03-無知に滴る

 僕は歩いて学校から帰っていた。
 いつもは友達と一緒なのだけど、その日は友達が学校を休んでいたので僕は一人になった。
「ごめんね、道を教えて欲しいんだけどさ」
 そう道ばたで呼び止められた。
 知らない人に道を聞かれたら教えて上げなさいと学校で教わっていた。
 だから僕は地図を見せられてそれに答えようとした。
「ここなんだけど、この近くなのは分かってるんだけど、入り組んだ道が分からなくて」
 そう言われてサラリーマンの男の人が地図を指差している。
 僕は地図を見てそこが何処か分かった。
「あ、知ってる? じゃあ道を教えて」
 男の人はこれからそこに用事があるみたいだったけど、そこまでの道は僕がいつも通る道だった。
「僕もそこを通るから、こっち」
 僕はそう言って脇道に入った。
 家が密集している中で、この人が二人くらいと通るのがやっとの小道だけど、この周辺の人は近道としてこの道を使っていた。
 でもちょっと前に木の道はお母さんが通ったら駄目よと言っていた。
 何でも木の道は私有地というもので、通ると持ち主が怒るんだそうだ。
 でもその私有地を通らないと遠回りして十分くらい学校まで掛かってしまうから、僕は音を立てないように走り抜けてしまっている。
 まだ怒られたこともなかったし、学校に苦情なんて入ってきてない。
 だから気付かれていないのだと思う。
 でも今日は別だ。
 この男の人はこの私有地の持ち主の家に行こうとしているのだ。
 僕は案内をする人なので仕方なく通るという口実ができてしまったわけ。
 僕にとっては好都合。
「この小道は分からないね」
 男の人がそう言って僕の後を歩いてくる。地元の人じゃないとこの道が向こうまで通り抜けられることは知らないのは仕方ないことだ。
 この横の大きな屋敷にはおじいさんが住んでいる。
 でも私有地の道の持ち主の最近はお爺さんは姿を見せないけれど、死んだとか入院したとか言う話は聞かない。
 もしいなくなっていたらとっくに周りが知っているはずだ。
「ここです」
 歩いて二分ほどで男の人が訪ねたい問題の家に到着をした。
 この家しかこの道に門や入り口はない。
 だから私有地なのは言われたら納得できる家の配置なんだよね。
「ああ、助かったよ。あ、ちょっと口開けて」
 男の人はそう僕に言った。
 僕は訳が分からなかったけど、反射的に口を開けちゃったんだよね。
 すると口の中に男の人が何かを放り込んできた。
「え、な、なに……?」
 僕がびっくりして吐き出そうとしたんだけど、男の人が笑って言った。
「ああ、ラムネだよ。とても美味しいんだよね」
 男の人はそう言うと同じラムネらしい物を自分でも食べていた。
 多分、大丈夫だよってことを知らせているんだろうけど、僕は半分以上も溶けてしまったラムネを飲み込むしかなかった。
 飲み込んだらピーチの味がした。
「あ、美味しい」
「でしょ、これとてもいい味だし、俺も気に入っているんだよね。ここまで案内してくれたから、特別にこれ分けてあげるね。特別に気分が良くなりたいときに使うといいよ」
 男の人はそう言うと僕にそのラムネの入れ物を渡してきた。
 既製品のラムネ菓子のような小さな長方形の入れ物で、持ちやすいのでポケットに入ってしまう。
「あ、ありがとうございます?」
 そう僕が言ったら男の人はニコリと笑っている。
「あれ、この家、チャイムは何処にあるの?」
 男の人が門の前で立ち尽くしてそう言う。
 僕はそういえばいつも開いている門が閉まっていることに気付いた。
 その門は小さいけど時代劇に出てくるようないい家の大きな木でできた門なんだけど、いつもは開いていて、僕はそこを走り抜けて通っている。
 そういえば朝から開いてなかったなと思って僕は言った。
「朝から閉まってたかも」
「えー、じゃあ開けて入るしかないか……お、開いたな」
 男の人がそう言って門を押して開いている。
 その時になって僕は体が何だかフラフラする気がして、目が回っているようになって立っていられなくなっていた。
 ふらついて倒れそうになったら男の人が助けてくれた。
「ああ、危ないな……大丈夫かい。この家で休ませて貰おうね」
 そう男の人が言って僕をその門の中に連れ込んでしまった。
 僕としてはこの家の人に顔を覚えられたら通り抜けができなくなるから嬉しくないけど、その時の僕はただ目が回っていて立ってられなくて、どうすることもできなかった。
 門を入ってしまうと男の人は僕を抱えたままで玄関まで行った。
 玄関のドアが開いていて、男の人はそこにさっさと上がり込んでいく。
 僕には何が何だか分からないまま、その家に連れ込まれた。
「勝手に入って……」
 怒られるよと言おうとしたんだけど、男の人が言ったんだ。
「大丈夫だよ、ここは俺の家だからね。ここの持ち主の爺さん、一ヶ月前に遠くの町で死んだんだよ。それを相続して俺の物になったばかりだ」
 男の人がそう言うので僕は驚いた。
「じゃあ……」
「最初から場所は分かってたよ。君を狙ってたからね。こうやって連れ込むために」
 男の人はそう言うと僕を部屋の中のラグに横たえた。
 僕はまだ目が回っていたから怖くて逃げようとしたんだけど、男の人に押さえ付けられて服を脱がされてしまった。
「怖い、やだっ」
 僕がそう言うんだけど、服はどんどん脱がされて、下着も全部脱がされてしまった。
 男の人は僕を押さえ付けたまま、僕の体に手を這わせている。
「ああっ……、ち、ちくび、さわったら……っひゃぁっ! あんっ……あっ、あぁっ」
 僕は男の人に乳首を弄られてしまって、そこを触られてしまったら体に電気が走るみたいにビクビクと震えてしまった。
「よーし、薬も回ってキマッているな」
 男の人がそう言ってきた。
「さっきのラムネ。気持ちよくなれる薬なんだよ。使うとこうやって体を触られたら堪らなく快楽を覚えるんだ。しっかり教えて上げるからね」
 男の人はそう言って僕の体を触ってきて、僕は男の人が言う通りに何だか触られたところから気持ち良くなってしまっていた。
「あっあっ、……んっ、やっ、はぁんっ……」
 変な声が出てしまって止められないし、口から涎が出ているのが分かるんだけど、息が上がってしまって止められないし逃げられない。
「んぁっ、……い、い……ちくび、さわっちゃらめっ……あっあぁんっ」
「気持ち良くなってるんだね、いいんだよ。そのまま気持ち良くなってるんだ」
「あぁんっ! ぁっあっ、もっ、らめぇっ……ちくび、ふぁっ、あんっ……」
 そう言われて僕はビクビクとしながら逃げることも忘れてしまった。
 男の人は僕の乳首に舌を這わせて口で吸ってくる。
 僕はそれがとても気持ち良くて、どうしようもなかった。
 怖い気持ちはなくなってしまって、変な声が口から漏れ続ける。
 突如、僕は射精をしたくなった。
 おちんちんを擦ると気持ち良くなって射精をする。それを自分でするときはオナニーと言うことは去年授業で知って、僕は興味があってやるようになった。
 射精もできるから知っている。
 これはイクという感覚だ。
「ああ……っ、ぁっ、ん、もう、いっちゃ……いっちゃうからぁっ」
「乳首舐められてイクんだ? いいよ、歩くんだっけ? いやらしくイッてみせて」
 男の人にそう言われて乳首を両方引っ張られて僕はその時絶頂をした。
「ああああ……っ」
 体を震わせて僕は射精をして気持ち良く絶頂をしていた。
 始めて頭の中が真っ白になるくらいの絶頂感で、僕は体を震わせた。
「ああ、いいね歩くん。とてもいやらしいね……こっちも準備しようね」
 そう言うと男の人は僕の下半身を舌で嬲ってきた。
「ああ……やらっ……ああんっ」
 僕が少し抵抗しても男の人は僕の体を割って、僕のお尻の穴を舐め始めてしまった。
「ああ、だめ、そんなところっ」
 お尻なんて誰も触らないし、舐めない。なのに男の人は僕のお尻の穴を美味しそうに舐めて広げて舌まで入れて、最後には指まで挿れて擦り上げてくる。
「あっあっ……やらぁ……ぬいて、はぁ、ぬい……んぁあっ」
「美味しいよ、歩くん、広がってきたね。そろそろ挿入るかな?」
 男の人は僕のお尻の穴をずっと舐めて解してきて、二十分くらい舐めていたと思う。
 指は一本どころか、三本くらい挿入るほどに広げられて、奥まで擦ってくる。
 僕はそれの圧迫感だけは覚えたけれど、痛みもなかったし、寧ろ気持ち良かった。
「ああぁっ、やぁ、いっちゃ、あんっ、いくっ……あっあっ、はぁあんっ!」
 僕は男の人にお尻の穴を舐められ続け、指を挿れられて擦られてまた絶頂をしていた。
「あーっ……はぁっ、はぁっ、ぁ、んやっ……、ん、だめ……ひっ、ぁっ、あぁあっ!」
 僕が絶頂をしてしまうと、男の人はやっと僕のお尻の穴から舌を抜いてくれたけど、それで終わりじゃなかった。
 これはまだ始まりに過ぎなかった。
 僕が絶頂して呆けていると、お尻の穴にもっと大きな物が挿入り込んできたことに気付いた。
「あんっ……やらぁっ……はいらない、んんっ、らめぇっ……あっふぅっ」
「大丈夫、挿入る挿入る。挿入ってる。飲み込んでるよ~」
 男の人がそう言って僕のお尻の穴におちんちんを挿入ていることに気付いた。
「やぁあ……まって……っあぁっ、あっあっはぁっはぁっ……んっ……あっやぁっ」
 僕は逃げようと動いたんだけど、そうすると男の人が僕の腰を掴んで逃げられないように男の人の方へと引き寄せたんだ。
「あああっ……ああっ……やぁっ、あっあっ、そこっ……、ぁひっ、あーっ……」
「逃げちゃ駄目、乳首も弄って欲しいならいじるから」
「あっあんっ……もっ、ちくびやらぁっ! はぁっ、あっぅ、ぐりぐり、しないでっ、んっ、いぁっ、へんに……っ、へんになっちゃうっ……」
 男の人は僕の乳首を片方弄ってきて、僕はそれでまた気持ち良くなっちゃったんだよね。
 乳首なんて飾りで、何のためについているのか分からない場所だったのに、僕はちょっとの間に乳首で感じられるくらいになっちゃった。
「おお、ちょっと挿入るな、ほら一杯挿入ってくね」
「ぁっ、だめ……っ、そんな大きいの、むりっ……、はぁっ、あっ、あぁーっ……」
 僕のお尻の穴には男の人のおちんちんが挿入ってしまって、根元までしっかりとねじ込まれてしまった。
 お腹が少し膨らんだみたいになったけど、僕はそれを痛いとも感じなかったし、圧迫感だけあって寧ろそれさえも心地よいと感じたんだ。
「中でも気持ち良く感じちゃうんだね、歩くんは」
「ひっ、あーっ……らめっ……はっああぁんっ! いぃっ……うぁっあっ、あぁーっ!」
 まだ動かしてもいないのに僕が腰を動かしてしまったのか、中が擦れて僕は乳首を弄られることよりもこっちの方が好きな快感であることを知った。
「あはぁっはぁっああん……あああん……、あはぁっ、ああんっ……」
 男の人はそんな僕を見て腰を動かし始めた。
 そうしたらおちんちんが僕の中を出たり挿入ったりして、僕はそれで気持ち良くなってしまった。
「いいっ……、あつくて、硬いおちんぽ、んぁっ……きもちぃ……あっ、あぁんっ!」
「歩くんは、アナルにおちんぽ挿れられておま○こを擦られたら気持ち良くなっちゃう淫乱だったんだねえ」
 男の人がそう言って激しく腰を振り始めた。
「あーっ、あぁっあっあっあんっ、らめぇっ……ごりごりしちゃっ……はぁっ、いぁあんっ」
「喘ぎ声も止まらないし、淫乱小○生たまらないなっ!」
「あっ、ひっふぁっ、い゛ぃっ……あっぁんっあふぅっ」
 僕は男の人とセックスをしているのだと気付いたのはここの辺りだった。
 男の人同士がセックスをする時は、お尻の穴、つまりアナルを使うことは知識として持ってた。
 友達がホモの人はそうするんだよって笑って話していたのを思いだした。
 僕はホモの男の人にセックスを強制させられている。つまり強姦されているのだと気付いたんだ。
「ひゃああっ! らめぇっ……あっあんっ、あんっそこっ……んっ」
 僕はそれが分かっても抵抗をしきれなかった。
 だって気持ちが良かったから。
 オナニーをするよりもずっと犯されることの方が気持ち良くて、射精もできて絶頂もずっと気持ちがいい。
 僕さえ我慢すれば、この気持ちよさは続くんだろうと思ったら逃げることなんて考えられなかった。
「あっ、ちくびいいっ……ひあっあっあんもうらめいっちゃっう……ああん、やらぁっんっ」
「イッていいよっていうか、イキッぱなしでしょ。精液どころか、潮も吹いてるでしょ?」
 そう言われてしまった。
 僕のおちんちんは精液を射精するだけではなくて、透明な液体を突き上げられるたびに漏らしているほど。これが潮吹きなのかと始めて知った。
「ああぁんっ! んゃあぁっ、あっやあっ、あんっ、あぁっ」
「ああ、堪らないよ、歩くん。もっともっと沢山しようね。今日は水曜日でしょ。あと二時間くらい平気だよね?」
 男の人はそう言った。
 今は二時くらいだろうか。家に帰ってもお母さんもいないし、お父さんはもっとお遅い時間になる。
 家に帰っても暇で、一人でゲームをするしかない。
 でも僕はそこまでゲームに夢中になれなくて、暇で勉強をするくらいだ。
 でもこのままあと二時間もこうやって気持ち良くなれるのかと思ったら僕はちょっと期待をしていた。
「あぁっひっぃいっ……あっあぁんっ、あっひあっらって、ぁっ……ああぁあっ、ふあっぁっ! あんっ! あんっ!」
「ああ、声が大きくなったね、もっと声を出していいんだよ。もっとこうして欲しいんだね、いいよ、歩くん」
「いっちゃっ……あっあっ、いっちゃうっ……デカいおちんぽで、んっはぁっ、おま○こ、ごりごり犯されてっ……あっあんっ……いっちゃ、でるっ……あっあんっ! あぁああっ!」
 僕は教え込まれた通りに叫んで絶頂をした。そしてまた絶頂感が押し寄せてきて僕は二度連続で絶頂をしていた。
「あああぁんっ! らめっあっあぁあっ、やああっいくっいくっ……あああぁーっ……!」
 そんな僕を男の人は愛おしそうに抱き締めて言った。
「もっと気持ち良くなりたいでしょ? そのラムネを飲んだらまたおいで。いつでも入ってきていいよ。そうしたらこうやってあげるね」
 それから僕は二時間、ずっと男の人のおちんぽを受け入れ続けた。
 最後には自分でもどうなっているのか分からなかったけど、とにかく気持ちが良かった。
 その日、家に帰っても誰も帰っていなかったので親にもバレなかった。
 僕のポケットにはラムネが入っていて、僕はそれを机の鍵が掛かる引き出しにしまった。


 それから水曜日と土曜日。日曜日に用事がない時は、僕はそのラムネを持ってあの道を通って門を潜る。
 すると男の人が玄関先で待っていて僕を招き入れてくれる。
 僕はそこで男の人に犯され続ける。
 望めば男の人はいつでも僕を犯してくれて、満足させてくれる。
 僕は高校を卒業するまでそこに通った。
 男の人はどんな仕事をしているのか知らないけれど、いつでもそこにいたと思う。
 僕は大学でその町を離れてからは二度とその家に通っていない。
 数年後にはそこで男の人が亡くなったらしいと新聞に小さな記事が出ていた。
 裏庭には行方不明になっていた子供の遺体が埋まっていたという事件に発展したけれど、その時は大きなテロの事件が起きていたから、取り扱いも小さな記事で終わった。
 恐らく、僕があの時逆らっていたら、あの男の人に殺されてあの庭に埋まっていたのかもしれない。
 僕が受け入れて通って、ずっと男の人のことを誰にも言わなかったから僕は今でも生きているのかもしれない。
 あの男の人がどういうつもりだったのかは今でも分からないし、これからも分からない。
 でも僕は無知だったからこそ助かったのかもしれない。
 今はそう思う。

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