073-とろける面接
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「それでは、後日、第二面接に進める方には郵送にて面接日時などをお知らせ致します。お疲れ様でした」
○○商事の集団面接が終わり、面接官からその終了が伝えられた。
集団で面接だったのだが、芳川はすっかり暗い顔になっていた。
「……落ちたな。これ」
そう思うのも仕方なかった。
集団面接では面接官が一人一人に一つか二つほど共通の話題を振って貰えるのだが、その後は挙手による自由な発想を発表する場になってしまうのだ。つまりアピールが上手い人が同じ面接グループにいた場合、その分損をしてしまうわけだ。
芳川のように自己主張が弱いタイプは、この面接は向いていなかった。
おまけに同じグループに二人ほど活発な発言をする就活生がいて、その二人の独壇場になってしまったのだ。芳川は呆気にとられてただその意見を聞いているだけになってしまった。
もう既に二十社も面接で落ちている。受かりやすいと言われたところでさえ、お断りされるような内向的な性格は、こういうところで不利益を被ってしまった。
「はは、俺のところ楽勝。大人しいヤツしかいなかったから、アピールできたぜ」
「へえ、でもお前、三社受かってるんじゃなかったっけ?」
「受かってるよ。でもここの商事、アメリカで展開してて海外転勤もあるらしいじゃん、それ狙いなんだ。アメリカにいきたいからな」
芳川と同じグループだった就活生だ。もう三社も受かっているなら、どこか譲って欲しいくらいである。選り好みをする余裕すらない状態の芳川はこんな時だからこそ、人を憎みそうだった。
荷物を持って面接会場を出る。大きな会社なので、憧れていたけれど、やはり田舎に帰って就職先を親に世話して貰った方がよさそうだなと思えた。
せっかく東京に来たのだから、東京で就職をしたかったのだけれど、その夢も叶わないのだろう。
その時だった。
「あ……」
今日の面接官だった人が歩いていた。
美形の若い人だった。男の人なのに綺麗だと言いたくなるような人で、女性が見たら見惚れてすぐに告白してしまいそうなくらいに、男臭さも持っている野性味溢れる視線が印象的だった。
その瞳に見とれていたので、面接の時間があっという間に過ぎてしまったのもある。
(幾らメンクイでもあの人たちには手は届かないよ。あーあ。この性癖があるから田舎に帰るのは辛いんだよな)
イケメンの面接官は身長も百八十は軽く超えていて、細身で手足も長くて、オーダーメイドであろうスーツがピシリと決まった人が普通の人の訳もない。もし芳川がああいう人であったなら、もっと生きやすかったかもしれないと思った。
(女の人で人生に困ったことなさそう……)
それは別に羨ましいことではないが、ふとそう思った。
芳川は女性が苦手だった。ずっと怖いと思っていて、誰とも付き合ったことはない。けれど、どういうわけか男性の美しい人は好きだった。そしてやっと自分がゲイであることを認識した。
それが分かった時に田舎を飛び出した。
最初の相手は男性で、やはり自分がゲイであることを再認識した。しかも自分はネコと呼ばれる男の人にセックスをしてもらう側であることも判明した。
こうなったら田舎には帰れない。帰っても真面な人間にはなれない。
結婚しろだの、お見合いだの散々言われて、カミングアウトすることもできずに生きていくのかと思うとうんざりする。
ただでさえ落ち込んでいるからか、人を見て自分の持たない物を持つ人を恨むなんて、馬鹿馬鹿しいことだ。
「あー、君、君。よかったまだいてくれた」
そう声がして芳川は振り返った。
するとさっきまで面接官だった一人の五十歳くらい中年面接官がやってきた。芳川の前で止まり、芳川の肩に手をかけた。
「はーよかった。君、ちょっといいかな?」
「は、はい。何でしょうか?」
「うん、あのね。これを受け取って貰えるかな?」
そう言われて差し出されたのは、この会社の封筒だ。
「あの……何でしょうか?」
「あのね内緒なんだけど、君に内定が出たんだ」
「え……!?」
いきなりそう言われて驚かないわけがない。
「ああー他の人にはまだ秘密なんだけど、君は二次面接とかなしで内定なんだけど。その何だな、後はその封筒の書類に書いてある通りで、無理ならいいんだけど。もちろん、内定無しなんてことはないけど、その場合本社勤務じゃなくて地方に飛ぶことになっちゃうんだけど……そのまあ、よーく考えて。ね!」
面接官は要点を言わずに、ただ内定がでたことと、それに伴い何か別のことがあるような態度だった。
何か聞く前にささっと走って去って行ったので、それ以上聞けなかったが、他の人には秘密だと言われたので、嬉しさ半分、秘密にしなきゃいけないことと、色んな感情が頭を支配して混乱しながら芳川は帰るために駅に向かった。
中に何が書いてあるのか、予想もつかない。
見たいけれど、外で見ていいものではないだろうし、誰かに見られても内定をこっそり貰ったのを知られるのはマズイので、家まで我慢した。
ドキドキしながら家に帰り着き、靴を脱ぐのも大慌てで部屋の机に封筒を置いた。
とりあえず落ち着くために着替え、普段着になってから、ゴクリと喉を鳴らして封筒を開いた。
まず出てきたのが、内定をしました、という文章が書かれている書類だ。
いわゆる、郵送で来る内定の紙である。
それを見て芳川は、やっと一社合格したのだと実感した。
「何か分からないけど、やった!」
その紙切れ一枚で喜んでいたが、ふと我に返る。
そういえばと、封筒を探るともう一枚紙が入っていた。
「何だろ? えーと、内定おめでとう……当社への希望等、履歴書等により選ばれたこと……うーん、ここからは提案であるのですが、他言無用でお願いしたい……」
最初こそ声を出して読んでいたが、段々と声を出すべきではない内容になってきて声が止まる。
視線だけで文字を読み、最後まで読み終わるとストンと紙を伏せた。
「な、な、なんで……なんでバレ……て……なんで、え、え、え?」
芳川は顔を真っ赤にする。
そこに書かれていたのは、堅苦しい言葉で書いてあるだけで、要約すると。
『君がゲイなのは知っている。受ける側であることもだ。だから提案なのだが、○○月○○日に君の躰を必要としている。同意してもらえるなら、ここに電話を。承諾しない場合は、4月1日を持って、○○県○○市の支店への勤務を命ずる(遠い場所)』
というわけだ。
「か……体を売れってこと? いやいやそうじゃなくて……それでも内定は決まってるって……いったよね」
どうわけか、ゲイのネコが必要らしい。
そこで思いつくのは接待などで躰を差し出すドラマで見たことある展開なのだが、まだ社員でもないのに、こんなことが通用するとも思えない。
「うーん……何でこんなこと……」
よもや内定が貰えないことよりももっと厄介な話になった。
しかし、迷っているのは転勤が嫌なのではない。
ゲイだと知っていて、ネコである自分が必要なことがなんなのか。それがどうしても気になってしまったのだ。
もちろん、ネコであることを断言しているということは、セックスが組み込まれていることになる。そのネコが必要だと言われたのだ。
芳川はそれを封筒にしまうと、ベッドで横になった。
連絡は明日までに連絡をするようにと書いてあったが、芳川はガバリと起き上がり電話をした。
「はい、行きます」
そう答えると向こう側はホッとしたようにありがとうと何度もお礼を言ってきて、一週間後に本社に来るように言われた。
一週間後に面接の服装で来るように言われたので、スーツを着て受け付けに要件を伝えた。
「芳川と言います。面接官の黒羽さんにアポを取っていたのですが……」
「はい、承っております。こちらの通路を奥に行きますと、エレベーターがあります。そこに受付がありますので、名乗ってください。あとはそちらで案内いたします」
そう言われて、人がどんどん上がっていくエレベーターではなく、別の方に歩いていった。ほぼ裏側に回ったところに受付がぽつんとある。
「あの、芳川です」
そう名乗ると、受付は何も言わずにエレベーターのパネルにキーを入れて、エレベーターを動かすようにした。
「芳川様は、四十七階を押してください。上にでましたら、左右に玄関がございますので、どちらでも構いませんのでチャイムを一回鳴らして鍵が開きましたら、そのままお進みくださいと承っております」
「あ、はい」
よくわからないままエレベーターに乗り、四十七階を押した。
エレベーターは一気に上昇し、四十七階にあっという間に到着する。パネルを見ると、二十階以上の階数しかボタンがないことに気付いた。
「なんだろ?」
どういうことなのか分からないまま、芳川はエレベーターを降りた。
廊下は広く、大理石の床がピカピカである。場違いなほどの派手な装飾品が廊下にあり、ホテルなのかと思うような場所だったが、その廊下には端と端にしかドアがなかったのである。
言われた通りに玄関のチャイムを鳴らすと、玄関のロックが開いた音がした。
『入りなさい』
「わ、はい」
言われた通りにチャイムを鳴らしたら、人の返事が返ってきた。びっくりして返事をしたが、すぐにドアを開けた。
そこは普通に廊下になっており、奥まで進むことになった。真っ白な壁の廊下でそこを歩いていくと、外が見える空間に出た。
部屋一面がガラスになっていて、街が見下ろせる。
「わあ……すごい」
展望台よりは低いけれど、それでも周りに大きなマンションやビルがないからか、海の方までしっかり景色が見えた。それを眺めていると、奥の部屋から見覚えのある人が出てきた。
「待たせて悪かった」
そう言ったのは、面接官の一人だった、印象的で記憶に一番残っている、あの美形の人だ。細長の瞳や美しいパーツが配置されている顔がしっかりと芳川を見ている。
「あ、あの……芳川です」
「うん、分かってる。私が君を選んだのだから」
「……え? 選んだ?」
そういえば、あの内定の案内に入っていた脅し文句は何だったのだろうか。てっきりいきなり座敷に通されて、赤い布団の部屋が待っているのだと思っていたから拍子抜けだ。
「私は黒羽という。この間は面接で会ったな」
「はい……」
「私をじっと見つめて、誘惑をしてきた」
「……へ?」
黒羽がとんでもないことを言い出した。
「私を見つめ返し、じっくりと眺め、堪能していっただろ? 何ていやらしい子だと思ったよ」
どういうこと? と芳川は首を傾げた。だって見つめてきたのは黒羽の方で自分こそそのせいで面接が上手くいかなかったのだ。(八つ当たりだけど)
「え、え、え……そんな……」
「ほら、また凄い目で私を見る……面接の間ずっとそんな熱い目で私を口説いていたじゃないか」
「……そんな……こと」
そうなのか? 芳川はじっと見つめていたということは、少しは気もあるということなのだろうか。そしてこれはもしかして、もしかしてなのか?と悩んだ。
「そんなこと……ないです、黒羽さん……」
そう芳川が黒羽の名前を呼ぶと、黒羽はふらっと立っていられないようにソファに崩れ落ちた。
「…………」
どうしたというのかと、芳川がびっくりしていると、黒羽は体を少し起こしてから体を震わせて言った。
「……なんてことだ。名前を呼ばれるだけで私をここまで喜ばせるなんて、恐ろしい子だ」
黒羽がそういう言うものだから、芳川は唖然とした。
何でそうなの?
黒羽の言い分がいちいち大げさで、さらには過剰で、やってないこともやったことにされてしまっている。
「あの……大丈夫ですか?」
「おおおお、押し倒そうというのか。いやいや、それは私のプライドが許さない!」
「わああっ!」
大丈夫かと確認に近寄ったら、押し倒そうとしていると勘違いされ、逆に黒羽に芳川は押し倒された。
「……あっ」
目の前にあの美しい彫刻のような顔がある。それだけで芳川は顔を真っ赤にした。これだけの美形に見つめられれば、誰だって戸惑うし、顔を赤くするだろう。
しかしそれさえも、黒羽には何かヒットした項目が違ったらしい。
「そんな色っぽさで私を誘うんだな……なんて淫乱な子なんだ……さあ、私に全てを見せるんだ……芳川……」
「え……あっ……んんんっっ!!」
黒羽に押し倒されて、キスをされた。
「んふっ……んんっんっふっ……ん」
抵抗して逃げようとすると、力強く押さえられて更に深くキスをされた。舌が入ってきて、口を開けるように誘導してきて、芳川は観念して口を開けた。
「ふあっ……んあっんふっ」
涎が口から溢れるほど黒羽は夢中で芳川にキスをしてくる。舌が嬲るように口腔を舐め回してきて、芳川は躰を震わせた。ゾクゾクした感覚がしたのだ。
「んあっはっああっ……はあっ……はあっ……」
「……ああ、なんて心地が良い……芳川……」
黒羽は譫言のように芳川の名前を呼びながら、どんどん芳川の服を脱がせていく。
そこでやっと芳川は理解した。
これは黒羽のために、あの面接官が用意した面接の代わりなのだ。これで逃げるくらいなら、そもそも内定を蹴っていたはずなのだ。それでも芳川が来てしまった。だから接待の如く、黒羽に差し出されたのだ。
(あーあれ、国見とかいう人……あの人が仕掛けたことだったんだ!)
黒羽はただ芳川を呼んで欲しかっただけだ。こういう理由で。
内定で本社と転勤で地方の田舎では天と地ほどの待遇の違いがある。
ゲイでネコで慣れているなら、絶対に黒羽の誘いは断らないと分かっていたのだ。だって面接中、二人はずっと見つめ合っていたのだから。
2
「こちらにおいで」
黒羽がそう言い、芳川の腕を引いて隣の部屋に行く。
隣の部屋には大きなダブルベッドがあり、その周りには何故かバラが沢山敷き詰められている。
「……うわ……」
思わず変な声がでてしまう芳川。
女性ならこの光景には多分喜んだのだろうが、男である芳川には乙女チックな世界はただただ呆れてしまうものだ。
しかし黒羽には普通のことだったようで、満面の笑みで言われた。
「どうだ、君のために用意したんだ」
褒めてと言わんばかりの笑顔に、芳川は引きつりながらも何とかお礼を言った。
「あ、凄いですね、ありがとうございます」
何とかニコリと笑って礼を言うと、また黒羽が目眩が起きたようにグラリとして、芳川を眩しい物を見るように見るのだ。
「ああ、何て素敵な笑顔なんだ……芳川……いや、達也」
いきなり名前を呼ばれた。
芳川はドキリとしながら、黒羽を見た。
「……また綺麗な目をして……達也……さあここへ」
そう言われて引き寄せられてベッドまで誘導された。ベッドに座るのと同時に押し倒された。
「わっ!」
ふんわりとした自宅のせんべい布団とは違った柔らかさを持つベッドに埋もれて、芳川はやっと自分はこの人とセックスするんだなという気になった。
「あの……その……」
「なんだい?」
「や、優しくお願いします……」
消え入りそうなほど小さな声で芳川は言った。顔は真っ赤になったし、耳は熱いしで恥ずかしさが消えてくれないのだが、このもじもじした様子が黒羽の何かのスイッチを押したらしい。
らしいというのは、未だによく分からないからである。
「ああ、君は本当に素晴らしい……何て可愛いんだ……その可愛らしさで私を翻弄する……ああ」
そんなことを物心が付いた生涯において、一度も言われた覚えがない芳川は、困惑するよりも赤面してどうしようもなかった。
黒羽が冗談でそれを言っているのはあり得ないと思えてきたし、このテンションが黒羽なのだとすると、言っていることは本音ばかりなのだろう。
黒羽はそう言いながら、芳川の服を脱がせていく。
どこでそんなテクニックを身につけたのかと聞きたくなるほど、鮮やかに芳川を転がして服を完全に脱がせてしまった。
「……あ……」
「ああ、君はとても綺麗だ……はぁ」
黒羽がそう言いながら、芳川の体を触りまくり、いやらしい舌がそこら中を這っていく。
「んふっ……あっ……んぁ……」
「これは誰も触れていない……綺麗な体」
そう言われて、芳川は顔を赤らめた。
今までそうした勇気がなくて、ずっと機会を逃していた。だから触れるのは黒羽が初めてなのだ。
「経験はないんだね」
「は、はい……んっ黒羽さんが、初めてです……」
確認されて正直に答えると、黒羽が芳川の腹に顔を埋めて言った。
「なんて、私はラッキーなのだ。初めてを貰うなんて、かわいい君の初めてを……貰う……ああっ」
また黒羽が大げさに感動している。
この人はこういうことをするせいで、もしかしなくてもモテてないのではないだろうか。女性もどん引きでよってこないから、自分に手を出しているのではないだろうかと思えてきた。
気が弱い上に、黒羽が格好いいと思っている芳川だから、この状況に耐えられていると言ってよかった。
また黒羽もそれに引いてはいるが、逃げようとしない芳川の態度にどんどん惚れ込んでいく。
細い体である芳川の体を指先から足先まで舌で舐め上げて、黒羽はまた興奮していく。
「達也は、こんな私でも構わないのかい?」
そんな弱気なことを黒羽が言い出した。
さっきまでの自信たっぷりの様子からは、少しトーンが落ちていたが、自分が他社に一歩引かれていることは気にしていたらしい。
普通にしていれば、皆がよってくるであろう容姿をして起きながら、興奮すると止められない部分のせいで苦労しているようだった。
そんな黒羽の弱気が、芳川にはキュンとくるほど可愛く見えてしまい、そんな黒羽を抱きしめて言っていた。
「大丈夫です。僕はあなたが好きです。初めて見た時からずっと、気になってました……だから初めてがあなたで嬉しいです」
芳川が素直にそう答えると、また黒羽の何かにヒットしたようで、黒羽が起き上がってきて、芳川のキスをした。
とても深い濃厚なキスで、舌を絡めては口腔を舌で犯しながら、やっと離れたと思っても何度も芳川の唇にキスをついばむようにしてくるのだ。
それだけで、芳川はメロメロになってしまう。
こんな情熱的なキスをされたのは初めてで、ファーストキスがこんなのだったら、きっと一生忘れられないものになりそうだった。
「達也、私も君が好きだ。初めて見たときから、惹かれた。君の熱い視線が私を高ぶらせてくるんだ」
黒羽がそう言って、ズボンのファスナーを開くと、大きく反り起った大きなペニスが芳川の目の前に晒される。
他の人のペニスは、動画なんかで見たことはある。しかし目の前にしたのは高校の修学旅行が最後だ。大体人が平均的で、黒羽のようなどす黒い色をして、剥けていて凶器のような鋭さを持ったものは見たことはなかった。
その黒羽のペニスは、芳川を犯したくて仕方ないと、勃起しているのだと芳川は喉を鳴らした。
ゆっくりと起き上がり、芳川は自然と黒羽のペニスに手を伸ばし、掴むとすぐに?ずりして、まず舌で舐めた。
「ふ……ああ……達也。君はこれを好いてくれるんだね……」
黒羽の前で跪いて、黒羽のペニスを舐める芳川。しっかりと全体を舐め、筋を舌で這い、亀頭まで綺麗に舐める。まるで甘いキャンディーのように丁寧に舐め上げていく様子に、黒羽は満足したように声を上げて、芳川の頭を撫でてくる。
チュバチュバと音を立てて吸い上げ、それから口腔に黒羽のペニスを拭くんだ。
「んんっ……んむっ、んっんっん゛~っ……」
「達也……上手いよ……そう舌で、そう上手いよ、気持ちがいい……」
「ん゛ん~っ! んっふっ、んんっんっんっん゛っ」
黒羽は最初こそフェラチオで我慢をしていたが、芳川の頭を掴むと、腰を入れて動かし、イラマチオをしてきた。
急に喉までペニスを突き入れられて、芳川は焦ったが、黒羽が興奮して止められないのだとすぐに理解した。
「んん~っ……んっんっ、んむっ……」
喉を犯される感覚に、芳川は快楽を得ていた。苦しいのに、喉まで入れられて辛いのに、不思議と嬉しい気がしたのだ。
「出すよ……ううっん!」
「んんっ……! んぶっ、んむっ、ん゛っん゛っ~」
喉の奥までペニスを突っ込んだ黒羽が、芳川の口腔で達した。
勢いよく吹き出す精液が、喉の奥に叩き付けられて、芳川は慌てたがそれでもゴクゴクとその精液を飲み干した。
「んはっ……はぁんっんっん! おちんぽぉっ……おちんぽっ凄い……っ」
全部飲み干してからも、芳川は黒羽のペニスを綺麗に舐めた。
精液なんて飲めるとは少しも思ってなかったのだが、全く抵抗なく飲めてしまった上に、もっと欲しいと強請っている。
もう既に黒羽のペニスの虜になっていた。
早くこれをアナルに欲しいと、芳川は必死になってまた黒羽のペニスをフェラチオで勃起させた。
「いい子だ……さあ、私にアナルを見せてご覧……」
そう黒羽に言われて、芳川は素直に尻を高く上げて、黒羽にアナルを見せるように四つん這いになった。
黒羽はその芳川の尻を抱えるようにして、顔を近づけて舌で芳川のアナルを舐め始めた。
「ああああっ!」
ザラリとした感覚がアナルに触れ、初めて他人に弄られることが気持ちがいいのだと芳川は知った。
「舌が、すんなり入るね。弄ってきた?」
「んんっ、っあ……は、はい……っ、ああっ、あ……っ」
「これならすぐに入りそうだね……ふふ、淫乱な子だ。指で抉じ開けて、こうやってオナニーをしていたのか、ほらどうだい?」
「ああぁっ、いい、きもちい……っ、はぁあああ……!」
黒羽はジェルを取り出すと、それを手に塗り、更に芳川のアナルに付けると、指を深々と芳川のアナルに突き入れた。
「ああっ、あっ、あっ、あっ、んあぁああっ」
内壁を広げるようにして、指を動かし、二本に増やして更に中で指を暴れさせてくる。
「いい、いい……!気持ちいいっ……!」
脳天を突き抜けるように快楽が押し寄せてきて、芳川は自ら腰を振って黒羽を誘った。
「きもちいい……あぁぁっ……いい、はやくおちんぽがっほしいっおま○こきもちいいからぁ……!」
淫語など教えられたわけではなかったが、たまたま見ていたアダルトビデオのせいで、淫語が自然と口に出た。それは正直な気持ちそのもので、嘘偽りのない本心だった。
「あぁっ、はやく、はやくぅ……おちんぽがいいっ おま○こにおちんぽください……ああんっああっ!」
指だけでは届かない部分までもっと欲しいのだと更に強請る芳川にすっかり気をよくした黒羽はやっと指をアナルから抜いた。
「達也がいやらしくて、私はとても嬉しい。もう待ちきれないよ……っ!」
黒羽がそう言うと、芳川のアナルにペニスを突き入れた。
「んぁっひぃいいいいっ!! おちんぽぉ……んっ! ああんっ……おちんぽっ!」
しっかりと分かる形で巨大なペニスが、内壁を押し開いて奥の奥まで入り込んでくる。
「いい……っ、ああ……!いい――……っ……!」
「ああ、達也の中、とても気持ちがいいよ……はあ、やはり、私を包み込んでくれる……君はきっとそうだと思っていた……ううっさあ、たっぷり堪能させてもらうよっ」
奥まで入り込んで、しばらく中を広げていた黒羽のペニスが、ズルリと引き摺り出され、そしてまた内壁を押し開いて入ってくる。
「ひああぁっ……あひっ、ん゛っあっあああっ、ひあぁっ、ああああぁ……っ」
初めてではあったが、想像以上の快楽に芳川は怖さが一気に消えた。
もっと酷く痛いのかと思っていたが、自分で広げていた分、黒羽が更に広げたからか、黒羽の大きなペニスすら綺麗に飲み込んでしまった。
更に黒羽が丁寧でありながら、乱暴に突いてくるお陰で、脳天を何度も突き抜ける快楽が押し寄せて、当初の心配などあっという間に消えてしまった。
気持ちよくて、それだけの感情を追うことに芳川は専念した。
「あっあっ、んはぁあっ!ぁっんひ! もっとぉっぁん! あっ、あっ、ぁん! んふぅっぁひ! ひぁっ、あーっあーっ!」
パンパンと激しい動きで中を開き、芳川が感じる場所を亀頭で突きながら、指では届かない場所にペニスが入り込んでいる。
「あぁああんっ……もっと、もっとっん、はぁんっあっィぁああっ! そこ……っそこ凄いいいいっ!」
自然と芳川も腰を振っていた。気持ちよくてどうしようもなくて、もっと欲しいとさえ思った。初めてなのに、完全にセックスの虜になってしまったのだ。
「んっあぁあーっ、あ゛ひっ、んっあ゛っあんっあんっあんっはぁっあっあっあっ! 好き……っおちんぽいいっしゅきぃいいっ!」
ガクガクと体を揺らされながらも、必死に腰を振っていると、やがて黒羽が絶頂を迎えた。
「出るっ!」
「っあぅ!あっ、うんっ、いくっあっあああっ……っ!」
黒羽が中で射精をした瞬間、芳川もそれを受けて達した。
中で精液が吐き出されて、それが中でたまっていくのだが、黒羽の射精は人の射精とは思えないほど長く出ていた。
「あぁあんっ、いいっ、せいえきっ、きもちいっ……あ゛ーっ、あ゛あぁんっ」
精液を出されている感覚で、芳川は空イキをしてしまう。
ビクビクッと体を震わせて、達する芳川をしっかりと黒羽が抱きしめる。
「ああ、君は本当にいやらしくて淫乱で、そしてセックスが好きなんだね? 初めてで中に射精されていくなんて、本当に淫乱なんだ……いいよそれで、達也はそれでいいんだよ。すべて私が受け止めるから、そのまま淫乱になりなさい……」
黒羽がそう言うと、ペニスを抜いた。
抜けたペニスの形に開いたままのアナルから、黒羽の精液が出てくる。それを黒羽は携帯で写真を撮り、にこりと笑って満足している。
「あぁぁ……もっと、もっとっおちんぽっ……あぁ……っ、もっと、もっと激しく、おちんぽっぐりぐりして……っ」
芳川は、尻を高く上げ、それを揺さぶって黒羽を誘う。
そんな芳川をガラス窓から外が見えるところへ連れて行き、芳川はガラスに手を突いて尻を突き出す形にされる。
外から見えようと思えば見ることができる状態に、芳川は一瞬恥ずかしくなったが、そんなことよりも黒羽のペニスが欲しかったので、片足を上げてアナルを広げて黒羽を誘った
「だって……すごくいい……からっ、あぁ! 黒羽さんのおちんぽっ、すご……いいぃの……っ! 僕のおま○こにズボズボして……おちんぽしてください……」
そういうだけで、芳川のペニスからは精液がピュッと飛び出す。自分の台詞に興奮してしまっている証拠だ。そしてそこまでにしたのは黒羽であり、黒羽は完全にその姿に見惚れて、すぐさま芳川の言う通りに、そこにペニスを突き立てた。
「あ゛あーっ……あひっ、んっあ゛っああっいいっ、おちんぽ、きもちいっ……うぁっんっあっあぅっ」
片足を上げた状態で貫かれて、芳川は片足で立ちながらもガラスに体を押しつけて体制を整えて、黒羽のペニスをしっかりと味わった。
「あひぃっ、いいっおま○こっあ゛っうっんっ、おちんぽ好きっいいっあんっあんっあんっあんっ」
「セックスは好きかい?」
「ふあぁっあ゛っあんっセっクスっすきっすきっ……! ああっい゛いっ……きもちいっ、んっあ゛っああっ」
「これからも私でイキなさい……っ」」
「いくっ、いく……! 黒羽さんのおちんぽでっおま○こいくっひぁ、あ……ああぁっ」
絶頂した瞬間に芳川は尿を漏らしてしまう。
「あぁんっごめんなさっ……あひっ、いっあ゛っあーっ、あーっ……」
それでも気にした様子もなく黒羽は芳川を突き続けた。
「お漏らししながら感じているのか、何て淫乱な子だ、もう癖になってしまそうだね、そのお漏らしも……」
「あ゛あああっ……はひっ、イっあっうああぁっ……」
芳川は達しながらも更に強く突かれて、感じながら最高の絶頂感の中、果てしない快楽に身を委ねることになった。
「あ゛あああぁんっ! あひっイっあ゛っあ゛っああああっ! ひあ……あーっあーっひあ゛あっうあっあんあんあんあんあんあんあんっ!」
嬌声しか漏れない声が、部屋中に響き渡っているが、誰もいないことを知っているからか、芳川の嬌声は大きくなり、悲鳴のような声で喘いだ。
「あ゛ああぁっ……だめぇっ、セっクスっよすぎて……こわいっ、ひあっあ゛っあーっ、ああぁんっ……」
あまりの気持ちよさに怖がる芳川にガラスに手を付かせて、背後から押しつけるようにしてガラスに密着させて後ろから黒羽が突き上げた。
「気持ちよくて、いきなさい。全世界の人に淫乱なところを見て貰いなさいっ」
「ひっあ゛ああーっ……いぐっ、おま○こでっ……! ふあぁっあ゛っあああんっ!」
ガラスに張り付くようにして、芳川は絶頂して精液をガラスに吐き出した。
内壁には黒羽の精液が大量に吐き出され、ペニスが抜けてしまうと、吹き出すように精液が出ていっている。それさえも気持ちよくて、芳川はオーガズムを迎えて、床に崩れ落ちると、打ち上げられた魚のようにビクビクと床で跳ねた。
その上から黒羽がペニスを扱き、芳川の全身に大量の精液をぶっかけた。
「美しい……私の達也……これからは私のために、こうしているといい」
そう言われて芳川はぼんやりとしながらも頷いて笑った。
「はい……そうします」
芳川はその後本社勤務になり、黒羽の補佐をするようになった。とはいえ、まだまだ見習いレベルであるからみっちりと仕込まれているが、黒羽は所構わず欲情しては、芳川を押し倒す。
誰も来ないようにしたオフィスで昼間からテーブルの上に寝かされて、激しくペニスを突っ込まれながら喘いでいるのは、もはや日常だ。
「あっあっ……もう、あぁあっ……いっちゃ、いっちゃうっ……あっあぁっ」
「達也、もういってしまうのかい? 乳首はいいのかな?」
「あひぃっ……なっ、なめてぇ……おっぱいっ、んんっ……おっぱいちゅうちゅうして、ぁんっ、おま○こぐりぐりして、せいし出すのぉっあっあっあぁあんっ」
「そうかい、じゃあそうしよう」
そういうと、黒羽は芳川の乳首を吸いながら激しく突き上げて、芳川の中に精液を吐き出した。
「やあああぁっ! ぁっあっいくっ、いくっ……! んっあっあっあっせいしでてるっあぁあんっ!」
それだけで芳川は達してしまう。
仕事中に休憩の三十分を使って、強引に始められるセックスだけれど、黒羽に触られるだけで、芳川はいいように喘いでしまうようになってしまった。
「あぁあっ……はぁっはぁっ……らめっ……あっぁんっ……」
黒羽によって暴かれた淫乱さは、日に日に増していき、押さえることはできなかった。けれど、それは黒羽が見込んだ通りの淫乱さで、黒羽を満足させている。
芳川は黒羽と共に住むようになっているので、夜は毎夜のように黒羽に抱かれてはいるが、黒羽は芳川を離す気がないようで、どこにでも供をさせてセックスを求めた。
二人の中を取り次いだ面接官は、黒羽の叔父で副社長でもある。その人物曰く、落ち着きがない後継者である黒羽に恋人を作ってやればやる気にもなるだろうと思って協力したらしく、その狙い通りに黒羽は落ち着きを取り戻し、仕事も精力的にやってくれていると芳川を歓迎している。
芳川は当初の仕事内容ではなかったが、黒羽を補佐する仕事もだんだんと慣れてきて、黒羽には頼りにされ始めていた。
だから満たされているのは、黒羽だけではなく芳川もだった。
あの面接、セックスを受けなければ、きっとこうはならなかったのだから、思い切ったあの時の自分に芳川は拍手を送ったくらいである。
「私の、天使……愛しているよ」
黒羽がそう言い、それに芳川も笑って答える。
「僕も、愛してます」
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