slavery
04
あの怪我をした日から二日して板倉と酒井は出て行った。
住むところは彰良が世話を頼んでいた不動産屋がいい物件を用意してくれて、そこが防音も効いている部屋だったので二人はすぐにそこを選んだらしい。
そして荷物もあっという間に彰良の指示で引っ越し業者に頼み運び出してしまった。
維稚はその二日、怪我をしたところからばい菌でも入ったのか、少し発熱をしてしまい、結局病院に行った。
破片からばい菌が入っていたようで、それで熱が出ていることが分かり、クスリを貰ってそれを飲んで大人しく寝ていた。
その間に二人は出て言ってしまったので結局、謝罪も別れも言わないままで終わった。
維稚は彰良があっさりと彼らを追い出すとは思ってもいなかったので首を傾げた。
てっきり利用価値があり彰良が手元に置きたいのかと思っていたが本人曰く違うらしい。
「済し崩しで部屋を貸しただけで、いつまでも出て行くようじゃないから、そろそろ出て行って欲しいと思って部屋を見繕っていたところだった」
彰良がそう言い、引っ越せと言っても引っ越す気がない彼らが家を探すことはないので、彰良が探して幾つか候補を見せて引っ越して貰う予定だったのだという。
「板倉がお前のこと構いたがっていたし、酒井もお前のことになると口出ししてくるから、そろそろ邪魔だなと思っていたところだった」
なので維稚に怪我をさせたことで結果的に追い出しやすくなったのだという。
「そうなんだ……」
維稚はそう答えた後、結局四日間ベッドで過ごした。
五日目には起き上がり、一人で食事が出来るようになった。
彰良は維稚が寝ている間は家にいてくれたが、維稚が起きてくるとまた何処かに出かけてしまっている。
何でも会社を立ち上げたのだ。
いわゆるネット配信者を管理とマネージメントをする会社だそうだ。
そのことで暫く忙しかったようだったし、そこには板倉や酒井は入る予定だったが、彰良に追い出されたことでその話自体がなくなったらしい。
大きな会社になる予定で、有名配信者も集まっていて、界隈ではお祭り騒ぎらしい。
これは彰良の道楽の仕事で本気でやる仕事ではないらしいのだが、維稚にはその違いは分からない。
ネットで人の配信は見ないし、動画も見ないで暮らしてきた維稚にとって、テレビ画面でネットの映画が見られること自体にまだ慣れてはいなかった。
けれど、一人でいると暇なのでそうしたものに触れ始めたら、結構面白くて映画とドラマは楽しめた。
ただ悲惨な目に遭っている人が出てくると、自分と比べてしまうのが治らなくて、維稚はそのたびに自分の方が選択肢がないなと思うことが多々あることに気付いた。
前は逃げようもあったけれど、今は弟という存在が維稚をここに縛り付けているのだ。
しかし逃げたところで維稚が一人で生きていけるかと言うと、これがなかなか難しいことだということをネットの検索で調べて知った。
衣食住がしっかりと保証されている以上、逃げる必要はないという結果に辿り着く。
というのも逃げる人は二通りである。
衣食住がないから逃げて新しくやり直す、そして身分を簡単に捨てられる人くらいだ。
維稚は衣食住には問題はなかったし、身分を簡単に捨てて生きていく方法が分からなかった。
いわゆるそういう人たちが集まっている街に潜り込むしか方法がなかったけれど、維稚がそこで搾取されずに生きていけるかと問われたら、三日で川に浮いてそうという結論に達した。
力仕事では生きていけないくらいに体が小さかったから、工事現場には潜り込めなかったし、そうした日雇いの仕事で生きていくにはバイタリティーもなかった。
悪い意味で維稚は彰良に甘やかされて生きてきたせいで、彰良の側以外が逃げたいほど快適かと考えたら彰良の側にいるほうが結局マシだと思えるのだ。
色々とシミュレーションしてみてもちゃんと生活が出来る気がしなかった。
かといって行政に行くのもきっと彰良が手を回していそうで、保証も受けられそうにもなかった。それに彰良の父親が後継人になっている以上、そこで潰されてしまうだろう。
逃げ道はないと分かった以上、彰良に従うしか維稚には道がなかった。
ならばその中で維稚は快適に過ごす方を目指すことにした。
彰良がいつか維稚に飽きて捨てたとしても彰良の父親が後継人である以上、放り出されて無一文になることはなさそうだった。
彰良の父親とは一度ちゃんと後継人のことで話したことがあるが、彰良が飽きて別れたとしても、後継人である事実はずっと続くのだそうだ。
維稚が未成年だからではなく、社会的に問題がある暮らしをしていたという虐待から助け出された者として見守るのが後継人の役割なのだそうだ。
「君には今までもこれからも彰良のことで苦労を掛ける。もし彰良が君を手放すというなら、こちらもそれなりの礼をしよう。もちろん私が死んでも、それが実行されるように遺言書には書いてある」
そう彰良の父親には言われていて、維稚はこれ以上抗っても無駄なのだと思い知ったばかりだった。
彰良はとにかく維稚の逃げ道は全て塞いでくる勢いだった。
大学生になってその執着が終わったのかと思ったが、それは一層強くなった気がするのだ。
維稚にとって彰良への執着はないのだが、彰良は何か思うところがあって維稚を手放そうとしたようなのだ。それがあの浅見の事件に繋がってしまったせいで、離れること自体が間違いだと思ったようなのだ。
だから維稚を側に置いて、常に見張れる距離に置いたとたん、彰良はとたんに落ち着きを取り戻したようだった。
板倉の時も怒りにまかせた行動はしなかった。
あれが高校時代だったなら、怒りにまかせて相手を殴っていただろう。
そうなれば簡単に話は終わらなかったはずだ。
板倉は彰良に憧れているところがあったし、酒井も同じだ。その人から出て行けと言われて、選んだのは維稚と言われて、納得できるわけもないだろう。
でも彼らは彰良が怒っていないうちに、家を出て行った。
本格に怒らせたらきっと彼らは詰んでいたのかもしれない。
機材も何もかも彰良に貢いで貰っている状態で彰良の意向に逆らったら、機材も場所も住むところも全部なくすのだ。
それによって被る被害額は普通の人が考えるより大きいのだろう。
毎日新しい人がインフルエンサーを目指している中で、何か一つでもしくじったらそこでその隙に誰かが入り込んでくるだけのことなのだ。
彼らはそこを取って、彰良の意向に従った。
それは賢いことだっただろう。
結果、彰良は彼らを手放す上に機材も全部渡してしまった。
そして新しく立ち上げる会社の中にも入れられなかったようだ。
「俺と暮らしていることが一応のステータスみたいなところがあったからな。その俺と離れたってことで価値がちょっと下がってるらしい」
彰良が言うには家を出たことで彼らが見限られたのではないかと噂が立っているらしい。実際その通りで、彰良は彼らに今後関わることは一切しないのだという。
「俺が用意した編集者とかそういう人材はくれてやってないから。あいつらは自分たちで雇うしかないし、それで視聴者が編集が変わったことで拒否反応を示しているようだ。こればかりはうちの会社の編集スタッフが有能だってことだけだな」
どうやら機材をくれてはやったが、それを操るスタッフまでは同行を許さなかった。
それは彰良が育てた人材でこれから会社で色んな配信者の編集をするスタッフだからだ。
彼らもそこを甘く見ていたらしいが、一気に三百万人の大台を前に足踏みどころか一気に解除の流れになっているのだという。
その隙間に彰良が立ち上げた会社所属の配信者が入り込む形になって、視聴者を奪っているようだった。
「何でも大変なんだな」
維稚はそんな感想しか持たなかったけれど、これでは彰良が恨まれるのではないかと少しだけ思った。
けれど彰良はそれを気にした様子もなく、平然としている。
維稚と彰良の暮らしは静かなものだった。
彰良は四六時中盛ることはなく、維稚を困らせはしなかった。
ただ休みの日には維稚を求めることが多かったので、勉強と仕事の両立でたまった鬱憤を吐き出しているだけのようだった。
「あっあんっあんっ、もうっ、らめっおま○こっ、ぐりぐりされてぇっ、きもちいいっああんっ」
「維稚、もっと腰を振れ」
彰良は強引に維稚を開き、そして中へと押し入り、強く腰を打ち付けてくる。
その力強さは年々増していて、維稚は体格差から余計に力では彰良に適うことはなくなってしまった。
男らしい男に成長をした彰良は、体格も大きく育っていたし、少年から青年へと一気に成長をした。
周りからはかっこいいと言われる男になっていたが、維稚にはその基準が分からなかった。
「あぁーっ、いくっ、おちんぽでいくっ! あああんっ、いっちゃうよぉっ! あっはぁあんっ! ああ、いっちゃうっああんあんあんっ!」
グイグイと奥に入るペニスを受け止めるだけで維稚は溜まらなく感じた。
自ら腰を振ってもっとと彰良を誘惑しているように淫らになれる。
「はぁ……あん、んあっ、やぁああんっあぁっ、あんっ……らめぇっ、そこやぁっ……あっ、ああぁっ!」
「もっとだ、維稚……」
彰良は一層激しく腰を振り、維稚が絶頂をしても奥を攻め上げてくる。
「やっ、あぁっ……ああっ、ああんっ! んっあぅっ……あぁっあぁっ、らめっ、んんっ! あっ……あぁっあっ……お、おちんぽっで、あっやっ、あはぁんっ……」
「お前の中は本当にたまらない……出しても出しても止まらない……」
「あああぁ、あぁ、ん……あひぃっ、ああーっあぁんっ……、あぁ、ああっあぁんっ! ぁっ、らめぇ……あぁんっあああぁーっ!」
「感じまくりだな、維稚……いいぞ、俺も気持ちがいい……もっと気持ち良くなれ」
「あぁああんっ、もっやらぁっ、いっちゃう、おちんぽっやらっいくっやらっあああんっあああんっあああんっ!」
「イケっ」
「あぁんっ、あんっ、あんんあんっんっ、あぁっ、あぁん……きもち、い……おちんぽ、いいっあひんっ」
激しく体を震わせて維稚が絶頂するのに合わせて彰良は中に精液をぶちまける。
それで維稚は感じて、また絶頂をするも彰良のペニスが堅さを失わないままである。
「あぁあっ……あぁっ、おっきいっおちんぽがぁっ……おま○こ、ごりごり擦ってっはあぁっ……んっあぅっ、きもちっ、いいっ……!」
絶頂して気持ち良くなっているままでさらに奥を抉じ開けられてしまっては、維稚は常時絶頂しっぱなしという状態になってしまった。
「あぁっ! あっあっあひぃっ……おちんぽっすごっあんっはぁっあぁんっ」
「くっ……絞りとってくる……」
「あぁあっ……あっぁん……あぁあっあんっいぃっ……もっおちんぽっらめぇえはぁああっ……」
彰良はさらに力強く腰を振り、結腸まで抉じ開けるように腰を突き挿れてくる。
その動きに維稚は感じまくり、ドライで絶頂をしている。
「あぁっあぁっ……やらぁあっ、もっ、おま○こらめぇっあん、おちんぽっああんっあんっぁあああぁんっ」
彰良は維稚の中に何度も射精をしては精液を吐き出し、普段触れないからか、維稚を執拗に抱いた。
彰良の休みの日はこうやって維稚は抱き尽くされてしまい、何もできないようにされる。
「あぁんっ……いぃっ、あっ、らめっ、おちんぽっあっ、あっあっあっ……ふぁっ、ひぅっ、あんっああぁっあひぃっ、あんっ、あんっ!」
「維稚……もっとだもっと足りない……維稚、もっと」
「ああっ、あ゛っおちんぽ、らめっあぁっ……あ゛っあっあっああっあぁああっ……あっあっあんっ、あんっあんっあんっあ゛ああっ、あっあぁあんっ」
彰良の精液を受け止めて、維稚は体を震わせて絶頂をした。
その痙攣する体を押さえ込んで、彰良は最後まで精液を奥に出し続ける。
それがやっと抜けてしまうと、維稚のアナルから彰良が今まで出した精液がゴボリと溢れてこぼれ落ちた。
その姿にさえ、彰良は淫らな気持ちになり、維稚を再度犯すのだ。
もうそこには野生の獣のように交わることだけしか考えていない二人しか存在はしていなかった。
愛しているとか、好きだとか、そういう気持ちは要らなかった。
ただこの行為が二人を繋ぐ、唯一の存在を掴める瞬間でもあった。
維稚は一生彰良に逆らわない。
そのために彰良は維稚の環境を整えてやる。
そうすることで維稚は彰良の好きにできるように何でも応じた。
愛がなくても生きてはいける。
維稚にとって彰良という存在はそういう何でもない存在。
心はとっくに壊れている、そこに思いは存在しなかったのだった。
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