り合いの男たちを呼んで同じように犯してあげるよ……」
「ああっんっいいっ……おま○こっ……ああんっらめっおかしくなる……ああんっああいいっきもちよすぎるっああん! あぁあっああんっ……もっ許してぇっ……おかしくなっちゃうっ……、おま〇こ、おちんぽっああっ……あっ、あああぁっ……らめっおちんぽっおちんぽ……ああんっいいっいいっああああっ!」
正巳は狂った実によって、一番バレたくない部分を暴かれた。
乱暴に犯されるのが好きで、脅されて緊張した状態でされるのも好きだった。
「ああっ……ああんっ……んっあっあああっああっああっんっああっんあっあっあっああっあ゛あっ……んっあっ、あ゛っ、あっあっあっあああっ! んあっん……あっあああっ……あんっあっああっああっんあっあっはあっんっあっ、ああっあぁんっ」
そして今脅してくる実の乱暴な腰つきは、正巳の好みだった。
「いいっああんっおま○こっいいっきもちいいっああんっあああ゛あっいいっ、らめっあ゛あっ、らめっ、おま○こゴリゴリしてるっ……ひっあっ、あんあんあんあんあんっああんっ!!」
腕を捕まれて胸を突き出した状態で後ろから突き上げられて、正巳はペニスから精液を垂れ流しながら、何度も絶頂をした。
「ああっらめっゴリゴリしちゃっ……ああんっおちんぽっおおきいいっああんっ……ああんっいいっ……きもちいいっおちんぽ……ああっあ゛ああっ……あっ、あ゛っ、らめっらめええっ、あ゛あああぁっあ゛っい゛っ、あっんっ、、いくっあ゛あ゛っあっらめっあ゛っんっ、あっ、あぁっ、いくっ、いっちゃうっ……あぁあああん!」
ビュービューを吹き出る精液を撒き散らかし、断続的に精液を吐きながら正巳はさらに強く実に突き上げられた。
「ああ……すきっおちんぽっ……すきっああ……きもちいいっああんっおま○こゴリゴリされて……ああんっいいっおちんぽっきもちいいっああ……いいっおちんぽっ……おちんぽっああんっきもちいいっああんっあっあ゛っ激しぃっ……ん゛ああんっあ゛っあっあひっ……あ゛っあっあんあんあんっ」
実はきっと正巳とは別れない。
他の男に汚されたいなら、実はそうしてくれる。
むしろ犯されている正巳の映像を見ながら勃起できる男だった。
それは正巳にとってはいい誤算で、当分このネタで実に脅され続けるのだ。
「ああっすごいっおちんぽっすごい……ああんっきもちいいっああんっあああんあ゛あああっ……あぁっあっいいっ、ああっあっあんっあぁあんっ」
実は正巳がそう考えていることを予想した上で、正巳をコントロールする術を思いついた。
明日から正巳は知らない男たちに汚され、そしてその映像を見せられながら実とセックスをすることになるのだ。
「ああ……ああっんっああんっんあっあああんっああっ……きもちいいっああんっああっいいっおま○こっ……ん、いいっ、おま○こに出してっあっあんっ、おま○こに、精液出していいっ……俺のおま〇こでイってっあっ、もっときもちよくしてっあっあ、ああああっ」
今まさに、映像の中の正巳が絶頂をしているシーンで正巳は絶頂をしている。
実が窓の外を見ると、二、三の窓から人がこちらを覗いていて、完全にオナニーをしているのが見えた。
豪快に絶頂をしているのが男であっても、ビジネスホテルなら一人で泊まっている人ばかりだから、きっと男ならセックスをしている人を見て興奮をするだろう。
そんなホテルに向かって実は電話を掛ける。
こちらを見ている男たちを招待して言うのだ。
「うちの淫乱彼氏を犯しませんか? もちろんただで、今からすぐに」
そう言うと窓から明かりが消えて、十分もしないうちに実の部屋に数人の男がやってくる。
それを実は招き入れてニコリと言った。
「さあ、どうぞ、淫乱くんはあそこです。この部屋では自由に犯せます。好きなように乱暴にお願いしますね」
その言葉を聞いた正巳はニコリと微笑み、実を見る。
実はニヤリと笑い、カメラを構えるのだった。
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