030-フラストレーション
1
石神(いしがみ)には、高校からずっと一緒のクラスだった小高(こだか)という知り合いがいる。大学も同じ、取っている講義もほぼ同じで、講義を受ければ目の端に入るくらいの距離にいる。
だが友達ではなかったし、クラスメイト以外の言葉を持ち合わせてなかったはずだった。
だが石神は小高の友達ではないが、重大な秘密を知っていた。
小高がホモであることである。しかも突っ込む側ではなく、受ける側専門。
それを知ったのは高校の夏休みの補習が終わった後だった。
補習を終えて帰る途中で、教師に呼び止められ、理科室に荷物を運ぶ用事を言いつけられた。最初は断ったけれど、教師は私用でこれから出かけなければならず、急いでいた。断り続けていると最後には、これをすれば理科の補習の最終日にテストを受けなくていいと言った。もちろん成績はテストを合格とする取り決めだ。
この暑い中、一日早く補習が終わるのは嬉しいことだ。
石神は渋々というように教師の言う通りに荷物を運んだ。教材が入っている箱で、二往復。重さはそれほどではなかったし、場所は遠いがテスト勉強の気の重さを考えたら、二往復くらいなんでもない。
やっとの思いで理科室の前に教材を運び、鍵を開けて中にはいる。
言われた通りに教材を一番奥の壁沿いにある物置の上に置いた。
時間にして二十分ほどかかったが、二十分で授業四十分を買ったとすれば、儲けものである。
その時だった。
準備室の方で物音がした。
石神が準備室のドアを開けて中を見ると、一人の生徒がいた。
「何、してんだ?」
そう言った石神に驚いた生徒が振り返った。その顔は焦っていて、睨み付けるようだったのだが、声をかけたのが石神と分かった瞬間、はあっと息を吐いて座り込んだ。
「小高? 何してんだ?」
クラスメイトの小高だ。普段は話したこともないし、何かで同じ班になったこともない。クラスメイトだというのに何の接点もなく、名前だけ知っている同級生というだけだ。
そんな小高が理科準備室で戸棚を開けて中を探っている。
何をしているのかと問いたくなるのも仕方がない状況である。
そうこの理科室には鍵がかかっていて、その鍵は石神が持っているのだから、小高はどうやってここに忍び込んだのかという問題もあった。
「教師は来ないのか?」
小高がそう聞いてきて、石神は教師は帰ったことと用事を言いつけられて自分はここにいると説明すると、小高はホッと息を吐いてから、また戸棚の中を探し始めた。
「で、何してんだ?」
「捜し物だよ……たくっ見つかったらマズイモノを学校に隠すか普通」
小高がそう言うので、石神は首を傾げながら言った。
「なんかよく分からないが、何を探してるんだ。俺も手伝ってやるからさ」
そう言って石神は座り込み、別の戸棚を開けた。小高はまだ探し始めたばかりで、一個目の戸棚の奥まで探している。
「……DVDの形したもの……」
「DVD? なんだ? 没収されたのか?」
「……そうじゃないけど……」
てっきり学校へ持ってきていたのを教師に見つかり、没収されたものだと思ったがそうではないと小高が言う。
「たぶんメディアには何も印刷されてない、もしくは何かナンバーか日付かが書いてあるものだ」
なんだか分からないが、とにかく販売されているDVDではなく、自分でバックアップを取るために使うDVD-Rの話のようだ。
「分かった」
石神はそう言って、戸棚の中の教材をかき分けて探した。入り口から始め、三十分ほど探していくと、一番奥の戸棚の奥の奥からDVDが入ったケースが見つかった。
「これじゃないか?」
中を開けずに透明のケースに入ったDVDらしい入れ物を取り出すと、小高が飛んでやってきて中を開ける。
一枚一枚を見てみると、イニシャルのような文字と日付らしい数字、そしてナンバーが書いてあった。
「……あいつ……」
小高が憎々しいとばかりに吐き捨ててから、準備室にあったDVD用の小さな機械で中身を確認している。そして石神にはもっとないか探してくれと小高が言う。
「……ああ、分かった」
小高の真剣な顔から何かマズイものだったのではないかと思えてきたが、石神はその内容を見ようとは思えなかった。知ったら秘密を共有することになってしまう。それがなんとなく怖かったのだ。
更に同じ場所を探ると、同じような透明のDVDを入れておくための容器に入ったものが四つほど出てきた。その入れ物には十年前からの日付が入っており、最近のものは最初に取り出し小高に渡したケースだったのを思い出す。
DVDはよく売っている布のような入れ物でDVDを二枚入れられるものがびっしりと四十枚入っており、中身は八十枚のDVDとなるわけだ。
「あと四つあったけど」
小高にそう報告すると、小高はそれも奪い取った。
日付の意味を理解したのか、また舌打ちをしている。中身をすべて日付とナンバーを確認して、小高は言った。
「その四つは元に戻しておいて」
そう言われて石神は元のところにケースを戻す。
日付の様子から、きっと小高が欲しがっているDVDは一番日付が最近のモノの中らしいことは分かった。
だが、いったいなんだと言うのか。
すると、一枚を見終わった小高が、興味は大いにあるが、聞くに聞けないでいる石神に一枚のDVDを差し出した。
「なに?」
「これ、中を見てから考えて。もし石神が俺の方が悪いと思ったなら、教師に報告していい。でも怖くて何もしたくないなら、何もしなくていい。もちろん中身を見ないという選択もアリだ」
小高はそう言って、見つけた透明ケースごと一個を鞄に入れて持ち帰ってしまう。石神はそのもらった一枚のDVDを手にして暫く考えたが、とりあえず小高が見ていいと言ったのだからと、それを持ち帰った。
その日の夜に、両親が食事に出かけるのに付いていかずに、一人で残ってから石神は、DVDの中身をパソコンで確認した。イヤホンをして動画を再生させる。
場所は理科室だ。いつもの教室で、実験をしているテーブルの上に、誰かが寝ている。それも裸だ。そこに理科教師が白衣を着てやってきて、裸の人間に近づき、その体をまさぐり始めた。すると遠くから写していた画面がかなり近くになり、真上からその様子を写している。アップになり、画面一杯に映った姿で、初めてその寝ている生徒が小高だと気付いた。
「まさか……」
小高はぐっすり寝ているようだったが、様子がおかしい。
こんな状態で寝ているなんて、どう考えても理解ができないし、起きないのもおかしい。
その小高の体を教師は上から下まで撫で、這い上がり小高の唇にもキスをしていく。そしてカメラが自撮りの画面に変わる。教師が手にカメラを持って、小高の体を舐めるように撮影し、余っている左手で体を撫でていく。
「ん……」
意識が混濁しているような小高の息が上がっているのか、時折そうした鼻から音が漏れるような音がしている。
そして教師が興奮しているように、ハアハアという声が聞こえる。
教師が小高の口の中に指を突っ込み、いやらしく指を出し入れする。小高は無意識に苦しそうな顔になり、横を向いて抵抗をしている。口に入れた指を伝って涎(よだれ)がテーブルに大量に漏れるほど、教師は指で小高の口腔を犯した。
そしてその指で小高の乳首を弄り始める。
乳首をアップにして、通常の乳首が勃起していく様子を写し、ピンッと起った乳首を指で押しつぶしたり、指先で転がしたりとし始めた。
すると小高の体がビクッと跳ねるのだが、寝ているのだがどうやらクスリを盛られたらしい。そう想像がついた。
教師は乳首を舐め回ると、自撮りのままで小高のペニスを映し出す。AVなどにあるモザイクはもちろんない。そのままの小高のペニスがリアルに映し出されて、それを写しながら教師がペニスを扱いた。
「んふ……ふっ」
乳首を散々弄られた後で、半勃起をしていたペニスはすっかり勃起し、先走りが出始めている。
「ふっん……うっん」
小高も寝ていてもさすがに声が出始めてしまう。
教師はその小高のペニスが射精をするまでを撮り続け、吐き出された精液を咥えて口で受け止めると、飲んでしまった。
それから、カメラを置いて小高の体をロープで縛り始める。いわゆる亀甲しばりというものだなとなんとなく思ったのは、見たことがあるような縛り方だったためだ。 そして足も固定させ、その開かれた尻をまた自撮りで舐めるように撮っている。
小高のアナルは、綺麗なピンク色をしていて、教師はそのアナルに舌を這わせて舐め始め、アナルの中まで舌を入れて、小高のアナルの襞(ひだ)すらも綺麗に舐めとっていく。小高の腰はそのたびに揺れ、くすぐったいというように抵抗している。
どうやら睡眠薬を盛られたらしく、体だけは反応するようにしてあるらしい。
やがて、教師の太い指が小高のアナルに入り込み、そこに何かの液体を足してヌルヌルと指がゆっくりと挿入を開始する。
ニチャニチャと音を出しながら、一本の指は根元まで入り込み、アナルを広げる。そして二本目の指が入り、中を掻き回すようにしてアナルを広げた。最終的に三本の指がアナルを広げ、入り口はすっかり柔らかくなるほど広げられている。
もう石神はその先に何が起こるのか理解していたが、再生を止めることができなかった。
レイプ動画だというのに、石神のペニスは勃起して、先走りも出していた。そしていつの間にかズボンからペニスをだし、小高のアナルを見ながらペニスを扱いてしまっていた。
それくらいに動画の撮り方が絶妙で、いやらしく開かれていくのがあの小高の体なのだと思うと、どうしようもなく勃起してしまうのだ。
やがて指が抜けると、教師は自分の下半身を露出して、勃起したペニスを写した。
「さあ、これが小高くんのアナルに入るんだ」
黒くて大きく、鋭い角度で勃起している教師のペニスが、小高のアナルの中に入っていく様子が映し出される。
「う……あっ……んあぁ……んっ」
その後は、小高のアナルからペニスが挿入を繰り返すところがアップで映り時々、小高の顔を映しだす。小高の顔は完全に蕩けた顔になっていて、ペニスを喜んでいるように見えた。
教師は生でペニスを挿入し、ゆるゆると最初こそは自撮りをしているのもあって遠慮していたが、次第に強く腰を打ち付けていき、最後にはカメラを置いてしまった。
小高の腰を掴んで打ち付ける姿が、上のカメラに切り替わった。
教師が小高の体を貪る様子が延々と映り続け、それを見ながら石神はペニスを擦り続けた。
「ああ、いくよ、いくよ、小高……ああっ」
教師は散々打ち付けた後、小高の中に精液を吐き出した。
そしてそれと同時に石神も達した。ティッシュで精液を受け止めたのだが、その余韻中も教師が撮影を続けている。
教師は自撮り用のカメラを撮ると、小高の中に入っていたペニスを抜いた。ペニスが抜けると、小高のアナルからは教師の精液がビュッと勢いよく吐き出され、床に垂れていく。
「う……ん……んん」
よく見ると小高も自分の腹に精液を吐き出しており、前立腺を刺激されて射精をしたらしい。
その様子を最後に、一回目の映像が終わり、二回目が始まる。
今度は小高は起きていた。
自分から裸になり、教師に向かってお尻を向け、アナルが見えるように手でお尻を広げているところから始まる。
「お願いします……これでいいですか」
どうやら小高は、レイプされた動画で脅されているらしく、自分から教師に体を開くようにされていたようだった。
その様子も石神はすべて見た。
小高は嫌悪していた顔から、快楽にたたき落とされる様子が映し出されていて、教師の上で自ら腰を振っている動画や、自分で強制されたアナニーをする動画とその三つがこのDVDに収められていた。
石神は、アナニーをする小高が気持ちよさそうにアナルをバイブで突きながら、乳首を自分で弄り、片方の乳首を洗濯ばさみみたいなもので摘まんだままで射精を三回する動画でまた抜いた。
そして、それが終わると、そのDVDをコピーした。
このDVDはきっと返すことになるからなのだが、小高が何の目的でこれを渡してきたのかが分からない。
石神がオナニーをすることを期待したのか、それとも秘密を知って教師を告発することを選ぶのか、それとも小高の希望通りに黙っていることを選ぶのか。小高が誰かと秘密を共有したくなったことだけはなんとなく理解した。
こんな痴態を繰り返すうちに、小高はホモになったのだ。
女性を抱けやしない体にされて、教師に仕返しがしたくなったのか。
とにかく、石神はDVDを明日小高に返すことだけ考えた。
2
翌週に、小高をやっと捕まえDVDを返すと、小高は。
「分かったか?」
と言う。
「分かったけど……どうすんだ?」
「あの教師、生徒に手を出していることを奥さんに勘付かれて、家庭内で大もめ中なんだって。だから、そのうち学校内にももめ事が起こるだろうから、俺のモノだけ抜き取りたかったんだ」
小高はそう言う。被害者として知られるのが嫌なのか、それともあんなことをしていたことを知られるのが怖いのかと思ったが小高は違うと言う。
「俺も楽しんでいたからね。最初こそレイプだったが、俺は元々ホモで経験をして見たかったのもあったから、教師からの脅しは願ったり叶ったりだった」
と暴露をした。
石神はさすがにそれには呆れた顔をしてしまう。
「いいじゃん、やりたい年頃だけど、大人は怖いんだよ。見ず知らずの人間に体を簡単に預けられるか」
小高はそう言う。だから教師とのことは、バレればもちろん問題だが、教師の方が小高以上にバレたくはないだろうと思っていたという。一昨年結婚して、子供が生まれという順調そうな教師である。勤続十年以上、順風満帆で生徒からも慕われている。
だから小高は性の欲求不満のために教師を利用したのだという。
だが小高がDVDとして映像が残っていることに気付いたのは、関係を続けて二年経ってからだ。一人の生徒が録画を消して欲しいと言って教師と揉めているところを小高が偶然出くわしたことからだ。
映像なんて残されては困る。こっちはこっちで思い出にして終わらせようとしているというのに、後に何かで脅されそうなネタを残しておくことはできなかった。
さらにはその生徒の行動で、教師の妻が生徒に何かしているだろうと気づいた。普段からおかしいと思っていたのか、元から疑いがあったのか。とにかく、石神が用事を頼まされた日に家族での話し合いになっていたらしい。
ここまでは分かったのだが、その後は夏休みがきてしまい、石神には状況はまったく分からないままの一ヶ月弱の日数が過ぎた。
夏が終わった後、始業式の時に、その教師が解雇されたことが生徒の噂になっていた。 生徒に手を出していたことが問題になったのだ。なんでもその録画映像を理科室に隠していたのを教頭が教師の妻に言われて探した結果見つかったという。
教師達は隠したかったらしいが、何処かで新聞社が嗅ぎつけ、小さなニュースになった。小さなニュース扱いだったのは、その同時期に、有名な俳優が覚醒剤で捕まったり、政界で失言による大問題が起こったりとニュースに事欠かなかったからだ。
「あれから、俺のだけ抜いて、他のDVDは全部分かりやすいところに置いておいたから、教頭は簡単に見つけられたんじゃないかな?」
小高はことの顛末をそう話し出した。
教師がいなくなって一週間、ずっと休んでいた小高がやっと登校をしてきた。見つけて話を聞こうとしたら、小高から呼び出しを食らった。
そうして屋上に上がり、下校している生徒や部活をしている生徒を見ながらの報告である。
「実はさ、そのDVDが見つかって、俺のだけないことを教師が知って、バラしたのは俺じゃないかって殴り込んできてさ」
小高がしくじったなあと言う。
「被害者の中に俺がいないことを不思議に思ったらしいんだけど、たまたま両親がいなくて、それで揉めて、近所の人が通報して警察が入っちゃってさ」
「なんかDVD抜いた意味なかったってことか」
「そうでもない。俺ももちろん被害者となったけど、あの教師には被害者を増やしても罪が軽くなるどころか重くなるので、警察でセクハラを受けていたが、あのDVDみたいな被害は受けてないと言って教師とは和解した」
つまり小高のことで教師が何か言おうものなら、教師の立場が悪くなるだっけなので、教師の弁護士が上手く教師を説得したらしい。
更に教師の奥さんは離婚はしないといい、弁護士もそれなりに有名な弁護士を用意し、それぞれの被害者と和解しているという。
それもそのはずで、大半の生徒にとっては昔のこと。すでに済んでしまったできごとで、蒸し返されることによって現在の生活が立ち行かなくなる問題だった。
それは小高も同じだった。
DVDに録画されていることは、小高にとっては不利になることが多かったと見える。大体一枚目の映像の時点で、小高は教師を利用してそれなりに楽しくやっていたように見えたからだ。最初こそレイプでもだ。
「何だって教師を利用しようなんて」
「知ってるか? ホモってバレた後に、レイプされる確率はあがるんだ。ほぼホモ仲間からなんだけど、酷い目にあっても泣き寝入りするしかないんだ。俺はまだマシな方さ。レイプはレイプでも、それなりに丁寧に扱ってもらってたようだし、教師の独りよがりではなかったしね。正直、教師と将来どうにかなりたいと思ったわけじゃなくて、今の性欲をどうにかしてくれるなら、ちょっとは大事にしてくれる人の方がよかったわけ」
小高はそう言う。本心なのだろう。
例えば、高校で恋人が欲しいと、エッチしたいという気持ちで彼女や彼氏を作る人たちも、将来を見据えているわけではない。その場の性欲や気持ちをその場でどうにかしたいだけなのだ。純粋に結婚や一生を見据えているわけじゃない。
そんな先のことよりも、今の欲情をどうにかしたかったという小高の理由はそれなりに納得できるものだった。
実際、そんな小高で抜いた石神であるから、納得するしかない。
「ま、向こうが盗撮魔だとは思わなかったけど。ねぇ見てどうだった?」
いきなり小高は話を変えてきた。
「どうって……」
「抜いた?」
わくわくしたように小高が聞いてくる。
「…………馬鹿言ってんじゃねーよ」
本当はコピーもして気に入ってる箇所もあるということは石神は言わなかった。
近寄って聞いてくる小高に、石神は慌てて逃げながら悪態を吐いた。
「うるせぇよ。ちょっとみて引いてやめたに決まってるだろ」
石神がそう言うと、小高は納得したように頷く。
「だよな、さすがに最初はまずかったか……」
小高が何故、自分がレイプされている動画を見せたがったのかは分からないが、それなりに石神の性癖を見抜いていたようだった。
石神はそれに引き摺られまいと、話を戻して言った。
「とにかく、教師は捕まって、小高のことは学校にはバレなかったんだろ」
「まあね、示談したし、学校に報告の義務はないしね」
「よかったじゃん、見通しはちょっと甘かったけどな」
石神はそう言って、もう話すことはないというように、話を打ち切って屋上から逃げ出した。これで、小高との関係は切れるはずである。小高もこれ以上問題を起こしたくないと思っているのだから、この話はもう終わりだった。
去って行く石神を見送りながら、小高は返してもらったDVDを眺め、そのDVDを振りながら独り言を呟いた。
「嘘ばっかり。何回も抜いたって顔に書いてあるくせに」
てっきりこのままこっちのゾーンまで堕ちてくるかと思ったが、意外に意志が固いらしい。だが、そういうところも悪くはないと小高は思っている。
高校生という年齢のせいで、自分の意志はほぼ殺される。小高もホモであることを家族に打ち明けたせいで、一週間も両親が発狂した。
母親はショックのあまり離婚を言い出し、父親は信じられないものを見るように、家に帰ってこなくなった。
こんな現実が小高には残ったのだが、石神に同じところまで堕ちてきてくれと願うのは、少し心が痛い。
だが、石神が小高に気があるのは、今日見た反応で分かる。きっとあのレイプ動画のせいで、石神の性癖に歪みが生まれたはずだ。
その歪みが治ることはないだろう。
「あ、コピー持ってる可能性もあるわけだし」
石神の性癖が小高のレイプ動画にあるのなら、彼はこの動画のコピーを持っているはずである。
これからの石神のオナニーは、常に小高になり、小高のことは忘れられなくなるだろう。
「第一段階はこんなものでいっか」
小高はニヤリと笑って、逃げた石神を一旦は逃がしてやることにした。
そして石神が見えるところで、石神を刺激していく。
いつか、石神が小高をレイプするように仕向けるために、小高は何でもやってやろうという気になってしまったのだった。
3
大学生になるまで、小高との接点がないまま、石神は受験をして平和に大学生になった。だが、同じ大学に小高がおり、さらには同じ講義を受けている関係で、同じ学校、しかもクラスメイトを全く知らないというわけにはいかなくなってしまう関係になった。
その原因が友人が被ってしまうということである。
小高は、大学に入ってすぐにカミングアウトをしてしまい、ゲイであることを公にしていた。周りはそんな人間も結構いた上に、小高には好きな相手がいると噂されていたために、警戒をする人間はいなかった。
石神はあえて小高に関わることがなく生きていくつもりだったが、問題が一つあった。
それがあの小高を教師がレイプしている動画だ。
石神は一人暮らしをするようになり、時間が自由になると、暇を見つけてはその動画を見てはオナニーをする人間になっていた。
レイプ動画は小高の初めての相手からのアナルセックスと、強制によるセックスと、バイブオナニーという、レイプなのに小高が嫌がっている様子が何一つない動画である。
罪悪感がそれほど生まれないのも、小高が二回目からの教師とのセックスを望んでいたと言ったからに他ならない。
だがそんな動画を見ても興奮する人間になった石神は、彼女を作ることさえできず、合コンにも金銭的な理由を付けて断るような人間になっていた。
そんな石神を熱心に誘う友人達に負けて、一回合コンに参加することになった。
そんな居酒屋は、合コン相手の実家で、その日は定休日なのを貸し切っての飲み会になってしまった。
皆が飲み、盛り上がっている中で、次々に人がやってくるのだが、その中に小高がいた。小高は別の友人に連れられてきたようだが、一応石神がいることには気付いていたようだが、触れることなく飲み会を楽しんでいるようだった。
そんな中、小高と飲んでいた人間が、酔った勢いに任せて小高を押し倒してキスをしている。周りは別のことで盛り上がっていて、二人には気付いてなかったが、石神のところからは見えていた。
「ちょっと……酔っ払い」
「いいだろ小高、もう俺……」
そう言う相手が小高の太ももに勃起した股間を擦りつけている。
「ちょっと待って、なにして……」
「いいだろ、どうせホモなんだから妊娠しないんだし」
「はぁ? ……ちょっとどけって」
酔った勢いでのキスなら許すが、本気に腰を振られると、冗談ではない。更に酔っ払いはたちが悪いのだ。散々やった後で覚えてないだのといい、挙げ句こっちが誘惑したと罪をなすりつける。それがレイプでもだ。
そうしていると、小高の上に乗っていた男の重みが急に消えた。
「え?」
小高が不思議そうに見上げると、石神が立っていた。
「お前、よりにもよって選んだのがそれかよ」
石神がそう言い出した。
「何の話だ。何の……。見てて分からなかったよ」
「確かにお前が嫌がってるのは初めてみた。だがそうなるように仕向けていたのも、お前じゃないか」
さすがに吹っ飛んで行った男が、盛り上がっているところに降ったら皆の動きが止まる。そして仁王立ちし、怒り狂っているような石神と倒れたままの小高を見れば、なんとなく皆が察する。
「とにかく起きろ。出るぞ」
石神が小高を起こし、荷物を持たせる。石神は先に出ていくのだが、小高は皆が見ているのに気付いて、顔の前で両手を合わせて謝った。
その出て行く二人を見て、全員が言った。
「いきなり石神は本気だしたのか?」
「小高くんもさ。というかなんであの二人、他人の振りしてんだろうね?」
「好き合ってるの丸わかりなのに。若干分かってなかったのがいますけど」
そう言われた男は、涙目になりながら叫んだ。
「そうならそうって最初に言って!」
店を飛び出した二人は、タクシーに乗って移動をした。
酒を飲むので車はなしであるのは分かるが、電車がある時間帯にタクシーである。
小高は石神を見るのだが、石神は無言で鬼気迫るものがあった。今までのほぼ付き合いがない状態でいたため、小高には石神が何故そこまで怒っているのか分からない。
大人しく付いていくと、石神の自宅に辿り着いた。
玄関を入る石神に付いていってもいいのか分からず、玄関前で立ち止まると、石神が振り返って小高の腕を掴んで玄関に放り込む。
玄関のドアが音を立てて閉まると、石神は自分は靴を脱いだが、小高にはその暇を与えなかった。
「……っ石神? 靴を脱いでない!」
小高が慌てたようにそう言うのだが、石神は気にした様子はなく、居間に入り、その隣にある寝室に小高を連れて行くと、ベッドに小高を放り投げた。
「……っ! 石神……お前……」
何なのだと文句を言おうとしたのだが、起き上がろうとした小高の上に石神が覆い被さってくる。
真剣な顔をした石神が小高を見ている。
「いし……がみ……?」
ここまで真面目な顔をして切羽詰まった石神は見たことがない。いつもどことなくやる気がなく、適当に周りに合わせて生きてきているように見えた。
自分が特殊な性癖を持っていることをひた隠しにしながら。
一人暮らしになった石神は、その性癖を一人で育ててきていたなど、小高には理解できていなかった。
「誰でもいいなんて言うなら、俺でもいいよな?」
石神はそう言うと、小高の服を脱がしていく。
「ちょっ、ちょっと石神……冗談は……」
「冗談? ここまで付いてきて何もしないなんて、あり得ないんだろう?」
小高のことをそう言って黙らせる。石神は小高はあれからも他の人間と寝ていると思っている。だからホモだと知っているのに、家に連れ込む人間に付いてきたのだから、その気はあるんだろうと問うたのだ。
「……お前、俺を抱きたいのか?」
小高にはそれが重要だった。もちろんそれを期待してきた。ずっとだ。あのDVDを渡した時からずっと、石神が襲ってくれるのを待っていた。
だが、あれから石神は小高のことを見ようとはしなかった。
よほど本物のレイプ動画を見て、オナニーをしたことが石神の心を押しとどめてしまったらしい。そう思っていた。
だが、そうではないのだ。
「セックス好きなんだろう? それもレイプでもいいくらいに」
小高の質問にも答えず、小高のワイシャツを開けさせ、ベルトを外しズボンも下着も取り去っていく。
その手際の良さから、ただ酔っているだけの酔っ払いの戯言ではなさそうだ。
そのちょっとした酔いは、石神の小さな心の隙間を大きく開けた。ここに出てくる言葉は少なくとも石神の本音だ。
「……あっ」
石神はあのDVDの教師のように、小高の唇にキスをし、顎から首筋を舌で舐めていき、首筋にたくさんのキスマークを残していく。
「ん……ふっあっ」
執拗に舐めてくる石神の唇や舌に、小高は感じた。
これはあのレイプの再現なのだ。石神は確実にその影響を受けている。再現をしたくてしているのではなく、酔っている頭の中にあのレイプが浮かんできているのだ。
やっぱり石神はコピーを持っていた。幾度となく、小高が犯されるのを映像で見て、何度もオナニーをしてきたのだ。
一人暮らしでたがが外れたのか、家の中では性癖を隠すこともなくなったのだろう。 石神は小高の体中を舐めるように舌を這わせ、乳首に吸い付いた。
あの覚えてもいないレイプの再現をされ、小高は少し困惑した。
純粋に抱いてくれたなら、喜んで腰を振れただろうが、自分が覚えてないレイプを再現されても嬉しくはない。けれど、石神がそれを再現することでしか小高を抱けないというなら、石神に抱かれるには、自分がレイプされたことさえ利用しなければ、きっと二度と石神は小高を抱かないだろうと思えた。
それが分かっているだけに、小高は石神を拒めなかった。
プックリと勃起していく乳首、もちろんそれは小高の体がそうできているからなってしまうものだ。
それでも石神が触れていると思うだけで、すでに小高のペニスは勃起していた。
石神は小高の乳首を舌で捏ね回し、甘噛みをして執拗に吸い続ける。
「あっ……んぁあっ……はぁ……んんんっ」
自動的に腰が動く。小高が悶えるように腰をくねらせて甘い声を上げた。胸を突き出していくと、小高の片方の乳首も石神は指で摘まんで捏ね回し始めた。涎(よだれ)で濡れた乳首をやっと解放したが、そっちを指で捏ね回し始め、指で弄っていた方を吸い始める。雨でも転がすように舌で舐め取るようにし、チューチューと音を立てて吸う。
その乳首を吸いながら、手が小高のペニスを掴む。
「んぁああっ……はぁあっ! あっんっあっああっ」
乳首を吸っていた唇が、舌へと移動を開始し、小高の体中を舐め回しながら、腹やへそまで舐め取る。
小高はゾクゾクして体中を振るわせて、石神の舌で追い上げられる。
やり方がどの相手とも違った。
最初のレイプは映像で見たけれど、覚えてすらいない。だがそれをなぞるようなものなのに、レイプの記憶が石神のそれに書き換えられていく。実際にあのレイプの時に眠らされていたことがショックを和らげていたのだが、その見た記録のことですら、書き換えられていく。
石神は何の躊躇もなく、小高のペニスを口に咥え、舌で綺麗に舐めてくる。
「んはぁああっ! あっんっ……あっあっんぁ……ああっ……」
嬌声が止まらなくなる。全体を舐め回し、亀頭を吸われ、先走りすら舐められて、執拗にペニスをフェラチオしてくる。すっぽり咥えて口腔で扱きあげられて、小高は石神の口の中で射精をした。
「あああぁっ! んあっ!」
石神はそれを喉の奥で受けて、やはり教師と同じように小高の精液を飲み込んだ。
そしてそのまま、小高の体を折り曲げて広げ、アナルを露わにすると、やはり石神は何の躊躇もなく、アナルにキスをしてから舌でアナルを舐め始める。
「ひぃああぁあああっ!」
普通にセックスに慣れてきた今なら、わざわざアナルを舐める相手とはしない。大抵、やってもらってもローションが付いた指で広げられるだけだ。
アナルを舐めるのが好きだったのは教師であり、その映像を見て妄想を膨らませてきた石神は、当然アナルは舐めるものであると学習していたようだ。
そしてそれは石神の本質とも関わりがあるようだ。
小高の体を舐め回したいと常々思っていたということである。あのしらっとした顔をして、こんな淫らなことをしたかったのかと思うと、小高は気持ちが完全に高まってしまう。
その覚えてもいない感覚が、石神の舌であると書き換えられた。
「いいっ……んぁあっお尻……ああっ」
小高は自分でもお尻を広げ、アナルを石神にいっぱい見てもらえるようにした。やはりあのレイプの再現よりは、自分も積極的に参加したくなったのだ。
石神もあのレイプシーンを再現したいのではなく、映像の小高の体しか知らないので、ああするしかなかったのだと思えてきた。
4
「足、持って」
石神は行為を始めてから、初めて言葉を発した。
「あし……んっああっ」
石神が押さえていた足を、小高が自分で持ち支えると、石神は開いた手を使って、小高のアナルを指で広げ、その中に舌を這わせてきた。
「んぁああぁあっ!ああっ! あっ!」
アナルを舐められるという行為が、ここまで気持ちがよいものだとは小高も思わなかった。アナルはどんどん広げられ、いつの間にか石神の指が二本も中に入って内部を掻き回している。
更に石神の唇が、尻にキスをしたり舐めたり、噛みついたりと、やりたい放題である。
「んっんっいくっいくっいっちゃあ……ああぁああっ!」
指で攻められて、小高は射精をした。ビューッと精液が吐き出され、液体が小高の胸を濡らす。
小高が絶頂して放心している間に、石神は小高のアナルにペニスを突っ込んでいた。
「……ひぃひぁああぁああぁっっ!」
絶頂からのさらなる快楽の前触れに、小高は悲鳴を上げる。浮き上がる腰を押さえて、石神は奥までペニスを突き入れた。そして挿入を繰り返す。
「あっあっぁああ゛っ!あっ!あ゛っ!」
石神のペニスが小高のアナルの中で暴れる。教師のそれや他の男のそれとは違う、荒々しい獣のような強引な腰使いで一気に小高を追い上げてくる。
「ああ……いい」
挿入を繰り返しながら石神が呻くように言った。
想像以上の気持ちよさで、腰の動きが止まらない。オナホールみたいにしっかりとペニスを包んでくる小高の内壁を、かき分けて奥までいき、抜ける時に絡みつてくるのを無理矢理抜く。それがただただ気持ちが良くて、石神は強引に腰を打ち付け、そして絶頂をその中で迎えた。
「ひっああぁ――――――っ」
ビュービューッと大量に吐き出された精液が、奥の奥まで届いて、小高は嬌声を上げた。そしてペニスから精液を吐き出す。二度目の絶頂だ。
セックスをするのに生でやるのは、教師が望んだ時と今だけだ。他でやった時はコンドームは絶対に付けていたし、生ではやらせなかった。
しかし、小高入ってくる精液が気持ちよくて、絶頂を迎えたのは初めてだった。
石神は射精をしてもペニスが萎えず、勃起したままで尚も腰を使っている。
「うそっ……なんで……いったんじゃ……あぁあっあっあっ!」
一回射精すれば冷静になるのではないかと思った小高だったが、甘かった。石神は絶倫で、射精を三度しても萎えることがなく、小高を突き続ける。
「あっあっあっあぁああっっ! もっ……だめ……ああっあっあっあっ!」
小高は自分の中の制御しているものが壊れていくのを感じた。
はぁはぁと息をしながらも、だんだんと笑顔になって石神に負けないように、腰を使い始める。
もうこれはレイプの再現ではない。
石神とのセックスで、何の変わりでもないのだ。
だったら好きにするのが一番だ。そう開き直ったのだ。
「あっあっんっんっ……いいっいいっ……突いてっもっとちょうだいっああっ!」
押しつぶされるようにアナルを上からペニスを突き入れ、全身を使って石神は挿入する。それが脳天を突き抜けるほど気持ちがよくて、小高は嬌声を上げながらも貪欲に強請った。
「いいっいいっおしりっああっんっんっ! ん……ああっあっあっあっあっ!」
パンパンパンと強引に突き入れ、奥で射精をする。それで小高も達して体を震わすも、すぐに石神のペニスが復活してパンパンパンとまた強引に挿入が開始される。
「う~~~~~~~~っ!! あぁ~~~~~っ!」
絶頂がまだ続いている間に内壁を抉られると、小高の体の痙攣が止まらなくなる。これがドライオーガズムであることに気付いたのは、精液がでなくなったのに絶頂を迎えているからだ。
小高がただ嬌声を上げるだけになってしまうと、やっと石神も萎えたのか、ペニスをアナルから抜いた。
抜かずに六回はした。だから小高のアナルから精液がボタボタと溢れ出ている。それを石神は持っていたスマートフォンで撮影を始める。
小高は足を抱えたままで、アナルをよく見えるように開いたまま、精液を吐き出すところの動画を石神に撮られているのに気付いてはなかった。
そしてそのまま小高は気を失った。
石神は小高は気を失ったのを見た瞬間、持っていたスマートフォンを置き、戸棚からハンディーカメラを取り出した。
そのハンディーカメラを持つと小高の裸を全身くまなく撮影し、あのレイプ映像と同じように、乳首から舌を絡めている自分を撮り、小高の腹に飛び散っている精液を舐めとった。
「ん……あぁん……あっ」
小高は気を失っても、快感を得られるようで声が漏れている。
石神はさらには自分のまた勃起したペニスを映して、精液が溢れ出た小高のアナルに挿入をする。その股間をアップで撮った。
そして今度は三脚にビデオを設置すると、小高を抱え上げ、カメラに向かって正面にした小高の後ろから突き上げた。足を持って腰を使い、小高のアナルにペニスの挿入を繰り返した。
「あっあっあっんっあっ……あっんっあっ」
意識がないはずの小高が嬌声だけは上げ続け、石神が達すると同時にまた達した。だが今度は潮を吹いた。
アナルを犯されて透明な液体を放尿するように放つ様子を撮影され、さらにはペニスが抜けると、アナルから精液がボタボタと零れる様までも収められた。
その小高を撮影すると、石神はハンディーカメラを元に戻し、隠してしまう。小高が撮影されることを嫌っているのを知っているので、なんとしても隠すしかない。
しかし、あのレイプ動画以上のものが撮影できたと思っていた。
小高は気を失う前は幸せだっただろうが、完全に石神の心は歪んでいた。石神は小高の体を綺麗に拭く時も、乳首を弄っているところをスマートフォンで動画撮影し、小高がオーガズムを迎えるところまで撮影していた。
歪んだ心は元には戻らず、次に小高が目を覚ました時には、小高の中にはまだ石神が入っていた。
「……あ……ん、もう、いい加減……」
寝ている間もずっと体をいじり回されたことなど、起きて突かれていれば嫌でも想像ができることだ。
「ああ、小高……小高、乳首、美味しい……」
石神は小高の言葉など聞いておらず、挿入をしたままで小高の乳首を吸っている。
「も……本当に、勘弁して……」
そう言っている間も絶頂が押し寄せてきて、小高は潮を吹いた。
「ああぁあっ! おしっこでて……る」
床に放尿するように、透明な液体が出てきて小高は焦ったが、床が水浸しにならないようにシートが敷いてあって唖然とする。
どうやら寝ている間に潮を吹き続けたらしく、その対策がされていた。
「おしり……壊れたら……も、セックス……できない……」
石神が執着しているであろうことを口にすると、石神はやっとアナルからペニスを抜いた。だが起ち上がると、小高の前で仁王立ちになり、ペニスを扱いている。
小高は、それに口を付けてペニスを吸い、口腔で扱いてやった。
絶倫だとは思ったが、その絶倫の中でももっとも酷い絶倫らしい。部屋中に精液の匂いが立ちこめ、ベッドのシートは湿りきっている。どれだけセックスしていたのか分からない。
時計を見るとすでに朝八時だ。昨日の十時くらいからずっとセックスを始めたとして、その間に小高が気を失っていた時間も石神がセックスをしていたとしたら、恐ろしいくらいだ。
その石神がやっと最後の射精をすると、その精液を小高が飲んだのだが、ほとんど味がないほど薄い液体になっていた。
石神を見上げると、目の下に隈ができている。どうやら一晩中起きて、小高の体を貪っていたらしい。
「……少しは限度を……」
「すまない……」
石神は素直に謝ったが、小高は風呂を借りて体を綺麗にしてから服を着てから言った。
「させないとは言わないけど、こっちの意見も聞いてほしい」
「……分かった」
「それで、どうだった? 俺の体は」
ショックなのか、しょげている石神に小高はそういう質問をした。
すると、石神は目を爛々と光らせてから言った。
「最高……またしたい」
「わかった、またな」
小高はそう言うと、石神の部屋を出た。
朝日が眩しいが、あのまま石神の部屋にいても襲われるだけで、冷静に話ができない気がしたので、今日のところは逃げた。
翌日にまた学校で話ができるだろうと、小高はのんきにそう思っていた。
一応は恋が実った形ではある。石神を振り向かせようとして、様々なことをしてきたのだ。そして石神は小高を抱いた。
だから小高は勝った気持ちでいた。
小高が帰った後、石神は部屋を片付けた。
このために部屋は床が濡れても問題ないシートをしていたし、ベッドはウォーターベッドにしておいた。だから掃除は少しかかったが、一人でできた。
まさか小高も自分がここで犯されるとは思いもしなかっただろうし、そのために石神が準備をしていたことも気付いてなかった。
部屋には監視カメラが設置してあり、ベッドをくまなく撮影できるようにしていた。
ハンディーカメラだって取り出しやすいように準備しておいたし、三脚も用意していた。
その部屋のクローゼットの中には、パソコンが置いてあり、二十四時間起動していた。玄関の近くやベッドの横に撮影するための録画ボタンが置いてあり、それを家に入ってきた時に押した。
小高のすべての痴態は録画されている。もちろん風呂もだ。
まさか小高も石神がそこまでしているとは想像だにしなかっただろう。
だから、シャワーを浴びながら、小高が自分で乳首を弄りながら、オナニーしていたところを知られるとは思いもしないことだ。
『あ……んっんん……ん』
小高は乳首を摘まんで回し、腰を振りながらペニスを擦り、さらには床に座ってアナルを洗うふりをしながら、ペニスを扱きながらアナルを弄ってアナニーをしていた。
もちろん、一人でそれをやって敏感になっている体は潮を吹いている放尿するように透明な液体が浴室の壁を塗らしている。さすがに精液は出なかったようだ。
そのすべての痴態を撮影されているなんて、小高は夢にも思わなかっただろう。
ここまで長かったのだ。
石神はそう思う。
妄想だけで済んでいたのは実家にいるまでだった。
小高が堕ちてくるまで、際どいところを行ったり来たりした。
小高を抱きたいがために、風俗も利用して男の体を知り尽くした。
DVDを見せてきた小高が犯されたがっているのなんて最初から知っていた。
だた石神の中の常識が、それを許さなかっただけだ。
だが、石神の両親も離婚をし、家族が離散するときに親から遺産相続分に匹敵する遺留分の財産をもらった石神に、止めるものはもういなかった。
石神の中で常識が壊れていく中、小高は暢気に側でうろうろしていた。こんな獲物を石神が逃すわけもない。
「小高……綺麗だ……」
あの教師には負けたくなかった。だから録画をした。
その中の小高は気を失っていても、腰を振っていたし、嬌声も上げていた。
それを眺めて石神は思うのだ。
「やっと、勝った」
思い出を支配してきたあの映像が、自分のモノに置きかわって、思い出は完全に消えた。
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