071-新たなる運命がやってくる
1
その夜の恋人の帰りは遅かった。
伊崎は仕事が終わり、早めに帰宅した。恋人の奥間の帰りがいつになるのかアプリのメッセージを送ったのだが、返答がなかった。
今夜は鍋にしようと思っていて、しっかりと用意しただけに一人で鍋をやるわけにもいかず、仕方なく先に簡単な食事を済ませた。
午後十時を回っても奥間からの連絡はなく、何か事故でもあったのかと思うのだが、最近、奥間の連絡がルーズなところが目に付いてきて、伊崎は少しだけ溜息を吐いた。
「もう終わりなのかな」
恋人とはもう一ヶ月の寝ていない。誘っても忙しいといい、最後には怒鳴って拒否するようになったかと思えば、今度は帰りが午前様。明らかに飲んできたような態度に、恋人として一緒に住んでいる意味さえ、伊崎には疑問を抱えるようになった。
何より持てあました性欲は、伊崎を一人エッチに夢中にさせ、最後には伊崎も面倒くさがるのが分かったので、奥間を誘うことはなくなった。
寂しい躰を持てあまし、バーで出会った男と一度だけ浮気をした。
あの情熱を持てあまして、乱暴に抱いてくる男の力強さに、伊崎はほうっと息を吐いて呟いた。
「また、行こうかな……どうせ、奥間はそういうことも気にしないし……」
浮気をした日は帰らなかったのだが、奥間は次の日に伊崎と会っても、そのことを咎めるどころか、一切詮索をしなかったのである。
もう伊崎に感心がないのだろう。それどころか、伊崎がやってやってる掃除や食事の用意など、家事をしてくれる便利な家政婦だと思っているのかもしれない。
愛されているとはもう感じていない。
だが、出て行ってくれと言うと揉めるかもしれないと思った。
元々ここは伊崎の部屋だったのだが、今は二人で借りていることになっている。だから、出て行くならきっと自分の方なのだろうなと思い直し、今日は食事の用意をしながらも、その片手には引っ越しのための不動産の情報誌を持っている。
この矛盾に気付きながらも、結論を先に伸ばしているのはお互い様だが、もう二ヶ月も真面に会話もしていない。一ヶ月前にセックスをしたのも、奥間は酔って帰ってきて、寝入っていたのを意識がないのをいいことに、伊崎が奥間の躰をいいように使っただけのことなのだ。
それは空しいことであることを悟って、それからしていないのだが、この半年、奥間に躰を求められたこともなかったのである。
「はあ……やっぱ先に引っ越ししよう。部屋の荷物が減ったところで、気付いたりもしないんだろうし……」
ここで気付いたら嬉しいなと思いながらも、情報誌をしっかりと読み込んだ。
間取りでいいところや気になるところにチェックを付け、明日は休日なので不動産会社に行くことにして、一区切りをしたところだった。
ピンポーンとチャイムが鳴った。
時計を見ると既に十一時を回っている。こんな時間に誰がチャイムを鳴らすというのか。宅配便では遅すぎるし、誰かが訪ねてくるには非常識な時間だ。かといって、鍵を持っている奥間がチャイムを鳴らすこともない。
恐る恐る玄関のチェーンをかけたままで玄関を開けると、そこから見えたのは酔い潰れた奥間を抱えた人が立っていることだけだ。
「すみません、奥間さん、そこまで自分で何とかできたんですけど、鍵が見つからなくて……」
「あ、はい、すみませんわざわ……」
どうやら酒の席で酔い潰れた奥間を送ってきてくれた人なのだろう。そう思ってドアを開ける。
だが開けた瞬間に、廊下の明かりで奥間を連れてきてくれた人の顔が見えた。
「……あ!」
思わず伊崎が声を上げると、その人物も伊崎を見て、あっと声を上げた。
その人は、ついこの間バーで出会い、セックスをした相手だったのだ。
「……なんだ……世間は狭いんだな。奥間さんの同居人ったんだ?」
相手はこの出会いを面白がっているようだったが、伊崎には頭から冷水を浴びせられたかのような気分であった。すっと冷めていくのが分かり血が引いている。
「とにかく、この人寝かせた方がいい」
そう言うと、玄関の入り口で固まっている伊崎を押しのけて、男が入っていく。
「部屋はこっちでいい?」
そう言って運んでいくのは、人が訪ねてきた時の用にカモフラージュで作っている奥間の部屋だ。普段は伊崎の部屋のダブルベッドで寝ているので奥間の部屋は使ってはいなかったが、人がいる以上、その部屋にしか運べない。
「そこの、青の名札があるところで……」
何かバレないようにして、部屋に運ばせることには成功した。
「あ、すみません、トイレを貸してください」
「あ、はい……その廊下の玄関に近い方のドアです」
「ありがとう!」
奥間を運び終わったので、帰って貰おうとしたら、トイレに逃げ込まれてしまった。
「気まずいんだけど……」
奥間は完全に酔い潰れていて、伊崎が服を脱がせてやっても全く起きる様子がなかった。
「一体、何をどれだけ飲んだら、こんなになるかな……」
今までで一番酷い酔い方をしている。意識がないくらいの反応のなさで、完全に寝込んでいる。
何とか奥間の着ていたスーツを脱がせて下着にさせたところで、そのまま布団に寝かせた。どうしようもないからだ。
スーツをハンガーに掛けて部屋に吊してから居間に戻ると、トイレから出た男がダイイングにあるテーブルの上のものを眺めている。
「あの、トイレが終わったなら……帰って……」
「へえ、引っ越すの?」
「へ?」
「だから、ここから引っ越すつもり?」
男がそう言うので、伊崎はハッとする。さっきまで見ていた不動産情報誌を開いたままで置いてあることを思い出した。
伊崎はすぐにその本を取り上げた。
「……別にいいじゃないですか……」
伊崎がそう言うと、男はまだテーブルの上を眺めて、さらにはキッチンまで見ている。
「へえ、ご飯用意して待ってたけど、奥間さんが帰ってこなかったってわけか」
「だから。帰ってください」
詮索されると奥間にも影響が出そうで、伊崎は男を追い出そうとするのだが男は平然として言うのだ。
「奥間さん、最近飲み歩いているから、なかなか帰ってこなかったでしょ? 誘いすぎて、周りから迷惑がられているんだよね。で、理由を聞いたら、付き合っている相手と上手くいかないってさ」
そう言われて、伊崎はドキリとした。それは伊崎も感じていることだ。
二ヶ月も真面に話もしておらず、休みの日が噛み合わなくなって普通の会話すらもほとんどしていない関係になっている。それを奥間が不満に思って愚痴を誰かにこぼしているのは仕方ないとは思う。
けれど、奥間のせいで余計にこじれているのに、そこは伊崎のせいなのかと伊崎は絶望した。
「上手くいかないって言う割には、全然定時に帰らないで、飲み歩いているから、普通に相手にも上手くいってないって伝わってるんじゃないって言ったら、別れ時かなって言い出したんだ。エッチもしてないし、その気もだんだん失せてきたみたいで……」
そう言われて、伊崎は目を見開いてテーブルの上の湯飲みを眺めた。
一緒にご飯を食べようとして出した食器がそこにある。ここまでしても、もう駄目だと思われていたのかと、伊崎は悲しくなり、自然と涙が頬を伝った。
「何で、伊崎さんが泣くの? 奥間さんの恋人との話をしているのに」
男がそう言った。
そこで伊崎はハッとする。
もしかして、男は伊崎と奥間が付き合っていることに気付いてはいるけれど、気付いてないふりをしているのかと。
ふと視線を男に合わせると、男が少しだけ笑っているのが分かった。
「奥間さんも、恋人と別れたいけど、自分から切り出したら、しつこくされるんじゃないかって思って、距離を先に置いて……相手から何か言われたら別れることにしたんだって。それって卑怯だよね。はっきり言った方が揉めないのに。でもこうやって身の回りを世話してくれる同居人がいたんじゃ、恋人なんていても有り難みがないよね」
そう男が言うので、伊崎は更にハッとする。
奥間は恋人と別れるために行動をしていたのだろうが、こっちから別れを持ち出さない限りはこのままの状態でいるつもりだったのだ。
伊崎の浮気にすら気付かないほど、関係は既に終わっていた。今、奥間が便利だと思っているのは、家事をしてくれる母親代わりの伊崎だけなのだ。
もう恋人関係ではなく、家族のそれになっているのだと言われ、伊崎はやっと奥間と別れることになるのだと気付いた。
きっと自然と何も言わないまま伊崎が引っ越しをしても、きっと奥間は驚くどころか、やっと消えてくれたと思うだけで終わっていたことなのだ。
少しくらいやきもきさせてやろうと考えていたことすら甘いのだと言われ、伊崎は奥間に対しての罪悪感がだんだんと消えていく。
「伊崎さんは、恋人とは上手くいっているの?」
そう男が聞いてくる。
この男が何処の誰で、どういう名前でどういう人なのかも知らない。
このまま知らないままでいた方が幸せなのか、分からないけれど、伊崎は答えていた。
「……恋人とは別れるつもり。もう終わってるみたいだし、何も言わないけど、終わってる感じがしていたから、出て行こうと思ってた」
伊崎はそう言うと、持っていた不動産情報誌をテーブルの上にゆっくりと置いた。
わざとここに置き忘れて、奥間の目に入るところに置いてやろうと思っていたが、それすらもう無駄だと知った。
「へえ、でもこの部屋とってもいい部屋だよね。隔離部屋っていうのかな。隣は大家の持ち物で大きな物音がしても不審がられないし。下の部屋はどこかの事務所で、昼間しか人がいないみたいだし……家賃も良さそうだ。大家と知り合い?」
男がそう尋ねてくる。それを言われてふと伊崎は思い出した。
この家は、大家を偶然手助けしたことで、気に入って貰えて借りられた部屋だ。家賃も一人部屋の値段で、奥間と住むようになってもそれは変わっていない。奥間はそれを知って、伊崎のところに転がり込んだのだから、ここで伊崎が出て行けば、大家だって今までの家賃では済まさないだろう。
「……大家さんとは、病院で一緒になって……具合が悪いけど診察の結果帰っていいと言われた大家さんを、偶然同じタクシーに乗った時に送ったからで……」
「へえ、じゃあ出て行くのは奥間さんの方だね。だって大家さんからしたら、奥間さんが残っても、お気に入りの伊崎さんが出て行っちゃったら、奥間さんに親切にする理由がないもんね」
その通りである。男にそう言われて伊崎は少しだけ気分が上向きになる。
奥間には出て行ってもらおう。この情報誌を叩きつけて。そう伊崎は思った。
「でさ、俺はこの間のこと、忘れられないんだけど……」
男がそう言いながら伊崎に近寄ってきて、伊崎の躰をいやらしく抱き、背中を手が這い回り、片方の手が伊崎の尻をしっかりと揉んでくる。
「……やっ……だ、だめ……ここは……」
「どうして? この間はとても積極的で、いやらしかったくせに。コレをここに入れてって言って、いやらしく咥えていたのに……」
そう言うと男は伊崎の尻の割れ目に指を這わせた。
「あ……ん!」
あの夜の出来事は、今でも夢に見てしまい、それをおかずにして一人でオナニーをしているくらいには衝撃だった。奥間とセックスをしなくなってから、奥間とのセックスを忘れるほど、伊崎の中で気持ちがよかったセックスだった。
「……だめ……ここは……奥間が……」
「あの人は起きないよ、ああなったら起きないことは有名だ」
男がそう言うので、伊崎はドキリとする。奥間の知り合いの中では奥間が酒で寝てしまうと、起きないことは有名で、そうなると同居している伊崎に電話がかかってきて、タクシーで受け渡しをする羽目になっていた。
最近はそれが酷くなる一方で、咎めても何処吹く風の奥間にも苛立っているところだった。
男の手がシャツの中に入り込み、肌を撫でながら乳首に辿り着く。
「あっ!……だめそこ……やっああっ!」
既に尻の割れ目を何度も擦られているうちに乳首が立っている状態で、それを指で擦りあげるように跳ね上げられた。
「んふっ! あっ! んあぁっ!」
逃げようとしたところ、後ろから抱き抱えられ、乳首を弄られ続ける。ピンッと立っている乳首を男が指で何度も跳ね上げ、伊崎のペニスが段々と反応をしてくる。
スエットのズボンを下着と一緒にズリ下げられた。スエットが絡まって、逃げることができず、伊崎は立ったままで倒れそうになった躰を冷蔵庫に預けるような体勢になった。
それは男に対して尻を突き出した形になり、男はその伊崎の尻の間に男のペニスを挟み込んでそこで男は自分のペニスを扱き始めた。
2
「……あ……それはっあっんふっ!」
男が腰を動かしながら、ペニスを伊崎の尻に擦りつけてくる。その硬くなったペニスとその熱に伊崎の顔が驚きに変わるも、口からは乳首を弄られているせいで甘い嬌声があがっているだけだ。
「伊崎さん、腰が揺れてるよ。欲しいでしょ、これ。知ってるもんね。この良さ」
男がそう言って激しく腰を動かして、伊崎の尻の割れ目でペニスを扱き始める。
「ああっ……んっあっひゃあっ! はっあっん……ああっん……ああっいい……んっあっいい、乳首っああっ!」
捏ね回すように乳首を指で捏ねられたら、自然と腰も動いた。
「伊崎さん、これ欲しいよね……」
男の片方の指が、伊崎のアナルに入り込んでくる。ニュルリと濡れた指は、テーブルに置きっぱなしだった蜂蜜が付けられている。
「はああっ! ああっんっ!」
ブチュブニュッと音が鳴り響き、いやらしい音が鳴っている。待ちに待ったほどの他人の指でも、伊崎には自分でするよりもずっと気持ちが良いことを知った。
自然と声が上がり、嬌声になって男を誘うように腰が蠢く。
「あんっ……! ああっんっ! はっあっん……んああっ! ……ゆびっああっんっ!」
「ああいいね、指があっさりだ。ずっと一人で慰めていたんだね……可哀想に。こんなに淫乱でセックスが大好きな人なのに……ずっとお預けされていたなんて……」
「はあっんっ! ああっんっ! ……あっあっ!んあっゆびっああっゆび、ちくびっ! はあっんいいっいいっもっと……もっとちょうだいっ!」
伊崎は体勢を低くして、男に腰を突き出し、腰を振って男を誘った。
こんなのは駄目だ。流されているだけだと分かっているが、それでもその熱い物が素晴らしいことを知っていた。
しかも奥間が自分と別れたがっていて、もう絶対にセックスをしてくれないと分かった今、遠慮する必要なんてないんだという思いもあった。
我慢しても振られて、やっても振られるなら、やって振られる方がまだマシだ。
遠慮してたってどうにもならないほど奥間との関係が破綻しているのなら、遠慮するのも馬鹿らしいと開き直ってしまったのだ。
「欲しい? 何処に何を欲しいのか教えて」
わざとアナルに擦りつけながら、男が言う。分かっているけれど、伊崎の口から卑猥な言葉を聞きたいと言っているのだ。
伊崎は少し顔を赤らめたが、尻を両手で広げてアナルを広げ、男に腰を突き出してから言った。
「俺のおま○こに、あなたの大きなおちんぽをズボズボして、いっぱい中で精液を出してっ!」
しっかりと男を見ながら伊崎が言い切ると、男が喉を鳴らして伊崎の尻を両手で掴み、一気に伊崎のアナルにペニスを突っ込み出した。
ズルズルと入り込んでくる男のペニスの大きさに、伊崎は甘い息を吐いてそれを受け入れた。
前にセックスした時から気付いていたのだが、奥間のペニスよりも男のペニスの方が大きい。それも長くさもあり、しっかりと伊崎の内壁が吸い付くのだ。
「はっ……ああ……んんん……っ! お○んちん、はいって……きた……ああっすごい……ああっ」
久々に味わうのは、覚えのあるペニスだ。それが熱く内壁をこじ開けていることが、伊崎には嬉しいことだった。
伊崎は飢えていた。セックスに愛情に。何も与えられなくても生きていけるわけもない感情が、ここでがっちりと噛み合ってしまった。
「ひぁっんああっ……はあっん……ひやあっあっあっきもちっいいっ……っ!」
伊崎は素直にそう言った。
気持ちがいいのだ。それは本当のことで、もう遠慮をする必要もない。寝ている奥間が起きてきて見られても、もう罪悪感を抱く必要もないことだと分かった。
「はうっ……ああっこわれ……ちゃう……ああっんっいいっおくっきてるっ……!」
奥間では届かない場所まで届く男のペニスが、酷く心地よくて伊崎は嬌声を上げた。頭の中はもうセックスのことしか考えられない。
もともと性欲が強くて、セックスが好きだったのを思い出す。今まで奥間に遠慮して押さえてきたものが爆発するように溢れてくる。
男はそれを全て受け止めてくれる。
「あっあああっおかしく……なる……んああっいっぱい……おち○ぽ……ああっんすきっ」
グチャグチャと蜂蜜が粘り気のある音を出して、挿入を助けている。その甘い密の匂いが充満して、甘さで頭がおかしくなりそうだった。もう蜂蜜の匂いを嗅いだらこのセックスを思い出してしまうくらいに、伊崎は満足していた。
「おち○ぽ、気持ちいいんだ? 好き?」
「おち○ぽ……だいすきっおち○ぽすきなのっいいのおち○ぽ!!」
馬鹿になったように伊崎は繰り返し、男はそれに満足したように、根元まで突き入れてからギリギリまで抜く挿入を繰り返した。
「ひやああっ! おち○ぽおっきいいっ……奥まできてるっおくっああっ!」
「これぐらい抉ってやんないと、満足できないでしょ……この間もこれ好きだって言ってたじゃないか」
「おま○ここわれるっああっいいっ……っ! ひああっああああっっ!!」
奥まで突き入れてぐりっと内壁を擦り上げると、伊崎はとうとう絶頂を迎えた。ガクンと躰を痙攣させて、男のペニスを内壁が締め上げる。
「くっ……すげっ……でもまだまだだよ」
男はそう言うと、キツくなっている内壁をこじ開けて挿入を繰り返した。
「ひっいいっいって……るっいってる……のっああっんあっあっああっ」
絶頂を迎えて快感を得ている途中で、更に内壁を擦り上げられて、伊崎は悲鳴を上げる。しかしそれもすぐ嬌声に変わってしまう。
「あん……あんあんああぁぁっ! ああっんっあんあんっああっん!」
何度も伊崎のペニスから精液がピュッと吹き出し、突かれるたびに精液がでてしまうようになった。
「ほしっ……いっもっとおくまで……もっとちょうだい……突いて……もっと突いてっあああっ! ひぃあああぁぁぁああ――――――っ!」
男が前立腺を擦り上げてきて、伊崎はまた絶頂するも、今度は空イキになり、快楽だけが脳天を突き抜けてきた。その絶頂が治まらない。
「あああああぁぁあああんっ あっぁんっ! ふああっ、いってる……まだいってるっ! おま○こにでてるっせいえきでてるっんんっ!」
「……ふっ釣られた……けど、萎えないからさすがに伊崎さん、煽るの上手いね。ずっと伊崎さんの嬌声が忘れられなくて、伊崎さんのこと探したんだよ……まさかこんな近くにいたなんて、思いもしなかったけど……よかった」
男はそう告白するのだが、それは今の伊崎には聞こえていない。
「ひあぁんっ おち○ぽすきっ! おち○ぽいいっきもちいいっ……ああっもっとおくまでちょうだいっあああっひああっあっああっあっああっ! もいくっいくのっっあ゛あ゛っあ゛っあああっ!」
連続の絶頂に伊崎は狂ってきた。
こんなセックスはこの男と過ごした日以来だ。ここまでセックスで馬鹿になれる時間が伊崎にはずっとなかった。恋人を作ってからそれは減っていって、今やセックスレスになっていた。
けれど、これを求めてもいいのだと、これを望んでくれる相手がいるのだと、今気付いたのだ。
「ちくびしてっもっとして……あぁっああんんっ! ちくびきもちいいっかんでかんでっひゃああああぁぁぁああっ! おま○こしてもっとおま○こっ! ああっおま○こきたっひあああっんっ!」
後ろから乳首を弄られ、奥までペニスを突っ込んだまま、躰を揺すられる。小さな動きで奥をこじ開けて擦りつける行為が、伊崎をもっとおかしくさせた。
「気持ちいいからっおち○ぽでけつマ○コぐりぐりされて……気持ちいいから……犯してもっとほしい……ああぁぁあああっんっ! おま○こにおち○ぽいいっいいっ!」
「おま○こ気持ちいいんだ……ああ、俺もきもちいいよ……」
「おま○こで気持ちいいっ……はああっんおち○ぽで、もっと突いて……もっとおかしくしてっ!」
「ほら、おかしくなって、俺でおかしくなって……っ!」
「ああああっ! いっちゃうっいっちゃうのっっ! んあ゛あ゛あ゛っ!」
「いくっうっ!」
「ひゃあぁ――――――っ! あ――――――…………んっん……ああ……」
伊崎は男に中で精液を射精されて、その反動で絶頂を迎えた。
3
「ほら、もっと欲しいなら、どうするか分かってるよね、伊崎さん?」
「んう……んふ……んん……ふんふ……んふふううう……」
「ああ、上手い……やっぱり上手いよね……気持ちいいよ……伊崎さん……」
「んふ……ううう……んふふっ……んっんんっんんんっ!!」
「ああ……咥えられていっちゃった……伊崎さんフェラ上手いんだもんね。仕込みちゃんとしてて、こんなに気持ちいいのに、してやらないなんてなんてもったいない。俺なら、週三は確実だなこれ。ねえ、伊崎さん、俺のモノにならない。たくさん、おま○こしてあげるよ」
「……はあっ……おま○こしてくれる?」
「してあげるよ、たくさんね」
「ほんとう? おま○こたくさんして、精液いっぱいくれる?」
「もちろん」
「……うれしい……ああっおま○こして……もっとして」
「ほら、犬みたいに腰上げて」
伊崎は俯せになると、腰だけ高く上げて男にアナルを見せつける。そのアナルからは男が出した精液が溢れて出てきており、テカテカと光っている。
「じゃ遠慮無くっ!」
男は深々と伊崎を犯す。閉じかけていた内壁を男のペニスがこじ開けていくのを感じて、伊崎は躰を痙攣させる。入れられただけで達したのだ。
「――――――っ! ひああああっ! あひったん゛っあっああああっ……ひゃあっあああっああぁっ!」
「伊崎さん、やっぱ最高! このまま俺とこの部屋で暮らそうね?」
「ああっ暮らすっ……いっしょに住むっ……だからもっとおま○こして……おち○ぽ気持ちいいのっいいのっあああっんっああ! ああ……ああっ! んああっ あ゛っあ゛っうあああぁああっ!」
「もう伊崎さんは俺のおま○こね……っ」
「あなたのおま○こです……っああっっんあああっ! いいっいいっおち○ぽおいしいっの気持ちいいのっあああいくっいくっいくっい――――――くっ!」
「……うっ!」
「あ゛――――――あーあーん……ああ……んっあー――――――……」
スポンと男のペニスが抜けると、その勢いで伊崎は床に倒れ、パタリと倒れる。その伊崎のアナルからは音が出した精液が勢いよく、ピューッと吐き出されている。
伊崎は自分が出した精液と潮の海に溺れているかのように倒れ込んでいるが、その姿を見て男は更に興奮している。
伊崎は既に意識を飛ばしているが、男はアナルにまた勃起したペニスを突き刺した。
「あんた、すごく毒なんだよね。これに填まったら、二度と抜け出せなくて怖いっていう、奥間さんの言い分も理解できるけど。別れてくれて、本当ラッキー、このおま○こ最高なんだけど、ヤバイわ。週三も冗談じゃないな。奥間さんありがとう、マジで。これで伊崎さんは俺のものだ」
男はそう言いながらも腰を打ち付けて、俯せにした伊崎を犯し尽くした。
その翌日、伊崎はベッドで目を覚ました。
ふと、昨日の出来事は夢だったのではないかと思ったが、アナルに違和感があり、それが事実であることを思い出す。
あんな痴態を平然と恋人と暮らす部屋でするなんて、自分がどれだけセックスに溺れたのか自覚して、伊崎は少し罪悪感を持った。
せめて別れているなら、もっと開き直ることもできたのだが、そうもいかない。
ゆっくりと起きだして居間に行くと、そこには奥間が男一緒に座っていた。
「あ、伊崎さんおはよう」
男がにっこりと笑って答える。奥間は面倒そうに伊崎を振り返り、それから言った。
「こんな時だけど、ちょっといい? 話がある」
そう奥間が言うので、伊崎も言った。
「俺も話がある」
伊崎がそう言うと、奥間は意外そうな顔をした。
「実は君と別れたい。もう一緒にいる意味もないみたいだし、出て行って欲しい」
伊崎がそう言うと、奥間はふうっと溜息を吐いて言う。
「俺が出て行くのか?」
「だって、ここは元は俺が借りている場所だったし、大家と知り合いの俺だから安くしてくれているだけだよ? 俺が出て行って、家賃据え置きってことはないと思う。きっと相場の値段に上がると思うよ? だから、そう思って今出している家賃分で住むことが出きる場所を探しておいたんだ……これの中から見つかるなら、今日中に回れると思う……」
伊崎は自分のために探していた情報雑誌を取ってきて奥間に渡した。
奥間は自分が出て行くことになるとは思っていなかったようで、伊崎が出て行ってくれて、この快適な家がそのまま手に入ると思っていたようだったが、それに男が追い打ちをかけることを言った。
「ここ、事務所関係が入るところでもあるから、十五万くらいするんじゃないかな? 今幾ら払っているのか知らないけど、伊崎さんが気に入られて格安にして貰っているなら、奥間さんには適用されないどころか、二十万くらいにされるかもね。だって伊崎さんのこと気に入っているのに、その伊崎さんを追い出す輩なんて住まわせたくないだろうし」
そう男が言うと、さすがの奥間も自分の考えが間違っていることに気付いたようだった。
「さ、探してくるよ……」
「あ、先輩、付き合いますよ。俺も休みですし……」
奥間が慌てて席を立って部屋から出て行こうとすると、男がそう言った。
「お、おお、そうか。助かる」
「いいところ、見つけてさっさと引っ越しましょう。別れた同士がいつまでも一緒のところに住むのはよくないですし、なんなら先輩、最低限の荷物を持って俺の部屋に来ますか?」
男がそう更に言うと、奥間も引けないところまで来ているのだと思ったのか、そのまま男の言う通りに荷物をまとめだした。
「俺、最近残業多めで、部署異動するまでちょっと忙しいから家にあんまりいないんですよねー」
男はそう言いながら、荷物をまとめている奥間に声をかけていたが、居間で振り返って、伊崎に向き直ると、伊崎に素早くキスをして言った。
「明日、仕事終わりからここに来るから、ここ準備して待っててね、伊崎さん」
そう言って昨日散々したアナルを男が撫でながら言った。
「てか、お前、名前なんて言うんだ?」
そういえば名前すら知らないのだと気付いて、伊崎はハッとする。
二回もセックスした相手だが、その相手のことを何一つ知らない。ただ奥間と会社が同じだというくらいの情報しかない。
「徳久瑛士、瑛士って呼んでね」
そう言うと、瑛士は更に伊崎にキスをしてみせた。
その甘いキスを受けて、伊崎はクスリと笑って言った。
「瑛士、待ってる」
明日が待てないほど、躰が疼いている。
けれど、明日まで待てば、もう誰に気兼ねをすることもなく、瑛士と好きにしていいのだと思うと、我慢するしかない。
甘い待っているという言葉を聞いた瑛士は、ニコリと笑ってもう一度伊崎にキスをしてから、奥間を連れて玄関から出て行ったのだった。
伊崎はそれを見送ってから、熱くなった躰を持てあましながらも奥間の荷物を全て段ボールに入れる準備を始めた。
奥間の荷物がなくなれば、きっと瑛士がそのままここに越してくる。
そうすれば、あの甘い夜の出来事が日常に変わる。
伊崎の晴れなかった心の空が、一気に晴れ渡り、奥間との思い出をさっさと捨てるように、伊崎は部屋中から奥間の痕跡を消す掃除を始めたのだった。
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