101-よくある話

 恋人を待っている時、急に石森の携帯が鳴った。
 デートに行くために待ち合わせをしていたところだった。
 携帯を取り出すと、そこには恋人の名前、今岡とある。遅れる連絡でもしてきたのだろうかと、その名前の上にある時間を見て思った。
 待ち合わせは夜七時。駅前の噴水の前だった。
 寒い時期であるが、今日は気温があまり下がってなかったけれど、それでも日が落ちると寒さは一層強くなる時間帯だ。
 手袋を外して携帯に出る。
「どうしたの?」
 そう話しかけると、電話口が何か騒がしい。
 何処かの部屋にいるようで、周りに人もいるようだった。
 石森は今岡は会社からまだ出られてないのかとふと思った。
『あの、待ち合わせ場所……変えたいんだけど』
「うん、変えるの? 何処に? 遠いと困るけど」
 電車で移動でも時間がかかる場所では終電の関係もある。明日は仕事はないが、買い出しの用事があり、ホテルに泊まりはしない約束だった。
『……あの、海岸通りの……バス停あたりにいるから……その車が事故して、その』
「事故? 大丈夫? すぐ行くよ。救急車とか乗らなくていい? 大丈夫? タクシーで行くから大人しくしてて」
 場所を聞いて、石森は慌ててタクシーを止めた。
 タクシーに乗ってすぐに行き先を告げる。バス停の場所を告げるとタクシーはすんなりとそこへ向かった。
 そう遠くはないが、今岡がどうして海岸通りにいるのかは謎だった。あの辺りは海があってサーフィンができるが、日が暮れるとラブホテルがあるだけの通りになってしまうのだ。
 今岡はサーフィンはしていないし、ラブホテルに行くならまず石森との待ち合わせ場所にくるはずである。家は反対方向であるし、仕事でそっちの方へ行っていたのだろうか。
 様々なことを考えてバス停に到着する。しかしそこには今岡はおらず、今岡の事故の相手が立っていた。
「えーと石森さん、僕、白田と言います。ちょっと来て。今岡さんね、ちょっと具合が悪くなったって言うから、ホテルで寝てるんだ。タクシーは返していいよ。事故をしたっていっても、車は動くから大丈夫、石森さんが運転していけば帰れるよ」
 その男は、白田と名乗った。まだ若い青年で身長は石森の百七十より高く、百八十はあるだろうか。冬なのに上着は着ておらず、寒そうな薄着でさっさと石森が乗っていたタクシーにお金を払って返してしまうと、今岡が寝ているというホテルに入っていく。
 受付はあっさり通り抜け、五階の部屋に入った。
 海が見えるホテルとして有名な場所で、窓は一面はめ殺しで海しか見えない。海は真っ暗で遠くで灯台が光っているのが見えるだけだ。昼間だと結構眺めがよく、カップルの間では人気な場所でもある。
 部屋に入ると今岡がベッドに寝ていた。
「今岡……どうして……」
 近寄ると今岡は青い顔をしている。目は開いていて、石森を見て弱々しい声で言った。
「石森……ごめん……」
「何を謝ってるんだ。病院にいく?」
 そう石森が言うと、さっき案内をしてくれた男とは別の男が部屋に入ってきた。
「悪いね、石森さん。私は二見だ。そいつを返すわけにはいかないんだ」
 二見と名乗った男がそう言い出した。
 少し掻き上げた髪が乱れた感じで、疲れた様子だが、ダブルのスーツでいい仕立ての服を着ている。イケメンというやつで家柄もいいと言われたら信じるだろうが、それでも石森は胡散臭さを感じた。そうエリートサラリーマンではなく、エリートヤクザという種類の人間だ。
「あの、具合が悪いなら、病院にいかないと。事故をしたんでしょ?」
 石森が何とかそう言うのだが、二見は首を振って言った。
「そいつが具合が悪いのは、事故処理の時に、俺の車にカマ掘った賠償金の話をした後だ。そう軽く見積もっても新車で返して貰わないと、とてもじゃないが直せないと言われたからだ」
「……え?」
 石森はやっとではあるが、状況が飲み込めてきた。
「そこの街道から入ってきた時にこいつの車がホテルから出てきて、俺の車の後ろに突っ込んだ。俺らの車は信号で止まってた。つまり、百パー今岡が悪いと警察の検証でも証明された。そこで保険の話になったんだが、こいつ保険が切れてやがった。だから実費なんだよ」
 二見がそう説明をしてくれて、石森は様々な情報が入ってきて混乱する。
 ホテルから出てきた今岡ということは、今岡は浮気をしていたということになる。しかし、今はそれを問い質している暇はなさそうだ。
 で、保険は確か石森がその立て替えをしてやったのを思い出す。
 その金を保険に使わずに、別の何かに使ったのだ。
「……今岡……お前、また……」
 今までも大金ではないが、石森は今岡にちょこちょことお金を貸していた。
 急に必要になったからと書類を見せられて、保険代も払った。一緒に車に乗るからもし事故にあった時に困ると思ったからだ。つい最近もクレジットカードを使いすぎて、後一週間が暮らせないと言われたので、五万ほど貸した。
 それを事もあろうことか、浮気に使っていたのだ。
 もちろん、今まで貸した金はそういうものに消えている。
 浮気は一度や二度ではない。毎回、見つかっては今岡は浮気相手じゃなく石森を選んで戻ってきた。
 それもそのはずで、浮気相手は石森のように気前よく金は出してくれないからだ。石森は理由さえあれば金は出してくれた。
 信じられないものを見るかのように、石森は今岡を見た。
「ごめん、もうしない。しないから……お願い……お金がないんだ……」
 今岡がそう言うので、二見は察したように言った。
「こいつの負債はあとで詳しく出るが、新車購入にかかる金額は二千万だ。まあ、こっちも中古扱いにある乗り物であるから、裁判しても一千五百くらいがそいつの借金になるかってところだが」
「一千五百万……」
 どうやったって出てくるお金ではない。
 貯金だってそんなにあるわけでもないし、ここのところ今岡に頼まれては切り崩したせいで、貯金は一千万をもう切っている。
「そこで、変わりものでもいいから、それなりのモノを出せと言ったら、そいつはお前を売った」
「……は?」
 二見にそう言われて、石森はキョトンとする。
「普通なら冗談ではないところだが、お前を見て気が変わった。その身体で一千五百万の価値があるのか試させて貰おうじゃないか」
 二見はそう言うと、今岡の側に座っている石森の腕を掴んで立たせた。
「そんな、冗談……いや、そもそもあなたがそういう約束事を守るとは思えない……」
 石森は当然のことを言って返した。
 そうである。この男たちが石森の身体を求めて、もしそれに応じたとしても、終わった後で価値がないと言ったらそれでチャラになってしまうのだ。
 石森は泣き寝入りするしかなく、一千五百の正当な賠償金だけが残ってしまうのだ。
「警察を間に入れているわけでもない、口約束が守られるわけもない。こんな話を軟禁状態でされて、守られるわけもない」
 石森がそう強気に出ると、二見もそこは痛いところだったらしい。
「確かにそうだな。ならば、手付金の一千万はこの男の解放でどうだ? もちろん借用書も書く。こっちの母印にサイン。もちろん細工無しで。残りの五百は、お前を抱く代償にする。もちろん価値がどうとかはもうどうでもいい。お前が俺に抱かれれば、それだけでいいことだ」
 何だか妙なことになったと石森は思った。
 最初こそ、代金の徴収に必死だった二見だったが、今は石森を抱くために邪魔な要素を全て排除するために動いているように思えてきたのだ。
 だがどうしてだ。そこまでして、一千五百をチャラにしてまで自分を抱きたがるのか、石森には理解できなかった。
 もしかして、そのビデオを撮り闇に流すことで利益が得られるということなのだろうか。その辺は分からないが、男は石森が抱ければそれでいいという感じではある。
「……石森……頼む……」
 自分でやってしまったことを全く反省をしていない今岡が、自分だけ助かる方法ができたので、急に元気になり石森を利用してこの状況から逃げようとしている。
 もうこの男のために何かをすることはないだろうなと、ふと急に石森は今岡のことがどうでもよくなってしまった。
 さっきまで愛情はあったし、助けたいという気持ちもある。
 けれど、もうきっとこの後、今岡を好きだという気持ちは一生沸かないだろうと思えた。
「本当に約束は守ってくれますか?」
 そう石森が言うと、二見はすぐに契約書を書いた。
 弁護士を呼んで一時間で書類を作り、きちんとした契約書を作った。
「これで、契約ができました」
 弁護士は石森に名刺を渡してきた。それを見ると大手の有名な弁護士事務所の弁護士であることが分かった。さすがに弁護士は詐称はできないから、本物なのだろう。
 今岡をここから解放することで、一千万。
 石森がここに残って二見の相手をすることで五百万。
 修理の正確な賠償金はまだ分からないが、端数がでれば、一千五百より多ければ残りは今岡に請求すること。払わなければ給料の差し押さえの裁判もすることなども盛り込まれていた。
「…………今岡、もうお別れだ」
 そう石森が言う。それが石森がサインをするための儀式だ。
「お前は俺を売った。だから、もうお前とは切れたことになる。連絡先も全部消して、二度と俺の前に現れないでくれ……」
 そう石森が言うと、今岡は慌てて携帯電話の石森の連絡先を消した。
「分かった、もうお前のことは忘れる、じゃ!」
 お別れの言葉もないまま、今岡はさっさと契約書を持って部屋を出て行った。さっきまでの気分の悪さはどこへやら、元気にスキップでもしそうなくらいの足の軽さだった。
 最後くらいは謝ってくれるかと思ったが、そんな気は一切ないようだった。
 何で、あんなやつを愛していたのかさえ理解できないほどだ。
 自然と涙が出た。
 今まで、やってきたことは全部無駄だったのだ。何の意味もないことを愛しているから、戻ってきてくれるからと続けていた。それが全部今岡を駄目にしていたのだ。
「……あんな男と別れても泣くんだな。クソみたいな駄目男じゃないか。これで綺麗に切れるとは思えないが、切れるようにしてやるよ」
 二見がそう言った。
 その真剣な瞳が、何だか熱く、石森は少しドキリとした。
「……あの……その……初めてではないけれど、その」
「優しくするから、気にするな」
「いや、そうではなく……その、大きいの、多分入らないかと……」
 石森がそう言う心配をし出すと、二見は意外だったらしく大笑いをした。
「ははは、デカくて入らない心配か……はははは。前向きでいいな、お前」
「その……いや、あの……まあそういうことだけど……入らないと契約が成立しないかなって思ってその心配をしただけで……ああもう……恥ずかしい……」
 自分は恋人に売られて、全く見も知らない二見という男に抱かれる羽目になっているのに、どういうわけか気分は悪くなかった。
 最初こそ二見の胡散臭さはあったが、契約書を書くのに弁護士を入れて作ったりする誠実さはちゃんと見せてくれたからか、いい人に見えてしまっている。
 いい人ではないと、頭の端で分かっている。
 この人は裏家業の人間で、表の世界の人出はない。
 関わったら何があるのか分からないのだけれど、二見の様子から、二見は石森を知っているような素振りはあるのだ。
「入るようにしてやるから、お前は喘いでろ。それでいい」
 二見はそう言うと、石森の手を取り、部屋を変えた。
 さっきまで今岡が寝ていたベッドを使うのはイヤだろうと、更に上の階にある五階最上階の部屋を用意してくれた。
 そこはさっきの部屋よりも海が一面に見え、風呂場もガラス張りで海が見える。
 完全に真っ暗な海しか見えないガラス窓に心を奪われていると、二見は部屋の明かりを暗くしていく。
 部屋の中は暖かく、二見があっという間に服を脱いでしまうと、窓ガラスのところにいる石森のところに来て、石森の服を脱がし始めた。
「あ……自分で、脱ぐ……」
「いいから、俺にさせろ」
 二見が乱暴に服を脱がせていくけれど、その服は側にあるソファーに投げていく。下着まで脱いで全裸になると、二見が石森の身体をじっくりと観察するようにして手で触りながら撫でて確認していく。
 どこかおかしいところがあったりしたら、イヤなのだろうかと石森は思いながら、大人しくしてされるがままになった。
「……なるほど、綺麗な身体だな。てっきりあの男のことだから、傷なんかつけてないか不安だった」
 そう二見が息を吐いて言うので、石森はちょっと笑って首を振った。
「今岡はそこまではしなかったよ。というか、ここ一年くらいはセックスしてないんだ……」
「じゃあ、何で付き合ってるんだ?」
「そうだな……きっと、大学時代の名残みたいなものかな。あの時は本当に好きだったし、上手くやれていたと思う。けど、仕事をし始めると噛み合わないことばかりになってきて、今岡はああなっちゃった」
 そう石森が言うと、二見が言った。
「お前がアレを甘やかしたせいで、あいつはどんどん駄目になったと俺は思っている。もちろん、あいつの元々の駄目さもあるが、お前の甘やかしは正直度を超えている」
「そう、だろうか……」
 本当にそのせいだろうかと、石森は心当たりを探すも思い当たることはない。でも自分がしたことが相手を駄目にしていると言われて、いわゆるサゲマンというやつの種類かと思った。
「駄目な男が好きなのもあるんだろう……自分がいないと駄目だと思って一生懸命やっちまう。すると男はどこまでやっても許して貰えることが怖くて、もっと悪いことをする。でもそれさえもお前は許してしまう。そうしてあいつはお前を売った。これでお前と縁が切れると思って」
「だから? あっさりしてたのか……」
 まるで石森から逃げるように、この場を後にした今岡がそこまで考えていたかは、二見にも分からない。けれど、ここまでしても許そうとしていた石森のことはきっと気味が悪いと思っていたに違いない。
 それでももう駄目男になっているから、暫くしてほとぼりが冷めるとまた石森の心地よさを思い出して戻ってくるだろう。石森はそこまでやって今岡を縛り付けるようにして自分だけを頼るようにしてきた。
「好きだけじゃ駄目なんだ……」
「そういうことだろうな」
 泣きそうになる石森を二見は風呂に誘った。
 風呂にある泡の出るキューブを入れ、それで泡立ててやると、石森はふんわりと笑う。こういうことをするような余裕はずっとなかった。今岡とのセックスもその場その場で一瞬で終わる。ついにはセックスを必要としなくなった。
 その時には既に関係は終わっていたのかもしれない。
 暗くなりそうな石森に、二見は体中を手で洗い、アナルも丁寧に弄ってきた。
 クニクニとアナルを弄る指が中に入り込んでくると、石森は忘れていた快楽を思い出してきた。
「あぁあん……はぁっ、ぁ、ん……」
「そのまま、身体預けて力を抜いて」
「ん……、ふぅ、んっ」
 言われた通りに力を抜くのだが、それでもなかなか上手くいかないものだ。
 泡の風呂の中でアナルを弄られ、乳首をも擦られて、石森のペニスは既に勃起するほどだった。




「んんっ、ふぁっ、あん、ん……」
 二見は優しくて体中を撫で回しては、アナルの拡張をどんどん進め、それでも急がずに時間をかけた。
「あぁっ……あ゛っらめぇっ……あっあんっ」
 イかせるわけではないので、アナルをただひたすら弄られ続けるだけであるが、それでも石森の身体はすっかりセックスの感覚を思い出すほどだった。
「あっぁあっ、んっひゃぁっ……」
 指が入るようになると、二見はおもちゃのディルドを石森のアナルの中に挿入した。「あ゛っひっ、あぁっ、あんっ」
「慣れるまではおもちゃな……良い具合に広がってる。けど、まだ広げないとな」
「あんっ、あっ、あっ……、ん、んぁっ、あぁんっ……」
 ディルドを入れ、挿入を繰り返し、その感覚に悶える石森を二見は笑顔で受け入れる。
 ディルドは段々と大きくされて、一番大きなディルドが入る頃には一時間以上もかかっていた。
 そんな手間がかかるというのに、二見はそれすらも面白がっているようで、石森は絶頂をさせて貰えないままで、二見の手によるディルドで快楽を翻弄されていた。
「やだっ、そこ、あんっ、ぐりぐりっしないで……あっあぅっ」
「上手に喘げている。もっと嬌声を聞かせろ」
「あぁっ、んんっ、はぁっん、ああっあっあっん」
 身体がふやけるほど風呂の中でアナルを弄られる状態でやっと風呂からあげて貰う。「あんっ! あっ、ひぃっ、らめっ……、それ、あっいぃっ……」
 ディルドを突っ込んだままで泡を落とすためにシャワーを浴びせられて、勃起したペニスをシャワーで攻められる。
「あんっ……おち○ぽ、やぁっ……いっあんっおち○ぽっあっ、あっ」
 シャワーを最強にしてペニスに当てられ、ディルドをまた挿入される。
「ああぁっ! らめぇっ、あんっあんっ、あっあっああっ!」
 一時間半以上もじらされて、やっと石森は射精を伴う絶頂をさせて貰えた。
 射精をした精液は水に流れていく。それを見ながら、すっかり逆上せた石森を二見は抱き抱えてベッドに運んだ。
 ベッドに寝転がると、まず水を貰えた。
 口移しで水を与えられて、石森は水が欲しかったのでそのままそれを飲んだ。
「……んあっん……もっと……」
 水が欲しいと手を伸ばして二見の後頭部に手を回して引き寄せると、二見は心得たもので、水を何度かに分けて飲ませてくれた。
「あ……んっはっ……んっんっふっんふ」
 水を飲んでしまうと今度は普通のキスが始まった。
 水を飲むように伝わってくる液体を飲み込み、それでももっとキスをと石森は強請った。
 キスさえも石森は今岡とはしてなかった。今岡が誤魔化すために啄むようなキスをすることはあったが、セックスでするような深いキスはもう何年もしていない気がした。
 そんな思いを知っているのか、根気よく二見はそのキスに付き合ってくれた。
 何度も何度も向きを変えて、舌を絡ませて、石森自らも二見の口の中に舌を這わせて舌を絡ませたほどだ。
 飢えていると言われたらその通りで、石森は存分にそれを強請った。
 だって、契約だから好きにできる。一晩中、二見にセックスをしてもらえる。そう考えていたが、二見とセックスをするのだと普通に恋人にするように甘えても、二見は許してくれるんじゃないかと石森は思えた。
 それくらいに二見は優しかった。
 けれど、石森はこれ以上待てなかった。
「あぁっ……おっ……おちんぽぉっ……おれの、おま○こにいれてぇっ奥までいっぱい突いてっ」
「……お前、いきなり全開かよ……いいぞ、挿入れてやるよ」
 そう言うと二見は石森の身体を開いた。石森は二見にしっかりと抱きついて挿入を待った。
「やぁっ、はいって、るっおっきいおちんぽがぁ、おれのおま○こにっ、あっああんっ」
 最初こそキツく入りにくかったが、一気に突き入れると後はディルドで慣らしていたお陰で二見の大きなペニスはすっかり石森の中に収まった。
「あ……んっ……ああっ……大きい……んふっんっ」
 あまりの圧迫感に石森が感じていると、二見はゆっくりと出し入れを始めた。
「ああああぁんっ! ああぁっ、あんっあんっ、ふぁっ、らめえええぇっ」
 ズルリと引き抜かれ、そして奥まで突き入れられるペニスに、石森は快楽を得た。知らない人で、初めて会ったばかりで、合意とはいえお金の関係で寝ているのに、それでも二見は優しくしてくれて、石森はすっかり安堵して快楽に身を投じた。
「ひっあああぁっ、やっ、あっあっぁんっ! ふぁっ、ぁっ……」
「お前、……中が凄いな。触ってる時から思ってたが……こんなのよく放置してたと感心するよ。俺なら、毎日挿入れないと我慢がならないぞ」
 二見は石森の中のうねりの凄さに感動していた。見た時から身体に興味がわいたものだが、ここまで凄いものだとは思ってなかったのだ。この身体を一度でも知ってしまったら、他の誰とも寝ることはできないだろう。
 だから、平然と石森と寝るのをやめて女を抱いていた今岡は、きっとその怖さに気付いて逃げていたのではないかとさえ思えてきた。
 こんなのに填まったら、終わりだと思えたからだ。
「んあっ……、ん、んう、んっんんっ!」
 抱きしめてキスをすると石森は身体をくねらせて、淫らになり二見を誘う。その誘い方は拙いのだが、それでも官能的で二見の股間に直撃するようなものだった。
 その瞬間に、二見は石森の中で射精をした。
「ふぁっ……ぁっ……せいえき、いっぱい……ああんっ!」
 中出しされる感覚に、石森は感じて身体を震わせる。
 元々中出しされるのは好きであるが、二見のは量も多く叩きつけるようにされたため、それが更に気持ちが良かった。
「っはあっはぁっ……ぁ、あぁ……」
「本当、凄いのを貰ったもんだ……まだまだ夜は終わりじゃない……」
「っひぁっ!? んっ、や、ああぁんっ! おち○ぽっ硬くなって……んああんっ」
 中に挿入れたままの二見のペニスがまた勃起して硬くなるのを感じ、石森は身体をくねらせてそれを嬉しそうに内壁で締め付ける。
「はぁっ、はぁっ……あっちくびっんふっああっ」
「お前は乳首も好きなのか。そういえば風呂でも気持ちよさそうにしていたが……なら舐めたらさぞかし飛んでくれそうだな」
 そう言うと、二見は石森の乳首に吸い付いた。
「やらぁあっ、ちくびっ、らめぇっあん、あんっぁあああぁんっ」
 ジュルジュルと音を立てて吸われ、舌で嬲られて乳首が勃起する。
 それを歯で咥えて舌で舐ると、石森は二見のペニスをぎゅっと締め付けてくる。
「やあああぁっ! やぁっらめ、ちくびぃっ、あぁんっ、ふぁああっ」
 挿入したまま乳首を嬲られ、石森は快楽で腰を自ら振っていた。
「あんっ……ぁんっ、んっ、ふぅっんんんっ」
 石森は気持ちよすぎてどうしようもないほど乱れた。
 身体の関係が終わってから一年以上、誰も触ってないはずなのに、セックスの快楽は思い出せた。ずっと誰かに触って欲しかった。抱いて欲しかったのだと、石森はやっと自分の心の中にあった願望に気付いた。
「あぁっあっひっあぁんっんっあっいいっ、あぁん気持ちいいっんっああっ」
 素直に快楽が気持ちがいいと認め、腰を振って二見を煽る。
 二見は石森の乳首を吸い上げて、腰を振る。ペニスが奥まで入り込み抉るように石森を犯してくる。
「あぁあんっ! あっあひっらめっあんあんっ! ちくびっくりくり、あぁっいいのっきもちいっ……おち○ぽ、いいっすきっあっあぁーっ!」
 石森が絶頂に達するも、その一瞬だけ二見は待ってくれたがまた挿入を開始する。
「ふあぁっんっそこっ……あっああっんっいいっ……あっあっ」
 石森は絶頂の余韻に浸る間もなく、二見の乱暴な腰使いによってまた快楽の渦に引き戻される。
「ひああっらめっ、そこっあひっ……おかしくなるっあっい゛っあっあっあんっあんっあんっあぁんっ!」
「おかしくなれ、このペニスがないと生きていけないようになれ。お前は俺ものだ」
 二見が急にそんなことを言い出した。
 石森にとってはそれが意外だったが、自分の身体が気に入られたことが素直に嬉しかった。
 たとえ、今だけの言葉であっても、それがとても心地良いのは本当で、今岡に捨てられた今となっては必要とされる喜びがわいていた。
「あひっああっいくっいくっやぁっ……んあ゛っひっああぁんっ!」
 石森がドライオーガズムで達したが、それでもまだ二見が突き上げてくるから、絶頂のままでまた絶頂に導かれた。
「ひぁんっ! あぁっ、くださいぃっ、せいえき、おれのっおま○こにぃっああぁっいくっ、せいえき中出ししてっ! んんっ、あんっあんっぁあんっぁっ!!」
 必死になって石森は二見のペニスを締め付け、中で精液を出して欲しいと強請った。
「この、淫乱……開き直ると最強だな……くそっ持っていかれる」
「あぁあんっイって、イってっあひっあっあんっおちんぽ好きっ……、淫乱おま○こで、イってっ……あっあんっあんっああぁんっ」
「くっまだだっもっとだっ!」
「ひぁあんっ!! ふぁっ、凶悪おち○ぽいいっ、ちくびもコリコリしてペロペロして、おま○こいいっすごいよぉっいくっいくっいくぅっ!!」
 ガクガクと身体を揺さぶられて、二人が同時に達した。
「あーっ、いくっ! ぁんっ、おち○ぽ精液きたっあっ!」
 二見がペニスを奥まで突き入れてから射精をすると、石森はそれを絞り尽くすように内壁で締め上げた。
「あああぁんっ、すごいっ……! あっ、ぁんっ、ふあぁっ、俺も、いってるのぉっ! おま○こにせいえきでてるよぉっいいっああんっ!!」
「……くっそ、お前本当に……」
「ああんっすきっキスしてっ……ああんっきもちいいっんふっ」
 キスを可愛く強請る石森に、二見は笑みを浮かべてキスをした。
「んっ、ふっぅ、んぅ……んっ!? ふぁっ、んっんっ、んっぅんっ」
 キスをしながらも二見を奥の奥まで精液を擦りつけるように腰を動かし、それが気持ちよくて石森はキスをしながらもまた達する。
「んっちゅっ……はぁ、ふぅっ……んんっ、んっ」
 キスを繰り返し、石森は腰を自ら振って二見のペニスがまた勃起するように誘う。
「ぅんっ! ふぁんっ、んっ、んぅっ、んんーっ!」
 すると、二見もそれに煽られて、ペニスが勃起するのだがその大きさがさっきよりも大きくなっていた。
「あああっ、やらぁっ、なにっ、あっ、ひぁんっ」
「煽ったんだから、責任取れよ」
 そう言われて更に奥まで抉られて石森は衝撃で達した。
「ひああああっ!? あぁっ、あんっ、ひぃあっ! あっ、ああああーっ!」
 それでも二見が突き続けるから、石森は絶頂のままで抉られて快楽が長く続くままで、二見に身体を貪られた。
「あああぁっ、やらっ、いってぅ、いってぅよおっ、あんっ、そこ、ぐりぐりってぇっ!」
 絶頂に次ぐ絶頂でもドライオーガズムで達しているから、絶頂のループから石森は抜け出せない。
「ひああああっ、ああぁっ、らめえっ、いってぅの、いってぅからぁっ、もっ、おちんぽゴリゴリってしちゃやらあああぁっ」
 それでも今までしたセックスの中で一番気持ちよくて、どうしようもなく石森は乱れた。 それを二見はしっかりと抱き留めて、乱暴にしたのだが石森はそれでも感じてしまったほどだ。
「ああぁんっ、あんっ、んっ、はふぅっ、いいっ、いいのぉっ、おちんぽぉっ、もうらめっ、あああっ」
「ふぁっ、ああっ……おちんぽっいいっ、ちくびぃっあああんっ」
 乳首をまた吸われて、舌で嬲られながらペニスで奥を突かれると、石森はとうとう狂ってしまった。
 こんなセックスは知らない。けれど、今が一番セックスが好きだと言えた。
「あああんっああああっ! ああんっ、おちんぽっすきっ! 乳首もきもちいいのっああんっああっ」
「何度も絶頂しても許してはやらねぇよ。このまま俺のモノになれ」
「あぁんっ……ひぁあっ ……んっ、なるから、なるからもっとおま○こしてっひぅっ、あんっ」
「それだけか?」
「ふぁあっ! あぁんっ乳首っ、ちくび吸ってぇっ、んぅっ、いっぱいこりこりってして、舐めて吸ってぇあああんっおま○こもおち○ぽで突いて、ああああぁんっ! ひぃあぁっ、ちくびっいい、いいぁっちゅうちゅう気持ちいいっああんっ!!」
 貪欲に求める石森はとうとう二見のモノになると言った。
「俺のものなら、中出しして孕ませてやろう!」

「ふぁあんっ、もっ、ちくびらめぇ……んあっああんあぁっ……やら、おちんぽぉすきっっ……二見さんのおま○こになるっんっあっあっ、中出ししてっもっとあぁんっ!」
「お望み通りしてやろう、イキ狂いしてしまえ」
「ひぃっああああぁー! やっあぁっ、あんっいっちゃうっ、また乳首でいっちゃうのぉっひぃあっ、あんっ、ぁんっ、あぁっあああああっ!!」
 石森は追い上げられて達した。
 今度は射精を伴う絶頂で、最強に気持ちがいい絶頂の仕方だった。
 今までのセックスは何だったのかと思うほどの快楽が押し寄せてきて、石森の認識さえもぶち壊していった。
 二見のペニスが出て行くと、名残惜しそうにする石森のアナルから精液がゴボリと溢れた。その乱れてしまっている石森の姿を見て、二見のペニスがまた勃起している。
「終わりそうにないな、今夜は」
「あぁんっ! やっぁっ、もうおっぱいはぁっらめなのっ……あふ、あああぅんっ」
 二見は石森にキスをしながら、また石森のアナルにペニスを挿入した。絶倫であると二見も分かっていたが、今日の絶倫具合はたぶん今までで一番だった。
「ふぅっ……んっ、んん! んうっ……、んっふぅ……」
 そうさせるのが石森で、その男を今二見は手に入れた。セックスで堕とすというやり方であるが、石森はそれを不満には思わないだろう。
「ひぁっ! や、あっあっ……んぁっ」
 二見が石森にキスしたままで動きは始めると、石森もまた身体が熱くなり、嬌声を上げた。
「あぁんっ……ふぁっ、やらぁも、おち○ぽ、らめっ、おま○こ壊れる……んふぇっ、んっふ、ぁんっ」
 二見はそのまま石森を抱き抱えて、何度目かになる射精をするまで何度も何度も石森を攻めあげた。
 石森は完全にセックスに狂ってしまい、もう二見なしでは生きてはいけないほどに乱れに乱れた。

 朝になると石森は二見に送られて自宅に戻った。
 玄関先まで二見が送ってくれ、別れ際に名刺を渡された。
 そして玄関先であるが、二見は石森にキスをした。
 昨夜を思い出すような熱い、深いキスをされて石森は別れ辛くなってしまった。
「……いいか。お前は俺のモノだ。そうお前も言った。だから俺からの連絡をちゃんと待つように。そして何かあればすぐにここに連絡してこい。こっちが個人のプライベート用で、お前だけしかこの番号は知らない」
 そう二見に言われて、石森はこれで終わりじゃないことを知る。
「……はい」
 これで終わりじゃないのだと思ったら、ホッとして最高の笑顔をしたと思う。
 その笑顔にまた二見はキスを振らせると、踵を返して帰って行った。
 玄関のドアを閉めると、部屋は昨日出て行ったままのままだ。
 ここを出る時は違う恋人と会う約束をしてでかけたのに、帰ってきたら違う恋人と次の約束をして戻ってきた。
 あり得ない一日を過ごしたわけであるが、元恋人の今岡からの心配をする電話すら家電にすら入ってなかった。
 あんなに執着したのに、あっさりとした終わりに、石森はホッとした。
 もうあんなに不安なことはないのだ。
 全てが変わって終わり、全てが始まった。
 ふっと息を吐いたら、気分が変わった。
 疲れているけれど、気分が爽快なので、部屋の模様替えをしようと思った。
 カーテンもソファーカバーも、絨毯も新しくしよう。元彼のものは全部捨ててしまおう。そして生まれ変わろう。
 そう思えた。

感想



選択式


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