彼方より
007
カザの街で家を借りると押しかけられる
地図を見ると商業者組合は少し離れた所にあるようで俺は駆け足で街を駆け抜けた。
商業者組合も派手な色をしていて、青と赤の建物だ。
派手で遠目からも分かるようにしてあるらしいから、助かる。
そのまま中に入ると、冒険者組合と同じように受付カウンターが並んでいて、奥には沢山の組合員がいる。
しかしすぐに対応ができているのか待合に人はいなかった。
俺が受付前でキョロキョロしていると一人の案内役の組合員が話しかけてきてくれた。
「何かお困りですか?」
「あの、家を借りたいのですが」
「はい、畏まりました。こちらにどうぞ」
そう言われて不動産関係の受付に案内された。
そこは個室になっていてドアまで付いていた。
「こんにちは、賃貸の家をお探しですか?」
「はい、とりあえず賃貸でお願いします。一人で暮らすのにちょうどいいくらいの家って幾らくらいしますか?」
そう俺が尋ねた。
家賃相場か分からない。
なので一人暮らし用の部屋などを見せて貰ったら、一月金貨三枚からあるようだった。
けれどアパートらしい家は何だか味気ない。
「小さな一軒家とかありますか?」
金貨三枚なら、金貨五枚くらい出して一軒家を借りた方がいいかもしれない。
そう思って尋ねてみたら幾つか候補を出してくれた。
「そうですね、金貨五枚からになります。部屋が少なめでしたら金貨四枚でもございますね」
そう言われて間取りを見せて貰って、そのうちの値段と部屋の様子がよさそうな三つを選んでそこを内見させて貰うことにした。
見ないことには選べないからな。
小さな家はそれなりによかった。
金貨四枚の家はちょっとぼろかったので水洗トイレがなかったのが痛手だったので諦めた。
金貨五枚の一軒目は、かなり立地も良かった。
温泉施設が近くにあるので露店や屋台も近くに沢山あった。
部屋は居間が十畳に台所が四畳くらい、それから寝室が十畳、風呂とトイレも付いていて洗濯ができる装置もついていた。ただちょっと高台にあって坂道が急である。登り降りが大変かもしれない。
「魔石を買ってくれば全ての装置は使えますよ」
ということなので俺は断然この家に心が傾いていた。
金貨五枚の二軒目は静かな海の見える家。
居間が十二畳、台所が四畳、寝室は十二畳、風呂トイレも付いて洗濯装置もついていた。ただちょっと街から遠い。
周りに大きな家が建ち並んでいるので貴族とか住んでいそうだなと思うとちょっとここはパスかな。
海の見える景色はいいのだけど、街から遠いと泥棒とか怖いし。
てなわけで、金貨五枚の一軒目を借りることにした。
期間は冬が終わって春になった一ヶ月先までで四ヶ月分。
なので金貨二十枚の家賃だったのだけど、先払いをすると言ったら何故か魔石を安く譲って貰えた。
「先払いだと夜逃げされても困りませんから」
ということらしい。
夜逃げする人いるんだね……。
そういうわけで、四ヶ月分の魔石、一月で小さな欠片で五ヶ月持つらしく、一個銀貨五枚にしてもらった。
普通は金貨一枚は取るらしいんだけど、俺の金払いが良かったのと先払いなので信用してくれたらしい。
台所や水洗という水を使う時は家の水道装置に魔石を二個設置するんだそうで、そうなると家中の水道が使えるようになるんだとか。
それから風呂は近くの温泉を引き込んでいるらしくて、その汲み上げ用に魔石一個。
自宅で温泉とか予想外によいじゃん。
そして台所で火を使うので魔石一個。
家の明かりに魔石二個。これで家中の明かりが賄われるらしい。
魔石便利過ぎる。
魔石が金貨三枚。合計金貨二十三枚を商業者組合に戻って払った。
「ありがとうございます。こちらが家の鍵になります。家に入りましたら冒険者証明書を扉に翳してください。そうすることで登録が完了になりまして入ることができます」
どうやらそれでデータ管理をしているらしい。
色々便利だな冒険者証明書。
恐らく死亡した場合とかに何処に家を持っていたのか確認できるから付いている機能なのだろう。
家は借りられたけれど、貯金があるとはいえかなりのお金が飛んだ。
「節約して暮らせればいいか」
そう思いながら商業者組合を出てさっき行った家に向かう。
街は夜になっても明るくて人々が露店で買ったものを広場にある机と椅子に座って酒盛りをしている。
大きな笑い声が聞こえてきて、王都の暗い雰囲気とは真逆な世界に俺はホッとしたものだった。
露店で美味しそうな肉焼きを買い、それを頬張りながらストック用にも三つほど買った。銅貨五枚だもんなこれ。
魔法と剣の世界だと思っていたけれど、意外に魔導具の開発が進んでいて明かりも魔石で賄えるからか、街の街灯も沢山灯されている。
魔石は魔力が抜けたら魔力を込める仕事とかもあるらしくて、魔石はそうやって捨てることもない繰り返し使える資源らしい。
魔石は魔物を倒した時に出るもので、小さいものは兎系とか狼系で一個は必ず出るそうだ。
魔物ってのは世界の歪みから生まれるものらしく、森や山などにその歪みが発生するので森や山は魔物がいるのが普通のことだそうで、深い森には強い魔物が住んでいる。
その大きく強い魔物は魔素と呼ばれる濃い空気を好むので森からあまり出てこないとされるが、間引きをしないと時々その魔物が森から溢れてしまうのだそうだ。
なので森の魔物が増えすぎる前に冒険者たちが魔物を狩る仕事をするわけだ。
冒険者組合はその調査や間引く間を調整して依頼を出すんだ。
もちろんその資金は国が出している。
冒険者組合としては別に出してくれないなら依頼は出さないで済むし、街が魔物で埋め尽くされても移転すればいいだけなので、自分たちでは行動はしない。
国は冒険者組合を国に呼んで、街に住まわせて依頼を出すことで兵士や騎士などが魔物退治に追われないで済む環境を作らないといけないのだそうだ。
そうしないといざ他の国が攻めてきた時に騎士や兵士が魔物退治で手が一杯って事になるからな。
でもこのグノ王国はその資金すらケチり始めたらしい。
ヤバイな本気で。
まだ大きな森が遠くにある程度の恵まれた場所に王都レダイスがあるので王族たちはよく理解していないのかもしれない。
そういうわけで、魔物が増え始め、人々はどんどんこの国から逃げ出している。
この魔物というのは王都や首都などを目指す習性があるらしく、まるで国を滅亡させるために存在しているのではないかと思えるような行動を取るんだそうだ。
なので国としてはそれを阻止させなきゃいけないんだけど、それをグノ王国の王たちは舐めているわけだ。
そういうわけで王都の冒険者組合は暇そうだったのだ。
その代わりカザの街は王都かと思うほどの賑わいを見せていて、とても楽しそうに暮らしている住人が多い気がする。
「明日は市場とか行きたいな……」
食べ物も色んな国からくるものが揃っているらしいので、それはそれで楽しみたい。
商業者組合から歩いて十分で借りた家に辿り着いた。
近くの温泉施設が明るくて道は綺麗だったが、やはり坂道はちょっと辛かった。
でもそれを押してでも、高台の家は街を見下ろせてとてもよかった。
家に入って鍵をしっかりと掛けて、言われた通りに魔石を家中に設置、それで明かりが灯り、家が生きている気がしたくらいに魔力を帯びているのが分かった。
玄関から入って廊下を渡って扉が三つ、トイレ、風呂が左手、一つ扉が寝室。
まっすぐに向かうと扉が一つあり、そこから台所と居間の空間。
小さな家だけど、夫婦で借りるのが普通らしく、一人で住むにはちょっと大きい感じであるが、これくらいの方があの安宿よりは何十倍もいいことは明らかだ。
居間のソファに座りやっとホッとした。
窓から見える先は縁側があり、その先は庭がある。畑ができるらしく冬でもここらは暖かいので小さな野菜は育てられるらしい。
坂道の上にあるからその坂道が辛くて大体の人は借りるのを断念するので今時期でも家が空いていたのだという。
「そこは毎日頑張るしかないな」
そう思いながら今のソファでやっと一人になってホッとした。
さっき買った肉焼きを取り出してさっと食べて風呂にお湯を張って、温泉風呂を楽しんだ。
「ああ~普通のお湯とは違うな~」
俺はそう言い暖まってから風呂を出た。
服は早速洗濯機に放り込んで試してみた。
ドラム式の洗濯機であるけど、さすがに乾燥機はついていなかった。
まあ魔導具で乾燥機はあるらしいんだけど、お高いんだってさ。
洗濯機に放り込んだ洗濯物は十分ほどで脱水までできた。
汚れはよく落ちていたし、脱水がかなりよくできていたのでそのまま縁側付近の窓近くにハンガーを見つけたのでそれで干した。
テレビやネットもないので結局夜は寝るしかないので、俺は大人しく寝室に向かった。
すると玄関に誰かが来たことを知らせる着信が鳴った。
チャイムみたいに誰かが家の敷地に入ると防犯装置みたいなのが発動する。
慌てて誰かが尋ねてきたのかと玄関に向かった。
内鍵をしたままで玄関を開けてみるとそこにいたのはイヴァンだった。
「お、お前……なんで」
「やっぱりここだ」
そう言うとイヴァンは扉に空いた隙間に手を突っ込んできてそのまま扉をこじ開けたのだ。
もちろん内鍵をしているので開くわけないと思っていたけど、冒険者の力を舐めていたな。
内鍵は見事に壊れてそのまま扉が開いたのだ。
「ぎゃああああ!!」
俺は驚いて悲鳴を上げたのだが、その悲鳴は扉を閉められてしまい家の中に響いただけだった。
「ハル」
イヴァンは完全に興奮したような顔をして俺に近付いてきた。
俺はあまりに驚きすぎて固まっている間にイヴァンは俺のうちに上がり込み、俺をさっと肩に担いでさっさと寝室に当たりを付けて部屋に入ったんだ。
「待てええ」
「待たない」
イヴァンがそう言い服をどんどん脱いでいく。
相変わらずいい体してんなイヴァン。
筋肉しっかりついて冒険者らしくがっちりとしてる。
じゃなーーーーい。
「イヴァン、お前、ふざけんな! 玄関の内鍵壊しやがって!」
俺は内鍵が壊れてしまったことを怒っていた。借りたばかりでどうしてくれるんだと言うと、イヴァンは俺の服を脱がしながら言った。
「明日……明後日に直す」
「明日じゃねーのかよ!」
「明日はまだハルを抱いているからな」
「ばっかじゃねーの!?」
俺が抵抗してももちろん力の差で抵抗しきれない。
相手は人相手にどうすれば捕まえられるのかを熟知している冒険者だ。
盗賊よりも質の悪い男によって俺はすっかり真っ裸だ。
ベッドに押しつけられてアナルに指が入り込んできた。
「わあああ」
絶対痛いはずなのに指がすんなり入り込んでる!?
「やっぱり濡れている……淫乱の称号は伊達じゃないな」
「ひぃぃああっ……やめっああっんっああ」
指でアナルを抉じ開けられて中を抉られてしまったら、俺の体はそれを喜んでいるのだ。恐らく淫乱が更にレベルアップしてしまったのか、俺はイヴァンの指を喜んでいる。
「あっ……ああっ……んっあっだめっ」
イヴァンは俺の首筋に舌を這わせて俺の首筋を歯で噛みながら印を付け、やがて乳首にも到達して乳首まで舌で嬲ってきた。
「ひゃぁああっ! あぁっ、あっあっ、いやっ、だ、だめぇえ!」
どうしようイヴァンに触られたらどうしようもなく気持ちがいいと感じる。
抵抗らしい抵抗もできないし、何より体がイヴァンを求めている。
「そろそろ良さそうだな」
イヴァンはそう言い、とうとう俺の中に聳り立ったペニスを突き挿れてきた。
「ああ……っ、あ、あ、あ、あぁ……っ、あぁあっ……!」
熱くて凶悪な聳り立つペニスは、一気に俺の奥まで挿入り込んできた。
「んぁああっ! あぁっ、あああ、……ああぁ、あっ」
とんでもないペニスの圧迫感を俺は気持ちがいいと感じた。
一気に結腸まで抉じ開けてきても俺のアナルは濡れてしっかりと受け止めていた。
「ああっ! ぁ、あ、あっ! あぁっ!」
イヴァンが腰を振り始めた。
その力強さに俺は体を揺すられてしまい、俺はそれによって快楽を感じた。
俺は嬌声を上げてそれを受け入れるしかなかった。
「あ……っああっぁっあぅ、はぁんっ! ん、んぁ……っあ、お、おかひ、なるぅ……っぅあっ」
「おかしくなれ……おまえは精液を受けない限り、階級は上がらない。こうやって俺を受け入れるしかないんだ」
「あぁっ、あ、ぁ、ぃ、いい、ああぁ……っ、あぁ゛あぁあっ!」
イヴァンは興奮しきって腰を振っているし、俺は俺でそれで気持ち良くなって口からは嬌声しか漏れなかった。
本当にこうなっていても気持ち良すぎる。
前の世界でのセックスでも十分に気持ち良かったけれど、それ以上にイヴァンとのセックスは相性が合っているといえた。
「ああ……っ、らめっ…ああっ! んっ……あ、ああ……っああ……!」
「ハル……可愛い俺のハルっ仕事中はずっと我慢していた。ずっとこうしたかったんだっ」
イヴァンがそう言い俺をしっかりと犯してくる。
イヴァンは仕事中に俺のことを触ってきたのは、我慢仕切れずにってことか俺が絆されて抱かせてくれるのを待っていたのだろう。
でも俺が折れなかったからこうやって一軒家にいる俺を付けてきて押し入ってきたのだ。
なんてストーカーなんだこの男は!!
「ああっ、や……っ、も……あっ、あっんああ!あっ……ああー……っやあ……っ、あああっ!だめ、だめ……!」
「イケ、いっぱいしよう、ハル可愛い」
「あぁ……っ!やだ……ああっ!あ!ぁあ―――ああ……っ、ああぁ……っあ……っ、んんっ」
ガンガンと突き上げられて俺はとうとう絶頂を迎えてしまった。
「んぁああっ! いっいくいくっ! ぁんっあんんーっ! あん! はぁああん……っ」
俺が絶頂をしたのと同時にイヴァンも絶頂をして俺の中に精液を吐き出してきた。
それを受け止めて俺はもう一度絶頂をしてしまった。
もちろんこれで終わる訳もなかった。
「もっとだハルっ」
「……いやんっ……あああっ」
それから日が昇る、午前四時まで俺はイヴァンに犯され続けたのだった。
もう、少しはゆっくり休ませろ!!
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