129-heavy rain


 会社を出た時はまだ小降りだった雨は、電車を降りて自宅まで五百メートルというところで土砂降りに変わった。
「うわー、これ濡れて帰るか、小降りになるのを待つかだよな」
 中河は自宅へ五百メートルとはいえ、ずぶ濡れ覚悟で帰るのか、この閉鎖された居酒屋の軒先で小降りになるのを待っているかの二択を迫られた。
しかし買ったばかりのスーツと靴。濡らしてしまうのは惜しかったし、ここまで濡らさないように歩いてきたのだから、ここは小降りになるのを待つしかなかった。
 午後七時を回った商店街から少し離れた居酒屋は、周囲にあった店はもうシャッター街になっている。昔は栄えていたらしく、看板や雨を防いでいる軒先のテントに書かれている文字が完全に二世代前のノスタルジックな仕様である。
 十年前まではまだ開いている店もあったが、高齢化した店主が相次いで亡くなったり入院したりと消えていって自然に消滅したという。
 その二つ奥の道路を市街に行くと、大きなショッピングモールができていて、そこに客が取られたことによって、繁華街すらもその道路がある方へ移動してしまったというから、この居酒屋もそのたぐいなのだろう。
 居酒屋の前で雨宿りする羽目になったのは、ここの入り口が少し奥に広くなっていて、軒先の雨宿り場所よりも濡れないのだ。さらにはここには椅子とテーブルがあって、どうやら昔は繁盛しすぎて、あまった外側のその部分にテーブルと椅子を置いて外でも注文ができるようにしていたらしい。
 建物の構造上、不自然にできたスペースらしいが、今は助かったので立っているのもなんだと思ってその椅子を借りた。ハンカチを引いて座っていると、誰かが軒先に飛び込んできた。
「わー降られた……」
 びしょ濡れになっているのは同じサラリーマンだ。
 駅を出て少し歩いたところで大降りになったのか、中河よりもひどく濡れていた。
「あ、びっくりした。人がいた」
 中を覗いてきた男が、中河がいるのに気付いてびっくりしている。
「雨宿りですか?」
 そう話しかけてきたので、中河も答えた。
「ええ、そうです。まだ止みそうにありませんね」
「そうですね……あー駄目っぽいかも」
 男が携帯を弄って天気予報を見ている。そこには大雨注意報が発令され、朝方まで一時間に二百ミリを超える大雨が予想されていた。
「うわ……まだ降ってきた」
 大雨だったのが、更に強くたたきつけるほどの雨になり、道が川のようになって水が排水溝から溢れている。幸い近くに川があるのでそこへと流れているから、避難している場所には流れてこないが、これでは五百メートル先ですら、移動が難しいくらいになってしまった。
「もうちょっとで家だから、濡れて帰るしかないか……」
 朝まで止まないことが確定した以上、ここにいるだけ無意味だ。
 そう判断した中河は席を立った。
「よかったら、奥に座って下さい。ここだと濡れないですよ」
「え? あなたは?」
「僕は家が近いので、濡れて帰ります。小降りになるまで待っていようと思ったのですが、朝まで止みそうにないし、濡れるしかないかと」
 そう薄笑いをして席を譲って、中河は居酒屋の軒先を飛び出した。
 ザンザンと打ち付けてくる雨は、視界すら奪ってくるほどで、一歩進むごとに風が吹き付けてきて前に進まない。たった五百メートルと思っていたが、百メートル進むのでさえやっとな状況になっていた。
 一旦、シャッター街を抜ける前に呼吸を整えるためにたばこ屋の前で息を整えた。
「キツいなあ」
 そう呟いてから住宅街に向かって歩き始めた。
 住宅街は昔からある住宅街だが、最近の高齢化問題と同じように取り壊し間近というような家が建ち並んでいる。しかもその半数は人が住んでいないゴーストタウンとなっていて、今はショッピングモールのある方へと人が流れてしまっている。
 壊すにもお金がかかるため、相続した人たちもそのまま放置しているけれど、時折立て直ししている家も見られるちぐはぐした街になっていた。
 その街を抜けた先にあるマンションが中河が住んでいるところだ。
 この街を抜けて走って行くと雷が鳴り、どこかに墜ちた。
「うわっ」
 思わず他人の家の玄関先に飛び込んでしまった。
 幸い、誰も住んではいない家のようで、門などもない玄関先だったから、雷が通り過ぎるまでそこを借りることにした。
 近くで雷がビシャビシャと鳴っていて、中河はその場に座り込んでしまった。
「怖くはないけど、さすがにここまでは怖い」
 空が明るく光っているだけでも十分怖さが増す。その時だった、誰かがまた中河の隣に飛び込んできた。
「うわあっ人がいた!」
 飛び込んできたのはいいが、人がいることに驚いているけれど、即座に空が光ってまた雷が落ちた。
「ひいっ」
 さすがに怖いと二人は思わず抱き合った。
 その拍子に体が揺らいでしまい、二人で庭先の方へ倒れ込んでしまった。
ザンザンと雨が降る中、庭先に倒れ込んだのだが、その下敷きに中河はなってしまい、体を強く打ち付けて気絶をした。
 それを見た男は、さっきの雨宿りで一緒にいた中河であることを知る。
 だか、男は中河を起こすことはしないで、庭先の方へと中河を引きずって運んだ。
 その屋敷の庭は裏側は、草が多い茂っていたが、雨の衝撃で折れ曲がっていて柔らかい床のようになっていた。
 男は気絶した中河の服を脱がした。シャツは前を開けて、中の下着は切り裂いた。
 パンツは下着ごと脱がした。雨に濡れて寒いのか、中河が身じろぎしたが、男はその中河に覆い被さって中河にキスをした。
 雨が降っているから外には誰もでないし、道路を歩いている人もいない。住んでいる人は周りにはいないので窓から覗かれることもない。
 そんな状況を男は幸運だと思い、思い存分に中河の体を舐めた。
 中河のアナルまでしっかりと舐めて解し、指を入れてしっかりとアナルを広げた。
そうして体を解してしまうと、アナルにチューブを挿入し、液体を流し込んだ。
 そして指でまた中をしっかりと解した後、中河のアナルに男はペニスを挿入した。
 体の力が入っていない中河の中に悠然と男のペニスが入り込む。
「……あ……う……」
「……やっぱり思った通り……慣れてやがる」
男はそう言うと、挿入を繰り返した。
「ぁう……っ」
 中河がセックスに慣れているだろうとは、男もずっと思っていた。
 最近になって引っ越してきた中河は、いい尻をしていたから、前から男は目を付けていた。帰り道を付けて家を調べたし、通勤時間に重なるので会社まで調べたほどだ。
 どうにか出会う方法がないかと、いろんなところに探りを入れていたら、偶然に中河がゲイであることを知った。
「あ……っ……」
 体を揺すられて吸気が漏れる度に中河の口から声が漏れる。しかしそれすらも雨は打ち消していく。
 男は中河の体を横にしてから、中河の足を抱えて腰を打ち付けた。
 パチュパチュと派手な音が鳴っているが、屋根を打ち付ける雨の音の方が大きく聞こえる。だから近くを誰かが通ったとしても、雨の音くらいに思うだろう。
 全てが男の味方をしていた。
「んぁあ……っ!!」
 中河はついにびっくりしたように起きた。
「ぁ……!んん……っあっ、あっ、なにっああんっ……!」
 身動きができないように足を抱えられているので、中河は何が起こっているのか理解するのにひどく時間を要した。
「やあっんぁっ……、ああ……なにこれっ」
誰かが体を押さえつけていて、さらには息が上がり、アナルに何かが入っているのが分かる。
「やらっああっふぁ……っ」
まさか、レイプされていると気付いても、男は中河の腕を中河のズボンのベルトで後ろ手に縛り上げてしまった。
「はあぁ……やめてっ……、だれかっあぅ……!」
下半身を抱えられ、腕は縛られてしまい、中河は自分が誰かに犯されていることを知っても、逃げることができる状況ではなかった。
「ああぁ……ひあああんっっ」
 さらにはアナルの中をペニスで犯されている感触は、不快ではなくもう既に中河は感じてしまっていた。
 雨に濡れて寒いし、知らない男にいつの間にか犯されているのに、中河はアナルで感じてしまう体を止めることはできなかった。
「ああああっ! ああっ、あっ、あっ、あっ、んあぁああっ」
 男の腰使いが異様に上手く、中河はそれに翻弄された。
「んんっ、っあ……中に入ってる……っ、ああっ、あー……っ」
スムーズに進む挿入と、たたきつけてくる雨とで中河は更に混乱した。
 さっきまで雷を怖がっていたけれど、それどころではない。体は押しつけられて、後ろからひたすら突き上げられる。そんな無理矢理なセックスなのに中河は興奮していた。
「んぁああっ!あーーっ、ああっ! ひぁあああ……っ」
 一年ぶりにセックスで、しかも生のペニスが入っている。
 それだけで体が歓喜しているのが解る。それくらいに飢えていて、セックスもしたかった。けれど、なかなか一晩限りの関係を望むことができずに、忙しさにかまけて忘れることにしていたが、それでもオナニーをする度にセックスがしたくて仕方なかった。
 無理矢理でもセックスができている。しかも今なら青姦でも誰にも咎められないし、被害者でもある。何かあっても被害者ぶっていれば、誤魔化しは利くだろう。
「やぁ、あああ……っ、そんな、したらぁ……っ、ああっも、いく……っ、いくいく、いくっ、だめ、いっちゃ……ぁ、ああぁっ、ああうううぅ――っ!」
 簡単に男に追い上げられて、中河は絶頂をした。
 体がビクビクと痙攣して、男がその間だけ一瞬止ってくれた。
 けれど叩き付ける雨が体を余計に刺激をして、中河はいつもより感じて絶頂感を味わった。



しかし男は一瞬だけ待ってはくれたが、すぐに腰を使い始めた。
「っひぃ、ひいいぃい……! だめ……っ、だめぇえ……っ らめぇっ……ああっ、もうだめ、だめ、いったからぁ……!」
 そう叫んでも男は腰を動かし続け、また中河の中に快楽への火を付ける。
「ああ……っ、あう……あうううう……やぁっ、あっ、あっ、ああっ、ひぃいんっ……」
 中河は絶叫して嬌声を上げるのだが、暗く街灯がちらついている程度の場所で、もう人すら住んでいない家屋の庭で犯されるのを誰かが咎めることはない。
「ひぁあっ、ああああああんっ! あ――――っ、う……っはぁ、ああっ……!」
 悲鳴さえも雨が屋根や道に叩き付ける轟音で消え、さらに大きな声も近くの川の濁流音にかき消されている。
中河がどんなに嬌声を上げても、全てはすぐそこの道ばたにすら聞こえない有様だ。
「ああぁっ、いい、きもちい……っ、はぁあああ……!」
 とうとう本音が中河の口から出た。
「ふ……んっ、ん……んんん……っは……!」
雨に濡れているせいと、暗いせいで中河は自分を犯してくる男が誰なのかわからない。けれどさっきのちらっと見た人と同じならば、居酒屋の前で一緒になったサラリーマンの男のはずだ。
「はぁ、あ……っん、んんっあっ、は、く……あっ、ああっ……」
どうしてそんな人が自分を犯してくるのか理解はできなかったが、それでも欲求不満を持て余していた自分にはお似合いの無様さだと中河は思った。
「うあ、あっ、ああ……っはぁん! あああっ、そこ、そこっ……いい、ああっ……!」
 いいところばかり見つけては擦り上げてくる男の手管が、ひどく気持ちがよくて、中河は聞こえないだろうと思って嬌声を上げ続けた。
「んあああっ! んはぁっ、あああ、あふ、んんっいい……いいっ、ああ、あぁっ……」
 雨の激しさは一向に収まることはなく、強い雨が地面に染み出て手元は水が流れている。草の上にいるから体はほとんど草に受け止められているが、手などは沈んでしまうと水が出ているのが解る。
「だめ……、い……っ、あぁあっ、いく、いく、いくうっ……!はぁあああ――――っ!」
 中河がまた絶頂をすると、今度は男は遠慮することなく激しく突き続けた。
「やあっ、あ……っ!まだ、いって……ああっ、いやだ、いや……はぁっ、ああ……!」
やがて男が身震いをして絶頂をしたことが、アナルの中で男が射精をしたことで中河にもわかった。
「ひああっうぅっ、ふうっ、は……っ、あはぁっ」
 それでも男のペニスは全く萎えておらず、中で形を保ったままで、射精をしながらもまた挿入を繰り返している。
「はぁっ、ああ……ああああ……っ、あは……あっ、あっ、あふぅ……っ」
 男は激しく中河を攻め続けて、何度も中で射精をするが、一度もペニスを抜かなかった。
「ふぁあ……!あ、おま○こ!……おちんぽで突いて……もっと突いて……っ」
 中河はとうとう自分から腰を振って男のペニスを求めた。
 気持ちがよくて、体が自然に動いてしまう。男はそれに応えるようにペニスをさらに勃起させて太くさせてきた。
「そこっ……、そこぉ……!もっと、もっとおちんぽで突いてええぇ!!」
絶叫する嬌声と共に、雨の音も止ることはなく、体はどんどん熱くなるのを雨が冷やしてくれてひどく気持ちがよかった。
「ぁあ!もっと……もっと!! おま○こして、そのいやらしいおちんぽでおま○こを犯して」
 中河は心の底からセックスで気持ちよくなれるなら、この状況でもどうでもよかった。むしろこんなに気持ちよくなれるのだったら、早くに誰とでも寝ればよかったとさえ思ったほどだ。
「気持ちいい!だからもっと……、もっと激しくして! おちんぽでおま○このいいところ突いてぇ……ああんっきもちがいいっ!」
どんどん激しくなるセックスに、男はとうとう中河の腕の拘束を解いた。中河は建物の縁側に寝かされて、やっと雨の中から脱出できたが、その縁側の上で男に腰を向けたままで後ろからまた激しく突き上げられた。
「ああんっ! ああっ!いい……っ、おちんぽっ気持ち、いいっはぁあん……っ!もっと! おま○こ突いてぇ……!」
「突いてやるよ、朝までな」
 やっと男の声が聞こえた。雨の中にいると聞こえなかった声が耳に届くようになったのだろうが、その声でもやっと聞き取れるくらいに、雨が屋根に当たって鳴る音は激しいままだった。
「いぃ……っ、おま○こいいのっ! おちんぽっいいっ! あうっ……!あああ!」
「このおちんぽが気に入ってるんだろ? さっきからエロイ声ばかり上げやがって」
「あぁ……いああっ!イキたい……っ、も……イキたいぃ!イカせて……!!」
「ほらよっイけ、この淫乱!」
「ああぁんっ! ひぃいい……っ!!ああああああぁ!! あっ……ぁあーーっ!」
 中河は全身を痙攣させて、絶頂をした。今日一番の絶頂の仕方に、男のペニスを締め付けて男がまた中出しをした。
「ひっ、あっああぁ……い、ってぅ……いってぅのっにっ……ああああっ!!」
男は射精をしながらでも中河をまだ犯し続ける。朝までだと男が言ったのは嘘ではなく、本心だったのだろうと思えたほどの性欲の強さだった。
「ああ……っ、……あっ……ぁ……んっ……ふ、う……っ」
男は遠慮なく中河を犯し、中河の与えられる快楽を受けて腰を振り続けた。
 雨はその後も止むことはなく、人の姿も見当たらない。
 明け方近くになっても雨だけはまだ降っていた。
「あっ、ぁん……!ああっ……ああ……もう……っ、んん!」
 二人は本当に朝までセックスを続けた。
 中河は完全に男のペニスにやられてしまい、男のペニスに犯されることが気持ちよくて大好きになっていた。
 徹夜をしたことで思考低下もしているせいもあるが、雨の中で体を洗っている時でも男は何度も発情しては中河の中にペニスを突き入れてくる。
「ぁあっ、もっとおちんぽいい……っ、おま○この奥まできてぇ……!」
 中河もそれを狙って男を誘って、結局雨が小降りになる六時くらいまでセックスに興じた。
「あんぅ! ああぁっ!ああっ!あ、おちんぽきもちいい! ああんっああいいっきもちがいいっ」
男とキスをして、向かい合って抱き上げられて壁に押しつけられて、中河は最後の絶頂をした。
「ああっ……もっいく……ひいぃっ!あ……!ぅああ!あぁ――!! あ!あ……!ああー……っ!」
大量に吐き出された精液が、やっとペニスが抜かれたことで一気に中河のアナルから吹き出た。男はそれを見て満足したのか、最後に中河のペニスを口に咥えてフェラチオをした。
「はぁ、あっ、あぁあ!もう、もう……っひいっ、い、いく……いくうぅうっ……!」
 精液を吐き出す絶頂をほぼしないで、ドライオーガズムばかりで達していたから、射精をすると妙に中河はすっきりした。
 男はそれだけをすると、中河を置いて先に庭から去って行った。
 中河はしばらくそこで雨を使って精液を洗い流してから、背広をちゃんと着て自宅に戻った。
 幸い雨がまだ止んではおらず、人も外にいなかったのでマンションまで誰にも会わずに戻ることはできた。
 部屋に入るとすぐにシャワーを浴びて体を温め、居間に戻ってテレビを付けると、アナウンサーが大雨の被害を報道している。
 中河が住んでいる地域はかなりの豪雨だったが、被害は数カ所の床下浸水で終わっていたようだった。
 中河は今日は仕事も休みだったので、のんびりとベッドに入ってテレビを見ながら眠った。
 夕方に目が覚めるとまだ雨は大降りのままだ。
会社からは明日の電車が確実に止ることが分かったので、休みになると連絡がメッセージで入っていた。
 何となく中河は体が熱くなり、役に立たない傘を持って外に出た。
 足下は二メートルも歩かないうちに水がしみこんできて、ぐちゃぐちゃになったが気にせずに歩いた。
そして辿り着いたのは昨日の現場だった。
誰かの気配を感じて、裏側に回ると、そこに昨日の男が立っていた。
「何、また犯されに来たの?」
 男がそう言ったとたん、中河は昨日の熱を思い出した。
 カッとなる体を雨の中に晒して、中河は服を自分で脱いだ。
 そして男に近づいて言うのだ。
「また、犯して……もっとおちんぽをちょうだい」
 そう言って男の勃起しているペニスを触りながら男を誘った。
 男はそれにニヤリと笑って中河にキスをした。
 昼間に一旦止んだ激しい雨は朝方まで降り続くと天気予報では言っていた。
二人はそのまま闇夜の激しい雨の中でセックスに興じたのだった。

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