Dawn of darkness
7
深月の生活に変化が訪れたのに気付いたのは、大学の友人である小岩井だった。
「なんか、凄く落ち着いたね、安室」
「え、そう?」
「うん、なんか前は不安定だった気がした。不安そうで、怯えていて。でもここのところなんか開き直ってて、とてもしっかりしてるように見える」
そう小岩井に言われて深月はそういう感想になるのかと思った。
「そうだね、いろいろ落ち着いたからかもね」
「大変だったもんな。家の悪戯だっけ、あれもなくなったんだろ?」
「そう、あれもピタリと止んだよ。マンションの出入りを大家さんが気をつけてくれてのと警察が見回りをよくしてくれていたからね。向こうもさすがに捕まりたくなかったんじゃないかな?」
「だよな。小心者だったんだろうね」
小岩井は大学内では深月と連んでくれているが、普段は全く接点が無い人だ。
深月の日常にはそこまで興味もなく、プライベートででかけるなんてこともしない。小岩井自体が色々と忙しいらしいので、深月なんかに構っている暇もない日常を送っているからかもしれないが、深月にとっても小岩井にとってもプライベートに干渉をしない相手というのが都合がよくてよく一緒にいる。
講義はほぼ同じものをとっていたし、食事も一緒に取る程度、大学の講義が終わったらはいさよならで一切の干渉をしない。
だから深月はこっちのことを話さないし、小岩井も自分のことは話さない方だった。
深月はそんな中、何とか大学生活中にこの出来事を解決したくて犯人が分からないものかと試行錯誤をした。
まずは暗視カメラを買い、本棚などに仕掛けたりして犯人の動向を探った。
やはり犯人は二人の男だった。
玄関から入ってきた時に既にマスクをしているので犯人の顔は分からなかったが、一人の男の後ろから見た首筋に一つの黒子があるのに気付いた。
こんな些細なことでいいからと深月はもう一人の男の特徴も探った。
そこから一ヶ月間溜めた動画などから男の癖が分かるようになった。
一人はやたらを首筋を掻く癖があり、もう一人は頭を掻く癖があるようだった。
もちろん覆面をしているので髪が圧迫で痒くなっているから掻いているかもしれないが、それでもこの仕草を何処かで見たことがあった気がしたのだ。
「どこで見たんだろう……何処で」
思い出そうとしてもそう知り合いもいないのに、深月の周りの人間に合わせて見ても分からなかった。
というのも、深月は人と関わりたくないあまりに相手に興味がなさ過ぎて、相手のことを些細な癖なんか覚えてもいなかったのだ。
そして彼らに好き勝手され続けてもう七ヶ月が過ぎた。
季節も冬に突入していた。
深月はそれを境に部屋の鍵を変えて貰った。
最初からそうすれば良かったのだが、オートロック式の鍵の交換は高価で、深月がそのお金を河北弁護士に頼んで預金から引き出して貰う理由が見つからなかったからだ。
でもある日、大学で小岩井が言った。
「部屋の鍵を落としちゃってさ、夜中に緊急に鍵取っ替え。四万が飛んでったわ」
小岩井の一言で深月はそうかとやっと鍵の交換のための費用を捻出できる方法に辿り着いたのだ。
鍵を深月はそのまま不燃ゴミに出し、無くしたことと玄関に悪戯した犯人に拾われたかもしれないという恐怖を訴えてみたら、河北が大家に連絡をしてくれた。
そして大家も気にしてくれて業者に問い合わせたらドア鍵自体の総取っ替えで十万円の費用がいると言われた。
深月は払うと承諾したので河北も今回は仕方がないと費用を管理分から出してくれて鍵は新しくなった。
そのお陰で男たちがやってくるあの週末は治まった。
鍵が無ければ中に入れないし、深月が鍵を常に気をつけて持っているお陰でコピーもされなかった。
もちろん家に入る時は尚更気をつけた。一番気をつけたのはそこで、そこさえ守り切れば何とかなった。
家を出るときは裕嗣が家を出てエレベーターに乗った辺りで部屋を出たくらいのタイミングで家を出るようにして誰かが近くにいる時間を選んだほどだ。
完全に気をつけていたら、隙がなくなったのか、それとも相手もこれ以上の深追いは不味いと判断したのか、被害はなくなった。
大学も四回生に上がると忙しくなったけれど、それでも深月は警戒を強くした。家の防犯装置も新しくした。それも河北に頼んだら当然だろうと費用を出してくれた。
深月がここまで必死に自分を守ろうとしているからか、河北には褒められたほどだ。
「防犯意識が高まってくれて嬉しいよ」
前から警備会社と契約したかったのだと河北が思っていたそうで、提案してもそこまでするほどではないと深月が言うので諦めていたらしい。
結局、深月の部屋にはそれ以降誰も侵入することはなく落ち着いた。
これでもうあんな事件も起こらないと深月は安堵していた。
けれど、あの快楽になれてしまった深月の体がそうはいかなくなってしまったのである。
「あっ……ぁはあっ……!ああぅ……」
深月は自分で自分の体の熱さを宥めるしかなくなった。
あの男たちに襲われていた期間が長すぎたせいか、深月は自分の強すぎる熱を持て余して自慰をするしかなかった。
そしてそれでも体の熱さは止まらず、深月はどうしていいのか分からなかった。
「んっ……、んふ……あぁ……っ!」
一人で慰めてやっと抜いても、その快楽はあの時には足りない。
もっともっと欲しいと思うくらいに深月は性欲に溺れていたようだった。
「あぅっ……あぁ……!あ、あ……ああ、どうして……これじゃ……たりない」
必死に体を宥めても次の熱がまた生まれ、深月は射精をしても簡単には治まらなかった。
「ああっ……あぁー……!」
必死に何度も抜いてやっと治まる熱は次第に強くなり、深月はただただどうしようもない性欲を持て余すようになってしまった。
そんな時だった。
隣の部屋に住んでいる棚橋裕嗣が久しぶりに話しかけてきたのだ。
「やあ、深月くん。久しぶり」
「ああ、どうもです」
裕嗣と直接話すのはあの夕飯のことを断ってから既に一年が過ぎていた。
警戒はしたかったが、裕嗣も深月が嫌がっていることや深入りをされたくないと警戒しているのは読めたようでふっと息を吐いて言った。
「そんなに警戒しなくても大丈夫ですよ。もう誘いませんから」
「……そうですか。それで何か?」
そう深月が返すと裕嗣は懐から封筒を取り出した。
「そうそう、これうちに入ってたんですけど、深月さん宛てだったので誤配送っぽいです。郵便受けに入れておこうと思ったんですけど、なんか色々誤解されていそうなので直接話をしたくて待ってました。わざわざ俺と時間が被らないようにズラしているでしょ?」
そう裕嗣に言われたので深月は頷いた。
「他人は信用していない」
深月がそうはっきりと告げると裕嗣はふっとまた息を吐いた。
「分かりました。信用するしないではなくて、信用する気はないってことですよね。分かりました」
深月は信用していないのではなく、他人を最初から信用しないのだ。
だから裕嗣がどれだけ誠意を見せても深月は絶対に裕嗣を信用することは無いのだ。それが分かって裕嗣は納得したようだった。
「それだけなら、失礼します」
深月がそう言い話を終わらせようとしたが、裕嗣が言った。
「最近はないみたいですけど、ちょっと前に深月くん、男連れ込んでたでしょ? 夜中から朝まで結構騒いでて迷惑していたんですよね。防音でもある程度の許容を越えれば、隣にも聞こえるんですよ」
そう言われ、深月は愕然とした。
まさか声が漏れているとは思わなかったし、そこまで大きな声を出していたとも思ってなかったのだ。他人に気付かれるはずもないと高を括っていただけに、漏れていたと言われたら何も反論はできなかった。
背筋に汗が流れ、深月は裕嗣に背を向けたままで立ち止まってしまった。
「随分いい声で啼いてましたよね? 結局、変態の男にいいようにされてたんですか? それとも自分でドアを開けたんですか?」
裕嗣にそう言われてさすがの深月も裕嗣に殴りかかった。
だがその拳は裕嗣には簡単に避けられて逆に腕を押さえつけられた。
マンションのオートロックの中なので邪魔をする人はいなかったけれど、そのままエレベーターに押し込められた。
「……くっ」
「本当に見た目通りに弱いんですね。どうせなら護身術習うとかすればよかったのにね。もうね、毎週あんな声ばっか聞かされて、こっちは抜くのに精一杯でさ。それを知らない振りするしかないわけ。それってどういうことか分かる?」
そう言われてエレベーターで壁に押しつけられた深月は、裕嗣の勃起した股間をお尻に押しつけられた。
その途端だった。
深月の中の不快感が一気に欲情に変わったのだ。
「……や、やめろ!」
怖くなり深月がそう言うけれど、裕嗣はそのままエレベーターを最上階まで進め、部屋の階で降り、深月を押さえつけたままエレベーターを降りた。
エレベーターを降りてしまったらもう上がってくるのは同じ階に住んでいる崎原しかいなくなる。
「放してっ!」
深月は自分の体が少し欲情しかけているのに気付かれたくなくて必死に離れようとしたが、裕嗣はそのことにすぐに気付いたようだった。
「さすが淫乱なだけのことはある……もうペニスが反応してんじゃん」
そう耳元で言われ、さらには半分反応しているペニスを手で握られたら言い逃れはできなかった。
嘘だ嘘だと思いたいが、慣れたからだがその感触を欲しがっている。
「ちがう……違うっ!!」
「そうは言っても、こっちもきっと待ちわびてるだろ?」
そう言われてパンツを下着ごと脱がされた。
まだエレベーター前で誰かが上がってきたら見つかるし、大声を出せば外に聞こえるようなところだ。それでも裕嗣は気にした様子もなく、深月のアナルに指を入れてきた。
「うはっ……ああっ……!!」
「ほら指さえ簡単に飲み込んでる。あの男たちに犯して貰えなくなって自分で弄ってるんだろ? 簡単に飲み込んでしまったよ」
深月のアナルに指を突き入れて中を抉りながら裕嗣が言った。
「いや、ちがう……やだっ!!」
「ならもっと分かりやすい物を入れてやるよ!!」
指で何回か奥まで広げてきた指が出ていって、もっと圧迫感のある裕嗣のペニスが深月の中に挿入り込んできた。
「はぁ、ああ、んっ……あっ、んんんうぅっ……!」
裕嗣のペニスが奥まで一気に挿入り込んできたとたん、深月はその圧迫感に体が歓喜しているのを知った。
「あぁっ、やぁ、あ……っ!んんっ……んう――……っ」
口から喘ぎが漏れ、完全に裕嗣のペニスを受け入れている。
「あああ……たまんねえ……ずっと中に入りたかったんだよ……やべえわ深月くん、マジヤバイ」
「あっ……あっ……っ、あぁあああんっ!」
「こんなのそりゃ毎週犯しに来るわけよ……こんな名器、ずっとちんぽを挿れてたいわ」
そう言いながら裕嗣は腰を振り始め、深月はそれに抵抗ができなかった。
たった一ヶ月、あの男たちから自由になれたはずの体はそんな自由を求めてなどいなかった。こうやって無理矢理体を開かれて歓喜に震えて深月は絶頂をしていた。
「やっ! あっ、ああんっな、はあんっは……っ、はぁ……っ、あん、ああぁ、んあぁ」
「ほら、しっかり挿入り込んでる……やべえわ、このま○こ……」
「あ! ああん、……あっ、あぁん……っああっ! あふ、ぅ……っ」
ほぼ外であるマンションの五階廊下で深月は壁に押しつけられて裕嗣に犯される。
深月は中にある圧迫感がすぐに快楽になっていくのを感じた。
「んあぅ……! んああんっああっ……んぁ、ぁふっ……ん、やらっ……! ぁ、や、やめ、あんっ!」
必死に抵抗しようと頭で考えるのに、体は受ける快楽に抵抗をしようとしない。
「あっ……ぁ、や、やら……はあっ、ああんっ……あ、ゃん、やぁ……っ! ぁん、ぁ、ん、あぅ……っ」
「さすが、もう馴染んで来やがる……とにかくここで一発出しておくしか動けねえな」
「あぁっ、ああ、ひぁ、ひぃっ……! あぁ、あんっあんっ!」
「中出ししてやるよ……!」
「いやだ、やめて、せいえき出さないでっ……いやあっ、おま○こにせいえき出さないでぇえ……!」
そんなことをされたらまたあの夜を思い出してしまう。
きっと中出しをされたらもう逆らえなくなってしまう。
しかしその僅かな抵抗も裕嗣が押さえつけて深月の中で精液を中出しした。
「……っ!!」
「あぁ、ぁ、や、や、だ、だめ……だめ……っ あぁああ……っ! ああああぁ……っあぁあ……っゃ、ゃだ、やだ……でてる……っ」
たっぷりと中で精液を出された深月はもうそこからは裕嗣に抵抗ができなかった。
体が喜んでいる。匂いと熱と快楽に体がもう抵抗すら許さなかった。
それから深月は裕嗣の部屋に連れ込まれた。
間取りは同じであるから、同じベッドルームに連れ込まれて問答無用でまたアナルにペニスを突き入れられた。
「ああぁ、あ、ぁあ……っひ、ぁ、ぁあうっふ、ふひ……っんっぁ、あーっあ、あっ、あっあっ……ぁあっ!」
「ああ、ずっと突っ込みたかったから、念願叶って嬉しいよ深月くん。さっさと犯してやればよかったよ。これだけいいんだから皆、犯したくもなるよね」
裕嗣はそう言い、深月の中を抉るように腰を振り始める。
その乱暴さは余裕があった男たちとは違い、性急でそして強引だった。
「ひ、あ、あ、あっ……っひっあっぁあっぁひぃっあっ……もっやぁっあっひぁあっ」
中出しをされて抵抗できないうちに深月はどんどん快楽に堕ちていく自分に気付いた。
「やぁあっ……やっ! あっあっあぁうっひぁっぁあん!」
「深月くん、マジ最高……たまんねえわ。完全に突っ込まれる専用ま○こだわ」
「あぁあうっ……っあー! あっあひぃっひっあっあっ……あ――っ!!」
「もう一回出しておくわ。滑り良くなるし、まだまだ時間はたっぷりあるし?」
「あああんっ!! あっ、ひぁっ、んぁっはぁんっ!!」
裕嗣はそう言うと深月の中に精液をもう一回中出しをしたが、ペニスは萎えなかったのでそのまま腰を振り続けている。
「ああああーっ! やらぁっ、らめっ、はっふぅっ……あっ、ああぁっ」
「抵抗も無駄無駄。絶対、気持ちよくなってるだろ? ほらもうおちんぽから精液垂れ流してるじゃん。絶頂してんでしょ?」
「ひぃっああああぁー! やっあぁっ、あんっ、ふぁっ、ん……はあんっ!」
奥まで突き上げられて深月は裕嗣の言う通りに絶頂をしていた。
堪らなく感じて深月は嬌声を上げ続け、逃げる素振りすらしなかった。
「あああっ、やらぁっ、ああっ、あっ、ひぁんっああああっ、あぁっ、あんっ、ひぃあっ! あっ、ああああーっ!」
四つん這いにされて後ろから強引に突き上げられて深月は快楽に酔った。
裕嗣は深月の快楽を感じる場所を抉る様に突き上げてきて、深月はすでに三度も達していた。
「あぁっ……そ、そんな、あんっあっ、あっ、はぁんっ……ひゃっ、あぁっああっ……あひぃっ! あっあんっ……ぁんっ、はぁっ……ああんっ」
「おらおらもっとだ。深月くん、マジで最高!!」
「あはぁっ……あああ、あっ……あぁん……、やらぁ……は、ぁ……ああんぁ……あぁっあぁっ、やぁああんっ!」
「中、ヌルヌルしてるくせに締め付けてくるし……腰止まらねえよ」
「あっ、やらぁっ……んっ、あっふぅっやっ……、そこは、やらぁ、んっ、はぁっ……」
「ここがいいんだろう? あはははあははは、やっぱりここじゃん!」
「あぁんっ! あっ……はぁっ、はぁっ……あぁぅっ! やっ、あんっあんっあぁんっ」
言われた通りにいいところを擦り上げられて深月はまたドライオーガズムで絶頂をしていた。
休まることが無い性急な行為は一時間ほど続いても止まることはなかった。
「やぁあっ、あっふぅっ、あっあっ……ああーっ! やっらぁっ! あっはぁっ……んぁっ……はぁっはぁっ……あっぁあっ、んっひゃぁっ……」
それでもさすがに入り口で揉めていたことが大家にバレたのか、裕嗣の部屋のチャイムが何度も鳴らされている。
それは最後はドアを叩く音に変わり、さすがに裕嗣も外の人間にバレたことを悟ったようだった。
「ち、もうバレてんのかよ……深月くん、よっぽど大家に気に入られてんだな……そうかなるほどそういうことか……いいぜ、俺はこれでやれて満足だしな。まあ親父がもみ消せるから一回ぐらいの強姦はな!」
裕嗣はそう言い、深月を犯すことをやめない。
深月はその性欲に塗れ、ただ腰を動かす機械のように行為をやめない裕嗣に翻弄された。
「ああああぁーっ! あっ、あっ、あんっ、あんっぁあんっ!! ひゃああっ! あぁっ、あっあっ……はぁんっ、ぁあんっ」
打ち付けてくる力強い腰使いに、深月はただただ酔いしれた。
「ああぁっんっはぁっ……あぁっあんっはげしっ……あっああっあっあんっあんっあひっあっやっああっ」
気持ちがいいからもうどうでもいいとさえ思うくらいに、深月の体はこれまでの男たちの行動で作り替えられていた。
それを裕嗣によって強引にされたことで、深月は気付いてしまった。
「らめっおま○こはやめっ……あっあひっい゛っあっあんっらめっやらっ……あっあんあんああっ」
もっと欲しいのに抵抗を見せる。上辺だけの抵抗をしながらも貪欲に快楽に堕ちていく自分を深月はやっと受け入れることができた。
これまで抵抗していた自分の無意味さを悟った。
「ああんっひっああっいっちゃうっ……あぁっいいっひっああんっ!」
「イケよっ!!」
「いくいくいくっあっああぁあっあひっあんっああーっ」
深月が裕嗣によって十度目の絶頂を与えられたと同時に、裕嗣の部屋のドアが警察によって壊されて裕嗣は逮捕され、深月は被害者として救出された。
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