Agnus Dei3
4
邪教である不可思議様は、村の人には姿は見えない。
いわゆる信じてないから見えないとか信じているから見えるとかそういう問題ではない。
不可思議様は元から透明だったのだ。
なのでそこで不思議なことが起こっているのに、何かがいるのに見えないのだ。
例えば、供物を何かが掴んで食べている様子は見えるけれど、何が掴んでいて何が食べているのか分からない。けれど、供物は確実に空間で消えるのである。
透明な何か、それを見ることができるのが生け贄と呼ばれる人間だけだ。
しかしその生け贄に選ばれた人は、その不可思議様を見て狂うらしい。
あれに何をされるのか分からないが、不可思議の空間に飲まれたら二度とこの世界に戻ってこないまま消え去るのだという。
「怖いな……」
幾ら創作部分があるとはいえ、不可思議な部分は他の人には見えないのだ。
なのに長く続いてきた祭りで贄になる人が皆同じように狂っていたら、何かがいると判断するしかないのだろう。
それに不可思議様のことが少し匡季は気になった。
というのも、不可思議様が不思議なことをするのを匡季は見てしまったのだ。
そして夢で何度もここに来るように呼ばれた。
崖から落ちた時に怪我を治してくれたのはきっと不可思議様だ。そして夢の中に何度も出てきて呼んだのもきっと不可思議様の力だ。それしか考えられなかった。
それに気付いた時、匡季は怖さがふっとなくなっていった。
そして堂々と社の本殿の方に足を踏み入れた。
そこは沢山の御札が貼ってある空間でその本堂の真ん中にある床には空洞がある。
まるで井戸のように掘られた穴をみて、匡季は嫌な予感しかしなかった。
ここから供物を投げ落としているのかもしれない。
その穴を覗いてみたがどこまでも深く、そして底は見えなかった。
「ねえ、僕を呼んだのはあなた?」
そう匡季が話しかけると、奥底から冷たい空気が吹き上げてきて、何かが這い上がってくる気配がした。
この気配はずっと洞窟内で匡季を追ってきていた人間だと思い込んでいた気配の持ち主だった。
(そうか、この気配。ずっと追い立ててここに来させるために、こいつがやっていたんだな)
不可思議様の気配はどんどん強く感じられるようになり、匡季は少し井戸から離れた。
こんな強い気に当てられたらとてもじゃないが、正気でいられるかどうか分からないからだ。
そして這い上がってきた不可思議様は、ちゃんと匡季にも見えた。
大きな手、それは匡季の手の三倍くらい大きく、そして這い出た頭には角が生えている。厳つい彫りの深い顔は人の形よりも醜く、そしてそれを匡季は知っていた。
「……鬼……」
まさに鬼だった。
世間一般に描写される鬼。角が生えて筋肉隆々でそして般若のように険しい顔をしているのだ。
正直恐ろしいと思う。
けれど匡季には何処か懐かしい気分になってしまい、普通なら悲鳴を上げて逃げ出すところなのに、何故か自然とその不可思議な鬼に近づいていた。
そして手に触れた時、これが不可思議の真の姿ではないのだと気付いた。
これは擬態だ。
不可思議には姿がない。だから何か人と繋がる方法としてその時に最善と思う姿を真似たのだ。そしてそれは人に近い形であったため、鬼という姿になった。
不可思議にはもしかしたら人間という者が鬼に見えているのかもしれない。
不可思議様はジッと匡季を見て、ゆっくりと匡季に近づいてきた。
大きな体は三メートルはあったかと思ったが、匡季に近づいてくるにつれて体が小さく縮み始め、気付いたら二メートルくらいの大きさに治まっていた。
それでも人間でも筋肉隆々の二メートルの人間は恐ろしいものだ。
でも不思議と匡季は恐怖を感じない。
ただ鬼という様相が怖いという小さい頃からの刷り込みで怖いと感じているだけだと分かるほどだ。
『来たか、我の巫覡(ふげき)』
それを聞いて匡季は驚く。
巫覡とは、神仏を勧請し霊の口よせをする者や神楽を奉納したり、それを人々に伝える、神と人間とのなかだちをする役割である巫女などのことだ。
巫は女性を差し、覡は男性のことを差す。
つまり匡季はこの不可思議様の神官であることを意味しているのだ。
「僕が……?」
そう驚くも不可思議様は匡季に触れた。
腕を掴むようにして引き寄せられて、匡季はその触れられたところから体が溶けていくような感覚を覚えたが、それは全く不快ではないのだ。
むしろ快楽に近い感覚が頭の中を巡って、匡季の体が崩れ落ちそうになる。
「あ……あ……そんな……」
匡季はこの感覚を知っていた。
セックスの時に感じる快楽と幸福感だ。
それと同じ物を感じて匡季は不可思議様が抱きしめてくるのに抵抗は一切できなかった。
不可思議様は匡季の服を破り捨てるように引き裂き、開けた体を手で撫で回してくる。
「あ、……ああっ……だめっ……ああっんっ」
触られるだけで絶頂できそうなほどに快楽が突き抜けていく。
パンツも剥ぎ取られて、さらには下着もあっという間に下ろされてしまい全裸にされる。
晒された下半身、特にペニスはすでに半勃起をしていたし、気付かないほどに先走りが溢れ、漏らしたように精液で濡れていた。
そこを不可思議様が長い舌を伸ばして精液を舐め取っている。
「はあっ! ああんっ……うそっああっんっ!!」
舐められているだけなのに信じられないほど感じて体がビクビクと震えた。
常に絶頂感を味わうような触れられ方をされ、匡季はこの異質な存在を前にしても恐怖すら感じず、ただただ快楽を味わわされている。
「あひっらめっ……あ゛っあんっあんっ……あんっあっ……ひっあああんっ」
ペニスを不可思議様が口に咥えて扱くように吸い上げられて、匡季の腰が跳ねる。
「あ゛っひっ……らめぇっ……あっあんあん……ああっあんあんあんっ!」
ペニスを吸い上げられて精液を強請られるように舌が匡季のペニスに巻き付いて扱いてくる。その気持ちよさを感じて匡季はのたうち回るように腰を跳ね上げる。
「あんっあんっ……ああ、あんっ! ああんっはあんっあんっ!!」
そうしてそのままフェラチオをされて絶頂をさせられて精液を吸い上げられた。
いつの間にかアナルにも不可思議様の指が入り込んでいてアナルを広げられていた。
そんなアナルにも不可思議様の舌が入り込んできて、内壁を舐め上げてくる。
「ひっんっ……あぁああーっああぁっ……、んっあっあっ、あうっ……」
恐ろしい、生き物ですらないものに襲われているのに、匡季はまったく気にすることすらできなかった。まるで生き別れた半身に会ったかのようにピタリと自分の感覚を脅かすこともない存在に安堵しか湧かなかった。
「あ゛ひっあひっんっあっあんっんっやぁっんっあ゛はっうあっん」
不可思議様の舌が内壁を広げて縦横無尽に中で動き回っている。それを感じて匡季は口から涎を垂れ流して快楽に溺れていった。
もう何に抱かれているのかと考える必要がない。
ただ受け入れれば何の苦もないのだからと体が不可思議様という存在を受け入れている。
「んっ好き、きもちい、ふぁっ……ひぁっあっあ゛っいいっ……あぁんっ」
体をくねらせていると乳首に細い触手がいつの間にか絡みついている。
「あぁあん……はぁっ、ぁ、ん……ん……、ふぅ、んっ」
不可思議様はまるで匡季が気持ちいいと感じることを知っているかのように乳首を触手で捻り引っ張りながら乳頭を人間の舌と同じザラリとした感触のするもので擦り上げてくるのだ。
「んんっ、ふぁっちくび、あん、あああん……あぁっ……あ゛っらめぇっ……あっあんっ」
アナルの中を舌が動き回り、結腸まで入り込んでいる。舌の大きさがだんだんと丸く大きくなり、疑似的な小さな瘤が付いているディルドで擦りつけるように動いている。
「あっぁあっ、んっひゃぁっ……あ゛っひっ、あぁっ、そんなっ、あんっ」
その舌がやっと抜け出ると、もっと硬い物がアナルに挿入り込んできた。
「あ゛ひっ……ぅあ、あっあぁんっ! あひっ、ぁあっ、あっあっあっ」
それは不可思議様の凶器のように反り返ったペニスだった。
そしてそれは散々舌で広げられた匡季のアナルがギリギリで受け止められた。
押し開かれた内壁は結腸まで不可思議様のペニスが挿入り込んでいる状態になった。そしてそこで不可思議様のペニスが精液のような液体を吐き出した。
「ひああっ……あっあっ……あん……ん、あああぁーっ……! ひっあ゛っ、あ゛ぁっ……」
その感触を受けたとたん、それだけで匡季は絶頂させられた。
「ひっあぁ……、あ゛っ、あっあ゛ひっあっらめっ……あっやっあっあっあぁっ」
こんな快楽の絶頂にいる間にイカされることがなかったため、匡季の目の前は真っ白になった。
「あぁっあひっ……!! あっあんっあんっひああっあんっあっそこっ……あっあんっはあぁっ」
大きく長い不可思議様のペニスが引き抜かれそして打ち付けてくる。
不可思議様は特に何か言わなかったけれど、興奮しているかのように腰をくねらせて動かしてくる。
「あっあんっあんっあはぁっああぁんっ! んっあっあ゛ひっあっ……あっあんっ」
強く腰を動かされ、その動きに内壁を擦り上げられて匡季はただ気持ちよくて喘いだ。
「あぁっあっひっあぁんっんっあっいいっ、あぁんあぁっ あぁんっあっひっそこっあっああんっ」
嬌声が口から漏れ、そして口を閉じることができないまま、ペニスで抉られ続けパンパンと肌がぶつかる音が周りに響いている。
出された液体がアナル全体に広がって、それが体に取り込まれているのかだんだんと暖かなものが体中に染み込んでいる気がしたほどだ。
「ひああっらめっ、あひっ……おかしくなるっあっい゛っあっあっあんっあんっあんっあぁんっ!」
ただひたすら腰を動かされ、中を抉られ、中で更に液体を出され続ける。
それだけで匡季は何度も絶頂をしたし、ドライオーガズムですら達している。
「ひあぁっ! やっ、あぁんっ……だめっ……あっ、あんっ」
これ以上したら頭がおかしくなるくらいに感じてしまうのに、抵抗しようという気がしない。もうこのまま何処までも連れて行って欲しいくらいだった。
それまでに秋澄や元カレなどとしたセックスなど快楽の入り口にすら立っていなかったのだと思うほどだ。
このままさらに突き上げられ続け、中出しをされれば、もうセックス以外のことを考えることができなくなりそうなほどに他のことがどうでもよかった。
「ひああっもっらめぇっあんっああんっ……あひっ、あたま、へんになるっ……あっああぁあぁあっ」
乳首を触手で嬲られ、不可思議様のペニスは更に結腸にまで挿入り込み、そのペニスは更にその奥まで挿入り込んでいる。
人間なら耐えられないほどのもののはずなのに、それでも匡季は気持ちがいいと感じた。
あの液体はそうした苦痛に関して体を和らげてくれるのか、下から挿入り込んでくる異物を難なく受け止めている。
「ひっあっあっああっあっあぁあんっいいっいいのっ!」
口から涎を垂れ流していると、それを吸い取るように不可思議様が匡季の顔を舐めてくる。
「ああぁ……ふぁっ、あん……んっ……あふっ、んんっふっ……なっ、なんっ……」
大きな不可思議様のペニスの合間から、細い管が匡季のアナルに張り込んできて、それが中を和らげるために滑った液体を吐き出している。
それによって不可思議様のペニスが匡季のアナルで縦横無尽に動くことができ、気付いた時には三時間以上、匡季は不可思議様によって何度も絶頂をさせられていた。
「やぁあああっ! あっ、あぁっ、だめっ……、そこ、あんっはぁっ、あふぅっ……、あっあっ、いあぁっ!」
声も掠れてきて、喉が渇くと不可思議様の触手が栄養のように匡季の口に液体を流し込んでくる。それを飲むと飢えも乾きも消えて、セックスに集中ができた。
「やっああぁっ、らめっ、おま○こはらめっ、あぅっ、あっ、おかしく、なっちゃうからぁっ……あっやあああぁっあっ……ひゃっ、ぁんっ」
『我の、片割れとして、巫覡として、我と共あらんことを』
「あっひぁっ、ずっと一緒にいるっ……あっ不可思議様……あぁっあぁんっひゃっあぁんっ! あひっあっあんっあぁっ」
『やっと見つけた、我の妻よ……我の器に合いし器の持ち主よ。我は解放され、我は幾千年の時より復活する。我は、阿羅漢となりさらに進化をする。悟りは開かれた』
鬼の姿をしていた不可思議様の姿が、そのまま人の形に進化をする。
まだセックスの途中であるのに、目の前で不可思議様の異変に気付いたけれど、それでも匡季は喘ぐことをやめられなかった。
「あっあんっ、んっやっ、やらっあんっ……っ……ひっあぁんっ! やっあぁっあぁああんっ……やらぁっ、あっぁんっ、あんっ」
そのまま不可思議様が阿羅漢となり、悟りを開いた。
そしてその瞬間にすら匡季は絶頂をして不可思議様の液体を受け取ったのだった。
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