Agnus Dei3
10
大阪に引っ越した形になったけれど、東京と大阪を行ったり来たりと自由にしていたため、生活に困ることはなかった。
けれど匡季はさすがに仕事はリモートか在宅で出来ることしかできなくなった。
あの日去って行った秋澄が弁護士事務所に押しかけてきて、マンションから引っ越した匡季たちのことを知ったようで行き先を聞こうとしてきたという。
迷惑がかかるのでと匡季が仕事を辞めることを告げたら、在宅でできる書類整理の仕事を割り振ってくれた。
秋澄には弁護士としての忠告を与えたところ、匡季が仕事に来なくなったのが分かったのかその日以降姿を見せていないらしい。
そして陽大がある日一日留守にしていた後、秋澄の姿はパタリと見なくなった。
匡季は陽大が秋澄に何をしたのか分からないし、何もしていないかもしれないし、何かしたのかも分からないけれど、それを追求するのはやめようと思った。
匡季にとって秋澄はすでに関わりのない相手であり、二度と交わることすらない人生に生きていると思ったからだ。
事の顛末を知ったところでその関係が変わるわけでもない。
陽大が動いたなら、恐らく匡季にとって秋澄は危険な存在になっていたのかもしれない。
陽大は。
「お前を守る。ずっと一緒にいるためにお前は俺が守る」
そう言ってくれている。
その愛情を沢山くれる陽大は、匡季を傷つけるものの存在は許さないだろう。
秋澄はやり過ぎたのだろう。
そう思うしかなかった。
そんなある日、新聞の事件欄で秋澄の名前を見つけた。
どうやらあの村の惨劇が外部に漏れ、村が隠し続けてきた地下の社が発見されたらしいのだ。そしてそこに血痕と沢山の人骨が見つかった。それはこの村で順次亡くなっていった人々の物で、明らかに村ぐるみで偽装された死亡診断書などが発覚したという。
その記事は三回ほど載り、二回目には亡くなった人が判明し、村ぐるみで隠した理由が宗教団体のせいであることまで書かれていた。
三回目にはその宗教団体と村が癒着していたため、事故後兼任で教祖になり村長にもなっていた秋澄に逮捕状が出たらしい。
警察が強制捜査をした結果、宗教施設での生け贄儀式が発覚したのだ。
地下の井戸の中からかなりの人骨が見つかり、村人以外のさらに古い人骨も見つかったため長年に渡る生け贄儀式が行われていた事実と、新しく行われた形跡があったためだった。
秋澄が逮捕され、何か余計なことを言っているようだったのが分かったのは、その後警察がわざわざ大阪まで陽大と匡季を尋ねてきたことがあったからだ。
「つまり、匡季さんと付き合っていた時期に村で地震があったと。それで匡季さんはそこで村から引き返して戻り、その崩落の事件は知らないわけですね」
そう時系列で話を聞かれて匡季は素直に答えた。
というのも匡季があの村に関わりが少しあることは近くのロッジを調べたら分かってしまうことだった。
そう匡季の指紋が残っているからだ。
ようやく秋澄の話に少し信憑性が出てくる人がいたと警察は喜んだけれど、匡季は村には一歩も入っていないこと、祭りの前に秋澄と少し喧嘩をして早々に村を出たことを告げた。
「それで私が迎えに行ったんですよ」
匡季が村を出た後に陽大を連れていたことは目撃証言でバレているので、陽大はそう言って話を合わせた。
パソコンの通信で連絡を貰い、迎えに行った。帰りはのんびりと旅をして戻ったと言えば、アリバイは証明される。
地震があって地盤が崩落し、それで村人が大半崩れてきた岩で死んだかもしれないというのは警察も道筋を立てるにはよかった。
けれど一番の問題は、その遺体が骨しかないことだ。
そしてその骨は井戸の中で見つかったことも意味が分からないことになっている。
さすがに秋澄達が自分の父親や有力者を殺し井戸に放り込んで殺したでは、遺体が骨になっているのが説明できないのだ。
綺麗に全ての骨から肉が殺がれていて、何も残っていないのだ。
さらに衣服は明らかに死んだ時に脱がされていることも分かった。
そしてその脱がされた方法が、明らかに大きな口と牙を持つものに喰われたとしか思えない裂け方をしているのだという。
辻褄は合わないところがあるが、それでも崩落現場に人がいたことは確かだったし、秋澄は化け物がいたとはっきりと言っているのだそうだ。
錯乱しているらしい秋澄は、その化け物こそが匡季の側にいる陽大だと言っているのだという。
「いやだなー、俺、匡季の兄ですよ? 離ればなれになっていてやっと会えて、仲良く暮らしているからって元カレの秋澄くんだっけ? その人に逆恨みされて化け物呼ばわりなんてね」
陽大は秋澄がそう言っていると警察に言われてものらりくらりで被害者に徹した。
幸い、陽大の偽装した戸籍は警察でも怪しまれることはないようで、亡くなった母親は本当に陽大くらいの子供と暮らしていたそうだ。
そしてその子供は行方知れずになっているそうで、そこに陽大は父親の戸籍を使って偽装したわけである。
実際には陽大ではない誰かがいるはずなのだが、その人物は戸籍も使っていないらしく長年動いてないようで、陽大はその戸籍を乗っ取ったわけだ。
警察が幾ら調べても出てくるわけもなく、結局警察は匡季や陽大を怪しむ様子もなく、逆恨みですかねと言って帰って行った。
「大丈夫かな……」
警察に付き纏わられても困るなと匡季が思っていると陽大がスッと耳を澄ませた。
「「いくら元カレとはいえ、どうやら兄弟とは言っても血が繋がってないらしくて、そういう関係らしいですよ」「だから嫉妬してですかね」「そういうことだろうな」」
声色までさっきの刑事の声を出して陽大が言っている。
どうやら彼らの今話していることを聞き取っているようだった。
「……疑われているというよりは、振られた腹いせにやっているから被害者は可哀想だと思っているようだな」
そう陽大が言うので匡季は驚いた。
「聞こえるわけ?」
「結界内なら何でも聞こうと思えば聞こえる」
「へえ……じゃあ僕の独り言も?」
「聞こえている」
「……あ、そうなんだ……」
匡季は独り言まで聞こえているとは思わなかったので少し顔を赤らめるけれど、それを見た陽大が少し意地悪そうに笑う。
「お前が気持ちよく一人でオナニーをしているのも聞こえているし、知っている」
そうはっきりと言われたら匡季は顔を真っ赤にして陽大に飛びかかった。
「もう、そういうのは聞かなくていい!」
「そうか? 可愛かったぞ、参加したくなるほど。そういや一人でするときは乳首で気持ちよくなっていたな」
「い、言わなくていい! ひやっ!」
恥ずかしくて抵抗しようとするも、それを阻むように陽大が服の上から指先で匡季の乳首を引っ掻いた。
それだけで匡季の乳首が硬くなり、それを面白そうに陽大が指でこね回している。
「ちくびっあああんっらめっ……こりこりしちゃ……あんっああんっ……」
「駄目なのかいいのか、はっきりしてみろ。こうされるのが好きだよな?」
もう分かっていることではあるが、それでも陽大は言わせようとして乳首を執拗に弄り回っている。
「ひあぁっいっあっんっ……乳首いいっ……ああぁーっ! あぁんっあひっ……あっやっああっ」
指先で捏ねられるだけで気持ちよくなってしまい、匡季はソファにくったりと横になってしまう。
それを追うようにして陽大は匡季を押し倒し、服をたくし上げて肌を露出させる。そして素早く乳首を口に含んだ。
「やっあんっあんっ吸っちゃやらっあんっらめっなのっんああっ」
ジュルジュルと音を立てて匡季の乳首を吸い上げる陽大。それに合わせて匡季の体がすっかりと蕩け始めている。
「ひああぁっ、乳首吸っちゃっ……あっあっあ゛っあ゛っあぁあっ」
執拗に何度も吸い上げて歯で噛んだりしてもてあそぶ。
すでに匡季の股間のペニスがゆっくりと勃起を始めている。
「あっあっあぁっ……ちくびっいいっ……あひっあっあぁんっ」
一年間、執拗に陽大専用に作り上げられた体は陽大が行為に及ぼうとするだけで、勝手に匡季の体は陽大に開いてしまう。気を許している証拠で、そして酷いことをされないと知っているからこそ、セックスが始まるなら受け入れるまでだった。
「さあ、もっとして欲しいんだろう? 言ってごらん」
「あぁっあっんっちくびっ、乳首いじって……、はぁっあんっああっちくび……乳首くりくりして、ん、なめて……っあっああんっ!」
「いくらでもしてやるよ」
陽大はそう言って本気を出す。
触手が陽大の背中から現れ、片方の乳首を触手で締め上げて引っ張ってくる。
乳首の先は小さな瘤が付いたものが撫で回してきて何度も擦り上げてくる。
「ああぁっ、それっらめぇっ、あっひあっ、おかしくなるっ……あっあんっあんあんあんあんっ!」
片方の乳首は乳房を揉むような動きで触手が動き、陽大の舌が人のとは違った動きで執拗に吸って舐めてを繰り返してくる。
「あっ……あっあっあああーっあひっ……ふあぁっ、あんっ、あんっ、あんっ、あひぃっあ゛あああぁああっ……あひっ、あ゛っ、らめぇっちくびっあっあぁんっ」
完全に気持ちよくなっている匡季の服を陽大が妖術で剥ぎ取っていく。露わになった匡季の体中を愛おしそうに陽大は撫で回した。
「あっ、あっひあっ乳首クリクリ気持ちいいっ……あっあぁんっむりっ……あっあっあぁんっあぁあっいくっいくっでちゃうっ……あっあぁあんっ」
「構わない、イケ」
「ちくびっいいっこりこりっいいっ……ちくびっああんっああっいくっいくっ、あぁっちくびでいっちゃうっ! あんあんあんはあんっ!」
匡季は体を仰け反らせて全身で絶頂をした。
精液をペニスから吹き上げながらの絶頂は久々に感じた快楽だった。
それらを陽大は全て舌で舐め取り、まだ痙攣している匡季の体中を弄っていく。
アナルはすでに蕩けていて、触手が挿入り込んで中を広げている。
「あぁああ~~っ……あひっ、触手、おま○こらめっあへぇっ……ん゛っんあっあっあっあっあ~……ん゛ぁああっ…あっあっあんっあんっあんっあんっ」
完全に指で奥を抉られているように中を弄られたら、匡季は素直に嬌声を上げた。
心配事が片付いたのもあり、それまでの緊張は少し解けたのだろう。
「あ゛ああっ……ん゛ひっ、そこ、いっい゛っんぁあっ、あっあ゛っあっおま○こっ、だめっだめっ、あぁあんっああんっ……ひっんっんあああぁっ」
触手だけで体中を撫で回されて、匡季は二度目の絶頂を迎えた。
「あ゛っあっ、いくっいくっいっちゃうっ、おま〇こイっちゃうっ、ひぁっあ゛っいっちゃうっ……! ん゛っあっあ゛ああああぁあぁぁっ……」
絶頂すると同時に触手が一気にアナルから出ていき、遠慮無く陽大の大きなペニスが間髪入れずに匡季の中に挿入ってきた。
「あっ、あっ……、ひっきたっおち○ぽっあ゛っ、あああぁぁっあ゛ひっ、深い……ああっおち○ぽ大きいっ、なにこれっ……、あっ、あっ、ふかいっああんっそこまでらめぇっ……、あっ、あ゛ああっああんっあああっ!」
「相変わらず、お前の中は熱くて気持ちがいいな……」
陽大は遠慮無く匡季の中を堪能するように腰を振り始める。
「あ゛ああんっああっ!! ああああっあっぁっあっ、いいっ、おちんぽっきもちいいよぉっ……、あああぁんっ」
この陽大のペニスが挿入っているだけで匡季は幸せだった。
何も考えないでよかったし、気持ちいい上に幸福感に満たされる。セックスでそこまで感じたことはなかったので陽大とのセックスで匡季は目覚めていた。
だから離れるなんて考えたことはなかったし、いつでも陽大に触って欲しかった。
「ああっ……、あぁっ、あぁっ、あっああぁっあひぃっ! あんっ……あっあっあああぁぅっあっやっ! あぁーっ……らめぇっ、んっはぁっぁああっ」
「俺を一つ味わってもらおうか?」
そう言うと予告もなくいきなり陽大が精液を中で大量に吹き出してきた。
「あぁっあっ、あんぅっ……せいえき……きたあぁっあーっ……ひっ、ああっ、あぁあんっんっんっ……はぁっぁ、あぅんっすご、いっ……ひゃぁっあっはぁっ、あぅんっ!」
熱くて量もある暖かい物が注ぎ込まれて、それだけで軽くドライオーガズムで匡季は達していた。
「あぁあああっ……あああっ、あぁああぁんっああっ! あっいいぃっひぅっ、あっ、あぁんっ! あっあんっいいっ、おま○こっ、ぐりぐりされてぇっ、きもちいいよぉっ!!」
精液を出した後は、匡季の体中に触手が這い回り、乳首を触手は締めて引っ張り、先を細い舌のようなザラついた触手が撫でてくる。両乳首を同じようにされ、さらにはペニスまで触手が巻き付いて、尿道には管が刺さってきてそれが尿道を瘤を作った物が出入りする。
「あぁーっ、いくっ、ちくびとおちんぽでいくっ! ひぃあああんっ、いっちゃうよぉっ! あっはぁあんっ! ああ、おま○こされてっいっちゃうっああんあんあんっ!」
匡季は全身を犯され、快楽の絶頂に達した。
精液を吹き出し、潮まで吹いたほどだった。
「はは、派手にいったな。待ちわびていたわけだな。遠慮無く俺を呼べばいいものを……」
恥ずかしいから我慢をする性格のせいか、なかなか自分から言わないので陽大は遠慮無く押し倒すけれど、匡季がセックスを大好きなのは知っている。
いつでも陽大とセックスをするのが大好きで、体はすぐに開くほどだ。
そして恥ずかしいを越えた先にある、快楽に堕ちた匡季の可愛い姿が陽大は堪らなく好きだった。
淫乱で淫らな姿は美しいとさえ思った。
最初に抱いたときから運命を感じたほどで、体からでも番に落とすつもりで抱いたほどだ。これほど陽大の気と相性がいい人間は初めてだった。
頼まれて抱いたものもいたが、触手を用いた状態でしか行ったことがないから自分の体を使って真剣に抱く相手は匡季だけだった。
「ふあっあっ、あっらめええっ、激しくおちんぽでおま○こぐりぐりされたらっああんっきもちいいっああっんっいいっ……おま○こっ……ああんっらめっおかしくなる……ああんっああいいっきもちよすぎるっああん!」
「おかしくなれ。もっと淫らなところを見せてくれ」
「あぁあっああんっ……あたまおかしくなっちゃうっ……、おま〇こ、馬鹿になっちゃうっあああっ……おちんぽっああっ……あっ、あああぁっ……らめっおちんぽハメるのはっ……おちんぽ……ああんっいいっいいっああああっ!」
快楽に溺れる匡季を眺め、心が満たされる気がする陽大は、長く神として生きてきた自分に生きる意味をくれる匡季を手放す気は一切なかった。
これを手放すか失うときに自分は存在しなくなるのだろうと思えるほどだった。
運命というものがあるならきっとこの運命こそが正解だと思えた。
「いいっああんっおま○こっいいっきもちいいっああんっああ……あ゛あっいいっ、らめっあ゛あっ、いいちくびもきもちいいっ、おま○こゴリゴリしてるっ……ひっあっ、あんあんあんあんあんっああんっ!!」
結腸を越えて挿入り込むペニスはすでに腸を這い回っている。
人間だったら苦痛のことであるが、体を作り替えた匡季はこれを喜ぶようになっている。気持ちよすぎて堪らないと、腰を自ら振って陽大を煽ってくる。
その妖艶さに陽大は人間に堕ちる神がいることを理解し、納得した。
これに堕ちない神はいない。そう思えた。
「おまんこ……ああっゴリゴリしてるっ……ああんっおちんぽっおおきいいっああんっ……ああんいいっ……きもちいいっおちんぽ……ああっ……いいっ気持ちいいっ……ああんっおちんぽせいえきちょうらい……ああっあああんっ」
「ああ、くれてやるよ……受け取りながら絶頂してみせろ」
「あ゛ああっ……あっ、あ゛っ、らめっらめええっ、あ゛あああぁっあ゛っい゛っ、あっんっ、、いくっあ゛あ゛っあっらめっあ゛っんっ、あっ、あぁっ、いくっ、いっちゃうっ……あぁあああん!」
派手に匡季が絶頂をして見せると、陽大はありったけの精液を匡季の中に吐き出した。
それは結腸から逆流してアナルから吹き出るほどの量で、それに匡季は気持ちよさそうに痙攣しながら絶頂をしている。
一分ほど意識を飛ばしているくらいになっていた匡季がふっと我に返ったようだったが、陽大と視線が合うとニコリと微笑んだ。
「僕の神様、大好きだよ……愛してるよ」
甘えた声でそう言われ、陽大は少し驚いた。
愛しているとはっきりと言われたのは久々だった。そしてその言葉を最初に貰った時よりもずっと愛が深まっているのを今は感じた。
「俺もだよ、匡季、愛しているよ……」
自然と笑みが浮かんで匡季を抱きしめてキスをした。
神が人に堕ちることだってある。
神の方に近づけたはずなのに、神として生きてきた陽大は人のようになり、匡季の側に寄りそうように生きていくことにした。
それが穏便でそして匡季に相応しい生き方だった。
それから何百年と二人は一緒の時を生きていくことになる。
匡季はそんな長い年月でも陽大だけを見つめ、そして愛してくれる。
陽大はその長い年月を掛けて、匡季に許しを貰う。
人として終わらせることができなかった匡季がどうやって生を終えるのか陽大にも分からない。
同じ物にしたと言ったけれど、完全に同じものにはなれてはいないからだ。
それでもきっと先に尽きるのは匡季だろう。
そんな時に一緒に死ねるように陽大は命を繋ぐような絆を作っていく。
何千年生きようとも、二人は共にいることを選んだ。
人の波にもまれながら、人とは違う生き方をする。
ひっそりと人の闇に紛れた神様と人を越えた物はゆっくりと人の記憶から消えるのだった。
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