068-君のはしたなさ

1

 鈴川は今付き合っている恋人に少しの不満があった。
 仕事、仕事と忙しいを理由に三ヶ月も会わないことを正当化することだ。そのくせ、その忙しい合間に会社の飲み会には参加し、盛大に酔って電話をしてくる。
 さすがに鈴川はその電話で切れて、恋人に別れを切り出した。
「酔って電話をかけられるのに、まともな時は一度も連絡をしてこないんだね。酔わなきゃ電話できない恋人となんて、恋人の意味あるの?」
 鈴川の指摘は正論だった。恋人はその言葉に売り言葉に買い言葉を続けたが、そのお陰で鈴川への不満が恋人から浴びせられ、毎日アプリで連絡を強要するのもうっとうしいと言われた。
 それが決定打だった。
「わかった、そっちから連絡が来るまで辛抱強く待って、そっちの都合のいいときにセックスしてくれて、そっちの都合のいいときに電話して、こっちの都合の悪いのににっこり笑って愚痴電話に付き合ってくれるような、恋人がお望みらしいので、どうぞ勝手に探してください。俺は無理! じゃねもう連絡するなよ、酔っ払い勘違い野郎!」
 そう言って電話を切ってから、恋人からの連絡は途絶えた。
 その一時間後には、アプリで共通の友人からは。
『やっと別れたのか。よく我慢したよね、えらいえらい。別れて正解』
『あの愚痴やろう、自分が悪いのに正当化しようとしていたから、こっちは全部知ってるんだけどって言ったら黙ってやんの。馬鹿じゃね?』
『なんか泣きが入ってきてるんだけど、とうとう別れたんか? 鈴川の方がくろうしていたからな。俺からは自業自得って言葉しか上げられなかったけど』
 次々に共通の友達に連絡をしては愚痴をこぼすも、共通の友達だからこそ知っている事情から、誰にも同情すらされず、自業自得だと言われている。
 中には、その言葉を言ったがために喧嘩になり、これを機に縁を切ってやると怒っている友人さえいた。
 方々から連絡が入るたびに、鈴川は自分はなんて酷い恋人と付き合っていたのだろうと思えてきた。
 散々、やめておけと言われたが、それでもいいと二年も続けた。会うときはセックスしかしない。会話はほぼない、それでも鈴川は男同士で思いが通じるのが嬉しくて、一人でテンションを上げて頑張った。
 恋人は何をしても怒らない鈴川が便利でいいように使ってきたのだろう。
「道理で、恋人を作ってもすぐ別れるわけだ……」
 やっと腑に落ちた。これでは女性の恋人はカンカンに怒っただろうし、仕事と私、どっちが大事なのと言っただろう。でもこれは仕事とではなく、恋人の時間を作る気が一切ない恋人が悪い。毎週ガバガバ会社の人たちとは飲む時間を作れるのに、たった三十分で会える距離にいる恋人に会う時間が三ヶ月も取れないのはおかしな話。
「何が束縛する女に飽きただ。お前、全部振られてただけじゃん」
 鈴川がそう言って携帯を見ていると、川浦という友人からメッセージが来ていた。
「あ……」
 思わず手が止まる。
 メッセージは。
『別れたって聞いた。今なら俺の告白は有効だよね?』
 であった。
 川浦という友人は、恋人の会社で働いていた元社員だ。今は昇格して親会社の方へ出向している。将来有望な若者になっていた。
 二年前、恋人の紹介で知り合ったのだが、その翌日には告白をされた。一目惚れをしたと言うのだ。しかし恋人がいるので断ったのだが、その後は共通の友人として集まりに必ず参加するようになった。恋人が参加をしなくなるにつれて、川浦の方が参加が多くなり、すっかり仲間とも打ち解けていた。面倒見が良く、困っている友達を助けたり、会社が倒産した友人の職を紹介してあげたりと、評価は友達の中では最高に高い存在になった。
 その川浦からのアプローチはずっとあった。鈴川が寂しくしていると大丈夫かと声をかけてくれ、風邪を引いたと聞いたら、食べ物を持って部屋まで来てくれた。もちろん荷物を渡したらすぐに帰ってくれたのだが、その後も容体を気にしてくれて、寝込んでいるところを病院にまで連れて行ってくれた。
 恋人のことを少しでも愚痴ると、信じなきゃと言って励ましてくれた。
 その本人は仕事で昇格し、恋人よりも早くに本社に出向になったとたんに、鈴川の恋人には紹介がなかったことにされ、存在さえ抹消されるレベルである。
 恋人には川浦から告白されたことや、アプローチがあることは黙っていた。
 気を遣ってくれているのがありありと分かる態度でいてくれたから、安心していたのもあるが、信頼をしていたのも大きかったのかもしれない。
 そんな川浦の優しさに下心があることは分かっているけれど、それに甘えてしまっている自分がいた。鈴川はそのお陰で恋人と長く離れていても、絶望なほどに寂しくなったことに思い至る。
 二人で会うのは駄目だからと暇な友人達を誘ってくれて、毎週時間が空くと遊びに誘ってくれた。それでどれだけ助かったことか。
 だから、恋人を振っても平気だと思えたのだ。
「あー……俺……キープしてたのかな」
 そう声に出して鈴川は落ち込んだ。
 キープしていたということは、次は川浦とそうなってもいいと思っていたことになる。
 そんなつもりはなくても、そんなつもりで接していたのだろう。
 すると川浦から電話がかかってきた。
「はい……」
『君から別れを切り出して別れたと聞いた。すぐにどうこうするわけじゃないけど、俺のこと、考えてくれる時間はできたよね』
 諦める気は一切ないという意思表示をされた。
「……うん……」
『よかった。君から良い返事を聞けた』
「って、俺、まだ付き合うとか……」
『言ったも同然だよ。君は僕に気がある。それだけは自信があるんだ』
「どこからその自信が来るんだよ……」
 呆れた鈴川がそう言うと、川浦は笑って言った。
『これまでのアプローチが効いてることくらい分かるよ。伊達に二年も指を咥えて見てたわけじゃないから』
「……まあ、確かに」
『それに、三ヶ月も会ってない恋人より、三ヶ月どころか、毎週ほぼ会っていた僕たちの方が恋人っぽい付き合いをしていたと思うよ』
 そう言われて鈴川は納得した。道理で友人と出かけているのに、やたら世話を焼いて側にいてくれたのは、そういう作戦だったのだ。
「……すごく上手いね。女の子だったらあっという間に堕ちていたんだろうけど」
『恋人がいるのにすぐ転ぶような子は危ないよ。実際は君を堕とすのに二年かかったわけだけど。それでもすぐに堕ちると思ってる?』
「確かに……川浦、そのありがとうな。あいつとは別れたけど、なんかすっきりしてるの、お前のお陰でもあるんだ」
 鈴川は素直に認めた。好きかどうかは分からないけれど、川浦とならいいかなと思っている。
 さっき恋人と別れたばかりなのに、すでに心がウキウキと弾んでしまっている。新しい恋がやってきたと、心臓がドキドキとしている。
『……会いたいな』
「うん、俺も」
 先週末に会ってはいたが、今週はまだであった。今日は金曜日で、明日土曜日は休み。いつもはそこで友達と遊んでいたのだが、今回は川浦と会って話がしたかった。
 どうなるか分からないけれど、心がそう求めている。
 会いたいと言って、二人で部屋を出た。途中の公園が待ち合わせの場所で、鈴川は走ってそこに向かった。
 公園に着くと、川浦が待っていた。
「走ってきてくれて、嬉しい」
「……あ、うん」
 川浦も走ってきたのだろう、息が上がっている。
 二人で息を整えて、顔を見合わせると、川浦が鈴川にキスをしてきた。
 最初は軽いキスだったが、そのうち深いキスになり、舌を絡めながらキスをした。息する間もないキスで、川浦は鈴川のいいところを攻めた。
「ふ……んふっ……あ……ふ……んふ」
「ああ、鈴川……可愛い……」
 川浦はそう言いながらキスを続け、さらには、服越しに鈴川の乳首を攻めたてた。
「あっん……やっ……今なの……っ」
 川浦は鈴川の乳首を弄りながら、鈴川の首筋を舌で舐める。飢えたオオカミが待ちきれずに獲物を食い始めたかのように、川浦の暴走は止まらなかった。


2

「ずっと鈴川に触りたかったんだ……だから」
「んふっ……あっ……こんなところで……ああっ」
 鈴川は川浦に乳首を弄られながら、股間まで弄られた。
「ああ、ちゃんと反応してくれている……嬉しい、鈴川」
「んあっだめ……なのに……なんで……よくなっちゃう……のっあんっあっ」
 股間を掴まれて布越しにペニスを扱くようにされ、鈴川はペニスが半起ちになった。
 そうしていると、近くを通っている三人の男達がいた。
「あれ、男同士じゃね?」
「わ、マジ、ホモじゃん」
「キスしてる……わあ」
 そうした声が聞こえてきた。
 さすがに誰かに見られるのは恥ずかしいので、鈴川は抵抗をした。
「だ、だめっ川浦……人が、見てるっ……ああっん」
 そう言っても川浦は止めない。鈴川のズボンからペニスを取り出すと、それを男達に見せつけるように扱き始めたのだ。
「あっやっ……だめ……川浦っ……だめっいやあっ」
「イヤなモノか、見られて感じて勃起しているくせにっ」
 川浦がそう言って、ペニスを扱いてくる。
「はうっ……!ああぁっ、んっ、く……あうぅ……だめ、かわうら……んああっ」
 通り過ぎるはずの男達が、鈴川の淫乱な姿に釘付けになっている。
 人が通るのが珍しい公園の裏道である。彼らが何を期待してそこを通ったのかは川浦も分かっていた。青姦をしているカップルのセックスをのぞき見するためにきたのだ。
 だから川浦は堂々とそれを見せてやろうとしているのだ。
「あっ、あっ、ふ……んんっ、んあっあっあっあっだめ……みないで……いやあっ」
 川浦は、男達に見せつけるように、鈴川のズボンや下着を脱がせて、下半身を露出させ、足を広げさせてペニスを扱いてやった。
「……はっ、ぁっ、ぇ、えっ? ぁ、や、……っやっ……だ……っ!」
 駄目と口にする割には、本気で逃げようとしない鈴川。川浦のしていることを受け入れかけているのか、男達が近寄ってはきたが、じっくりと鈴川の痴態を眺め始めたからなのか。見られて感じているのは確かだった。
「勃起して、精液でてる……お兄さん、見られて感じてるんだ?」
 男の一人が喉を鳴らして言った。
 男達、三人は男同士に興味があるのか、座り込んで鈴川の躰を眺めている。
「ひっぁそんな……、あっ、ぁっ、ぁっ……あ、んっ、んっ、んぅ……っ」
「声出してもいいよ。ここ、人が来ないところだし、周りは小山だし?」
「そうそう、卑猥な声、聞かせてよ。お兄さんの色っぽい声を聞きながら、俺らも扱くし」
「はひぃっぃんっいいっ! そこぉっそこだめっ、あ! あ! っぁあ!」
「お兄さん、可愛いね……」
 男達は鈴川を煽ってくる。どうやら、ホモ同士のセックスは興味があり、見てみたいらしい。宣言通りにペニスを出して扱いている男もいる。
「鈴川がエロいから、見て、勃起したペニスを扱いて、鈴川をおかずにオナニーしてるのがいるよ……」
「ああーーっ! やぁっ、みちゃ……らめぇっ、あっ、あっ、あぁあんっ……みちゃあっんっ」
 勃起してもう達しそうなペニスを、男達が跪いて見ている。クチュクチュと先走りが滑って音を立てている。男の一人がどんどん近付いてきて、今にも口に咥えそうな距離にいた。
「みられて……あぁんっあひっあっらめ、見られてる……んっああっおち○ぽ、扱いてる……あはっんあっ俺、あっイク……」
「見てもらってイクんだ。鈴川……ほら……口に射精してやって……」
「やっあっあっあっあっあひっあひっやっああぁっもっらめっ……ああっあああんっ! あ゛あっあんっやっいくっいくっ……! あっあっひあああっ」
 鈴川が川浦に高められて射精をすると、それを男の一人が鈴川のペニスを咥えて精液を飲んでしまった。
 まるで打ち合わせでもしたかのようなタイミングで、精液を吸い取られ、鈴川は二度イキをしてしまう。
「あひっらめっあ゛っあんっあんっあんっ」
「鈴川、やっぱりノリがいいね。知らない男の人にペニスを咥えられて、またイッてしまうなんて、相当淫乱じゃないと無理だよ……でも俺はそれくらいの鈴川が好きだよ」
射精をした鈴川は、躰を振るわせながら絶頂を味わっている。
 その隙に、川浦は鈴川のアナルに指を入れた。
「あれ、結構柔らかいね……アナニーしてた?」
「やっだめっ……っあぁっ、んっ、あっあぁっ……!」
「ねぇ、鈴川……アナニーをしてたんだ? 毎日?」
 ぐっと指を増やして奥まで突くと、鈴川は身もだえた。川浦はいつの間にか何かのロージョンを使って鈴川のアナルを犯している。
「あぁん……、ん、や、だめっ見ないで、ぁ……」
 そう鈴川が言うけれど、男達は鈴川のアナルに川浦の指がしっかりと入り込んでいる様子を眺めている。
「お兄さん、すごいな。指を飲み込んでる」
「早く、ペニスを入れてもらったら?」
「あ゛っひっ、らめっ、い゛あぁっ」
「おち○ぽ入れられるの、想像して弄ってたんでしょ?」
「あひっあっちがっ……い゛っあんっあぅんっ」
「ほら、どうして欲しいんだ………?」
「あ゛っあっあっあああんっ!」
 鈴川は恥ずかしさよりも快楽が勝ってきて、とうとう正直に口にした。
「はぁはぁ……突いて、おち○ぽで中突いてぇっ……」
「……はは、とうとう言ったね……」
 鈴川が素直になって言った言葉に、川浦は喜んだ。
 男達も挿入を見られると期待して、立ち上がって鈴川のアナルを見た。
「っ、気持ちいいからっ、指でケツま○こグリグリされてきもちよくなっちゃったから……、犯してほしいっ、あっあああんっ!」
 鈴川がそう言うと同時に、川浦が鈴川のアナルの中にペニスを突っ込んだ。
「ひあぁ~っ……うあっ、い゛っおあっ、あひっお゛っうあっあはぁんっ」
 すっかり川浦のペニスを飲み込んだ鈴川のアナルに、男達が歓喜の声を上げた。
「すげっ入った。デカイのに」
「マジ、お兄さん、すげえ」
「あ゛ひっあ゛っみちゃやっ! いやっあっあんっあんあんっ」
 グチュグチュとしっかり入り込んでいるペニスに鈴川は嬌声を上げた。
「あ゛んっらめっ、中、おち○ぽっらめぇっ、あっあひっあ゛っあんっ」
 大きな声を上げているのに、きっと誰かが気付いているはずなのに、集団でいることで誰からの邪魔も入らなかった。
 鈴川は脳天を突き抜けるような快楽に、すぐに身を委ねた。
 この三ヶ月、恋人に放置され、独り身としてアナニーで補ってきた性欲が、川浦によって満足させられている。待っていたのは恋人ではなかったのだ。ペニスが欲しかったのだ。この性欲を満たしてくれるなら、すぐに告白してくれた川浦でも良かったのだ。
「あんっあんあんっあ゛っあひぃっ! ああぁんっ!」
 男達はさすがに手を出さずに、鈴川のアナルにペニスが入っているのを眺めながら、鈴川の目の前でペニスを扱いた。
「もっと動いて、もっとおち○ぽでっいっぱいっ突いて……っ!掻きまわしてえぇ……!あぁっ、もっ、おかしくなるぅ……!」
「お兄さん、素直になったね~ いいよ、エロいっ」
「マジエロいな。お兄さん、このままイク?」
「お兄さん、おち○ぽ、気持ちいい?」
 男達が口々にそう言ってきた。それに鈴川は素直に答えた。
「いい、いい……!気持ちいいっ……! きもちいい……あぁぁっ……いい、おち○ぽっいいっきもちいいからぁ……!」
 川浦はそれを聞くと、鈴川の腰を掴んで、後ろから激しく突いた。
「お尻、いい……っ、いいいっ……!あぁっ……おち○ぽっ気持ちよすぎて、おち○ぽでっいっちゃううぅっ……!!」
「はっ、鈴川えろすぎ……っ、く……」
「あー……っ!あああああぁぁ……!!!」
 鈴川は男達に見られながら、川浦に犯されて達した。
 川浦は鈴川のアナルの中に射精をして、男達は鈴川の顔に向かって射精をして精液をかけた。
「あぁ……っ、はっ……はぁっ……あぅぅ……」
 倒れそうなところを川浦が躰を支えて、鈴川はそのままの状態で呼吸を整えた。
 男達は鈴川のアナルから川浦の精液が出てくるのを眺めて、歓喜の声を上げて、またそれを肴にしてペニスを扱き、鈴川の尻に目掛けて射精をした。
「お兄さん、よかったよ」
「今度は入れさせてね、気持ちよさそうだったし」
「ペニスが入り用なら、いつでも公園に来なよ」
 男達は聞き分けが良く、それだけで満足して去って行く。
 鈴川は川浦を前にして、男達の射精をした精液を顔や尻に浴びた状態で、暫くもだえていた。
 その時の鈴川はうっすらと笑っていた。
 川浦は、自分が気付いた鈴川の性癖に間違いがないことを確認して笑った。
「鈴川、愛しているよ……」
 それに鈴川は答えた。
「川浦……もっと、おち○ぽっ欲しぃっのぉ……」
 それを聞いて川浦は満足して、鈴川の躰を綺麗に水道で洗ってから、ラブホテルに一泊した。
 当然、そのラブホテルでは鈴川を川浦が好きなように犯し、それを嬉しそうに受け入れる鈴川がいた。
「おちんぽっ足りっ足りないいぃっ! いいとこぉっ……奥、奥にもおちんぽっ欲し、ぃっぁあんんっ! いい、おちんぽっいいっきもちいい!」
 その日から鈴川は川浦の言いなりになるように、セックスに溺れ、元恋人のことなどすっかり忘れて幸せになれた。
 辛い日々を送っていた三ヶ月より、別れた後の方が鈴川は幸せを感じた。
 川浦の執着が酷く心地よく、セックスは好きなだけ求められて、どこでも川浦はしてくれたからだ。それが一番嬉しいことだった。

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