Distance
everywhere1
2
真麻(まお)は履いていたズボンを下ろす。男同士とはいえ、性的な目で見られているかと思うと下着姿すらも恥ずかしい。
裸になって何をするかはまだ分からないが、京義が求めているものが真麻の裸ということなのだと理解しても、今更逃げ出すわけにもいかなかった。弁償が出来ない以上は言うことを聞くしかない。
「下着もだ」
下着を残している真麻を指差して京義(たかぎ)が命令する。
そんなに熱い視線を向けられると妙な気分になってくる。だんだんと熱が集まってくるというか。自分でもこれはアレをする時に似ていると思う。一人エッチだ。
「……」
促されて真麻はきつく目を閉じて下着を落とした。
真麻はいつの間にか自分でも気づかないうちに勃起していた。かすかにではあるが、性器は頭をもたげている。
「う……うそだ……なんで……?」
勃起に両手でそこを覆い隠したが、京義がそれを許さない。
「隠すのは違反だ。それもすべて見せるんだ」
「あ……そんな……」
真麻は呆然としながらも手を落とし、言われるままにした。目を閉じていても京義の視線が全身を這うのが分かる。
その時京義がどんな目をしていて真麻を見つめていたのかを真麻は知らない。けれど何かを観察するような目ではないのは確かだ。そうじゃなければ、こんなに肌は熱くならない。
「いい肌だな……」
さらりした手の感触が真麻の胸板を撫でた。冷たい手だ。
「さ、触るな……」
真麻は弱くその手を拒んだのは京義の指先に乳首をつままれた時だ。
たつまむだけでなく京義は真麻のそこが固くなるまで巧みにいじった。たまらず、真麻は首を振った。
いやなはずなのに、今は。
「う……は……っ」
真麻は無意識に腰を揺すっていた。緩く立ち上がった真麻自身も揺れる。そのみだらさに真麻だけが気づかない。真麻の胸にてを置いたまま、京義は耳元に唇をよせ、息を吹きかけるように囁いた。
「最高によくしてやる」
「や……ああ……っ」
真麻の膝ががくんと砕けた。そのまま京義の腕の中に崩れ落ちる。
「い……やだ……やだ……」
ベッドに寝かせ手首を頭の上で押さえつけられて、真麻はもがいた。背筋がぞくぞくするへそから下に電流が流されたようだ。
「どうして……こんな?」
「嫌なら逃げてもいいぞ。でも、アレはどうなるのかな?」
アレとはホルマリンのことだ。その為に自分はこんな真似をしているのだ。それを忘れて逃げようなどと考えては駄目だ。早急にお金がいる。それを出す条件が身体を差し出すことだったとはいえ、こんなことになろうとは真麻も夢にも思わなかった。
しかし、約束は約束だ反故には出来ない。
「あ……!」
さらに直接自身を触られて、真麻は悲鳴を上げた。
「や……やだああ……!」
こうなるともう手の戒めを解かれても、全裸の真麻には震え、快楽にもだえる他になんのしようもない。
恥部だけでも隠そうとするが、容赦なく膝頭を掴んで左右に大きく開かされてしまう。隠そうとすればするだけさらけ出そうとする京義。
真麻は思う。京義のあの目が駄目なのだ。この低い声も。
京義の視線に犯されている自分の恥ずかしい部分がますます熱くなっていく。
「いやらしいな」
先端にじゅっと密があつまっていて、密をはき出すようにひくついているのが分かる。それを京義に見られているのだ。
「ひゃあ!」
堅く張り詰めた先端を突然指でピンと弾かれて、真麻は喉を仰け反らせた。
「本当にいやらしい身体だ」
そう念を押すように囁いた京義は、先端のふくらみにキスをする。
「いやああ!」
それだけで達してしまう真麻。
「見られてちょっとだけ触られただけで、もうこんなのなのかい?」
そう言われて、真麻は顔を真っ赤にして泣きそうになる。
「男にここをいじらせたことはあるか?」
フルフルと首を振る真麻。男にこんなことさせたことなんてない。
「なのにこんなに感じやすいのにか?」
「や……ああ……う……あぁ……」
達したばかりだと言うのに、京義がふっと息を吹きかけたそこは見事に勃起して復活してしまった。
「元気だな……」
先端をぐりっといじりながら京義が言った。
「全部見せろよ、それが約束だ」
左手で真麻自身をいじりながら、左手で尻の割れ目を探る。
「ひゃ……っ」
性器だけではなく、後ろまでも暴いていくのが約束だったというのだ。
「や、だ……そこだけはっ!」
「ああ、綺麗だな。まだ誰も入ってはいない。いいだろう」
「いやああ!」
そう叫びを上げる真麻の唇を京義が唇で塞いで後ろの孔を撫でる。
「……!」
真麻が出す悲鳴はすべて京義の口の中に吸い込まれてしまい悲鳴にならない。
その悲鳴が最高に出た時に、京義の指が孔の中に入っていた。ぐるりと一回転させただけで出てきた指だったが、一瞬真麻のいいところを触っていったらしい。
「……ん……やだあ……んんなにこれ……」
孔の中に何かを塗りたくられたのは分かった。何かねばっとしたものが孔の中にある。それがだんだんと熱で溶け出している。
「ああ、すごくよくなるものだよ。心配しなくていい、その次はもっとよくなっているからな」
そう京義はにこりとして言う。
内心はここまで逆らわずに逃げずにきたのは、真麻が始めてだ。
普通ならもうとっくに身体をつなげて終わっているところなのに、何故か手間をかけたくなるのは何故なのか。
相手があまりに素直だからなのか。
京義はよく自分が分からなかった。
京義は真麻に足を広げさせ、その孔の収縮を長める。
ついでとばかりに真麻自身を口に含む。
「え……? やああああああ!!」
たまらず真麻は悲鳴を上げた。強く吸い上げられ、激しく上下に扱かれると、すぐに射精したくなって真麻は身体をくねらせた。
「や、め、あああああ!」
急激に強く吸われてまた真麻は達した。
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