019-獣の本性

1

 井浦(いうら)は朝の電車が苦手だ。
 ぎゅうぎゅうの満員電車の方がまだマシだと思う。
 都心へ向かう電車と違い、都市部から地方へ向かう電車は、ラッシュを除いては、割合空いている。皆が想像している満員電車は滅多になく、少し混雑している程度だ。
 そんな都市部から離れた大学を選んだのは、通勤事情もさることながら、第一志望の大学に落ちたからだ。
 そうした劣等感は、ある程度大学に通っているうちに解消される。
 だから井浦は第一志望に落ちたことは今はそこまで悔しくない。実際、その大学に受かった友人もいたが、今では付き合いもなく、通勤、バイト等で会うこともなくなれば、気まずい思いもしなくて済んだからだ。
 それに第一志望の大学では、就職が難しいところもあり、正直あのまま合格していても就職までたどり着けたか分からない。
 第二志望の大学は、そうした就職事情が違っていて、大学の二年になる頃には大学のOBが仕事の紹介をしてくれたりする。
 そこでバイトをしながらそのまま就職する流れもできている地域だった。
 そこで井浦もバイトをしながら、就職もほぼ決まりと言われるように資格を取ったりもしていた。
 バイトは午後五時から午後十時には終了する上に、時給も高いことから、井浦の大学生活は順調だった。
 そんな井浦の悩みと言えば、最近の朝の電車で合う痴漢だ。
 どういうわけか、相手は男。自分も男であるが、気の弱そうな細身の男とは違う。少々筋肉もありごつごつとした体をしているはずだ。身長も百八十近くあり、小さいわけでもない。見るからに男で、痴漢をしようだなんて考える人間が理解できない。
 まして痴女からされるなら、まだ少しくらいは分かるがしてくるのは男である。
 最初は手が当たっていると気付いた。だがそれがリズムに合わせてわざとやっているようだと気付いて払いのけた。そのうち、尻をがっつりと掴んできたり、股の間に鞄などを挟んできたりとエスカレートする一方で、埒があかない。
 そして今日もまた尻を撫でている手がある。だが今日は払いのけようにも周りに人が多くて身動きが取れない。珍しく混んでいるのか、どんどんと流され、開かない方の扉に体を押しつけられた状態で動けなくされた。
 満員電車で退いてくださいとは言えず、しばらく辛抱していたのだが、人はそれほど減らず、体を押しつけてくる人間の息が荒いことに気付いて、やっとこれがわざとやられていることだと思い当たったのだ。
 だが、体を動かそうとするも周りにいる人間に急に腕を取られて窓ガラスに押しつけられた。それをやっているのは両隣にいるスーツを着たサラリーマンだ。
「え? なん……」
 声を出して逆らおうとすると、今度は後ろからスッと出てきた手が井浦の口に何かを押し入れた。それが布だと気付いた時には、口に布が入り込み、その布で口が拘束されていた。
「……う゛っ!」
(ちょ……なんだこれ!)
 悲鳴を上げようとするも、押さえつけられた腕がどうやっても動かない。相手に両手で押さえつけられたら、井浦ほどの男でも逃げることができない。
 すると別の手が伸びてきて、ズボンのファスナーをさっと開くとポロリと井浦のペニスを出してしまった。
「う゛っう゛っ!」
(嘘だろ! 何やってんだ!)
 抵抗しようとしたところ、そのペニスを強く握られてしまい、その強い力に井浦は暴れることができなかった。まるで握り潰してやるというような相手の手の力に恐怖したのだ。
「そう、いい子だね。このまま見つかったら、電車でペニス出した変態ですってこっちから叫ぶよ?」
 ハァハァと少し荒い声がそう言った。
 まさかと思考が停止しそうになった。このまま暴れて逃げ出したら、こっちの口が塞がれているのをよいことに、この変態が逸物を出したという風にされるというのだ。
「こっちは十人はいるから、君の主張は通らないと思うよ」
 そう言うのである。
 確かに目撃者が一人と十人では、きっと警察は目撃者が多い方を信用するだろう。
「いい大きさのお○んちんだね。しゃぶったらおいしそうだ」
 男はそう言いながら、恐怖で体が動かなくなった井浦のペニスを扱き始めた。
 不幸なことに、こんな状況でも相手にテクニックがあればペニスは勝手に勃起してしまうということを井浦は知らなかった。
「んう゛っ……う゛っ……んん……」
(やめろ! やめろ! いやだ! そこに触るな!)
 自分がオナニーをしている時に気持ちよくてやってしまう擦り方を、別人にされる感触がどういうわけが心地よかったのだ。最初のうちは乾いた音が鳴っていたのだが、そのうちクチクチュという濡れた音が鳴り始める。
 井浦の先走りが相手の手の中で広がり、それで擦りつけられて音が出ているのだ。
「ほら、もう出てる」
 そう言われて尿道をぐりっと指で押さえつけられた。まるで絞り出すように擦られているのに、蓋をされたようにされ、ビクリと体が震えた。
(……嘘だ……こんなの!)
「お○んちん、気持ちいいね~、ほらほら、ぴゅっと出しちゃいなよ」
 男がそのまま言ったように、ペニスを手で追い詰め、井浦はあり得ないと思いながらも、その痴漢男の手で射精をさせられた。
「う゛う゛う゛っっんん――――――っ!」
(いくぅ――――――!)
 ビューッと勢いよく吐き出されたモノがドアに吐きつけられて、白い液体をダラリと床まで垂らしている。幸い射精したこと自体は誰にも見られてなかったようで、周りは騒がしくはない。だがそれでも酷いことだった。
「う゛――――――っ」
(うそだうそだ!)
 気が動転して暴れそうだった井浦に。
「いいねぇ、してなかったのかな? めちゃくちゃでてるよ。これで変態の仲間入りだね」
 男がそう言い出した。
「満員電車で知らない男にペニスをしごかれ射精した変態男」
 耳元でそう言われて井浦は顔を真っ赤にした。
(くそっくそっ!)
 確かに男の言う通りで、今、誰かに見つかったらそれこそ終わりだ。こんな姿を誰にも見られたくない。
「かわいいね。今日はここまでにしてあげる。ほらペニスもしまって、猿ぐつわも外してと」
 やっと痴漢から解放されると井浦が安心するのだが、周りの客が精液の匂いに不審な声を発し始める。
「なんか、臭くない?」
「何の匂いだろ、臭いね」
 女子高生がそう言い出した。どうやら何の匂いかまで限定できてないようだったが、匂いだけは少し離れていても臭うものだ。
「なんだろ?」
 その言葉がどれほど心臓を抉ったのか、分かる人がいるのなら同じことをされた人間だけだと思うと井浦は思った。
 この臭いに覚えがあるのは男性の方で、もしかしたら近くに立っている男性の何人かは気付いたかもしれなかった。
(……ど、どうしよう……)
 心臓が大きな音を立てて、耳に雑音が入ってこなくなる。
 すると電車は井浦がいる側のドアが開く駅に到着し、精液がかかったドアがさーっと開いていく。人に吐き出されるように井浦もその駅にさっと降りた。人の流れに乗って、電車から離れ、とにかくあの残滓の後と自分を結びつけられないように遠くへと足を運んだ。
 駅の階段をゆっくりと下りていくと、乗客は目的地に向かって先に歩いて行ってしまった。誰もいなくなった階段で、井浦は暫く立っていた。
 すると電車は二分ほど停車した後に、何事もなく発車していったが、あれが見つかるのはいつなのか分からない。もしかしたら、掃除をするまで分からないままかもしれない。
 井浦はとりあえず騒ぎにならないことにホッとして、ホームに戻って側にあるベンチに座った。
 するとその場で足が動かなくなった。
 大学へ行く途中なのだから、すぐに次の電車に乗って大学へ逃げようと思うのだが、やってきた電車に乗ることができなかった。
 そう怖くて電車に乗れない。あの痴漢たちがまた同じ車両に乗ってきたら、また同じ目に遭わされると思うと怖くて仕方がなかった。
 暫くホームに座っていたが、やっと震えが収まったと同時に口の中が気持ち悪いことに気付いた。
(……タオルか何か押し込まれたっけ……)
 とにかく猿ぐつわをされた口を洗いたくて、水道がないか探すが見つからず、ホーム内にある自動販売機で水を買い、それを持って公衆トイレに行った。
 幸い、綺麗なトイレだったことが救いだった。
 誰もいないのを確認して中に入り、手洗いのところで持っていた水で口を濯いだ。
「くそっ……なんでこんなことに……あ」
 そこで思い出した。あの男が触った井浦のペニスにはまだ汚れがついている。
「……くっ」
 思い出しても気分が悪い。
 開いていた個室に入り、男が触ったペニスを水で洗った。案の定、ペニスには自分で吐き出した精液が塗りつけられていて、べたべたとした感触があった。
 これじゃ到底、大学には行けない。下着まで少し精液が付いた後があるので、きっと匂いがするかもしれない。
 盛大なため息を漏らしてから、ペニスをトイレットペーパーで拭こうとした時だった。
 水で洗うので擦ったペニスが少し起っていた。
(こんな時に冗談だろ……)
 あんなことがあったというのに、井浦のペニスはさっきの感覚を忘れられないのか、気分が冷めていくはずなのに、どんどんと先が持ち上がってくる。
 これでは身動きすら取れない。まさか勃起したまま歩くなんてことができるわけもなく、この場で抜くしかないわけだ。
 誰もトイレにいないことを、そっとドアを開けて確認してから、井浦は仕方なくペニスを扱く。だが急いで吐き出したくても、そうなってくれないのが性欲。
 何をおかずにして抜けばいいのかわからず、携帯を操作する。写真か何か適当に探してしよう思ったのだが、ふとメールが着信していることに気付いた。
 着信時間はさっきまでホームにいた時間だ。
 どうやら呆然としていたのと、マナーモードにしていたために気付くことができなかったらしい。
 ふっと操作をすると、知らないメールだ。操作をすると、勝手に添付ファイルが開く。それは動画だった。
「やべっ」
 ウイルスメールか何かだと思ったのだが、流れてきた動画の声に聞き覚えがあった。
『う゛っ――――っうっう゛』
 そこには口を塞がれた井浦が映っていた。
 あまりの驚きに、井浦はそのまま動画を止めることができない。
 男が何かいいながら、井浦のペニスに手を這わせ、そしてしごき始める。
 上から誰か別の人間が撮っていた動画らしく、手ぶれは酷いが、ペニスがすっかり起ち上がり、男の手によって高められていく姿は何かの企画動画のようなものに見えた。
 そして嫌がっているはずの自分の顔は、トロリとした目をして涙を浮かべてはいるものの、ペニスを扱かれて気持ちがいいという、快楽の姿をしていた。
 まさかその時の自分がそんな顔をしているとは井浦も思わなかったが、男の手管をしっかりと伝える動画に井浦はどうしようもなく、興奮していることに気付いた。
 そっとペニスに手を伸ばし、動画を見ながら男がやっているような手つきでペニスを扱く。さっきまで興奮すらしなかったため反応が薄かった井浦のペニスが、先走りを出して更に勃起していく。かちかちになったペニスを一生懸命扱き、先走りで滑りながらもその滑りを借りて扱いた。
「んふっんっんぁっあっあっあっんっ」
 自然と声が口から出てくる。誰かが外にいれば当然気がつくほどの大きさの声だ。
 ニュチャニチャとべた付く音と共に気持ちはどんどん高まっていく。射精感が出てきてもうすぐイクと感覚で分かる。
 その時、動画の中の井浦も達しそうで、体を震わせていた。
『う゛っう゛っう゛―――――っ!』
「あぁんんっあぁふんっ」
 そして動画の中の井浦と一緒に現実の井浦も射精をした。
 勢いよく吐き出された精液は便器の中に叩きつけられた上に、井浦はそのまま小便までしてしまった。シャーッと勢いよく出た小便が終わると、ゼエゼエと肩で息をした。
(なんてことしてんだ、俺は)
 そうやっと普通の思考が回ってきた。
 慌てて動画の再生を止めようとしたが、すでに動画は再生を終えていて勝手に止まっていた。そしてその瞬間、メールの着信を告げるバイブレーションが起こる。
「え?」
 見計ったタイミングで届いたメールは、動画を送りつけてきたものと同じ送り主だった。
 また何かを送りつけてきたと思い、音量を下げて開くと、今度は音声ファイルだった。
「…………っ」
 気になり再生をすると、それは。
『あぁんっあっあっあっん、うふんっあんあっあっ』
 甘い声を出して公衆トイレで今まさに井浦がやっていたオナニーの音声だった。
 誰かがこの場所にいて、このオナニーを聞いて、更に録音をしていたのだ。
「ひっ!」
 井浦は慌てて音声を止めて、携帯を握りしめた。
 なんで今日は、こんな酷い日なんだ。


2

 泣きそうなほど酷い目に遭っている。
 そう自覚したのと同時に、ドアにかけていた鍵が勝手に開き、ドアが開いた。
 驚いて振り返った井浦だったが、開けた人物は見たこともない男。その男はニヤついたまま入ってきて、ズボンを下ろしていた井浦はその男に驚いて逃げようとするも、逃げる場所がなかった。
 男は便器の蓋をすると、その上に井浦を叩きつけるように座らせた。
「かわいい声でオナニーか。しかも自分が痴漢されている動画を見ながらって、井浦ちゃん、随分と変態なんだな」
 そう言われて井浦は恐怖した。
 名前がバレている。いやその前に、携帯のメールアドレスも知られていた。
(こいつ、なんでも知ってる……?)
「ずーっと見てたよ、井浦ちゃん。大学に通うようになってからずーっと」
 男はそう言って、下半身丸出しの井浦のペニスをまた握った。
「あああっ!」
 さっきあり得ないほどの快楽を得て達したペニスは敏感になっていて、恐怖で縮んだと思っていたのに、あっさり男の手によって半起ちしているではないか。
 男は、井浦のズボンや下着を足首まで下ろすと、足で踏んで固定した。井浦はこれで起つことができないまま、男の前に下半身を露出した姿を晒している状態だ。
「かわいいかわいいお○んちん、おいしそうだね」
 男はそう言うとしゃがみ込んで井浦のペニスを口に咥えたのだ。
「んぁあっあ゛あ゛あ゛っぁあっ!」
 腰が引け仰け反りそうな感覚が一気に襲いかかってきて、井浦は嬌声を上げた。
 ジュルジュルジュルと音を立てて吸い付き、口腔を使って扱いてくる男の口と舌に井浦は翻弄された。射精をしたばかりで敏感になっているペニスは、その男の口に含まれただけで完全に勃起し、先走りを出しながらビクビクと震えている。
「あぁんっあっあっぁあっ! いやだっ! ああぁあんあんあん」
 抵抗しているつもりなのに、男の頭を引きはがそうとしていた手は、男の頭を押さえつけて更に股間に向けているようになってしまう。最後にはもう男の頭に縋り付いているようになりながら、男の口腔の中で井浦のペニスが射精をした。
「あぁ――――――っんふっ!」
 最高に気持ちが良く射精してしまい、井浦はその気持ちよさに放心した。
 セックスはしたことはなく、大学生になれば彼女ができて、そのうちするだろうと思っていた。だがまさか痴漢にトイレの中でされるとは思いもしなかったことだ。
 男は井浦が射精した精液をごくごくと飲み干し、さらにはペニスに付いていた精液の一滴すらも舐めながら、最後には尿道口まで舌で舐めとっていった。
「あ……ん……んん」
 井浦が放心している間に、男は井浦のズボンと下着を剥ぎ取り、完全に下半身を出したままの状態にすると、井浦の両足を広げ、アナルがよく見えるように腰を上げさせた。
 そして何か小さなものを取り出すと、そのアナルに向けて小さな管を入れた。
「……え……あ、なに?」
 小さな管がついたものは、プラスチックの容器で、浣腸のように片手で容器を押すと、その中に入っていた液体がアナルの中へと広がるように流れていった。
「なにっ!」
「大丈夫、ちょっとだけクスリ使っただけだから」
 男はそう言うと、クスリを流し込んだアナルに自身の親指をぐっと突っ込んできた。
「いっったぁっ……んぁ、いや、やめろっ」
 中に入った親指はアナルの壁内を撫でるように動いているが、その異物感は酷いもので苦痛で井浦が顔を歪めるのだが、男は気にした様子はなく一旦指を抜いた。
 さっきの指のせいで異物感が酷いのだが、それ以外に何か入っている感覚が残っていた。
「なにして……何か入ってる」
 この異物感は小さなモノであるが、座薬を入れた感覚に似ていた。
「入ってるよ、小さいのがね」
 男がそう言って何かのリモコンのようなモノを取り出した。
「こうやってね」
 リモコンのボリュームを上げていくと、お尻の中で何かが振動を始める。それは小さな振動であるが、内壁がそれを抱え込んで震えている。
「な、なに?」
 怖くなって尋ねたところ、男は笑顔で答えた。
「何ってローターだよ。普通のじゃなく、極小のだから、まだ開いてないアナルとかにはいいんだよ」
 そう言ってローターのボリュームをどんどんあげていく。中で暴れ回る小さな異物に、最初は不快感と不安しかなかったのだが、突然、脳天を突き抜けるような何かで体が大きく跳ね上がった。
「――――――あぁああぁっっ!」
 自然と嬌声が出て、お尻が跳ね上がる。ローターの動きにどんどんと内壁が快楽物質でも得たように敏感に反応するようになってしまっていた。
(なんで……なんで!)
「んぁああっあっんんふっあっあっあ゛あ゛っ」
「ああ、もうお尻で感じるようになったんだね……かわいいね」
 男は喘いでいる井浦のお尻を掴むと、そこに顔を埋めて、アナルを舐め始めたのだ。
「ひぁああぁあっぁあん、いやぁああぁっ」
 湿った唾と、男のざらついた舌の感触に、井浦は自分の声とは思えないほど、甘い嬌声で抵抗を試みるのだが、それでも男が上から足を押し広げて押さえてつけてきたため、抵抗しているようにしても井浦が腰を動かして誘っているようにしか見えない。
 ビクンビクンと跳ねる体を押さえつけられて、抵抗するよりもアナルが気持ちがいいという感覚の方がだんだんと勝ってくる。
 どうしてこうなるんだと激しく抵抗したいのに、頭の芯が快楽で支配されて、抵抗するより快楽に身を落とす方が楽だと誘ってくる。
 だんだんと思考回路が、快楽に向き合ってくると、自然と井浦の口から漏れるのは嬌声と感じているが故の涎だけだ。
「あぁあっ! んぁあっ! あぁぁぁああっ! んふふうっ!」
 固く閉じていたアナルが、花が開くように柔らかくなり、振動でどんどんと内壁も柔らかくなってきていた。男の指がアナルに入り込み、入り口を広げていく。その痛みがあるはずの行為が、どうしても気持ちよくて井浦は嬌声を上げる。
「んぁあっあっんぁああぁぁいやぁん、だめぇんふっあん、あん」
「いいね、開いた開いた。かわいいアナルが開いた、こうやってほら、気持ちよくてどうしようもないよね」
 男がそう言って、三本の指をアナルに突き立てた。けれど指は間接ぎりぎりまで飲み込みながらもしっかりとその指を銜え込んでいる。信じられない行為だったが、井浦はそれどころではなかった。
「ああぁぁぁああんっっ!」
 そんなことが気持ちよくてどうしようもない。
 まるで全身が何かされたのではないかと思うほど、その不快な行為が気持ちよくてどうしようもないのだ。
 ただ悶える井浦に男は満足したように、指をアナルから引き抜いた。
 そして男は、自身のペニスをズボンから引き出し、それを井浦のアナルに半分だけ一気に突き刺した。
「~~~~~~――――――っっ!」
 脳天を突き抜ける快楽に、井浦は一気に射精した。
「あはは、気持ちよくてところてん? すごい才能だね。やっぱり井浦ちゃんは変態だよ……とても魅力的でかわいい変態さんだ」
 男がそう言うので、抵抗しようとした井浦だが、男は更に腰を突き入れ、今度は男のペニスを完全にアナルの中に埋め込んだ。
「――――――っっ!!」
 またもや脳天に突き抜ける快楽を井浦は受けたのだが、今度は射精はできなかった。だが体は完全に達していて、ビクンビクンと痙攣をしている。
「あれ? もしかしてドライオーガズム? すごいや井浦ちゃん、こんなに快楽に素直だったなんて、さっさと襲っておけばよかったよ。一年も見守ってて馬鹿みたいだ」
「んぁああぁぁぁっ! あっ!」
 男がそう言った後に腰を引き、更に進めてくる。ピストン運動にオーガズムを迎えている体が耐えられるわけがない。突くたびに体が跳ね上がり、抜かれるたびに内壁が引きずり出される感覚に体が痙攣を起こす。
 男はそんな井浦の体を上から押さえつけたままで、リズムよく腰を打ち付けてくる。
「ああ、きもちいいな。一回目だすね」
「あぁあっだめっんぁああっだめっなかっんふあぁっ」
「大丈夫大丈夫、ほらっ!」
 男はにこやかにそう言いながらも、激しく腰を打ち付けて叩きつけるようにして精液を井浦のアナルの中に吐き出した。その量は、普通の人の量よりも明らかに多く、奥の奥まで入り込んできた。
「ひっぁあああああぁぁぁぁぁ――――――っ!」
 あまりの衝撃に、悲鳴に似た嬌声を上げ、同時に井浦も達する。こちらもまた一日に三回目にしては量が多く、吐き出した残滓が井浦の顔にどっぷりとかかってしまう。
「ははは、けつマ○コでいくんだ。いいね、いいね。想像以上だ」
 ヌルリと男のペニスがアナルから出て行くと、パクリと開いたアナルから勢いよく精液が吐き出される。男の多すぎる精液に混じって、さっき入れていた小さなバイブも吐き出されてきた。
「んぁあっああぁんんっ」
 その感触さえ気持ちが良く、井浦は自分はとうとうホモになってしまったのだと確信した。
 更に知らない男に種付けまでされても抵抗できず、それで射精までしたのだから正真正銘のホモだ。
 だから今まで彼女が欲しいと思わなかったし、興味もなかったのかもしれないとなんとなく鈍った頭でそう思ったのだった。
「あーだめだよ、まだまだするんだから。幸い、このトイレ壊れてて、昨日から使えないから、もう一つのトイレに誘導されてて、実は人が来ないんだよ」
 そう男が言った。
「まあ、壊したの俺たちなんだけどね」
 男はそう言いながら、トイレのドアを開けた。
 開いた先には男が三人ほど立っていた。もちろんズボンからペニスを出した状態で、それを擦りながらにやにやとしている。
 井浦は、自分がこの男たちにも犯されるのだと瞬時に理解したのだが、疲れ切った体が思い通りには動いてくれなかった。
 腕を男たちに掴まれ、引きずり起こされ、トイレ個室から出されて、壁に手を突いて後ろから犯された。
「あぁぁあっっんぁああぁんふっっ!」
 その男のペニスも大きく、更にアナルを広げるようにして抉るように犯してくる。
 もう一人の男が井浦の服をまくり上げ、プックリと起ってる乳首を指で弄り始めた。
「だめっんぁんあっ! ちくびっいいぃぃあああぁあっ!」
「井浦ちゃん、乳首もいけるのかぁ、本当に淫乱って言葉、井浦ちゃんのためにあるようなものなんだな」
 片方の乳首を一人が弄り、さっきまで井浦を犯していた男がもう一つの乳首に吸い付いて、吸ったり乳首を舌で舐めたり転がしたりと自在にやってくる。
「んぁあっんはぁあっ! いやんっだめっぁああ゛っあ゛っんぁあ゛っ!」
 ちゅーちゅーっと今度は二人の男が乳首に吸い付き、互いに口の中で井浦の乳首を転がして噛んで引っ張る。それが脳天を突き抜けるほどの快楽を更に呼び、井浦は仰け反りながら喘いだ。その間も後ろから別の男のペニスを銜え込み、激しく突かれている。
 放置されている井浦のペニスは、突かれるたびに精液を吐き出し、オーガズムを迎えるたびに体が痙攣するのだが、それでも男たちの行為は止まらなかった。
「あぁあ゛んはっあぁあっむりっそれむりっんはぁああぁ――――――っ!」
 後ろから突いていた男が、井浦を抱え上げて足を広げると、その間に別の男が入り込み、すでにペニスが入っているアナルを更に指で広げ、もう一つのペニスを無理矢理押し込んだのだ。
 二輪刺しをされた井浦は、もはや痛みを感じなかった。
「お○んこっお○んこっうぉお゛っお゛っお゛ぁあっ!」
 入り込んだ二つのペニスが擦れあいながらもいい具合に井浦を犯していく。
「いくいくっいくぁあんぁああ――――――っ!」
 二つのペニスを銜え込んだまま、激しく達した井浦だったが、もう井浦のペニスが精液を吐き出すことはなかった。いわゆる空イキというものだと井浦が理解できたのは、それから数時間経ってからのことだ。

 それからそこにいた四人の見知らぬ男にトイレでレイプされ続けた。
 レイプならばこのまま放置されて終わるのだろうが、最初に痴漢をし、レイプをしてきた男は違った。
 すっかり疲れてトイレの便座に座らされた井浦は、中にたんまり出された精液が吐き出てくるのを感じながら座っていた。去っていたと思っていた男が戻ってきたのは、それから数分で、仲間の男たちだけがいなくなっていた。
「井浦ちゃん、浣腸しておこうね。精液ってけっこう中だしはお腹を壊すしね」
 男はそう言いながら、井浦に水で洗う浣腸を何度も繰り返した。何度も何度も水が入っては出て行くのを感じながらも井浦は抵抗ができなかった。
 だってアナルに入り込んだ精液の処理の仕方なんて、知らなかったからだ。
 男はかいがいしくも井浦の体を濡れたタオルで拭き取って綺麗にしてくれたし、買ってきたという服や下着をわざわざ用意してくれていたのも大きかった。
 抵抗すれば、レイプされたままの姿で駅員か掃除か工事の人間に泣き尽くしかない。もしくは電話で事情を友人に話して……とそこまで考えて、どれも嫌だと思った。
 誰にも知られたくない。
 知り合いに知られれば、大学はもちろん、実家にまでバレる。警察なんてごめんだ。もっと大事になって、もしかしたら就職だってできなくなる。
 そう思ったから、井浦は抵抗できなかった。
 男は井浦を綺麗にしてしまうと、にこりと笑って言った。
「またね、井浦ちゃん。メールするよ、ちゃんと読んでね」
 その台詞に井浦は、恐怖するよりも、少し喉を鳴らしてから頷いた。
 もう後戻りもできない。
 井浦は電車に乗るのが怖いと思ったが、そんなことを言っている場合じゃないこともあり、そのまま電車に乗って家に帰った。
 自宅に入ると同時にメールが届き、疲れた頭でそれを開く。
 そのメールにはやはり動画が付いていて、開くと自分が二輪刺しされて嬉しくよがっている姿が映し出されていた。
 それを見て井浦は絶望して床に座り込んだのだが、疼くアナルと半起ちしているペニスに気付いた。
 そして、スマートフォンをテレビに繋ぎ、ヘッドフォンをしてその動画を見た。
 もちろん井浦は全裸になり、自分でペニスを扱きながら、乳首を弄った。
「あんぁあぁっあっんぁっもっとんんっ、もっとぉあっんぁあっあっ」
 もう出ないと思っていた精液はあっという間に射精として出て、井浦の部屋の床を汚した。
「どうしよう」
 井浦はそれに恐怖した。
「足りないよぉ……」
 あの強姦がどうしても心地よかった事実だけが井浦の体にしっかりと残ってしまったのだった。

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