invade

6

 凌久は瀬野の言葉を全て受け入れてしまった。
 否定するだけ嫌いでもない。あんなことがあってもそれでも憎むこともできなかった。
 それだけ凌久は瀬野のことをまだ好きで、あれだけ執拗に求められて嬉しかったのだ。
 家族から見捨てられ、唯一の憧れの人にずっと好かれていたのだと知ったら、自分の思いはちゃんと伝わっていたのだと分かったら、それに縋りたくもなる。
 そんな悩みも結局凌久は矢鳴には相談できなかった。
 矢鳴は瀬野が言った通り、出張の後、アメリカに五年間の長期出張が決まったのだ。
『これでやっと出世への道ができたよ。五年だけど頑張ってくるよ』
 嬉しそうに報告してくれた矢鳴に、凌久は瀬野のことで煩わすことはできなかった。
 急に長期出張が決まったので矢鳴は一ヶ月後に出発するためにさらに忙しくなった。
 渡米する前に一回会うことになったが、それも出発の五日前に飲む予定を入れた。
 そして凌久は瀬野に週末に呼び出されて、瀬野の部屋で恋人同士のように過ごした。
「飯はデリバリーで済ませるから、気にしなくていい」
 食事を作ろうかと凌久が気にしたが、瀬野は全ての食事はデリバリーを使っているらしく、自宅ではコンロも使ったことがないと言う。
「でも凌久はコーヒーが好きみたいだし、久々にケトルを買った」
 瀬野は凌久が好きだったコーヒーメーカーを凌久の部屋で見た通りのものを用意していた。
「ベッドも新しくしたところだったんだ。凌久はイッたあと漏らすようになっちゃったからね。掃除がしやすいものを選んだよ」
 ニコリとして言う瀬野に、凌久は恐怖すら感じたけれどそこから逃げることはしなかった。
 矢鳴の長期出張の邪魔をしたくなかったし、凌久がここで瀬野を拒めば、矢鳴の境遇もきっと変わる。
 というのも、瀬野は戻ってきてから別部署だった矢鳴と同じ部署になった。しかも矢鳴の上司が瀬野になり、瀬野は矢鳴の処遇について全権を任されている立場になっていた。
 瀬野は矢鳴を凌久から遠ざけるためにアメリカ出張を入れたのであるが、もちろん矢鳴が仕事ができる男であるから選んでいるのは間違いない。けれど矢鳴と同等の力を持つ部下もいるわけで、瀬野の機嫌を損ねれば入れ替わりが直前でも行われるだろう。
「凌久次第だよ、矢鳴くんの未来を決めるのは」
 瀬野は一応の脅しを凌久にした。
 けれど瀬野は凌久が決して矢鳴の不利になることはしないと分かっている言い方だ。
 瀬野はそんな凌久を背中から抱きしめ、首筋を舐めて服の脱がしていく。
 瀬野は凌久の乳首を弄り、凌久のパンツベルトを外して下着からペニスを取り出して扱いてくる。
「ひあぁっいっあっんっ……乳首いいっ……ああぁーっ! あぁんっあひっ……あっやっああっ」
「凌久は乳首弄られて絶頂できるくらいに、もうこれしないと駄目でしょ?」
「ちくびっあああんっらめっ……こりこりしちゃ……あんっああんっいい……」
瀬野の指が慣れた手つきで凌久の乳首をこね回す。
 凌久がオナニーで乳首を自己開発していたが、あの三日間でさらに瀬野によって乳首はもっと敏感に反応するようになった。
そんな凌久の乳首を瀬野が唇で吸い始める。
「やっあんっあんっ吸っちゃやらっあんっらめっなのっんああっ」
「美味しいよ、凌久……ちゅっ」
「ひああぁっ、乳首吸っちゃっ……あっあっあ゛っあ゛っあぁあっあっあっあぁっ……ちくびっいいっ……あひっあっあぁんっ」
舌で舐め取り、さらには唇で吸い上げて乳首を勃起させると、凌久のペニスを瀬野の手が扱き上げながら同時に快楽を与えてきた。
「ああぁっ、それっらめぇっ、あっひあっ、おかしくなるっ……あっあんっあんあんあんあんっ!」
凌久はもうここで快楽にすぐに堕ちた。
 あの三日間の執拗に行われたことを体が覚えている。
 そして受け入れるために歓喜しているのが分かった。
「あっ……あっあっあああーっあひっ……ふあぁっ、あんっ、あんっ、あんっ、あひぃっあ゛あああぁああっ……あひっ、あ゛っ、らめぇっちくびっあっあぁんっ」
瀬野が執拗に凌久の乳首を攻め続ける。
きっと絶頂をするまでやめることはないのだろう。
そして凌久はあっという間に絶頂まで追い上げられたのだ。
「あっ、あっひあっ乳首クリクリしちゃらめっ……あっあぁんっむりっ……あっあっあぁんっあぁあっいくっいくっでちゃうっ……あっあぁあんっ」
体全身で絶頂をして、ガクガクと体を震わせるとその余韻もほぼ無いまま、瀬野は性急に行為を進めてくる。
「ああっゆび……らめっああんっ……おま○こに……ああんっ」
いつの間にかローションで濡れている瀬野の指がすんなりと凌久のアナルに挿入っていく。飲み込まれた指は二本、あっさりとそれすらも受け入れた。
「きもちいいっおま○こ……ああんっゆびっああん……いやらしい……ああんっゆびっ」
「凌久はここが気持ちがいいところだよね?」
そう言われて前立腺を擦り上げられて凌久の体が跳ねた。
「あ゛ああ~~っ……ん゛ひっ、いっい゛っんぁあっ、あっあ゛っあっおま○こっ、だめっだめっ、あぁあんっああんっ……ひっんっんあああぁっ」
ゴンゴンと突き上げるようにそこばかりを擦り上げられて、また絶頂へと導かれてしまう。
「ひああっ……ん゛っひっいっ……あへぇ、んっああぁっん゛ぁあああ゛あぁっ、らめっ、い゛っいくっ、い゛っ……!」
絶頂すると同時に瀬野にキスをされ、嬌声を飲み込む羽目になったが、そのキスにさらに凌久は感じた。
 キスはあの三日間で数え切れないほどした。
 一生分のキスをしたと言われたらそうかもしれないと答えられるほどに、舌も調教された。
 そんなキスを繰り返していたら、凌久はもう快楽のスイッチが入ってしまい、もう瀬野を求めることしかできなくなった。
凌久は自ら足を開き、アナルをしっかりと瀬野に見せて自ら瀬野を誘った。
「あっ、僕のおま○こに、はぁっ、おちんぽハメて、いっぱいおま○こをいやらしく突いてっあ゛っ、あ゛あっあ゛っひっ、いいっ、い゛あぁっ」
全部の台詞を言い終わらないうちに、瀬野が待ちきれなかったのか凌久のアナルにペニスを一気に突っ込んできた。
「あぁっ! あっあっあひぃっ……おちんぽっすごっあんっはぁっあぁんっ」
「ああ、一週間ぶりだけど凌久の中はしっかりと俺を覚えているね。ちゃんと迎えてくれている。いい子だね、俺のことを覚えてられるなんて。一人で遊んだりもしていなくて我慢していたんだね。大丈夫、今日明日はずっと凌久を満足させてあげるからね」
 そう言いながら瀬野は性急に腰を振り始めた。
 その動きは豪快でさらに力強く凌久の中を抉じ開けてくる。そして気持ちがいい場所をカリが擦り上げてくるのだ。
「あぁあっ……あぁっ、おっきいっおちんぽがぁっ……おま○こ、ごりごり擦ってっはあぁっ……んっあぅっ、きもちっ、いいっ……!」
 もう気持ちがいいという言葉しか頭に浮かばなかった。
 心では瀬野と付き合うのはどうかと思うのに、あの拒否をしなかった三日間で凌久の体は瀬野に堕ちていた。ペニス一つで凌久はあっさりと快楽を得られたし、頭の中はもうセックスのことしか考えられない。
 難しい感情なんて捨てて素直になれば、凌久はただだだ気持ちがいいという快楽だけ追えばよかったので楽だった。
「あぁあっ……あっぁん……あぁあっあんっいぃっ……あっおちんぽっいい、ああっ……」
「うん、凌久は気持ちがいいんだね……いいよ沢山してあげるから、もっと気持ちよくなって……」
「あぁあっ、あっ、おま○こいいっあん、せんぱいのおちんぽっああんっいい、あんっぁあああぁんっ」
「俺も凌久の中、最高に気持ちがいいよ……やっぱり凌久は名器だね。アナルも人によって形が違うんだけれど、凌久のは俺にぴったりはまって、さらに気持ちよく締め上げてくるよね……淫乱ま○こってこういうのを言うんだろうね……嬉しいよ、凌久がそうであってくれて」
「あぁんっ……いぃっ、あっ、も、らめっ、おちんぽっあっ、あっあっあっ……ふぁっ、ひぅっ、あんっああぁっあひぃっ、あんっ、あんっ!」
瀬野の反り上がった凶悪なペニスが奥を突き上げてから、更に結腸まで抉じ開けてくる。
凌久は結腸まで届くペニスにただただ喘いで嬌声を口にした。
「ひあっ、あ゛っきもちよすぎるっせんぱいのおちんぽ、らめっあぁっ……あ゛っあっあっああっあぁああっ……あっあっあんっ、あんっあんっあんっあ゛ああっ、あっあぁあんっ」
気持ち良すぎてどうしようもないと声に出す。
 瀬野は凌久にセックス中に思ったことを声に出すように調教をした。三日間で覚えさせられた言葉を凌久は口にして、さらに瀬野を煽っていく。
「ひああっ……らめっあっん゛っひっいっ……あんあっ、んっああぁっ! ああっらめっ、いっちゃう……から、おま○こらめっああんっあっ!」
「何度でもイッていいから、ほらもっと気持ちよくなって凌久」
「あひっ、あっぁっ、ふぁっ、あぁんっ! あぁんっいいっ、あんっあんっ、あっふぅっ、ひあぁっ」
「凌久はこうやって俺のちんぽでおま○こをグチャグチャにされるのが好きだもんね」
「んっあぁっあぅっ、おち○ぽでおま○こゴリゴリされるの気持ちいいっ……あっあひっあ゛んっあっあっんっ!」
「そうそう、もっと気持ちよくなっていいよ、いくらでもおま○こしてあげるよ。俺専用のおま○こに作り上げてあげるから、ほらどんどん感じて絶頂して。精液も中出ししてあげるよ、ほらもう出るよっ精液中出しするよ!」
「あ゛っああっあっいくっ、い゛ぐっおま〇こイっちゃうっ……ひぁっ、あ゛っ、ひあん゛っあっ、あ゛ああっあぁっらめっ……ああんっおま○こっああんっおちんぽがっああんっいいっ」
凌久はあっという間に瀬野に追い上げられて絶頂をした。
絶頂のタイミングで瀬野が凌久の結腸を開いた奥に精液を中出しした。
「あああぁっ……らめぇっ、孕むっ、孕んじゃう、あ゛っあっあんっあぁんっん゛っ」
瀬野の射精一回目は長い、精液をたっぷりと吐き出し、そしてそれが奥で暴れているのを感じるままに、瀬野の一瞬萎えたペニスを復活させるために瀬野が抜かずに腰を動かし始めた。
「ふあっあっ、あっらめええっ、激しくおちんぽでおま○こぐりぐりされたらっああんっきもちいいっああんっああんっああっ!」
「ああ、ちんぽ復活した……あっという間に勃起させるから凄いな、凌久のおま○こ。何度でも中出しできるくらいに精液も上がってくる……凌久も全部絞り取るつもりで締め付けてくるし、さすがに淫乱。腰も振り始めたから、もうセックスに夢中になってるね。いいよ、こういう時は凌久はあまり記憶に無いんだよね」
「ああっんっいいっ……おま○こっ……ああんっらめっおかしくなる……ああんっああいいっきもちよすぎるっああん!」
「りーく、気持ちがいいんだよね、好きだって言ってごらん」
「あ゛あっ……んっあっ、好き、あ゛っ、あっあっあっあああっ! んあっすき、すき、せんぱい、大好き……あっあああっ……あんっあっああっああっんあっあっはあっんっあっ、ああっあぁんっ」
 凌久は正常な判断ができない状態になると瀬野を好きだと口にできた。
 何度も先輩と呼び、そして好きだと自ら瀬野の唇に自分の唇を押し当てキスを強請るほどだった。
「いいっああんっおま○こっいいっきもちいいっああんっああ……ああんっ……ああんああいいっ」
 瀬野を煽るように凌久は瀬野にされることが気持ちがいいと答えた。
 それは瀬野のペニスをガチガチに勃起させるほどの言葉で、凌久はその勃起した瀬野のペニスで結腸まで抉られて快楽を与えられる。
「あ゛あっいいっ、らめっあ゛あっ、らめっ、おま○こゴリゴリしてるっ……ひっあっ、おまんこ……ああっ……いいっ……きもちいいっおちんぽ……ああっ……いいっ気持ちいいっ……ああんっああっあああんっ」
「さあ、またいこう、凌久、中出しされて絶頂して」
「あ゛ああっ……あっ、あ゛っ、らめっらめええっ、あ゛あああぁっあ゛っい゛っ、あっんっ、、いくっあ゛あ゛っあっらめっあ゛っんっ、あっ、あぁっ、いくっ、いっちゃうっ……あぁあああん!」
 凌久は言われた通りに絶頂して、さらに中出しされた精液が叩き付けられるのを感じてドライオーガズムで絶頂をした。
 それは凌久の理性をまた飛ばし、二日の休みは全部瀬野との甘い時間に消えた。


 その日から凌久は瀬野と付き合うことに積極的になった。
 瀬野は常に逃げ道を一つは用意してくれていたけれど、凌久はその逃げ道を選ぶことは一切なかった。
 もう逃げる必要はなかったからだ。
 脅されて始まった関係だったが、瀬野との体の相性がよかったお陰で、凌久には何の負担もないほどセックスは凌久にとって快楽を与えてくれるものだった。
 休みの日以外はお互いに仕事をして、日常には干渉しないままで、休みの日になると凌久が瀬野の自宅に通う形が長く続いた。
 それは五年という歳月を短いと思うほどだった。
 瀬野は五年経っても凌久の体には飽きなかったようで、毎週凌久を如何にイかせるかを楽しんでいたし、凌久もどれだけ瀬野の好意に応えられるかと考えたほどだ。
 そして凌久の親友である矢鳴が帰国した時に、凌久はやっと矢鳴に瀬野と付き合っていることを告白できたのだった。
「え、あの後、そういうことになったんだ?」
 告白を断念した後、瀬野の方からアプローチがあり、長い時間を掛けて恋人として付き合っていたということにしてあった。
 もちろん薬を使われたりした三日間の監禁事件はもう凌久から矢鳴には話す必要もない出来事になっていた。
「うん、でも矢鳴には心配かけたくなくてね、ほら、ちょうどアメリカ出張が決まった時だったし、大事な時だったろ?」
「いや、まあ、そうだった。俺も自分のことで手一杯だった時だったもんな。上手くいくか分からないことをホイホイ喋れないよな」
「こればかりはね。でも五年間上手く付き合ってこられたから、一緒に住むことになったんだ」
「へえ、それはおめでとう。でもいいマンションに住んでなかったっけ? 瀬野さん」
「うんでも、先輩、一軒家建てたみたいで……それでそこに引っ越したばかりなんだ」
 凌久がそう笑って言うと矢鳴は驚いた顔をした。
「瀬野さん、あの人今や専務だもんな。出世しまくりじゃん」
 矢鳴が言うように瀬野は人事異動で専務に昇格したばかりだった。
 前の専務が急に亡くなり、専務候補だった人が汚職で失職したせいで急に瀬野に白羽の矢が立ったのだ。
 そしてその人事は上手くいっていて、瀬野は会社の業績を上げるために人事に口を出して人員整理をしたという。そのお陰で無駄な失費はなくなり、その分を給与として優秀な社員に還元した。
 すると社員のやる気が上がり、業績が伸びたわけだ。
「うん、そうだね。僕は会社のことは分からないけど、一生懸命頑張ってるからきっと大丈夫だよね。矢鳴も部長に昇格したんでしょ?」
「そうなんだよね。マジラッキーが続いているよ」
 矢鳴が嬉しそうにしていたから、凌久はホッとした。
 凌久のあの時の選択は何も間違っていなかったのだ。
 それが分かっただけでも過去の自分の自業自得な部分は報われた気がした。
「でも良かったな、志水。お前の長年の憧れがちゃんと実って」
 そう矢鳴が言ってくれて、凌久は微笑んだ。
「うん、そうだね」
 少しの傷と痛みを残して、過去は過去としてそこで凌久は割り切った。
 矢鳴との久々の会食を後にして瀬野と暮らす一軒家に帰る。
 瀬野はすでに帰っていたから、玄関まで出迎えに来てくれた。
「お帰り、凌久。楽しかったかい」
 瀬野がそう聞くので凌久は言った。
「うん、久々に懐かしい話ができたよ。でもこれからは忙しいだろうし、暫くまた会えなくなるね」
「そうだな。あいつも部長だし、結婚もするだろうしな」
「そうだね」
 凌久はその言葉にニコリとした。
 決して矢鳴の幸せの邪魔はさせないつもりだ。
 彼が幸せになってくれれば、それだけで凌久のしてきたノーを選ばなかった過去が報われる。
 今では瀬野のことを好きだけれど、あの三日間は別格だった。
 それくらいに凌久の中にしこりを残しているけれど、そんなのはきっと瀬野も知っている。
 だからこそ、矢鳴が幸せであればあるだけ、凌久が瀬野から離れられないことも知っていた。
 あの選択を間違っていたなんて思いたくもない凌久は、瀬野を愛することでしか生きられない。
 そんな凌久の思いを瀬野は知っていて、それでも凌久がいいと手を伸ばしている。
 凌久はその手を取ったことを一生後悔しないと思った。
 愛に百パーセントはない。それでいいと思ったのだった。

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