024-着信

1

 授業中、一番後ろの席に座っている安里(あさと)は、スマートフォンの着信に気付いた。
 その日は暖かな日で、教室は窓を全開にして風を入れている。その窓側の席は、四十五人いるクラスメイトの多さと広さで、授業中に何をやっていても見つかることはない。特に居眠りをしていないのなら、メールしていようが携帯ゲームをしていようが、お構いなしである。
 そんな安里のところにメールが届くと、当然その場で隠れて見てしまうわけだ。
 今日は少しだけ楽しみなことがある。だからそのメールだと思った。
 見つからないように机の下でスマートフォンの操作をする。だが画面を見て首を傾げた。知らないメールアドレスだ。
 とりあえず間違いメールか何かだと思いながらも開いてみると、書いてあるのは三行ほどだ。
 だがその内容が問題だった。
『知っているぞ』
『お前が放課後の図書室で』
『○○教師とキスをしていたこと』
 である。
 その書いてある内容に、安里は顔が真っ青になった。
 見られていた、そんな馬鹿な。という台詞が口から出そうになるのを押さえ、必死に耐える。
 それから顔を上げて教室内を見渡す。
 これを送ってきた人間がいるかもしれないと疑ったのだが、周りはお昼ご飯を食べた後の五時間目である。寝ている人や、肘を突いて授業をなんとか受けているもの。あくびをしてなんとか耐えているもの。真面目に授業を受けているもの。漫画を教科書に隠して読んでいるもの。とにかく後ろを振り返っているものはいなかった。
 同じクラスの人からのものではないようだと思い、もう一度内容を読む。
 この内容に覚えがあるだけに、この内容は見過ごせない。
 まして相手は教師だ。バレたら教師の首が飛ぶ。そして自分は停学の上、退学か。
 そんな考えが過ぎって暖かい程度の気温なのに、背中を汗がすーっと通っていく。
 マズイ。本当にマズイ。
 ただ、先生が好きだった。それで告白して、でもキスはしてもらった。それだけなのだ。本当にそれで終わったことで、たったそれだけだった。
 今日は、その教師が見てくれる図書委員会がある。だから少しだけ楽しみだった。失恋したとはいえ、キスをしてもらったということは、少しはその教師も自分に興味があるのだと思っていたからだ。
 だがこうなると話が違う。
 今自分が何処の誰とも分からない人から脅されているのだと、安里は気付いた。
 だが、そこでふと気付いた。
 キスをしていたところを見たことがあるというだけで、その証拠などがあるわけではなかった。もしそれを誰かが喋ったとしても、教師と安里がそんなことはないとはっきりと証言すれば、誰かの嫌がらせということに落ち着くかもしれない。
 問題は、脅し文句だけで相手が何をしたいのか分からないことだ。
 怯えているのを楽しんで見ている様子はない。この教室に犯人がいない気がするのだ。
 教壇では教師が黒板にひたすら文字を書いていて、こちらに気付いた様子はない。周りはいつも通りだ。
 いったい誰がこんなものを……。
 そう思うが思い当たることがない。そもそもアレを見られていたことですら、あり得ないと思うほどだ。
 だって、あれは放課後の門が閉まるか閉まらないかという時間ぎりぎりの時だ。部活動はとっくに終わっていて、生徒もほとんどいなかったのだ。
 もちろん図書室は鍵を閉めていたし、居残りの安里以外は誰もいなかった。司書も帰った後で、教師は鍵を閉めにやってきたから、そもそもあのこと自体が偶然の出来事だったのだ。
 その瞬間を見ていたとなると、図書室に隠れていた人間がいたことになる。
 まさか、そんなことが?
 だが今朝、図書室に来た時、鍵のことで文句は言われなかった。だから誰かが残っていてこっそり出て行ったなんてことはあり得ないわけだ。そもそも鍵は教師が職員室に持って行ってしまったのだから、そこから学校が閉まってしまった後で盗みに行くなんてことは不可能に近い。
 もしかして誰かと間違っている可能性か、何か別のメモを取っていてメール送信してしまったか。その可能性もあると思い、安里はそれを無視することにした。
 気に病んでも仕方ないことであるし、向こうも脅しに使うということは、誰かにバラすつもりはないのかもしれない。
 とにかく今後そんなことはないのだから、無視すれば済むはずだ。
 二度と先生とキスなんてしないし、振られてしまったのだから。
 安里はそう思うと、スマートフォンを元に戻し、授業を受けた。気持ちを落ち着かせるために真面目に受けた授業だった。
 その後、メールは何の音沙汰もなく、やはりあれは誰かが別の誰かを脅していて、送信ミスをしたのだと思えてきた。
 そして放課後。いつものように図書室で委員の仕事をする。
 静かな図書室で、受付をしながら本を元に戻したり、新しく入荷した本にシールを張ったりした。
 なるべく教師と二人っきりにならないようにして、放課後を乗り切った。
 今日も最後まで受け付け返還の作業を終え、放課後の貸し出しなどが終わると、閉館直前に返ってきた本を戻していた。
「今日もお願いするね。鍵、ここに置いておくから戻しておいて」
 作業がまだ本十冊ほど残っているところで司書の人が時間で帰って行く。父子家庭でこれから帰って子供のための夕食を作るのだというから、残業をしてくれとは言えない。
「はい」
 返事をする前に司書は帰ってしまう。
 とりあえず安里は、図書室の入り口に鍵をかけた。
 今日は一人でいるのが怖かった。あの脅迫のことがある。誰もいないと思っていたところに誰かが来る可能性もある。
 鍵をかけてからふと思い出した。
 もしかして図書室の奥にある個室に誰かが潜んでいるのではないかと。
 この図書室には、家などの環境で勉強ができない生徒に個室を貸し出すことがある。もちろん、普段は鍵がかかっていて好き勝手に入ることはできないし、司書や教師の委任状まで必要なくらいに厳重に管理されている場所だ。
 だからテスト期間にならないと使う人はいなくて、その個室の扉がある廊下へ繋がる扉も鍵がかかったままだ。
 だが安里は気になってしまい、本をすべて元に戻してから鍵を持っていき、その個室を見回った。
 まず廊下への鍵を開けて中に入る。
 少しほこりっぽいのは、掃除をしてないからだ。普段から鍵がかかっていて、図書委員が月に一回くらい掃除をしている程度だ。
 さっと開いた時に細かな埃がふっと飛ぶほどだった。
 だが、そこに足跡が無数にあることに気付いた。
 ちょうど光が反射して入ってきたから、そこに影ができて見えたもので、普段だったら誰も気付かない変化だろう。
 明らかに誰かが入った痕跡があり、安里は考えた。
 この個室を安里が知っている限り、誰かが使ったのは、一ヶ月前だった。それも委員たちが掃除をするために入っただけである。
 知らない間に誰かが入っている。
 安里は廊下の電気を付けて、中を調べる。個室は全部で六つあり、各部屋には突き当たりに机と椅子だけがあり、横に小さな荷物が置けるくらいで、三畳もないくらいだ。
 一応は防音にされていて、外の音をシャットアウトしている。
 その部屋の向かいは、図書の蔵書などが保管されている。寄贈されて高価な本は、貸し出し禁止として、この部屋に保管されていることが多い。とはいえ、誰も読まない寄贈された本をとりあえず保管してあるだけの部屋で、普段、図書委員すら用事がないので入らない。
 だからこの空間も掃除をするだけの部屋だ。
 ただこっちは防音はしていないし廊下の方にも接しているため、誰かがいれば物音で廊下を通っている人に分かってしまうだろう。
 安里は、そこに入り一応の中を見回る。だが誰も入った様子がないようで、埃臭い匂いしかしなかった。
 今度は個室を調べる。五つまで調べて、誰も使っていないことに気付いたが、六つ目のドアを勢いよく開けたとたん、中から誰が飛び出してきた。
「うわっっ!」
 飛び出してきた人間が、いきなりぶつかってきて安里はその衝撃で飛ばされて壁に叩きつけられた。
「!」
 やっぱり人がいたんだと思った瞬間、体に電撃が走り、思考が一瞬で停止しかけた。
 ちくりとした感覚が腕にあり、腕が動かない。
 足までも痺れたらしく、安里はその場に倒れ込んだ。
 六つ目の個室にいた誰かが、安里の足に何かを突きつけ、もう一度電撃が体を走る。
 そこでやっと安里は、これはスタンガンなのだと気付いた。
 もちろん写真やドラマで見たことがある程度で、本物などはみたこともない。
 だから現物を見ても、それがスタンガンだとは気付かなかった。
「……くっ……」
 足は感覚がおかしくなっていて、まともに動かない。
 ふっと見上げると、安里と同じ制服を着た男が、安里に跨がるように近づいてきて、またスタンガンを使ってくる。
「ぐっっ! あ゛っ!」
 まるで動きを完全に止めるかのように、両手両足と腰、そして首筋と念入りにスタンガンを当ててくる。
 感覚が鈍くなるほどスタンガンを当てられて、気絶しそうになりながらもなんとか安里は意識を保った。
「はは、来ると思ってた」
 男はぜーぜーっと息を吐きながらそう言った。
 ふと部屋の中を見ると、寝袋や何かを食べた後などがある。どうやらここに隠れ住んでいるらしいのだ。この男は。
 ということは、この男が制服を着ているが、ここの生徒だとは限らないわけだ。
 そこでまた思い出した。最近、玄関近くに飾られている学校の歴史というガラス棚から制服一式が盗まれていたことだ。教師たちは、貧困で制服がなくなった生徒が盗んだのかもしれないからと表沙汰にはしなかったが、司書と仲が良かった安里は偶然その話を聞いていた。
 制服を盗んだのはこの男で、それは昼間に学校内を歩いていても怪しまれないための変装目的だったのではないかと分かった。
 そして長くここに潜んでいたなら、当然、鍵の合い鍵は必要はない。図書室が開いている時間に部屋を出て食べ物を買いに行き、開いている間に戻って人が見ていないのを確認しながらこの個室に戻るだけでいい。
 夜遅くでも警備員の隙を見て、抜け出すことはできる。
 安里の個人情報も、この図書室にならある。司書の机にあるアドレスなどを探れば、図書委員の一覧はあるだろうし、安里の顔も名前もこの図書室にある毎年増えていく生徒図書という学校歴史のものに全部ある。一晩もあれば簡単に顔と名前は探し当てられる。
 ここで安里が教師とキスをしていたところを見ていたのなら、安里の名前は聞き取れたかもしれない。そうすれば、メールを送るだけのことはできただろう。
 道理で、犯人らしき人間がまったく見つからないはずだ。
 こんなところに隠れ住んでいるようなのがいるなら、見つかるわけがない。
「絶対に来るように仕向けたんだけどな」
 男がそう言って、部屋の中に安里を引きずっていく。
 そうはさせないと安里が暴れようとするのだが、スタンガンで痺れた手足は動いてはくれない。
 引きずられるまま部屋に入れられ、ドアを閉められた。
 狭い部屋の中で、男は安里のブレザーの制服を脱がし始める。
「な……にやって……」
「待ってたんだよ……ずっとここから見てた」
 男はそう言う。その方向を見ると、部屋のモニターに図書室の内部が映っている。
 それは図書室で使用している簡易の監視カメラだ。問題がある生徒が、図書室内でセックス行為に及んでしまい、した跡が残っていたことから司書が学校側に願い出て、簡易のものを付けたのだ。もちろん、それから怪しい生徒が角などにとどまっているのを見つけると、注意にしに司書が行っていた。だが最近は問題あるような行動をする人間がいなくなり、今では怪しい人を見つけた時だけ司書のさじ加減で作動させたりしていた程度。
 男はその回線を見つけ、自分のノートパソコンにその映像を送るように設置し直したらしい。
 ここに出入りする人間に見つからないために、わざわざ一番奥の部屋を使っているのも、手前から順番に個人室が使われることを知っているからだ。あいにく、この個室全部が埋まることはない。
 いつからこの男が隠れ住んでいるのか知らないが、この男は図書室の図書委員の動きも生徒の動きも、ましてや警備員の動きも熟知しているようだった。
「この時間は誰もここには来ない。警備はもちろん生徒も教師もだ。こんな特別棟の三階に用がある人間はいないからな」
 図書室は、一階には校長室など客室、保健室があり、二階に職員室。三階には生徒会室などの部活の部屋が沢山あり、四階が視聴覚室と図書室がある。教室は渡り廊下を通って反対側に同じ教室棟が建っていて、中庭が広い作りだ。
 だから教室棟から図書室に入る人間を見ることができるのは四階にある一年生の教室からだけだ。
 だが普段そんなところに出入りしている人間を眺めている人間はいないし、教室は早めに戸締まりがされる。普段戸締まりがされている特別棟は、最後になるのだ。
 部活がやっと終わり、生徒が帰り始める時間、警備は警備室から出ることはなく、戸締まりが開始されるのはあと一時間は後のことだった。
 時間にして七時を回っている。
 教師もほぼ帰っていて、残っているのは部活を担当している教師だけで、その教師も部活動の場に出ていて職員室にもいない。
 まさに今時間が校内に人がいない時間なのだ。
「やめっ!」
 安里はわずかに動く手を使って逃げようとしているのだが、少し進んでは引き戻される。
 服は上半身は前を開けた形にされ、ズボンはベルトを引き抜かれ、下着まで一緒に引きはがされていく。
 安里が俯せになっていると、男が何かを安里の尻に向かって塗りつけていく。男の手が尻の割れ目に沿って入り込み、指の一本がアナルを撫でるようにしている。
「やめろっ! いやだっ!」
 さすがにここまでされて何をされるのか理解できないとは言わない。男同士がどうセックスするのか知っている。つまらない知識だが、高校生にでもなれば、そんな下ネタで盛り上がったりするので、知っている。だが実際に自分がされようとしている事実については理解できなかった。
 何故自分なのか、何故? それが安里の頭を巡る。
 男の指が一本、アナルの中に入り込んできた。


2

「いやだ……いやだ」
 安里は逃げようともがくのだが、手足はまだ痺れていて動いてくれない。ピクピクとしているのを少しだけ強い力で男が押さえつけ、アナルに指を出し入れする。
 不快な違和感に安里は顔を歪ませるのだが、男は閉じているアナルを強引に開くように指をくねらせ根元まで突き入れは中をかき回した。
 男が何か垂らしたものはどうやら粘り気のあるローションのようなものだったらしく、指はその粘り気を借りて、自在に安里のアナルの中で暴れる。
「くっ……ん……う……」
 安里はその指が擦りつけるローションが触れているところが、熱くなり、だんだんと痒いような気がしてきた。だが男がアナルを指で掻き回していると、それが弱くなっているような気がしてきた。
 男の指に合わせて腰が揺れていく。安里は、無意識に腰を揺らし、男の指の動きに合わせていた。もちろん男にもそれが分かっていただろうが、男は舌なめずりをしただけで指摘はしなかった。
「ん……あ……んぁ……あッ……ん」
 痒いところに手が届くという感じで、いいところに当たると自然と声が出る。それが分かっていても安里は止められなかった。
 いつの間にか男の指が止まっていた。
 それでも安里は気付かずに、腰を激しく動かし始める。
 男の指に擦り付けるように腰を振っていた。痺れていた手足はすでに回復していたのだが、そんなことには気付かずに、安里は腰を突き上げて、男の指を受け入れ腰を振った。
「あっんっ! あっあっあっ!」
 ニチャニチャと音が鳴って、それがリズムよく聞こえだした時には、安里の頭は、アナルを引っ掻くことにしか考えなくなっていた。
 とにかく中が痒いのだ。何をされたのか理解できなかったが、腰を振っていればその痒さが消え、更に気持ちがいいという気持ちまで生まれていた。
「んぁっ!あっ!ああぁ!いい……!いいっ! んぁああっ!」
 もう最後には痒いという気持ちよりも、掻くことで気持ちがいいという感情しか沸かずに、腰を振っていた。
「お尻とまんない……お尻……いいっ! お尻いいっ! あっ! ああっ!あ゛っ!」
 男が指を引き抜き、別の何かを安里のアナルに入れた。
 青い透明なキュウリのような形をした物体で、それにイボのようなものが全面に付いているものだ。安里はそれが何なのか分からないが、受け入れた瞬間に、それが気に入った。
「あああああぁぁぁあっ!」
 アナルを引っ掻くようにイボが当たり、それが入り口のみならず、内部まで掻き回してくるのだ。絶叫するほどの快楽が一気に押し寄せてきて、安里は身もだえをして嬌声を発した。
「んぁあ゛! んぁあ゛っ! あ゛っ! あ゛っ! んぁ゛っ!」
 もう誰かが来るなどという考えは何も浮かばなかった。
 ただ、挿入される物体が、出入りするだけで腰が抜けそうなほど気持ちが良かった。男に犯されているという自体なのに、そんなことは些細な問題かのように、とにかくアナルが気持ちが良かった。
 腰だけ高く上げた状態で、床に胸から付いた形であったがそんなことはどうでもよかった。口からは涎が垂れるだけ垂れ、水たまりを作っている。瞳からはあまりの快感に涙が浮かび、ボロボロと零れてくるほどだ。
 安里は突っ込まれているものがバイブであることに気付く暇もなく、イボ付きバイブに酔いしれた。
 深く突き入れられるたびに安里のペニスは自然に射精をし、吐き出された精液が床を汚している。安里のペニスさえも涎を垂らすように、精液が垂れ続け、常に勃起していた。
「だめっ……でる……でる……おしっこでちゃう……んぁあああ――――っ」
 最後には、とうとう射精ではなく、小便を漏らしていた。
 ジョロジョロと漏れる小便を垂れ流しながらも、安里は腰を振った。男は無言で安里の腰の動きに合わせてバイブを動かしていたが、その手はいつの間にか止まってしまう。
「あっあっあっ足りない……んんっんっ」
 安里は、男が動かしてくれないことに不満を漏らし、男の手を払いのけて起き上がってバイブを掴み取ると、自分でオナニーを始めた。
 足を男に向かって開き、壁に体を預け、バイブを握ってアナルを刺激する。
 ほんの二十分前まで、ただの生徒だった。それなのに、アナルを開発され、襲われたはずなのに、襲った男の目の前で自分でアナルを掘るのだ。
「んあっんあっああっんぁっ」
 安里がアナルを掘っていると、目の前で男が自分のペニスを取り出した。
 それは黒々としたもので、どういうわけかイボのようなものが無数に付いていた。安里にはそれがグロイものではなく、魅力的なものに見えた。
 男が目の前でペニスを扱き始めた。
 すでに先走りが出ているペニスに精液を擦りつけるようにオナニーをしている男を見て、安里は知らず知らず近づいていった。
 男が安里の顎を掴んで口を開かせる。安里はそうかと思い、そのペニスを口に含んだ。
 男のペニス全体を舐めるように舌を絡め、口腔で扱いていく。むせるはずの精液が口に入っても安里は気にしなかった。
「んっんんっ……んう」
 男は安里の頭を撫で、頭を掴むと安里の口腔を犯した。激しい腰の動きに安里のアナルがぎゅっと閉じる。すると、イボが付いたバイブが内壁に密着し、収縮する動きで安里を追い詰めてきた。
 これはこれで気持ちがいい。
 男は安里の口腔でペニスを扱きながら、そのまま射精をした。
 喉の奥まで届いたままの射精に安里は驚いたが、その精液を吐き出す気にはなれず、そのままゴクリと喉を鳴らして飲み込んだ。当然美味しくはない精液でむせたが、吐き出すことはなかった。
 すると男はそんな安里に向かって微笑んで頭を撫でて言った。
「いい子だ。そろそろこれが欲しいだろう。そんなおもちゃなんかよりもずっと大きいこのペニスが」
 男がそう言うと、安里の目の前で男のペニスがムクリと起ち上がる。
 ガチガチになって勃起しているペニスを見て、安里はこれで犯されるのかと思い至り、入っていたバイブが自然と抜けた。
「よくできた。さすが俺が見込んだだけのことはある」
 男が褒めてきた言葉に安里は、何故か笑顔になっていた。
 犯されているという気持ちはどういうわけか沸いてこなくなっていた。アナルに何かクスリでも入れられ、おかしくなっていると言っても過言ではなかった。
 いやそうなのだろうと安里は思った。
 これは自分の意思ではなく、クスリの力なのだ。
 そうでなければあり得ないことなのだ。
 安里は立ち上がり、腰を男に向けてお尻を広げ、アナルがよく見えるようにしている自分も全部クスリのせいなのだ。安里はそう思うと気が楽になり、何にも考える必要がなくなった。
「お○んちん……入れて……ください」
 パックリと開いたアナルを男に見せつけ、男のペニスを強請った。
 男は笑って腰を進め、安里のアナルにペニスを埋めていく。先は簡単に入るほどの大きさだが、問題はイボや中間地点の大きさだ。
 見たこともないほどの大きなペニスを飲み込めるほど、アナルは広がっていないはずである。どうしようと安里が考えていると、安里が息を吐いた瞬間に男が一気にペニスを安里のアナルに突き立てたのだ。
「――――――ぁっっ!」
 ほとんど呻くような声が漏れたが、それは苦しさの声ではなかった。あまりにも気持ちよすぎて絶頂したせいで嬌声が漏れただけだ。脳天を突き抜ける快楽なんて、人生で一度も味わったことはなかった。
 男がしてきたことすべてが、人生で初めてオナニーをした時くらいの快楽が得られていると思う。いやそれ以上かもしれない。
「んぁあああぁぁあっ! ああぁあっ! あああっ!! ああ゛っ あ゛っ! あ゛っ!」
 男はペニスを引き抜き、一気にまた突き上げてくる。それを何度も繰り返されると、安里は絶頂を何度も迎えた。
 もう出ないと思っていた精液は、潮を吹くほどになり、ボタボタと床に垂れている。蛇口が壊れたみたいに、突かれるたびに精液を吐き出し、完全にオーガズムを迎えてしまっていた。
 まだ男が挿入して、たったの十回ほど突いただけで、安里は男を絶賛した。
「お○んちんすき……ああっんぁいいっいいっ……きもちいいっ! あっ!あっ!」
 男のペニスのことしか頭にはなくなった。
 ズンズンと突いてくるペニスは内壁をイボで擦りつけ、前立腺も何度も突いてきた。そのたびに安里は達して、とうとう立ってられなくなるも、男は抜かないままで、安里を仰向けに寝転がせて、足を胸に付けると上から一気に安里を犯した。
「んぁあっあっひっうッ……あっいやあっだめっお○んちんっ! お尻……こわれるっ!あっあっあっ!」
 嬌声どころか卑猥な言葉すらも口から漏れるようになり、男は満足したように安里のアナルを犯し続けた。
「あっあ゛っ! あ゛っ! あぁっ! んぁあ!」
 安里は何度も絶頂し、とうとう反応すらできなくなった。
 最後の方は安里の意識があるのかないのか分からないような状態になっても、男は絶倫で安里を犯し続け、アナルに精液を吐き出し続ける。
 男のペニスが抜けるたびに、安里のアナルから男の精液がたっぷりと吐き出され、ゴボゴボと音を立てていた。
 吐き出された精液は、床に撒き散らかされ、潮を吹いた透明な液体の尿のようなものや精液の匂いが部屋中に充満し、なんとも言えない空気になっていた。
「打ち止めか」
 男がやっと萎えたところだったが、安里は完全に意識が飛んでいた。
 男は、最後の精液を安里の体の上に勢いよく吐き出して体全体にかけて見せた。それは絶倫であった男は最後の一滴までをもまるでショーのようにしてみせた。 
 だらしなく倒れている安里の体を見て男は満足したように笑みを浮かべて、一旦部屋から出ると、バケツや掃除道具をもって部屋に入ってきた。
 その道具を傍らに置くと、側に合ったパソコンのキーを操作する。
 部屋に仕掛けた様々な角度から撮影された安里の痴態はよく撮影できていて、男は満足したような顔になる。それをコピーしてしまうと、パソコンを片付け、安里をそのまま放置して部屋を抜け出した。

 安里はその一時間後に目を覚ました。
 当たりは真っ暗で、一瞬寝過ごしたかと思ったが、体が上手く動かない上に、腕を動かしたら何かが張り付いているようにペリッと剥がれる音がした。
 体を起こしてから安里はハッとする。
 部屋の中を見回し、それから体の痛みを感じて、何があったのか思い出す。
 ぞっとするような快楽の中で、見知らぬ男に体を開いて、喜んで腰を振っていた。そんな自分をちゃんと覚えていた。
 浅ましいほどの行為に溺れ、己を見失った記憶が蘇る。
 それと同時に、安里のアナルの中からまだ溢れ出る男の精液が床に垂れた。
 側に掃除道具があり、男が置いていったことが分かる。掃除をしなければ、この痴態が簡単にバレると思った安里は、こっそりと掃除をして片付けてしまってから、着替えがないことに気付いたが、その着替えがテーブルの上にきちんとおいてあった。
 どうやら最初から用意していたらしく、下着まであった。
 安里はこれを付けることに戸惑ったが、これがなければ帰れないことを思い出し、身につけてから学校を飛び出した。
 時刻は十時を回っていた。
 スマートフォンには母親からの着信があり、安里はスマートフォンを落として探してたという言い訳を付けて家に帰った。


 それから一ヶ月が経って、安里はあの男から二度目のメールをもらった。
 男からの連絡だと分かったのは、同じメールアドレスだったことと、用件が見てねだったからだ。
 今更なんなのだと思ったが、安里は恐る恐るメールを見た。
 着信メールには、たった三行。
『前は楽しんだよね』
『これを作ったん』
『君の痴態のすべてをDVDにしたんだ』
 その三行の下に、パッケージの写真があり、「素人レイプ、即快楽堕ち」と書かれたパッケージと明らかに安里だと分かる顔に目線だけ黒色で塗りつぶしただけの状態のものがあった。
 映っている写真は、あの図書室の一部屋の様子で、安里が犯されている様子や、自分でオナニーをしている姿、そして立ってお尻を広げアナルを見せるところが余すところなく張られていた。
 安里は慌ててネット検索したところ、本当に発売されるパッケージで、素人の名前のところだけは偽名で書かれていただけだった。
 動画も配信されており、動画販売が先だって販売されていたらしく、人気が出たのでパッケージになると書いてあった。
 サンプル動画を見ると、安里が襲われるところから、浅ましくペニスをアナルに突っ込まれて嬌声を上げて喜んでいる姿が使われていた。
 怖いけれど、見なければと思い、プリペイドカードで代金を払って動画を買って中も確認した。
 顔は目線だけ常にモザイクがかかっていたが、他は性器のモザイクだけではっきりと映っていた。もし身体的特徴があったら、誰にでも安里だと見抜かれたかもしれない。幸いなことに平均的な身体特徴である安里は、これだけで特定できるのは、友人か家族くらいだ。
 あの個室は余すところなくカメラが仕掛けられていて、すべての動画を撮られていた。 あの男は素人の企画と思わせ、本物のレイプ動画をDVDにして販売しているのだ。
 誰がこれを訴えられる? 内容を見られて、あれがレイプだったと証明できるか?
 安里はそれを考えたが、せいぜい未成年と淫行くらいの処分で終わる。そして大人たちには安里が望んで出たとさえ思われる。
 動画は最初の部分だけ乱暴で、後は安里の方が望んでいるように見えていたからだ。
 言えない、誰にも言えない。
 どうしてこんなことに……。
 安里はその場に座り込んで、心の中で悲鳴を上げた。
 男がDVDを売るためにわざわざ図書室の個室に忍び込んでいるのは明らかだ。そしてそれを知っている生徒が何人かいる。同じような企画ものDVDがいくつかあったのを安里は見た。会社は同じ会社で人気シリーズ素人レイプ企画である。本物っぽい内容と絶倫の男が青年たちをどんどん堕としていくのが人気だと書いてあった。
 あそこはあの男の餌場なのだ。
 そして司書はきっと男の仲間なのだ。
 そうじゃなければ、同じ会社の企画ものに、司書と同じ顔をした男性が同じような場所で襲われているレイプもののDVDがあるわけないからだ。
 こっちは司書は顔出しでシリーズものになっていた。この学校内の様々な場所での淫行がシリーズになっているくらいだから、司書も仲間でしかない。
 だが司書以外の青年は素人シリーズにされていて、同じ特徴のある子はいないようだった。
 二度と図書室にいかなければいい。二度もDVDにされている人間はいないのだから、あの場限りだったはずだ。男だってバレるのは怖いはず。この接触は脅しであると同時に、警察に駆け込むのを止める目的もあったはずだ。
 安里はそれでハッとする。
 そうだ学校に行くのを辞めればいいのだと。そうすれば二度とこんな目に遭わないで済む。

 その後、安里は学校へ行くのを辞め、進級ができなくなる時に他校へ転校することになった。それもこの学校からは遠い他県の学校へ。

 だが安里は、その後もDVD販売サイトを見てしまう。
 次々に増えていく企画もののレイプDVD。被害者は今も増え続けている。
 そしてその動画を安里は何十と買い、大学生で一人暮らしを始めると、大人のおもちゃを購入して、オナニーに明け暮れた。
 最近はあの司書の開き直りがうらやましいとさえ思いながら、密かにあの男と接触出来ないものかと考える日々を送っている。

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