Find the keys
7
その日は奈津は自宅から買い物に出た。
カイルは仕事でホテルに行っているから、早めの時間に買い出しに出たのだ。
少し遠くの大型スーパーでセール時間があるから、その時間に合わせて野菜など安いものを買い込むのだ。今日は少し寒いので鍋がいいと思った。
そしてグラードやファウストが久々に日本に来るというので、懐かしい料理も作る予定だ。
「タイムセールが地獄だな……でも安いんだよな~」
必死にセール中に野菜をつかみ取り、他の料理にも使えるくらいに買い込めて、ホクホクで奈津は駐車場に出た。
隣の車に当たらないように気をつけて荷物を全部載せて、運転席に回ったら急に隣のバンのドアが開き、そこから伸びてきた手が奈津の腰を掴んでバンの中に奈津を引きずり込んだ。
「……っ!」
あまりのことに声が出なかったけれど、それを偶然見ていた別の客が悲鳴を上げた。
「きゃー、人攫い!!!」
明らかにおかしな状況だったし、見てる人は多かったのか、一気に駐車場で注目になってしまったら、バンは一気にその客を蹴散らかして発信した。
「はなせっ……!」
奈津が暴れるけれど、その腕を掴んで縛り上げられる。
手慣れている動作で押さえつけられてしまい、奈津は大声を出した。
けれど、走っている車で大声を出しても車の騒音で消えるし、流している音楽が大きいと外からはその爆音の振動しか聞こえない。
走っている車で叫んでいても、歩いている人が止めに来てくれるはずもなく、車は裏通りを通ってドンドン進んで行ってしまう。
あれだけ騒ぎになったならスーパーから通報が入っているだろうが、バンの番号も恐らく見られているはずだ。
監視カメラもある時代だから、どこかで見つかっているかもしれない。
それでも車は目的地に向かって進み続け、大きな川近くの工場跡に辿り着いたようだった。
そこは廃社になった工場跡で、鉄さびの付いた門を超えてバンは入っていく。
そしてシャッターのあるところを超えて中に入ると、誰かがシャッターを閉めていた。
車が止まると同時に、奈津は腕を縛られたまま、服を切り裂かれて全裸にされた。
「いやだ……やめろっ!」
抵抗をしても数人の手で押さえられたら抵抗もできない。
奈津のアナルにはジェルが注ぎ込まれ、そこに五つのローターが入れられた。
「ひっ……いっ」
そのローターが入っているままでストッパーを入れられ、アナルが塞がれてしまった。
そしてそのローターのスイッチが入れられて、アナルの奥でローターが縦横無尽に暴れ回り始めたのだ。
「ぅあっ……あっあっ、や、やぁ……っや、あああ……っ!」
深いところで暴れ回るローターのせいで奈津は抵抗らしい抵抗ができなかった。
前立腺を強引に刺激されて、奈津は悲鳴を上げる。
「ひっぁ、あっ、ぁっ、ぁっ……あ、んっ、んっ、んぅ……っ」
道具を使われたことはないし、ローターの刺激が強いとは思わなかったから、奈津はその振動に信じられない衝撃で声が漏れた。
「……はっ、ぁっ、ぇ、えっ? ぁ、や、……っやっ……だ……っ!」
すると尿道に瘤のある棒状のものを入れられた。
「はぁっ、あっ、なに……あ、はあぁ……あぁ――っ」
そんなところに何か挿れられるとは思わなかったし、恐怖で動けなくなるけれど、相手は慣れているのかその棒を挿れて何度も入れたり出したりを繰り返している。
「はぁ、ああ、んっ……あっ、んんんうぅっ……!」
こんな状況で痛みもあるのに感じてしまうのが奈津には信じられなかった。
「あぁっ、やぁ、あ……っ!んんっ……んう――……っ」
ペニスに棒を入れられて擦り上げられることで奈津は絶頂に導かれてしまった。
「はぁっああぁ……、う……あぁあんっ……」
それからアナルのストッパーが引き抜かれて、絶頂と同時にローターが次々にアナルから捻り出されてしまった。
「あっ……あっ……あぁっ……」
訳も分からずに奈津は誰ともしれない男によって体を奪われた。
「はぁっ……はぁっはっ……あっ……いやっ……あっ……っ、あぁあああんっ!」
悲鳴を上げたところで誘拐犯たちはやめてはくれなかった。
延々と続くかと思うほどに奈津は男たちによって陵辱をされた。
恥ずかしいところを沢山カメラで撮られて、奈津は逃げることができないままに数時間が過ぎた。
奈津にはどうしてこんな目に遭うのかという理由すら分からなかったけれど、二時間が過ぎた時、くたくたになった奈津の前にカイルの兄であるギデオンが現れた。
「……あなたが……こんなことを?」
カラカラに乾いた口で喋ったせいで酷く声が嗄れていたけれど、ギデオンは奈津を見て汚らしいものを見るように見て言った。
「お前みたいに汚いもののせいで、私は立場を追われた」
「……ふふ、ふふふっ」
そのギデオンの言い訳を聞いたら奈津はおかしくて笑ってしまった。
「な、なんだ、その笑いは、狂ったか……!」
ギデオンが怯んでいるのが分かり、奈津はまた笑った後に言った。
「全部自分のせいなのに、人のせいで自分が貶められたと本気で思っているなんて、失敗を知らない人っていうのは厄介な馬鹿ですよね」
奈津はギデオンにそう言い切っていた。
「き、貴様っ! 誰に向かって!」
「犯罪者に向かって被害者が暴言を吐くことは、普通のことですよ?」
奈津はそれまで弱っていたけれど、ギデオンがこんなことをし出かしたというならば、話は違うと思えた。
これはただの八つ当たりで、カイルを苦しめるためにギデオンが逆恨みをしているだけだと分かったからだ。
「な、なっ!」
「犯罪者でしょ? 会社の金を横領し、他人の資産を狙い、失脚して逃亡犯になった挙げ句、性犯罪を犯した。このどこにあなたが無罪だって言ってくれる人がいると思っているんですか?」
奈津はもうギデオンに対して憎しみしか持っていない。
カイルの兄だったし、あの時のことは仕方がなかった。けれど、その後ギデオンはカイルを経済的にも精神的にも追い詰め続け、心のない人間にしようとした。
兄という名を持つ虐待者であったのだ。
それは奈津には許せないことだったし、そして今、奈津に向けるこの仕打ちも絶対に許さない。
こんなことをしても奈津の心は折れない。
目の前に現れたことを後悔させてやると奈津は思った。
「国際的指名手配の犯罪者になって、何が自分に罪はないだ。嘘ばっかり重ね、言い訳ばかりで何の責任も負わない。そんな人が信用されるはずもない。貴方がやったことはただの自己満足ばかりで決して人のためなんかじゃなかった」
奈津がそう言い言葉で追い詰めると、ギデオンは奈津の?を平打ちした。
「貴様、許さないぞ!」
ギデオンがそう言うけれど、奈津はギデオンを睨み付けた。
「許さないのはこっちですよ。絶対に許さないから」
奈津が言って睨み付けていると、またギデオンが奈津を平手打ちする。
奈津の口の中が切れたけれど、奈津はそれでもギデオンを睨み付けた。
その睨んでくる瞳に、ギデオンが怯んで叫んだ。
「殺せ! こいつを殺せ」
ギデオンが叫んだ時だった。
急にカンッと何かが投げ込まれたと思った瞬間、投げ込まれたものから煙が出始め、それが三つ四つと投げ込まれていた。
すると前が見えなくなった途端、周りから悲鳴が上がった。
「うわ!」
「誰だっくそっ!」
「うわあああ!」
叫び声が辺りに響いている中、奈津はしっかりと目を瞑って体制を低くした。
「大丈夫ですか」
「……はい」
「安全なところに運びます」
「はい」
どうやらあの誘拐からどういう経緯か分からないが、特殊部隊のSATが投入されて制圧をしてきたらしい。
奈津はそのまま隊員によって運ばれ、用意されていた救急車に乗せられた。
現場は騒然としていたけれど、奈津の様子からすぐに奈津は現場から遠ざけられて病院に運ばれた。
犯罪の証拠であるからと強姦と暴力の証拠を警察に取られたけれど、奈津は顔の怪我以外はまだ酷くはないことが分かった。
けれど、複数の男たちに陵辱された事実は奈津の心に傷を残した。
カイルはすぐに病院に駆けつけてくれた。
「奈津……ああ、すまない」
奈津が誘拐されたことを知ったカイルはすぐにギデオンが絡んでいると読み、警察に国際指名手配されている男による犯罪であることを告げた。
すぐにアメリカでギデオンの手下だったダリオがこれ以上巻き込まれたくないと言って警察にギデオンがカイルに復讐するために日本に密入国をしたことを告げた。
その情報が既に警視庁に入っていたのでカイルの話はすぐに信じて貰えたのだ。
そしてギデオンと懇意にしていたヤクザがおり、そこに出入りしている外国人がいたことも警視庁の組織犯罪班たちが掴んでいたことでヤクザが所有していた川辺の工場跡が監禁場所に浮かんだという。
偶然が重なって三時間で逮捕に至ったらしいが、奈津はその時間、ギデオンによって痛み付けられていた。
「カイルが謝ることはないよ。俺は、確かに辛いけど、それでもカイルのせいじゃないから。自分の兄がしたことでカイルが謝罪をすることはないんだよ」
奈津がそう言い、打ちひしがれているカイルを抱きしめた。
そうするとカイルがしっかりと奈津を抱きしめ返してきた。
その手に奈津は安堵する。
抱きしめてくれなかったらきっと絶望をしていたかもしれない。
そしてカイルを抱きしめている肩が濡れているのに奈津は気付いた。
この人は奈津のことを思って泣けるような人なのだと思ったら、奈津はしっかりとカイルを強く抱きしめていた。
「大丈夫だよ、こんな傷はすぐ癒える。カイルはしっかりとあの人に罪を受けさせて……」
「分かってるよ……絶対に許さない」
カイルはそう言った。
ギデオンは日本で調べられたあと、アメリカに移送された。
日本では誘拐、強姦、密入国という罪だったがそれでも人は殺してないので十年にも満たない罪にしかならないので、そのアメリカで裁判を受けさせる方が量刑がプラスされるのでその罪を持ってアメリカで裁判が行われた。
横領だけならそこまでの罪にならなかったのに、密入国や旅券違反など国際的な犯罪と他国での誘拐、強姦なども積み上がり、気付けば禁固三十年という刑期になっていた。
人を殺していないからこれくらいで済む程度だったらしいが、それでも国際犯罪者としてはどんなにいい弁護をしても減刑はできなかったという。
アメリカはテロ認定も入れていたらしいが、それでも恩赦などで出てこられたとしても六十を簡単に超えた頃しかあり得ないという。
四十になったばかりだったので恩赦が出ても二十年は確実に檻の中だという。
これで生きている間に奈津たちの前に現れることはなくなった。
日本では密入国をしたから二度と日本に入国ができない。
これだけでも奈津にとっては有り難いことだった。
それから奈津とカイルは二人の家で暮らしている。
カイルは奈津のことが心配なので、仕事場を家でできるリモートに切り替えた。元々日本を拠点にしてあちこちの国をホテルの内情を見る経営の仕事なので、それはそれで問題はなかった。
だから二人は二階の部屋にある仕事部屋でお互いに仕事をして、それ以外は二人でずっと行動をした。
カイルは奈津を一人にするのを嫌がり、ホテルに行く時は奈津を連れて人がいるところに奈津を置いてからしか仕事にいかなくなってしまった。
奈津はそれを仕方がないと思った。
仕事に行っている間に恋人が誘拐されてあんな目に遭ったとなったら、一人で家に残しておくことは暫くはできないだろう。
そのカイルの不安を取り除くために、奈津はカイルのホテルに付いていくしかなかった。
会社側としてもカイルの手腕を当てにしているから、奈津の同行を許すしかなかったようだった。
「カイル大丈夫だから、仕事行っていいよ」
「奈津、何かあればすぐに緊急ボタンを押すんだよ」
「うん分かってるよ」
そう言い合って部屋を出ると、あまりのカイルの心配する様子と甘い言葉に奈津に付き添ってくれるホテルの従業員がドギマギしている。
普段厳しいカイルの表情が愛する人を前にして優しくなるのはかなりギャップがあるらしい。
奈津はそんなカイルしか知らなかったので、他の人から違う印象がある方が以外だったのもある。
そうして奈津とカイルの生活は何事もなくゆっくりと流れていくことになった。
カイルはホテル業を上手く経営をし、安定をさせていた。
カイルの父であるジャンカルロは会長兼社長で暫く経営に携わっていたが、ギデオンがもたらした損失から、業務を幾つか売却を余儀なくされ、サルヴァティーニの会社はかなり小さな規模になった。
カイルはそんな会社に関わることはなく、社長はそれまでに会社に尽くしていた専務たちに任され、ジャンカルロはまた会長に納まった。
そして時間ができたジャンカルロはカイルを尋ねてくることができるようになった。
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