151-愛よりも深く
1
その島は、周辺の島よりも小さく、人口はたったの十人。
そのうち、老人が三人、教師が一人、大人が二人、子供が二人、漁師が二人だった。
大人二人はほぼ本土の仕事場に赴任しており、その子供は老人の一人に預けられている。
有井という一族がこの島に住み始めたのは、江戸時代だという。
それから百人あまりの人口にもなったけれど、戦後から人は減っていき、とうとう十人しか住んでいない島になった。
そしてつい最近になり、老人の二人が介護施設に入り、住んでいるのは有井家の本家の人間だけとなった。
漁師もやがて島から本土に近い島に移り住み、島人は老人と子供二人だけになった。
そんな島の子供のために派遣されたのが、一条葉介(ようすけ)という教師だった。
ずっと孤島の学校にあこがれ、志願を出し続けていて、巨大な学校からの転任となった。
島に来た時は希望に溢れ、楽しく暮らせると思っていた。
そして島に来て村長の老人にあった。
老人は子供たちを預かっているこの島唯一の大人で、その子供たちの祖父だった。
「うちは、ずっとここで暮らしてきた一族なんですが、皆、島を出て本土に行ってしまい、もう我らだけとなりました。あの子らもいずれ島を出ますから、最後の子供です。まだ若いですが、とても優秀で塾はインターネットっていうんですか、それで授業を受けているほどです。先生は、その子らのちゃんとした義務教育の書類を書いて下さればいいだけですので、そう張り切ることもないですよ」
七十を超えて腰の曲がった村長はそんなことを言う。
どうやら一条が思い描いていた理想の孤島のキャンパスライフのような生活はとてもじゃないが送れそうもなかった。
なんだか来た早々にがっかりとしてしまい、一条は住まいに案内をされた。
そこら中にある古い家は、すべて有井家のもので好きなモノに済んで良いと言われ、海が見える平屋の小さな家を選んだ。
学校から近いというのもあり、悪くもなかった。
そして学校に案内をされる。
教師は一人だけであるが、校長は別の島にいる人が兼用で校長をやっているという。
「あっちの学校の方が生徒が多いんで、滅多に島にはきません。まあ、うちの子らが優秀過ぎて、生意気だと気に入っておらんようで、一度コテンパンにやり込められてからは一度も来ておりません。ですので、あなたが好きにやっていても構いませんよ」
老人がそう言い、学校すら有井家の思い通りなのだと言っている。
なんだか酷い島に来てしまったなと少し後悔をするも、まだ子供たちにすら会ってないと思い直した。
しかし教室に入ってから、その夢のような島生活は送れないことを知る。
「あ、新しい先生」
「ほんとだ。今日だったっけ?」
「でも、なんかいい先生みたいだよ」
「……そうだね」
その二人の生徒は、一条を見つけて薄笑いをしている。
二人の子供がいると聞いていたが、それは双子であった。
まったく同じ髪型で同じ体型で同じ顔形。見分けろという方が難しく、制服を着ていると区別が付かない。さらには名札をつけてはいなかったので、どっちがどっちなのか初対面の一条には分からないのは仕方がないことだった。
まだ少年であろう双子であったが、身長はとっくに一条の百七十を追い越しており、百八十センチ近い身長の二人だった。
一条は可愛い小さな子供とのドラマであるような島生活が楽しく送れるはずだった未来は一瞬で消えたことを知る。
明らかに若い成長期が訪れ、声変わりすらしている青年と言っていい様相をしている二人を相手に、キャッキャウフフという楽しい生活は送れそうもなかった。
「これ分かる、先生?」
そう言われ、絶望の淵から呼び戻された一条は、差し出された問題を見て真顔になる。
それは大学で出される試験問題の数学であり、東大、京大クラスの難しさだった。
それを一条はすっと眺めてから、教壇に立ち、チョークを握るとその数式を黒板に書いていく。
長い式は黒板一杯になり、上下式の黒板を使って最後の答えまで書いた。
コンと最後の証明をチョークで叩いてから言った。
「あってる? 久しぶりにここまで難しいの解いたから、自信はないけれど」
そう一条が言ってみると、さっきまで一条を見て薄笑いだった双子が真面目な顔をしている。
上から式を一緒に読み解き、そして最後まで見た二人は言う。
「……あってる……」
「……ほんとだ……今まで解いたやついなかったのに……すごい」
そう言われてしまい、一条はホッとする。
どうやら間違えてはいないようで、教師としての面目は保てたらしい。
「……じゃ、じゃあこれは?」
そう言われてまた違う問題を出されたので、一条はそれも解いてしまった。
別に京大や東大を出たわけではなかった。附属の進学校に中学受験で入ってからエスカレーターで大学まで出て教師になった。だから実力的なものは分からない。
奨学金を受けなければならなかったので、大学のランクを上げて無理をして卒業できなかったら無駄になると思い、附属のエスカレーターで上がり、大学でも奨学金を貰うためだけに勉強をしてきただけだ。
学年首席や次席だと、奨学金は返金無しの支給になるのだ。だからそれだけのために頑張ったのだ。
そんな一条の事情は知らないだろう二人には、二流の大学出身の一条が東大レベルの数学を解いてしまうことがどうしても納得ができないことだったらしい。
「なんで?」
どうしてだと問われたので、一条は軽く自分の境遇を話した。
「家が一般家庭なんだけど、進学校に入って中学を卒業する時に親が死んでね。親戚に預けられることになって進学校に通わせるお金がないと言われて、それで成績上位だけが貰える返金しなくていい奨学金を得て、大学まで卒業をしたからね。成績を落すと即奨学金が打ち切られるから、必死に勉強をしたよ」
そう言い一条が笑う。
だから私学は目指せなかったので自分の実力がそこまであるとは思っていないという。
しかしそれで双子の態度が変わった。
真面目に席を立ち、一条の前で自己紹介をした。
「有井太門です」
「弟の一行です」
二人は同じ顔をして、同じ動作で一条に言った。
一条はそれを見て笑顔になり、手を差し出した。
「一条葉介だ。君らの高校卒業までの授業を担当する予定だ。宜しく」
一条のさわやかな笑顔に、太門も一行も顔を赤らめている。
一条は二人と握手をした。
来た早々に味わった、双子の祖父の嫌な印象はここで打ち消された。
けれど、職員室に案内をされ、使っていいものなどを説明を受けている間に、また祖父が言うのだ。
「まあ、悪いことは言わんから、速めに帰った方がええ。あんた、いい人みたいで苦労もされてるようだから、これ以上はね」
何かあるかのように言われてしまうのだが、それがなんなのか言っては貰えない。
結局、祖父からはそれ以上の警告はなく、一条は学校生活をゆっくりと開始した。
2
双子の成績は全国模試で十番以内である。
目眩がするほど頭の良い二人であるが、いかんせん義務教育を終えていなかった。
なので、なんとか授業を行い、卒業に当たるところまで眠くなるような授業を続け、一年でやっと高校生になった。
高校になれば本土の高校に行くのだろうと一条が思っていたら、双子は結局高校もここで過ごすという。
どうやら、外で人に合わせて勉強をすることが苦痛で、一度は本土の学校に行ったけれど合わずに二人は島にとんぼ返りをし、さらには船で行く学校では校長と折り合いが悪く、祖父の力で一度は閉鎖した島の学校を臨時で復活させた。
一条は一応、高校までの授業を受け持つ予定で赴任していたが、双子が本土の学校へ行くならば、また転任になるはずだった。
けれど双子は何処にも志願書を出さず、持ち上がりで島の学校にそのまま通うことになった。
「葉介さーん、新しい制服、いいだろ?」
「俺も俺も~」
太門と一行が一条に制服を見せて盛り上がるも、いつも見知った顔なので一条はクスリと笑って褒めてやるだけだ。
「ああ、ブレザーにしたんだな? 詰め襟は飽きたか?」
制服は自分たちで選んで作っている特殊な環境なので学校指定というものがない。本当は別の島の分校なので同じ制服にしなきゃいけないのだが、双子はそれを無視してしまい、私服可能の校則を勝手に作り、そこからブレザーを選んだ。
「本当は私服でも良かったんだけど、なんか学校以外で葉介さんにあっても新鮮みがないから、面白くないって太門が言うからさ~」
そう一行が言い、太門が真顔で言う。
「葉介さんが背広姿なのと、家で普通の格好してるのを見たら、俺ら興奮するじゃん」
そう太門が言うので一行も納得する。
「あーそれはあるかもって思ってね。ブレザーの制服だったら校長も許すっていうし」
「ああ、また校長に無茶言って折れさせたんだ?」
思わず一条は苦笑する。
校長と双子は常に喧嘩をしているが、一条は蚊帳の外である。そうしてずっとやってきたらしく、もはや様式美である。
そうしていると、一行が一条にキスをしてくる。
唇を狙ってきたキスに一条は一瞬驚くも、仕方なく受けた。
息が苦しくなるほど繰り返した後、太門が同じように一条にキスをする。
「……んんっはっあっ」
一条が双子を受け入れるきっかけは、高校入学だった。
勉強をすることがないという双子は、高校にいかないと言った。
しかしこの世の中、大学まで卒業をしていないと就職は難しい。このまま島にいるとしても、そのうちその学歴と習ったことが必要に迫られる。
たとえば、双子の祖父が学校の校長だったり村長だったりというのも、そのために必要なことだった。
誰も居ない島だからこそ、他に移住者が出た場合、島ごと乗っ取られないように最低限の資格や経歴が必要だと一条は言った。
それに双子は条件を付けた。
「それじゃ、俺らが高校に進学したら、葉介さん、抱かせて」
双子でも真面目でありながら、最初に何か企むのは太門だ。
それに賛同するのが一行で、一行の行動は素早い。
「じゃ、予約ね!」
そう言うと一行は一条が唖然としている間に頬にキスをした。
「何して……いや、そもそもだな……」
未成年をどうこうなるわけには絶対にいけない教師という立場である一条が断ろうとするも、双子は。
「じゃあ、高校にいかない」
「俺らはこのまま島で生きて島で死ぬ、葉介さんは他の赴任地に行く。それだけだ」
これまで和気藹々とやってきたのに、いきなり大きな線を引かれ、さらには溝すら開き掛けてしまい一条は慌てた。
この島は静かだった。それがだんだんと気に入っていた。
島を離れたくなくなってきていて、できれば帰りたくはない。
双子が本土の高校に通ってしまっても、また島に時々戻ってこようと思っていた。
しかし、双子はそれすらきっと許してはくれないのだろう。
その双子すら、一条は好きだった。
自然で育った逞しい身体と、それとは似合わないほどに明晰な頭脳。アンバランスな双子の二人にすっかり一条は心を許していた。
そう、二人が一条を抱くことを許せるほどに。
そう思い悩んでいると太門が言った。
「悩んでるってことは、そうする価値があるってことだよね?」
「……いや、駄目だ。それは全てが許さない」
悩んでいることを悟られてしまい、一条は気持ちを隠す。
自分は教師で、相手は生徒。そして未成年である。
それに気付いて、一条は言い切った。
「そう、じゃあ俺らは高校にはいかない。島から出ない。先生は単身赴任先で頑張って」
「ざーんねん、仕方ないね」
二人はあっさりと引き下がった。
けれどそれから学校には来なくなった。
卒業資格はもう得られている、これ以上必要がないという理由で学校を登校拒否してしまい、本当に彼らが中卒で終わってしまう。
それに一条は苦悩した。
あれほどの頭脳をこんな島に沈めるのが、この自分であるという事実にだんだんと耐えられなくなってくる。
何をしても生徒を守ると思っていたのに、それすらできない。
そう悩んでいる時、島に無断で上がり込んだ釣り客を見つけた。
島の反対側で釣り客は好き放題しており、あまり良い印象はなかった。
「何している、ここでのキャンプは禁止されているし、お前らが持っているアワビを捕るのも違法だぞ!」
そう一条が大声を上げて近くまでいくと、彼らは逃げるどころか一条に襲いかかってきて、船に連れ去ろうとした。
「なんか、いい感じに美味しそうなのがきた」
「いいな、食おうぜ。ここのところ女っ気なかったし」
そう言いながら三人の密漁者によって一条は犯されかけた。
全裸にされ、口を塞がれて押し倒されて、もう駄目だと思った時に、双子が現れた。
「何してやがる。てめーら、殺すぞ!」
双子が一斉に叫び、手には猟銃を持っている。
一発空に向かって発砲して、どんどん近づいてくるから、さすがに密漁者も慌てて一条を置いて船に逃げ込んでいった。船はあっという間に去って行って、その船に目掛けてまた太門が発砲している。
もちろん、距離が遠くて当たらないけれど、威嚇にはなったはずだ。
「先生、大丈夫? 駄目だよ、密漁者に近づいたら。あいつら粗暴だからこうなっちゃうんだよ」
一行がそう言いながら一条の服を掻き集めてくれて着せてくれる。
それにやっと助かったのだと気付いた一条が言う。
「怖かった……一行、怖かった」
「うん、そうだね。もう大丈夫」
そう言われたが、次に太門が言った。
「先生、明日島を出てくれ。今日はたまたま俺らが見回りをしていたから、先生は助かったけれど、これから春にかけて密漁者が増える。これ以上手が回らないから、この先同じ事があっても守り切れない。はっきり言うと邪魔だ」
そう太門に真面目に言われ、一条はそれで涙を流して泣いた。
「……もう、私は必要じゃないってことか……」
それに対して双子は言うのだ。
「そうだよ。先生は俺らのモノにもならないし、教師としては役割を終えている。もうこの島は先生を必要としていないよ」
一行は無情にもそう言うので、一条はとうとう言った。
「わ、私だってお前たちが好きだ……でも駄目なんだ、全てが、教師としても、大人としても……許されないんだ……」
好きだけれど、法律も何もかも許されないことだ。
それには双子も予想はしていなかったらしく、驚いているようだった。
「……大丈夫、島の人はいないし、誰もいない。俺らだけだ、他の教師にバレようもないし、じいちゃんは知ったとしても何も言わない。じいちゃんは俺らの言う通りにしてくれる。最初に葉介さん、じいちゃんに出ていけって言われたよね?」
「言われた……」
「あれは、葉介さんが俺らの好みにぴったりな人だったから。頭が良くて苦労もしていて、さらには孤島にあこがれて、同情して流されそうな人。俺らにつけ込まれて、きっと逆らえないって判断されたからだよ」
そう一行が言って太門が言う。
「だから、明日、島から出て行ってくれ。同情も要らないし、流されて後悔するなら、俺らの前から消えてくれ」
太門が泣きそうな顔でそう言った。
それが彼らの優しさで、一条が貫きたい思いを分かってくれて逃がしてくれるというのだ。
明日、島を出れば一条はきっと教師としても、大人としても法律は守れる。
彼らを失恋させれば、それで後悔はしないし、きっと思い出になる。
あとで、ああよかったと思うはずだ。
それが分かっているのに、一条はその時の気持ちを抑えることができなかった。
「いやだ……私を……置いていかないで……もういやだ……」
ボロボロと涙を流して必死に訴える一条の様子に双子はハッとする。
「もう一人はいやだ……置いていかないで」
子供のように泣く一条に、双子は慌てた。
一条は両親をいきなり亡くし、親類に引き取られてから家族というものを知らないまま生きてきた。親類は優秀な一条には興味はさほどなく、優秀だったから仕方なく面倒を見ただけだ。けれど高校になって寮に追いやってからは、その親類も保護者としての最低限の役割はやってくれたけれど、それだけだった。
だから一条はずっと一人で生きてきた。
せっかく仲良くできていた二人にいきなり拒否をされてしまい、一条はパニックを起こした。
「……もう……いやだ……一人は……」
「泣かないで……葉介さん……」
「ごめんね、置いていかないよ……意地悪してごめんね」
双子は一条を抱きしめて泣き止むまで慰めた。
結局、一条は素直になり二人を好きだと認めた。
けれど色々と三人で話し合いをして、高校に進学すれば一条はその身を双子に与えると言った。
「これが妥協点だよ……そうじゃないと私がここにいる意味がなくなる」
島に残るためには、双子が高校に進学し、一条が島の高校の教師になることが条件だった。一条は孤島に赴任する時に中学、高校までの指導ができる特別資格を貰っていて、この島だけならば高校まで授業を受け持つことができる。
「ううーん、それなら仕方ないなあ……」
「大学は行かないからねっ」
そういう双子に一条は言う。
「そうか……大学に行くならその周辺の学校に転任する予定だったんだけど」
一条はそう言う、教師を辞めるという選択はしないらしい一条に、双子も条件を譲ることにした。
「……分かった……葉介さんは教師を続けるから、島には最終的には残れないってことだよね?」
「そうなるね、休みごとに来ることはできるけれど」
船便があるわけではないが船で来るとなると、県庁所在地のある港から半日もかかるから通うのも一苦労である。
「じゃあ大学は行くけど、その後は俺らに譲って」
太門がそう言うと一条は笑って言う。
「それでも君たちがこの島に帰って暮らしたいなら、その時もまだ私がいいなら、君らに未来を譲るよ」
そう一条が最低限の資格を双子に与えることにしたことで、二人はやっと納得したように一条の条件に従った。
けれど、高校時代も一条は身体を繋げることはせず、キスのみで過ごした。
健全な関係を続け、双子も教師である一条の倫理観を大事にした。
それから双子は妥協して一条が赴任する同じ県の大学に通い、日常生活を送る。
一条も周辺地域の小学校に赴任し、毎日忙しく暮らした。
家には双子も通ってきたけれど、大学を卒業するまでキスのみの清い関係を続け、双子の大学卒業と共に一条も島に戻った。
双子は島で独自の研究を続けていく天文研究者となり、祖父の力を借りて天文台を作り研究を重ねる。
一条もその研究を手伝う事務職となり、小学校教師を退職した。
3
島に帰ってからは、さすがの双子の祖父も一条のことは認めた。
むしろ双子に学を与え、仕事もできるくらいに育ててくれたことに感謝したほどだった。
残りの人生は双子が良いように暮らせばよかったし、その手伝いをする一条のことも一族として認めて、一条はその祖父の養子になり、一条は有井葉介となった。
一条家の人間はもう葉介が他人になったことで面倒ごとがなくなると喜んだ。けれど養子先が有井家と知って金の匂いをかぎつけて、養育費を返せと寄ってきたけれど、有井家が弁護士を出し、養育費どころか、葉介の遺産を食いつぶしている事実を突きつけたとたん黙ってくれた。
葉介は双子の叔父になるのだが、そんなことは同性愛者には家族になる以外の意味はない。
葉介はそうして有井家の人間になってやっと家族ができた。
双子の両親は県外で仕事をしているが、すでに三男、四男という子供もいて、そっちはそっちで楽しく暮らしているという。
だから葉介が養子になって兄弟になったけれど、まったく気にもとめていないどころか、フラリとしていた双子の矯正に成功したことで、好きにどうぞと言うだけだった。
島には有井家の四人しか住んでいなかった。
漁師は年をとって家族の元に引っ越したし、新たな入植者を募集していない島に誰かが住み着くこともなかった。
「ああ、あああ! やあぁあっ……! や、だっ……あ、んんぅう!」
仕事の合間に葉介は双子たちと身体を繋げる。
島に帰ってきて真っ先に双子がしたかったことだったけれど、本当の家族になるまでは区切りだという葉介の気持ちに合わせて双子は耐えた。
そして家族になった書類が届いた時、双子は葉介を抱いた。
「あぁあっ、はぅん……っ、あ、あ、あっひぁあああっ! あぁ……っ、あぁ……っ」
出会ってから八年、お互いに触れたいと思いながらも未来のために性欲を後回しにしてやっと結ばれた。
それはお互いの箍を思いっきり外すことになり、島中で誰も見ていないからと、何処でも平然と盛り、なるべく祖父に見つからないように自宅付近のみを禁欲地区にしたくらいに、何処でも盛っていた。
「あぁっ……、あ、ぁんっ、あっ……あつ、い……っん……っ、んは……っ」
「葉介っああっすごい、しめつけっ」
今は一行が葉介を抱いている。その横では太門が自分のペニスを扱いている。
「ああ、葉介……本当にエロい身体をしてる……」
太門はペニスを葉介に見せるようにして扱いている。
次はこれを入れてやるんだと言う風に見せつけるのだ。
「んは……っ、ぁ、……は、はぁ……っ、や……はぁ……っ」
一行に突き上げられて葉介は喘ぎ、身体を揺すられて嬌声を上げる。
その艶めかしい動きに、双子たちはやられてしまう。
「ひんっあゃ、ん……、やめ、どこ触っ……やあ……っあ、ゃ、やだ……っ」
「葉介、エロいんだもん」
そういいながら葉介の乳首を弄り、ペニスを擦っていく。
「や、ぁん……っあふ、……ぁ、あ、やだ……っ」
とてもじゃないが耐えられないくらいに全身で感じて、葉介は身体を震わせて絶頂をする。
「あっ……、は、はっ、あぁ、あ……っあぁ……っ、ぁん、あぁっ、ああ……っ」
それに合わせて一行が葉介の中に射精をする。
精液がたっぷりとアナルに注がれて、葉介は気持ちよさにまた絶頂をする。
それでもドライオーガズムで達しているので、快楽は継続する。
「じゃ、次俺な」
太門がそう言い、一行が葉介の中から出ていくけれど、それを同じ大きさのペニスが葉介の中に入り込む。
「やぁあっ?! あぁっ、あぁん……っんはっ、あぁっ、あああっ! やぁ、らめぇ……っおま○こ、やぁ……っ!」
一行と太門のペニスは大きさは変わらないけれど、ペニスの長さが少し違う。一行のペニスは少し短いが太さがあり、カリがいいところを擦り上げやすいのに対して、太門は長く奥まで届き、そのカリが違うところに当たってくる。
さらに動きは二人とも違う。
一行が高速で動くのに対して、太門はねっとりとゆっくりと浅く深くと多様だ。
「やぁあっ! あつ……っぅあ、あ……っやぁあっ! あ、あっ――!!」
緩く早くと蠢かされ、葉介をどんどん高められる。
「ひぁあ……っあっ、あっ……あぁっ! ふぁ……ぁ、ん……んぅうう!」
双子とセックスをするようになって、葉介は自分が快楽に弱い人間であることを知った。もし双子と高校時代にセックスをしていたら、きっと二人を駄目にするほどセックスに溺れてしまっただろうと思うほどだ。
「ぅあぁあ! ぁひ……っ、ひぃい……っ、あっ、やっ、ああ……っ! いいっああっこれっ、いいっあああっあっ!」
「葉介……、気持ちがいい……すごい、いつでもやってるのに、どうしていつも今が一番って思うんだろう……」
「んは……っはぁ、はぁ、も、ぅあっ、も、ムリ……っ! ひぁああああっ!!」
いつでもセックスをしている時が一番快楽を得られていると思えると太門は言う。それに一行も頷く。
「そういつでもやってるときが一番気持ちが良いって思えるんだよな」
「あっあっあっあっ……! んひゃぁぅ……っ!」
一行に乳首を弄られ、ペニスも扱かれ、アナルは太門によってペニスで突き上げられて、多方面を刺激されて快楽を感じて、また葉介は絶頂をする。
今度は射精をしたかと思ったが、お漏らしのように潮を吹いた。
「やっ! あぁっ! な、やぁ……っ、止まらな……っ! あっ、あぁあっ!」
ジャージャーッと激しく液体がペニスから出てくるが、扱かれる度に潮を吹き、ペニスで奥を突かれるだけでも駄目だった。
「あっ、あぁっ、ゃ、やだぁあ……っ! あっあっ、ダメ、ダメ、そ、そこだめ……っやめ、あぁっ!」
そうしながら突き上げ続けると、葉介は尿を漏らした。
「あ、やっぱり漏らし癖付いたよな?」
派手にペニスから透明な液体が吹き出ているのを一行が葉介のペニスを持って飛び散らないようにしているが、双子たちはそれをどうも思ってなかった。
「ああ、もう追い上げられるとそうなっちゃうな。それだけ気持ちが良いってことだし、俺らにしか見せない放尿シーンだからいいもんだよ」
「それ、言える……こんなところまで見ても、エロいとか思うんだから、俺ら葉介に惚れ込みすぎだけどな」
「まったく、気持ちよくて漏らすのが可愛いとか、ほんと来るところまで来たな」
そう一行と太門が話しているが、その下で葉介はまだ絶頂感を味わっている。
放尿するまでイクと、葉介は完全に壊れてくる。
そこまでは一応の羞恥心もあるし、あまりにやり過ぎると怒るけれど、この辺りから葉介の思考はもう完全に快楽に支配されて、双子がしたいだけしても何処までも付いてくるようになる。
「あっ……あぁ……ん、だめ、はーっ、はーっ……おま○こ気持ちがいいの」
「あ、スイッチ切り替わったよ」
「ひぁっ……あああっ、あんっ、うぁ、あっあっおちんぽよすぎる……ああんっ」
「やば、中がすごいうねってきた、やべっとこっから本気出さないと、もってかれる」
太門が焦り、挿入を速めて葉介を犯すと、葉介はそれに嬉しそうに笑う。
「あぁんっ……きもちぃっ……あうっ、ん、はぁっ、あっあっ……おま○こされて気持ちがいいのっああん」
どうしようもなく気持ちが良いから、もっとして欲しいと腰を振り始め、その激しい腰の振りに太門も翻弄される。
「ああんっ……もっと、おま○こ壊れちゃうくらいっあっ、あぁっ……あああぁっ……いいっ、いいっ、ひっ、おま○こでいくっあっああぁーっ……」
派手に身体を震わせて葉介が絶頂をするも、潮を吹くだけ吹いてるだけで、射精はできないまま半ドライで達している。
「あ゛あぁーっ……いい、おま○こにまだはいってる、あ゛あぁっ……、おちんぽこすれてるっ……、おま○こ、いっぱいになってる、あ゛っあんっあああぁっ……!」
「くそっ、本領発揮じゃんっ……もってかれるっ」
「あ゛っ、あああーっひあ゛っあっあっあんっあぁっあひっいっあああっ、しゅごいっ、おま○こっ、犯されてるっ……! おちんぽでごりごりされて、あぁっんっあ゛っ、いいっきもちいっ、ああぁっ、いいっ、あっ、あーっ……」
葉介が絶頂をしていようが太門は葉介を犯し続け、やっと絶頂に向かった。
「ふあぁっあ゛っあんっセックスっすきっすきっ……! ああっい゛いっ……太門のおちんぽきもちいっ、んっあ゛っああっいくっいくっああああんっ!」
葉介が連続で絶頂をするのに合わせて、太門も葉介の中で絶頂をする。
精液を感じながらも葉介の目の前で完全に勃起したペニスを扱いている一行のペニスが目に入り、それを葉介は欲しがった。
「あぁんっ一行のおちんぽも、ちょうらいっああっ……あひっ、いっあ゛っあーっ、あーっ」
葉介に強請られて、一行はすぐに太門に変わって葉介を犯し始める。
「あ゛ああぁーっ……あひっ、あ゛っいっあ゛っんっいいっ、あああっひっああぁっ! あーっああぁっ……ふーっ……あっ、あっ……あ゛っ、あああーっ……あ゛っ、あ゛っ、ああぁっ……! あひっ、い゛っ、あっあ゛っ」
「葉介っ……すごいっ相変わらず、こうなると搾り取るくらいに締め付けてくるっ」
「あ゛っあああっ! もっとしてっおま○こしてっあっあ゛っあんあんあんあんっ! ああぁんっあぁっあ゛っあーっあ゛あーっ……あひっ、んっあ゛っああっおま○こいいっ、一行っきもちいっ……うぁっんっあっあぅっいいっああんっきもちがいいっおま○こいいよおぉ」
「俺も、気持ちいいよっ葉介っ」
「あぁあんっ、おま○こ気持ちがいいっ、いい、一行のおちんぽもいいっああっ、きもちいっ……おちんぽいいのっあ゛ーっ、あ゛あぁんっあ゛うっ、おちんぽ、はげしっ……いっあ゛っあんっふあぁっ」
「くそっイクっいくっ」
「ああぁんっ、イって、おれのおま○こでイってっ……っ ふあっあ゛っあんっあんっああーっひあ゛っああっいいっおちんぽはげしいのっいいっあああっあ゛っひっあんっあんっあんっ……あぁっあ゛っうあああっ」
一行がすぐに中で射精をして、精液を吐き出すとそれに合わせて葉介も絶頂をする。
その絶頂でやっと葉介はペニスから精液を吐き出して、断続的に精液が吹き出ている。
「はぁっ……はぁっあぁーっ……ふあっ、すごいっ……あぁっ、あ゛、あーっ……はあぁっ……んっ、あっ、あっ……」
「出た出た……ふう、すげえわ」
「じゃ、次俺な、何度でも抱いて中でどんどん出してあげるからね」
そう言い、一行が出て行くとまた勃起した太門のペニスが葉介を犯す。
「ああぁっ、いい、きもちい……っ、はぁあああ……! ふ……んっ、ん……んんん……っは……はぁ、あ……っん、んんっあっ、は、く……あっ、ああっ……うあ、あっ、ああ……っはぁん!」
ほぼ三人のセックス部屋になっている家は、港付近の家だ。
けれどほぼ外でセックスをする癖がついてしまい、堤防の上で盛っていても誰にも見つからないし咎められないから、葉介を放尿させてその気にさせるためには外の方が都合が良かった。
島は、三人を否定しない。
誰もいない。
三人だけで世界が完結している。
そのまま三人は死ぬまで共に生きる。
それでいいと深い愛でお互いを見つめ続けた。
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