twist of fate

10

 夜になると梛音の部屋には小野崎が帰ってくる。
 一人暮らしのはずのマンションだけれど、梛音の隣の部屋を小野崎が買っていて、そこに引っ越してきたから、着替えなどをしてから梛音の部屋にやってくる。
「おかえりなさい……小野崎さん」
「ただいま、梛音」
 そう言って頬にキスを貰って梛音は機嫌が更によくなる。
「じゃ、お疲れ」
「ああ、お疲れ。明日からは通常でいい。判決も出たし、他も落ち着いた。ここも見つかっていないから、一人でも大丈夫だろう」
 小野崎がそう言うと、浅井も頷く。
「まあ、セキュリティだけはいいからなこのマンション。じゃ、梛音くん、また今度ね」
「はい、今までありがとうございました。お疲れ様でした」
「はいよ」
 浅井はそう言うとあっさりと帰って行った。
 梛音と小野崎はロックをかけたあとはリビングに入り、二人で寛いだ。
 食事は別々に取るときもある。今日は別々で、梛音は浅井と二人で食べた。
 午後九時を回っていて、二人はソファで寛ぎながら体をもたれ合って映画を観た。
「懐かしい映画だな。私が大学時代に流行ったな」
 そう言って流れている映画は、十五年前に流れていた映画だ。
 梛音はテレビで放映されているのを観たことがあるが、ノーカットは初めてだった。
 酷い扱いを受けて育ち、やがて愛を知っていく話で、かなりハード。これをよくテレビでやれたもんだと思うないようであるが、それでも当時は話題になったのだ。
「私の実家も同じような世界でね。それで勉強さえ出来れば後はどうでもいいという、妙な世界だったよ」
 小野崎の生まれた環境は本当に狂っていた。
 だから小野崎もその家庭で育ったせいで少し倫理観がおかしいところがある。そう小野崎が打ち明けてきて、まるで梛音を試しているようだった。
 梛音は静かにそれを聞き、それでも弁護士になった経緯を聞いた。
「どうして弁護士になろうと思ったのですか?」
その話に小野崎は笑った。
「当時、うちにいた弁護士先生が暇なら弁護士やらないかって。弁護士になれば毎日案件案件って忙しいよと言うから、当時余りに暇だったんで資格を取るのもありかと思い取った。その後、親父が死んで、母親が入院して、兄が自殺をした。うちはやっぱり狂っているんだと絶望していたけれど、その弁護士先生に助けて貰った。今の事務所もその先生から受け継いだものだよ」
「その先生は?」
「一昨年に老衰で。大往生で亡くなったよ」
「それは残念です。僕はその先生にお礼が言いたかったです。小野崎さんを弁護士にしてくれてありがとうって」
 梛音が笑顔でそう言うと、小野崎は少し驚いてから笑った。
「そうだね、そうじゃなかったら出会えていないな」
「でしょう、だから僕はどう育ってきたとか、そういうのは言っても仕方ないと思う。僕だって、そこまでいい育ちはしてないもの」
 そう梛音が言って、それに小野崎が思い付いたように言った。
「そうだ。梛音。どうせだから、大学へ行かないか?」
「え?」
 梛音は驚いて目を見開く。
「大学へ行く費用は持っていると言っていただろう? 働くにしても学歴がある方が選ぶ道も増える。時間もあるのだからどうだろうか?」
「あ、それはありかも……うん、そうしてみようかな……」
「そうしよう、そういえば、大学はいいところが受かっていたよね?」
「はい、一応、合格はしてました」
 二人はそう話し合って、今年の大学受験を受ける準備をすることにした。高校は卒業しているし、学力は問題ない梛音なら、今年の問題をおさらいすればランクを一つ落とすだけで確実に受かることができる。
 幸いマンションからそこまで遠くないところにある大学には希望の学科がある。
「僕、小野崎さんの仕事の手伝いがしたい。だからお手伝いが出来る勉強をします」
 梛音は目的を持って勉強をすると言うと、小野崎はそれを喜んだ。
「いいだろう。四年後に梛音がうちを手伝える資格を持ってきてくれることを願っているよ」
「はい」
 やっと梛音は生きるための目標ができた。
 小野崎と一緒に生きていく。だからその見ている先も同じものが見たい。
 そのための勉強は大変だけれど、それでも小野崎は待っていてくれると言った。
 梛音はにこりと笑い、小野崎はそんな梛音にキスをした。
二人が触れるのは、最初に触れてから三ヶ月以上が過ぎていた。


「んああぁっ、ああっ……ああっ……!」
服を脱がせて小野崎が噛みつくように梛音の体に触れる。
 首筋にキスをたくさんして、そして舐めてくる。
「あ、あうぅ……はあっ、ああ……っんふうっ……小野崎さん……っ」
「梛音、苗字ではなく、泰嗣(やすつぐ)と呼んでくれ……」
小野崎がそう言い出して、梛音はそれを譫言でも言うかのように呟いた。
「あう……はっ……っ、泰嗣さ、んっああぅ……んっ……っ、う……っく、あ……っ」
「もっと呼んで」
「ああ……すき、泰嗣さん、あぁ……っんっ、んっ、は……」
「私も好きだよ……梛音」
そう言われて梛音は涙が流れた。
 嬉しくても流れる涙がある。それを知ったのは今だった。
小野崎はそのまま梛音の乳首を吸い上げて、舌で舐めて転がし始めた。
「……ああっきもちいいっちくびっああんっ……いいっああんっちくびっああん……いいっっ」
小野崎がする行為は何でも気持ちが良くて、梛音は自分を汚された部分が段々と綺麗になっていくのが分かる。
 腐っていた部分が再生し、新しくなっていく気がした。
けれど事件が終わるまでは、小野崎が梛音に触れられないのは分かっていた。
 梛音を囮に使ったせいで、梛音が傷付き、そしてそれを小野崎が許せなかったのだ。
 どんなに梛音が許すと言っても、こればかりは小野崎の心の闇が関係しているから、どうしようもなく癒やせなかった。
 けれど、今日は違う。
 小野崎はやっと梛音に触れてくれる。
「あーっ……はぁっ、はぁっ、ちくびっ、ああんっんやっ……、ん、だめ……ひっ、ぁっ、あぁあっ!」
梛音は初めての時より感じて、小野崎の手の中で嬌声を上げた。
 気持ちよくてどうしようもなく、もっと触って欲しかった。
「ああっあっあひっあぁっ…あっあ゛ああぁっあああっあ゛っあっ、乳首ぃっ……いいっ……いじって、乳首いい、もっときもちよくしてほしい……ちくびっああんっっん゛ああんっああっ」
梛音がそう言うと、小野崎は乳首を念入りに弄り、乳首だけで絶頂するまで導こうとしている。
「ふあああっいいっ、あはあっ、乳首っ、んっあっこんなのすごすぎぃっ、あ゛あっああっんっあ゛っああ゛っ」
「もっと感じて……梛音……」
「ちくびだけでいかされるっ……ああんっきもちいいっちくびコリコリ気持ちいい……ああ、舌気持ちいい……あんっらめっちくびっ感じちゃう……ああんっ」
ジュルジュルと音を立てて吸い上げて、乳首だけで梛音は絶頂までイッてしまった。
「ひあぁんっはげしすぎ、イくの、いっちゃうっ、あ゛っん゛っ乳首っでっ、ん゛っあっあ゛っあっあっきもちぃ、いいっ……ひあっよすぎてっあっんああああああんっ」
乳首だけで絶頂をさせられてしまい、梛音はペニスから精液を吹き出した。
 それでも大きく息を吸っている間に、小野崎は梛音のアナルにローションを付けた指を挿れてきた。
「あ……っ、はぁっ、んん……っ、ああぁっゆびっ……あっ、あっ、あ……あっ、あー……っ」
「気持ちがいいんだね、締め付けてきて。ほらここが気持ちがいいところ」
 指で小野崎が梛音の前立腺を擦り上げてきて、梛音はそれに体を震わせる。
「あぁあうっ……っあー! あっあひぃっひっあっあっ……あ――っ!!」
強引にそこばかりを擦り上げながら、アナルを広げられていき、梛音はとうとう悲鳴を上げている。
「ひああっ……ん゛っひっいっ……んっああぁっん゛ぁあああ゛あぁっ、らめっ、い゛っいくっいっちゃうっ」
「イッていいよ、ほら可愛くイクところを見せて」
「あ゛っあひっあっ、いくっいくっいっちゃうっ、指でっ、イっちゃうっ、ひぁっあ゛っいっちゃうっ……! ん゛っあっあ゛ああああぁあぁぁっ……」
梛音は小野崎に追い上げられて絶頂をした。
また射精をして絶頂をすると、指が出ていったアナルを自分で弄りながら、小野崎を見つめて言うのだ。
「あっあんっ、ここに、泰嗣さんのおちんぽっ欲しぃ」
そう言い腰を揺らめかせているのを、小野崎は舌なめずりをして見ている。もっと煽ってくれと言うように、もうどうしようもないほど我慢もできないのに、まだ梛音に許して欲しいと言うように待っている。
「あっ、僕のここに、はぁっ、泰嗣さんのおちんぽハメて、いっぱいいやらしく突いてっ突っ込んで……泰嗣さんも気持ち良くなって……おっきいおちんぽを……挿れて下さいっ……!」
梛音の精一杯の誘惑に、小野崎は勃起させたペニスを梛音のアナルに突き挿れてきた。
「あっ、あっ……、ひっきたっ泰嗣さんのっあ゛っ、あああぁぁっあ゛ひっ、深い……ああっ大きいっ、なにこれっ……ああ、あっ、あっ、ああんっそこまでらめぇっ……、あっ、深いっあ゛ああっああんっあああっ!」
それは二度目ともなれば、ただただ梛音には嬉しい瞬間だ。
 この大きなもので気持ちよくなれたし、幸せな気持ちにもなれる。それがやっと挿入ってきてくれた。
「ああっ……、あ゛っはああーっ……いいっああっ、ひぁっ、んぁっはぁんっ!」
「……梛音、中がうねって凄い……」
「あっあ゛っん゛っあっ凶悪おち○ぽっらめぇっ……ひああ゛っあんっあぁんっ」
「ここに当たっているからね……」
 前立腺のところを擦り上げるように小野崎に腰を動かされて、梛音は嬌声を上げた。
「ああああーっ! やらぁっ、らめっ、はっふぅっ……あっ、ああぁっ」
恐ろしいほどの快楽が襲ってきて、梛音はただ悲鳴に似た喘ぎ声を上げる。それさえも小野崎を煽るには十分で、小野崎は腰をゆっくりと振り始めた。
「ああああぁー! あっあぁっ、あんっあああっ、ああっ、あっ、ひぁんっ」
抉るように奥を突き、そして引きずり出すように出ていく小野崎のペニスに、梛音はただ体を震わせた。
「ああああっあぁっ、あんっ、ひぃあっ! あっ、ああああーっ!」
小野崎とは相性がいいと思っていたが、今回は前回以上に梛音は感じてしまい、快楽の渦にすぐに飲み込まれた。
「はぁん……ん、ん……んはぁ……っ、あぁんっあぁっ……泰嗣さんっいいっあんっあっ、あっ、はぁんっ……ひゃっ、あぁっああっ……あひぃっ! あっあんっ……ぁんっ、はぁっ……ああんっ」
「梛音、私も気持ちがいい……梛音の中は……最高にいいっ」
「はぁっあっ……あぁああんぁ……あぁっあぁっ、あぁああんっあっ、やらぁっ……んっ、あっふぅっやっ……、そこは、やらぁ、んっ、はぁっ……」
「奥も好きだったよね、こうやって強引に挿入られるのも梛音は気に入っていたよね」
「あぁんっ! あっ……はぁっ、はぁっ……あぁぅっ! やっ、あんっあんっあぁんっ」
奥まで突き挿れてから腰を左右に振り、中を突き上げ続けるから梛音は体を震わせた。
「やぁあっ、あっふぅっ、あっあっ……ああーっ! やっらぁっ! あっはぁっ……んぁっ……はぁっはぁっ……あっぁあっ、んっひゃぁっ……」
「梛音いいよ、好きだよ……」
「ああああぁーっ! 泰嗣さんっすきっあっ、あっ、あんっ、あんっぁあんっ!! ひゃああっ! あぁっ、あっあっ……はぁんっ、ぁあんっ」
二人でキスをしてキスをしながら腰を動かし続け、そして小野崎はまた梛音を絶頂させた。
「あぁっもっいくっぁ……あぁあ、んっいってうっ……、あぁんっあっああぁんっ! んっ、も、いってるからっんぁっあぁっ」
「もっとだよ……梛音、ほら感じて」
「らめっおちんぽっ……あっあぁああっあ゛ひっ、いっあっあんっらめっ、あっあんっあんっ」
「一回中に出していい?」
「ひああぁっい゛ぃっあっ中出ししてっ……泰嗣さんの精液中にちょうらいっあっあうっひああっあ゛ひっあっあっああああんっきたっ」
中で小野崎の精液がたっぷりと出されている。奥に叩き付けるように溢れる暖かさに、梛音はそれだけで絶頂が出来た。
「あああっひあっいくっ……あっああぁっああんっ! あひっあんっあっあっあっあんっ」
「梛音、気持ちよさそうだね……気持ちいい?」
「ああんっいいっ、きもちいっ、いいっ……あっい゛っあひぃっあああぁーっ……! あひっ、あ゛っひああっ……あっあんっあんっ」
何度も絶頂をさせられていると、もう快楽に支配されて梛音はただ嬌声を上げた。
 気持ちがいいと伝えるだけで、小野崎は貪欲に梛音を求めてくれる。それが梛音には嬉しかった。
 だから余計に素直になって気持ちを伝えられた。
「ひあっあっあんっあんっらめっ……あっあっああっあひっ、せいえきもっと中出ししてっ……泰嗣さんのせいえきもっとほしいのっあっあっあんっ」
 梛音がそう言うと、小野崎のペニスが完全に復活し、挿れっぱなしでまた挿入を開始した。
 その激しさはさっきの比ではない。
 もっとと求めるように小野崎は梛音を抱き、中を抉って突き上げてくる。
「ああぁんっ、ああぁっいぃんっ泰嗣さん、きもちいいっ……ああぁっあんっ、ああぁあんっ」
梛音はしっかりと小野崎を抱きしめ、ただ腰を振った。
 気持ちよくておかしくなる瞬間があるなら、まさしく今だった。
 小野崎にしてもらうのが嬉しくて、梛音はもっとと小野崎を煽った。
「あっああっ泰嗣さん、好きっもっと、中に精液ちょうらい……あぁっ……あ゛っああっ……あ゛ひっああっ、あっいいっ、あんっ」
「いいよ、もっと上げるよ。だからもっと淫らになって梛音」
「あ゛ああっ……ひっ、あ゛っ、ああっ……あ゛っいいっぁあっ、泰嗣さんのおちんぽっきもちいいっあっああっ……ふあんっああっ!」
梛音はそう叫び、小野崎を求めた。
 それに答えるように小野崎も腰を振り、先に出した精液が掻き出されて泡になってアナルから垂れていく。
 それでも腰は激しく、止まることがなく、梛音は小野崎に翻弄された。
「梛音、中に出すんだよね? 精液は何処に出すの?」
「あああぁーっ、なかっ、ちょうらいっあぁっ、ひっ、ふぁっ、あんっあんっ、ぁんっ! やぁんっ、いぃっはぁっ、あっふぅっあんっ、いくっいくっんーっ」
梛音が絶頂をすると、小野崎も一緒に絶頂をした。
 梛音の中で精液をたっぷりと出している。
 その熱さを感じながらも、一旦萎えたはずの小野崎のペニスがまたムクリと大きくなっていくのを感じて梛音は焦った。
「はあぁ……ひ、はぁ、あっ、ああんっ! あぁっ、もう、むりっ……あんっ、なんで、またおちんぽ大きくなってるの、あ、あぁっ……」
「梛音の中が気持ちがいいからね……何度でもできるよ」
そう言って小野崎が微笑み、セックスは一回では終わらず、一晩中続いた。
「もっらめぇっ……おま○こ壊れるっはぁんっあぁあっ……はぁっはぁっ……らめっ……あっぁんっあっあぁっ……んんっ、らめぇっあっあんっ」
「もっとだよ、梛音」
「あぁああーっ……! あひっ……あ゛っあぁあっ……はぁっいいぁっ……ああっ……」
「ほら、もっと私に声を聞かせて……梛音のいやらしい声を……」
「あ゛ああぁんっ! あぁっ、あっあんっあんっいいっいいっ! はぁっあんっあぁああんっ……」
「もっとだよ梛音、愛しているよ……」
「僕も、ん――っ! あ゛あああぁっあひっあひぃっ! あっあんっあんっあぁあんっ!!」
幸せな時間はここから始まる。
 そんな気持ちがわき上がる夜だった。
もう気持ちが離れたりはしない。
 強さを身につけて、愛は深くなっていった。


 梛音は、大学に行くための勉強を始めた。
 もう二年も勉強から離れていたけれど、それでも当時の勘はすぐに戻ってきて、小野崎や浅井に習いながら、試験の資格を得て、受験に望んだ。
 あの事件からすでに五ヶ月が過ぎている。
 世間はすっかりあの事件を忘れ、新しい事件に夢中になっている。
 そんな世間から離れて、梛音は順調に試験を受けられた。
 手応えのあった試験は、その後、合格通知を受け取って晴れて大学生になるための手続きもしっかりとやった。
 前はここで辞めてしまったけれど、今度はしっかりと手続きをした。
 そして四月には大学生になった梛音は、自分の部屋から小野崎と一緒に部屋を出る。
「これからは、一緒に出かけられるね」
「そうだな。でもいってらっしゃいのキスはするよ?」
 小野崎はそう言って梛音にキスをする。梛音もそれに合わせて小野崎にキスをした。
「それじゃ、いってきます」
「いってこよう」
 二人はそうやって、毎朝一緒に出かける。
 梛音は大学へ、小野崎は法律事務所へ。
 やっと二人は、日常へと戻っていたのだった。

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