twist of fate
7
燃えた部屋の掃除を終え、大家に礼を言って引っ越し先に燃えていない荷物を運び込んだ。明日には新しい家具を買って部屋の家具を足していく予定だ。
梛音は今日も小野崎が用意してくれているホテルの部屋に戻った。
小野崎は仕事をしてから戻ってきていて、浅井に送って貰うと部屋に上げて貰った。
「浅井、食事を一緒にどうだ?」
そう言われた浅井であるが。
「今日はさすがに疲れた、帰って寝るからまたにする」
浅井はそう言って玄関先で踵を返した。
「浅井さん、昨日、今日ありがとうございました。明日もまたよろしくお願いいたします」
「はいよ、また明日」
浅井はにっこりと笑って手を振って帰って行った。
「荷物の片付けは済んだんだね?」
「はい、何とか破棄処分の物は捨てられて、燃えていないものは新居に運びました。あとは代わりの家電などを買い足して終わりです」
少し服も汚れているのを見て小野崎は梛音に言った。
「お風呂に入っておいで、その間にルームサービスを頼んでおくよ」
「ありがとうございます」
梛音はそう元気よく返事をして風呂に入った。
汚れた服は袋に入れて、あとはクリーニングに出すだけ。新しい着替えは既に用意してあるので、体を洗って綺麗にした後、新しい服に着替えた。
今日のうちに小野崎が買い足してくれた服で、ついでに古い服も捨てて買い換えることにした。
何だか何もかも新しくした方がいい気がして、梛音は着古した服は捨てた。元々少ない服だったので、小野崎が今日、大量に服を買い込んでくれていた。
迷惑でないならと梛音は小野崎に甘えた。
それは浅井からなるべく甘えてやってくれと言われたのもあり、小野崎はどうやら甘やかす誰かが欲しかったようで、あの事件以降は梛音に余計に甘くなった。
梛音は新しい服に着替えて、居間に行くと既にルームサービスは届いていた。
「ああ、やっぱりその服は似合うね」
そう言われて着ていた服は、少しいい素材のワイシャツだ。チノパンも新しい物であるが、薄い色で梛音には合っているものだった。
「うん、小野崎さんの見立て、凄く好みです」
そこまでお金がなかった時代には絶対に着る機会はなかった素材だったから、着心地はよくて、梛音は上機嫌だった。
そのまま小野崎に抱きついてお礼を言う。
はしゃいでいる梛音に機嫌を良くした小野崎はそんな梛音を宥めるように背中を擦ってくる。
「分かったから、ご飯にしよう」
「はーい」
誰かに甘えるなんてずっとしてこなかったから、梛音の小野崎への甘えが止まらなくなってきた。
父親にさえ甘えることを許されなかったから、梛音は誰かに本気で心から甘えるのは小野崎が初めてだった。
だから小野崎が困っていないならと、梛音は小野崎の邪魔にならないように甘え続けた。
あの事件後、望月が早々に送検されてしまうと、梛音に元気が出てきた。
もう秘密にする必要もなく、背負わなくていい荷物を下ろしたことで、ずっと張り詰めていたものがなくなったからだ。
そんな梛音を見ていると、小野崎もこれ以上事件に拘るのは辞めた方が、梛音のためだと思えるようになった。
過去の事件と梛音の事件を一緒にすることはできないし、それは失礼なことだと改めて思えた。
今回はただ巻き込まれただけで、中心にいたわけではない。だから、下手に大物に噛みついて反撃を食らうこともないだろうと思えた。
それは梛音の様子を見たら余計にそれが正しいと思えたのだ。
梛音に小野崎の過去を背負わせるわけにはいかないのだ。
そう思っていた。
その時の気持ちはすぐにどうしてそう思ったのか理解できる形になった。
気持ちの繋がりは長さに関わらず、ある日突然理解する。
梛音は、どうして小野崎にだけ心を開けるのかずっと謎だった。
一週間も小野崎と暮らしていて、ここまで不快もない相手は初めてだった。
嫌われないように、そして少しでも気に入って貰えるようにと思う相手も初めてだった。
ただ初恋をした時の気持ち。相手をただただ見つめるのが好きという気持ち。そして小野崎に慰められると心が穏やかになれるのだ。
小野崎もまた、梛音に構っていると心が落ち着くのが分かった。
誰かと長時間一緒の生活をして苦痛を感じず、それでいて安心感を覚えるのは初めてかもしれない。
二人が心が通っていることに気付いたのは、この日だった。
お互いに確かめ合うように、頬を触り、そしてキスをした。
触れあうだけで鼓動が高鳴るのが、流されているのではないと思えた。
「君に触れてもいいだろうか……」
小野崎は大人だ。
ちゃんと確認しないと先には進めない。
勢いだけでいける梛音とは違い、責任も伴うのだ。
それに梛音は頷き、先を促した。
「はい、小野崎さんの好きなようにして……」
誘う言葉を自分から言うことになるとは思わなかったけれど、梛音は小野崎を誘えた。
二人はキスをし合い、たくさんした後、梛音の首筋に小野崎がキスを落とした。
服はあっという間に脱がされた。
そこで梛音はふと思い出す。
服を送るのは脱がせるためとかいう、昔の小説の言葉だ。
正に小野崎に貰った服を脱がせられている状況が、本当にその通りでそれを何処かでそうであればいいと思っていたのだろう。
男同士がどうやって抱き合うのか知っている。
それでも小野崎が抱いてくれるなら、抱いて欲しかった。
もしこのまま関係が終わってしまうとしても、この先別れ別れになったとしても、小野崎に抱いて貰ったことだけは決して忘れないと思えた。
「はぁっ、あっ……あ、はあぁ……っ」
梛音は小野崎に首筋を吸われながら、乳首を弄られて、だんだんと気持ちを高められていく。
「あぁ――っはぁ、ああ、んっ……あっ、んんんうぅっ……!」
「梛音、可愛い……」
「あぁっぁ、あ……っ!んんっ……んう――……っあぁ、もうっ、ああ……っ」
梛音が興奮しているように、小野崎も興奮しているのが分かる。
そう不安になりそうな気持ちはすぐに小野崎が察してくれて、ちゃんと小野崎も興奮しているのだと胸に手を当ててくれた。
その心臓は破裂しそうなほどに鼓動が早く、そして暖かかった。
「あ、は……嬉しい……あぁ、あああ……んんっ……は、あー……っ」
梛音が安堵すると、小野崎は急がずに先を進めてくる。
「ひ、んっ……あぁっ……ああちくびっ、あぁっ」
「もっと声出して、もっと気持ちよくなれるから」
小野崎にそう言われて、梛音は声を殺すのをやめた。
もう自分でも何を言っているのか分からないくらいに、感じてしまってどうにもならなかったのもある。
「ああっ、あっ、あっ……ちくび、ああぅん……っ」
梛音の乳首を小野崎は舌で舐めて嬲ってくる。
それが気持ちがいいと感じるから、梛音は嬌声を上げた。
「も……っ、だめ、ちくび、それ……っ はあっ……だめ……あぁ、あんっ……っ」
梛音はジュルジュルと音を立てて吸われて、その舌遣いに腰が動いた。
「ああぁ……ちくびっ、んあっ、はぁ、はぁうっ……ああ、そこまでっ」
乳首を吸われながら、さらにペニスまで取り出されて、それを指で扱かれる。
「あんっ、あっ、あっ……、ん、んぁっ、あぁんっだめっ、ちくび、あんっ、ぐりぐりっ……あっあぅっ」
ペニスを扱かれて、乳首を吸われて、さらに追い立てられ、梛音は感じたことがないほどの快楽が襲ってきて、それに嬌声を上げる。
「あぁっ、んんっ、ちくびっああんっはぁっ、あっあっあんっ! あっ、らめちくびっひぃっ、らめっ……、それ、あっいぃっ……」
「梛音……可愛いね……もっと気持ちよくなって」
「あぁっ……小野崎さん……そ、そんな、あんっあっ、あっ、はぁんっ……ひゃっ、あぁっああっ……あひぃっ! あっあんっ……ぁんっ、はぁっ……ああんっ」
「梛音は感じやすいんだね……いいよ、もっと感じて」
「はぁっ……、あっ……あぁん……、あぁ……は、ぁ……ああんぁ……あぁっあぁっ、ああんっ!」
その指で扱き上げられて、梛音はペニスから精液を吹き出した。
射精が上手くできるように小野崎に扱き上げられ、そして気持ちよく射精したのに、またペニスを扱き上げられ始める。
「あっ、やらぁっ……んっ、あっふぅっやっ……、そこは、やらぁ、んっ、はぁっ……」
梛音のペニスを扱き上げてから、小野崎はテーブルからコンドームを取り出して、それを指に付けると、またペニスを扱きながら、今度はアナルに指を挿れてきた。
「あぁんっ! あっ……はぁっ、はぁっ……あぁぅっ! やっ、あんっあんっあぁんっ」
アナルを解すために指がゆっくりと中に挿入り、それがゆるりと出入りする違和感にすら梛音は感じた。
梛音が嫌がっていないのを確認してから小野崎は指をゆっくりと出し入れしていく。
「やぁあっ、あっふぅっ、あっあっ……ああーっ! やっらぁっ! あっはぁっ……んぁっ……はぁっはぁっ……あっぁあっ、んっひゃぁっ……」
「可愛いね、梛音。ほら、そのまま力を抜いていて、アナルが気持ちよくなってくるからね」
そう耳元で言われて、梛音のペニスを小野崎が口で咥えてしまった。
「ああああぁーっ! 小野崎さん、あっ、あっ、あんっ、あんっぁあんっ!! ひゃああっ! あぁっ、あっあっ……はぁんっ、ぁあんっ」
口で咥えられただけでも気持ちがいいのに、舌でペニスを舐め上げられて吸い上げられると、腰がガクガクと震えるほと梛音は気持ちよさで腰を揺らした。
「ああぁんっ、あぁっひぃんっらめぁっあんっ、ああぁあんっ」
それをずっと続けられて、アナルには指が三本も挿入るまで執拗にアナルを広げられた。違和感があるはずなのに小野崎の指だからか、梛音はそれすら感じてしまい、腰を自ら振ったほどだった。
「あっああっやあぁっ……あ゛っああっ……あ゛ひっああっ、やっらめっ、あんっ」
とうとう小野崎の口で射精をさせられ、ペニスから精液を吹き出した。
弛緩する体であるが、その隙を小野崎は見逃さなかった。
力の抜けた梛音の足を開き、体を寄せて梛音のアナルに小野崎は大きなペニスをゆっくりと突き挿れてきた。
「あ゛ああっ……ひっ、あ゛っ、らめっ……あ゛っうぁあっ、おおきすぎっ…あっああっ……ふあんっああっ!」
「梛音、息を吐いて、そしてゆっくりと吸って、そう私の言う通りに合わせてごらん」
「はっああんっ……はあっ……んっあっ……はいって……あんんっ」
息をゆっくりと吐くと、小野崎のペニスは挿入り込んできて、息を呑むとそれが止まり、そしてまた息を吐くとペニスが挿入り込んでくる。
それを繰り返して、長く時間をかけて小野崎は梛音の中に挿入り込んでいた。
「ほら、全部挿入ったよ……」
「あ、ああ、すごい……全部入る……んだ……ああ、どうしよう、小野崎さん……きもちがいい……」
梛音は小野崎のペニスから感じる鼓動に、中がうねって絡んでいること自体が気持ちがいいと感じれた。
今まで誰も挿入ったことがないのに、小野崎のペニスは最初から梛音に馴染んでいるぴったりとした感触なのだ。
「梛音、エッチな子だったんだね、いいよ、それで。私の前だけでそうであってくれ。そうすれば、沢山気持ちがいいことができるよ」
「ああ……嬉しい、沢山してくれる……んですね……」
梛音はこれ一回で終わるわけはないという確証を小野崎から引き出せたことが嬉しくて、さらには小野崎と繋がっていることが嬉しすぎて、あり得ないほど興奮していた。
みっともなく腰を蠢かせ、まだ動いていないのに自分から激しく小野崎を求めた。
「もっとして、ください。小野崎さんの、好きなだけ、僕は嬉しいから……あっああっあんっあんっあぁあっあっ、あぁあっ!」
梛音が言い切らないうちに、小野崎も梛音に煽られて腰をゆっくりと動かす予定が、激しく腰を振り始めてしまった。
「あああぁーっ、やぁっ、ひっ、ふぁっ、あんっあんっ、ぁんっ! やぁんっ、いぃっはぁっ、あっふぅっあんっ、んーっ」
「大人を煽るのが上手いな梛音、……もう制御はできないよ……」
「はあぁ……ひ、はぁ、あっ、ああんっ! あぁっ、いいっ……あんっあ、あぁっ……」
ガンガンと奥を突き上げられて、いきなり嵐の中に放り出されたように激しく揺さぶられたけれど、梛音はしっかりと小野崎に抱きついてその力強さを受け入れた。
「あひっらめっあ゛っあんっあんっあんっあっひっあああんっ」
アナルからあり得ない音がしているけれど、小野崎はコンドームを付けてくれていたので、滑りがよく奥までしっかりとそのペニスを梛音は感じた。
「あ゛っひっらめぇっ……あっあんあんあんあんあんっ!」
小野崎のペニスに翻弄され、腰使いに振り回され、梛音はただその荒波で唯一の板にしがみついているかのように小野崎にしがみついた。
「あんっあんっあんっ! あ゛ひっんっあぁああーっああぁっ……、んっあっあっ、あうっあああんっ」
嬌声が高く上がり、この世の物とは思えないほど梛音は快楽を得た。
「あ゛ひっあひっんっあっあんっんっやぁっんっあ゛はっうあっん」
小野崎に抱かれて梛音は心が溶けていくのを感じた。
嬉しくて嬌声を上げ、小野崎を煽り、小野崎は腰を強く振って奥の奥まで梛音のことを抱いた。
「んっ好き、きもちい、ふぁっ……ひぁっあっあ゛っいいっ……あぁんっ」
「私も気持ちがいいよ……梛音……」
「あぁあん……はぁっ、ぁ、ん……ん……、ふぅ、んっ」
二人はキスをしながら腰を振り合い、そして先に梛音が達しても、小野崎はその腰を止めなかった。
「んんっ、ふぁっ、あん、ん……あぁっ……あ゛っらめぇっ……あっいってうっあんっあああっ」
「もっとだよ、梛音……もっと」
「あっぁあっ、んっひゃぁっ……あ゛っひっ、あぁっ、そんなっ、あんっ」
「私もイクよ……ああ、梛音の中は気持ちがいい……」
「あ゛ひっ……ぅあ、あっあぁんっ! あひっ、ぁあっ、あっあっあっ」
「ふっ……っ」
「あひっ、あっぁっ、ふぁっ、あぁんっ! あぁんっいいっ、あんっあんっ、あっふぅっ、ひあぁっ」
とうとう中で小野崎が達した。
コンドームをしていたから、当然中で膨らんだものを感じただけであるけど、それでも梛音はそれを感じて絶頂をした。
「あ、あっ……ああっ、きもちが、いい……んふっ」
梛音は小野崎がすぐにペニスを抜いてしまったことに不満を感じてしまったけれど、体がそこまで体力がなく、結局ついてはいけず、そのまま意識はすっと眠りの方へと引き込まれた。
よくよく考えたら力仕事で疲れているから、当然のことなのだが、その眠る瞬間に優しい小野崎の笑顔が見えて、声もした。
「ゆっくりおやすみ、梛音」
その声に安堵して梛音は初めて人がいる場所で、ゆっくりとした眠りに付いた。
それは二人にとって、新しい何かが始まることを意味していた。
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