invade

5

最終日の三日目も凌久は自分の部屋で瀬野に犯され続けた。
「ひああっ! んっあっはぁっあぁっ、んっ、あ゛ひっあひっあんっあんっあんっふ、ぅ……ん、ん、んっんっ」
「仕事が始まったら、なかなか会えなくなるもんな。やり治めしておかないと週末まで持たないよ……。凌久の体良すぎる、絶対に名器だ。こんなに素晴らしい体、絶対に手放せないよ、だから俺たちは付き合うんだよ?」
瀬野はそう言い、凌久にキスをして凌久の体を貪る。
「ん゛っんんっ……んっふ、んっんっんん……ふぁっ、はあっ、あっはぁっんあっあぁんっあひっあっらめ、んっああっ」
凌久はそれに否定の言葉を吐けなかった。
 とてもじゃないが瀬野の決定に反論するだけ無駄な気がしたのだ。
「やっあっあっああっあひっあひっやっああぁっもっらめっ……ああっあああんっ! あ゛あ゛ああっ! い゛っ……あっ、ああっ」
「凌久の乳首も美味しいな……甘く感じるから不思議。そのうち、乳首から乳もでるんじゃないか? そうなったら面白いね、もっと開発していこうか? 男でも乳はでることがあるんだよ?」
「あ゛っあんっきもちい、あんっ舐めながらおちんぽでゴリゴリ気持ちいいっあっひあぁんっ」
「乳首とおま○こ同時にされるの好きになっちゃったね。仕方ないね、俺のちんぽ最高だもんね、だから凌久はもう俺のちんぽなしじゃ生きていけないよ?」
「あっうん、生きていけない、おちんぽきもちいいっ……乳首もきもちっいいのっひっあっあっあ゛あああっあひっい゛いっあっあっあっあんっ!」
「そうだね、もっと沢山セックスしようね、凌久いいかい?」
「いっぱい、またする……あっあ゛っあんっあんっあんっあっひっあああんっあ゛っ……あっあんあんあんあんあんっ!」
「今日はもう打ち止めだよ、これで最後の中出しだよ、あああ、出る出る今日一出てるっ!」
「あんっあんっあんっ! あ゛ひっんっあぁああーっああぁっ……、んっあっあっ、あっ……いくいくっああああっん!!」
瀬野がどっぷりと奥に精液を吐き出したところでそれを感じて凌久も絶頂をした。
 あまりの気持ちよさにペニスが抜けていく感覚でドライで達して、さらには精液が出て行く感覚でさらに凌久は射精をしてしまった。
 完全に変態仕様に体を作り替えられて、凌久はもうきっと他の人とは寝ることすらできないのだろうなと思えた。


 気を失うように眠ってしまった後、凌久が目を覚ましたら周りは暗かった。
 ハッとして起き上がると体のあちこちが痛かったけれど、それは筋肉痛の痛みだった。
 部屋を見回すとすでに瀬野は帰宅したのか、気配すら無かった。
 部屋は掃除をしたようで綺麗に片付けられていて、この三日間セックスに興じて汚かった部屋ではなかった。
 空気も入れ換えをしていたのか、痕跡を見つけることもできなかった。
 ガタンと玄関の方で音がしてビクリと凌久が震えるも、それは隣の住人が帰宅した音だった。
「……あ、なんだ、そうか」
 凌久はベッドから起き上がって部屋の電気を付けた。
 部屋の中は綺麗に元通りに片付けられていて、洗濯乾燥機には洗濯が終わったシーツやタオルが入っていた。
 汚れていたはずの部屋のゴミは纏められて捨てられたのか、家の中にデリバリー系の残骸のゴミすらなかった。
 どうやら瀬野は帰る時にゴミ出しまでしてくれていたようだった。
「……親切なんだか、悪い人なんだか……分かんない」
 まだ疲れが残っているままの体を引き摺って風呂に行くと、風呂すらお湯がしっかりと溜められていてまだ暖かかったので帰ったばかりのようだった。
 その風呂に凌久はゆっくりと浸かって体を解した。
 この三日間、ずっと瀬野に抱かれて過ごしていた凌久であるが、瀬野に対して恐怖や怒りは全く湧かなかった。
 不思議と疲れた体ではそういう感情すら湧かなくなるのか、片付けをしてくれていたことだけでも助かったと思ったほどだ。
 それにしても瀬野はずっと凌久に興味を持っていたという事実は、凌久には信じられないままだった。
 あまり凌久とは親しかったわけではない。
 瀬野を追いかけて生徒会に入ったけれど活動期間は半年程度だ。
 凌久が一年生で四月に当選、二年には引退してしまったし、瀬野も三年で引退したからその期間しか瀬野は凌久とは直接会話もしていない。
 大学でも接点はほぼないままで、時々短い生徒会のよしみで出会ったら顔を覚えてくれていたという感じで話を二、三言葉を交わすだけだ。素っ気ないほどのただの後輩でしかなかった態度を一切崩さなかった瀬野がこんなことをしでかすほど追い詰められているとは、凌久にはまったく理解できなかった。
 それでも瀬野は沢山喋ってくれた。
 凌久をずっと犯したくて堪らなかったことや、それを我慢して過ごしていたこと。ゲイではないからという理由で凌久には素っ気なくして避けていたこと。
 それらはまさに凌久が素っ気ないほどと感じた瀬野の姿が重なった。
 しかし瀬野はアメリカに三年出張に出てから気持ちが変わったのだという。
 ゲイではないけれどバイであると開き直ったら男でも抱けたらしい。そこで凌久に対しての思いを打つけて、アメリカでは凌久に似た年齢の子と関係を持ち続けたらしい。
 アメリカにいる間だけだったので沢山手を付けたらしいが、それも向こうも分かっていることらしく、自由奔放にセックスに興じたようだった。
 帰ってきてから一年間、瀬野は仕事に打ち込み、やっと凌久との再会ができる同窓会に繰り出した。けれど、本来なら凌久が呼ばれるはずもなかったと高丘が言っていたから、瀬野は焦ったという。
「あの意地悪……瀬野さんがおかしいから僕の方を庇ってくれた結果だったのかもしれない……」
 凌久への執着を見せる瀬野の様子に気付いたであろう高丘が瀬野の前で凌久を悪く言い、凌久への執着をなくそうとしていたとしたら、それはきっと火に油を注いでしまったかもしれない。
 瀬野は三年、高丘とも会っていなかったらしく、その変わり様は高丘にだって予想していなかっただろう。
「ああ、僕はどうしたら……いいんだろう……」
 お風呂の中でお湯に浸かりながら長く考えたけれど凌久には分からなかった。
 瀬野はきっとこのままで終わらせるつもりはないはずだ。
 そして凌久はそれでもまだ瀬野を拒めない。
 この三日間、凌久はこうなったのに楽しかった部分もあったと思ってしまったのだ。
 最初こそ薬を使われたし、身動きできないようにされた。
 けれど本気で逃げたければデリバリーの配達人が来た時に助けを求めればよかったのだ。そうすれば瀬野も現行犯で捕まっただろうし、凌久は瀬野に拒否の姿勢を見せられた。
 凌久はそうしなかった。
 瀬野は凌久が助けを求めないことに賭けてわざわざ何度もデリバリーを頼んだのだ。
 何度でも逃げ出すチャンスはくれた。けれど凌久はそのどれも選ばなかった。
「逃げられるはずないじゃないか……だってまだ好きだもん……」
 死んだ兄の次に憧れた人だった。
 ずっと高校に入った時に生徒会長で挨拶をしている瀬野に一目惚れをしてそしてずっと追いかけてきた。それこそ高丘にストーカーと言われるくらいには執着をした。
 もちろん、裏であんなことを言われていた事実にショックを受けて諦めようとした。
 だがその思いは瀬野の暴挙によって叶ってしまったのだ。
 ずっと妄想していた通りに瀬野に求められて、凌久は混乱したがそれでも思い通りだったはずだ。
 一週間前まで憧れ、そして好きだった気持ちがそう簡単に切り替わるわけもなく、凌久は瀬野を拒むことができないのだ。
 きっと矢鳴に話せば、やめておけと言われることだろう。
「でも、やっぱり……好きだもん」
 好きな気持ちが消えないのは、瀬野があんなにも凌久を求めてくれていた事実を知ってしまったからだ。
 瀬野が凌久に素っ気なかったのは気がありすぎたからだ。
 ずっと両思いだったけれど、瀬野が踏み出せなかっただけ。
 瀬野が男の恋人でもいいというのなら、凌久が相手でも問題はないはずだ。
 そう思ったら凌久はこのまま瀬野の恋人になるのもありかもしれないと思ったのだ。
 でも、瀬野の豹変した表情を思い出すと凌久は少し怖かった。
 凌久が思い描いた瀬野ではなく、それこそ犯罪すら厭わない瀬野の真の姿に、このままで言いこともないかもしれないと思うのだ。
 ここで拒まないときっと逃げられはしないだろう。
 でも逃げる必要はないのじゃないかとさえ思う。
 好きの気持ちと逃げなければならないと思う気持ちが凌久を両方の腕を引っ張っている状態だ。
 風呂を出てから座布団に座ると、目の前に置いてあったスマホが何かの通知を知らせているのに気付いた。
 スマホを操作してみるとメッセージアプリが通知を告げている。
 開いてみるとそれは登録した覚えもなかった瀬野からのメッセージだった。
『凌久、そろそろ起きただろう? これからはこのメッセージアプリで連絡を取り合おう。俺のIDは登録しておいたのでこれで連絡も簡単に取れる』
 メッセージにはまるで今まで仲良くしていたというよな軽い始まりで、あの出来事を瀬野が重要視していないことが分かった。
「……普通にしてる……」
 とても人を強姦してきたような人のメッセージだとは思えなかったけれど、それに続く言葉に凌久は目を見開いた。
『俺たちは付き合っているからな。凌久、君は三日間俺を拒まなかった。いいかい、君は拒まなかったんだ』
 瀬野がそう書いてきて、凌久はそれを見てやはり瀬野は見逃してはくれないのだなと気付いた。
頭のいい瀬野が何のリスクもなく凌久を襲うわけもなかったのだ。
 瀬野は何度も凌久に逃げるチャンスを与え、そして凌久がそれを選ばないことを知っていた。
 逃げられるわけもない。
 諦めようとしてたった一週間だ。失望したけれど、瀬野が直接凌久を悪く言ったわけではない。だからまだ凌久は完全に気持ちを切り替えできていなかった。
 瀬野はそれも分かっていたのか、凌久が決して瀬野を拒めないことも分かっていたのだ。
 だからあの日、告白をせずに逃げ帰った時、瀬野はこの強姦事件を計画したのだろう。
 全部瀬野の手のひらの上にいるのだと凌久が気付いた時、メッセージがポンと鳴った。
『凌久、返事』
 見ていれば既読が付くので凌久がメッセージを今まさに読んでいることは瀬野にもバレている。
 だから凌久は返事をしなければならなかった。
「……どうして、あんなことを……」
 文字にして書いて送ると、それに瀬野は答えた。
『凌久を愛しているから。ずっと思ってきたんだ。君しかいない。君だって今はどうか分からないけれど、少なくとも同窓会の日まで俺を好きでいてくれただろ? なら、両思いだったわけだ。それが告白して恋人になったなら普通のことだろう?』
 そう瀬野にとっては凌久から告白された前提が欲しかったらしいが、今はそんな些細なことはどうでもいいようだった。
 とにかく瀬野は凌久に執着を見せていて、恋人同士になっていると凌久に言わせようとしている。
『三日間、君と愛し合った。俺たちは上手くやれるよ。さあ、イエスと答えて』
 瀬野がそう書いて寄越した。
 凌久はここでノーを言えるのだろうと思えた。
 けれど言ったところで瀬野は凌久を脅せる。
 あの三日間の出来事を脅すことができるのだ。
 そしてメッセージには動画が送られてくる。
 それは凌久が瀬野に犯されているところだ。
「いいっああんっおま○こっいいっきもちいいっああんっああ……ああんっ……ああんああいいっ」
「凌久、凌久、ああ気持ちがいいんだね……もっと喘いでごらん」
「あ゛あっいいっ、らめっあ゛あっ、らめっ、おま○こゴリゴリしてるっ……ひっあっ、あんあんあんあんあんっああんっ!!」
「ここに中出しされるのが好きだよね、凌久はっ」
「おまんこ……ああっ……なか、精液きたっああっ……ああんっおちんぽっせいえきっきもちいいっああんっ……ああんっ」 
 アナルから溢れ出る精液がアップに映り、凌久をまた瀬野が襲うところだ。
 いつの間にこんな動画を撮っていたのだろうかと思うほどに、瀬野は次々に凌久が気持ちよく善がっているところの動画を送り続ける。
 一分程度の短い映像だったが、それが十個ほど届いたところで凌久は抗うことを諦めた。
「付き合います、それでいいですか……」
 蕩けた顔をして精液を中出しされて嬉しがっている自分の顔を見せられたら、とても嫌がっているようには見えない。
 恋人になってそれで瀬野が飽きてくれるのを待つしか逃げられる気がしないのだ。
 凌久がイエスの返事を送ると、瀬野は嬉しいと言うようにニコリと笑っている自分の動画を送ってきた。
 まるで返事は最初から決まっていたかのように。
『凌久はイエスと言ってくれると思っていたよ。これで俺たちは恋人同士だ。この動画だって愛し合った結果のものだ。大丈夫、俺は自分で言うのもなんだが、良い男で地位も名誉も持っている。凌久に相応しい男だよ』
 そうニコリと笑う瀬野に凌久は返事はできなかった。
 きっと凌久からの返事はさっきの付き合うというイエスの返事以外、今の瀬野には必要ではないのだ。
 それから瀬野は凌久に週末を空けておくようにと言い、メッセージの動画は消してくれた。脅すための物だから、タイムラインに残しておく必要はないのだ。
 凌久はその動画が消えたことでやっとホッと息を吐いた。
「……結局、自業自得じゃん……」
 この先何があっても凌久は誰にも文句は言えない状況になってしまった。
 それでもこれは脅されたとはいえ、自分で断ち切れなかった最後のノーすら言わなかったせいだと凌久は思うことにした。

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