Agnus Dei2
5
番になる
「俺が贄……なんで?」
どうしてそんなことになっていたのか理解ができず紗和は燎に言っていた。
燎の中にいる神はさてどこから話せばいいのかと少し考えてから言った。
「そうだな、お前が生まれる前の話だ。村人は十年に一回贄を差し出していた。それは私が依代にいる人間とは違い、別に用意する私の番の役だ」
「番?」
紗和はその意味が分からずに首を傾げる。
「そうさ、贄は番。つまり神の嫁になる人間のことだ。私は依代に体を降ろし、そして贄である番と寝る。これらを一晩して神として預言や幸運になるものを降ろす。これが一連の儀式だった」
そう言われて紗和は更に首を傾げた。
神はそんな紗和に言う。
「とはいえ、依代は八十年前に村を追放され、贄も番もなくなったわけだが、何故か村人は贄を差し出し続けた。問題はその贄を村人が代わりに選んだ神役が犯すという非常に理解し難い茶番に使っていたようだが」
人間のやることは理解し難いと神が言い、そんなものに紗和は巻き込まれるところだったのかと恐怖する。
「基本的に未成年の子供を親公認で使う。ただ女では妊娠など不都合が多いとして、男が選ばれる。お前はこの村に越してきたことで目を付けられ、親はお前を贄にすることで多額の金を得る予定だったわけだ」
「……それを俺の親は……したのか……」
「差し出した。しかし、お前は禁忌を犯し、贄から監視対象になった。だがお前は、村人が犯したいほどの容貌で育ち、そして村人は余興にお前を使おうということになった。祭り中に監視が付いていたのは、お前を余興に使うために監視していたのさ」
衝撃の事実を告げられる。
けれど紗和はそれが本当かどうかと考えたけれど、村人に監視される生活を嫌がっている紗和に両親は高校までのことだとか、期間は決まっているなどと言って引っ越しもしてくれなかった。
普通、子供が地元の人に不評を買い、不便な思いをしているのを親として容認するものだろうか?
新築の家を建てたから引っ越せないと言ったけれど、まだまだ新築だったのだから勿体ないと思ったのかもしれない。けれど継いだ遺産の中にあの家のローンは最初から払っている様子はなかった。
恐らく紗和を売ったお金でローンを完済していたのではないだろうか。
その疑問が頭を過ぎる。
「思い当たることはあるだろう。儀式が終わるまではお前を村から出さないようにしていただろう? そういうことだ。けれど村人は知らなかった。贄であるお前が稀人であり、もっと貴重な存在であることはな。そして誤算をした。燎が神喰家の末裔であることで、私が依代である燎に降りることができ、稀人のお前が番であることで私の行動範囲が広がった。村は肥大した私の借りの肉体を支えるための管理を怠っていたせいで、ああして埋まった。最大の誤算は、稀人である紗和を贄に選んだことだろう。私にとってお前は本当に番として、最良の人間なのだ」
こんな話をされて、紗和は更に混乱をする。
贄として育てられ、稀人として生まれたことすらもう運命でしかなかった。
あの村で起こったことは全て村人と両親が仕組んだことで、燎と神殿に忍び込んでいなかったとしても紗和は真面な人生ではなかったのだ。
最初から全てが仕組まれ、そして紗和の運命はお金で選ばれた。
ただここでも燎がいてくれたお陰で、その儀式用の贄役からは一歩離れたところに置かれた。そのお陰で命が助かったとも言えた。
燎があの日、神殿に忍び込もうと言わなければ、紗和は生きていなかった結果だ。
「奇しくもお前はこの神喰燎によって幾重にも助けられる結果になっていたわけだ」
村人から監視されて、村人の生徒などから暴言を吐かれたりもしたけれど、いつもそれを燎が守ってくれ、側にいてくれた。
最後の最後まで燎は紗和を助けることを選んでくれた。
生きろと何度もぎりぎりのところを助けてくれた。
「……あ……あ……燎……」
涙を流す紗和を燎は抱きしめる。
「お前が泣いていると胸が軋む、恐らく燎の一部が残っているのだろうな。お前が辛いと言うと私もそれに胸が軋むからな」
今生きているということが燎が残してくれた結果であると紗和は思っている。
そして今はその燎の思いによって神を動かしてでも助けてくれている。
けれど、もう燎は思いだけ残して魂すらも消えてしまった。
「それで……俺を贄として使おうとしている奴らは……誰?」
紗和はテレビがずっと集団自殺の事件を流しているのが目に入って、その話をしていたところだったと思い出した。
「恐らく、加賀美一族だろうと思う。村を追い出されていたであろう加賀美一族にとって神がどうにか生きていることが分かるのだろう。祭主の家だからな、知る方法があるのだと思うが。そして贄がお前であったことは恐らく、内通者から知らされていたはずだろう。神社関係も掘り出されているだろうから、加賀美がその所有を主張したとしたなら、鏡が無事だったかもしれない」
「それって……お前を封印していた鏡のことか?」
「そうだ。それが見つかったか、変わりのものがあるかで奴らは私をもう一度封じて同じシステムを作ろうとしているのさ。富を得るために」
神がそう言うので、紗和はさすがに怒りが湧いた。
「そんな、お前が燎の体から取り出されたら、燎の体はどうなるんだ……っ」
「私と一度は融合した肉体だ。私が去れば少しは形を保ってられるだろうが、それでもあいつの魂は戻らないし、戻せない。抜け殻の肉体だけが腐っていくだけだ」
それを聞いた紗和は必死に燎にしがみついて言った。
「嫌だ、燎がいなくなるなんて……もうこの体しかはっきりと残っていないのにっ!」
神の中に燎が混ざっているのなら、もう魂の分離はできない。そしてそんな燎を神と共にまたあの鏡に閉じ込め、そして永久的に富を得る道具にするのは絶対に紗和は許せないと思った。
「絶対にそれはさせないっ燎を、お前をまたあの中に戻すなんて……誰が何て言おうが駄目だっそれは絶対に駄目だっ!」
紗和はそう叫び、もう他に犠牲が出ようがどうしようが、この燎と離れることはできないと思った。
両親にも裏切られていたと分かった今、紗和にとって唯一の味方が燎だけだ。
その燎をまた苦しめるようなことになる結果には絶対にさせないと紗和は怒る。
「そう言って貰えるとこちらとしては、一つだけ聞くことがある」
「何?」
紗和がそう言い顔を上げると神が言う。
「お前を抱かせてくれ。それで私とお前の間に神と贄以外の絆ができる」
「は? どういう……こと?」
紗和には訳が分からずに聞き返す。
もちろん抱かせてくれと言うからには理由があるわけだが、それがどういう意味なのか理解できないのだ。
「早い話がお前に唾をつけておくのさ。私の所有物であるという印をな」
そう神が言う。
そこで紗和が首を傾げる。
「唾を付けるとして抱くって何?」
意味が分からずにそう言うと、神は笑う。
「お前をこういうふうに育てたのは、きっと燎なんだろうな。それでいい、全部私に任せればそれでお前は私の所有物になり、決してその絆はお前が死んでも切れないものになるだろう」
神はそう言うと、紗和の体に暗示を掛けた。
ふわりと何か風が吹き抜けたと思ったら、紗和は足から崩れて倒れかけた。
「あ、……れ?」
倒れそうになった体を神が抱き留め、そしてベッドに運んだ。
「お前はそのまま体の力を抜いていればいい、そうすればすぐに終わる」
神はそう言うと、服を脱いだ。
そしてその神の背中からたくさんの大きな触手が映えてきた。
その触手には小さな瘤がたくさん付いていて、それが紗和の体をなで回し始めた。
「ふぐっ……んっ、んぅんんっんうう……っ!」
体中を這い回り、さらには乳首をその瘤でこすりつけるようにしてなで回し始めた。
「あっ……あぁっ!やっ、だめ、それだめ……っ、やあぁっ……」
どういうことなのか分からないまま、変貌した燎の体を紗和は悲しそうに見た。
中身が神である以外、燎の体が変わったところはなかったはずだ。けれどこうして触手が出ている以上、燎の体が既に神の領域になっていることになる。
「ふぅ、う……ぁあ、あ……っ」
そしてそれは体中を撫で回しながら、さらにはその触手は紗和を宥めるように撫で回していたけれど、やがてそれは紗和のアナルに到着してしまった。
そして細い管が挿入り、中で何かの液体を吐き出すと急にアナルにその瘤の触手が挿入り込んでくる。
「やだっ、あぁ……っ、らめ、そんな……っ、だめぇ……!やだ、ぁ、あ、ああっ」
信じられないことに痛みもなくアナルに触手が挿入り込んできて、奥までズルズルと進んでくるのだ。
「あは、ぁんっ、そこ突いたら……っだめぇはぁあう……んん!」
悲鳴が上がりそうなときになって、別の触手が紗和の口を塞ぐように挿入り込んできた。
「んぐっ、ふぐうぅ……っ」
甘い液体が喉を通り、飲み込むと不安も怖さもなくなっていくのを感じた。
それはきっと神が気を遣って、そういうことを感じないようにしてくれているのだと紗和は思った。
「んうっ、んっ、んっ」
普通にこんなことをされたらパニックを起こしてしまって真面になれる気もしなかった。こうやってするしかないというのなら、不快にならないようにしてほしかった。
神はそういう紗和の気持ちを察して、わざと紗和が逆らえないように甘い液体を飲ませたのだろう。
それは神の優しさであり、燎から受け継いだ思いだろう。
「……っ、あふ……っ、もぉ、らめ、らめぇ……っ、ああんっらめっ」
アナルをこじ開けられて、あり得ないところまで触手が挿入り込み、お腹に圧迫感があるほどになっている。腸を遡って中を神が犯しているのだ。
「ああんん……っも、らめぇ……えっ」
それでも痛みは感じなかったし、むしろ気持ちが良すぎてどうしようもなかった。
こんな快楽を知るわけもなく、初めてで神によってあり得ないところまで犯される。
「うあっ、ぁあああーー……っ!」
気持ちよすぎてどうしようもなく、紗和は悲鳴に似た嬌声を上げた。
「ひぃっ、ひっ、ひっ、あ、やぁ……あっ、んああっ」
「そのまま、身を委ねていろ……それでいい、お前は気持ちよく喘いでいればいいだけだ」
「ああぁ……っ!ああっ、ひ……ゃあ……あっ、あっ、あ……っ!」
「そう素直に体を開いて、それでいい、よくできている」
神はそう言いながら長い触手で紗和を犯しながら紗和を絶頂に導いてくる。
「っも、だめ……、い……っ、あうぅっ……」
「構わないイケ」
「あぁあっ、なんかくるっああっなんかくるっはぁあああ――――っ!」
快楽に押し上げられて、紗和は初めてセックスで絶頂をした。
脳天を突き抜けるほどの快楽を味わって、紗和はガクガクと体を震わせた。
「やあっ、あ……っ!まだ、いって……」
ズルリと触手が抜けると、神が自分の体の大きなペニスを紗和のアナルに突き刺してきた。
「ああっ、いやだ、いや……はぁっ、ああ……!」
まさか燎のものだったペニスで犯されるとは思ってもいなかったので紗和は混乱しかけるけれど、それをまた神によって思考を奪われた。
「ひああっうぅっ、ふうっ、は……っ、あはぁっ」
快楽だけが襲ってくる感覚に紗和は燎のペニスで喘いでしまった。
「はぁっ、ああ……ああああ……っあは……あっ、あっ、あふぅ……っ」
辛うじて人のペニスの形をしているけれど、大きさや長さがおかしいのは分かる。
奥の奥まで紗和の中に挿入り、そして抉るようにしてから出て行く。
その行為が男同士のセックスであることを紗和は知らなかった。
情報を燎が封鎖していたのもあるし、村人から恨まれている人間にそういうことを吹き込む人はいなかったのだ。
オナニーだってしていないどころか、知らないままきてしまったのもあり、紗和は一気に神によって性的なことを教えられた。
燎や他の友人たちがセックス自体を紗和に吹き込まなかったけれど、彼らがそういう雰囲気で話をしている内容を完全に理解できたのは今だった。
色々考えようとしたが、神が挿入をしながら紗和にキスをして考え事を奪っていく。
「ふぁぁっんぁっんぁんっぁっぃ、いいっんふぅっ……ぐちゃぐちゃぁあっすごぃ……っ」
「そうだ、そのまま感じていろ……これが燎がお前にやりたかったことだ……お前を抱くこと、それが燎の望みだったんだ」
そう神に言われて、紗和はやっと燎の思いを知った。
こんなに気持ちがいいことを燎はしたがっていたのかと思うと、ちゃんと燎の意識がある時にしてあげればよかったと思った。
けれど燎の思いも体もここに残っている。
神はそれを使って紗和を抱いている。
「あーっあっいいっそこぉっぁっそこ、あっあっそこ突いたらっ、あっぁっおかひくなるぅあぁっん!」
「おかしくなれ……お前が感じて絶頂を迎えれば、中に私の証を刻んでやる」
「あっあっ壊れう……っぁん、お尻っぐちゃぐちゃ、壊れるぅうう! ぁんっふぁあっっ! あっ! あんっああっん……!」
「受け取るといい、私の番よ。お前は私の物だ……」
神がそう言うと同時に燎のペニスから熱い液体が噴き出してきた。
「あ゛ひっ、やっあ゛っあ゛っああっんひぃ、っあ~~~っあついのがきたっああん……あっああんっイクっいくっああぁぁぁんっ!!」
神に液体を中出しされ、それを感じて紗和は絶頂をした。
快楽に身を投じたら急に体が気持ちよくなり、天にも登るような気分になれた。
幸せを感じたと同時に、神によってキスをされた。
お腹辺りに熱さを感じてそこを手で撫でたら、何かを感じたのでそこを見ると、紗和の腹には大きな何かの文様が書かれている。
「はぁっ、はぁっあぁん……ひっああっまって、なにこれ……ああっあぁんっ……」
それは少し経つとすっと目に見えないように消えていったけれど、これに意味があるのかと紗和は思う。
「あぁあん……はぁっ、はぁっん……ぁ、んっ……ぁっ……あ、ん……ひぁっ! んっ、ぁあんっ」
あり得ないほど感じて絶頂した体は、収まることがなく、紗和は自ら腰を動かして入ったままである燎のペニスを内壁で擦り上げた。
すると神はそのペニスに瘤を付けた上に、結腸を超えた先までペニスを伸ばして突き挿れてきた。
「あ゛あああっ待って、今はっああ゛っあああっ、んっ、ひっあ゛っむりっ、あ゛っあああっん゛っあっあっあんっあああああぁんっ」
「私の番なのだから、これくらいは耐えられるさ。さあ、本番の始まりだ。番はどうなるか、しっかりと味わうがいい」
神がそう言って挿入を開始すると、そこから先は快楽の天国だった。
「あ゛っあっあひっ…あああっ…らめぇ、んっ…あっああっあ゛っあぁっ…だめぇっ、んっふぁっあ゛っあっぁう」
紗和は神の手によってしっかりと犯され、あり得ないくらいに奥でたくさんの液体を受け止めた。
「ここは私専用のおま○こだと言うのが正しいらしい……」
「あっあっあんっあぁんっ…ひっあっあっ、おま〇こじゃないっ、もうやだ、おま〇こにしないで……あっ、あっ、あぁーっ…っ」
「お前のここはおま○こで、これが私のおちんぽだ。そう覚えるまでしっかりと犯してやるからな」
「あ゛っんっはあぁっ…ん゛あっ…ああぁあっ……あ゛っあぁっなんで、なんでち〇ぽっ、気持ちいいの…はぁあっんっああんっ」
神が紗和を調教するようにしっかりと時間をかけて紗和を犯し続けた。
それは学校が休校になった時間、三日間続き、紗和はすっかり神によって番のセックスを教えられたのだった。
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