Find the keys

4

カイルが奈津と再会してから、カイルは奈津をホテルの部屋から解放する時に奈津に要求をした。
「写真を撮った……後は分かるな?」
 そうカイルが言うと奈津は信じられないような顔をしたが、素直に頷いた。
 奈津がどういうつもりでカイルの言葉に頷いたのかは分からない。
 けれどよく考えれば分かることだった。
 奈津にとって写真を流されても何も困らないのだ。
 むしろ写真を撮って流したとして、奈津の相手がカイルであると分かる方がカイルがダメージを受ける。セクハラなどの性的犯罪はアメリカの方が問題が大きくなる。
 当然カイルは犯罪者として罪を背負わないといけなくなる。
 そんな簡単なことがカイルには分からず、ただ奈津を抱くために奈津を脅し続けた。
 奈津は言われた通りにホテルを週末に訪れ、カイルの言うがままにセックスに応じた。
 カイルはそんな奈津の素直さにどうしても甘えるしかなかった。
 脅しているのに、どうしても奈津を抱きたいと思う気持ちが止めようがなかったのだ。
「らめっおちんぽっおおきいっ……ああんっらめっああんっきもちいいっらめっらめっ……ああんっ!」
「ふ…くっ!」
 奈津が乱れるがままに抱き、ただ強く抱くけれど、奈津には毎回手錠を填めさせていた。
 それはカイルのトラウマのせいだ。
 恋人だと思っていた奈津に裏切られた気持ちが、奈津がまた行為を拒否して逃げるのではないかと思えてしまうからだ。
 奈津は最初こそ戸惑っていたけれど、最終的にはカイルにされるがままになった。
 やましいことがあるのか、奈津はカイルのいいなりだった。
「あぁあんっ! あっああっ、いやっ、らめっはぁんっ……あっいいっあぁんっおま○こっいいっああんっ」
「奈津……気持ちがいいんだろう?」
「いいっきもちっ……いいっあああんっらめっ……ああんっいいっ……あっあっああっあっあっああっんっあっ」
 奥をこじ開けて中を抉ると、奈津はそれで嬌声を上げて喘いだ。
 気持ちいいからこそ射精もするし、ドライで絶頂もしている。
「あんっあんっ、あああぁーーっ! ……ひあっうぁあっ……あっあ゛っあぁああ……っ、すごっあぁっ」
奈津は随分初心な態度で毎回最初は恥ずかしがる。
 それはあの頃と変わらない様子で、慣れているわけではないことが読み取れた。
 他の誰も触れていないかのように乱れる奈津の様子に、カイルはまさかという思いが生まれる。
 奈津を抱いている誰かの存在を感じないから、誰も奈津を抱いていないのではないかということだ。
「ああいいっあんああっ……ああんっああっいいっきもちいいっああん……ああん……いいっきもち……いいっああんっらめっそこばっかっ……ああんっいいっいいっああんっきもちっいいっああんっ」
 奈津は腰を振り、淫らに誘ってくるけれど、変な癖は付いていなかった。
 あの時と変わらない仕草、そして癖を見つけるから、カイルは昔を思い出して溜まらなかった。
 奈津は何も変わってはいないのだ。
「んあっああんっああっああんっ……あっあっああっ……あん……あんああっ……あんきもちいいっ……あんああっ」
「奈津……奈津……君がいけないんだ……」
「んあっ、ああぁっ……はっ、はっん゛っ……ん゛ああっうあぁっ…ん゛あっ、あっあっあああぁぁっ……」
「私を裏切るから……いけないんだ……」
「んはっあ゛ああっ……ああっあ゛あっああああっ……あっんっあ゛あっ……んあっあ゛あっ……ああんっ」
カイルは奈津を抱きながら奈津を罰している。
 それでも奈津は何も言い訳もしなかった。
「ん゛ああっ、あっあんっあんっらめぇっ……おま○こっ、すごい、おちんぽっ……んっあっあっ」
ただカイルが望むまま、カイルが覚えているままの奈津の淫らなところを見せてくる。
「ひあっ……ああんっ……らめっ……ああんっ……いいっ……いいっああっそこっあんっああっ」 
奈津は抱くほどに段々と昔のようにしなやかな体になるようになった。
 誰の癖も付いていない体にカイルは気分を良くして、奈津をもっと求めた。
 抱けばその時だけで満足して終わると思っていた。
 けれどあの時執着した奈津の体は何処までもカイルの好みに合っていて、それまで付き合っていたエリオにさえ馬鹿にされるくらいに執着していた理由も理解できた。
「いいっきもちいいっおちんぽっああんっらめっらめっきもちいいところばっかっ……こすっちゃっああんっらめっ」
 奈津の嬌声が何より好きだった。
 今でも何度でも萎えることなく奈津を抱き続けられた。
「ああっ、すきっ好きっ、おちんぽしゅきぃっ……あ゛っあ゛っ、あっ、きもちいとこっ、ゴリゴリされてっんっあっあああんっ」
好きだと言われたら奈津に告白をされている気がしてドキリとする。
 奈津の蕩けた姿を見れば見るだけ、気持ちはあの時のように純粋に奈津を好きだと思えた。
「ああ……すきっおちんぽっ……すきっああ……きもちいいっああんっおま○こゴリゴリされて……ああんっいいっ」
奈津にキスをしたら、奈津はキスを返してくれる。
 蕩けてしまえば、奈津に拘束は必要なかった。
 熱が冷めないうちは何度でも奈津はカイルの求めに答えてくれた。
「カイルのおちんぽっきもちいいっああ……いいっおちんぽっ……おちんぽっああんっきもちいいっあっあ゛っ激しぃっ……ん゛ああんっあ゛っあっあひっ……あ゛っあっあああんっきもちいいっああんっあああんっあああっ!」
本気でそう思っているのは分かる。
 前も奈津はカイルの体は気に入っているのは知っていた。
 奈津の中を抉り、そして結腸まで突き挿入れると奈津は嬌声を大きく上げる。
「あ゛あああっ……あぁっあっいいっ、きもちぃっ、奥まで届いてるっあああっあぁっあっあっああ……カイルのおおきいっおちんぽっきもちいいああんったあんっあああんっ……きもちいいっああんっ」
「……知ってるこれを気に入っていることくらい……」
「ふあああっ……んっあっ、あんっ……ああ……ああっんっああんっんあっあああんっああっ……きもちいいっああんっああっいいっああんっ」
 パンパンと奥まで突き挿れて、中出しをしたくなってくるとそれを感じ取るのか奈津が強請ってくるのだ。
「あああっ、おま○こっ……ん、いいっ、おま○こに出してっあっあんっ、おま○こに、精液出していいっ……俺のおま〇こでイってっあっ、もっときもちよくしてっあっあ、ああああっ」
「ああ、出すよ……っ!」
「あっあっあっおま○こでせいえきらして……ああ……ああんっいいっおま○こいいっ……ああんっせいえきちょうらい……っああんっきたっああんっああ!!」
 中で射精をすると奈津はそれを受け止めてドライで絶頂をする。
 もう中で何度出しても止まらず、疲れ切ってしまうまでカイルは奈津を求めた。
 そして奈津は時間通りに帰って行く。
「じゃあ、またメッセージして」
 カイルの予定に合わせる形になっているから、奈津は毎回そのメッセージで呼び出された時間にカイルの部屋にやってくる。
 そして夜を過ごした後、必ず朝方に帰って行く。
 仕事があるというのが奈津の理由だったが、奈津の家まで行ってみると、奈津は誰かと暮らしているようだった。
 大柄のイタリア人と一軒家に住んでいるのが分かった。
 最近同棲を始めたらしく、カイルと再会をした時には既にその男と住んでいたようだった。
 結局奈津がどれだけ抱いてもカイルに靡かないのは、その男との生活を奈津が何よりも大事にしているからだろう。
 そしてカイルは思うのだ。
「何をやっているのか……」
 奈津に執着をしたってどうにもならない。
 前は奈津に振られたのは確かであるが、それより前に兄ギデオンの怒りに触れて、結局ギデオンの説得に応じたのだ。
 あの時、もし家を飛び出して奈津のところに行っていたら、奈津は心変わりはしなかったのではないかと思うのだ。
その勇気はカイルにはなかっただろう。
 あの時、何もかも父の力を必要としないまま生きていくことは、カイルには耐えられないことだったかもしれない。
 今は独立して何かやることも自由である。
 ギデオンが必要だと言うから、右腕をやっているが、この間日本に行く前に父のジャンカルロに呼び出されて言われたことがある。
「お前はギデオンの犠牲になることはない」
 そう言われたのだ。
 別にそんな気はなかったのだけれど、ジャンカルロにはそう見えていたという。
「ギデオンにもカイルを利用するのは辞めるように言ったのだが、あいつは人を道具のように使うせいで、どうも人の心があまり分からないらしい」
 そういうところが今トラブルになっているのだとジャンカルロは言った。
 ギデオンの人を道具に思うところが役員とトラブルになっているのだ。
 それまでのジャンカルロのように人情でどうにか繋がっていた技術者や営業をギデオンはマニュアルで縛り付け、それに反発した者たちが会社を辞めているのだ。
 そのことでホテル業はカイルに押しつけられたところだった。
「カイル、家の事は構わないから、やりたいことがあるなら家を出ても構わないんだよ」
 まるで心の中を見透かしているようなジャンカルロはそう言う。
 ずっと留学後からカイルがおかしいのには気付いていたという。
「お前は前はもっと素直だったよ。何に捕らわれているのか分からないけれど、もっと解放してやってもいいんじゃないかい?」
 ジャンカルロはそう言い、カイルはその時に奈津のことを思い出した。
「決して、手に入るものではないんです。人の心というものは……」
 そうカイルが言うとジャンカルロはやっとカイルが悩んでいた理由を察したようだ。
「そうか。人の心か。お前も人を愛するようになったんだな。言っては何だが何故振られたんだい?」
「さあ、お金が目当てだったようです。ギデオンがお金を渡して別れるように言ったら、お金を受け取って別れると言ったそうです」
 その言葉にジャンカルロはこう言った。
「私がお前と付き合っていたとして、ギデオンが別れろと言ったら、私は別れただろうね」
「……は? それはお金が大事ってことですか?」
 カイルには理解ができなくて、そう言い換えしたけれど、そこでジャンカルロが言った。
「お前も人の立場が分かれば、きっとそう答えていたさ。なんてできた人を好きになったんだろうね」
 ジャンカルロはそう言い、穏やかに笑った。
 その意味はどういうことなのだろうか?
 ふと思い至ってしまい、カイルは仕事場で支配人に尋ねていた。
 奈津との関係を隠して、友人の話だと言って説明をした。
 そして自分が奈津の立場だったらどうなのかと聞くと、支配人は少しも考えないで言った。
「別れますね」
「何故だ?」
 そう尋ねると支配人は言った。
「だって、家の立場が違いすぎます。家の力を使って全力で別れさせようとしている家族がいる家の大事な子息でしょ? どう足掻いても相手を後悔させますよ」
「だが……」
 そうカイルがないと言おうとすると支配人は言った。
「その子息は、家の力の及ばないところで暮らしたことはないのでしょう? でしたら、恐らくお金がないという根本的な貧乏で苦労したこともないのだと思います。そんな人がそれまでの生活からレベルを落として暮らせるかと言ったら、よほどの変わり者でない限り、あり得ません」
 支配人はそうした人たちを見てきたと言う。
「いいんですよ。盛り上がっているのは本人たちですから。でも家からの援助も打ち切られ勘当同然で追い出されて、さあ仕事だ生活だって大学生には無理ですよ。大学を出ていたならまあ、ワンチャンスはあるかと思いますが。ですからお相手の方は、子息のために別れたくはないけれど、別れるしかないと相手のことを思って別れてくれたんだと思いますよ」
「そうなのだろうか……」
「それで子息さんは、恋愛ごとに口を挟んだ兄のことは許して、家を出たりはなさらなかったのでしょう? なら別れてくれた方の考えた通り、子息はその家から出る気も結局なかったってことでしょう。それなら間違った選択はしてらっしゃらないと思います。私もその方の考えは理解できる立場ですので……」
 一般人から這い上がったからこそ、上流階級で育った人間の甘ったれた金銭感覚や世界の違いを見せつけるような価値観を知っている。
 それが交わることはないので、どちらかが妥協するしかないわけだが、子息側であるカイルには家を出るという覚悟が足りなさすぎたのだ。
「一言ですが、ちゃんとその方と本音で話し合いをなさりましたか?」
支配人の言葉にカイルは首を振った。
「真相など誰がなんとでも言えるものです……本音は本人が言わない限り分からないものです」
 支配人にそう言われてカイルは礼を言って支配人室を出た。
 それから呆然としたままで、部屋に戻り財布を掴むと背広を着込んで部屋を飛び出した。
 カイルが業務に絡んでいることはないので、そのままカイルはホテルを出た。
 タクシーを捕まえて、ずっと尋ねたことのない奈津の自宅住所をタクシー運転手に告げて車はそこへと向かった。


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